ホドリゴ・ヴァランダ (Rodrigo Varanda)

投稿者: | 2023年8月31日
最近更新日 : 2024/07/05
投稿日 : 2023/08/31

若手 ブラジルサッカー フォワード コリンチャンス アメリカ・ミネイロ シャペコエンセ ホドリゴ・ヴァランダ

ホドリゴ・サントス・ヴァランダ

Rodrigo Santos Varanda

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2003年1月11日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州、サンパウロ市の東に位置しサンパウロ都市圏を構成するグアルーリョス市に生まれる。
 父は13歳の時にコリンチャンスの入団テストにチャレンジ。いくつかの段階を経るも約6か月に渡るテスト期間でふるいから落ち、サッカー選手になる夢を諦めた。
 しかし、その夢を息子に託すため、ホドリゴの生後間もなくサンパウロ市東部にあるコリンチャンスのトレーニング場近くに引っ越す。そして、ホドリゴは6歳になりコリンチャンス下部組織の入団テストを受験。300人のうち合格者は僅かに5人。その難関を乗り越え入団テストに合格。コリンチャンスでプロサッカー選手になりコリンチャンスの歴史を作るという、父と自分自身の夢がスタートを切る。

<クラブ 経歴>

育成時代≫

 入団当初のフットサルを手始めに、グラウンドでのサッカーに転向後も順調に各カテゴリーを卒業し次のカテゴリーへ昇格していく。
 2018年は、U-15チームで18得点、U-17チームで2得点の計20得点。クラブ内で将来性を有望視されるようになる。
 2019年3月、16歳で契約期限2022年1月末のプロ契約をコリンチャンスと締結。
 2019年は主力メンバーとしてU-17全国選手権準優勝。その活躍からU-17所属ながらU-20チームでも2試合の出場を果たす。
 2020年はコロナ感染症拡大の影響で満足のいく選手生活を過ごせないものの、年末にはヴァギネル・マンチーニ(Wagner Mancini)トップチーム監督の下、トップチームの練習に参加。

≪コリンチャンス

– 2021 –

 2021年2月28日サンパウロ州選手権開幕節RBブラガンチーノ戦で先発に抜擢され、18歳でのプロデビュー。
 2021年3月3日、州選手権第2節パウメイラスとのクラシコでは、1-2で1点を追いかける後半3分、自陣からのカウンターで左サイドライン際をSBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)がボールを持ち上がる中、ヴァランダは中央をゴール前に駆け上がり、SBルーカス・ピトンからのクロスボールをディフェンダーを背に受けると、トラップは少し大きくなったものの、間合いを詰めるGKの頭上を越すシュートでプロ初ゴールをマーク。
 続く3月7日第3節ポンチプレッタ戦も先発に起用されるとアシストを記録。ヴァギネル・マンチーニ監督の期待に応える結果を残す。しかし、試合を重ねるにつれ対戦相手による研究も進み、パフォーマンスが低下、次第に出場機会を失っていく。
 出場機会が減る中、RBブラガンチーノがヴァランダに関心を示し代理人と接触するようになると、コリンチャンスは2021年8月にヴァランダとの契約を更新、ヴァランダの流出に待ったをかける。
 ところが、ヴァギネル・マンチーニ監督解任後のシウヴィーニョ(Sylvinho)監督の下では構想外となり、2021年9月にはサンパウロ州のカップ戦コパ・パウリスタ(サンパウロ州連盟が主催するカップ戦)に参戦するサンベルナルドに期限付き移籍。しかし、ほとんどチームに貢献できず、契約期限を待たずにコリンチャンスに復帰。

– 2022 –

 年初のU-20カテゴリー全国大会カップ戦にコリンチャンスU-20チームの一員として出場。5試合で2得点を決め復調気配を見せるが、トップチームでは構想外が続き、2022年4月に全国選手権2部シャペコエンセへの期限付き移籍が決まる。しかし、シャペコエンセでも期待とはほど遠いパフォーマンスで、わずか3試合112分の出場で7月5日に両者合意の上で契約を解除。
 2022年8月には次の期限付き移籍先として、キプロス1部のアクリタス・クロラカスに加入。2022年末までの約5か月間にリーグ戦10試合590分の出場を果たすが、この期限付き移籍も満了を待たずに解除される。

アメリカ・ミネイロ(レンタル元:コリンチャンス)≫

– 2023 –

 2023年3月、2021年のプロデビュー時の監督であり恩師でもあるヴァギネル・マンチーニ氏がトップチーム監督を務めるアメリカ・ミネイロのU-20チームに期限付き移籍。そこで9試合10得点の活躍を見せると、ヴァギネル・マンチーニ監督によりトップチームに招集。
 5月23日のコパ・スウアメリカーナでクラブデビューを果たすと、途中交代出場を繰り返し、7月8日全国選手権第14節コリチバ戦で先発に抜擢。その後も先発、途中交代で試合出場を果たすが、得点やアシストといった記録に残る結果を残せない。
 2023年8月6日、全国選手権第18節バイーア戦での敗戦後、ヴァギネル・マンチーニ監督は解任。ヴァランダは監督に恩返しをすることができないままヴァギネル・マンチーニ監督はクラブを去った。
 後任にファビアン・ブストス(Fabián Bustos)監督が就任。監督の3試合目となる8月19日全国選手権第20節フルミネンセ戦に初起用でスタメンに抜擢されると、後半7分に右サイドライン際からのクロスで先制点のアシストを記録。
 8月27日全国選手権第21節サンパウロ戦では後半25分の途中出場から、一人選手が少ない状況の中、後半45分に勝ち越しゴールをマーク。最下位に苦しむチームに貴重な勝ち点3をもたらした。
 9月3日第22節サントス戦にて先発に抜擢されると前半29分に先制ゴール。残留を争う相手から勝点3を勝ち取る貴重なゴールとなった。
 試合に継続的に出ることで好調を継続し得点に関与するプレーも増え、ファビアン・ブストス監督の重要なピースとなったものの、9月25日の試合で左膝にケガを負い、残りのシーズンを棒に振る。

アメリカ・ミネイロ≫

– 2024 –

 2024年1月31日にコリンチャンスとの契約が満了、翌2月1日にアメリカ・ミネイロとの2026年末までの3年契約のもと完全移籍を果たす。
 2024年2月3日州選手権第3節にて4か月振りのピッチに立つと、自身3試合目の第5節クラシコとなるクルゼイロ戦にて後半37分にピッチに立つと、5分後の後半42分にチーム2点目のダメ押しゴールをマーク。2024年初ゴールを記録する。
 しかし、家庭問題や、金銭的な問題が相次いで起こり、3月9日の試合を最後にピッチを離れる。
 アメリカ・ミネイロは、ヴァランダの将来性を期待し、諸問題の解決に向け援助を模索する。

サンタ・クララ/POR(レンタル元:アメリカ・ミネイロ)≫

– 2024/25 –

 2024年7月5日、アメリカ・ミネイロはヴァランダのポルトガルリーグ1部サンタ・クララRへの期限付き移籍を発表。契約期限は2024/25年終了まで。
 ブラジルでの諸問題を忘れ、心機一転、新天地での活躍が期待される。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(18歳)コリンチャンスコパ・ド・ブラジル211500
州選手権846611
 合計1058111
サンベルナルドコパ・パウリスタ66900
 合計66900
2022年(19歳)シャペコエンセ全国選手権2部311200
 合計311200
2022/23年(20歳)アクリタス・クロラカス/CYPキプロスリーグ1059010
 合計1059010
2023年(20歳)アメリカ・ミネイロコパ・スウアメリカーナ833901
全国選手権1251221
コパ・ド・ブラジル14500
 合計2189622
2024年(21歳)アメリカ・ミネイロ州選手権722410
 合計722410
2024/25年(22歳)サンタ・クララ/POR
 合計
イタリック斜体は、2024年7月5日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 主なポジションは両サイドのウィング。
 アメリカ・ミネイロ入団時の発表記事(2023.03.07)によると、身長は181㎝。
 スピードが豊かで、ドリブルや、相手最終ライン裏への抜け出しから味方のパスを引き出し、ゴールライン際までボールを運ぶと、ゴール前へ精度の高いクロスやペナルティエリア入口へのマイナスのボールを供給。逆サイドからの攻撃では、ゴール前に絞り込む動きとゴール前の的確なポジショニングでゴールを狙う。
 プロ初ゴールは激しい雨の中、ディフェンダーを背負った状態でトラップ、そして、間合いを詰めるGKの頭を越すシュート。細身の体格ながら体幹の強さと、確かなシュート技術をうかがわせた。
 アメリカ・ミネイロでの初アシストとなったプレーでは、相手のマークが甘かったとはいえ、ゴール前の状況をしっかりと把握し、グラウンダーのクロスを選択してピンポイントでボールを供給。このアシストはプレー選択の的確さやクロスボールの精度の高さの産物だろう。

 2021年のプロデビュー年は、トップチームに抜擢してくれたヴァギネル・マンチーニ監督の下では活躍できたものの、監督交代後は出場機会を失い、期限付き移籍先のチームでは戦力になることができず契約期限を待たない契約終了が続いた。
 しかし、2022年8月から約3か月間のキプロスでの選手生活がプラスに働いたのか、2023年にアメリカ・ミネイロU-20チームで結果を残し、ヴァギネル・マンチーニ監督に呼ばれトップチームでプレー。監督交代後もファビアン・ブストス監督のもとで起用され、それに応えるかのように3試合で1得点1アシストの結果を残している。
 ファビアン・ブストス監督の下での3試合は、監督の戦術、試合の状況や展開を理解したプレーを見せており、単なる早熟ゆえに18歳でプロデビューを飾ったわけではないように思われる。

 コリンチャンスは、自クラブでプレーする選手だけでなく、期限付き移籍を利用し、将来の売却を想定し一定割合以上の選手保有権を持つ選手を多数抱えていた。しかし、その政策が財政を圧迫する要因の一つとなっていたこともあり、2021年途中からそれまでの方針を転換、将来の売却という不確実性を減らすため、自クラブで構想外となっている選手との契約を更新せず、契約選手数のスリム化を図っている。
 ヴァランダのコリンチャンスとの契約は2024年1月末まで。Web上では契約更新の記事が見当たらず、2024年1月に21歳でコリンチャンスを去ることが既定路線となっている。
 コリンチャンスのユニフォームを着てコリンチャンスの歴史を作るという父子の夢は一旦終わりを迎えるが、サッカー選手としての人生はまだまだ先は長い。
 コリンチャンスとの契約が終了する現実と向き合い、今後の所属先で成長を続け、自身の長所を生かしたプレーで活躍し、いつの日かコリンチャンスに帰ってきて夢の続きを追えばいい。それだけのポテンシャルはあるはずだ。

(2024年7月5日 追記)
 コリンチャンスとの契約は規定通り2024年1月31日に満了。
 期限付き移籍先のアメリカ・ミネイロと3年契約を締結したが、母が病気療養中、幼い子供もおり、貧しい家庭に生まれ育ったことから金銭的な問題も重なり、サッカーを続けられない状況に追い込まれた。
 しかし、各種問題の状況は不明だが、アメリカ・ミネイロの尽力により、2024/25年の一年間をサンタ・クララ/PORで機会を得た。日常のトラブルに悩まされない環境でサッカーに打ち込み、一年後にはアメリカ・ミネイロに帰還し、多くのゴールを見せてもらいたい。

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