最新更新日 : 2024/07/15
更新履歴 : 2023/12/09
ロハン・ルーカス・ペレイラ・デ・ソウザ
Lorran Lucas Pereira de Sousa
ポジション:ミッドフィルダー/メイオ・カンピスタ
利き足:左足
2006年7月4日生まれ
<幼少期>
ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ州の州都リオデジャネイロ市の西部に位置するシダージ・デ・デウス地区に生まれ育つ。
(※)シダージ・デ・デウス地区は、映画「シティ・オブ・ゴッド」(ウィキペディアより『1960年代から1980年代にかけてのリオデジャネイロ、中でも貧困にあえぐファヴェーラと呼ばれるスラム地域を舞台にした、強盗、麻薬ディーラーなどをして金を稼ぐモレーキ(ストリートチルドレン)たちの抗争が、実話を基にして描かれている。』)の舞台。 2023年現在もギャング間の抗争や、軍事警察の掃討活動による銃撃戦が頻発している。
ロハンは、8歳の時に、この地域の少年少女を対象にした社会慈善活動の一環としたサッカースクールでサッカーを始める。 利き足の左足でのボール捌きは人並み以上のものはあったが、将来的にプロサッカー選手になるようなものではなかった。試合は常にベンチスタートで、試合終了間際の10分ほどの時間をプレーすることが多かった。当時、人見知りで内気だったロハンは、家族のような雰囲気を持ったこのスクールでサッカーを続けた。
13歳の時、スクールはドイツの提携クラブの協力のもとベルリンの大会に参加。帰国後、ロハンは以前と異なり、明るく、周りとよく話をするようになり、そして、サッカーにもより集中して取り組むようになっていた。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2019年、サッカースクールの主催者の一人の計らいで、ロハンはマドゥレイラFC下部組織に入団。 マドゥレイラFCで試合に出場するようになると、フラメンゴのスカウトが関心を持ち、5試合をスカウティングした。 スカウトは、「ロハンはほとんど試合に入っていなかったが、ボールを持つと異彩を放った。技術的には確かなものがあったが、現在と違って体の線が細かった。私は是非ともフラメンゴに連れて帰り、フラメンゴで育てたいと思った。」と話す。
2020年初めにロハンはフラメンゴ下部組織に入団。しかし、間もなく新型コロナ感染症拡大の影響で下部組織は活動を停止し、動画での練習内容の指示をシダージ・デ・デウス地区の実家の目の前にある運動場で実践する日々が続く。2021年に活動が再開するとロハンは身体的にも技術的にも別人のような成長を遂げていた。
2021年の下部組織の活動再開後には、15歳でU-16チームに昇格し、レギュラーの座を獲得。
2022年には、世代別代表に招集。クラブではU-17チームに昇格、背番号「10」をつける。 2022年7月4日、16歳の誕生日を迎え、フラメンゴと2025年7月末までのプロ契約を締結。 2022年12月26日には契約を更新し、契約期間を2025年12月末まで延長。
≪フラメンゴ≫
– 2023 –
2023年1月12日の州選手権アウダックスRJ戦の後半41分にプロデビュー。
2023年1月24日、州選手権バングー戦に先発出場を果たすと、後半11分、ペナルティーエリア内でボールを受けディフェンダーをかわし右足で強烈なシュート。16歳6か月20日でのプロ初ゴール。現レアルマドリード/ESPのヴィニシウス・ジュニオール(Vinícius Júnior, 2000)の記録を塗り替えるクラブ史上最年少ゴールを記録した。
2023年2月21日、28日には、試合への出場機会はなかったものの、前年2022年リベルタドーレス王者としてフラメンゴが参戦したヘコパ・スウアメリカーナのホーム&アウェイの両試合にベンチ入りを果たした。 3月に入り、U-20全国選手権が開幕するとU-20チームに合流。U-20州選手権やU-17コパ・ド・ブラジルなど、U-17、U-20カテゴリーの大会が相次いで開幕する中、U-20チームを中心に試合に出場。
U-20全国選手権は、決勝ラウンドを中心に7試合3得点を記録。 2023年9月7日、一発勝負の決勝戦パウメイラス戦では、先発フルタイム出場を果たし、PK戦ではしっかりとゴールを決め、チームの優勝に貢献。
2023年は最終的に、U-17チームにて3大会5試合1得点、U-20チームにて3大会19試合12得点、トップチームでは州選手権4試合1得点を記録。
– 2024 –
2024年U-20全国大会カップ戦の3試合に出場した後、トップチームに招集され、1月21日州選手権開幕節にて先発に起用され1アシストを記録。第2節にも先発出場を果たす。
その後、U-20チームに戻り、3月4日開幕のU-20リベルタドーレスに出場。グループラウンドの2試合に途中交代出場、準決勝と決勝は先発起用を果たす。決勝ボカ・ジュニオルスU-20/ARG戦では、前半23分の同点ゴールをアシスト、前半45+1分には逆転ゴールを記録。チームは2-1の勝利を収め、チームは優勝を飾った。
U-20リベルタドーレス終了後は再びトップチームに合流。4月10日リベルタドーレスを皮切りに途中出場が中心ながら多くの試合に起用されると、5月11日全国選手権第6節コリンチャンス戦にて先発に抜擢、1得点1アシストの活躍でチームは2-0の勝利を収める。
6月に入り、国際Aマッチデーや20日に開幕するコパ・アメリカに向け、フラメンゴから代表5選手が離脱、さらにケガ人も続出する。
6月13日全国選手権第8節にて先発に抜擢されると、二列目の右寄りのポジションを中心にボールのつなぎ役を務め、守備のタスクも遂行、チームの2点目の起点になるなどの活躍を見せ、その後も、週2試合の日程の連戦に先発に登用される。4週目に入る頃には連戦の疲労のためか、パフォーマンスが低下し、ベンチスタートとなる試合もあったが、特に第8~11節までの4試合では、高いレベルのプレーを披露。代表選手の離脱が懸念されたチームが、首位争いを続ける原動力の一つとなった。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年(17歳) | フラメンゴ | 州選手権 | 4 | 124 | 1 | 0 |
合計 | 4 | 124 | 1 | 0 | ||
2024年(18歳) | フラメンゴ | リベルタドーレス | 4 | 55 | 0 | 1 |
全国選手権 | 12 | 550 | 1 | 1 | ||
コパ・ド・ブラジル | 2 | 73 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 2 | 180 | 0 | 1 | ||
合計 | 20 | 858 | 1 | 3 |
イタリック斜体は、2024年7月15日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表(世代別含む)経歴>
– 2022 –
2022年2月18日、2023年南米U-17選手権をターゲットにした最初の世代別代表招集メンバーとして選出される。
2022年4月に開催されたウェールズ、スペイン、トルコとのU-16国際親善大会に招集。 4月9日ウェールズ戦に先発出場。4月11日スペイン戦に途中交代出場を果たす。
– 2023 –
【南米U-17選手権】
2023年3月8日、3月30日開幕の南米U-17選手権代表に選出。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/03/30 | 予選R第1節 | エクアドル | 2 – 2 | 28 | 0 | 0 |
2023/04/01 | 予選R第2節 | チリ | 3 – 0 | 69 | 0 | 0 |
2023/04/03 | 予選R第3節 | コロンビア | 3 – 1 | 55 | 0 | 0 |
2023/04/07 | 予選R第5節 | ウルグアイ | 3 – 0 | 33 | 1 | 0 |
2023/04/11 | 決勝R第1節 | ベネズエラ | 2 – 1 | 65 | 0 | 0 |
2023/04/14 | 決勝R第2節 | パラグアイ | 3 – 2 | – | – | – |
2023/04/17 | 決勝R第3節 | エクアドル | 2 – 2 | 77 | 0 | 1 |
2023/04/20 | 決勝R第4節 | チリ | 3 – 0 | 21 | 0 | 0 |
2023/04/23 | 決勝R第5節 | アルゼンチン | 3 – 2 | 58 | 0 | 0 |
合計 | 24 – 10 | 406 | 1 | 1 |
2023年4月7日、予選ラウンド第5節ウルグアイ戦、後半12分にMFフアン・ガブリエウとの交代出場。後半38分に自陣でボールを奪ったFWヒケウミ・フィリピからのパスを受け、GKとの一対一をかわしボールをゴールに流し込み、今大会初得点を記録。
2023年4月17日、決勝ラウンド第5節エクアドル戦、1-2でリードを許す後半7分、右コーナーキックからロハンが左足で蹴ったボールにFWカウアン・エリアスがドンピシャのタイミングで頭に合わせ同点ゴール。ロハンはアシストを記録。
南米U-17選手権は予選ラウンド4試合、決勝ラウンド4試合の計7試合に出場(うちスタメン5試合)、1得点1アシストを記録。同大会のブラジル代表優勝に貢献。
【親善試合、代表合宿】
2023年6月7日、北中米U-17選手権王者のメキシコとの親善試合に向けたU-17代表に選出。 親善試合はメキシコシティで、6月28日(メキシコ1-0ブラジル)、6月30日(メキシコ2-5ブラジル)の2試合が開催され、ロハンは2試合目にのみ出場。前半終了間際に、右サイドライン際から中央に切れ込みながら縦にスルーパス。これを受けた右SBリマがワントラップからシュート。後半5分にはゴール正面ペナルティエリア入口で右からのボールにダイレクトに左足を振り抜きゴール。さらに、後半18分にはFWカウアン・エリアスとのカウンターでFWカウアン・エリアスのゴールをアシスト。1得点2アシストを記録。
2023年8月22日~9月4日に実施されたU-17W杯に向けたU-17代表合宿に参加。
【2023U-17W杯】
2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/11/11 | 予選第1節 | イラン | 2 – 3 | 61 | 0 | 0 |
2023/11/14 | 予選第2節 | ニューカレドニア | 9 – 0 | 31 | 0 | 0 |
2023/11/17 | 予選第3節 | イングランド | 2 – 1 | 12 | 0 | 0 |
2023/11/20 | 決勝一回戦 | エクアドル | 3 – 1 | 8 | 0 | 0 |
2023/11/14 | 準々決勝 | アルゼンチン | 0 – 3 | 30 | 0 | 0 |
合計 | 16 – 8 | 142 | 0 | 0 |
– 2024 –
2024年5月17日に発表されたU-20代表合宿招集メンバー23選手の一人に選出された。合宿期間は6月3日~11日。
この合宿は、2025年1月にペルーにて開幕が予定されている2025U-20南米ユース選手権をターゲットにした初めての代表合宿。同大会は2005年生まれが主体となるが、2006年生まれながら選出された。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は左。身長、体重は不明。 得意なプレーは、右サイドからドリブルで中央に切れ込むプレー。 最も影響を受けた選手は、アリエン・ロッベン(Arjen Robben, 1984)。バイエルン・ミュンヘン/GER時代のプレーを見て感銘を受けたという。 右サイドでのプレーが最も得意だが、中盤の攻撃的なポジションやFWではどのポジションもこなす自信を持つ。
フラメンゴでの夢、果たしたいことは、トップチームでタイトルを獲得すること。 フラメンゴの選手で影響を受けた選手は、FWガビゴウ(Gabigol, 1996, 代表18試合5得点)、MFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994, 2022W杯などウルグアイ代表で42試合10得点)、MFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989, 2022W杯など代表22試合3得点)、CBダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987, 2014W杯など代表57試合3得点)。
特にMFエヴェルトン・ヒベイロのドリブルや、MFデ・アラスカエッタの守備ラインの間を通すパスやラストパスが勉強になるという。
自己分析によると、改善すべき点はディフェンス。 ボールを失った際の初動をもっと速くすること、守備隊形を作り直すこと、プレスのかけ方、パスコースを消すポジショニングなどを挙げている。
2023年南米U-17選手権ではボールを持つと球離れが悪い印象があったが、『最も影響を受けた選手は、アリエン・ロッベン』ということで納得。ロッベンはベッケンバウアーから「エゴイスト」と批判されたそうだ。
しかし、ダイジェスト動画で見た2023年6月30日のメキシコ代表とのU-17親善試合では、サイドからドリブルで中央に切れ込む体勢からMFデ・アラスカエッタを彷彿とさせる縦のスルーパス。さらには、FWカウアン・エリアスとのカウンターでFWカウアン・エリアスを使うプレーを披露。 僅か3か月前の南米U-17選手権での球離れの悪さと全く異なる印象が残った。
コロナ感染症による自粛期間の動画による指導だけで大きく成長し、南米U-17選手権ではロッベンのエゴイスティックなプレーを模倣し、メキシコとの親善試合でMFデ・アラスカエッタのようなスルーパスを通すなど、目で見たプレーを自分のものとし、自分の身体で表現することができる、ある種の天才かもしれない。
ロハン自身は将来的には欧州ビッグクラブでのプレーを望んでいるそうだが、私も一刻も早く欧州ビッグクラブへの移籍が実現してもらいたいと思う。そして、欧州で活躍する多くの選手のプレースタイルや、優秀な監督の戦術を肌で感じ、吸収し、消化して、自分のものにしてもらいたいと思う。そして、ロハンが唯一無二のプレーヤーとして活躍する姿を一日も早く目にしたい。