ジョニー・カルドーゾ (Johnny Cardoso)

投稿者: | 2023年9月7日
最新(最終)更新日 : 2024/02/27

ジョニー (Johnny) ブラジル 若手 インテルナシオナウ ボランチ

ジョアン・ルーカス・デ・ソウザ・カルドーゾ

João Lucas de Souza Cardoso

ポジション:フォワード/アタカンチ (Atacante)

利き足:右

2001年9月20日生まれ

<幼少期>

 ニューヨークから約50㎞離れたアメリカ合衆国ニュージャージー州デンヴィルに生まれる。
 ブラジル国籍の両親の下に生まれたためブラジル国籍、出生地主義のアメリカで生まれたためアメリカ国籍の二重国籍を持つ。
 生後3か月で両親とともにブラジルに帰国。ブラジル南部サンタカタリーナ州クリシウーマに育ち、6歳でフットサルを始める。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 サッカーのキャリアは11歳の時(2011年)、クリシウーマから約200㎞離れたサンタカタリーナ州都フロリアノポリスに本拠を置くアヴァイーの下部組織でスタートする。
 2013年、地元のクリシウーマECに移籍。クリシウーマECでの活躍が名門インテルナシオナウの関心を呼び、2014年、インテルナシオナウの下部組織に入団。入団当初は中盤でプレーする。
 2018年には、17歳でU-20チームに昇格。サイドアタッカーやセンターフォワードとして活躍し、レギュラーの座に就く。
 2019年U-20ファビオ・マチアス(Fábio Matias)監督は、スタッフと話し合いながら、ジョニーについてこれまでとは異なる興味深い特性を見出しタスクを与えるようになる。つまり、試合をコントロールすること、ボールを奪うこと、プレスをかけること。ファビオ・マチアス監督は州選手権を通じて、ジョニーを従来のフォワードからトップ下、セグンドボランチと少しずつ低い位置へポジションを変えて起用、最終的にプリメイロボランチ(背番号5)にたどり着いた。
 ジョニー自身は当初その起用法に納得していなかった。フォワードで結果を残し、チーム内でレギュラーの座も掴んでいたからだ。しかし、チームが好調なこともあり中盤での起用を渋々ながらも受け入れるという状況だった。
 試合を重ねるにつれ、ジョニーは中盤での自身の新たな特性を見出す。つまり、広い視野と戦術眼、それを生かしたポリヴァレント性の高いプレー、そしてそのプレーを可能にする足元の技術と恵まれた体格。
 2019年には、U-20リオグランデドスル州選手権にキャプテンとして優勝。決勝戦での2得点など9得点(すべてボランチとして)を記録しチーム内得点王に輝いた。

インテルナシオナウ

– 2019 –

 2019年7月、オダイール・エルマン(Odair Hellmann)監督の下、トップチームに招集。
 9月15日全国選手権第19節アトレチコ・ミネイロ戦の後半30分に途中出場で17歳のプロデビューを飾る。

– 2020 –

 2020年には18歳でトップチームに昇格。1月に開幕する州選手権からコロナ感染症拡大による自粛期間を挟み、全国選手権でもコンスタントに試合出場を果たし、年間で21試合に出場。

– 2021 –

 2021年もポジション争いに加わり、年間で34試合に出場、全国選手権も27試合(うち11試合先発)と着実に実戦経験を積み上げていく。

– 2022 –

 2022年は1月開幕の州選手権で多くの試合に出場するも、チーム成績は振るわず、4月10日全国選手権開幕節の試合後にメディーナ(Medina)監督が解任。後任にマノ・メネゼス(Mano Menezes)監督が就くと、監督はチーム再建に向け手始めに守備の再構築に重点を置く。セグンドボランチとして起用されていたジョニーの出場機会は大きく減少。しかし、守備面での改善がひと段落すると、監督はスリーボランチの採用等、守備から攻撃への移行に重点を移し始める。
 ジョニーは6月5日第9節の後半アディショナルタイムに途中交代で一か月半ぶりの試合出場を果たすと、以降は全国選手権では、警告累積による出場停止やアメリカ代表招集による日程の問題による欠場を除く全試合に出場。特に第19節以降は14試合に先発出場を果たすなど、マノ・メネゼス監督の信頼を勝ち取り、チームも全国選手権2位という好成績でシーズンを終える。

– 2023 –

 2023年は年初の州選手権からレギュラーとして多くの試合に出場するが、連戦の疲れのためか4月に開幕した全国選手権に入り、パフォーマンスが徐々に低下していく。
 7月18日に就任したエドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督は、ジョニーをプリメイロボランチにポジションを変更。優勝争いから完全に脱落した全国選手権での起用を減らし、決勝ラウンドに駒を進めたリベルタドーレスを軸に起用する。ジョニーもその起用法に応え、8月29日のリベルタドーレス準々決勝ボリバル戦2ndレグでは相手の攻撃をシャットアウト、多くのメディアから2得点を挙げたFWエネル・バレンシアと並ぶ採点評価を得る活躍。
 しかし、上記試合で負傷を負い、約一か月間チームを離脱。
 9月27日リベルタドーレス準決勝フルミネンセ戦1stレグでスタメン起用で復帰を果たすが前半のみで交代、チームはアウェイでの試合で2-2の引き分け。
 10月4日2ndレグもスタメン出場。後半44分にベンチに退き、チームは1-2の敗戦。インテルナシオナウでのタイトル獲得の機会を逸することとなった。
 10月25日、ブラジルでの2023年シーズン終了後、2024年欧州冬季移籍ウィンドウでのレアルベティス/ESP移籍が報道される。
 レアルベティスは2022年末にジョニー選手への関心を表明。欧州2023/24シーズン前(2023年8月)には移籍手前まで近づいたが、インテルナシオナウはコパ・リベルタドーレスを勝ち上がっており、エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督の強い要請のため移籍は実現しなかった。しかし、レアルベティスは、代理人、インテルナシオナウとの接触を維持し再交渉が進め、2023年10月に2024年1月の移籍加入の合意に達した。
 ジョニーは移籍報道後のチーム10試合のうち8試合(うち先発7試合)に出場。
 11月29日全国選手権第30節コリチバ戦、11月5日第32節クルゼイロ戦では、出場機会2試合連続でアシストを記録。
 12月6日最終節は後半28分に途中交代出場。インテルナシオナウ本拠地ベイラ・ヒオに詰めかけた満員のサポーターに向け最後の勇姿を披露した。

≪レアルベティス≫

– 2023/24 –

 2023年12月28日レアルベティスはジョニー・カルドーゾの獲得を発表。契約期間は2029年、移籍金は700万ユーロ(約14億円)。
 2024年1月13日ラ・リーガ第20節グラナダ戦でベンチ入り。
 1月21日第21節バルセロナ戦、スターティングイレブンとしてクラブデビューを果たす。
 以降は[当記事加筆時点の2024年2月25日現在]全試合にプリメイロボランチとして先発フル出場。
 2024年2月9日ラ・リーガ第24節カーディス戦では、前半6分に相手陣右サイドライン際の深い位置でボールを奪取、そのまま縦にボールを運び、ゴールライン際からゴール正面ペナルティエリア入口へマイナスのボールを送ると、FWウィリアン・ジョゼ(Willian José, 1991)の先制ゴールをアシスト。クラブ初アシストを記録。
 2024年2月25日ラ・リーガ第26節アスレティック・ビルバオ戦、2-1で迎えた後半22分、ダメ押し点となるクラブ初ゴールをマークした。

☆ ヨーロッパでの活躍を受け、今後は日本語や英語でのジョニー・カルドーゾ選手の情報も増えていくと思われますので、当ブログでの更新は終了いたします ☆

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2019年(18歳)インテルナシオナウ全国選手権11500
 合計11500
2020年(19歳)インテルナシオナウリベルタドーレス14500
全国選手権33128000
コパ・ド・ブラジル217810
州選手権429610
 合計40179920
2021年(20歳)インテルナシオナウリベルタドーレス738230
全国選手権332696123
コパ・ド・ブラジル213301
州選手権1363741
 合計553845194
2022年(21歳)インテルナシオナウコパ・スウアメリカーナ411200
全国選手権24141832
コパ・ド・ブラジル14500
州選手権1046900
 合計39204432
2023年(22歳)インテルナシオナウリベルタドーレス1184500
全国選手権22161422
コパ・ド・ブラジル414400
州選手権1274200
 合計49334522
2023/24年(23歳)レアルベティス/ESPヨーロッパカンファレンスリーグ218000
ラ・リーガ652311
 合計870311
イタリック斜体は、2024年2月25日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<(アメリカ合衆国)代表経歴>

– 2019 –

 2019年10月4日、18歳にしてアメリカU-23代表に招集。

– 2020 –

 2020年11月12日、19歳にしてアメリカ代表としてウェールズとの親善試合で後半26分に代表デビューを飾る。
 2020年11月16日パナマ戦もまた後半17分に途中交代出場を果たす。

– 2021 –

 2021年12月18日ボスニアヘルツェゴビナ戦で初スタメンに抜擢。後半18分までプレー。

– 2022 –

 2022年9月23日、日本戦の後半22分に交代出場。
 2022W杯メンバーへの招集も期待されたが、あえなく選外。

– 2023 –

 CONCACAFネーションズリーグ予選ラウンド、2023年3月24日グレナダ戦、27日エルサルバドル戦に後半の僅かな時間の交代出場。
 2023年6月18日、CONCACAFネーションズリーグ決勝戦カナダ戦には後半23分にピッチに立ち、優勝の瞬間をピッチの上で迎える。
 2023年9月に予定されたウズベキスタン、およびオマーンとの親善試合に向けたアメリカ代表メンバーに招集されるも、インテルナシオナウでの試合中に足首にケガを負い代表を辞退。インテルナシオナウでは、リベルタドーレスでの準決勝進出に貢献するなど調子を上げてきたており、代表での活躍も期待されただけに残念な辞退となった。
 2023年10月14日国際親善試合ドイツ戦では後半31分に交代出場。
 10月17日国際親善試合ガーナ戦は先発出場。後半20分、4-0でチームがリードした状況でベンチに退いた。

≪シーズン別代表成績≫

開催日大会・対戦相手試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(19歳)(アメリカ代表)親善試合24700
2020/11/12 – ウェールズ1900
2020/11/16 – パナマ2800
2021年(20歳)(アメリカ代表)親善試合16300
2021/12/18 – ボスニアヘルツェゴビナ6300
2022年(21歳)(アメリカ代表)親善試合12300
2022/9/23 – 日本2300
2023年(22歳)CONCACAFネーションズリーグ33800
2022/3/24予選R – グレナダ1500
2022/3/27予選R – エルサルバドル100
2022/6/18決勝 – カナダ2200
(アメリカ代表)親善試合28100
2022/10/14 – ドイツ1600
2022/10/17 – ガーナ6500
2024年2月25日現在
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長184㎝、体重78㎏。
 主にボックストゥボックスをプレーエリアとするが、監督の戦術、試合展開により、セグンドボランチとして高い位置での積極的な攻撃参加や、プリメイロボランチとして最終ラインの手前で相手の攻撃の芽を摘んでいくなど、ボランチとして、プレー範囲、プレースタイルは多岐にわたる。

 2021年はスペイン国籍ミゲル・ラミレス(Miguel Ramírez)監督とウルグアイ国籍ディエゴ・アギーレ(Diego Aguirre)監督、2022年序盤はウルグアイ国籍メディーナ(Medina)監督の下で出場機会を伸ばしていき、2022年マノ・メネゼス監督の下では、全国選手権後半にレギュラーの座を獲得。
 ブラジル国内外、アメリカ代表への招集など、様々なタイプの監督の下、異なる要素のサッカーを吸収していき、2023年半ばのアルゼンチン国籍エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督の下では、プリメイロボランチとして定着。最終ラインの手前でフィルターとなるだけでなく、ビルドアップに参加、守備と攻撃のつなぎ役、機を見て相手ゴール前に顔を出すなど、クーデ監督のサッカーの重要なファクターとなっている。

 2023年7、8月には、クーデ監督の残留要請により公式オファーまで発展しなかったものの、ボーンマス/ENG、ベティス/ESP、ボローニャ/ITA、ローマ/ITAなどがインテルナシオナウと獲得交渉を進めるなど、欧州からの視線も熱くなりつつある。
 マノ・メネゼス監督の下では、比較的高い位置でのプレーが要求され、レギュラーの座を獲得。
 クーデ監督の下では、中盤の底から確かな戦術眼で試合をコントロールし、チームは(2023年9月7日現在)リベルタドーレス準決勝進出に貢献するなど、ボランチとして、戦術に応じて様々な役割を高いレベルで遂行。このポリヴァレント性は欧州でも重宝されるに違いない。
 2023年シーズン終了後には、代表での北中米カリブ海王者のタイトルに加え、南米大陸クラブ王者のタイトルを手に欧州進出が期待されている。

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