【ブラジル全国選手権2023】第22節(1/2)

投稿者: | 2023年9月3日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第22節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/09/02 ゴイアス(GOI) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/09/02 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/09/02 ボタフォゴ(BOT) x フラメンゴ(FLA)
・2023/09/03 グレミオ(GRE) x クイアバ(CUI)
・2023/09/03 フルミネンセ(FLU) x フォルタレーザ(FOR)
以下の4試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第22節(2/2)
・2023/09/03 コリンチャンス(COR) x パウメイラス(PAL)
・2023/09/03 クルゼイロ(CRU) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/09/03 バイーア(BAH) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/09/03 アメリカ・ミネイロ(AME) x サントス(SAN)
以下の試合は順延。
・2023/09/27へ順延 サンパウロ(SAO) x コリチバ(CFC)

全国選手権第22節 試合概要

ゴイアス(GOI) 0-0 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=pZcXU6ePO_U
(GOI) : N/A
(INT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ゴイアスは全国選手権6勝6分9敗勝点24の15位。
   インテルナシオナウは全国選手権6勝7分8敗勝点25の14位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:36% 64% ⇒ 前後半:39% 61%
シュート(枠内): 前半:4‐6(2-2) ⇒ 前後半:9-11(2-2)
パス成功率: 前半:77% 89% ⇒ 前後半:76% 88%
   ゴイアスは、降格圏まで勝点差を4としており、ひとまずは安泰。勝点差1で一つ順位が上のインテルナシオナウ戦に、現状のベストメンバーで臨む。
   試合はほぼ想定通り、相手にボールを持たせ、自陣で中盤に入るボールに素早くマークに付き、こぼれたボールをカウンターに結びつける展開。
   前半18分、CBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)がボランチへ預けるボールをカットされ、その跳ね返りのボールの処理を誤り大きなピンチを迎えるがGKタデウ(Tadeu, 1992)が果敢に飛び出しピンチを脱する。
   前半37分にもCBルーカス・アウテルのクリアボールが真上に上がると、インテルナシオナウFWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)が縦回転のダイレクトボレー、綺麗なシュートだったが、再びGKタデウが立ちはだかるデフェザッサ。
   前半アディショナルタイムに入り、ゴイアスも左サイド、右サイドから相次いでカウンターからチャンスを迎えるが、FWジョアン・マギノ(João Magno, 1997)のシュートは間合いを詰めるインテルGKロチェ(Rochet, 1993)の阻まれ、右SBマギーニョ(Maguinho, 1992)のシュートはインテルGKロチェの正面を突く。
   前半の終盤以降、中盤の寄せが効果を発揮し、インテルに攻撃の形を作らせない。後半10分に3選手を交代し、やや攻撃な布陣に変更。さらに後半30分に中盤でボールを握れる2選手を投入し、一気に試合の流れを変えに行く。
   後半42分に左サイドライン際からFWアレソン(Alesson, 1999)がMFパラシオス(Palacios, 1999)とのタベーラでペナルティエリアに侵入し角度がないもののフリーでシュートを放つが、GKロチェの好守にゴールを奪えない。
   後半アディショナルタイムに入り、試合が荒れ、SBマギーニョとCBルーカス・アウテルがレッドカード。
   今節は難敵インテルナシオナウを相手に勝ち点1を獲得したが、次節は最終ラインの右2人を欠く厳しい状況を迎える。
   今節の結果、全国選手権は8試合負けなしとなったが、内訳は3勝5分。思うように勝ち点を積み重ねることは出来ず、残留争いを意識しなければならない状況が続く。
   その次戦は、9月15日に全国選手権第23節アウェイでのパウメイラス戦。

   インテルナシオナウは週中のリベルタドーレス準々決勝ボリバル戦2ndレグで、FWエネル・バレンシアの2得点、GKロチェのPKストップもあり、2-0で勝利を収め、準決勝に駒を進めた。
   中3日で迎えた今節は、ボリバル戦から一部の選手を入れ替えたスタメン。とは言え、ベストメンバーとそん色ない面々が並ぶ。
   試合は立ち上がりからボールを支配し、相次いでゴイアスゴールに迫る。しかし、ゴイアスGKタデウの好守もありゴールを奪えない。すると、次第に前への推進力を失っていき、ボール回しの中からボールロスト、カウンターを受ける場面が散見されるようになる。
   後半開始時に中盤と前線のつなぎ役を担うMFマウリシオ(Maurício, 2001)を投入。しかし、思うような効果は表れない。その後も後半23分、後半35分と2選手ずつ攻撃的なポジションで選手交代を行うが、膠着した状況を打開できず、0-0で試合終了。
   次戦は、9月13日に全国選手権第23節ホームにサンパウロを迎える。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 1-1 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=GVIroDKbgdM
(CAM) : 6' #9 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#38 ペドリーニョ(Pedrinho, 1998)]
(CAP) : 78' #9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)[]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権9勝6分6敗勝点33の7位。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権8勝6分7敗勝点30の9位。

得点シーン

(CAM)前半6分 :
相手陣ペナルティエリア付近の左サイドで、SBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)、MFペドリーニョ、FWパボンが、ポジションを替えながらリズムのいいパス回しでアトレチコ守備陣をかく乱し、最後はMFペドリーニョがゴール前にクロス。FWパウリーニョがマークをかわしヘディングシュート。
   FWパウリーニョは、9月に2試合が予定されているモロッコとのU-23代表国際親善試合に向けた代表に招集。前節8月27日サントス戦での2ゴールに続く2試合連続ゴール。これで今季45試合19得点6アシスト、全国選手権は20試合8得点で得点ランキングも3位タイまで浮上。
(CAP)後半33分 :
 相手陣に入った所から、VOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)、SBマジソン(Madson, 1992)、MFヴィトル・ブエーノ(Vitor Bueno, 1994)が交互にボールを繋ぐが、最後の縦のパスが合わずにペナルティエリア内に流れる。しかし、FWヴィトル・ホッキが上手くこのボールを拾いシュート。一旦はGKに阻まれるも、跳ね返りのボールを角度のない位置からゴールに流し込む。
   FWヴィトル・ホッキも、9月に2試合が予定されているモロッコとのU-23代表国際親善試合に向けた代表に招集。今節のゴールで代表での1試合、U-20南米ユース選手権での8試合6得点1アシストを除き、今季41試合19得点6アシスト、全国選手権は21試合11得点2アシストで得点ランキングトップまで2ゴール差の2位。バルセロナ/ESP移籍までにフル代表でのプレーを見てみたいが、10月と11月に予定されている南米予選各2試合でプレーするチャンスは訪れるだろうか。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:49% 51% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:7‐7(2-6) ⇒ 前後半:22-9(7-7)
パス成功率: 前半:86% 83% ⇒ 前後半:84% 80%
   アトレチコ・ミネイロ(ガーロ)が立ち上がりから左サイドを中心にアトレチコ・パラナエンセ(フラカォン)ゴールに迫る。
   前半1分にはSBギリェルミ・アラーナのゴール左上隅へのクロス性のシュート、前半5分にはFWパボンがペナルティエリア左入口から右足で巻き込むシュート。いずれも枠を捉えるが、フラカォンGKレオ・リンキ(Léo Linck, 2001)が好セーブ。しかし、ガーロの勢いをとどめることができず、前半6分、再度左サイドから守備網が崩し、ガーロが先制点を奪う。
   先制点を奪うと、ガーロは攻撃の手綱を緩め試合のリズムを落ち着かせる。次第にフラカォンがボールを持つ時間が長くなるが、ガーロの狙い通り、前半25分、またもや左サイドからカウンター、最後はFWパボンがシュートまで持ち込むが、GKレオ・リンキがまたもや両手でボールを弾き出す好セーブ。
   前半30分を迎えるころになり、フラカォンも反撃の糸口を掴む。MFヴィトル・ブエーノの右CKにCBチアゴ・エレーノ(Thiago Heleno, 1988)の強烈なヘディングシュート。ガーロGKエヴェルソン(Éverson, 1990)が横跳びでボールを弾き出す。なおもこぼれ球をフラカォンが拾うが、ガーロ守備陣は素早く寄せシュートに持ち込ませない。前半アディショナルタイムには右サイドからのクロスにVOLエリキ(Erick, 1997)がダイビングヘッド。しかし、これは僅かに枠を捉えない。
   後半開始時に、フラカォンはVOLアルトゥーロ・ビダルに代え司令塔タイプのMFブルーノ・サペリ(Bruno Zapelli, 2002)、高さのFWホムロ(Rômulo, 2002)に代えスピードのFWクエージョ(Cuello, 2000)を投入する。この交代によりフラカォンの攻撃はさらに厚みを増す。
   後半6分、左サイドからFWクエージョがクロス、SBマジソンがディフェンダーの前に体を入れGKの手前にボールを叩きつけるヘディングシュート。GKエヴェルソンは辛うじて跳ね返す。そのこぼれ球をMFブルーノ・サペリが押し込もうとするがガーロ守備陣が何とかクリア。後半11分にはゴール正面約20mの位置からのFKをMFヴィトル・ブエーノが強烈なシュートで直接ゴールを狙うが、GKエヴェルソンの指を触れたボールはクロスバーに当たり枠を越える。
   ガーロはボールの奪いどころを絞れず、カウンターを仕掛けることもできず、試合はフラカォンが支配、次々とチャンスを作り出す中、ガーロはGKエヴェルソンを中心に最終ラインが踏ん張り続ける。
   しかし、後半33分、フラカォンFWヴィトル・ホッキが同点弾。
   その後、フラカォンVOLフェルナンジーニョがボールを奪いに行った際に振り上げた腕がボール保持者の顔を直撃しイエローカード、その判定を不満に思いボールを蹴り上げ退場。残り時間は、数的有利に立ったガーロが、自陣に引き守備を固めるフラカォンのゴールに迫る。後半40分、左サイドからペナルティエリアに侵入したSBギリェルミ・アラーナがゴール右隅へ強烈なシュート。しかし、またもやGKレオ・リンキがデフェザッサ。その後はフラカォンがしっかりとゴール前を閉じ、時間を使い切り、1-1の引き分けで試合終了。
   両チーム勝ち点1を分け合った。

   アトレチコ・パラナエンセは、GKレオ・リンキが数々のシュートストップで試合を作る。アトレチコ・パラナエンセは近年、2020東京五輪の守護神サントス、2023年9月のW杯南米予選で招集を受けた(ケガのため辞退)ベント(Bento, 1999)。2023U-20W杯、U-20南米ユース選手権での守護神ミカエウ(Mycael, 2004)を輩出。GKレオ・リンキ自身も2020年にU-20代表の招集経歴もあるが、この試合はMOM級の活躍で一線級でも十分に通用する実力を示した。
   次戦は、9月13日に全国選手権第23節アウェイでのフラメンゴ戦。ウェズレイ・カルヴァーリョ(Wesley Carvalho)監督代行就任後にコパ・ド・ブラジルで2度対戦しているが、1stレグのカウンターからの先制点以降は、逆転を許した後も自陣ゴール前に押し込まれ続けた不甲斐ない試合で2連敗。ウルグアイ代表FWカノービオ(Canobbio, 1998)が出場停止明けで復帰が見込まれるものの、攻守の要VOLフェルナンジーニョが出場停止となるが、3度目の対戦で雪辱を果たすことができるだろうか。

   アトレチコ・ミネイロは、立ち上がりに猛攻を仕掛け先制を奪う理想的な展開。FWパウリーニョとFWフッキが適度な距離を保ち、左サイドにはMFペドリーニョがSBギリェルミ・アラーナとFWパボンとのつなぎ役として効果的に機能する。
   しかし一方で、カウンターの精度が一向に改善されない。それ以前に、守備が下がり過ぎ、効果的なカウンターを発動することも難しくなっている。この試合もゴール前に押し込まれる時間帯が続き、効果的なカウンターから追加点を発動できず、同点に追いつかれ勝ち点2を失った。
   次戦は、9月16日に全国選手権第23節ホームに首位ボタフォゴを迎える。FWフッキが前日に2リットルの点滴を打ち試合に出場したものの、後半に体調不良のため交代。その際にイエローカードを提示され、約2週間後に開催される次節は出場停止。CBジェメルソン(Jemerson, )も試合終了間際にイエローカードを受け、次節は出場停止。

ボタフォゴ(BOT) 1-2 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=nna5MPybgD8
(FLA) : 2' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(BOT) : 19' #7 ヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)[]
(FLA) : 73' #27 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)[#4 レオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1997)]

見どころ(試合前の順位)

   ボタフォゴは全国選手権16勝3分2敗勝点51の首位。
   フラメンゴは全国選手権10勝6分5敗勝点36の4位。

得点シーン

(FLA)前半2分 :
左サイドライン際でVOLジェルソン(Gerson, 1997)がボールを奪い、FWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)、FWペドロ(Pedro, 1997)と繋ぎ右ペナルティエリア手前に上がるSBウェズレイ(Wesley, 2003)に繋がる。SBウェズレイはボールを受けるとゴール前にグラウンダーのクロス。左サイドから斜めに駆け上がるFWブルーノ・エンヒキの手前でのディフェンダーのクリアは自軍ゴールネットを揺らす。
   右SBウェズレイは、フラメンゴ下部組織出身で2021年12月の全国選手権最終節で18歳にしてプロデビュー。今季はホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督の下、レギュラーの座を獲得。足元の技術が高く、高い位置をキープして攻撃に参加する攻撃的なサイドバック。2023年1月にはバルセロナ/ESPへの期限付き移籍が提示されるもクラブが金銭的な理由で拒否。2023/24シーズン前の欧州移籍ウィンドウでは、ベンフィカ/PORが強い関心を寄せているという報道が流れたが、正式なオファーには至らなかった模様。
(BOT)前半19分 :
左サイド深い位置でのスローイン。ペナルティエリア近辺でVOLガブリエウ・ピーレスがボールを受け、ゴール前にボールを送る。混戦の中ボールがこぼれると、FWヴィクトル・サーが拾い、ドリブルでポジションを替え、ディフェンダーをゴール正面からシュート。これがゴールネットに突き刺さる。
   FWヴィクトル・サーは、2022年のルイス・カストロ(Luís Castro)監督政権下でボタフォゴに加入した今季のチームを支える選手の一人。ブルーノ・ラージェ(Bruno Lage)監督就任後は、先発に定着し8試合で2得点3アシスト。今季は41試合7得点6アシスト、全国選手権に限れば18試合3得点3アシストを記録。スピードが豊かで守備での貢献も高い。
(FLA)後半28分 :
右サイドからの戻りのボールをセンターサークル内で受けたCBレオ・ペレイラが左サイドライン際のFWブルーノ・エンヒキへグラウンダーの鋭いパス。これを受けたFWブルーノ・エンヒキはペナルティエリアに向かいドリブルを開始し、ディフェンダーのマークをかわし右足を一閃。ボールはゴール右上隅に決まる。
   FWブルーノ・エンヒキは、2022年6月、試合中に膝へ手術を要する大ケガを負い戦列を離脱。2023年4月全国選手権開幕節で復帰を果たすが途中交代出場が続く。7月22日の全国選手権第16節での先発起用以降、先発の座を奪回。この試合では、左サイドで圧倒的なスピードとボールキープ力で優位に立ち、確かなシュート技術で勝ち越しゴールをマーク。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:15-12(7-4)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:81% 86%
   高い位置でボールを奪いに行くフラメンゴが、前半2分に左サイドでの密集からボールを右サイドに送り、折り返しのクロスがディフェンダーのオウンゴールを誘い先制点を奪う。
   ボタフォゴもすかさずボールを保持し、分厚い攻撃でフラメンゴゴールに迫り、早くも前半19分に追いつく。
   その後、フラメンゴは左サイドのFWブルーノ・エンヒキの前方へボールを送り、FWブルーノ・エンヒキのスピードを生かしたゴール前へのクロスやゴールライン際からのマイナスのボールでチャンスをうかがう。
   一方のボタフォゴは、左右両サイドや中央での縦の楔のパスを使ってFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)にボールを当て、チャンスを作り出していく。しかし、この試合はボールの出し手と受け手のタイミングがずれる場面が多く、決定的な場面は訪れない。
   均衡した状態で前半を終える。
   後半12分、ボタフォゴはケガ明けのFWチキーニョ・ソアレスを含め3選手を交代。しかし、選手間のずれは補正されない。
   フラメンゴも後半23分にMFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)を投入し中盤での落ち着きを探る。
   すると、前半から多くのチャンスを作り出したFWブルーノ・エンヒキが個人技から自らのシュートでゴールネットを揺らし、フラメンゴが再びリード。リードを奪うとフラメンゴは守備的な選手を次々と投入し、ボタフォゴの猛攻を最後までしのぎ切り、2-1の勝利。ホームでの敗戦の雪辱を果たし、今季ホームで無敗のボタフォゴに土をつけることに成功した。

   ボタフォゴは、前節バイーア戦に続き、これまで出場機会に恵まれていない右SBJPガウヴォン(J.P.Galvão, 2001)とVOLガブリエウ・ピーレス(Gabriel Pires, 1993)、途中出場が多いMFマチアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)を先発に起用。8月6日第18節の試合中にケガを負ったFWチキーニョ・ソアレスもまた約1か月ぶりに先発に名前を連ねた。
   試合開始直後の失点は、ゲームプランに大きな影響もなく前半の半ばには追いついたものの、前述のとおり、この試合では選手間のパスのタイミングが合わず、オフサイドやスピードに乗って駆け上がる選手が後ろに戻ってボールを受ける場面が散見され、また、マイボールを失うことも多く、なかなか試合の流れを掴むことができない。
   後半28分に再びリードを許すと、最後まで攻撃のリズムを取り戻すことができず、ホームのミウトン・サントスで初黒星。前節は機能した布陣が今節では機能せず。次節はどのような布陣で試合に臨むのか気になるところ。
   次戦は、全国選手権第23節、9月16日にアウェイでのアトレチコ・ミネイロ戦が予定されている。

   フラメンゴは、終始、左サイドのFWブルーノ・エンヒキが相手最終ラインの裏を狙う形で攻撃を牽引したものの、この試合でもゴール前で相手守備を崩すようなプレーは見られず、個人の力による得点で勝利をものにしたが、この傾向はいつまで経っても変わらない。
   監督の強い要請で7月に獲得した3選手は、VOLアラン(Allan, 1997)は今節は先発したものの途中出場が多く、MFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)も11試合300分の出場にとどまるなど、監督の構想に合った活躍は出来ておらず、GKロッシ(Rossi, 1995)に至ってはいまだ試合出場の機会も与えられていない。
   何度目の同じ所感になるかわからないが、昨年のカップ戦二大会を制覇したフラメンゴの強さが印象深かっただけに、今年の試合ぶりは、最低限の成績は残しているものの、喪失感しか感じられない。
   次戦は、9月13日に全国選手権第23節ホームにアトレチコ・パラナエンセを迎える。

グレミオ(GRE) 2-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Y_LySqfDBpw
(GRE) : 30' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)[#23 ペペ(Pepê, 1998)]
(GRE) : 63' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(CUI) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権11勝3分6敗勝点36の3位。
   クイアバは全国選手権8勝4分9敗勝点28の10位。

得点シーン

(GRE)前半30分 :
相手陣左サイドでのパス交換。カットされたボールはFWルイス・スアレスの足元に流れ、FWルイス・スアレスは左サイドライン際のMFペペにボールを送り自らはペナルティエリアに侵入。MFペペからの戻りのボールを受けるとそのままシュート。ゴールネットを揺らす。
   FWルイス・スアレスは2節連続ゴールで3節で2得点2アシストの活躍。今季38試合18得点11アシスト、うち全国選手権は17試合6得点5アシスト。
   MFペペは前節での得点に続き、今節はアシスト。3月以降相次ぐケガに悩まされるが、この試合は8月13日の復帰以来5試合目。徐々に調子を上げてきている。
(GRE)後半18分 :
相手陣左サイドライン際からFWフェヘイラ(Ferreira, 1997)がボールを中央に運ぶ。そこから、後ろ(FWルイス・スアレス)→縦(SBヘイナウド(Reinaldo, 1989))→右(FWフェヘイラ)→縦(SBヘイナウド)とワンタッチでボールを繋ぎ、最後はゴールライン手前に抜け出したSBヘイナウドがゴール前にクロス。FWガウジーノ(Galdino, 1997)が頭に合わせたボールは、GKヴァウテル(Walter, 1987)が弾き返すが、このボールがディフェンダーに当たりオウンゴールとなる。
   SBヘイナウドは5年間レギュラーとして活躍したサンパウロから2023年シーズン前にグレミオに加入。グレミオでも左SBのポジションを確保。攻守にバランスの取れた左足利きのサイドバック、中盤も高いレベルでこなす。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:10-16(5-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 87%
   グレミオは、U-23代表に選出されたGKガブリエウ・グランド(Gabriel Grando, 2000)が警告累積のため出場停止、8月初めにイピランガRSから獲得したGKカイーキ(Caíque, 1997)がグレミオでのデビュー戦を迎える。ケガや出場停止のため、無失点に終えた前節から最終ラインで2選手を変更したスターティングイレブン。4バックの布陣。
   前半立ち上がりに中盤のパスミスからボールを奪われクイアバにゴールに迫られるが、初出場のGKカイーキが強烈なシュートを片手で防ぐ。このピンチを凌ぐと、グレミオはボールを支配、リズムのいいパス回しで試合の主導権を握っていく。
   前半11分、右サイドからのクロスに左サイドでフリーとなったFWルイス・スアレスがダイレクトボレー。ボールは枠を捉えない。前半15分、再び右サイドから中央に送られたボールにMFクリスタウド(Cristaldo, 1996)がダイレクトに右足を振り抜くがGK正面を突く。
   相次いでクイアバゴールに迫ると、前半30分、FWルイス・スアレスが角度のない位置からのシュートをしっかりと決め切る。
   後半も立ち上がりはクイアバに攻め込まれる。しかし、ピンチを切り抜けた後半18分、左サイドからの崩しでゴール前に上げた相手のオウンゴールを誘発し追加点。後半20分には、FWルイス・スアレスが中央をライン裏に抜け出し、スルーパスを受け、シャペウでディフェンダーをかわしシュート。これはGKの正面を突くが、2点差としてもグレミオの守備は引きすぎることなく、高い位置でボールを奪いかカウンターから追加点を奪いに行く。
   FWルイス・スアレスは自らのゴール以外にも、多くのシュートチャンスに直接的に関与する活躍。オフザボールでもディフェンダーの視界から消える動きや、ディフェンダーを引き出す動きなど、圧巻の90分を披露した。
   ホームで2-0の勝利を収めたグレミオは勝ち点を39に伸ばし3位をキープ。
   次戦は、9月14日に全国選手権第23節アウェイでのRBブラガンチーノ戦。1度目の対戦は第4節に雨中の試合、逆転に次ぐ逆転で3-3の引き分けに終えた。あれから両チームは戦術的にも連係面でも大きく成長しており、好ゲームが期待される。

   クイアバは、最近の3試合をいずれも0-2のスコアで3連敗。この試合では、中盤から前線を大幅に入れ替え、身長187㎝のFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)に並べ、新加入で身長188㎝のFWルーカス・ミネイロ(Lucas Mineiro, 1996)を初先発に起用。得点力不足の打開を図る。
   前半の立ち上がりは、グレミオの速い寄せを掻い潜り、左サイドから相手ゴールに迫る。前半9分にSBヒケウミ(Rikelme, 2003)が自陣でのパスカットから、タベーラで相手陣に抜け出し左足で強烈なシュート。これはGKカイーキの好セーブに阻まれる。
   しかし、この時間帯を過ぎると、中盤のグレミオの寄せに攻撃の形を作れず、次第にボールを失うようになり、自陣でボールを支配されるようになる。すると、前半30分に失点。
   後半立ち上がりに左サイドから反撃。サイドライン際からSBヒケウミが起点となりボールを展開、最後はゴールライン手前からSBヒケウミがゴール前にマイナス気味のクロス。FWデイヴェルソンが巧みなポジショニングでマークをかわし、クロスボールに足を合わせるがボールは僅かにゴール左に外れる。
   この好機を逃すと、前半同様、グレミオに主導権を握られ、後半18分に失点。中盤、前線の選手交代で、中盤の劣勢を挽回し、前線の高さを利用したサイド攻撃で打開を図るが、グレミオ守備陣を崩すことができず、反対に中盤でのボールロストからたびたびカウンターのピンチを招く。
   先発、選手交代を通じて中盤、前線に様々な組み合わせを試すが、最後まで状況を打開することができず、この試合も0-2の敗戦。4試合連続無得点に終わった。
   次戦は、9月15日に全国選手権第23節、ホームにアメリカ・ミネイロを迎える。中11日の期間を有効に使い、攻撃面での再構築を進めたい。

フルミネンセ(FLU) 1-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=m0SfHf3hqiE
(FLU) : 90+2' #16 ジオゴ・バルボーザ(Diogo Barbosa, 1992)[]
(FOR) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   フルミネンセは全国選手権10勝5分6敗勝点36の5位。
   フォルタレーザは全国選手権9勝5分7敗勝点32の8位。

得点シーン

(FLU)後半45+2分 :
相手陣でコンパクトに配列された相手ラインの外からVOLマルチネリ(Martinelli, 2001)がゴールエリア右に侵入を図るMFリマ(Lima, 1996)へのパスを通す。MFリマはゴールライン際からクロス。ディフェンダーのブロックにボールはペナルティエリア入口に跳ね返されるが、このボールを左SBジオゴ・バルボーザがダイレクトに利き足とは異なる右足を合わせるとボールはゴール右隅に決まる。
   SBジオゴ・バルボーザは、2023年7月にグレミオから加入。SBマルセロが出場停止となったリベルタドーレス準々決勝オリンピア戦の2試合で堅実なプレーでチームの準決勝進出に貢献、この試合ではスタメンに抜擢された。このゴールはフルミネンセでの初ゴール。後半アディショナルタイムでの勝ち点3をもたらす貴重なゴールとなった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:64% 36% ⇒ 前後半:61% 39%
シュート(枠内): 前半:4‐7(2-2) ⇒ 前後半:13-19(5-5)
パス成功率: 前半:87% 77% ⇒ 前後半:87% 76%
   フルミネンセは、最近の9試合をリベルタドーレスが3勝1分で準決勝進出を決め、全国選手権は3勝1分1敗で5位まで順位を上げてきた。週中のリベルタドーレスは3-1の完勝。今節はその時と2選手を入れ替えたのみのほぼベストメンバー。VOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)がケガ明け初の先発起用。
   一方のフォルタレーザも、最近の5試合を5連勝。コパ・スウアメリカーナは準々決勝アメリカ・ミネイロ戦を連勝、全国選手権は3連勝とこちらも調子を上げてきた。週中のコパ・スウアメリカーナは1stレグで2点差のアドヴァンテージもあり一部の主力を温存。一方で、好調の攻撃陣を最近6試合3得点1アシストで牽引したFWマリーニョ(Marinho, 1990)が出場停止。攻撃に若干の不安が残る。
   試合は、ボールを保持して組織的に攻めるフルミネンセに対し、組織的な守備でボール奪取後の素早いカウンターで相手ゴールに迫る展開。
   フルミネンセは、コンパクトなフォルタレーザの守備網に対し、いつもより遠めの選手間の距離で前後左右にボールを繋ぐ。一時期は崩すことに重きが置かれすぎたきらいがあったが、この試合では、FW、MF陣が積極的にシュートを放つ。
   しかし、得点の匂いがするのはフォルタレーザ。前半15分のFWルセロ(Lucero, 1991)のシュートは枠を捉えるが、フルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)が片手で弾き出し、前半34分にはVOLゼ・ウェリソン(Zé Welison, 1995)が相手陣でボールを奪いそのまま強烈なシュートを放つが、ボールは僅かにゴール左に外れる。
   一方のフルミネンセもたびたびゴールを狙うが、オフサイドやシュートがGKの正面を突くなど、ボール支配率に反し、フォルタレーザが多くの好機を迎えて前半を終える。
   フォルタレーザは後半3分、ペナルティエリア内右からMFヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)がマイナスのボールをダイレクトに合わせるが、GKファビオが好セーブ。さらには後半9分、右ショートコーナーからの至近距離のシュートをGKファビオが弾き出す。後半34分にもペナルティエリア手前からのFWマチューカ(Machuca, 2000)の強烈なグラウンダーのシュートをまたもやGKファビオが弾き出す。
   フルミネンセも相手陣でボールを回しながらチャンスをうかがうものの、決定的な場面を作ることができず時間が経過する。しかし、後半アディショナルタイム、VOLマルチネリのフォルタレーザのコンパクトなスリーラインをまたぐパスを起点にSBジオゴ・バルボーザがゴール。GKファビオの好守と、VOLマルチネリの視野の広さと正確なパスで、フルミネンセが勝利を手に入れた。

   フルミネンセは、組織的に守り鋭いカウンターを繰り出すフォルタレーザを相手に、貴重な勝ち点3を獲得し5位をキープ。今季の残りはリベルタドーレスに重点を置くことになるが、全国選手権も来季のリベルタドーレス出場圏の6位以内をキープしたい。
   次戦は、9月16日に全国選手権第23節アウェイでのクラシコ、ヴァスコ・ダ・ガマ戦が予定されている。

   フォルタレーザは、組織的な守備が安定し、カウンターから相手を上回るチャンスを迎えるが、相手GKファビオの壁を崩せず、公式戦の連勝は「5」でストップ。好調のFWマリーニョの不在が影響したか。
   順位は8位と変動はなかったものの、6位までとの勝点差は4に広がった。攻撃的なフルミネンセを相手に守備面は機能しただけに、次戦では攻撃面の精度を高め、再び連勝街道を走りたい。
   次戦は、9月14日に全国選手権第23節、ホームにコリンチャンスを迎える。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です