アメリカ・ミネイロ (América Mineiro)
正式名称:América Futebol Clube
略称:AME
創立:1912年
本拠:ミナスジェライス州 ベロオリゾンテ
《 主要タイトル & クラブ概略 》
タイトル | 優勝回数 | 優勝年 |
---|---|---|
N/A | N/A | N/A |
アメリカ・ミネイロは、ミナスジェライス州ベロオリゾンテに1912年に創立された名門クラブ。ブラジル選手権初年の1971年から1部リーグ(Série A)に所属。1979年に降格すると、1980年からは主に2部リーグ(Série B)が主戦場となり、時折1部への昇格、3部への降格を繰り返すこととなる。
2020年に2部リーグ2位で1部昇格を果たすと、2021年には8位に食い込みクラブ史上初となるリベルタドーレス出場権を獲得する。
アメリカ・ミネイロは、若手選手の発掘に定評があり、元日本代表キャプテンの中澤佑二選手は1997‐1998年にかけて同クラブU-20チームに所属し、主力メンバーとしてU-20州選手権のタイトルを獲得。 フレッジ(Fred, 2006、2014年W杯代表メンバー)、ダニーロ(Danilo, 2018、2022年W杯代表メンバー)、ヒシャルリソン(Richarlison, 2022年W杯代表メンバー)はアメリカ・ミネイロの下部組織出身、同クラブでプロデビューを果たしている。また、2005年生まれで2022年にアトレチコ・パラナエンセでブレイクしたFW/ATAヴィトル・ホッキ(Vitor Roque)もまたアメリカ・ミネイロの下部組織でキャリアをスタートさせている。
《 直近3年成績(2020年-2022年) 》
大会 | 2022年成績 | 2021年成績 | 2020年成績 |
---|---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 10位 | 8位 | ― |
ブラジル全国選手権2部 | ― | ― | 2位 |
コパ・ド・ブラジル | 準々決勝敗退 | 3回戦敗退 | 準決勝敗退 |
コパ・リベルタドーレス | グループR敗退 | ― | ― |
ミナスジェライス州選手権 | 5-8位決定戦 初戦敗退 | 準優勝 | 準決勝敗退 |
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。
《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》
現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。
《 2022年 》
<戦績>
大会 | 試合 数 | 勝数 | 引分 数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失 点差 | 勝点率 (%) | 順位 |
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コパ・リベルタドーレス | 10 | 1 | 4 | 5 | 9 | 16 | -7 | 23.3 | グループR敗退 |
全国選手権 | 38 | 15 | 8 | 15 | 40 | 40 | 0 | 46.5 | 10位 |
コパ・ド・ブラジル | 6 | 4 | 1 | 1 | 12 | 3 | 9 | 72.2 | 準々決勝敗退 |
州選手権 | 15 | 5 | 3 | 5 | 13 | 12 | 1 | 46.2 | 5-8位決定戦 初戦敗退 |
計 | 67 | 25 | 16 | 26 | 74 | 71 | 3 | 45.3 |
<全国選手権 年間順位推移>
<振り返り>
2022年は、前年10月半ばに就任し、就任時の11位から8位に順位を上げ、クラブ史上初のリベルタドーレス出場に導いたマルキーニョス・サントス(Marquinhos Santos)氏が引き続き指揮を執る。
2022年最初の大会、州選手権。予選ラウンドを5位で終え、5-8位決定戦に進むが、初戦に2部所属のトンベンセに1-3、1-1、計2-4で敗れる。
【リベルタドーレス】
リベルタドーレス予備予選、2ndラウンドはグアラニ/パラグアイを相手に1stレグ(2月23日ホーム)を0-1で落とす。 迎えた2ndレグ(3月2日アウェイ)、前半12分にPKを献上し失点。15分にはCKから頭で決められ、2試合合計で0-3と窮地に追い込まれる。後半13分、新加入の38歳FW/ATAウェリントン・パウリスタ(Wellington Paulista)が右足で1点を返すと、後半29分、再びウェリントン・パウリスタが右サイドライン際深くからのクロスボールを頭で合わす。後半ATには、新加入22歳のFW/ATAペドリーニョ(Pedrinho)がクリアボールをボレーでシュートを放つとこれがクロスバーを叩き、相手GK/GOLの背中に当たりゴールイン。 土壇場で2試合合計3-3に持ち込むと、PK戦では40歳ジャイルソン(Jaílson)が相手7人目のPKをセーブし、アメリカ・ミネイロが3rdラウンドに駒を進める。
3rdラウンド1stレグ(3月8日)は、ホームにバルセロナSC/エクアドルを迎える。 ホームのアメリカ・ミネイロが試合の主導権を握るが、シュートまでたどり着かない。すると、試合終了間際の後半43分、GK/GOLジャイルソンがシュート後の相手選手と接触しPKを献上。しかし、相手PKは枠外にはずれ事なきをえる。 2ndレグ(3月15日アウェイ)、少しオープンな展開になり相手優位に試合が進むが、ジャイルソンの再三の好セーブもあり、90分をスコアレスで終えPK戦に突入する。PK戦ではジャイルソンが相手4人目のPKをストップ。一方、アメリカ・ミネイロは5人全員がPKを成功させ、グループラウンドに駒を進めた。
予備予選を苦しみながら勝ち上がり挑むグループラウンド。 しかし、4月6日に始まるグループラウンドは、全国選手権、コパ・ド・ブラジルと並行して開催され、コロンビアやエクアドルへの遠征もあり、決して選手層が豊かとは言えないアメリカ・ミネイロは苦戦。結局は1勝もあげることができず、クラブ史上初のリベルタドーレスは、2分4敗でグループ最下位で終えることとなった。
【監督交代】
4月6日のリベルタドーレスグループラウンド初戦を0-2で落とし、4月10日の全国選手権開幕節を昇格組のアヴァイーに0-1で敗れると、州選手権の結果を踏まえ、マルキーニョス・サントス監督が解任。ヴァギネル・マンシーニ(Vagner Mancini)氏が監督を務める。
【コパ・ド・ブラジル】
リベルタドーレス出場のため、コパ・ド・ブラジルは3rdラウンドから。
3rdラウンドは全国選手権2部のCSAを相手に、3-0、2-0、計5-0で勝ち抜ける。
4thラウンド(ラウンド16)の相手はボタフォゴ。 1stレグ(6月30日ホーム)。開始6分、右からのクロスボールに相手ディフェンダーのマークが甘く、ウェリントン・パウリスタがフリーで頭を合わせ早くも先制。前半12分にも右からのクロスからゴールネットを揺らすがこれはオフサイド。前半35分、左CKから左SB/LAEダニーロ・アヴェラー(Danilo Avelar)が頭で合わせ追加点。後半14分は左からのクロスにMF/MEIアレー(Alê)が右足のボレーでGK/GOLの股を抜き、この試合を3-0で制す。 2ndレグ(7月14日アウェイ)。前半22分、FW/ATAエンヒキ・アウメイダ(Henrique Almeida)のゴールエリア左からの鋭いクロスにMF/MEIフェリペ・アゼヴェド(Felipe Azevedo)が飛び込み、準々決勝を決定づける得点をあげる。さらに後半16分にペドリーニョがダメ押しのゴールを決め、2試合合計5-0で準々決勝進出。
準々決勝の相手はサンパウロ。 1stレグ(7月28日アウェイ)。前半35分、左サイドのマークが甘くなりクロスを上げられ失点。後半22分、ペドリーニョがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。しかし、このPKは相手GK/GOLに阻まれ同点のチャンスを逃す。1stレグは0-1。 2ndレグ(8月18日ホーム)。試合開始から相手ゴールに迫る。しかし、前半23分、29分に立て続けて失点。2試合合計0-3と窮地に追いやられる。しかし、前半終了間際にPKから1点を返すと、後半13分に相手CB/ZAGに2枚目のイエローカードが提示され退場。すると、後半20分に左からのクロスにエヴェラウド(Everaldo)が右足を合わせゴールネットを揺らす。しかし、その後はゴール前を固める相手守備陣を崩すことができず、2-2の同点、2試合合計2-3となりコパ・ド・ブラジルは準々決勝で敗退する。
【全国選手権】
開幕節終了後に監督を交代したものの、得点力が改善せず、前半戦は5試合連続と3試合連続を含む11試合で無得点となり、19試合で僅か13得点。降格圏手前の15位で前半戦を折り返す。 前半戦はカウンター気味にサイドからの攻撃が多くみられたが、7月の終わりにトップ下としてマルティン・ベニーテス(Martín Benítez)を獲得すると、中盤でのタメが効くようになり、攻撃のバリエーションが増える。また、年初に加入したFW/ATAエンヒキ・アウメイダやベテランMF/MEIフェリペ・アゼヴェドなど前線の選手が攻守に走り、守備攻撃共に活性化。後半戦は、前半戦の総得点の倍となる27得点を記録、失点も4減少し、勝点を積み重ねる。 最終的には、前半戦の不振が尾を引き、2年連続でリベルタドーレス出場権を獲得することはできなかったものの、前半戦終了時の15位から10位まで順位を上げて全国選手権をフィニッシュ。コパ・スウアメリカーナの出場権を獲得した。
選手権前半 : 6勝 3分10敗、得点13失点22 選手権後半 : 9勝 5分 5敗、得点27失点18 選手権合計 : 15勝 8分15敗、得点40失点40
<チーム内個人成績・記録>
* 参照元:サッカーサイト「Ogol」
記録 | 選手 | 公式戦計 | 全国選手権 | リベルタ ドーレス | ブラジル 杯 | 州選手権 |
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最多試合出場 | フェリペ・アゼヴェド (Felipe Azevedo) – FW/ATA | 58 | 36 | 10 | 6 | 6 |
(2位) | ジュニーニョ (Juninho) – MF/MEI | 53 | 35 | 8 | 5 | 5 |
(3位) | エデル・フェヘイラ (Éder Ferreira) – CB/ZAG | 52 | 33 | 9 | 5 | 5 |
最多出場時間 | ジュニーニョ (Juninho) – MF/MEI | 4698 | 3109 | 720 | 450 | 419 |
(2位) | エデル・フェヘイラ (Éder Ferreira) – CB/ZAG | 4936 | 2943 | 793 | 450 | 450 |
(3位) | ルーカス・カウ (Lucas Kal) – CB/ZAG | 3607 | 2170 | 682 | 286 | 469 |
最多得点タイ | ペドリーニョ (Pedrinho) – FW/ATA | 8 | 4 | 2 | 2 | 0 |
最多得点タイ | エンヒキ・アウメイダ (Henrique Almeida) – FW/ATA | 8 | 6 | 0 | 0 | 2 |
(3位タイ) | ウェリントン・パウリスタ (Wellington Paulista) – FW/ATA | 7 | 2 | 2 | 2 | 1 |
(3位タイ) | フェリペ・アゼヴェド (Felipe Azevedo) – FW/ATA | 7 | 4 | 1 | 1 | 1 |
最多アシスト | ジュニーニョ (Juninho) – MF/MEI | 8 | 6 | 0 | 1 | 1 |
(2位タイ) | マルロン (Marlon) – 左SB/LTE | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 |
(2位タイ) | パトリッキ (Patric) – 右SB/LTD | 4 | 0 | 0 | 3 | 1 |
最多デュエル勝利 | フェリペ・アゼヴェド (Felipe Azevedo) – FW/ATA | – | 148 | – | – | – |
(2位) | ジュニーニョ (Juninho) – MF/MEI | – | 145 | – | – | – |
(3位) | マルロン (Marlon) – 左SB/LTE | – | 131 | – | – | – |
最多キーパス | ジュニーニョ (Juninho) – MF/MEI | – | 48 | – | – | – |
(2位タイ) | エヴェラウド (Everaldo) – FW/ATA | – | 39 | – | – | – |
(2位タイ) | パトリッキ (Patric) – 右SB/LTD | – | 39 | – | – | – |
最多CBI | エデル・フェヘイラ (Éder Ferreira) – CB/ZAG | – | 232 | – | – | – |
(2位) | ヘルマン・コンチ (Germán Conti) – CB/ZAG | – | 151 | – | – | – |
(3位) | マルロン (Marlon) – 左SB/LTE | – | 92 | – | – | – |
※ デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標 CBI : クリア、ブロック、インターセプト
《 2023年にむけて 》
中規模クラブによく見られる問題として、選手構成が、レンタル移籍による加入やベテラン選手の単年契約が多く、時間をかけてのチームの熟成が難しい。 しかし、アメリカ・ミネイロは、2022年シーズン終了後間もなく、監督のヴァギネル・マンシーニ氏と契約を更新。後半のチーム躍進の立役者マルティン・ベニーテスについては、完全移籍に向けレンタル元のエストゥジアンテス/アルゼンチンと交渉中。 後半躍進のもう一人の立役者エンヒキ・アウメイダ、6年半在籍し中盤でいぶし銀のプレーを見せるジュニーニョ、今年前半にチームを牽引した来年40歳を迎えるウェリントン・パウリスタ、ヴァギネル・マンシーニ監督からの信任の厚いフェリペ・アゼヴェドなど、攻撃的な選手との契約を更新。 2022年に主力をなした守備的選手はほとんどが複数年契約を結んでいるため、流出の心配は少ない。 2023年は、2022年後半のメンバーをベースに上積みが見込めるため、2年ぶりのリベルタドーレス出場権を争う可能性は十分にあるだろう。州選手権から戦いぶりに注目していこうと思う。