【ブラジル全国選手権2023】第22節(2/2)

投稿者: | 2023年9月3日

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全国選手権第22節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第22節(1/2)
・2023/09/02 ゴイアス(GOI) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/09/02 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/09/02 ボタフォゴ(BOT) x フラメンゴ(FLA)
・2023/09/03 グレミオ(GRE) x クイアバ(CUI)
・2023/09/03 フルミネンセ(FLU) x フォルタレーザ(FOR)
以下の4試合の概要はこの記事で。
・2023/09/03 コリンチャンス(COR) x パウメイラス(PAL)
・2023/09/03 クルゼイロ(CRU) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/09/03 バイーア(BAH) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/09/03 アメリカ・ミネイロ(AME) x サントス(SAN)
・2023/09/27へ順延 サンパウロ(SAO) x コリチバ(CFC)

全国選手権第22節 試合概要

コリンチャンス(COR) 0-0 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=lHj508Eflsc
(COR) : N/A
(PAL) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   コリンチャンスは全国選手権6勝7分7敗勝点25の13位。
   パウメイラスは全国選手権11勝7分3敗勝点40の2位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:45% 55% ⇒ 前後半:45% 55%
シュート(枠内): 前半:3‐9(1-3) ⇒ 前後半:6-18(2-4)
パス成功率: 前半:85% 85% ⇒ 前後半:87% 85%
   週中のアウェイで行われたコパ・スウアメリカーナ準々決勝エストゥジアンテス/ARGとの2ndレグは、試合開始1分にゴールを許し、2試合合計で1-1の同点に持ち込まれ、その後も計30本のシュートを浴びたものの、4度に渡りゴールポストに助けられるなど最後まで守り切り、PK戦に突入。PK戦でも2度に渡りゴールポストに助けられ準決勝に駒を進めたコリンチャンス。
   中4日で迎えた今節は、先発を2人変更。守備ラインはノッティンガム・フォレストへ移籍した左CBにルーカス・ヴェリッシモ(Lucas Veríssimo, 1995)が定着、右SBにはCBが本職のブルース・メンデス(Bruno Méndez, 1999)が入る守備的な布陣。
   一方のパウメイラス、週中のリベルタドーレス準々決勝デポルティーボ・ペレイラ戦2ndレグでは、1stレグで4-0のリードを奪ったこともあり、スリーバックでCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)がリベロを務めるような陣形を試した。
   今節は、リベルタドーレス準々決勝1stレグに続き、右サイドにSBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)とSBマイキ(Mayke, 1992)を縦に配置した布陣を採用する。
   試合は戦前の通り、パウメイラスがボールを握り、コリンチャンスがカウンターのチャンスをうかがう展開。
   パウメイラスは右サイドで優位に立つものの、コリンチャンスもCBルーカス・ヴェリッシモ、VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)が左SBファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)のサポートに入り、ピンチを事前に防いでいく。
   コリンチャンスはFWユーリ・アウベルトがカウンターを牽引、FWウェズレイ(Weslay, 2005)も左サイドから個人技でゴールに迫ろうとするが、簡単にはシュートに持ち込むことができない。
   前半45分、コリンチャンスは自陣で相手のパスをカットする形でボールを前線に送ると、抜け出したFWユーリ・アウベルトがゴールに向かいドリブル。カバーリングに入るディフェンダーを引き寄せ中央へパスを送ると、後方から駆け上がったVOLマイコン(Maycon, 1997)がGKと一対一の形となりダイレクトに足を合わせる。しかし、パウメイラスGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)が膝でシュートをブロック。コリンチャンスは先制の大きなチャンスをふいにする。
   後半も前半と同様の展開。パウメイラスが攻めあぐねる中、後半19分、FWユーリ・アウベルトがカウンターからディフェンダーを振り切りシュートに持ち込むがGKウェヴェルトンが落ち着いて処理。パウメイラスも、後半31分にVOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)、後半34分にFWアルトゥール(Artur, 1998)が相次いでミドルシュートを狙うが、僅かにゴールを捉えない。
   後半45+3分、パウメイラスはFWエンドリッキ(Endrick, 2006)が自陣でボールを奪い約50mのドリブル、ゴールエリア手前左のMFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)を経て、ゴールエリア手前右からFWブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)がフリーでシュート。しかし、コリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)が決死のシュートストップ。
   前後半終了間際に両チームGKが奇跡的なシュートストップを見せた試合はスコアレスのまま終了。両チーム勝ち点1を分け合う結果に終えた。

   コリンチャンスは、2005年生まれのFWウェズレイ、VOLモスカルドを先発に起用、長期離脱から復帰を果たしたMFガブリエウ・モスキート(Gustavo Mosquito, 1997)やMFフアン・オリヴェイラ(Ruan Oliveira, 2000)を交代枠として起用するなど、今後を見据え、選手層の厚みを促し、選手のモチヴェーションを維持する選手起用。戦術的には守備的で面白みに欠けるが、準決勝進出を決めたコパ・スウアメリカーナでその果実を摘み取ることができるだろうか。
   次戦は、9月14日全国選手権第23節、アウェイでのフォルタレーザ戦。

   パウメイラスは、主力FWドゥドゥ(Dudu, 1992)が膝の大ケガで今季の出場が絶望となる中、攻撃のオプションを探る試合が続く。今節は右サイドにSBを縦に並べるが、ゴールライン際までボールを持ち込めず、攻撃の厚みに欠けた印象。週中のリベルタドーレスでは前線に高さのあるFWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)を起用したが、機能した言い切れない内容でしばらくは試行錯誤が続きそうだ。
   一方で、後半41分に交代でピッチに立ったFWエンドリッキが自陣でのボール奪取からスピードのあるドリブルでチャンスを創出。これまでは十分な結果を残せていないが、FWドゥドゥの不在をチャンスに変えポジションに定着したい。
   パウメイラスは、コリンチャンスと異なり出場機会を得る選手が固定化されつつある状況にある。近年の成績から、すべてのタイトルを目指し、少なくとも一つは獲得することが至上命題となる中仕方のない一面もあるが、ブラジル屈指の下部組織が機能しているだけに少し残念に思われる。FWガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)やVOLダニーロ(Danilo, 2001)を欧州に送り出してきた育成スタッフやアベウ・フェヘイラ監督の若手育成の手腕は今後も発揮してもらいたいと切に願う。
   次戦は、9月15日に全国選手権第23節、ホームにゴイアスを迎える。

クルゼイロ(CRU) 0-0 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=gz4Ycl0_FwY
(CRU) : N/A
(BRR) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クルゼイロは全国選手権6勝7分8敗勝点25の12位。
   RBブラガンチーノは全国選手権9勝8分4敗勝点35の6位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:48% 52% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:7‐7(2-1) ⇒ 前後半:14-12(4-5)
パス成功率: 前半:72% 76% ⇒ 前後半:72% 75%
   クルゼイロは、前節グレミオ戦での0-3の敗戦で7試合未勝利となり、翌日にペパ(Pepa)監督を解任。今節はフェルナンド・セアブラ(Fernando Seabra)U-20監督が指揮を執る。
   先発メンバーは前節から2選手が交代、FWウェズレイ(Wesley, 1999)と右SBパラシオス(Palacios, 1993)がベンチスタートとなり、FWブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)と右SBウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)が復帰復帰を果たした。
   RBブラガンチーノは、8月10日のコパ・スウアメリカーナでアメリカ・ミネイロに準決勝進出を断たれると、全国選手権は残留争いに巻き込まれているヴァスコ・ダ・ガマと引き分け、バイーアに0-4の完敗を喫するなど、3試合を1勝1分1敗。順位は6位とは言え、試合ごとに好不調の波が大きく不安定な試合が続く。
   今節の先発メンバーは、2-0で勝利を収めた前節クイアバ戦から4選手を変更しクルゼイロ戦に臨む。
   試合は開始3分、クルゼイロは先発復帰の右SBウィリアンがゴール前にクロス、FWハファエウ・エリアス(Rafael Elias, 1999)のヘディングシュートは僅かにゴール左に外れる。
   前半20分、今度はRBブラガンチーノSBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)がペナルティエリア内から強烈なシュート。これはクルゼイロGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)が片手で何とか弾き出す。
   お互いに相手ゴールに迫る機会は限られ、前拮抗した展開の中、前半を終える
   後半に入り、クルゼイロは相手にボールを持たせ、ボール奪取から効率的に相手ゴールに迫る。一方のRBブラガンチーノはボールを回しながらも、効果的に前線にボールを運ぶことができない。
   後半22分、クルゼイロは右サイドライン際からFWブルーノ・ホドリゲスが前線から下りてきたFWハファエウ・エリアスへボールを送り、後方からFWハファエウ・エリアスを追い抜いたVOLマシャード(Machado, 1996)がFWハファエウ・エリアスからのボールを受けシュート。このシュートはゴールポストを直撃。ゴールは生まれない。
   後半36分、RBブラガンチーノは左サイドを縦にボールを繋ぎ、最後はSBルアン・カンジドが角度のない位置からシュートを放つが、GKハファエウ・カブラウがきっちりとコースを塞ぎゴールを許さない。
   アディショナルタイムに両チームともサイドからの抜け出しでシュートに持ち込むが、守備陣がシュートブロックやシュートコースを限定するディフェンスで事なきを終え、試合は0-0のスコアレスドロー。両チーム勝ち点1を分け合った。

   クルゼイロは、この引き分けで7月8日全国選手権第14節ヴァスコ・ダ・ガマ戦での1-0の勝利以来2か月間勝ち星なしとなった。特に最近の5試合は僅かに1得点。最近の試合では、守備の再構築に重点を置き一定の成果は出ているが、いい守備がいい形で攻撃面に繋がっていない。
   しかし、この試合での後半22分、センターフォワードのハファエウ・エリアスが下がり、VOLマシャードがFWを追い抜き放ったシュートは、これまでサイド攻撃が中心で行き詰まり気味だった攻撃に新しいオプションになったように感じられた。
   国際Aマッチデーによる小休止期間を利用し、この辺りの連係を強化し、監督は交代したものの全国選手権序盤で披露した美しいサッカーを取り戻してもらいたい。
   次戦は、9月14日にアウェイでの全国選手権第23節サントス戦が予定されている。

   RBブラガンチーノは、相手に関わらず自分たちのサッカーをするのみ。の姿勢を貫いたものの、今節は無得点で引き分け。太もものケガでFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)を欠く8月14日以降は、下位チームとの対戦で4試合を1勝2分1敗、無得点試合が2試合、チーム全体として決定力に欠く内容が続いている。
   長期離脱明けのCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)やSBルアン・カンジドが復帰し、チーム状態は安定するかと思われたが、ケガ人の出入りが激しく、常時10人近い選手がケガで試合に関与できない状態。今季は州選手権やコパ・ド・ブラジルを早期に敗退、全国選手権での成績から期待が高かったコパ・スウアメリカーナも準々決勝でアメリカ・ミネイロに敗退するなど、満足のいく結果が得られていない。残された全国選手権でリベルタドーレス出場圏内の6位以上を確保するためには、下位チームから勝ち点を失わないことがポイントと思われるが、そのためにも安定した試合運びを見せる試合巧者ぶりも戦い方の一つのオプションとして用意したいところ。
   次戦は、全国選手権第23節、9月14日にグレミオをホームに迎える。

バイーア(BAH) 1-1 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hehQTravoXM
(BAH) : 45' #7 アデミール(Ademir, 1995)[#9 エヴェラウド(Everaldo, 1994)]
(VAS) : 63' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   バイーアは全国選手権5勝6分10敗勝点21の16位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権4勝4分12敗勝点16の18位。

得点シーン

(BAH)前半45分 :
VOLヘゼンジ(Rezende, 1995)が左サイドライン際のSBカミーロ・カンジド(Camilo Cándido, 1995)とのタベーラでゴールライン際までボールを運ぶ。ゴール前に鋭いクロス。ニアサイドでFWエヴェラウドがコースを変えると、FWアデミールがボールをゴールに押し込む。
   FWアデミールは全国選手権開幕前の2023年4月1日にアトレチコ・ミネイロからバイーアに加入。加入後はポジションを獲得し、全国選手権19試合(うち先発14試合)、コパ・ド・ブラジル6試合(うち先発2試合)に出場。持ち前のスピードを生かした相手陣深くへの攻め上がりを得意とし、守備への貢献度も高い。
(VAS)後半18分 :
MFマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)が後方からのボールをうまく捌き、ディフェンダーをかわしてドリブルでペナルティエリアに侵入。再びディフェンダーと対峙するが、縦にボールを運ぼうとする際にディフェンダーに倒されPKを獲得。このPKをFWベヘッチ(Veretti, 1998)がGKの逆を突くゴール左隅に決める。
   MFマルロン・ゴメスは、9月のU-23親善試合に向けたU-23代表に招集。この試合は後半開始時に交代出場。左サイドの高い位置でプレーし、ボールタッチも多く、チームの攻撃を幅を広げる活躍。
   FWベヘッチは、加入後5試合で3点目。アシストの記録はつかなかったものの、他にも1得点に関与しており、ヴァスコ・ダ・ガマの降格圏脱出に向け鍵を握る選手の一人。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:4‐2(2-0) ⇒ 前後半:10-5(3-1)
パス成功率: 前半:85% 77% ⇒ 前後半:81% 79%
   降格圏17位サントスと同勝ち点で16位のバイーアと、降格圏18位のヴァスコ・ダ・ガマとの一戦。両チームとも直近の4試合で2勝を収めており、このまま勢いに乗り、残留争いから抜け出すためにも勝ち点3が是が非でも欲しい試合。
   バイーアは、最近の4試合で公式記録として2得点2アシスト、他のゴールにも関与したMFカウリー(Cauly, 1995)が前節ボタフォゴ戦後半5分に負傷退場。試合後の検査の結果、復帰まで3~4週間要するケガと診断された。今節はカウリーに代わり、7月末にアトレチコ・パラナエンセから完全移籍で獲得したMFレオ・シタジーニ(Léo Cittadini, 1994)を先発に起用。FWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が3試合ぶりに先発に復帰した。
   一方のヴァスコ・ダ・ガマは、最近の4試合でわずか2失点。チリ代表VOLメデル(Medel, 1987)を最終ラインに入れ、CBを本職とするホビソン・バンブー(Robson Bambu, 1997)を右サイドバック、VOLゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1999)を中盤の底に配置する布陣が功を奏した。しかし、今節はVOLゼ・ガブリエウが累積警告により出場停止。メデルを一列上げ本職のボランチで起用し、センターバックにはベテランのマイコン(Maicon、1988)と出場停止明けのレオ(Léo, 1996)が入った。
   試合は、バイーアがボールを支配、ヴァスコがボールを握る場面も相手陣でプレスを仕掛け、前半を通じて多くの時間をヴァスコ陣で展開する。一方のヴァスコは4-5-1の堅固な守備網で対応。
   バイーアは、前半9分に相手陣でのボール奪取から素早く前線にボールを送りチャンスを作り出すが、2度に渡るシュートはディフェンダーがシュートブロック。一方、ボール回しからはなかなかシュートまで持ち込むことができない。
   前半44分、バイーアはプリメイロVOLヘゼンジが攻撃参加からゴールライン際までボールを持ち運びクロス。このチャンスをFWアデミールが見逃さず、先制点を奪って前半を折り返す。
   後半に入り、1点のリードを許したヴァスコ・ダ・ガマが動く。8月中旬に獲得しクラブデビューとなる元フランス代表FWディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)とパラグアイ代表FWセバスチャン・フェヘイラ(Sebastián Ferreira, 1998)、VOLマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)を攻撃的な位置に投入。試合の流れを変えに行く。
   VOLマルロン・ゴメスは高い位置で多くのボールタッチからたびたびチャンスを創出。後半18分には、個人技でボールをペナルティエリア内に運び、ドリブルの仕掛けで相手のファールを誘いPKを獲得。元アルゼンチンリーグ得点王ベヘッチがこれを決めヴァスコが同点に追いつく。
   後半23分、バイーアは右ショートコーナーからのクロスボールが流れたところをCBカヌー(Kanu, 1997)が足を合わせるが枠を越え、後半33分には右CKにVOLヘゼンジがニアサイドで頭を合わせるが、ワンバウンドの難しいボールをGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が両手で弾き出す。
   一方のヴァスコも後半38分、相手ペナルティエリア付近でFWセバスチャン・フェヘイラがボールを奪い、FWディミトリ・パイェを経たボールをVOLジャイールがフリーの態勢でシュートに持ち込むが、ボールはゴール枠を捉えない。
   後半45+5分にはバイーアがカウンターで5対3の状況に持ち込むが、ラストパスのタイミングが合わずオフサイドとなり、決定的なチャンスが潰える。
   後半終了間際に互いに決定的なシーンをふいにした両チームは、残留争いに向けた勝ち点3も同時にふいにし、勝ち点1を痛み分ける結果に。

   バイーアは、MFカウリーの不在が響いた形で、前半の押し気味の展開で1点しか奪えず。MFレオ・シタジーニがMFカウリーに代わり起用されたが、それまで60分の出場。前節後の一週間のトレーニングでは堅固なヴァスコ・ダ・ガマ守備網を崩すまで連係を高めることができなかった。しかし、今節は引き分けに終わったものの悲観するような内容ではなく、国際Aマッチデーによる小休止期間でゴール前でのアイディアを含め連係の深化を図り、現在の勢いを加速して全国選手権に戻りたい。
   次戦は、9月14日に全国選手権第23節、再び降格圏に低迷するコリチバとアウェイでの一戦が予定されている。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、相手が16位で残留争いに加わるバイーアだっただけに勝ち点3が欲しかったところだが、守備面ではこの試合も1失点に抑え、アウェイで最低限の結果を残した。
   攻撃面では、後半開始時に投入した3選手が機能。前半で役目を終えたFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)とFWセルジーニョ(Serginho, 1995)も本人たちにとっては不本意かもしれないが守備面で大きく貢献した。
   FWベヘッチも自身5試合目の出場で3点目を記録。
   守備の再構築で一定の成果を残したラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督だが、今後は攻撃面をどのように構築していくだろうか。
   次戦は、9月16日に全国選手権第23節、クラシコとなるフルミネンセとの一戦がホームで予定されている。

アメリカ・ミネイロ(AME) 2-0 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=_zaVpuPh0MI
(AME) : 29' #65 ヴァランダ(Varanda, 2003)[#11 アゼヴェド(Azevedo, 1987]
(AME) : 55' #8 ジュニーニョ(Juninho, 1987)[#38 マテウス・エンヒキ(Mateus Henrique, 2002)]
(SAN) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   アメリカ・ミネイロは全国選手権3勝4分13敗勝点13の20位。
   サントスは全国選手権5勝6分10敗勝点21の17位。

得点シーン

(AME)前半29分 :
ゴール前からのクリアボールにFWヴァランダがディフェンダーに競り勝ちボールを確保、中央を駆け上がるFWアゼヴェドにボールを預け、自信もゴールに向け駆け上がる。ペナルティエリア手前で戻りのボールを受けると、間合いを詰めるGKを確認しシュート。GKの脇を抜けたボールがゴールに吸い込まれる。FWヴァランダとFWアゼヴェドの二人で奪ったカウンターからのゴール。
   FWヴァランダは、2023年3月にアメリカ・ミネイロU-20チームに加入。9試合10得点の記録を残し、2023年5月にトップチームに招集。少しずつ出場機会を獲得すると、直近の4試合で1得点2アシストの活躍もあり、この試合はスタメンに抜擢。その期待に応えるようにチームの先制点をマーク。試合に出場するごとに自信を深めている印象がある。
(AME)後半10分 :
左サイドライン際から中央FWヴァランダを経て右サイドのWBマテウス・エンヒキにボールが繋がる。横に広がった守備ラインの選手間にポジションを取ったMFジュニーニョへ正確なクロスが送られ、MFジュニーニョが頭でゴールネットを揺らす。
   MFジュニーニョはアメリカ・ミネイロ在籍8年目のベテラン。4年連続で50試合以上に出場し、2023年も今節が49試合目でチーム最多出場。すでに8得点、9アシストを記録し、いずれもキャリアハイを更新。
   一方のWBマテウス・エンヒキは、アメリカ・ミネイロ育成出身で、2022年1月25日のミナスジェライス州選手権で19歳のプロデビューを飾る。2023年1月のU-20全国大会カップ戦後にトップチームに昇格。今節が通算7試合目と出場機会は多くないが、このプロ初アシストとなったピンポイントクロスをきっかけに、SBダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)のレギュラーの座を脅かしたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:39% 61% ⇒ 前後半:40% 60%
シュート(枠内): 前半:7‐6(3-1) ⇒ 前後半:12-10(7-2)
パス成功率: 前半:78% 89% ⇒ 前後半:78% 86%
   アメリカ・ミネイロは、週中にコパ・スウアメリカーナ準々決勝フォルタレーザ戦2ndレグが行われたが、1stレグを1-3で敗れたこともあり、控え選手を中心とした先発メンバー。試合は1-2で敗れ、同大会は準々決勝での敗退となった。
   今節は降格圏内に低迷するチーム同士の勝たなければならない試合。今季これまで14得点のチーム内得点王、直近3試合2得点のFWマストリアーニ(Mastriani, 1993)が出場停止となる中、ファビアン・ブストス監督は一週間前に2-1で勝利した全国選手権第22節サンパウロ戦の先発メンバーを軸に、VOLブレーノ(Breno, 2003)、左WBマテウス・エンヒキ(2002)、MFホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)FWヴァランダ(2003)の若手選手を抜擢する思い切った采配。
   サントスは、2-1の勝利に終えた前々節グレミオ戦同様右サイドバックにCBが本職のジョアキン(Joaquin, 1998)を配置、0-2で敗れた前節アトレチコ・ミネイロ戦に続きVOLリンコン(Rincón, 1988)を起用、それ以外は、陣形は異なるものの3試合連続でほぼ同じメンバーで今節に臨んだ。
   試合は、組織的に整備された守備ラインが高い位置を保ち、ボール奪取からの素早いカウンターを仕掛けるアメリカ・ミネイロがたびたびサントスゴールに迫る。
   一方のサントスもアメリカ・ミネイロの高い位置での寄せに苦しむものの、前半19分に自陣から縦、斜めにパスを繋ぎ、最後はMFジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)がペナルティエリア外から左足の巻き込むシュート。しかし、これはアメリカGKカヴィキオリ(Cavichioli, 1986)が横跳びで辛うじてCKに逃れる。   
   先制点はアメリカ・ミネイロ。前半29分、2003年生まれのFWヴァランダと1987年生まれのFWアゼヴェドのコンビでカウンターからゴールを奪う。
   さらに前半44分、FWヴァランダのパスをFWアゼヴェドが相手CB間で受けGKと一対一。しかし、これはGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が間合いを詰め、FWアゼヴェドのシュートを体に当て窮地を逃れる。
   サントスも前半45+3分、MFジアン・ルーカスとFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)のパス交換からゴール前に迫り、パスカットされたこぼれ球をMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)がシュート。ディフェンダーに触れたボールはゴールポストの右を僅かに外れる。その1分後にはFWメンドーサ(Mendoza, 1992)が右サイドライン際からディフェンダー2人をかわしペナルティエリアに侵入しシュートに持ち込むが、ボールはGKの手を掠めゴールポストを叩く。さらに続くCKでは、ペナルティマーク付近でずらしたボールにファーサイドでFWマルコス・レオナルドが飛び込むがボールは枠を捉えない。
   前半終了間際のピンチを凌いだアメリカ・ミネイロは、後半が始まると再び高い位置での速い寄せを仕掛け相手陣で試合を進める。
   後半2分には、人数をかけた攻撃で最後はMFマルチネス(Martínez, 1994)がシュートに持ち込むなど優勢に試合を進める。後半10分、2002年生まれのWBマテウス・エンヒキのクロスに1987年生まれのMFジュニーニョが頭を合わせ貴重な追加点。
   サントスは、FWソテウド(Soteldo, 1997)を投入し打開を図るが、引き気味になりつつも、継続して中盤に入るボールに対して素早く寄せるアメリカ・ミネイロの守備は大きな綻びを見せない。
   後半32分には自陣でのボール奪取からMFジュニーニョが約40mドリブルでボールを運び、MFホドリギーニョのシュートはゴールポストに嫌われたものの、アメリカ・ミネイロが効果的にチャンスを作り出す。
   試合はこのまま2-0でアメリカ・ミネイロの勝利。裏天王山で貴重な勝ち点3を獲得した。

   アメリカ・ミネイロは全国選手権2連勝。勝ち点は16で、16位までの勝点差は6で依然降格圏の19位だが、抜擢された若手選手が速い寄せで守備に貢献。攻撃面でも経験豊かなベテラン選手と融合して2得点のみならず多くのチャンスを演出。今季はコパ・ド・ブラジルやコパ・スウアメリカーナで勝ち残り、厳しい日程が続いたものの、多くの選手がチャンスを得て成長。最近になり両カップ戦は敗退したため、今後は通常の日程で全国選手権に臨むことができるうえ、選手層も厚みができており、十分に降格圏を抜け出すチャンスはある。
   次戦は、9月15日に全国選手権第23節、アウェイでのクイアバ戦。クイアバは現在4連敗中。勢いの差で勝ち点3を勝ち取りたい。

   サントスにとってこの試合は、前半終了間際の続けざまのチャンスを除き、多くのチャンスを生み出せなかった試合。相手の執拗なプレスにミスを犯し、守備面でのマークが甘く2失点。1点目は人数に勝りながらも相手のスピードについていけず失点。2点目はディフェンダー間の距離を広げられ、その間のスペースを使われた失点。
   攻守に課題が残る結果となった。
   前々節は2得点に絡み勝利に貢献、途中交代から違いを作り出せるFWソテウドが、今節試合中に異議を唱えイエローカード、その判定に不満、暴言を口にしレッドカード、次節は出場停止。
   これまで降格を経験したことのないサントスだが、その事実が16試合を残す段階ですでにプレッシャーとなってスタッフや選手に襲い掛かっているように思われる。
   難しい状況が続くが、国際Aマッチデーによる小休止が明けた2試合目には、勝ち点で並ぶバイーアとの一戦が控える。先を見据えず一試合一試合を戦わなければならない状況だが、小休止期間にしっかりと準備を整え、小休止明けのクルゼイロ戦で良い結果を残し、バイーアとの一戦を勝利で終えたい。
   次戦は、全国選手権第23節、9月14日にクルゼイロをホームに迎える。

サンパウロ(SAO) 順延 コリチバ(CFC)

見どころ(試合前の順位)

   サンパウロは全国選手権7勝7分7敗勝点28の11位。
   コリチバは全国選手権3勝5分13敗勝点14の19位。

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