【ブラジル全国選手権2023】第24節(2/2)

投稿者: | 2023年9月19日

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全国選手権第24節 対戦組合せ


以下の6試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第24節(1/2)
・2023/09/18 バイーア(BAH) x サントス(SAN)
・2023/09/19 アメリカ・ミネイロ(AME) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/09/20 ゴイアス(GOI) x フラメンゴ(FLA)
・2023/09/20 フルミネンセ(FLU) x クルゼイロ(CRU)
・2023/09/20 サンパウロ(SAO) x フォルタレーザ(FOR)
第15節順延分
・2023/09/19 コリンチャンス(COR) x グレミオ(GRE)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/09/21 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x コリチバ(CFC) 
・2023/09/21 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/09/21 グレミオ(GRE) x パウメイラス(PAL)
・2023/09/22 コリンチャンス(COR) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/09/23 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クイアバ(CUI)

全国選手権第24節 試合概要

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 5-1 コリチバ(CFC) 

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Alg8-7gjqX0
(VAS) : 8' #23 ゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1999)[#31 ホッシ(Rossi, 1993)]
(VAS) : 34' #31 ホッシ(Rossi, 1993)[#10 ディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)]
(VAS) : 50' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#18 パウリーニョ・パウラ(Paulinho Paula, 1997)]
(VAS) : 63' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#6 ルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)]
(CFC) : 80' #19 セバスティアン・ゴメス(Sebastián Gómez, 1996)[#10 マルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)]
(VAS) : 81' #11 ガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)[#25 マルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権5勝5分12敗勝点20の18位。
   ラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督は、前節の勝利で就任直後の2連敗を巻き返し3勝2分3敗の成績に。守備の再構築に成功し、攻撃面では新加入のFWベヘッチが6試合4得点1アシストの活躍。前節はそれまでの守備的な布陣を変更し、攻撃的なフルミネンセを相手に攻撃的な布陣で対抗する思い切った采配が功を奏し、スタメンを外されたFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)が交代出場から2得点をマークするなど4-2で撃ち合いを制した。
   コリチバは全国選手権3勝5分14敗勝点14の20位。
   前節の敗戦で6連敗。チアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)代行監督が指揮を執り、当初の4試合で勝ち点10を積み上げたがその後失速。6連敗中は3失点以上の試合が5試合で計18失点。短い時間に相次いで失点する試合が続いており、精神的な面での立て直しが必要になっている。

得点シーン

(VAS)前半8分 :
左CKをMFディミトリ・パイェが蹴る。ゴール前に上げられたボールはディフェンダーがクリア。ペナルティエリア入口で左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)が拾い、ペナルティエリア手前右のFWホッシへボールを送る。FWホッシはそこからゴール前にクロス。VOLゼ・ガブリエウが頭を合わせゴールネットを揺らす。
   VOLゼ・ガブリエウは、2023年1月にケガで戦列を離脱、復帰後も前任のバルビエリ(Barbieri)監督の構想外となっていたが、就任後の3連敗で守備の再構築に頭を悩ませていたラモン・ディアス監督が4試合目にVOLゼ・ガブリエウを先発に抜擢。すると最終ラインの一列手前でフィルター役として機能し強敵グレミオを完封。この試合を機に次節以降先発に定着すると、ヴァスコ・ダ・ガマの守備陣に安定感をもたらす働きをしている。このように守備面での貢献度が高いVOLゼ・ガブリエウが今節は先制ゴール。もちろんこのゴールは今季の初ゴール。
(VAS)前半34分 :
相手陣中央からMFパウリーニョ・パウラがゴール前に柔らかい浮き球のパス。右サイドから鋭角に走り込むFWホッシが左へボールを落とすと、そこにMFディミトリ・パイェが走り込み、GKが間合いを詰めに出てくるところをワンタッチへFWホッシへ戻りのパス。それをFWホッシがダイレクトにゴールを陥れるゴラッソコレチーボ。
   FWホッシは、2023年8月9日に今季末までの契約でヴァスコ・ダ・ガマに加入。今回がヴァスコでの2度目のシーズン。前節は1か月半ぶり2試合目の出場となったが、スタメン抜擢の期待に応え2アシストを記録。さらに5回のボール奪取など守備面でも貢献。今節もスタメン起用に応え、前半8分にアシスト、そして、自身も初ゴール。
(VAS)後半5分 :
自陣でMFパウリーニョ・パウラが相手のパスをインターセプト。そのままドリブルで相手陣右へ駆け上がり、ディフェンダーをかわし、中央へクロス。FWベヘッチが胸でのトラップから右足を振り抜くと、ボールはニアサイドのポストを叩き、ファーサイドのサイドネットを揺らす。
   MFパウリーニョ・パウラは、フルミネンセ下部組織出身でブラジルでデビューすることなく、スポルティング/PORのBチームへ期限付き移籍。2017年9月30日にPOR2部リーグでプロデビューを果たす。2019/20シーズン前にボアヴィスタ/PORへ完全移籍を果たし、サウジアラビアを経て、2023年7月26日にヴァスコ・ダ・ガマへの加入が発表。7月29日全国選手権第17節コリンチャンス戦の後半開始時にクラブデビュー。ラモン・ディアス監督の信頼は厚く、以降の全試合にフルタイム出場を果たしている。
(VAS)後半18分 :
相手陣左サイドライン際でのパス交換から、SBルーカス・ピトンがゴール前ファーサイドへクロス。中央から流れながらFWベヘッチが放ったヘディングシュートがゴールに吸い込まれる。
   FWベヘッチは、直近のアルゼンチンリーグ得点王。2023年8月4日にヴァスコ入りが発表されると2日後の8月6日全国選手権第18節グレミオ戦で決勝点となるクラブ初ゴールをマーク。この試合が自身7試合目出場で6得点1アシスト。3試合連続ゴールを記録。
(CFC)後半35分 :
相手陣左サイドライン際をSBヴィクトル・ルイス(Victor Luís, 1993)がパス&ゴーで縦にコースを取ると、ワンタッチのパス2本を経て戻ったボールをゴール前ファーサイドへクロス。MFマルセリーノ・モレノがダイレクトにボールを中央に折り返し、VOLセバスティアン・ゴメスがゴール上部ネットを突き刺す。
   VOLセバスティアン・ゴメスは、2023年8月1日に2026年までの契約でコリチバに加入したコロンビア国籍選手。直近のコロンビアの強豪アトレチコ・ナシオナルではキャプテンを務め、複数のタイトルを獲得。コリチバ加入後は6試合に出場。このゴールは前節に続く2試合連続のゴール。
(VAS)後半36分 :
MFマルロン・ゴメスが左サイドライン際のSBルーカス・ピトンとのタベーラでペナルティエリア内ゴールライン際にボールを運ぶ。ゴールライン沿いに鋭いクロスを送ると、FWガブリエウ・ペッキが足を合わせゴールネットを揺らす。
   FWガブリエウ・ペッキは、前節に後半途中交代出場から2得点を記録したが、今節も途中出場からのゴール。昨年まではサイドからのチャンスメーカーとして多くのアシストを記録していたが、今季はストライカーとして開花。4月にはキャリアハイのゴール数を記録した。しかし、その後15試合ゴールから遠ざかる時期もあったが、ここにきて復活。持ち味のスピードやライン裏への飛び出しを生かして2試合で3ゴールをマーク。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:50% 50% ⇒ 前後半:51% 49%
シュート(枠内): 前半:8‐4(7-1) ⇒ 前後半:19-7(12-3)
パス成功率: 前半:81% 88% ⇒ 前後半:85% 89%

   ヴァスコ・ダ・ガマは、CBメデル(Medel, 1987)が出場停止から復帰。中盤の攻撃的なポジションにMFディミトリ・パイェを初先発に抜擢。直近好調なヴァスコのスタメン変更2選手のみ。
   コリチバは、GKガブリエウ(Gabriel, 1992)がケガから復帰、出場停止のVOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)に代わりVOLフランセルジオ(Fransérgio, 1990)、スリートップからツートップへ布陣を変更し、中盤にMFマルセリーノ・モレノを起用する。

   ヴァスコ・ダ・ガマが立ち上がりから次々に相手ゴールに迫る。前半7分にFWホッシのクロスにSBプーマ・ロドリゲスが頭を合わせるが、これはコリチバGKガブリエウがデフェザッサでゴールを守る。しかし、ヴァスコはこのプレーで得たCKからVOLゼ・ガブリエウがゴールを奪い早くも先制。
   守備が崩壊気味のコリチバは、早い時間帯でゴールを許すと前半のうちに追加点を献上。後半も立ち上がり5分にゴールを許すと後半18分、1点を返した1分後の後半36分にゴールを許してしまう。
   GKガブリエウの好セーブや、後半35分の得点時の左サイドの崩しなど、攻守に単発的に素晴らしいプレーを見せる場面もあったたが、集中力に欠けたような時間帯も多く、残留争いのライバルに大敗を喫した。

   ヴァスコ・ダ・ガマはラモン・ディアス監督の選手起用が的中。守備の再構築がひと段落つくと、前節から攻撃に手をつけ始めたが、結果は2試合で9得点。
   中でもFWベヘッチは加入後間もなくポジションに定着し、7試合で6得点1アシストを記録。この2試合も3得点1アシストの活躍。今後もしばらく11位以下のチームとの対戦が続くが、攻撃のヴァリエーションや精度をさらに上げて、降格圏脱出から中位争いに加わっていきたい。
   次戦は、9月25日に順延された全国選手権第15節アウェイでのアメリカ・ミネイロ戦。全国選手権第25節は10月1日にアウェイでのサントス戦が控えている。いずれも降格圏に低迷しているチーム。2連勝で勝ち点6を積み上げたい。

   コリチバはこの試合も守備が崩壊。移籍期間の補強が攻撃陣に集中。ボランチに2選手が加入したが、元ギリシャ代表のVOLサマリス(Samaris, 1989)は今節が2試合目の出場も、ブランクも長くチームにまだ溶け込めていない印象。VOLフランセルジオもどちらかと言えば攻撃に特長のある選手だけに、成長著しいVOLブルーノ・ゴメスのケガによる離脱は痛い。
   補強のなかったセンターバックは、最近の3試合でベテランのエンヒキ(Henrique, 1986)に代えチアゴ・ドンブロスキ(Thiago Dombroski, 2002)を起用。これは来年以降を見据えた起用なのだろうか。
   次戦は、順延された全国選手権第22節が9月27日に開催。全国選手権第25節は10月1日にホームでアトレチコ・パラナエンセとのクラシコ。クラシコはサポーターのためにも負けられない試合。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 2-1 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=5XdxaMOLIIg
(CAP) : 24' #26 エリキ(Erick, 1997)[#5 フェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)]
(INT) : 36' #14 カルロス・デ・ペニャ(Carlos de Peña, 1992)[#5 ルーカ(Lucca, 2003)]
(CAP) : 90' #80 アレックス・サンタナ(Alex Santana, 1995)[#14 カノービオ(Canobbio, 1998)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権10勝7分6敗勝点37の7位。
   前節は、多くの主力選手が出場停止や、代表戦直後試合ということで欠場したものの、フラメンゴとの上位対決に3-0の完勝を収めた。これで全国選手権は9試合負けなし。その間にはリベルタドーレスに敗退、勝ち切れない試合も続いたが、前節の快勝で澱んだ空気を払しょくできたであろうか。
   インテルナシオナウは全国選手権7勝8分8敗勝点29の12位。
   前節のサンパウロ戦で全国選手権は11試合ぶりの勝利。エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督は全国選手権での初勝利をあげた。今節は中5日で迎えるリベルタドーレス準決勝を見据えた試合。リベルタドーレスを想定した布陣が予想されるが、いい形でリベルタドーレスを迎えたい。

得点シーン

(CAP)前半24分 :
右CKはディフェンダーがクリア。高く上がったボールをペナルティエリア入口でVOLフェルナンジーニョが空中戦を制し、前方にボールを送る。ゴールに背を向け、このボールを胸で受けたVOLエリキが、振り向きざまに右足を振り抜くとボールはゴールネットに突き刺さる。
   VOLエリキは、2018年の全国選手権3部に参加、パラナ州選手権2部で優勝を果たしたオペラ―リオ・フェホヴィアーリオでの活躍を受け、翌2019年にアトレチコ・パラナエンセに加入。加入年こそ全国選手権での出場は限られたものの、2020年以降は相次ぐ監督交代の中でも試合出場数を伸ばしていき、主力選手の一角に成長。ボランチながら得点感覚も高く、右サイドバックを務めるなど高いポリヴァレント性を備える。
(INT)前半36分 :
相手陣深くで相手のビルドアップのパスをVOLガブリエウ(Gabriel, 1992)がインターセプト。右サイドからMFブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1989)、FWルーカと中央に繋がれたボールを、MFカルロス・デ・ペニャがペナルティアーク手前から豪快なミドルシュート。
   MFカルロス・デ・ペニャは、2013年にナシオナル/URUでデビューしたウルグアイ国籍選手。インテルナシオナウには2022年4月1日、ディナモ・キエフ/UKRから期限付き移籍加入。2022年9月には契約を2024年末まで延長している。サイドバックから守備的・攻撃的な中盤、ウイングの幅広いポジションで起用される器用なプレーヤー。今季はセグンドボランチとして起用されることが多い。
(CAP)後半45分 :
相手陣左サイドライン際からFWカノービオが中央に向かい下がりながらゴール前にクロスボールを供給すると、ディフェンダーの間に駆け上がったVOLアレックス・サンタナが頭を合わせる。GKロチェ(Rochet, 1993)が横跳びにボールを手のひらに当てるがボールの勢いがまさりゴールネットに吸い込まれる。
   VOLアレックス・サンタナは、前への推進力や前線にしばしば顔を出す中盤の選手、セグンドボランチとしてのプレーが多い。2023年シーズン前にルドゴレツ・ラズグラド/BULからアトレチコ・パラナエンセに加入。先発やベンチスタートをまじえ多くの試合に出場したが、ケガのため7月初旬から戦列を離脱。8月27日全国選手権第21節アトレチコ・ミネイロ戦の途中交代で復帰を飾ると、前節では豪快なミドルシュートでのゴール。今節は最終ラインの間でクロスボールに頭を合わせるゴール。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:4‐6(3-2) ⇒ 前後半:14-12(6-4)
パス成功率: 前半:83% 86% ⇒ 前後半:79% 85%

   アトレチコ・パラナエンセは、FWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)とVOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)が出場停止が明けスタメン復帰。W杯南米予選でのケガが心配されたウルグアイ代表FWカノービオ(Canobbio, 1998)もスタメンに名前を連ねた
   インテルナシオナウの先発は、一週間後のリベルタドーレス準決勝1stレグに向け、準々決勝2ndレグに近いメンバーが予想されたが、準々決勝2ndレグに先発した選手は2人のみ。前節サンパウロ戦に先発した選手は4人と、準決勝1stレグの先発を予想しにくいスタメンを組んできた。

   試合は、前半3分に右ハムストリングスに痛みを訴えたSBマジソン(Madson, 1992)が交代、前半11分にはFWヴィトル・ホッキが足を削られ担架で退場。アトレチコ・パラナエンセに相次いでアクシデントが襲い掛かる。しかし、アトレチコはインテルナシオナウの高い位置でのマークに苦しみながらも、次第に相手陣にボールを進めていくようになる。
   前半23分、アトレチコは最終ライン裏に飛び出したMFサペリ(Zapelli, 2002)にVOLフェルナンジーニョからスルーパスが通りシュート。しかし、インテルナシオナウGKロチェが片手でゴール枠上へ弾き出されゴールを奪えない。しかし、このプレーで得たCKからVOLエリキのゴールで先制点を奪う。
   インテルは再び高い位置のプレスをかけるようになると、前半34分、プレスから相手陣でボールを奪取、ショートカウンターで同点に追いつく。
   後半7分、アトレチコMFヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)が直接狙ったFKをGKロチェが横跳びで弾き出し、後半19分、インテルMFカルロス・デ・ペニャがゴール正面からミドルシュートを放つがGKレオ・リンキ(Léo Linck, 2001)が両手で堅実にCKに逃れる。GKレオ・リンキは、続くインテルCKでのFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)の至近距離のヘディングシュートもブロック。
   後半25分には、アトレチコが左CKからCBチアゴ・エレーノ(Thiago Heleno, 1988)が頭を合わせるが、ボールはポストを叩きゴールネットを揺らせない。後半43分にもハーフウェイ付近からのスルーパスに抜け出したFWカノービオがシュートに持ち込むが再びポストに嫌われる。
   後半44分、アトレチコはFWカノービオのクロスにVOLアレックス・サンタナが頭を合わし勝ち越し。アトレチコがホームで終了間際のゴールで2-1の勝利を収めた。

   アトレチコは、前半での2選手が交代を余儀なくされるアクシデント。さらにはインテルナシオナウのプレスに苦しみながらも、相手から試合の流れを次第に奪い先制。再びプレスに苦しみ同点に追いつかれるが、後半はセカンドGKのレオ・リンキが好セーブを連発。攻撃陣も最後まで勝利を諦めず、後半44分のゴールでサポーターに勝利をささげた。
   GKレオ・リンキは、ケガのため辞退したもののW杯南米予選に向け代表に選出されたGKベント(Bento, 1999)の不在を感じさせない活躍。
   GKベントが警告累積で出場停止となった2023年7月2日第13節パウメイラス戦ではPKストップ。GKベントの戦列離脱後は、第22節アトレチコ・ミネイロ戦で数々のシュートストップを披露するなど、チームは4試合で2勝2分の無敗。22歳ながらピッチ上で堂々としたプレーを継続して披露している。
   前半11分に足を削られ担架で退場したFWヴィトル・ホッキだが、直後の検査で右足首の腱の損傷と診断、翌日の再検査では手術は不要、復帰時期は未公表ながらシーズン中の復帰は微妙と診断された。
   この勝利で全国選手権は5勝5分で10試合負けなし。勝ち点を40に伸ばし順位も6位に浮上。
   次戦は、10月1日に全国選手権第25節、アウェイでのコリチバとのクラシコ。相手は最下位に低迷しているがクラシコだけに油断は出来ない。

   インテルナシオナウは、レギュラー、控えの入り混じったメンバーだったが、高い位置でのプレスが効果を発揮。前半序盤にチャンスを重ね、失点後にもプレスでのボール奪取からショートカウンターでゴール。しかし、後半の終盤に息切れし1-2で敗戦。
   7月に獲得した左SBダウベルト(Dalbert, 1993)が494日ぶりの試合。ニース/FRAやフィオレンティーナ/ITA、カリアリ/ITAなどで活躍した実力の一端をみせ、左SBヘネー(Renê, 1992)とのポジション争いが楽しみになりそう。一時期は出場機会を失っていたFWルーカ(Lucca, 2003)が前節に続く先発、3試合連続出場で今節はアシストを記録。
   全国選手権は満足のいく成績を残せていないが、今後に向けた明るい材料は多い。
   全国選手権は前節で11試合ぶりの勝利をあげたが、今節はその流れを継続できず。順位は一つ落とし13位。リベルタドーレスに重点が置かれているが、降格圏までの勝点差は5ポイントと安泰とはしていられない。
   次戦は、9月27日にリベルタドーレス準決勝、フルミネンセとアウェイでの1stレグ。
   全国選手権第25節は、リベルタドーレスに挟まれた9月30日、ホームにアトレチコ・ミネイロを迎える

グレミオ(GRE) 1-0 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=bNY1b2ljM2Y
(GRE) : 9' #18 ジョアン・ペドロ(João Pedro, 1996)[#9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)]
(PAL) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権12勝4分7敗勝点40の3位。
   直近の試合は順延された全国選手権第15節アウェイでのコリンチャンス戦。4-4の撃ち合いは、前半44分以降、7分間で3失点を喫するなど守備面での課題が噴出した試合となった。今節は得意のホームでのパウメイラスとの上位対決。前回の対戦はアウェイで1-4の大敗を喫したが、守備面をしっかりと整備して雪辱を果たしたい。
   パウメイラスは全国選手権12勝8分3敗勝点44の2位。
   全国選手権は最近の5試合で4勝1分、5試合連続無失点。前節は実質的な最後のプレーでゴイアスゴールをこじ開け1-0の勝利。第19節クルゼイロ戦でも後半アディショナルタイムのゴールで1-0の勝利を収めており、チーム状態は上向きにある。

得点シーン

(GRE)前半9分 :
相手陣に入った所からSBジョアン・ペドロがVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)にボールを預け、ペナルティエリアに向け駆け上がる。ボールはVOLビジャサンチからFWルイス・スアレスに繋がれ、FWルイス・スアレスはワンタッチで最終ラインのディフェンダーの間にボールを送る。そこにSBジョアン・ペドロが走り込み、的確なトラップからグラウンダーのシュート。ゴラッソコレチーボ。
   SBジョアン・ペドロは、2015年U-20W杯7試合、U-20南米ユース選手権6試合に出場。パウメイラスから2014年9月全国選手権第22節で17歳のプロデビューを果たすと、その年はそのままポジションに定着。しかし、その後は、ポルト/PORを含め複数のチームでプレーするが、レギュラーとして定着することができない。2023年シーズン前にグレミオに加入、SBファビオのケガによる離脱を機にポジションを獲得すると、SBファビオの復帰後も右SBの一番手として起用されている。ファビオとの比較では守備的になるが、このゴールは起点となりシュートで終結し美しいゴールを演出した。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:38% 62%
シュート(枠内): 前半:3‐8(1-1) ⇒ 前後半:7-16(2-3)
パス成功率: 前半:75% 83% ⇒ 前後半:71% 82%

   グレミオのスタメンは、出場停止のCBカネマン(Kannemann, 1991)に代わりCBブルーノ・アウヴェス(Bruno Alves, 1991)。右SBにはファビオ(Fábio, 1990)に代わりジョアン・ペドロ(João Pedro, 1996)。他の9つのポジションに変更はなし。
   パウメイラスは、CBムリーロ(Murilo, 1997)が出場停止から復帰。主力のFWドゥドゥ(Dudu, 1992)のケガによる離脱後、前線で様々な組み合わせが試みられる中、今節はFWエンドリッキ(Endrick, 2006)がスタメンに抜擢される。

   グレミオはパウメイラスの寄せの速いマークに苦しむが、素早くFWルイス・スアレスにボールを集めチャンスをうかがう。前半5分に相手陣浅い位置のFKから最後はFWルイス・スアレスがシュートに持ち込むがボールは枠を越える。しかし、前半9分、FWルイス・スアレスのワンタッチのスルーパスからSBジョアン・ペドロがゴールを奪いグレミオが先制。
   グレミオは前節と異なり、先制後は中盤をコンパクトに保ってスペースを消しに行く。パウメイラスは、ボールを支配するものの、簡単にはグレミオ守備網を崩せない。しかし、後半23分のCK、後半25分のFKとセットプレーから相次いでチャンスを迎えシュートに持ち込むがシュートは枠を捉えない。後半30分にはゴール前で分厚い攻撃を見せるが、最後はMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)の至近距離のシュートをGKグランド(Grando, 2000)の体を投げ出したプレーにゴールを阻まれる。
   ここまで自陣でのプレーが続いたグレミオは少しラインを上げ挽回を図りボールを持つようになるが、逆にパウメイラスはカウンターから複数のチャンスを生み出していく。しかし、ボールをこじ開けることができず前半は1-0のグレミオのリードで終了。
   グレミオは後半開始時に前節同様、MFナタン(Nathan, 1996)、MFクリスタウド(Cristaldo, 1996)に代え、スピードのあるMFフェヘイラ(Ferreira, 1997)、FWガウジーノ(Galdino, 1997)を投入し効果的なカウンターを狙う。
   しかし、ボールはパウメイラスが支配、グレミオを相手陣深くまで押し込む時間帯が続く。この時間帯を乗り切るとグレミオも後半15分、後半18分に相手ゴールに迫りシュートまで持ち込む。後半20分、パウメイラスは選手交代でスピードのあるFWホニ(Rony, 1995)、FWケヴィン(Kevin, 2003)、ボールキープ力のあるMFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)の3選手を一気に投入。再びパウメイラスが試合の流れを掴む。
   後半40分にはカウンターを阻止したことでグレミオVOLビジャサンチが2枚目の警告を受け退場。試合終了直前、パウメイラスはCKからCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)がフリーで頭を振り抜くがボールはクロスバーを直撃。グレミオは最後まで虎の子の1点を守り切り、上位対決で貴重な勝ち点3を勝ち取った。

   グレミオは、ボールを支配され16本ものシュートを浴び、退場者も出したものの、GKグランドを中心に守備陣が耐え抜き、無失点に抑え込むことに成功。
   この勝利で2位のパウメイラスに勝点差1に迫り、首位ボタフォゴとの勝点差も8。苦手のアウェイでの試合を克服し、勝点差を詰めていきたい。
   次戦は、9月30日に全国選手権第25節アウェイでのフォルタレーザ戦。

   パウメイラスは、FWドゥドゥが離脱して以来、4試合で1得点。前線で様々な組み合わせを試すものの、チャンスを作り出すまではいくが最後まで相手の守備を崩し切ることができずゴールを奪えずにいる。
   守備面は9試合ぶりの失点。右SBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)が積極的に攻撃参加を行わず、3人目のCBのような役割を担っているが、それにより相手のカウンターや速い攻撃に適切に対応することができ守備に安定感をもたらしている。一方で、攻撃の厚みが失われる諸刃の剣となっている。
   翌日の試合でボタフォゴが敗戦に終えたものの、勝点差を詰めることができず、首位との勝点差は8ポイントのまま。攻撃陣の再構築も途上のままでリベルタドーレス準決勝を迎えることとなった。
   次戦は、9月28日にリベルタドーレス準決勝ボカジュニオルス/ARGとのアウェイでの1stレグ。得点を奪えないまでも、無失点でホームの2ndレグを迎えたい。
   全国選手権第25節は、リベルタドーレス準決勝の谷間、10月1日にRBブラガンチーノとの試合がアウェイで予定されている。

コリンチャンス(COR) 1-0 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hhrg7cu-nMA
(COR) : 59' #4 ジウ(Gil, 1987)[]
(BOT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   コリンチャンスは全国選手権6勝9分8敗勝点27の14位。
   直近の試合は、順延された第15節グレミオ戦。4-4の壮絶な撃ち合いの試合。得点チャンスは相手を上回ったものの、後半アディショナルタイムでの自陣ペナルティエリア内での明らかなハンドがVARの介入もなく流されおり、勝ち点1は妥当なところ。今節後は中3日でコパ・スウアメリカーナ準決勝1stレグ、来週も2ndレグが組まれており、厳しい日程が続く。
   ボタフォゴは全国選手権16勝3分4敗勝点51の首位。
   8月31日コパ・スウアメリカーナ準々決勝2ndレグでの敗戦(大会敗退)に続き全国選手権も2連敗中。選手権得点王FWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)はケガからの復帰後は消える時間も多く、チーム全体として以前の連動性にやや問題が生じつつあるようにも感じられる。2位とは7ポイントの勝点差があり余裕はあるものの、チームを立て直し連敗を止めたい。

得点シーン

(COR)後半14分 :
SBマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)が相手陣の浅い位置から左サイドライン際のFWロメロ(Romero, 1992)にボールを預け縦に上がる。戻りのボールを受け、ゴールラインギリギリからゴール前にクロス。CKからの流れで前線に残ったCBジウが高さのあるヘディングシュート。一旦はGKペリ(Perri, 1997)が手前でワンバウンドする難しいボールを両手で弾き返すが、こぼれ球をCBジウが右足でゴールに蹴り込む。
   CBジウは、2016コパ・アメリカ3試合などブラジル代表として11試合に出場。2004年17歳で全国選手権3部アメリカーノからプロデビュー。コリンチャンスには2013‐2015年、2019年7月‐現在と2度目の在籍、2015年の全国選手権に貢献。2014年、2015年はベストイレブンを受賞。今季はチーム57試合のうち47試合に出場。多くの若手選手に慕われる兄貴的な存在。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:61% 39% ⇒ 前後半:63% 37%
シュート(枠内): 前半:5‐5(0-0) ⇒ 前後半:17-9(5-2)
パス成功率: 前半:88% 79% ⇒ 前後半:90% 80%

   コリンチャンスは、左右SBの両ベテランがベンチスタート、右SBブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)、左SBマテウス・ビドゥがスタメンを占める。両選手とも試合には頻繁に出場しておりベテラン2選手に見劣りはしない。前線にはFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006)とFWウェズレイ(Wesley, 2005)がCFユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)をサポート。
   ボタフォゴのスターティングイレブンは、FWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)に代わりFWルイス・エンヒキ(Luis Henrique, 2001)を抜擢。サイドアタッカーのオプションは多くあるものの、現状のベストイレブンと言えるスターティングメンバー。

   立ち上がりからアウェイのボタフォゴがボールを支配し、コリンチャンス陣内で攻撃を展開。コリンチャンスはCFユーリ・アウベルトを残し、最終ラインの4人が中央で距離を保ち、中盤が相手のサイド攻撃に対応、5-4、または、6-3の陣形でボタフォゴの攻撃を跳ね返す。ボタフォゴはミドルシュートを積極的に放つことでディフェンダーを前に引き出そうとするが効果を発揮しない。
   前半21分、コリンチャンスFWペドロ・エンヒキが自陣からボールを前方に大きく蹴りだそうとするところに、ボタフォゴSBマルサウ(Marçal, 1989)が足でブロックに行くが、この時スパイクの裏がFWペドロの足を蹴る形となり一発退場。一気に試合の流れが変わる。
   前半21分、コリンチャンスFWペドロ・エンヒキが自陣からボールを前方に大きく蹴りだそうとするところに、ボタフォゴSBマルサウ(Marçal, 1989)が足でブロックに行くが、この時スパイクの裏がFWペドロの足を蹴る形となり一発退場。一気に試合の流れが変わる。
   前半25分、コリンチャンスはFWウェズレイが左サイドライン際からドリブルでディフェンダー3人をかわしペナルティエリアに侵入しシュート。前半43分には再びFWウェズレイが左サイドライン際からドリブルを仕掛け、今度はペナルティエリアの手前を中央に向かいシュート。シュートはいずれも枠を捉えないが、コリンチャンスが攻撃のリズムを作っていく。
   後半3分、今度は右サイドをFWペドロがドリブルで持ち込みシュート。後半7分にはMFマティアス・ローハス(Matías Rojas, 1995)がゴール正面から、後半9分にはMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)がやや左サイドからミドルシュート。それぞれGKペリの好セーブとクロスバーにゴールを阻まれる。その後もコリンチャンスが相手陣で攻撃の圧力をかけ続けると、後半14分にCBジウのゴールで待望の先制点。
   先制後もコリンチャンスは人数の有利を生かし、高い位置に守備ラインを敷き、中盤での速い寄せでボタフォゴの攻撃を未然に防ぎながらカウンターで次々とチャンスを作り出す。ボタフォゴも後半終盤の43分、ペナルティエリアすぐ横、ゴールライン際からのFKに、FWジュニオール・サントスが頭を合わせるがGKカシオの正面を突き同点に追いつくことができない。
   試合はこのまま1-0でコリンチャンスの勝利。コリンチャンスはコパ・スウアメリカーナ準決勝に向けいい流れで試合を終えた。
   一方、ボタフォゴは公式戦4連敗。2位との勝点差は依然7ポイントあり、まだ焦る必要はないと思われるが、試合後のインタビューでは選手、監督に焦りの色が見られ、これからの2,3試合が今後の行方を左右しそうな雰囲気になりつつある。

   コリンチャンスは、公式戦6試合ぶりの勝ち星を首位ボタフォゴから飾る。前節の撃ち合いに続き、今節は相手に退場者が出たとはいえ、攻撃陣がリズムよくプレー。しかし、まだ相手守備を崩すようなプレーは少なく、今節の得点のようなゴールライン際からのクロスや、パス交換による崩しなど攻撃面でバリエーションを増やしていきたい。
   試合後のインタビューでは、強引なシュートが多いFWウェズレイに疑念を呈す質問が出されたが、ルシェンブルゴ監督はFWウェズレイのプレーに問題はなく、試合を追うごとに成長が感じられる。プロの監督業を務める私が言うのだから間違いない、といった主旨の回答。ルシェンブルゴ監督は若手選手を試合で起用するだけでなく、このように間接的にも選手の成長をサポート。今季は結果が出ていないコリンチャンスだが、多くの若手選手がチャンスを貰い、監督が積極的に起用したCBムリーロ(Murillo, 2002)がシーズン中に国外移籍を実現。VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)もシーズン後の移籍が合意寸前にまで達している。
   選手の自信を深めるためにも、コパ・スウアメリカーナのタイトルを獲得したい。
   次戦は、中3日9月26日にコパ・スウアメリカーナ準決勝フォルタレーザ戦ホームでの1stレグ。
   全国選手権第25節は、さらに中3日で9月30日にアウェイでのクラシコ、サンパウロ戦。その3日後にはコパ・スウアメリカーナ2ndレグが予定されている。

   ボタフォゴは公式戦4連敗。2試合連続で無得点で試合を終えている。
   現在のボタフォゴのベースは、前任のルイス・カストロ(Luís Castro)監督が、自身の目で見て自分のサッカーにあった選手を獲得し、半年の歳月をかけて作り上げたチーム。ルイス・カストロ前監督の突然の引き抜きから、ブルーノ・ラージェ(Bruno Lage)監督が後任の監督として招聘されたが、戦術の違いやプレッシャー、選手掌握などで苦戦しているように感じられる。
   この試合では、立ち上がりから効果的にボールを回し、伏線となりえるシュートを放つなど、面白い攻撃をしているように感じたが、退場者を出してからは必要以上に全体が下がり過ぎたように思われた。そのためFWチキーニョ・ソアレスが孤立気味となり、MFエドゥアルド(Eduardo, 1989)やVOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)の中盤から前に押し上げるような動きも少なく、流れの中ではほとんど攻撃の形を作ることができず試合を終えた。
   この試合に敗れたものの、2位のパウメイラスも敗れ勝点差は7ポイントのまま。3連敗中だが、その間に勝点差は4ポイントしか縮まっていない。先述の通り、まだ焦る必要はないと思えるが、しっかりと一週間のトレーニングでベースに立ち返り、目先の試合一つ一つで変化、成長を続けたい。
   次戦は、10月2日に全国選手権第25節、ホームでのコリチバ戦。次節での最後の試合となるが、他試合の結果を気にせず、試合、一つ一つのプレーに集中したい。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 1-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6itV1DqTNnM
(CAM) : 42' #9 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#7 フッキ(Hulk, 1986]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権9勝7分7敗勝点34の9位。
   全国選手権は、約2か月、8試合未勝利というトンネルを抜け出した後は、前節の首位ボタフォゴ戦で勝利を収めるなど4勝1分1敗と調子を取り戻している。この6試合は7得点2失点と守備が安定。攻撃陣ではFWパウリーニョが5得点と波に乗っている。
   今節の他試合がすべて終わった試合前の状況で来季リベルタドーレス出場圏の6位チームとの勝点差は6ポイント。出場圏争いから脱落しないためにも今節は勝ち点3を譲れない。
   クイアバは全国選手権8勝5分10敗勝点29の10位。
   前節のアメリカ・ミネイロは、前半の2点のビハインドを前半のうちに追いつき2-2の同点。後半は多くのチャンスを作り出したがゴールを奪えないまま引き分けで試合を終えた。とはいえ、なんとか4連敗でストップ、無得点試合も4で止まり、悪い雰囲気は払しょくできたはず。前回の対戦はホームで0-4の敗戦。前回の雪辱を果たしたい。
   なお、ポジションに定着した左SBヒケウミ(Rikelme, 2003)がパンアメリカン競技大会U-23代表に招集。第27節から最長で第32節までの欠場が見込まれている。

得点シーン

(CAM)前半42分 :
左サイドのMFペドリーニョ(Pedrinho, 1998)が右前方に送ったボールはFWフッキの脇を通りFWパウリーニョに渡る。FWパウリーニョはワンタッチで中央FWフッキにボールを預けると縦に駆け上がり、FWフッキはシュートフェイントを挟んで前方にスルーパス。FWパウリーニョは戻りのボールを右足のワントラップから左足を振り抜く。
   FWパウリーニョは、このゴールが最近の7試合で6ゴール目。アトレチコの新本拠地・アレーナMRVでは3試合で4ゴール。うち3ゴールのアシストはFWフッキ、もう一つはMFペドリーニョによるもの。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:5‐1(2-0) ⇒ 前後半:7-7(3-3)
パス成功率: 前半:88% 80% ⇒ 前後半:87% 79%

   アトレチコのスターティングイレブンは、出場停止明けのFWフッキ(Hulk, 1988)が復帰。他のポジションは前節ボタフォゴ戦から変更なし。
   クイアバは、パンアメリカン競技大会のU-23代表に選出されたSBヒケウミ(Rikelme, 2003)がベンチスタート、左SBに起用されるウェンデウ(Uendel, 1988)は約1か月ぶりの試合。中盤には前節負傷でベンチに下がったMFフェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)が大事に至らず今節もスタメンに名を連ね、交代出場のMFデニウソン(Denilson, 2001)が2試合ぶりの先発復帰。

   前半10分まではアウェイのクイアバがボールに積極的に持ち細かくパスを回すが、アトレチコの厳しいマークにシュートに持ち込めないままボールを失う。アトレチコはボールを奪うと、素早く左サイド奥へボールを送りペナルティエリア左角を軸に攻撃を展開する。
   前半10分を過ぎるころには、アトレチコ・ミネイロがボールを支配。次第に最終ラインが高い位置を取るようになり、パスの距離も短くなり、クイアバ陣で試合を展開。CBレーモス(Lemos, 1995)、CBフックス(Fuchs, 1999)、VOLオターヴィオ(Otávio, 1994)を起点に左サイドを中心にボールを展開する。
   アトレチコはクイアバをゴール前に押し込み、ボールを失った際はボール保持者と受け手の両方に素早く寄せ、ボールを奪い返す。
   クイアバの人数をかけた堅固な守備に、アトレチコもなかなかシュートに持ち込めないが、前半42分、FWパウリーニョのゴールで均衡を破る。
   後半開始時にクイアバは2選手を交代。しかし、前半に引き続きアトレチコ・ミネイロがボールを支配し、クイアバ陣で試合を展開。後半8分には左サイドライン際を抜け出したSBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)からのマイナスのパスを受けたFWパボン(Pavón, 1996)がゴールポストを掠めるシュート。
   しかし、次第にクイアバも自陣の高い位置でボールを奪うようになり、素早く前線にボールを送りチャンスをうかがっていく。すると、アトレチコの最終ラインが自陣に下がり始め、クイアバは相手陣でボールを握るようになる。
   後半32分、クイアバは左CKからCBマルロン(Marllon, 1992)が高さのあるヘディングシュート。しかし、GKエヴェルソン(Éverson, 1990)が片手でボールを押し返す。さらには角度のない位置からFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)がシュートに持ち込むが、再びGKエヴェルソンが立ちはだかる。
   アトレチコ陣でのプレー時間が長くなるが、アトレチコは守備陣がしっかりとブロックを作り対応。後半32分のピンチ以外にはクイアバに決定的なシーンを許さず1-0のまま逃げ切りに成功。アトレチコが新スタジアムMRVアレーナでの連勝を3に伸ばした。

   アトレチコ・ミネイロは、左サイドを中心とした攻撃が機能。SBギリェルミ・アラーナが高い位置を取り、FWパボンが守備ライン裏、ゴールライン際をうかがい、そこにつなぎ役としてMFペドリーニョが絡む。中央ではFWパウリーニョがFWフッキと適度な距離を保ちつつ比較的自由に動き、マークの隙を作り出す。
   守備面に関しては、相手陣でボールを握る局面ではVOLバタグリア(Battaglia, 1991)が高い位置で、VOLオターヴィオが両CBの手前でフィルター役となり未然にクイアバのカウンターを防ぐ。後半の自陣に引いた場面では、両VOLが中央を固め、サイドではSBやMFが素早く寄せて簡単にクロスを上げさせない。
   攻守にメリハリの効いた展開で好調を維持するアトレチコ・ミネイロは、この勝利で勝ち点を37に伸ばし、上位争いに食らいついている。
   次戦は、9月30日に全国選手権第25節、アウェイでインテルナシオナウの一戦が控えている。

   クイアバは、最近の6試合で5敗目、5試合目の無得点試合。
   前半は立ち上がりこそ相手陣にボールを運ぶことができたが、パスミスやアトレチコの素早い寄せにボールロストを繰り返し、自陣に押し込まれる展開へ。後半開始時にキープ力のあるMFルーカス・ミネイロ(Lucas Mineiro, 1996)と、FWデイヴェルソンへのマークを分散するために、スピードタイプのFWウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)に代え高さのFWデリキ(Derik, 1999)を投入。その狙いは一定の効果を表したが、チームとしてはゴール前にクロスをほとんど送ることができず、今節も無得点で試合を終えた。
   次戦は、9月30日に全国選手権第25節ホームでのフルミネンセ戦。

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