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全国選手権第24節 対戦組合せ
以下の6試合の概要はこの記事で。
・2023/09/18 バイーア(BAH) x サントス(SAN)
・2023/09/19 アメリカ・ミネイロ(AME) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/09/20 ゴイアス(GOI) x フラメンゴ(FLA)
・2023/09/20 フルミネンセ(FLU) x クルゼイロ(CRU)
・2023/09/20 サンパウロ(SAO) x フォルタレーザ(FOR)
第15節順延分
・2023/09/19 コリンチャンス(COR) x グレミオ(GRE))
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第24節(2/2)
・2023/09/21 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x コリチバ(CFC)
・2023/09/21 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/09/21 グレミオ(GRE) x パウメイラス(PAL)
・2023/09/22 コリンチャンス(COR) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/09/23 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クイアバ(CUI)
全国選手権第24節 試合概要
バイーア(BAH) 1-2 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=3Kwrjbqp9Uk
(BAH) : 59' #38 カミーロ・カンジド(Camilo Cándido, 1995)[#2 ジウベルト(Gilberto, 1993)]
(SAN) : 73' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#28 ジョアキン(Joaquim, 1998)]
(SAN) : 90+4' #11 フリオ・フルチ(Julio Furch, 1989)[#28 ジョアキン(Joaquim, 1998)]
見どころ(試合前の順位)
バイーアは全国選手権6勝7分10敗勝点25の15位。
サントスは全国選手権5勝6分12敗勝点21の17位。
得点シーン
(BAH)後半14分 :
FWアデミール(Ademir, )が右サイドライン際からドリブルでペナルティエリア横までボールを運びペナルティエリア入口中央へマイナスのクロス。FWハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)が走り込むシュートを放つがディフェンダーがブロック。こぼれ球を右SBジウベルトが拾い、ペナルティエリア入口左の左SBカミーロ・カンジドへボールを送る。フリーの態勢でボールを受けた左SBカミーロ・カンジドがワントラップから左足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さる。
SBカミーロ・カンジドは2023年7月にナシオナル/URUからの買取オプション付き期限付き移籍(2024年7月末まで)でバイーアに加入したウルグアイ国籍選手。出場機会はなかったものの、2021年コパ・アメリカでは代表に選出されている。キャリアの初めはサイドアタッカーとしてプレー、その後はボランチでのプレー歴もあるポリヴァレント性の高い選手。バイーア加入後は左SBに定着。このゴールがバイーアでの初ゴール。
(SAN)後半28分 :
ゴール正面約30mのFK。MFソテウド(Soteldo, 1997)がゴールエリア左に上げたボールにCBジョアキンが頭で中央へ折り返す。そこにFWマルコス・レオナルドが飛び込みゴールネットを揺らす。
FWマルコス・レオナルドは、サントス下部組織出身で2020年8月20日全国選手権第4節エスポルチ戦で後半35分の途中出場で17歳でのプロデビュー。デビュー年からトップチーム600分強の出場で5得点を記録。2021年にはレギュラー争いを繰り広げ、2022年にレギュラーの座を獲得、57試合21得点5アシストを記録。2023年は、U-20W杯の出場や移籍を巡るトラブルで試合を欠場する期間もあったが、この試合が終えた時点で36試合17得点4アシスト、全国選手権は18試合9得点2アシストで得点ランキングの3位につけている。
(SAN)後半45+4分 :
VOLジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)が蹴る右CKは、大きな弧を描きゴールから離れる軌道。ペナルティエリア入口中央でCBジョアキンが頭に合わせると、ゴールエリア入口のフリオ・フルチが胸トラップから左足を振り抜く。ボールはGKの脇を抜けゴールネットを揺らす。
FWフリオ・フルチは、2023年7月に2年間の契約でサントスに加入。アルゼンチンの中堅クラブ、オリンポ下部組織出身で複数のクラブを経て、2014/15シーズンにメキシコへ移籍。3つのクラブで計10年間プレーした。身長189㎝の長身センターフォワード。サントス加入後は途中出場が主ながら190分の出場で2得点を記録。サントス残留のためにも高い得点力を今後も発揮したい。
CBジョアキンは、2019年に当時サンパウロ州選手下位リーグのパウリスタから21歳でプロデビュー。デビュー後も下位リーグでの移籍が続くが、2021年、将来性を買われクイアバに加入。2023年2月にサントスが60%の保有権に対して300万ユーロ相当の移籍金で獲得。的確なポジショニングとカバーリング、空中戦で強さを発揮し、5月以降はレギュラーとして活躍。相次ぐ監督交代の中、右SBでの起用などもあったが、安定した守備力で多くの試合に出場している。この試合では、セットプレーでのターゲットとして2ゴールをアシスト。得点力不足のサントスのセットプレーでのオプションになりえるプレーだった。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:58% 42% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:8‐7(3-3) ⇒ 前後半:17-15(5-8)
パス成功率: 前半:86% 79% ⇒ 前後半:86% 79%
残留争いから一歩抜け出した15位バイーアと降格圏に低迷する17位サントスとの一戦。両者の勝点差は4、両チームとも勝ち点3が欲しい試合。
バイーアは、ホジェリオ・セニ監督の初采配となった前節コリチバ戦に4-2の勝利。今節のスタメンは、前節出場停止のCBヴィトル・ウーゴ(Vitor Hugo, 1991)がスタメン復帰、ヘゼンジ(Rezende, 1995)が出場停止のためアセベド(Acevedo, 1999)がボランチに入る。
一方のサントスは、前節クルゼイロ戦に0-3の完敗。試合後にディエゴ・アギーレ監督を僅か5試合で解任。今節はマルセロ・フェルナンデス(Marcelo Fernandes)アシスタントコーチが監督代行を務める。
マルセロ監督代行は、従来の4バックで両サイドにスピード豊かなウィングを配置した3トップを捨て、3バックで中盤の攻撃的なポジションにボールキープ力のある3選手を配置、5人の選手を入れ替える大胆な選手起用。
試合は、大方の予想を裏切り、開始20秒でFWマルコス・レオナルドがゴールポストを直撃するシュート、前半3分にはMFジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)がスピード豊かなドリブルでボールを持ち上がりシュートを放つと、続くCKからFWマルコス・レオナルドがシュートに持ち込むなど、サントスが立て続けにバイーアゴールに襲い掛かる。しかし、バイーアはGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)の再三の好守でピンチを乗り切ると、次第に落ち着きを取り戻し、相手陣でのボール回しから攻撃の糸口を探りだす。
前半18分に右サイドからのクロスのこぼれ球に左SBカミーロ・カンジドが、前半35分には相手陣でのパス回しから最後はVOLヤゴ・フェリピ(Yago Felipe, 1995)が、それぞれミドルシュート。シュートはいずれも枠を捉えるが、サントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が辛うじてCKに逃れる。
前半終了間際には両チームが交互にゴール前にボールを運びシュートで終えるオープンな展開となるが、ゴールを割ることができず前半を終了。
後半も前半終了間際の展開が引き継がれ、ややオープンな展開で試合は再開。少し落ち着きを取り戻したかと思われた後半14分にバイーアが均衡を破る。
バイーアが自陣での守備を固めると、サントスはボールを握るようになるが、ゴール前に効果的なボールを供給することができない。しかし、相手陣でFKを次々と獲得すると、後半28分、ゴール正面からのFKから同点。試合を振り出しに戻す。
サントスが同点に追いつくと試合は膠着状態へ。このまま引き分けで試合を終えるかと思われた後半45+4分、サントスは再びセットプレーからCBジョアキンのアシストによるゴール。サントスが逆転劇で2-1の勝利を収めた。
バイーアは、降格圏に低迷するチームとの連戦で勝ち点を積み上げ中位争いに加わりたかったが、再び残留争いに巻き込まれる苦しい状況に陥った。
攻撃面ではスピード豊かな両ウィングに両サイドバックが積極的に絡み、サイドで優位に立ちゴール前への配球でゴールを狙う戦略。ピッチを左右に広く使い、前半は相次いでチャンスを迎えるも相手GKの好守もあり得点が奪えない。後半の先制点までは攻撃は機能するものの、選手交代を経るごとに組織的な攻撃の形が崩れていき、チャンスらしいチャンスを迎えることがなくなっていく。
守備面では、前節に続き、試合の立ち上がりと試合終了間際が不安定に。前節は前半での3得点もあり試合の大勢に大きな影響はなかったが、今節はこの点で修正がなされておらず、痛い敗戦を招いた。
さらに、この試合ではセットプレーから2失点。いずれも相手CBジョアキンへのマークが甘くなり、簡単にボールを繋がれたことによる失点、試合中での修正が行われず、同じような形で2失点を喫した。
攻守共に、戦術が浸透するにつれ連携が深まり解決されるものなのかもしれないが、現在置かれた状況を考えると、暢気に構えてはいられない。
次戦は、9月29日全国選手権第25節アウェイでのフラメンゴ戦。約10日間の時間を上手く使い、連係を細かい点まで確認し、最近2試合のミスを修正し試合に臨みたい。
サントスは、思い切った采配が功を奏し、逆転勝利で大きな勝ち点3を勝ち取る。
5バック気味の守備で、相手のサイド攻撃に対応。危ないシーンもいくつか見られたがGKジョアン・パウロの活躍もあり、前半を無失点で折り返す。
攻撃面ではこれまで同様、カウンターからの攻撃が主となったが、従来のサイド奥への蹴りだしではなく、中盤でボールを繋いでの展開となるため、FWが前線で孤立する場面や、すぐにボールを回収され再び自陣ゴール前に押し込まれる展開が少なくなり、体力的な消耗も軽減。この試合では、立ち上がりを除き、流れの中からチャンスを掴めない中、十分にトレーニングされたと思しきセットプレーから2得点を奪うなど、今後もセットプレーを得点源として有効に活用したい。
この勝利で勝ち点は24、順位は依然17位のままだが、降格圏脱出までの勝点差を1と縮めることに成功。
次戦は、10月1日に全国選手権第25節、ホームでの現在18位のヴァスコ・ダ・ガマ戦。監督人事など不透明な面が多いが、約10日間の期間を有効に使い、降格圏に低迷するチームとの一戦に勝ち切りたい。
アメリカ・ミネイロ(AME) 0-2 RBブラガンチーノ(RBB)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qVzrSuYixK0
(RBB) : 36' #5 ジャジソン(Jadson, 2001)[]
(RBB) : 90+10' #8 ルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)[]
見どころ(試合前の順位)
アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝5分13敗勝点17の19位。
RBブラガンチーノは全国選手権10勝9分4敗勝点39の5位。
得点シーン
(RBB)前半36分 :
左サイドライン際からFKヴィチーニョ(Vitinho, 1999)が真横にペナルティエリアに向けドリブルを開始。縦に駆け上がる左SBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)をやり過ごすと、一瞬マークが甘くなる。そのタイミングでファーサイドへシュート性のクロス。アメリカGKカヴィキオリ(Cavichioli, 1986)が横に跳び、手前でワンバウンドする難しいボールを両手で弾くが、そのボールはVOLジャジソンの足元に転がりVOLジャジソンは難なくゴールに押し込む。
VOLジャジソンは、2019年2月にエスポルチからペルナンブカーノ州選手権で17歳のプロデビュー。クルゼイロU-20を経て2021年2月にRBブラガンチーノに入団。この年の全国選手権後半にレギュラーの座を掴み、チームの6位躍進に貢献。どちらかと言えば守備ラインの手前でフィルター役となる守備的な選手だが、臨機応変に前線にも顔を出す。このゴールは今季36試合目にして初ゴール。RBブラガンチーノ在籍3年目で2ゴール目、2021年10月12日全国選手権第26節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦以来1年11か月ぶりのゴール。
(RBB)後半45+10分 :
相手陣でボールを奪いそのままカウンター。パス交換からFWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)がペナルティエリア内右をゴールライン際まで持ち運び、後方にボールを戻し、MFナーチョ・ラキンターナ(Nacho Laquintana, 1999)がシュート。このシュートはブロックされるものの、こぼれ球を後方から走り込んだMFルーカス・エヴァンジェリスタがダイレクトにシュートを放ち、試合を決定づける。
MFルーカス・エヴァンジェリスタは、2015年U-20南米ユース選手権で6試合に出場。デポルチーヴォ・ブラジル下部組織出身で2012年にプロデビュー。その後サンパウロを経て、ウディネーゼ/ITAに移籍。しかし、ウディネーゼではほとんど出場機会に恵まれず、フランスのナントや、ギリシャ、ポルトガルでプレー。2021年6月末にRBブラガンチーノにナントからの期限付き移籍で加入すると一年後に完全移籍。2023年は州選手権、コパ・ド・ブラジルに出場せず、コパ・スウアメリカーナを中心に全国選手権と2大会に出場。29試合3得点5アシスト。ペドロ・カイシーニャ監督のサッカーの屋台骨を支える選手の一人。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:36% 64% ⇒ 前後半:41% 59%
シュート(枠内): 前半:3‐9(1-4) ⇒ 前後半:6-20(2-6)
パス成功率: 前半:67% 83% ⇒ 前後半:68% 80%
アメリカ・ミネイロは全国選手権3試合負けなし(2勝1分)。しかし、前節は2点を先制したものの同点に追いつかれ、退場者も出した苦い試合。
今節のスタメンは、出場停止のCBダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)に代わりCBエデル(Éder, 1995)を起用した変更のみ。2失点を喫した守備面の修正を図り今節に臨む。
RBブラガンチーノも全国選手権3試合負けなし(2勝1分)、3試合無失点を継続している。
今節のスタメンは前節から4つのポジションで変更。前節試合中の負傷で交代を余儀なくされたCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)が欠場、他の3選手が累積警告による出場停止。CBレアルぺ(Realpe, 2001)、右SBフルタド(Hurtado, 2001)、FWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)、FWアレハンドロ(Alerrandro, 2000)が抜擢された。
試合は立ち上がりからRBブラガンチーノが支配。積極的なボール保持から相手陣で細かくパスを繋ぎ、ボールを失った際も素早くボールにアプローチする守備でアメリカ・ミネイロのカウンターを事前に防ぎ、自由にサッカーをさせない。RBブラガンチーノは次第に試合のテンポを落としていくが、試合はコントロール。
前半33分にアメリカ・ミネイロは右SBマテウス・エンヒキ(Mateus Henrique, 2002)が負傷交代するアクシデント。すると前半36分、ブラガンチーノは選手交代が行われた相手右サイドを起点に先取点。そのまま前半戦を終える。
後半立ち上がりもRBブラガンチーノは前半の立ち上がり同様に前への圧力を強める。しかし、早く同点に追いつきたいアメリカ・ミネイロも後半15分に中盤の2選手をベンチに下げ攻撃的な選手を投入。試合のテンポは落ち着き均衡状態に陥る。後半26分、アメリカ・ミネイロはさらに2選手を交代、依然RBブラガンチーノが試合を優位に進めるものの、アメリカ・ミネイロもチャンスを作り出すようになる。
後半44分、アメリカ・ミネイロは敵陣に入った所からのFKをペナルティエリア内にロングフィード、混戦の中から放たれたシュートはディフェンダーにブロックされる。しかし、ここでVARが介入、検証の結果、ハンドが確認されアメリカ・ミネイロにPKが与えられる。しかし、このPKはRBブラガンチーノGKクレイトン(Cleiton, 1997)が足でPKを阻止。この後RBブラガンチーノはVOLルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)のゴールでダメ押し。試合終了間際にドラマのあった試合はRBブラガンチーノが2-0で勝ちを拾う結果に終わった。
アメリカ・ミネイロは、攻撃力の上回るRBブラガンチーノを相手に、押し込まれながらも耐え続け、後半途中から守備陣を削り相次いで攻撃的な選手を投入し、攻撃にシフトを移していったのは戦前の想定通りの展開か。しかし、前半にアクシデントによる選手交代が発生、そのサイドから失点を喫する不運。後半半ばには相手ゴールに迫る場面も増え、PKを獲得したものの、相手GKの好セーブにPKを失敗。勝ち点1を失った。
この試合の結果、16位のチームまでの勝点差は8に広がった。
次戦は、9月25日に順延された全国選手権第15節ホームでのヴァスコ・ダ・ガマとの試合。ヴァスコ・ダ・ガマは現時点で暫定18位。是が非でも勝ち点3を獲得しなければならない試合。全国選手権第24節はその中3日後の9月29日にクルゼイロとのアウェイでの一戦。順位表の下位に名を連ねるチームとの連戦だけに勝ち点6を加算したい。
RBブラガンチーノは、試合の大半をコントロールした試合。しかし、試合を決定づけるゴールを決めることができず、後半最後にPKを献上する失態。全国選手権での負け数は、パウメイラスの「3」に次ぎ、首位ボタフォゴと並ぶ「4」だが、9引分と勝ち切ることができない試合が多く、優勝争いに食い込むことができていない現状がある。
とはいえ、この試合で4試合連続無失点を継続。試合ごと、一試合の中でも時間帯ごとにムラの多かった試合内容が改善され、安定した内容が続いている。過去から継続的に取り組んでいるサッカースタイルが、今年から指揮を執るペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)監督のもと、もう一段高みへ上りつつある。ボール保持にこだわるサッカーは少し時代遅れになりつつあるのかもしれないが、個人的に目の保養になるサッカーだけに、このサッカーで近い将来に頂点に立ってもらいたい。
次戦は、全国選手権第25節パウメイラスをホームに迎える。
ゴイアス(GOI) 0-0 フラメンゴ(FLA)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=sbcm-82EWss
(GOI) : N/A
(FLA) : N/A
見どころ(試合前の順位)
ゴイアスは全国選手権6勝7分10敗勝点25の16位。
全国選手権は8試合3勝5分と一時の低迷期を脱出したが、前節は主力3選手の出場停止、後半半ばに退場者を出す中、終了間際の後半45+7分に失点を喫し、9試合ぶりの黒星を喫した。しかし、前節を含めた9試合の総失点は9、全試合を1失点以下に抑えており、チーム力は安定している。
フラメンゴは全国選手権11勝6分6敗勝点39の4位。
直近の試合コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグはホームでサンパウロに0-1の敗戦。全国選手権での前節は、不可解な選手配置でコパ・ド・ブラジルに繋がらない内容で、複数の主力を出場停止で欠くアトレチコ・パラナエンセに0-3の完敗。コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグ終了後には、クラブ副会長がショッピング中にサポーターの野次に激高し暴力事件を起こす、サポーター視点では悲劇的な、他サポーター視点では喜劇的な状況に陥っている。
得点シーン
N/A
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:33% 67% ⇒ 前後半:37% 63%
シュート(枠内): 前半:2‐1(0-0) ⇒ 前後半:7-10(1-2)
パス成功率: 前半:76% 91% ⇒ 前後半:75% 86%
ゴイアスは、前節出場停止の3選手が復帰。VOLウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)が想定外の欠場、代わりにルイス・オヤマ(Luís Oyama, 1997)がスタメンに抜擢される。
フラメンゴは、コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグの先発メンバーが6名、途中出場のメンバーが3名を占めるスタメンの顔ぶれ。ホルヘ・サンパオリ監督の強い要望で7月に獲得したGKロッシ(Rossi, 1995)がクラブデビューを果たす。
試合はアウェイのフラメンゴが立ち上がりからボールを支配。しかし、相手陣へ攻撃の圧力を強めず、自陣でのパス回しから単発的に前線にボールを送るゆったりとしたテンポで試合をコントロールする。
前半23分、相手陣でのパス回しからこぼれたボールをFWペドロがシュート。この試合両チームを合わせた初シュート。
前半26分、この試合両チームを合わせた初のCKをゴイアスが獲得。CKはディフェンダーが難なくクリア。
両チーム合わせたシュート数は3、枠内シュートゼロの盛り上がりに欠く試合はスコアレスで前半を終える。
後半も立ち上がりは前半の流れが継続する。しかし、両チームが選手交代を重ねるごとに試合はテンポを上げていく。
ゴイアスは後半21分にFWデンゼウ(Denzel, 2003)を投入。FWデンゼウは2023年1月にゴイアスU-20チームに加入し、ゴイアスでのトップチームデビュー。
フラメンゴは後半26分にFWペドリーニョ(Pedrinho, 2003)を投入。FWペドリーニョは2022年9月28日以来約一年ぶりのトップチームでの出場。
若手選手や控え選手が起用されていく中、互いにシュートに持ち込むシーンも増えていくが、最後まで訪れることはなく、試合は0-0のまま終了。両チーム勝ち点1を分け合う結果に終えた。
ゴイアスは、コパ・ド・ブラジル決勝戦の合間となるフラメンゴにボールを支配され、効果的なカウンターも発動することができず、無得点のまま試合終了。一方でこの試合もボールを支配されながらも無失点に抑えることに成功した。
勝ち点1を積み上げ、順位も15位と一つ浮上したが、降格圏17位のサントスとの勝点差は2に縮まり状況は厳しくなっている。しかし、安定した守備力で今後も着実に勝ち点が計算できるだけに、不用意に攻撃面に重点を移し攻守のバランスを崩したくはない。
次戦は、10月2日に全国選手権第25節アウェイで首位ボタフォゴとの対戦。前回の対戦ではボタフォゴに全国選手権初黒星をつけている。
フラメンゴは、選手の士気が上がらず、ミスも多く、公式戦3試合連続無失点。選手交代も3枚にとどまり、サポーター視点では悲劇的な、他サポーター視点では笑いが止まらない状況が続いている。
次戦は、9月24日にコパ・ド・ブラジル決勝戦サンパウロとのアウェイでの2ndレグ。
全国選手権第25節は、9月30日にホームにバイーアを迎える。
フルミネンセ(FLU) 1-0 クルゼイロ(CRU)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=fh2rSEVCGvA
(FLU) : 67' #17 レオ・フェルナンデス(Leo Fernández, 1998)[FK]
見どころ(試合前の順位)
フルミネンセは全国選手権11勝5分7敗勝点38の6位。
クルゼイロは全国選手権7勝8分8敗勝点29の11位。
得点シーン
(FLU)後半22分 :
ペナルティエリア外、右サイドからのFKをMFレオ・フェルナンデスが蹴ると、無回転のボールが左へ流れていきゴールネットに突き刺さる。
MFレオ・フェルナンデスは、2015年南米U-17選手権ウルグアイ代表5試合。2023年7月4日に一年契約の買取オプション付き期限付き移籍でトルーカ/MEXから加入。途中交代を中心に2か月で11試合に出場。4試合目の出場となる8月1日リベルタドーレスベスト161stレグでアシストを記録。このゴールがクラブ初ゴールとなった。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:3‐1(1-1) ⇒ 前後半:11-7(4-3)
パス成功率: 前半:88% 77% ⇒ 前後半:88% 80%
フルミネンセは、前節ヴァスコ・ダ・ガマとのクラシコを壮絶な撃ち合いの末2-4で落とし、今節は最終ラインで3選手を入れ替え。前節負傷退場のMFジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)がベンチ外となり、前節MFアリアスとの交代出場から1得点を記録したMFリマが先発に名を連ねた。
一方のクルゼイロの前節は、ゼ・ヒカルド(Zé Ricardo)新監督の初采配試合を3-0の快勝。後半出場から1得点1アシストを記録したMFニカォン(Nikão, 1992)が名を連ねた以外は前節と同じスターティングイレブン。
試合は、フルミネンセが前半18分にFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)がクロスバーを叩くシュート、前半24分にペナルティエリア内でボールを受けたVOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)がディフェンダーの股を抜くドリブルからシュート。しかし、これはクルゼイロGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)が片手で弾き出すデフェザッサ。
フルミネンセが優位に試合を進め前半を0-0で折り返す。
後半も開始2分にフルミネンセFWケーノ(Keno, 1989)のシュートで始まるが、そのシュートをキャッチしたGKハファエウ・カブラウからの一連のプレーで、クルゼイロが一気にフルミネンセゴール前に迫り、最後はMFマテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)がペナルティエリア内でディフェンダーを切り返しでかわしシュート。ボールはフルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)の指先を越えるが、カバーリングに戻ったVOLアンドレ(André, 2201)がゴールライン上でクリア。
大きなピンチを切り抜けると再びフルミネンセが試合を支配。相次いでクルゼイロゴールに迫ると、後半22分、MFレオ・フェルナンデスの直接FKからのゴラッソで均衡を破る。
クルゼイロも、後半30分、相手陣左サイドからのFKにVOLマテウス・ジュッサ(Matheus Jussa, 1996)が頭を合わせるが、GKファビオがデフェザッサ。
先制後も、ボールを保持することでクルゼイロの反撃の機会を抑え込んだフルミネンセが1-0の勝利を収めた。
フルミネンセは、勝利を収めると共に、ケガ明けのVOLアレキサンデルが試合を重ねるごとにコンディションをあげ、昨年の得点王FWヘルマン・カーノが彼らしいワンタッチのシュートでポストを直撃するなど、いい流れで9月27日とその翌週に控えたリベルタドーレス準決勝を迎えることができた。前節負傷交代のMFジョン・アリアスも今節は大事を取って欠場したものの、リベルタドーレスでは復帰が見込まれている。
この勝利で勝ち点を41に伸ばしたフルミネンセは、暫定ながら来季リベルタドーレス直接出場圏内の4位に浮上。今季リベルタドーレス制覇で来季の出場権の確保が理想だが、全国選手権の順位で保険を掛けておきたい。
次戦は、9月27日にリベルタドーレス準決勝インテルナシオナウ戦ホームでの1stレグ。
リベルタドーレスの谷間となる全国選手権第25節は、9月30日にアウェイでのクイアバ戦が予定されている。
クルゼイロは、局面で後手に回り、相手に主導権を握られた試合。攻撃面はほとんど機能せず、前半はカウンターから、後半はセットプレーからそれぞれ大きなチャンスが訪れたが、ゴールを陥れることができず。
中盤でボールを失うことが多くFW陣はボールに触る機会が少なく消える時間が多くなる。前節の活躍でスタメンに抜擢されたMFニカォンもボールに絡むことができず今節はチームにいい影響をもたらすことできなかった。
前節までの8試合未勝利で上位争いから完全に脱落、前節の勝利で一息ついたのも束の間、今節は勝ち点を積み上げることができず再び降格圏までの勝点差は5ポイントに縮まり、チームの立て直しが急務となっている。
就任後の2試合は全く異なる内容となったが、ゼ・ヒカルド監督は3試合目となる次節でどのような試合を見せてくれるだろうか。
次戦は、10月1日に全国選手権第25節、降格圏の19位ながら最近の5試合で勝ち点7を挙げているアメリカ・ミネイロをホームに迎える。
サンパウロ(SAO) 1-2 フォルタレーザ(FOR)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Gvqn75hii-Y
(FOR) : 16' #17 ゼ・ウェリソン(Zé Welison, 1995)[#7 ポチェチーノ(Pochettino, 1996)]
(FOR) : 53' #12 ルセロ(Lucero, 1991)[PK]
(SAO) : 79' #19 ハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)[]
見どころ(試合前の順位)
サンパウロは全国選手権7勝7分8敗勝点28の13位。
前節は週末のコパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグに向け、週末の試合を想定した先発メンバーで試合を迎えたものの、攻撃面で精彩を欠く内容。しかし、若干のメンバー変更を実施し、コパ・ド・ブラジルではアウェイでの難しい試合を1-0で制した。
フォルタレーザは全国選手権10勝5分8敗勝点35の8位。
前々節の敗戦でそれまでの連勝が5でストップしたものの、前節は守備的なコリンチャンスに苦しみながらも後半アディショナルタイムに勝ち越し点を奪い前々節の敗戦を払拭した。
得点シーン
(FOR)前半16分 :
右サイドをFWマリーニョ(Marinho, 1990)が個人技で仕掛けるが行き詰まり、ボールは右SBチンガ(Tinga, 1993)からMFポチェチーノへ送られる。MFポチェチーノは左ゴールエリアへふわりと浮かしたクロスを供給。守備ライン裏に抜け出したVOLゼ・ウェリソンが頭に合わせるとボールは逆サイドのゴールポストを叩きゴールイン。
VOLゼ・ウェリソンは、2022年2月に期限付き移籍でアトレチコ・ミネイロから加入。同年9月には、屈強な身体を生かしたマンマーク、ロングスローなどがボイボダ(Voyvoda)監督に認められ、2027年末までの完全移籍を果たす。2023年はこの試合を終えた時点で39試合に出場。コパ・スウアメリカーナでは2得点を記録しているが、全国選手権では初ゴールとなった。
(FOR)後半8分 :
右サイドをFWマリーニョがディフェンダーの股を抜くドリブルでペナルティエリアに侵入するとディフェンダーに倒されPKを獲得。これをFWルセロがゴール右に決める。
FWルセロは、デフェンサ・イ・フスチシア/ARG下部組織出身のアルゼンチン国籍選手。2022年のコロコロ/CHLでの活躍を受け、2023年1月にフォルタレーザが獲得。全国選手権では最近の4試合で4得点。
FWマリーニョは、前節までの公式戦4試合で2得点2アシスト。今節は記録には残らないが、股抜きからのペナルティエリア侵入でPKを獲得し得点に関与。守備面でも自陣深くまで戻りボール奪取を敢行するなど、最近のチームの好調は彼によるところも大きい。
(SAO)後半34分 :
GKからの手によるパスを受け手が処理ミス。VOLルアン(Luan, 1999)がボールを奪いMFハメス・ロドリゲスに送るとMFハメス・ロドリゲスがそのままシュート。ポジションに戻れていないGKは為すすべなく、ボールはゴールネットを揺らす。
MFハメス・ロドリゲスは、コロンビア代表として2014、2018W杯など92試合26得点。FCポルト/POR、レアルマドリード/ESP、バイエルン・ミュンヘン/GERなどで数々のタイトルを獲得。2023年7月29日、サンパウロに加入。このゴールは自身6試合目の出場でのクラブ初ゴール。なお、8月31日にコパ・スウアメリカーナで準決勝進出するゴールのアシストを記録している。
VOLルアンは、2019年U-20南米ユース選手権で8試合に出場。2010年に10歳でサンパウロ下部組織に入団して以来、サンパウロ一筋13年目。2018年7月21日全国選手権第14節コリンチャンス戦で19歳のプロデビュー。翌2019年にトップチームに昇格。レギュラーとして活躍は出来ていないが、約6年間で163試合に出場、6得点4アシストを記録している。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:65% 35% ⇒ 前後半:64% 36%
シュート(枠内): 前半:9‐2(6-1) ⇒ 前後半:11-8(7-4)
パス成功率: 前半:87% 74% ⇒ 前後半:86% 75%
サンパウロは、週末の2ndレグに向け、11のすべてのポジションで選手を変更。しかし、これまで多くの選手を試合に起用しており、メンバー表を見てもコパ・ド・ブラジルの先発陣に大きくは見劣らないメンツ。
フォルタレーザは、好調な成績を残す先発陣をいじらず、前節と同じ先発メンバーを今節も採用。
サンパウロは、立ち上がりから中盤での速い寄せとボールホルダーを囲い込む守備を敢行、高い位置での守備から攻撃の移行で試合の主導権を握る。CKやパス回しからフォルタレーザゴールに迫るが、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)が堅実なプレーでゴールを守る。
前半16分、それまでほとんど有効な攻撃の機会がなかったフォルタレーザがワンチャンスをゴールに結びつけ先制。
その直後の前半18分にサンパウロはMFミシェル・アラウーホがペナルティエリア内で仕掛けたところを倒されPKを獲得。しかし、このPKはGKジョアン・ヒカルドが両手で弾き返すPKストップ。前半25分にはペナルティエリア前後でのボール回しからVOLルアンがミドルシュートを放つが、GKジョアン・ヒカルドの手を掠めたボールはゴールポストに弾き返される。前半32分、サンパウロは左サイドからのクロスにFWフアン・サントス(Juan Santos, 2002)が至近距離からヘディングシュートを放つが、またもやGKジョアン・ヒカルドが両手で弾き返し、サンパウロの得点を許さない。
サンパウロの猛攻をGKジョアン・ヒカルドを中心に耐え続けたフォルタレーザは、後半4分、FWマリーニョが個人技でPKを獲得しFWルセロが決め追加点。サンパウロはその後もボールを支配し相手ゴールに迫るが、フォルタレーザも後半23分に直接狙ったFKがクロスバーを叩くなど追加点を狙う。
サンパウロは後半26分、疲れの見え始めた攻撃的な3選手を一気に交代。プロデビューとなるMFペドロ・ヴィリェーナ(Pedro Vilhena, 2002)などフレッシュな選手を投入。後半34分に相手のミスを誘い1点を返すと、さらに2選手を投入し攻撃の勢いをさらに強めていく。しかし、フォルタレーザもサンパウロが前がかりになり過ぎたところを相次いでカウンターを発動しシュートに持ち込んでいく。
試合は、アウェイのフォルタレーザが2-1で逃げ切ることに成功した。
サンパウロは、コパ・ド・ブラジル決勝戦2ndレグを見据えた総替えの先発メンバーで試合に臨むが、好調のフォルタレーザを相手に、選手の距離感のいいサッカーを展開。ドリヴァウ監督のサッカーが広く浸透していることを実感させる。しかし、PKストップを含めたフォルタレーザGKジョアン・ヒカルドの度重なる好守や、シュートが複数回ゴールポストを叩くなど、不運な一面もあり勝ち点を積み上げることができなかった。
これで全国選手権は8試合未勝利。暫定ながら降格圏まで勝点差4の13位まで順位を落としている。カップ戦に重点を置いてきたため全国選手権では勝ち点を思うように積み上げることができていないが、週末にはコパ・ド・ブラジルで是非とも戴冠し、しばし喜びに浸ったのちには来年に向けた取り組みと並行しながら全国選手権でも勝ち点を積み上げていきたい。
次戦は、9月24日にコパ・ド・ブラジル決勝戦フラメンゴとの2ndレグがホームモルンビースタジアムで開催される。
全国選手権は、コパ・ド・ブラジルから中2日の9月27日に順延された第22節コリチバ戦がホームで開催。第25節はさらに中2日の9月30日にコリンチャンスとのクラシコが再びホームで予定されている。
フォルタレーザは、試合の主導権を握られたものの、効率的な攻撃で2得点を奪い2-1の勝利。VOLゼ・ウェリソンが1ゴールを決めクロスバーを叩くシュートなど攻撃面で活躍、FWマリーニョが攻撃では右サイドで1点目の起点となり、個人技でPKを獲得し2点目のお膳立て、守備面でも自陣深くまで戻るなど攻守に活躍。
しかし、何といってもこの試合の最大の功労者は文句なしに守護神ジョアン・ヒカルド。試合開始直後から安定したプレーでゴールを守ると、PKストップ、至近距離の地面に叩きつけられたヘディングシュートを弾き返すなど、当たりに当たりまくった試合。
この勝利で勝ち点を38に伸ばし、来季リベルタドーレス出場圏の6位まで勝点差2を維持した7位に浮上。
次戦は、9月26日にコパ・スウアメリカーナ準決勝コリンチャンス戦、アウェイでの1stレグ。
コパ・スウアメリカーナ準決勝の谷間の試合となる全国選手権第25節は、9月30日に勝点差2で追うグレミオをホームに迎える。
コリンチャンス(COR) 4-4 グレミオ(GRE)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=QNYZIILYBv4
(GRE) : 21' #14 ナタン(Nathan, 1996)[#19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)]
(GRE) : 27' #19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)[#6 ヘイナウド(Reinaldo, 1989)]
(COR) : 44' #6 ファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)[PK]
(COR) : 45+4' #3 ルーカス・ヴェリッシモ(Lucas Veríssimo, 1995)[#10 マティアス・ローハス(Matías Rojas, 1995)]
(COR) : 45+6' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#7 マイコン(Maycon, 1997)]
(GRE) : 51' #13 ガウジーノ(Galdino, 1997)[#11 ジョアン・ペドロ・ガウヴォン(João Pedro Galvão, 1992)]
(GRE) : 58' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)[#20 ビジャサンチ(Villasanti, 1997)]
(COR) : 67' #20 ジウリアーノ(Giuliano, 1990)[#36 ウェズレイ(Wesley, 2005)]
見どころ(試合前の順位)
コリンチャンスは全国選手権6勝8分8敗勝点26の14位。
グレミオは全国選手権12勝3分7敗勝点39の3位。
得点シーン
(GRE)前半21分 :
相手陣でCBカネマン(Kannemann, 1991)から右サイドライン際のSBファビオ(Fábio, 1990)へボールが渡ると、一列内を駆け上がるMFナタンに繋がる。MFナタンはさらに一列内のMFクリスタウドへ真横にボールを送ると自身はペナルティエリア内に侵入。MFクリスタウドからの戻りのボールを受けると右足を振り抜き、ボールはディフェンダーの足元を抜けゴールネットを揺らす。
MFナタンは、2013年U-17W杯5試合5得点、2015年U-20南米ユース選手権8試合1得点。アトレチコ・パラナエンセ下部組織出身で2014年2月のパラナ州選手権で17歳のプロデビュー。世代別代表での活躍もあり、2015/16シーズン前に4年契約、400万ユーロの移籍金でチェルシー/ENGが獲得。しかし、チェルシーでプレーすることなく、SBVフィテッセ/HOLを始めフランスやポルトガルへの期限付き移籍を繰り返し、2018年7月に買取条件付きの期限付き移籍でアトレチコ・ミネイロに加入。アトレチコでは2021年までに120試合17得点10アシストを記録する。2022年にはフルミネンセに期限付き移籍加入、控えながら38試合3得点2アシストの記録を残し、クラブ間で1年の契約延長が合意されるがナタン本人が拒否。2023年4月10日にグレミオに完全移籍を果たした。グレミオではこの試合が終了した時点で19試合500分の出場で1得点1アシストを記録している。
(GRE)前半27分 :
相手陣手前からCBホドリゴ・エリー(Rodrigo Ely, 1993)から右サイドライン際のSBファビオへボールが渡ると、一列内で後方のMFクリスタウドに一旦戻す。MFクリスタウドは前線から下がるFWジョアン・ペドロ・ガウヴォンへ縦のパス。FWジョアン・ペドロ・ガウヴォンが左サイドへボールを展開すると、ペナルティエリア手前左からSBヘイナウドがファーサイドへクロス。そこにMFクリスタウドが走り込み頭を合わせてゴール。
MFクリスタウドは2023年シーズン前にウラカン/ARGから約400万ユーロの移籍金でグレミオに加入したアルゼンチン国籍選手。中盤の攻撃なポジションに定着。州選手権の終盤からPKを任され、今季はこれで39試合9得点11アシスト、全国選手権は19試合6得点(うちPKで3得点)4アシスト。足元の確かな技術で、今季のグレミオのワンタッチでボールを目まぐるしく繋ぐサッカーの欠かせないピースとして機能している。
(COR)前半44分 :
FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006)がドリブルでペナルティエリア左をゴールライン際までボールを持ち運び、ペナルティマークに向けマイナスのクロス。そのボールを受けたMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)が倒されコリンチャンスがPKを獲得。このPKを右SBファビオ・サントスがゴール右に決める。
SBファビオ・サントスは、ブラジル代表4試合、2005年U-20W杯7試合1得点。サンパウロ下部組織出身で2003年7月のコパ・スウアメリカーナでのグレミオ戦で17歳のプロデビュー。2006年には鹿島アントラーズに期限付き移籍で加入し20試合3得点を記録している。2009年にグレミオでレギュラーとして活躍すると、以降はコリンチャンス、アトレチコ・ミネイロで主力としてクラブW杯(2度)やリベルタドーレス(2度)、全国選手権(3度)など多くのタイトルを獲得。今季もこれで42試合3得点1アシストを記録。
(COR)前半45+4分 :
MFマティアス・ローハスが蹴る右CK。左足から放たれたボールにニアサイドでCBルーカス・ヴェリッシモがニアサイドで頭を合わせると、ボールはファーサイドのサイドネットを揺らす。
CBルーカス・ヴェリッシモは、サントス育成出身で2016年1月のサンパウロ州選手権で20歳のプロデビュー。サントスでの活躍を受け、2020/21シーズン前に650万ユーロの移籍金でベンフィカが獲得。しかし、ベンフィカでは出機会に恵まれず、2023年7月末に1年契約の期限付き移籍でコリンチャンスに加入。2021年9月と10月には2022W杯南米予選に招集、2試合に出場を果たしている。
MFマティアス・ローハスは、コパ・アメリカ2019などパラグアイ代表として16試合1得点。直近の2026W杯南米予選にも出場。攻撃のかじ取り役として期待され2023年7月にラシン・クラブ/ARGからコリンチャンスに加入。着実に出場時間を積み重ねチーム内での連係を深めている。
(COR)前半45+6分 :
相手陣左サイドからCBカエタノ(Caetano, 1999)が右サイドライン際のSBファギネル(Fagner, 1989)へサイドチェンジ。SBファギネルが縦にボールを運び、一列内後方のVOLマイコンへボールを戻す。フリーの状態でVOLマイコンがゴール前にクロスを上げるとFWユーリ・アウベルトが抜け出しフリーの状態でヘディングシュート。これが決まり僅か7分でコリンチャンスが2点差を逆転。
FWユーリ・アウベルトは、チームが年初から成績が振るわず守備的なスタイルとなる中、自身のスランプもあり、今季は49試合11得点6アシストと満足のいく成績を残せていない。以前から前後のオフザボールの動きや、守備ライン裏への抜け出しは定評があったが、最近の試合では、サイドに流れチャンスを作るだす役割も担い、プレースタイルの幅が広がりつつある。このゴールは8月13日以来8試合ぶりのゴール。チャンスの演出もチームにとっては重要だが、やはりストライカーとしてゴールが期待される部分が大きい。
(GRE)後半6分 :
相手陣深く右からのスローインはボールの奪い合いとなるが、ゴールライン手前でFWジョアン・ペドロ・ガウヴォンが確保。FWガウジーノにボールが送られると、FWガウジーノは中央へドリブルで進みディフェンダーのマークを外しシュート。これがゴールネットに突き刺さるゴラッソ。グレミオが試合を振り出しに戻す。
FWガウジーノは、全国選手権2部トンベンセからの期限付き移籍で2023年シーズン前にグレミオに加入。ケガによる約2か月の戦列離脱があったもののスーパーサブとして28試合に出場、6得点1アシストを記録。がっしりとした体格から放たれるパワーあふれるシュートが魅力。このゴールは5月7日全国選手権第4節RBブラガンチーノ戦以来4か月ぶりのゴールとなった。
(GRE)後半13分 :
FWルイス・スアレスが右サイドライン際から一列内で後方のVOLビジャサンチにボールを預け、ペナルティエリアに向け斜めに走る。そこにVOLビジャサンチから絶妙な戻りのパス。FWルイス・スアレスはボールを受ける際に内に切れ込むフェイントを入れそのまま縦に進む。さらにGKのタイミングもずらすトゥーキックでボールをゴールに流し込み、グレミオが再逆転。
FWルイス・スアレスは、点取り屋としてではなく、ボールのつなぎ役やゴールのおぜん立てなど、幅広く活躍。巧みにフリーになるポジショニングや、シュート技術、パス精度など超一流のプレーを披露している。一時は10試合連続無得点の時期もあったが、最近は4試合で3得点と調子も上向いている。今季はこれで40試合19得点12アシスト。
(COR)後半22分 :
中央から左サイドに流れたFWユーリ・アウベルトがサイドライン際のSBファビオ・サントスからボールを受けると、ディフェンダー2人のマークに体勢を崩しながらもサイドライン際のFWウェズレイにボールを送る。ボールを受けたFWウェズレイはドリブルで中央へ。広く開いたグレミオ最終ラインの間にMFジウリアーノがポジションを取るのを見るや、足元少し前方への丁寧なパス。MFジウリアーノはこのパスの見逃さずゴールを決めコリンチャンスが同点。
MFジウリアーノは、パラナクルービ下部組織出身で2007年に全国選手権2部でプロデビュー。2018W杯南米予選などブラジル代表として14試合2アシストを記録。2007年U-17W杯4試合2得点。2009年U-20南米ユース選手権8試合2得点、2009年U-20W杯6試合1得点。10代のうちにインテルナシオナウでレギュラーとして2年間プレー。2010/11シーズンを前に20歳で国外挑戦、FCドニプロ/UKRに移籍を果たす。その後もゼニト/RUSやフェネルバフチェ/TUR、アル・ナスル/KSAなど非主流国リーグやグレミオなど長年に渡る活躍。コリンチャンスには2021年7月に加入。2023年は長年の経験に基づいたプレーで若手選手の手本となっている。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:58% 42% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:11‐8(6-4) ⇒ 前後半:18-16(8-7)
パス成功率: 前半:89% 84% ⇒ 前後半:87% 85%
コリンチャンスは、コパ・スウアメリカーナ準決勝、決勝への重点を明言。今節もCBカエタノやFWペドロ・エンヒキなど若手選手、控え選手を先発に抜擢。一方で、中盤で攻撃の核となりえるMFマティアス・ローハスとMFヘナト・アウグストを、コパ・スウアメリカーナ準々決勝の2試合に続き同時起用。連係の深化と課題の洗い出しを進める。
一方のグレミオは、コパ・ド・ブラジルを含め、アウェイでは6試合勝ち星がなく4連敗中。いいところなく敗れた前節アウェイでの試合から、右SBファビオ、右SHナタンを入れ替え今節に臨む。
試合は合計8得点の大味な試合。グレミオが変更を図った右サイドから2得点を奪うと、コリンチャンスが前半44分からの7分間で3得点。後半に入り、再びグレミオが右サイドから2得点を奪い逆転するものの、コリンチャンスもすかさず同点に。後半アディショナルタイムには、グレミオが右CKから逆サイドに流れたボールを折り返した際に、ディフェンダーが振り上げた腕にボールは当たるも、主審からは死角となっており、VARによる介入もなく試合が続行される不可解な判定。
両チームにとって課題が多く残された試合は4-4の引き分けに終えた。
コリンチャンスの失点はすべて右サイドから。いずれもグレミオの攻撃陣のオン・オフザボールの動きに翻弄され、マークが甘くなったところをシュートに持ち込まれた。
一方の攻撃面では、セットプレーから2得点。流れの中から2得点。FWユーリ・アウベルトがサイドに流れ、FWウェズレイのドリブルの仕掛けとFWユーリが作ったスペースをいかしMFジウリアーノがゴールを奪うデザインされたプレーが実現できたように見えた。しかし、今節のグレミオの守備は非常に脆く、あまり参考にならない可能性も。
相手の守備がまずかったとはいえ、カウンターから多くのチャンスを創出しており、シュートがゴール枠に嫌われる場面が複数あったものの、勝ち切りたかったところ。最後は疑惑の判定でPKを逃れた運もあり、勝ち点1は妥当な所か。
次戦は、中3日の9月22日に全国選手権第24節、ホームでのボタフォゴ戦。さらに中3日でコパ・スウアメリカーナ準決勝フォルタレーザとのホームでの1stレグ。その後、中3日で全国選手権第25節、コパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグと試合が続く。
グレミオは、前節からの先発変更が功を奏し、右サイドを起点に2点を先制。FWビテロ(Bitello, 2000)の移籍を受けツートップの右サイドに起用されるFWジョアン・ペドロ・ガウヴォンも、ディフェンダーを釣りだす動きや広い視野でのボールの展開など、彼の特長を引き出すことに成功した。
しかし一方で守備面の課題が山積。2点のリードを奪った後は最終ラインが下がり過ぎ、前線や中盤がマークに走るスペースが広がり過ぎ、中盤の守備が機能しない。コリンチャンスの3点目は、攻撃の起点をなったCBカエタノ、クロスを上げたVOLマイコン、ゴールを決めたFWユーリ・アウベルトのいずれもマークがついていなかった。
CKからの失点はマークが甘く、4点目はFWユーリ・アウベルトに釣りだれたディフェンダーのスペースを埋めることができず、MFジウリアーノに使われ失点。後半開始時にMFナタンとMFクリスタウドの中盤の2選手がベンチに下がったが、問題は解消せず、後半にも1失点を喫し引き分けに終えた。。
グレミオは、この試合で一試合未消化だった状況が解消し、全国選手権の順位は単独3位。首位ボタフォゴとの勝点差は11。一方、来季のリベルタドーレス出場権を逃す7位との勝点差は3。
次戦は、中2日の9月21日に全国選手権第24節パウメイラスをホームに迎える。