【ブラジル全国選手権2023】第23節(2/2)

投稿者: | 2023年9月14日

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全国選手権第23節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第23節(1/2)
・2023/09/13 フラメンゴ(FLA) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/09/13 インテルナシオナウ(INT) x サンパウロ(SAO)
・2023/09/14 サントス(SAN) x クルゼイロ(CRU)
・2023/09/14 フォルタレーザ(FOR) x コリンチャンス(COR)
・2023/09/14 コリチバ(CFC) x バイーア(BAH)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/09/14 RBブラガンチーノ(RBB) x グレミオ(GRE)
・2023/09/15 クイアバ(CUI) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/09/15 パウメイラス(PAL) x ゴイアス(GOI)
・2023/09/16 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x フルミネンセ(FLU)
・2023/09/16 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x ボタフォゴ(BOT)

全国選手権第23節 試合概要

RBブラガンチーノ(RBB) 0-2 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=UfRFpUw_4kU
(RBB) : 20' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(RBB) : 45+1' #28 ヴィチーニョ(Vitinho, 1999)[#11 エリーニョ(Helinho, 2000)]

見どころ(試合前の順位)

   RBブラガンチーノは全国選手権9勝9分4敗勝点36の6位。
   ブラガンチーノは、積極的なボール保持から相手陣でのプレーを継続するプレースタイルのため、不安定な試合展開が多く、下位チームから勝ち点を失うことも多い。しかし、時間とともに戦術が浸透、安定感も少しずつながら改善しており順位も来年のリベルタドーレス出場圏の6位まで浮上している。
   今節の対戦相手グレミオとは、第4節にアウェイで雨中の試合、3-3の面白い試合を展開した。この時とは、CBナタン(Natan, 2001)がナポリ/ITA移籍を果たすなど大きく先発メンバーが異なることが予想されているが、チームの成熟度でグレミオを上回り勝ち点3を収めたい。
   グレミオは全国選手権12勝3分6敗勝点39の3位。
   再昇格後一年目のグレミオだが、FWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)の獲得などシーズン前から積極的な補強を進め、ヘナト・ガウーショ(Renato Gaúcho)監督の中盤を厚くし、ゴール前でもワンタッチのパスを繰り返しゴールを奪う、面白いサッカーが嵌り、全国選手権は1試合未消化ながら3位に検討している。
   この試合の当日、U-23代表に選出されたMFビテロ(Bitello, 2000)のディナモ・モスクワ/RUSへの移籍が発表された(移籍金は約1000万ユーロ)。MFビテロは、U-23代表が親善試合を行われたモロッコからブラジルに帰国せずモスクワに直行、メディカルチェックを受けていた。
   今節はMFビテロが務めていた右WG(またはSH)のポジションにFWジョアン・ペドロ・ガウヴォン(João Pedro Galvão, 1992)の起用が濃厚。MFビテロはオン/オフ・ザ・ボールで攻撃のキーとなる働きをしていただけに、FWジョアン・ペドロ・ガウヴォンのプレーがこの試合の勝敗を左右するかもしれない。

得点シーン

(RBB)前半20分 :
FWエリーニョがペナルティエリア右手前から、ペナルティエリア深くに走り込むVOLジャジソン(Jadsom, 2001)へ絶妙のスルーパス。VOLジャジソンは角度のない位置からシュートを放つがGKガブリエウ・グランド(Gabriel Grando, 2000)が僅かに手に触れ、ボールはゴールポスト左へ流れゴールラインを割るかと思われた。しかし、FWヴィチーニョがラインを割る寸前に追いつき中に折り返すと、ディフェンダーのオウンゴールを誘いRBブラガンチーノが先制。
   VOLジャジソンは、2019年2月にエスポルチからペルナンブカーノ州選手権でプロデビュー。その直後にクルゼイロU-20チームに移籍するも、同年7月27日にはアトレチコ・パラナエンセとの全国選手権第12節で全国選手権デビューを果たす。翌2020年にはボランチのレギュラーを掴むと、その活躍に関心を持ったRBブラガンチーノと財政難のクルゼイロ間で交渉が成立、保有権の80%について540万レアル(当時のレートで約1億円強)の移籍金で2021年2月にRBブラガンチーノに入団。この年は全国選手権後半にレギュラーの座を掴み、チームの6位躍進に貢献。2022年、2023年と浮き沈みはあるものの、ポゼッションを目指すチームスタイルの中、フィルター役として活躍を続けている。
(RBB)前半45+1分 :
VOLジャジソンが右サイドライン際をボールを運び、FWエリーニョにボールを繋ぐ。FWエリーニョはゴールライン手前から左足でのクロス。右に巻き込むボールにグレミオGKガブリエウ・グランドはボールを弾き返すが、ボールはFWヴィチーニョの足元に転がり、FWヴィチーニョはゴールに蹴り込む。
   FWヴィチーニョは、2018年2月のパラナ州選手権でアトレチコ・パラナエンセから18歳のプロデビュー。2019年に36試合出場と出場機会を増やすと2021年8月にディナモ・キエフ/UKRへ600万ユーロの移籍金を残し移籍。しかし、ウクライナ戦争が起こり、2022年は再びアトレチコ・パラナエンセで期限付き移籍でプレー。2023年はディナモ・キエフからの期限付き移籍でRBブラガンチーノでプレー。スピード豊かで守備での貢献度も高い近代的なサイドアタッカー。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:14-12(4-4)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 79%
   RBブラガンチーノの先発メンバーは、W杯南米予選を戦ったエクアドル代表CBレオ・レアルぺ(Léo Realpe, 2001)、出場停止のFWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)、左SBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)に代わり、8月加入のCBルーカス・ハファエウ(Lucas Rafael, 1998)、ケガ明けで約1か月ぶりの試合となるFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)、SBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)がスタメンに名を連ねる。
   雨中の一戦は、立ち上がりからRBブラガンチーノがボールを保持、守っては相手陣でボールを奪いに行き、自陣にボールを運ばれた際も巧みにグレミオのパス回しを封じ、終始試合の主導権を握る。
   前半27分にCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)が負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われるが、交代出場のCBルアン・パトリッキ(Luan Patrick, 2002)が落ち着いたプレーでしっかりと穴を埋める。
   前半43分に、グレミオFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)が抜け出されるが、GKクレイトン(Cleiton,1997)が間合いを詰め顔面でシュートブロック。GKグランドの気合が攻撃陣に移ったか、その直後に追加点。前半終了間際には、GKクレイトンがファンブルしたボールにグレミオSBヘイナウド(Reinaldo, 1989)が至近距離からシュートを放つもGKクレイトンは片足でブロック。
   2点をリードした後半は、試合のリズムを落としつつ、自陣に引いた守備でカウンターを狙いに行く。後半16分にはVOLエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)がゴールネットを揺らす。しかし、これはオフサイドの判定。
   その後は、グレミオにゴール前に迫られシュートに持ち込まれるシーンも増えるが、最後までゴールを守り抜き、2-0の勝利。
   この勝利で、1引分けを挟み2連勝。3試合連続のクリーンシート。勝ち点を39に伸ばし、グレミオ、フラメンゴに並び、順位は暫定ながら5位。
   次戦は、9月19日全国選手権第24節アウェイでのアメリカ・ミネイロ戦。今季の3度対戦はいずれも引き分け、コパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド一回戦ではPK戦で苦杯を舐めているだけに、下位に低迷するアメリカ・ミネイロを侮ることはできない。

   グレミオは、FWビテロに代わりFWジョアン・パウロ・ガウヴォンが入り、FWルイス・スアレスとのツートップ。W杯南米予選帰りのウルグアイ代表VOLカルバージョ(Carballo, 1996)、パラグアイ代表VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)が共に中1日でスタメンに名を連ねる。
   試合は立ち上がりからRBブラガンチーノの素早い寄せに後手に回り、得意のワンタッチで上下左右にテンポ良くボールを回すパス回しが封じられ、攻撃の糸口が掴めない。序盤は相手陣のパス回しを奪われカウンターを狙われるが、次第にボールを持たれるようになり自陣に押し込まれる展開が続く。
   前半20分に先制を許すが、その後もボールの奪いどころが定まらず、押し込まれる時間帯が続く。しかし、前半終了間際の前半43分、左SBヘイナウドからのスルーパスにFWルイス・スアレスが守備ライン裏に抜け出しGKと一対一、しかし、シュートはブロックされこの試合最初の大きなチャンスを逸する。すると、この直後に失点。前半終了間際にはVOLカルバージョがペナルティエリア外やや右の位置からミドルシュート。GKグランドがファンブルしたところにSBヘイナウドが詰めシュートに持ち込むが、GKグランドに片足でブロックされ、またもや大きなチャンスを逸する。
   後半開始時に一気の3選手を交代し攻撃の立て直しを図る。RBブラガンチーノの守備が引いたこともあり、ボールを持つ時間は長くなるが、RBブラガンチーノの守備ブロックを崩すことができない。後半開始時に出場したFWガウジーノ(Galdino, 1997)が積極的にシュートに持ち込んでいく。後半20分には、FWルイス・スアレスが左サイドから中央に切れ込みペナルティエリア手前を逆サイドのFWガウジーノにボールを送り、FWガウジーノはワンタッチで丁寧に中央へ折り返し、そこにFWアンドレ(André, 2001)が走り込みシュートを放つが、ボールはGKクレイトンの正面を突き、またもや大きなチャンスを逸する。
   試合終了間際にFWガウジーノがペナルティエリア外から僅かにゴールを外れる惜しいシュートを放つが、結局最後までゴールを奪うことができず、0-2の敗戦。
   FWビテロの不在により、右サイド奥へのボールの配給がなくなり、攻撃のバリエーションが減少。FWガウジーノがFWビテロとは異なるスタイルでチャンスを作り出すも、周りとの連係が十分に噛み合わず、ゴールをこじ開けるまでには至らなかった。
   この敗戦で連勝は2でストップ。アウェイでの試合はコパ・ド・ブラジルを含めこれで4連敗で6試合未勝利。アウェイ戦で勝ち点を積み重ねることができず、首位ボタフォゴとの勝点差も詰めることができずにいる。
   次戦は、9月18日に順延となった全国選手権第15節アウェイでのコリンチャンス戦。全国選手権第24節は中2日の9月21日に得意のホームで2位パウメイラスを迎える。

クイアバ(CUI) 2-2 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6koZrYFETI8
(AME) : 11' #75 ホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)[]
(AME) : 31' #11 アゼヴェド(Azevedo, 1987)[#18 マルチネス(Martínez, 1994)]
(CUI) : 35' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[PK]
(CUI) : 41' #11 ウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)[]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権8勝4分10敗勝点28の10位。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝4分13敗勝点16の19位。

得点シーン

(AME)前半11分 :
右SBマテウス・エンヒキ(Mateus Henrique, 2002)の浅い位置からのクロスボールはディフェンダーにクリアされるが、ペナルティエリア内左でMFホドリギーニョが確保。中央に切れ込みながら放ったシュートがゴール右隅に突き刺さる。
   MFホドリギーニョは、アメリカ・ミネイロ下部組織出身で2022年1月25日のミナスジェライス州選手権で18歳のプロデビュー。2022年5月10日のコパ・ド・ブラジル三回戦CSA戦でプロ初ゴールをマークしている。2023シーズン前にトップチームに昇格するが、ケガのため初出場は6月3日の全国選手権第9節コリンチャンス戦。その後は少しずつ出場機会を与えられこの試合が終了した時点で全国選手権7試合(うち先発4試合)333分の出場、コパ・スウアメリカーナ6試合(うち先発5試合)463分の出場。両大会で1度ずつアシストを記録していたが、ゴールはこれが初ゴールとなった。
(AME)前半31分 :
自陣ペナルティエリア内から右SBマテウス・エンヒキが縦にボールを送り、FWマストリアーニ(Mastriani, 1993)が右にはたく。ボールを受けたMFマルチネスが相手陣やや左サイドに向けスルーパス。これを受けたFWアゼヴェドがドリブルで前に持ち運び、ペナルティエリア入口で中央に切れ込みシュート。ボールはゴール右隅に突き刺さるゴラッソ。
   FWアゼヴェドは、最近の公式戦5試合で2得点1アシストなど、今季はこのゴールで40試合7得点4アシストを記録。アメリカ・ミネイロは5年目のシーズンとなるが、15試合を残し得点は過去タイ記録、アシストは過去最多を更新している。
(CUI)前半35分 :
ペナルティエリア右外の位置からFWウェリントン・シウヴァが真横にライナー性のボールを送る。これはディフェンダーが胸トラップのような形でカット。空中にあるボールにFWデイヴェルソンが奪いに行ったところをディフェンダーがFWデイヴェルソンの足を刈ったとしてクイアバにPKが与えられる。このPKをFWデイヴェルソンが決める。
   FWデイヴェルソンは、これが5試合ぶりのゴールで全国選手権得点ランキングで単独3位となる9点目。4試合無得点で迎えたチームにとっても5試合ぶりの得点となった。
(CUI)前半41分 :
相手陣でアメリカ・ミネイロのパスミスを奪ったFWウェリントン・シウヴァがペナルティエリアに侵入。それを追い抜いたFWクレイソン(Clayson, 1995)へのパスは短くなりディフェンダーにカットされる。しかし、FWウェリントン・シウヴァがディフェンダーからボールを奪い返しシュート。アメリカ・ミネイロ守備陣の2度に渡るミスをゴールに繋げたクイアバが同点に追いつく。
   FWウェリントン・シウヴァは、2009年南米U-17選手権では2試合に出場。2021‐22年はガンバ大阪/JPNでプレーし、2023年2月17日にクイアバに加入。ピードと切れ味のあるドリブルが持ち味。今季は3点目、全国選手権は20試合目の出場(うち先発11試合)で初ゴールとなった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:53% 47% ⇒ 前後半:56% 44%
シュート(枠内): 前半:9‐6(4-3) ⇒ 前後半:20-8(9-3)
パス成功率: 前半:85% 75% ⇒ 前後半:85% 72%
   いずれも0-2のスコアで4連敗中のクイアバは、前節からスタメンを4人交代。
   一方のアメリカ・ミネイロは、コパ・スウアメリカーナは準々決勝でフォルタレーザに連敗を喫したものの、全国選手権は2連勝中。前節サントス戦は出場停止のFWマストリアーニがスタメン復帰、FWヴァランダ(Varanda, 2003)がベンチスタート。その変更以外は前節と変わらないスターティングイレブン。
   試合は、序盤から両チームともにシュートで終わる展開。激しい展開が予想される。
   先制は、アウェイのアメリカ・ミネイロ。前半11分に、今季トップチームに昇格したものの、ケガで合流に遅れたFWホドリギーニョの今季初ゴールが生まれる。
   その後、アメリカ・ミネイロは自陣で守備網を構築し、自陣に入るボールに素早い寄せを見せ、カウンターを狙っていく。その戦術が嵌り、前半31分に自陣ペナルティエリア内からボールを繋ぎ、最後はFWアゼヴェドのゴラッソで追加点を挙げる。
   追うホームのクイアバも、前半34分、失点直後のキックオフからの一連のプレーで、FWデイヴェルソンが獲得したPKを自らが決め1点差。(このPKの判定は、ディフェンダーがコントロールしている浮き球に対し、FWデイヴェルソンが奪いに行き、足が接触してFWデイヴェルソンが倒れたことによるPK判定。クイアバにとっては幸運な、アメリカ・ミネイロにとっては気の毒な判定に感じられた。)
   前半41分に、クイアバは、相手の油断の隙を突いたゴールで同点に追いつく。
   ハーフタイムで修正が施された両チームだったが、攻撃面ではクイアバが攻め急ぐことなく、しっかりとボールを保持。一方のアメリカ・ミネイロは、守備面でスペースを消そうとするが、クイアバの攻撃がそれを上回る。
   クイアバは、後半7分にVOLデニウソン(Denilson, 2001)が個人技で中央を上がりミドルシュート、後半19分にはFWウェリントン・シウヴァ、FWデイヴェルソンがワンタッチでパスを繋ぎ、最後はMFセペリーニ(Ceppelini, 1991)が強烈なシュートを放つがGKカヴィキオリ(Cavichioli, 1986)が横跳びで両手でCKに逃れるデフェザッサ。
   その後もクイアバがゴールに迫り続けると、後半32分にアメリカ・ミネイロはCBダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)が2枚目のイエローカードで退場。
   クイアバは選手交代で攻撃の圧力を強めるが、アメリカ・ミネイロもGKカヴィキオリの好セーブなど、守備陣がゴールを守り抜き、後半は両チームともゴールを陥れることができず終了。2-2の引き分けに終えた。

   クイアバは、5試合ぶりの得点。しかし、数的有利を生かせず、連敗を4で止めたものの勝ち点2を失ったと言える試合内容。
   全国選手権での総得点は23で5番目に少ない。内訳はFWデイヴェルソンが9得点、VOLハニエリ(Raniele, 1996)とFWクレイソン(Clayson, 1995)が2得点、あとは9選手が1得点とオウンゴール。7月移籍加入のFWクレイソンは9試合2得点と期待通りの成績を残しているものの、それに続く選手が出てきてほしいところ。速いパスで左右を広く使った攻撃は見ごたえがあるだけに、FWデイヴェルソンの近くでのプレーや、二列目から前線に飛び出すプレーで得点力を強化したい。
   次戦は、9月23日に全国選手権第24節、アウェイでのアトレチコ・ミネイロ戦。

   アメリカ・ミネイロは、2点のリードを守り切れず痛い引き分け。
   1点目は右サイドを崩し、ゴール前で逆サイドに流れたボールを、左サイドのMFホドリギーニョが内に絞りゴールをマーク。2点目は、自陣ペナルティエリアからのカウンターを仕留めたゴラッソコレチーボ。いい形で2点を奪ったものの、不運なPKの判定と自陣ペナルティエリア内でのミスから失点を喫し前半のうちに同点、後半には退場者を出すなど、自ら勢いを失う内容で引き分けに終えた。
   この結果、一試合未消化とは言え、16位チームとの勝点差は8に広がった。しかし、コパ・スウアメリカーナやコパ・ド・ブラジルを勝ち上がり、厳しい日程と引き換えにMFホドリギーニョなど選手が成長。今後はコパ・スウアメリカーナの敗退により全国選手権に集中できるなど、状況、環境は良くなりつつある。
   今節は引き分けとはいえ、これで全国選手権は3試合負けなし。不用意なカードや不注意なミスを減らし、今後も勝ち点を積み上げていきたい。
   次戦は、全国選手権第24節、9月19日にホームにRBブラガンチーノを迎える。

パウメイラス(PAL) 1-0 ゴイアス(GOI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=eEn-zFECvW4
(PAL) : 90+6' #19 ブレーノ・ロペス(Breno Lopez, 1996)[]

見どころ(試合前の順位)

   パウメイラスは全国選手権11勝8分3敗勝点41の2位。
   ゴイアスは全国選手権6勝7分9敗勝点25の15位。

得点シーン

(PAL)後半45+6分 :
左SBピケレス(Piquerez, 1988)からゴール前に低いライナー性のクロス。ディフェンダーのクリアや、VOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000)のシュートなど、混戦でボールが落ち着かない中、自身に向かいこぼれたボールをしっかりと懐に呼び込み、FWブレーノ・ロペスがディフェンダーの合間を縫ったシュートでゴールを奪う。
   FWブレーノ・ロペスは2020年11月13日にパウメイラスに加入。2021年1月30日のリベルタドーレス決勝サントス戦で後半40分にピッチに立つと試合終了直前の後半45+9分に決勝点をマーク。ポジションに定着できないものの、スピードとボールキープ力を武器にスーパーサブとして多くの試合に出場。2023年はこの試合を終えた時点でチーム全56試合のうち45試合に出場(うち先発7試合)5得点4アシストを記録。今節も後半44分からの出場で大きな仕事を成し遂げた。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:7‐4(3-1) ⇒ 前後半:17-6(6-2)
パス成功率: 前半:81% 73% ⇒ 前後半:81% 73%
   パウメイラスは、公式戦はリベルタドーレスの3試合を含め最近の7試合を負けなしで終えているが、直近の2試合はスコアレスドロー。全国選手権を盛り上げるためにも首位ボタフォゴとの勝点差を広げられたくない。
   今節は、W杯南米予選に出場したウルグアイ代表SBピケレス、パラグアイ代表CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)が中2日で先発出場。ブラジル代表MFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)は風邪の症状がありベンチスタート。今節も右SBのマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)とマイキ(Mayke, 1992)を縦に並べ、前線に高さのあるFWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)を抜擢する。
   一方のゴイアスは、コパ・スウアメリカーナと並行した厳しい日程の中、全国選手権は8試合負けなし。3勝5分と勝ち切れてはいないが、少しずつ勝ち点を積み上げ、降格圏に低迷していたチームは降格圏まで勝点差4の貯金を作っている。この8試合は得点も失点も1点以下のロースコアゲーム。今節の対戦相手パウメイラスとは第4節に対戦し0-5の大敗を喫したが、今節はその雪辱を果たしたい。
   今節は、右SBマギーニョ(Maguinho, 1992)、右CBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)の最終ラインの主力選手2人、攻撃の要MFギリェルミ(Guilherme, 1991)が出場停止。代わりに8月2日以来の出場となるSBブルーノ・サントス(Bruno Santos, 1993)、CBシジマール(Sidimar, 1992)、7月半ばに加入したMFハファエウ・グッツォ(Raphael Guzzo, 1995)が抜擢される。
   大方の予想通り、パウメイラスがボールを支配し、ゴイアスが自陣で固く閉じる展開。
   パウメイラスは創造性に欠ける攻撃が続き、前半25分に最終ラインの裏を突いたFWホニ(Rony, 1995)の強烈なシュートがゴイアスGKタデウ(Tadeu, 1992)の好セーブに阻まれた以外は、前半のシュートはどれもGKタデウにたやすく処理される。
   一方のゴイアスは、前半26分、GKタデウのロングフィードにFWジョアン・マギノ(João Magno, 1997)が空中戦で競り勝ち、ボールを前方にそらすと、FWアラーノ(Allano, 1995)がボールを拾い、強烈なシュート。しかし、今度はパウメイラスGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)が好セーブでCKに逃れる。
   前半のダイジェストは上記の2シーンのみ。前半は単調なリズムで終えたが、後半もそのリズムが続く。
   パウメイラスは後半15分、後半23分に選手交代。前線にFWエンドリッキ(Endrick, 2006)、FWケヴィン(Kevin, 2003)、MFハファエウ・ヴェイガを投入し、スピードで攻撃の圧力を強める。
   後半30分にMFハファエウ・グッツォがこの試合2枚目のイエローカードで退場。しかし、パウメイラスの攻撃は創造性を欠きゴールをこじ開けることができない。
   後半42分には、ゴイアスがFKを起点とするゴール前の混戦からFWアレソン(Alesson, 1999)がゴールネットを揺らすが、一連のプレーでオフサイドが検出されゴールは認められない。
   実質的なラストプレーでパウメイラスFWブレーノ・ロペスがゴールをこじ開けパウメイラスが1-0の勝利。主力3選手を欠き退場者も出したゴイアスは悔しい敗戦。勝ち点を失いたくないパウメイラスは苦しみながらも勝ち点3を勝ち取った。

   パウメイラスは、FWドゥドゥ(Dudu, 1992)が今季絶望となり3試合が経過したが、いまだ解決策が見つからない。高さのあるFWフラッコ・ロペスを真ん中に置くことで、ゴールライン際までボールを持ち上がる前にクロスを供給する場面が増え、FWフラッコ・ロペスのクロスへの入り方がFWドゥドゥと異なるため、クロスの性質が変わり、FWホニやMFアルトゥールのクロスへのアプローチも難しくなっているように感じる。
   一方で苦しみながらも勝ち点3を勝ち取ったのは地力の証。この3試合は無失点で終え守備面は安定している。今季最大の目標となるリベルタドーレス制覇のためにも、全国選手権を有効に使い、攻撃面での深化を進めたい。
   次戦は、9月21日に全国選手権第24節、アウェイでのグレミオ戦。

   ゴイアスは悔しい敗戦。主力の3選手を欠き退場者を出す中、GKタデウを中心にゴールを守り切っていたが最後の最後にゴールを奪われてしまった。しかし、ここ最近の試合ではパウメイラスやグレミオなど上位チームとの対戦でも最少得点でしのぐなど守備面での自信は深まっているはず。攻撃面でも高さのあるFWジョアン・マギノのポストプレーや、MFギリェルミの精度の高いセットプレーからゴールに迫っており、残留に向け視界は明るい。
   一方で、今季は少し改善が見られるが、これまでのような短期的な視野の選手構成、例えば期限付き移籍加入やシーズン途中の実績のある選手の大会終了までの短期契約などを見直し、中長期の視点に立ったチーム作りを促し、毎年の恒例行事のようになりつつある残留争いも抜け出してもらいたい。
   今節の結果、勝ち点を伸ばすことができず、全国選手権は16位に一つ転落。しかし依然、降格圏17位との勝点差は4。降格圏内のヴァスコ・ダ・ガマやアメリカ・ミネイロも調子を上げてきているだけに、守備に重点を置いた試合で勝ち点を積み上げ残留を果たしたい。
   次戦は、9月20日に全国選手権第24節アウェイでのフラメンゴ戦。フラメンゴはコパ・ド・ブラジル決勝戦の谷間の試合。しっかりと勝ち点3を勝ち取りたい。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 4-2 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=VOk_kg0uiYI
(VAS) : 23' #21 プラシェデス(Praxedes, 2002)[#31 ホッシ(Rossi, 1993)]
(FLU) : 46' #12 マルセロ(Marcelo, 1988)[#23 グーガ(Guga, 1998)]
(VAS) : 50' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#31 ホッシ(Rossi, 1993)]
(FLU) : 56' #45 リマ(Lima, 1996)[#23 グーガ(Guga, 1998)]
(VAS) : 74' #11 ガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)[]
(VAS) : 85' #11 ガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)#99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権4勝5分12敗勝点17の18位。
   フルミネンセは全国選手権11勝5分6敗勝点38の5位。

得点シーン

(VAS)前半23分 :
FWホッシが右サイドで一対一の対峙を制し、ゴールライン際に抜け出しゴール前にクロス。MFプラシェデスがディフェンダーの前に走り込み頭を合わせヴァスコが先制。
   MFプラシェデスは、2023年7月26日にRBブラガンチーノから2023年末までの買取オプションが付与された期限付き移籍でヴァスコに加入。直後の7月29日全国選手権第17節コリンチャンス戦からスタメンに起用され、出場停止試合以外のすべての試合にスタメン出場。このゴールは自身6試合目の出場でクラブ初ゴールとなった。
(FLU)後半1分 :
左SBマルセロがペナルティエリア内右で右SBグーガとの縦のタベーラ。マルセロのさらに外にMFリマがポジションを取ったことでマルセロへの寄せが甘くなり、マルセロはこの隙を逃さずシュート。フルミネンセが同点。
   SBマルセロは、2014、2018W杯など代表で58試合5得点。フルミネンセ下部組織出身で2005年11月13日全国選手権第38節ヴァスコ・ダ・ガマ戦で17歳のデビュー。2006年にレアルマドリード/ESPに移籍すると、約15年間で546試合38得点を記録。2023年3月にオリンピアコス/GREからフルミネンセに再加入。相次ぐケガに悩まされるものの、試合では球さばきだけでなくポジショニングや判断力で違いを見せる。このゴールはリオデジャネイロ州選手権決勝2ndレグでのクラブ再デビュー戦以来の2ゴール目。
   SBグーガは、アヴァイー下部組織出身で2018年2月のサンタカタリーナ州選手権で19歳のプロデビュー。2019年にアトレチコ・ミネイロに移籍し、4年間で158試合2得点12アシストを記録。2023年シーズン前にフルミネンセに加入、SBサムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)と激しいポジション争いを繰り広げている。ライバルに比べると守備的だが、この試合では2つのアシストを記録するなどクロスの精度は高い。
(VAS)後半5分 :
右CK。FWホッシが蹴ったボールに、FWベヘッチがペナルティマーク付近からニアサイドに上がり頭を合わせる。
   FWベヘッチは、アルゼンチン国籍のセンターフォワードで直近のアルゼンチンリーグ得点王。2023年8月4日にヴァスコ入りが発表されると2日後の8月6日全国選手権第18節グレミオ戦で決勝点となるクラブ初ゴールをマーク。この試合が自身6試合目ながら4得点1アシストを記録。アルゼンチンリーグ得点王の肩書は伊達ではない。
   FWホッシは、2023年8月9日に今季末までの契約でヴァスコ・ダ・ガマに加入。2012年にポンチプレッタから21歳のプロデビューし、中国を含め多くのクラブでプレー。2019年にはヴァスコ・ダ・ガマで41試合4得点5アシストを記録しており、今回がヴァスコでの2度目のシーズンとなる、この試合は8月20日全国選手権第20節アトレチコ・ミネイロ戦での19分間の出場以来となったが、スタメン抜擢の期待に応え2アシストを記録。さらに守備面では5回のボール奪取を記録した。来年以降もヴァスコのユニフォーム姿でのプレーを期待したい。
(FLU)後半11分 :
相手陣に入った所やや右サイド寄りの位置からVOLアンドレ(André, 2001)が縦にゴールライン際までグラウンダーのパスを通す。SBグーガがダイレクトにゴール正面中央へマイナスのクロス。MFリマがダイレクトに右足を振り抜く。
   MFリマは、グレミオ下部組織出身で2017年3月に20歳でプロデビュー。2017年、2019‐22年に期限付き移籍、完全移籍でプレーしたセアラーではレギュラーの座を獲得。セアラーでは中盤の選手ながら181試合の出場で25得点を記録(19アシスト)。2023年シーズン前にフルミネンセに加入し、この試合を終えた時点で48試合5得点4アシストを記録。攻撃的なセンスもさることながら守備への貢献度や戦術理解度も高く、フェルナンド・ジニース監督のもと重宝されている。
(VAS)後半29分 :
自陣ペナルティエリア手前でVOLゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1991)がパスカット。そこから素早く相手陣に向けボールを蹴りだす。FWガブリエウ・ペッキがディフェンダーと並走、ディフェンダー間の連係ミスをつきFWガブリエウ・ペッキがシュートに持ち込みゴールを奪う。
   VOLゼ・ガブリエウは、育成時代をコリンチャンス、インテルナシオナウで過ごし、インテルナシオナウから2019年7月14日全国選手権アトレチコ・パラナエンセ戦で20歳のプロデビュー。2020年にはレギュラーの座を獲得するも、監督交代を機に出場機会を減らしていく。インテルナシオナウとの契約満了を機に2022年にヴァスコ・ダ・ガマに加入したものの、ケガなどの影響もあり、あまり多くの出場機会に恵まれていなかった。しかし、2023年7月のラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督の就任に合わせ、守備ラインの一列前でフィルター役としてチャンスを得ると、ポジションに定着。このプレーは持ち味のペナルティエリア手前でのパスカットから、前線へパスを供給しゴールに関与。ラモン・ディアス監督の替えの効かないピースとなりつつある。
(VAS)後半40分 :
自陣からのパスを右サイドライン際で受けた右SBプーマ・ロドリゲス(Puma Rodríguez, 1997)が浅めの位置からゴールエリアファーサイドへクロス。FWベヘッチが頭で中央に折り返したボールにFWガブリエウ・ペッキが飛び込む。
   FWガブリエウ・ペッキは、ヴァスコ・ダ・ガマ下部組織出身で2019年9月7日全国選手権第18節バイーア戦で18歳のプロデビュー。2020年にトップチームに昇格すると、2021年、2022年はレギュラーとして多くの試合に出場。2023年はマウリシオ・バルビエリ新監督の下、右サイドでのプレーからストライカーとしての素質が開花し、15試合目でキャリアハイの8得点をマークした。しかし、その後はチームの低迷に合わせ自身の成績も低下。監督交代後は、左サイドのやや中央寄りでの位置でプレー。7月29日全国選手権第17節コリンチャンス戦で途中出場から15試合ぶりのゴール。この試合も途中出場から2得点。今後は、持ち味のスピードやライン裏への飛び出しを生かすため、スーパーサブとしての出場が多くなるかも知れない。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:44% 56% ⇒ 前後半:37% 63%
シュート(枠内): 前半:3‐6(1-3) ⇒ 前後半:8-19(4-8)
パス成功率: 前半:81% 88% ⇒ 前後半:80% 88%
   ヴァスコ・ダ・ガマは、積極的な補強と、7月に就任したラモン・ディアス監督による守備の再構築により、最近の5試合を計3失点、2勝2分1敗と勝ち点を積み上げることに成功、一時の最悪期を完全に脱却した。
   今節は、守備の要CBメデル(Medel, 1987)が出場停止の一方、VOLゼ・ガブリエウが出場停止明けの復帰。これまでCBが本職のホビソン・バンブー(Robson Banbu, 1997)が務めてきた右SBに本職のプーマ・ロドリゲス、中盤の高い位置にボール奪取力が高くキープ力もあるVOLマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)、右サイドの高い位置に自身2試合目の出場となるFWホッシを抜擢。チーム状況が上向きの中、あえて多くの変更を加えてきた。
   フルミネンセは、公式戦は最近の10試合で7勝2分1敗、その中には準決勝進出を決めたリベルタドーレスでの3勝1分が含まれ、チーム状態は一時の不振を脱したように見受ける。フェルナンド・ジニース監督がブラジル代表の代行監督と掛け持ちとなり、国際Aマッチデーの期間のトレーニングによる戦術の落とし込みに多少の不安が残る。
   先発メンバーは前節フォルタレーザ戦から2つのポジションを変更。出場停止の右SBサムエウ・シャヴィエルに代えSBグーガ、前節試合終了間際に決勝点を挙げた左SBジオゴ・バルボーザ(Diogo Barbosa, 1992)に代えSBマルセロを起用。
   試合はいつもの通りボールを保持し、細かいパス回しから相手ゴールに迫る展開。ヴァスコ・ダ・ガマの高い位置でのマークに苦労するものの、前半18分にはショートコーナーから、前半20分にはFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)からパスを受け、FWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)がシュートに持ち込むが、いずれもヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が好セーブでゴールを守り切る。
   GKレオ・ジャルジンの奮闘に応えるかのように、ヴァスコ・ダ・ガマは前半23分にFWホッシの個人技から先制点を奪う。
   その後もそれまでと同様の試合展開。ヴァスコの守備はやや下がり気味になるものの、自陣に入るボールに対する寄せは速く、フルミネンセの速いパス回しにしっかりと対応する。
   前半終了間際には、フルミネンセはまたもやFWジョン・ケネジーが相手陣中央でボールを持ち上がり、やや左の位置からシュートに持ち込むが、今回はGKレオ・ジャルジンの脇を抜けたもののゴールポストに弾かれる。
   後半開始間もない後半1分、フルミネンセは左右のSBが縦に並びパス交換から同点に追いつく。しかし、その4分後の後半5分にはヴァスコがCKから得点し再びリード。さらにその6分後の後半11分、VOLアンドレの見事な縦パスからフルミネンセが再び同点。前半から密度の濃い試合は得点を重ねさらに熱を帯びていく。
   ヴァスコのラモン・ディアス監督はここで2得点に絡んだFWホッシをベンチに下げFWガブリエウ・ペッキを投入。この思い切った采配が功を奏す。後半29分、自陣からのボールをFWガブリエウ・ペッキが競り合い、相手のミスを誘発しゴール。後半40分には最近の試合でCBが本職のホビソン・バンブーにスタメンの座を譲っていたプーマ・ロドリゲスのクロスを起点にFWベヘッチを経て、FWガブリエウ・ペッキがこの試合自身2点目、チーム4点目のゴールを奪い試合を締めくくる。
   白熱したクラシコは、ホームのヴァスコ・ダ・ガマが4-2で勝利を収めた。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、これまで再構築に努めた守備を軸にカウンターやセットプレーから4得点をマーク。久しぶりに起用された選手や交代出場選手が次々と活躍。先述の通りチーム状況が上向く中、先発メンバーを大きく変更、同点の状況で7月8日以来の出場となる若いVOLマテウス・カルヴァーリョ(Mateus Carvalho, 2002)をピッチに送り出すなど、ラモン・ディアス監督の思い切った采配でクラシコを快勝。
   前節まではCBホビソン・バンブーを右SBに、今節はVOLマルロン・ゴメスを高い位置、FWガブリエウ・ペッキを以前の右サイドライン際に固定せず中央寄りで起用するなど、ラモン・ディアス監督が選手の新しい可能性を引き出しチームの競争力を高めている。
   この勝利で勝ち点を20に伸ばしたものの順位は18位のまま。残留圏までの勝点差は5ポイントと依然厳しい状況は続くが、チーム状況は確実に上向いており、この勢いをさらに加速させたい。
   次戦は、9月21日に全国選手権第24節ホームにコリチバを迎える。

   フルミネンセは、2度のビハインドを同点に持ち込んだものの、ミスからの失点で決勝点を奪われ敗戦。6試合ぶりの黒星を喫した。ボールの受け手となるFWジョン・ケネジーが、連係プレーや個人技から多くのチャンスを演出し最近の好調ぶりを維持。一方で、ボールの送り手となるMFジョン・アリアス(Jhon Arias
, 1997)が前半39分に右足首を痛め交代、ケガの状態は発表されていない。ボールの送り手としたは、MFガンソ(P.H.Ganso, 1989)も戦列を離脱しており、MFジョン・アリアスが長期離脱するとなると、リベルタドーレスを控え、事態は深刻化する。
   ヴァスコ・ダ・ガマのラモン・ディアス監督とは対照的に、今季のフルミネンセは起用される選手が固定化し、FWジョン・ケネジーやVOLアレキサンデルなど一部の例外を除き、あまり多くの選手に十分な機会が与えられていない。好調時は美しいサッカーを披露するもののおらず、特定の選手への依存度が高くなりすぎており、特定の選手の調子に合わせ周期的に好不調の波が訪れている。チームの安定感や継続性を保つためにも、チーム戦術の幅広い浸透を期待したい。
   次戦は、9月20日に全国選手権第24節ホームでのクルゼイロ戦。その後は全国選手権一試合を挟み、9月27日と10月4日にリベルタドーレス準決勝インテルナシオナウ戦が予定されている。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 1-0 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ZjH8fVh-_wk
(CAM) : 81' #9 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#38 ペドリーニョ(Pedrinho, 1998)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権8勝7分7敗勝点31の9位。
   ボタフォゴは全国選手権16勝3分3敗勝点51の首位。

得点シーン

(CAM)後半36分 :
自陣のパス回しに中盤に下がってボールを受けたMFペドリーニョが対角線上に守備ライン裏へロングフィード。そこに抜け出しを図るFWパウリーニョがディフェンダーのチェックを振り切り、角度のない位置からシュート。間合いを詰めるGKの脇を抜けたボールはニアサイドのポストを叩きファーサイドのゴールネットに吸い込まれる。
   FWパウリーニョは、2020東京五輪代表、2023年9月のU-23親善試合代表にも招集。ヴァスコ・ダ・ガマ下部組織出身で2017年に16歳でトップチームデビュー。デビュー戦でアシスト、3試合目に初ゴールを含む2得点を記録。2018/19シーズンにバイエル・レバークーゼン/GERへ移籍。5シーズン79試合9得点4アシストを記録するが、次第に出場機会を失っていき、2023年1月、完全移籍を前提にした期限付き移籍でアトレチコ・ミネイロに加入。今季はこの試合を含め46試合20得点6アシスト。一時はスランプに陥っていたが、最近の5試合は5得点の活躍。生まれながらのストライカーが再び輝きを取り戻しつつある。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:46% 54%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:12-6(5-1)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 87%
   アトレチコ・ミネイロは、6月から8月にかけて約2か月間勝ち星のない苦しい状況が続いたが、その後は4勝2分1敗と調子を取り戻している。
   今節は、CBジェメルソン(Jemerson, 1992)とFWフッキ(Hulk, 1986)が出場停止。CBレーモス(Lemos, 1995)とFWアラン・カルデッキ(Alan Kardec, 1989)が代わりを務め、ボランチにはVOLバタグリア(Battaglia, 1991)が出場停止明けで先発に復帰。
   一方のボタフォゴは、コパ・スウアメリカーナ準々決勝2ndレグに敗れ同大会を敗退するとともに、公式戦19試合連続無敗記録が途切れると、前節フラメンゴ戦も落とし連敗中。
   今節は、前節から出場停止のVOLガブリエウ・ピーレス(Gabriel Pires, 1993)を含め3選手を変更したスターティングイレブンで、公式戦の連敗阻止を図る。
   試合は立ち上がりから均衡状態を保つ。お互いにあまり高い位置でプレスに行かず、中盤に入るボールには素早く寄せ、お互いに攻撃の糸口を掴ませない。両チームとも、相手の素早い寄せを掻い潜りクロスやミドルシュートに持ち込むがいずれも精度に欠く。
   流れの中で大きなチャンスが訪れない中、アトレチコ・ミネイロは前半11分、ゴール正面約27mのFKを獲得。CBレーモスが直接狙ったボールは、ボタフォゴGKルーカス・ペリ(Lucas Perri, 1997)が必死に伸ばした両手を掠め、クロスバーに当たり枠を越えていく。このプレー以降、アトレチコが比較的優位に試合を展開、流れの中ではチャンスを迎えることができないが、前半30分のペナルティエリア左からのMFパボン(Pavón, 1996)が直接狙ったFKはGKルーカス・ペリがCKに逃れ、前半41分の左CKはFWパウリーニョが頭に合わせるがボールは僅かにゴール右に外れるなど、セットプレーからチャンスを迎えていく。
   後半開始時、ボタフォゴはGKルーカス・ペリが前半終了間際の相手選手との接触で背中を痛め、GKガチット・フェルナンデス(Gatito Fernández, 1988)と交代するアクシデント。後半12分、アトレチコはゴール正面ペナルティエリア内でFWパウリーニョがFWアラン・カルデッキとのタベーラからヒールで戻されたボールをシュートに持ち込むが、元パラグアイ代表GKガチット・フェルナンデスはCKに逃れるファインセーブ。
   ボタフォゴも時間の経過とともに疲れの見える前線の選手を次々に交代。ボールを支配するようになり相手陣でのプレー時間が長くなる。しかし、攻撃のアイディアに欠けアトレチコゴールに迫ることができない。
   すると、後半36分、MFペドリーニョの一本のロングパスからFWパウリーニョがディフェンダーのマークをはがしゴール。
   このまま試合は1-0で終え、アトレチコ・ミネイロが勝利を収めた。

   アトレチコ・ミネイロが8月27日サントス戦がこけら落としとなったアレーナMRVで2連勝。CBレーモスとCBフッキス(Fuchs, 1999)がボタフォゴFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)に仕事をさせず、VOLバタグリアが守備ラインの手前でフィルター役、そして攻撃面では起点となる活躍。前線ではMFパボンとFWパウリーニョがよくボールに絡み、FWパウリーニョは決勝点をマーク。
   出場停止でFWフッキが不在の中、攻撃面が不安視されたが、決めるべき人がゴールを決め、首位ボタフォゴを相手に勝ち点3を獲得。
   この結果、勝ち点を34に伸ばし、来季のリベルタドーレス出場圏の6位まで勝点差4の9位。何とか上位グループに踏みとどまった。
   次戦は、9月23日に全国選手権第24節、2連勝中のホームスタジアムアレーナMRVにクイアバを迎える。

   ボタフォゴは、FWチキーニョ・ソアレスにボールが入らず苦しい展開。ケガ明けのFWチキーニョ・ソアレスはオフザボールでの動きも精彩を欠いた。また、今季のボタフォゴの攻撃で印象的なパス&ゴーや前の選手を次々と追い抜くスピード感のある展開でゴールに迫る場面も影を潜め、負けるべくして負けたと言える内容の試合。
   FWチキーニョ・ソアレスに代わりピッチに立ったFWジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1988)が攻撃陣の閉塞感を破るプレーを見せたが、攻撃陣全体に波及せず。FWジエゴ・コスタは後半44分にゴールネットを揺らしたもののオフサイドの判定でゴールは認められず、そのまま試合を終えた。
   ボタフォゴは2位パウメイラスまで勝点差7のアドヴァンテージがあるものの、公式戦3連敗を喫しチーム状況は明るくない。先述の通り、今季のボタフォゴを象徴するようなプレーが影を潜めており、早くボタフォゴらしい試合展開を取り戻したい。
   次戦は、9月22日に全国選手権第24節アウェイでのコリンチャンス戦。

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