【ブラジル全国選手権2023】第23節(1/2)

投稿者: | 2023年9月14日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第23節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/09/13 フラメンゴ(FLA) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/09/13 インテルナシオナウ(INT) x サンパウロ(SAO)
・2023/09/14 サントス(SAN) x クルゼイロ(CRU)
・2023/09/14 フォルタレーザ(FOR) x コリンチャンス(COR)
・2023/09/14 コリチバ(CFC) x バイーア(BAH)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第23節(2/2)
・2023/09/14 RBブラガンチーノ(RBB) x グレミオ(GRE)
・2023/09/15 クイアバ(CUI) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/09/15 パウメイラス(PAL) x ゴイアス(GOI)
・2023/09/16 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x フルミネンセ(FLU)
・2023/09/16 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x ボタフォゴ(BOT)

全国選手権第23節 試合概要

フラメンゴ(FLA) 0-3 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ak15L2yNHhI
(CAP) : 27' #25 カカー(Cacá, 1999)[]
(CAP) : 84' #80 アレックス・サンタナ(Alex Santana, 1995)[]
(CAP) : 90+7' #8 ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   フラメンゴは全国選手権11勝6分5敗勝点39の4位。
   今節は9月17日コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグに向けた最後の試合。しかし、左SBのアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)が累積警告による出場停止、フィリピ・ルイス(Filipe Luís, 1985)が右太もものケガのため試合出場は厳しく、今節はスリーバックが採用される見込み。また、VOLエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)がウルグアイ代表としてW杯南米予選に出場しており今節の出場は不可。さらには、好調のFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)も累積警告による出場停止となるため、難しい位置づけの試合となりそうだ。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権9勝7分6敗勝点34の7位。
   全国選手権は最近の8試合に負けがないものの内訳は3勝5分、その直前にコパ・ド・ブラジルを敗退、その期間中にリベルタドーレス敗退しており、直近の3試合は引き分け中と全く勢いは感じられない。今節は、攻守に替えの効かないVOLフェルナンジーニョ(Fernandinho,1985)と、U-23代表帰りの得点ランキング2位FWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)が出場停止。ウルグアイ代表としてW杯南米予選第2節で得点をマークしたFWカノービオ(Canobbio, 1998)、チリ代表としてW杯南米予選第2節で得点をマークしたVOLアルトゥーロ・ビダル(Arturo Vidal, 1987)は同試合で負傷交代を余儀なくされており、いずれも今節の試合出場は難しい状況。
   この2チームの対戦は今季4度目。全国選手権第4節は2-1でアトレチコの勝利。コパ・ド・ブラジル準々決勝の2試合はフラメンゴが連勝を収めている。コパ・ド・ブラジルでの対戦の1stレグでは、アトレチコが先制、守備的なサッカーで逃げ切りを図るも逆転を許し、2ndレグでは、アトレチコはリードを許しているにも関わらず試合を通して押し込まれあえなく敗戦。ウェズレイ・カルヴァーリョ監督のサッカーに幻滅した記憶が残っている。

得点シーン

(CAP)前半27分 :
左ショートコーナーから一旦ボールを戻すと、MFヴィトル・ブエノが約30mのミドルシュート。低い弾道のボールはディフェンダーをかすめコースが変わるがGKマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)が辛うじて足に当てる。しかし、CBカカーがボールに詰めゴールに蹴り込みアトレチコ・パラナエンセが先制点を奪う。
   CBカカーは、2023年7月に徳島ヴォルティス/JPNからアトレチコ・パラナエンセに期限付き移籍で加入。8月1日のリベルタドーレスでクラブデビューを果たすと。全国選手権は第18節から6試合連続先発出場。このゴールは8月27日第21節フルミネンセ戦以来2試合ぶりの2点目。
(CAP)後半39分 :
相手陣でボールを奪ったアトレチコが前にボールを運ぶ。ペナルティエリア手前でのパスはカットされるものの、こぼれ球にVOLアレックス・サンタナが反応しミドルシュート。これがゴールネットに突き刺さる。
   VOLアレックス・サンタナは、ボランチの攻撃的なオプションとして試合出場を積み重ねていたが、7月初旬にケガのため戦列を離脱。8月27日の復帰後3戦目(いずれも途中出場)となったこの試合では特長と言えるミドルシュートで6月3日全国選手権第9節ボタフォゴ戦以来のゴール。この試合終了時点で35試合7得点2アシストを記録。
(CAP)後半45+7分 :
ゴール前の混戦でシュート体勢に入ったFWホムロ(Rômulo, 2002)が倒されアトレチコがPKを獲得。これをMFヴィトル・ブエノがゴール左隅に決めアトレチコ・パラナエンセがダメ押しの3点目。
   MFヴィトル・ブエノは、アトレチコ・パラナエンセ2年目。高さと足元の技術のある攻撃的MF。今季はPKを任されている。この試合終了時点で今季は45試合(うち先発28試合)9得点7アシスト、アシスト数はすでにキャリアハイを記録。
   FWホムロは、身長193㎝の長身FW。アトレチコ・パラナエンセ育成出身で、2021年11月16日の全国選手権第33節アトレチコ・ミネイロ戦で19歳のプロデビュー。翌2022年は51試合(うち先発21試合)9得点5アシストを記録し一気に飛躍した。2023年は2度に渡るケガで計4か月戦線を離脱。この試合は復帰後2試合目。シーズン終盤に向けポジション争いに加わりたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:4‐9(3-5) ⇒ 前後半:12-14(5-8)
パス成功率: 前半:85% 74% ⇒ 前後半:85% 76%
   フラメンゴは、左SBにVOLが本職のチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)、VOLには本職がCBのダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)を起用。コパ・ド・ブラジルを想定したフォーバックを採用したかったのかもしれないが、理解しがたい選手起用。案の定、チームは自陣でのボールロストも多く、試合の流れを作ることができない。
   相手の拙攻に助けられるシーンも多かったが、前半28分にショートコーナーから失点。ミドルシュートを狙うMFヴィトル・ブエノへの寄せが甘く、GKマテウス・クーニャが辛うじて足に当てたボールへのカバーリングも遅く、こぼれ球をゴールに蹴り込まれた。
   後半22分にはFWガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa, 1996)が不用意なプレーで一発退場。GKマテウス・クーニャを中心にアトレチコ・パラナエンセのカウンターを防ぎ続けるが、後半39分に追加点を許す。試合終了間際には攻撃的MFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)がペナルティエリア内での守備で相手選手を倒してしまいPKを献上。
   シーズン半ばの移籍ウィンドウ期間に監督の強い要請で獲得した3選手だが、GKロッシ(Rossi, 1995)は未だ試合出場なし、VOLアラン(Allan, 1997)はスタメンの座をダヴィ・ルイスに譲り、ケガで戦列を離れているMFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)もケガ前は後半からの交代出場が続くなど、獲得した意図が分かりかねる起用法。理解しがたい采配が続くホルヘ・サンパオリ監督のもと、戦術のベースとなるものがない中、試合ごとに戦術が変わり、個々の選手の技術の高さでこれまでなんとか体裁を保ってきたが、今節はそれさえも失った。
   次戦は9月17日にコパ・ド・ブラジル決勝サンパウロ戦ホームマラカナン競技場での1stレグ。
   全国選手権は9月20日に第24節アウェイでのゴイアス戦が予定されている。

   アトレチコ・パラナエンセは主力を欠くものの、コパ・ド・ブラジルでの連敗の屈辱を注ぐ3-0の完勝。
   立ち上がりこそフラメンゴの高い位置でのプレスに苦しんだものの、相手にボールを持たせボールの出どころへのプレスからショートカウンターで活路を見出し前半のうちに先制。
   前半45分には、SBマジソン(Madson, 1992)のゴールライン上でのクリアでピンチを凌ぐなど、リードしたまま後半に突入。
   後半もフラメンゴにボールを持たせながらも試合をコントロール。相手の退場もあり数的有利に立つと、相次いでチャンスを迎え、子終盤に2点を追加して試合を締めくくった。
   この勝利で全国選手権の無敗記録は9、勝ち点を37に伸ばし暫定ながら来年のリベルタドーレス出場圏内の6位に浮上。
   次戦は9月21日に全国選手権第24節、ホームにインテルナシオナウを迎える。

インテルナシオナウ(INT) 2-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=eZ-ol-BqeqA
(SAO) : 45+5' #9 カレーリ(Calleri, 1993)[PK]
(INT) : 59' #16 ファブリシオ・ブストス(Fabricio Bustos, 1996)[]
(INT) : 70' #6 ヘネー(Renê, 1992)[#10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権6勝8分8敗勝点26の14位。
   インテルナシオナウは全国選手権では最近の10試合に6分4敗と勝ち星がなく順位も14位に低迷。一方で、リベルタドーレスは準決勝進出を決めており、今後もリベルタドーレスに重点が置かれる。
   今節は、ウルグアイ代表でW杯南米予選第1節でPKストップを見せたGKロチェ(Rochet, 1993)、チリ代表MFアランギス(Aránguiz, 1989)、エクアドル代表エネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)の試合出場が厳しく、ケガのため招集を辞退したU-23代表ヴィトン(Vitão, 2000)、アメリカ代表VOLジョニー(Jhonny, 2001)も欠くが、ここでチャンスを得た選手の奮起に期待したい。
   サンパウロは全国選手権7勝7分7敗勝点28の11位。
   今節は9月17日コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグに向けた最後の試合。エクアドル代表としてW杯南米予選に出場したCBアルボレーダ(Arboleda, 1991)は出場停止もあり今節は欠場、コロンビア代表MFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)も日程的に出場は厳しいが、コパ・ド・ブラジルでの出場が予想されるメンバーはCBアルボレーダを除き今節のスタメンに名前を連ねることになる見込み。しっかりと勝ち切ったいい状態でコパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグに挑みたい。

得点シーン

(SAO)前半45+5分 :
インテルナシオナウGKケイレル(Keiller, 1996)がバックパスを処理ミス。そこに詰めたMFアリソン(Alisson, 1993)を倒してしまい、サンパウロにPKが与えられる。FWカレリが正面に蹴り込んだボールをGKケイレルは足に当てるがそのままゴールイン。
   FWカレリは、前年(2022年)は27得点を記録しチーム内得点王。今季はこの試合を終えた時点で39試合10得点6アシストと少しペースが落ちている。全国選手権は2023年7月16日の第15節サントス戦以来のゴール。
(INT)後半14分 :
相手陣でCBマージョ(Mallo, 1991)がボールを奪い、中央からペナルティエリア内左へ。MFアラン・パトリッキのシュートはブロックされたものの、そのこぼれ球をゴール前にクロス。ディフェンダーのクリアボールが短くなったところを右SBファブリシオ・ブストスがゴールに蹴り込みインテルナシオナウが同点に追いつく。
   SBファブリシオ・ブストスは、アルゼンチン代表として2018年に親善試合4試合に出場。育成時代からアルゼンチンの強豪インデペンディエンテ一筋にキャリアを積み上げていたが、2022年2月にインテルナシオナウに移籍加入。2022年はレギュラーとしてチームの全国選手権2位躍進に貢献。2023年はバルセロナ/ESPのBチームでのプレー経験のあるSBイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)に出場機会を譲る試合もあるが、リベルタドーレスなど主要大会では先発メンバーに名を連ねている。
(INT)後半25分 :
MFアラン・パトリッキとのタベーラの戻りのボールを中央やや左ペナルティエリア手前で受けたSBヘネーが前を向き左足を一閃。ボールはゴール左サイドネットに突き刺さるゴラッソ。
   SBヘネーは、エスポルチから2012年1月のペルナンブカーノ州選手権で19歳のプロデビュー。2017年にフラメンゴに移籍を果たすと、リベルタドーレスや2度の全国選手権などのタイトルを獲得。インテルナシオナウには2022年4月11日に移籍加入。このゴールがクラブ初ゴールとなった。安定した守備と、敵陣深くまで上がり繰り出さす精度の高いクロスが特長。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:41% 59% ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:4‐7(1-1) ⇒ 前後半:12-10(5-2)
パス成功率: 前半:88% 91% ⇒ 前後半:84% 87%
   試合の立ち上がりは、インテルナシオナウが相手陣でボールを奪いに行く積極的な姿勢を見せ、前半2分にはMFアラン・パトリッキのスルーパスに抜け出したMFマウリシオ(Maurício, 2001)がGKとの一対一を迎えるなど、好機を生み出していく。
   前半15分を過ぎるころには、サンパウロも自陣での組み立てを修正し、相手陣でのプレー時間が増えていく。しかし、最終ラインやボランチでのパス回しに終始し、攻撃陣へ効果的なパスを送ることができない。前半40分にはCKからチャンスを迎えるが、FWカレリのヘディングシュートはゴールポストを叩く。
   前半アディショナルタイム、サンパウロはインテルナシオナウGKのミスからPKを獲得。前半戦はサンパウロが幸運な形の先制点で1-0のリードで終える。
   後半に入り、インテルナシオナウは、前半立ち上がりより少し引いた位置で相手のボールの出どころへの寄せを速め、サンパウロの攻撃の芽を次々と摘んでいく。そしてそれと同時に、高い位置での守備から攻撃への移行で次々とサンパウロゴールに迫る。
   その勢いに乗り、後半14分に同点。さらには、後半25分に逆転。
   サンパウロは週末のコパ・ド・ブラジルを見据えMFルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)など一部の攻撃的な選手をベンチに退けたこともあり、後半は最後までインテルナシオナウに試合を支配される。後半33分に途中出場のMFミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)がチーム後半初シュートを放つがGKケイレルの好守にゴールをこじ開けることができない。
   試合はこのまま両チームとも大きなチャンスを迎えることなく終了。ホームのインテルナシオナウが2-1の逆転勝利を収めた。

   インテルナシオナウは、エドゥアルド・クーデ監督の全国選手権初勝利。全国選手権は11試合ぶりの勝ち星。組織的で高い位置での守備が機能することで攻撃面でも厚みが増し、両サイドバックが1ゴールずつマーク。
   シーズン半ばの移籍ウィンドウでの補強により出場機会を減らし、5月31日のコパ・ド・ブラジル以来の先発に抜擢されたFWルーカ(Lucca, 2003)は、相手CBを引き連れるプレーや空中戦で健闘、90分間のフル出場したものの、ゴールに関与することはできず。
   GKロチェの加入によりポジションを失ったGKケイレルは、前後半に一度ずつ大きなミス。前半のミスはゴールに繋がるなど、チャンスを生かすことができなかった。
   次戦は、9月21日に全国選手権第24節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。さらに中5日の9月27日にはリベルタドーレス準決勝フルミネンセ戦1stレグが控える。

   サンパウロは、週末のコパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグが心配される試合内容。ボールを保持しつつもゴールへの道筋がイメージできず、MFルーカス・モウラやFWカレリの個人技や、FWウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)の単発的なシュートが散見。前半でベンチに退いたSBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)やVOL陣の攻撃参加、CBベラウド(Beraldo, 2003)の持ち上がりなど、相手のマークを翻弄する動きが必要になると思われる。
   次戦は、9月17日にコパ・ド・ブラジル決勝戦フラメンゴとのアウェイでの1stレグ。
   全国選手権第24節は9月20日にホームでフォルタレーザ戦が控える。

サントス(SAN) 0-3 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=VEw8AHmPbxE
(CRU) : 41' #18 マテウス・ジュッサ(Matheus Jussa, 1996)[#16 ルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)]
(CRU) : 70' #9 ブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)[#10 ニカォン(Nikão, 1992)]
(CRU) : 89' #10 ニカォン(Nikão, 1992)[#3 マルロン(Marlon, 1997)]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権5勝6分11敗勝点21の17位。
   今節はベネズエラ代表でW杯南米予選に出場したVOLリンコン(Rincón, 1988)が日程的に出場が厳しく、同じくベネズエラ代表のMFソテウド(Soteldo, 1997)は前節の退場で出場停止。一方でU-23代表帰りのFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)の出場は見込まれる。
   2-1の勝利を飾った3試合前のグレミオ戦のスタメンをほぼいじらずに最近の2試合に臨んだものの0-2で連敗。今節は大幅にメンバーを入れ替えるか、最小限のメンバー変更にとどめるか、先発発表が待ち望まれる。
   クルゼイロは全国選手権6勝8分8敗勝点26の12位。
   最近の8試合に勝ち星のないクルゼイロだが、今節はゼ・ヒカルド(Zé Ricardo)監督の初采配。ゼ・ヒカルド監督は長らく育成年代の監督を務め、2016年にフラメンゴの監督に就任、全国選手権で3位に食い込み将来を期待された。しかし、直近では清水エスパルス/JPNの監督を務めるがJ2リーグ5試合で勝ち星をあげることができず解任。期待に沿った結果を残せていない。
   今節は、移籍加入後5試合1得点とゴール前で存在感を見せるFWハファエウ・エリアス(Rafael Elias, 1999)がトレーニング中のケガのため大事を取って今節は欠場。得点力不足のクルゼイロにとっては痛い欠場だが、ゼ・ヒカルド監督はその穴をどのように埋めてくるだろうか。

得点シーン

(CRU)前半41分 :
VOLルーカス・シウヴァが蹴る左CK。後方からゴールエリア手前ニアサイドに走り込んだVOLマテウス・ジュッサのヘディングシュートはファーサイドのゴールネットを揺らす。
   VOLマテウス・ジュッサは、2023年2月7日にフォルタレーザからの期限付き移籍でクルゼイロに加入。直近はカタールSCでプレーしていた。プリメイロボランチや左SB、CBをこなすポリヴァレント性の高いプレーヤー。加入当初はあまり出場機会に恵まれなかったが、6月24日全国選手権第12節サンパウロ戦を機にプリメイロボランチとしてレギュラーの座を獲得。このゴールは記念すべきクラブ初ゴールとなった。
(CRU)後半25分 :
自陣に入った所でSBウィリアン(William, 1995)がボールホルダーに体を当てドリブルミスを誘うと、こぼれたボールにMFニカォンがダイレクトに相手陣中央にスルーパス。オフサイドぎりぎりで抜け出したFWブルーノ・ホドリゲスがGKとの一対一を冷静にかわすシュートでクルゼイロが追加点。
   FWブルーノ・ホドリゲスは全国選手権2部のトンベンセからのレンタルで2022年7月にクルゼイロに加入。今季はチーム全37試合のうち35試合に出場9得点6アシストを記録。出場時間はフィールドプレーヤーでチームトップ。このゴールは6月10日全国選手権第10節バイーア戦以来11試合ぶりのゴール。監督交代とこのゴールを機に得点に関与するプレーを増やしていきたい。
(CRU)後半44分 :
相手陣で左サイドライン際からタベーラでSBマルロンが抜け出すとドリブルで中央に向かい、ペナルティエリア手前右に位置取るMFニカォンへサイドチェンジ。ボールを受けたMFニカォンはディフェンダーと対峙するが振りの鋭いシュートを繰り出すとボールはゴールに吸い込まれる。
   MFニカォンは、2023年1月にサンパウロからの期限付き移籍でクルゼイロに加入。ケガや戦術的な理由から前任ペパ(Pepa)監督のもとではわずかな出場機会しか恵まれなかったが、今節は後半23分にピッチに立つと1得点1アシストの活躍。長らく得点力不足に悩まされているチームにとっても、ニカォン自身にとっても復活ののろしをあげるきっかけとなるゴールとなるだろうか。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:51% 49% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:2‐7(0-3) ⇒ 前後半:12-14(2-7)
パス成功率: 前半:77% 79% ⇒ 前後半:80% 77%
   サントスは守備ラインを中心に前節から約半数の先発メンバーを入れ替え。8月21日に獲得が発表された右SBジュニオール・カイサラ(Júnior Caiçara, 1989)が前節の途中交代に続き今節はスタメンに抜擢。また、VOLは代表帰りのリンコンに代わり、新加入のノナト(Nonato, 1998)が務める
   一方の新体制のクルゼイロは、前線の2選手を変更。FWウェズレイ(Wesley, 1999)は2試合ぶり、FWジウベルト(Gilberto, 1989)は1か月半ぶりの先発復帰。
   試合は前半1分にクルゼイロに右CKから大きなチャンスが訪れるが、サントスSBジュニオール・カイサラがゴールライン上でクリアしゴールに結びつかない。
   その後試合はサントスが積極的にボールを保持、右サイドのSBジュニオール・カイサラとFWルーカス・ブラーガ(Lucas Braga, 1996)を中心に攻撃を組み立てていくが、最後の場面でアイディアを欠きシュートに持ち込むことができない。
   一方のクルゼイロは効率的にカウンターを発動させサントスゴールを脅かすものの、サントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が安定した守備でシュートを処理していく。
   このまま前半を終えるかと思われた前半41分、クルゼイロがCKから先制。クルゼイロが1-0でリードし前半を折り返す。
   後半開始時にサントスはVOLリンコン、右SBガブリエウ・インセンジオ(Gabriel Inocêncio, 1994)、高さのあるFWフリオ・フルチ(Julio Furch, 1989)の3選手を投入、ゴール前にセンターフォーワードを2枚並べ、マークを分散し巻き返しを図る。この選手交代は一定の効果を見せ、サントスはクルゼイロを押し込むことに成功するが、ゴールを奪うまでは至らない。
   後半23分にクルゼイロはMF、FWに代わり、MFニカォンとVOLマシャード(Machado, 1996)を投入。すると2分後に、MFニカォンが難しいスルーパスを通しFWブルーノ・ホドリゲスが追加点を挙げる。さらには、後半41分、MFニカォンがダメ押しの3点目。

   サントスはこの敗戦で3連敗。この3試合で無得点8失点とトンネルを抜け出す気配は一向に見られない。この試合では、中央を使わずサイド攻撃に偏り、相手守備に対応され、カウンターを次々と決められ3失点。移籍期間に若手2選手のプレミアリーグ売却資金を原資に補強を進めたものの、期待された効果が発揮されていない。
   16位のチームとの勝点差も4まで広がり、クラブ史上初の1部陥落がプレッシャーとなり始めている。降格圏脱出へのきっかけがほしい。
   次戦は、9月18日に全国選手権第24節、アウェイで現在サントスに勝ち点で4上回るバイーアとの一戦。バイーアは鋭いカウンターを武器とするチーム。今節と同じ轍は踏みたくない。

   クルゼイロは9試合ぶりの勝ち星。
   ゼ・ヒカルド新監督が初采配で初勝利。ゼ・ヒカルド監督は、前任の2人の監督のボール保持を高める戦術とは異なるカウンターを中心とした戦術を採用。賛否はいろいろ出てくると思われるが、この勝利で下位グループに巻き込まれることなく中位を維持。FWブルーノ・ホドリゲスが11試合ぶりのゴール。出場機会に恵まれていなかったMFニカォンが1得点1アシストと新しいオプションができたことも事実。
   フラメンゴ時代には、前線が横に広く広がり、2列目からの飛び出しなども使った攻撃的なスタイルもあっただけに、まずは目先の勝ち点にこだわり勝ち点を積み上げ、その後来年に向けた戦術の採用、浸透を期待したい。
   この勝利で勝ち点を29に伸ばし暫定10位。来年のリベルタドーレス出場圏6位チームとの勝点差は9と少し厳しい状況だが、少しでも上位に食い込みたい。
   次戦は 全国選手権第24節、8月20日にアウェイでフルミネンセとの試合が予定されている。

フォルタレーザ(FOR) 2-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Ar1QKv_-Vb8
(FOR) : 26' #9 ルセロ(Lucero, 1991)[#12 マリーニョ(Marinho, 1990)]
(COR) : 33' #17 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006)[]
(FOR) : 90+4' #22 ヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)[]

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権9勝5分8敗勝点32の8位。
   前節のフルミネンセ戦は拮抗した試合だったが、後半アディショナルタイムでの失点で0-1の敗戦。公式戦の連勝記録は5でストップ。しかし、この連勝中にコパ・スウアメリカーナは準決勝進出を決め、全国選手権も8位まで順位を上げてきた。今節はホームでの仕切り直しの一戦、両大会の上位進出のためにも勝ち点3が欲しいところ。
   コリンチャンスは全国選手権6勝8分7敗勝点26の13位。
   前節のパウメイラス戦は、0-0のスコアレスドロー。最後までゴールを守り抜き勝ち点1を勝ち取った試合となった。これで全国選手権は8試合負けなしとなったが、内訳は3勝5分と順調には勝ち点を積み上げることは出来ていない。また、8月にはコパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナともに敗退しており、チーム状態はいいとは言えない状態。
   一方で、今季は若手選手や控え選手の積極起用でチームの選手層を底上げ。CBムリーロ(Murillo, 2002)のノッティンガム・フォレスト/ENGへの移籍や、VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)のチェルシー/ENGとの交渉が捗るなど、財政的なメリットを享受している。
   今節も、出場機会に恵まれていない選手の起用が噂されており、その活躍が今後(来年)に向けて期待される。

得点シーン

(FOR)前半26分 :
相手陣ペナルティエリア手前で、相手CBからVOLへのボールにFWマリーニョが体を当て奪い取ると、ゴール正面のFWルセロへボールを送る。FWルセロはこれをダイレクトにシュート。ボールはディフェンダーのブロックをかすめゴールネットに突き刺さる。
   FWルセロはこれが8月27日全国選手権第21節コリチバ戦での2得点以来、全国選手権通算5点目、今季は19点目となるゴール。
(COR)前半35分 :
左CKをニアサイドでCBカエタノ(Caetano, 1999)が競り、こぼれたボールをVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)がシュート。これはクロスバーに阻まれるが、跳ね返りのボールをFWペドロ・エンヒキが落ち着いて頭でゴールに押し込む。
   FWペドロ・エンヒキは、2023年U-20南米ユース選手権代表で7試合2得点2アシストの活躍。18歳となる2023/24シーズンにはゼニト/RUSへの移籍が内定している。トップチームは13試合目の出場(うち先発5試合)。このゴールが記念すべきプロ初ゴールとなった。
(FOR)後半45+4分 :
コリンチャンス守備網の外を右から左へとボールを繋ぎ、左サイドライン際からSBエスコバル(Escobar, 1997)がゴール前ファーサイドへ高さのあるクロス。ディフェンダーがクリアし損ねたボールにMFヤゴ・ピカチューが短い振りのシュートを放つと。ボールはGKカシオ(Cássio, 1987)の手を弾きゴール。
   MFヤゴ・ピカチューは、2023年に清水エスパルス/JPNからの期限付き移籍でフォルタレーザに復帰。この試合終了時点でチーム60試合のうち57試合に出場(うち先発28試合)9得点8アシストを記録。13試合ぶりのゴールは後半アディショナルタイムでの貴重な勝ち越しゴールとなった。
   SBエスコバルは、2023年7月にスペイン2部のUDイビサから加入したアルゼンチン国籍選手。2021年にはコロン/ARGでコパ・ダ・リーガ・アルヘンティーナのタイトルを獲得。フォルタレーザはボイボダ(Voyvoda)監督の要請で獲得に動いた。スピードや豊かな運動量で左サイドはウィングからサイドハーフ、ウィングバック、サイドバックでプレーする。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:51% 49% ⇒ 前後半:53% 47%
シュート(枠内): 前半:7‐3(2-2) ⇒ 前後半:20-5(7-2)
パス成功率: 前半:85% 87% ⇒ 前後半:85% 86%
   前節は後半アディショナルタイムでの失点で敗れたフォルタレーザは、今節はFWマリーニョが出場停止から復帰した以外は先発メンバーに変更はなし。
   一方のコリンチャンスは、FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006)、VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)、右SBレオ・マナ(Léo Mana, 2004)など、2000年以降生まれが4人スタメンに名前を連ねる若い構成。5バックの陣形で好調のフォルタレーザに挑む。
   試合は大方の予想通りフォルタレーザがボールを支配し攻勢に出ると、早くも前半16秒に右サイドからのクロスにFWルセロが頭を合わせるファーストシュート。コリンチャンスはゴール前でのマークがずれており不安定な立ち上がりを迎える。
   その後もコリンチャンスは守備に人数をかけるものの、ボールへの寄せが甘く、フォルタレーザは次々とゴール前へのクロスやミドルシュートなどからチャンスを作り続ける。そして、前半26分に相手ペナルティエリア手前でのボール奪取から先制点が生まれる。
   コリンチャンスは前半36分、数少ないチャンス、左CKからFWペドロ・エンヒキのプロ初ゴールで同点。しかし、フォルタレーザも続くキックオフからの一連のプレーで、VOLカイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)のロングフィードにライン裏に抜け出したFWマリーニョが胸トラップからゴールネットを揺らすが、VARの検証の結果、トラップ時に腕にボールが当たったと判定されゴールは取り消される。さらに前半44分にもフォルタレーザはVOLカイオ・アレシャンドレが起点となり、最後はMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)が強烈なシュートを放つが、クロスバーを直撃しゴールは生まれない。
   後半に入り、開始時と後半10分にコリンチャンスは攻撃的な選手を相次いで投入、ボールキープを高め、少しずつフォルタレーザを押し込んでいく。一方のフォルタレーザも右サイドでスピードのあるFWマリーニョにボールを集めチャンスをうかがう。
   後半29分、FWマリーニョがペナルティエリア内でドリブルで仕掛けPKを誘発。ところが、このPKはFWマリーニョが失敗。
   PK失敗後もフォルタレーザは攻勢を強め、コリンチャンスをゴール前に押し込んでいく。しかし、コリンチャンスもGKカシオを中心にゴールを守り続ける。
   このまま試合を終えるかと思われた後半アディショナルタイム、フォルタレーザはMFヤゴ・ピカチューが勝ち越しゴール。間もなく試合終了の笛が鳴らされた。

   フォルタレーザは、コリンチャンスの引きこもった守備に苦しみながらも何とか勝ち点3を勝ち取り、前節での敗戦を払拭することに成功。今節もFWマリーニョが多くのチャンスを演出。自らがシュートに持ち込むだけでなく、中央や左サイドの選手が敵陣に上がる時間を作り、フォルタレーザの分厚い攻撃を牽引する一面も。
   2022年8月に期限付き移籍でフォルタレーザに加入し、今季はボイボダ監督の信頼を獲得し、中核選手へと成長を遂げたVOLカイオ・アレシャンドレも攻撃の起点として多くのチャンスを演出。一方で、ボランチとしてコリンチャンスのカウンターを事前に摘み取るなど、その存在感は試合を重ねるごとに増している。
   この勝利で全国選手権での勝ち点を35に伸ばし、6位までの勝点差は3、2位までの勝点差は6の8位をキープ。
   次戦は、9月20日に全国選手権第24節、アウェイでのサンパウロ戦。
   9月26日、10月3日には、コパ・スウアメリカーナ準決勝で再びコリンチャンスとの対戦が控えている。

   コリンチャンスは、ルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督が、コパ・スウアメリカーナを優先し、全国選手権ではコパ・スウアメリカーナや来季以降に向けた選手層の底上げに重点を置くことを明言。しかし、その傾向はすでに見て取られ、その采配で降格圏から脱出し、8試合負け知らずを続けたのは、監督の手腕によるところが大きい。
   この試合も若手のみならず長期離脱明けの選手を起用。勝ち点に結びつかなかったものの、上手く選手のモチヴェーションを維持しているように思われる。しかし、もう少し攻撃的な戦術が見たいというのが正直なところ。コパ・スウアメリカーナを終え、下の順位を気にする必要がなくなれば攻撃的な戦術を見ることができるだろうか。
   次戦は、9月18日に順延された全国選手権第15節ホームでのグレミオ戦。全国選手権第24節は9月22日にホームでのボタフォゴ戦。
   9月26日、10月3日には、コパ・スウアメリカーナ準決勝で再びフォルタレーザとの対戦が控えている。
   厳しい日程での試合が続くが、コパ・スウアメリカーナを重点に、全国選手権では多くの選手を起用し新たな一面を発掘したい。

コリチバ(CFC) 2-4 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=jOImdYYtVW8
(CFC) : 2' #19 セバスチャン・ゴメス(Sebastián Gómez, 1996)[]
(BAH) : 11' #11 ハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)[]
(BAH) : 30' #16 タシアーノ(Thaciano, 1995)[]
(BAH) : 34' #7 アデミール(Ademir, 1995)[]
(BAH) : 74' #10 ビエウ(Biel, 2001)[]
(CFC) : 90+4' #7 アンドレイ(Andrey, 1998)[#9 スリマニ(Slimani, 1988)]

見どころ(試合前の順位)

   コリチバは全国選手権3勝5分13敗勝点14の20位。
   一時は3勝1分と窮地を脱したかに思われたが、その後5連敗と再び最下位に転落したコリチバ。その5連敗中は計14失点、3失点以上が4試合と守備が崩壊している。攻撃的な選手の補強に目が行き、守備面、特に前線と中盤、最終ラインの連動した守備が損なわれているようにも感じられる。
   今節バイーア戦(現16位)、次節ヴァスコ・ダ・ガマ戦(現18位)、次々節コパ・ド・ブラジル決勝戦明けのサンパウロ戦の三試合が今後の展開を決定するように思われる。勝ち点を一つも失わずに乗り切りたい。
   バイーアは全国選手権5勝7分10敗勝点22の16位。
   バイーアは、年初からいびつで方向性の定まらない選手構成が続き、ヘナト・パイヴァ監督はクラブの迷走に翻弄された形で前節終了後に辞任を申し入れ。クラブは申し入れを受諾し、後任にホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)氏を招聘した。
   ホジェリオ・セニ監督は、サンパウロやフラメンゴなど比較的選手層に恵まれたチームでは、その独特の選手起用法で結果を残すことができていないが、発展途上中のフォルタレーザでは2018年に全国選手権2部優勝、2019年、2020年には途中引き抜きなど紆余曲折はあったものの、期待以上の成果を残している。クラブもここにきて1部残留に向けた補強を実施し、方向性に目途がついただけに、ホジェリオ・セニ監督のもと1部残留を達成したい。

得点シーン

(CFC)前半2分 :
 2' #19 セバスチャン・ゴメス(Sebastián Gómez, 1996)[]
ボールも人も良く動き、右サイドを崩して中央へクロス。中央ではFWスリマニが守備ラインを下げ、2列目のVOLセバスチャン・ゴメスがペナルティマーク付近でシュート。早くもコリチバが先制。
   VOLセバスチャン・ゴメスは、移籍ウィンドウが締まる直前の2023年8月1日にコリチバに加入。アトレチコ・ナシオナル/COLの下部組織出身で、2018年2月に期限付き移籍先のイタグイ・レオーネス/COLで21歳のプロデビュー。2019年からコリチバ加入まではアトレチコ・ナシオナルでプレーした。加入後間もない8月6日全国選手権第18節RBブラガンチーノ戦で後半14分の交代出場でクラブデビュー。その後4試合連続スタメン出場。このゴールは5試合目でのクラブ初ゴールをなった。
(BAH)前半11分 :
左サイドからFWアデミールがゴール前にクロス。クリアされたボールをVOLヤゴ・フェリピ(Yago Felipe, 1995)が頭でゴール前に送ると、CBハウウ・グスタヴォ(Raul Gustavo, 1999)が胸トラップからシュート。これはゴールポストに跳ね返されるが、FWハファエウ・ハトンがこぼれ球を押し込む。
   FWハファエウ・ハトンは、2015年にアルビレックス新潟/JPNで1試合の出場経歴あり。トゥールーズ/FRAで2年弱62試合19得点6アシストの記録を残し、2023年7月26日、250万ユーロの移籍金でバイーアに加入。8月6日全国選手権第18節アメリカ・ミネイロ戦でクラブデビュー2戦目にして先発に抜擢されるとクラブ初ゴールをマーク。翌節以降スタメン起用が続く。このゴールはアメリカ・ミネイロ戦以来の2点目。
   CBハウウ・グスタヴォは、2023年シーズン前にコリンチャンスからの期限付き移籍でバイーアに加入。2月に試合中のケガで戦列を離脱。7月に復帰を果たすが、僅か1試合7分間と出場機会に恵まれていなかった。今節はホジェリオ・セニ監督の初采配試合でスタメンに抜擢。守備面だけでなくセットプレーからの攻撃面でチームの勝利に貢献。
(BAH)前半30分 :
左サイドライン際からSBカミーロ・カンジド(Camilo Cándido, 1995)のアーリークロス。GKルアン・ポリ(Luan Polli, 1993)が両手でキャッチしようとするが、ディフェンダーと接触し落球。こぼれ球にVOLタシアーノが反応し、ゴールに蹴り込む。
   SBカミーロ・カンジドは2023年7月にナシオナル/URUからの期限付き移籍でバイーアに加入したウルグアイ国籍選手。代表戦の出場歴はないものの。2021年コパ・アメリカでは代表に選出されている。キャリアの初めはサイドアタッカーとしてプレー、その後はボランチでのプレー歴もあるポリヴァレント性の高い選手。バイーア加入後は左SBに定着。クラブ2試合目の8月6日全国選手権第18節アメリカ・ミネイロ戦ではFWエヴェラウド(Everaldo, 1991)へのアシストを記録。
(BAH)前半34分 :
自陣からのカウンター。VOLタシアーノが引っ張り、ペナルティエリアに侵入。SBカミーロ・カンジドにボールを戻すとSBカミーロ・カンジドはワントラップからシュート。コリチバGKルアン・ポリが横跳びでボールを手で弾くが、FWアデミールが詰めボールをゴールに蹴り込む。
   FWアデミールは、2023年全国選手権開幕前にアトレチコ・ミネイロからバイーアに移籍。レギュラーに定着するものの、守備的な戦術の中、攻撃面では期待された結果を残すことができなかったが、8月以降、チームが攻撃的なスタイルに変更すると、6試合2得点1アシストを記録。このゴールは前節に続く得点となった。
(BAH)後半29分 :
右SBジウベルト(Gilberto, 1993)が自陣ペナルティエリア手前でボールを奪うと、相手陣への抜け出しを図るFWビエウへロングパス。FWビエウが抜け出すとGKルアン・ポリがペナルティエリアを離れクリアを試みるが空振り。FWビエウは無人のゴールにボールを蹴り込む。
   FWビエウは、シーズン前半のバイーア攻撃陣を牽引するも、5月31日の試合中のケガで戦列を離脱。8月27日全国選手権第21節ボタフォゴ戦で復帰を果たすと、3試合連続で後半途中出場。このゴールは5月13日全国選手権第6節フラメンゴ戦以来のゴール。この試合終了時点で今季は33試合9得点6アシスト、全国選手権は10試合(うち先発5試合)3得点を記録。
(CFC)後半45+4分 :
相手陣ペナルティエリア左からMFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)がゴール前にクロス。混戦となったこぼれ球をゴールエリア外ゴールライン際でFWスリマニが確保。後方でノーマークのVOLアンドレイにボールが送られるとVOLアンドレイはダイレクトにシュート。
   VOLアンドレイは、2015年U-17W杯4試合、2015年南米U-17選手権代表9試合2得点の経歴。ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で2016年4月のコパ・ド・ブラジルで18歳でのプロデビュー。2018‐2021年にかけ4年間で148試合11得点9アシストの成績を残すが、2021年末までの契約が更新されず、2022年にコリチバに移籍。コリチバでも世代別代表に見合った実績を残せていないが、このゴールを機に出場時間を確保したい。
   FWスリマニは、2014W杯4試合2得点1アシストなどアルジェリア代表として94試合44得点を記録。母国アルジェリアで頭角を現すと、2013/14にスポルティング/PORへ移籍。約3年間で111試合57得点を記録し、レスターシティ/ENGへ移籍。レスターシティでは約1年間で46試合13得点7アシストを記録するが、次第に出場機会が減少し、期限付き移籍を繰り返す。2020/21のリヨン/FRA移籍後はポルトガルやドイツでもプレー。2023年8月21日に2024年末までの契約をコリチバと結ぶ。今節は初出場、初先発で初アシストを記録。コリチバは苦しい状況にあるが、一助となりたいところ。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:52% 48% ⇒ 前後半:53% 47%
シュート(枠内): 前半:5‐11(2-7) ⇒ 前後半:14-14(6-9)
パス成功率: 前半:86% 77% ⇒ 前後半:85% 76%
   コリチバは、前節第22節が順延され18日ぶりの試合。元アルジェリア代表FWスリマニや元ギリシャ代表VOLサマリス(Samaris, 1989)、レアルマドリード下部組織出身でトップチームでも92試合18得点15アシストの実績を残すFWホセ・ロドリゲス(Jesé Rodríguez, 1993)など移籍期間終了後に加入した選手がコンディションを上げるためには好ましい試合間隔となった。
   今節の先発には、FWスリマニとVOLサマリスが名を連ね、崩壊気味の守備ラインには右SBハイネル(Hayner, 1995)と若いCBチアゴ・ドンブロスキ(Thiago Dombroski, 2002)が抜擢。直近のフォルタレーザ戦で試合中のケガで途中交代を余儀なくされたGKガブリエウ(Gabriel, 1992)は復帰見込みが公表されない中、今節はGKルアン・ポリがゴールを守る。
   試合は、前半2分にいい形の攻撃で先制したものの、前半11分の同点ゴールを機に、前半30分に逆転、前半34分に追加点を奪われ、試合展開は難しくなる。守備陣は人数こそ揃うものの、ボール際の集中力を欠くようなプレーが続き、あっさりとゴールを許してしまう。
   後半には、GKの処理ミスからダメ押し点を奪われ万事休す。
   この敗戦で全国選手権6連敗。そのうち3失点以上喫した試合が5試合。降格圏脱出のためにはどうしても勝ちたかった第19節コリンチャンス戦は1-3、今節バイーア戦は2-4と大量失点を喫している。集中力を欠いたようなプレーも多く、短い時間で失点を繰り返す試合が続き、チームはどん底の状態。まだ16試合を残すものの、16位のチームとの勝点差は11。今の状況を鑑みると降格圏脱出は相当厳しいだろう。
   次戦は、現時点で一試合未消化、コリチバとの勝点差が3で暫定18位のヴァスコダガマとの試合。全国選手権第24節は9月21日にアウェイで行われる。

   バイーアは、ホジェリオ・セニ新監督の初采配。前節ヴァスコダガマ戦から先発メンバーを2人変更。出場停止のCBヴィトル・ウーゴ(Vitor Hugo, 1991)、VOLレオ・シタジーニ(Léo Cittadini, 1994)に代え、CBハウウ・グスタヴォとVOLヤゴ・フェリピを起用した様子見の意味合いが大きい先発構成で試合に臨んだ。
   試合は相手の致命的なミスが多く、そこに付け込み4-2の勝利。
   選手交代はいずれも攻撃的な選手。前半にゴールを挙げた3選手はお役御免とばかりにベンチに退き、交代出場のFWビエウが追加点を奪うなど、攻撃面では実戦での選手の特徴が掴めたのではないだろうか。
   一方で守備面は、試合開始直後と試合終了間際に各1失点。2失点目の直前には、GKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)が至近距離のシュートを片手で止める大ピンチもあっただけに、次節以降、課題が残ったと言えるだろう。
   この試合の結果、勝ち点3を積み上げ、降格圏最上位チームのサントスとの勝点差は4。
   次戦は、9月18日に全国選手権第24節ホームでのサントス戦。しっかりと勝ち切って、下の順位を見るのではなく、上を向いてコパ・スウアメリカーナ出場圏争いに加わりたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です