ミゲリット (Miguelito)

投稿者: | 2023年9月2日
最新更新日 : 2024/07/15
更新履歴 : 2024/06/10, 03/19

若手 ブラジルサッカー ボリビア サントス ミゲリット (Miguelito)

ミゲル・アンヘル・テルセロス・アクーニャ

Miguel Ángel Terceros Acuña

ポジション:ミッドフィルダー/メイオカンピスタ

利き足:左

2004年4月25日生まれ

<幼少期>

 ボリビア他民族国の東部に位置するサンタクルス県の中心、ボリビア第2の都市、サンタ・クルス・デ・ラ・シエラに生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 5歳の時に地元のサッカークラブ、アカデミア・タフイチでキャリアをスタート。
 2015年、11歳の時にボリビアサッカー界の強化を図るプロジェクト(※プロジェクト・ボリビア2022)の強化対象となる。

※プロジェクト・ボリビア2022
 プロジェクト・ボリビア2022とは、2015年に発足したボリビアサッカー界の強化を図るプロジェクト。発足当初は2022W杯出場を成果として掲げられ、この名称がつけられた。
 プロジェクトの概要は、国内の各育成年代の有望選手を、当初目標としてと2~3年の間に少なくとも20人以上を国外に派遣し、ボリビアにはないサッカー先進国のクラブ施設での練習や異質のサッカー文化を経験し、ボリビアサッカー界の底上げを図るもの。
 ガブリエウ・ジェズス(Gabriel Jesus, 1997, アーセナル)選手やボリビアの強豪ボリバル監督ベニャット・サン・ホセ(Beñat San José)氏の代理人を務めた経験のあるパウロ・ホベルト・デ・ソウザ(Paulo Roberto De Souza)氏は、自身の長年の経験や人脈をいかし、このプロジェクトに参加している。
 デ・ソウザ氏は2021年のインタビューの中で、「ボリビアの子供たちに国外でプレーする門戸を開き、その果実としてナショナルチームが強化され、歴史を刻むことを目的としている。選手にとっては家族と離れるのは辛いかもしれないが、その苦労は必ずや報われる。3、4年のうちに、ボリビア代表は対戦相手にとって難しい相手となり、競争力のあるチームとなるだろう。なぜなら、国外でプレーする選手は、たとえ若い選手であっても、そのメンタリティは国内組とは異なり、違いをもたらすからだ。」と話す。

 2018年、14歳の時に入団テストを経てサントス下部組織に入団。しかし、FIFAの規定により18歳未満の外国籍選手の移籍は認められていないため、支配下選手としての契約(育成契約)を結ぶことができず、交換留学の形で練習に参加する。
 そのため、ブラジル連邦サッカー連盟やサンパウロ州サッカー連盟が主催する大会には出場できないものの、企業が主催する大会には出場し、特に2019年のコパ・ナイキU-15での活躍はブラジル国内の育成年代で注目を浴びた。
 2021年3月、16歳ながらU-23カテゴリーに昇格。
 2022年4月26日、18歳の誕生日の翌日、サントスと2027年4月までのプロ契約を締結。
 2022年7月24日U-20全国選手権グループラウンドのコリンチャンス戦で前半26分にピッチに立ち、サントスFCでの公式戦初出場を記録。自身3試合目となる2022年7月30日U-20全国選手権グループラウンドのアトレチコ・パラナエンセ戦では先発出場し2得点をマーク。その後も試合出場を重ねていく。

≪サントス

– 2022 –

 2022年10月10日全国選手権第31節ジュヴェントゥージ戦、後半35分に途中交代出場でプロデビュー。
 その後、全国選手権1試合に交代出場し、再びU-20チームに戻ると、サンパウロ州選手権決勝コリンチャンス戦、1stレグでの1-0の勝利を受けた2022年11月12日2ndレグ。前半10分に先制ゴールを奪うと、逆転を許した後半19分に同点ゴール。サントスは2試合合計3-2で州選手権に優勝。ミゲリットは2ゴールの活躍でチームを優勝に導いた。

– 2023 –

  2023年3月6日U-20全国選手権の出場後にトップチームに招集。コパ・ド・ブラジルやコパ・スウアメリカーナ、全国選手権など試合出場を重ねていく。
 しかし、チームの不振もあり出場機会はなくなり、5月以降はU-20チームでのプレーが続く。
 2023年9月1日現在、U-20チームでは13試合に出場、中盤の選手ながら8得点をマーク。トップチームへの再招集に向け、研鑽に日々を送っている。

– 2024 –

 2024年1月開催のU-20全国大会カップ戦に出場。6試合4得点4アシストの成績を残す。
 2月にはカタールで開催されたイクオリティ・カップにサントスU-23チームの一員として出場。この大会は、アル・ドゥハイル/QAT、ゼニト/RUS、上海申花/CHN、およびサントスU-23の4チームが参加。サントスU-23は1分2敗。出場選手等の詳細は不明。
 同大会終了後クラブへの復帰後はサンパウロ州選手権への選手登録が行われ、トップチームのトレーニングに合流。
 2024年3月13日ボリビア代表への招集が発表された。この招集はは3月22日アルジェリア、3月25日アンドラとの国際親善試合に向けたもの。
 代表から復帰後には再びトップチームに合流し、2024年4月21日に開幕を迎える全国選手権2部に向け、準備を整えていくことになる
 2024年6月20日に開幕する2024コパ・アメリカ、ボリビア代表に選出。5月18日の試合を最後にU-20チームを離れボリビア代表に合流。
 国際親善試合3試合、コパ・アメリカ3試合に出場した後、7月4日にU-20チームに復帰。2024年7月14日現在、主戦場はU-20チームで、17試合9得点5アシストを記録中。
 2024年7月15日全国選手権2部第15節イトゥアーノ戦にて、後半25分にピッチに送り出され、2024年シーズンの初試合を迎える。試合ではシュートに持ち込むまでは良かったものの、最後のシュートをミスる場面があったが、動きも良く、上出来の内容。
 U-20チームでは17試合9得点5アシストを記録。コパ・アメリカに出場した経験と自信をもって、サントスの1部昇格、リーグ優勝に貢献したい。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(18歳)サントス全国選手権22200
合計22200
2023年(19歳)サントスコパ・スウアメリカーナ37800
全国選手権23700
コパ・ド・ブラジル21600
合計712700
2024年(20歳)サントス全国選手権2部
合計
イタリック斜体は、2024年6月10日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴(世代別代表含む)>

– 2022 –

 2022年8月30日、9月に予定されている親善試合に向けたボリビア代表(フル代表)への招集が発表される。
 2022年9月24日、フランスで行われたセネガル代表との親善試合の後半18分、交代出場でピッチに立ち、18歳での代表デビューを飾る。

– 2023 –

 2023年は8月27日までに3度の代表招集が行われ、計43選手(うち2000年以降生まれの選手が21選手)が選出。5試合の親善試合が開催され、ミゲリットは全5試合に出場(うち4試合先発)。全5試合に出場したのは、ポリヴァレントなハイメ・アラスカイタ(Jaime Arrascaita, 1993)とMFルシアーノ・ウルシーノ(Luciano Ursino, 1988)の2022年ボリビアリーグ優勝クラブのザ・ストロンゲスト所属の2選手とミゲリットの僅かに3選手。ミゲリットへの期待の高さがうかがわれる。
 そして、2023年9月8日には、2026W杯南米予選開幕節ブラジル戦、第2節アルゼンチン戦に向けた代表に招集を受ける。しかし、両試合においては出場機会は訪れない。
 2023年11月開催のアントニオ・カルロス・ザーゴ(Antônio Carlos Zago)監督の代表初采配となる第5節ペルー戦、第6節ウルグアイ戦に向けたボリビア代表に再度招集を受けると、11月16日ペルー戦にて先発に抜擢される。ミゲリットは後半開始時に交代したものの、チームは前後半各1点を奪い2-0の勝利。45分の出場ながら務めを全うした。

– 2024 –

 2024年3月13日ボリビア代表への招集が発表された。この招集はは3月22日アルジェリア、3月25日アンドラとの国際親善試合に向けたもの。
 アルジェリア戦では、後半23分に交代出場、22分間のプレー。
 2024年6月20日に開幕する2024コパ・アメリカにてボリビア代表に選出。大会前の親善試合3試合に出場、初戦のメキシコ戦は先発、第2戦エクアドル戦は後半27分の出場、第3戦コロンビア戦は後半開始時の出場。
 第2戦エクアドル戦では、後半44分、恐らくデザインされたプレーと思われるが、右CKから右足によるゴールから離れていくボールに、PA入口からダイレクトに左足を合わせるように振り抜くシュート。20歳2か月、代表戦11試合目にして代表初ゴールを決めた。
 2024コパ・アメリカでの成績は以下の通り。
 GR第1節アメリカ戦にて、後半開始時に交代出場。
 GR第2節ウルグアイ戦にて、先発に起用され68分間のプレー。
 GR第3節パナマ戦にて、先発に起用され81分間のプレー。
 ボリビア代表は、3戦3敗と残念な成績に終えたが、ミゲリットは194分間の出場。貴重な体験をした。

≪シーズン別代表成績≫

開催日大会・対戦相手試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(18歳)代表親善試合25300
2022/09/24 – セネガル2700
2022/11/19 – ペルー2600
2023年(19歳)代表親善試合527600
2023/03/24 – ウズベキスタン6900
2023/03/28 – サウジアラビア6500
2023/06/17 – エクアドル6400
2023/06/20 – チリ1500
2023/08/27 – パナマ6300
2026W杯南米予選14500
2023/11/06第5節(H) ペルー4500
2024年(20歳)代表親善試合417510
2024/03/22– アルジェリア2200
2024/05/31– メキシコ9000
2024/06/12– エクアドル1810
2024/06/15– コロンビア4500
2024コパ・アメリカ319400
2024/06/23第1節 アメリカ4500
2024/06/27第2節 ウルグアイ6800
2024/07/01第3節 パナマ8100
通算成績1574310
イタリック斜体は、2024年7月15日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は左。
 「transfermarkt.com.br」の情報によると、身長は179㎝。
 中盤右サイドの攻撃なポジションでのプレーが多い。
 戦術眼に優れ、ゴールに近い位置で攻撃を組み立てる役割を担うことが多いが、シュート技術も高く得点力も高い。
 相手守備を切り裂くようなドリブルはないが、ボールのキープ力が極めて高い。それゆえに複数のディフェンダーによるマークを受けることになるが、それを逆手に取り、マークの薄い選手へボールを供給しチャンスを作り出す。
 サントスU-20チームでは、時には右サイドでテンポのいいパス回しで攻撃の形を作り、時にはペナルティエリアに侵入しフォワード陣と近い位置でプレー、こぼれ球やクリアボールを拾い自らシュートまたは二次、三次攻撃の起点となる。

 2023年9月1日現在、サントスFCでは、トップチームでの出場機会はまだ多くはない。
 しかし、ボリビア代表としてすでに多くのチャンスを得ており、今後はW杯南米予選で南米大陸の一流選手たちと対峙する機会も増えていく。
 古くはキング・ペレ(Pelé, 1940)、近年ではネイマール(Neymar, 1992, アル・ヒラル)やホドリゴ(Rodrygo, 2001, レアルマドリード)などを輩出したサントスFC下部組織。
 次に世界を席巻するのはボリビア国籍のミゲリットかもしれない。

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