ダニーロ (Danilo)

投稿者: | 2022年12月15日
最終更新 : 2023/12/30
更新履歴 : 2023/05/20, 02/08

ダニーロ ドス サントス デ オリヴェイラ パウメイラス 2001年生まれ ボランチ

ダニーロ・ドス・サントス・デ・オリヴェイラ

Danilo dos Santos de Oliveira

ポジション:ボランチ(Volante)

利き足:左

2001年4月29日生まれ

ダニーロ選手(背番号28)プレー集

<幼少期>

 ブラジル北東部バイーア州の州都サウヴァドールの貧しい地域に生まれる。6歳の時にECバイーアの下部組織に入団。しかし、地元のサッカースクール、デギーニョ・ダ・ボーラでもプレーする。
 デギーニョ・ダ・ボーラでは様々なポジションでプレー。ある大会ではGK/GOLとして出場し、PKをストップするなどの活躍を見せた。
 2015年、ECバイーアでの昇格が見送られ退団を言い渡される。
 ダニーロはデギーニョ・デ・ボーラで練習を続けたが、ある日、デギーニョ・デ・ボーラの校長にサッカーを諦める旨を伝える。校長は、ダニーロに素質があり、何よりもダニーロが地域の希望でありスクールの子供たちの憧れになっていることに触れ説得。そして、貧困撲滅や青少年の自立支援を行う非営利団体のプロジェクトへの参加を勧め、この団体と提携関係にあるカジャゼイラスECに入団することを促した。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 2018年、ダニーロはバイーア州選手権2部のカジャゼイラスで活躍、チームを牽引し、州選手権2部を準優勝で終える。すると、この活躍がパウメイラスのスカウトの目に留まり、パウメイラスのU-17チームにレンタルとして移籍。
 2019年にはパウメイラスに完全移籍し、U-20チームに所属。当初はFW/ATAとしてプレーするが控えに甘んじ、MF/MEIや左SB/LAEなどのポジションを経験する。
 チェコ共和国で開催された大会の初戦、硬直した試合展開の中でダニーロは今まで経験したことのないプリメイロ・ボランチとして交代出場。すると、チームはダニーロのパスを起点とする2得点を含む3-0で勝利を収め、ダニーロは途中出場ながらこの試合の最優秀選手に選出される。
 この試合を機にボランチとしてトレーニングや試合を重ねていくと、スイスで開催された大会でも注目選手の一人となる。
 ダニーロは、現代サッカーのボランチに要求されるダイナミズムとインテンシティを体現、特に一対一の強さ、ロングパスの正確さ、決定的なスルーパスといったプレーに際立つものを見せた。
 この年、ボランチとしてレギュラーを掴んだダニーロは、チームのU-20カテゴリーの州選手権とコパ・ド・ブラジルの優勝、全国選手権の準優勝に貢献することとなる。

≪パウメイラス≫

– 2020年 –

 2020年、年初に開催されるU-20全国大会カップ戦での活躍がトップチームのルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督に認められ、トップチームに昇格。コロナ感染症の拡大による自粛期間明けの9月6日全国選手権第8節ブラガンチーノ戦、後半35分にプロデビューを飾る。
 9月13日、第10節エスポルチ戦でスターティングイレブンに名を連ねると、9月20日の第11節グレミオ戦でフル出場を果たし、着実に段階を経ていく。
 10月14日、成績不振を理由にダニーロの素質を見出したルシェンブルゴ監督が解任。後任にポルトガル人のアベル・フェヘイラ監督が就任する。
 アベル・フェヘイラ監督就任直後は、後半途中からの出場が続いたものの、11月の終わりには信任を得て、優勝争いから脱落した全国選手権ではなく、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルの両カップ戦を中心にスタメンで起用される。
 12月2日、リベルタドーレスベスト16のデルフィンSC/エクアドル戦2ndレグでは、後半4分、自陣から約40mのロングパスを繰り出し、ガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron)のゴールをアシストすると、試合終了間際には、カウンター攻撃からガブリエウ・シウヴァ(Gabriel Silva)のマイナスのクロスボールをカヴァジーニャ(軽く蹴りボールを浮かすシュート)でゴール。この試合でプロ初アシストとプロ初ゴールを記録した。

– 2021年 –

 2021年シーズンは、前年のコロナ感染症の拡大の影響を受け、2020年度の全国選手権最終節の翌週、2020年度コパ・ド・ブラジル決勝2ndレグの開催を待たずして州選手権が開幕する異常な日程で始まる。
 ダニーロは州選手権4試合に出場した後、前年のリベルタドーレス覇者としてヘコパ・スウアメリカーナ(4月7日、14日)、コパ・ド・ブラジル覇者としてスーペルコパ・ブラジル(4月10日)に出場。前者はデフェンサ・イ・フスチッサ/アルゼンチンを相手にホーム&アウェイの両試合をともに2-1のスコアの1勝1敗で終え、PK戦の末に優勝。後者はフラメンゴを相手に2-2の同点、PK戦の末、準優勝に終わった。
 5月はチームとして12試合の公式戦(4月は10試合)が組まれていたが、ダニーロは、リベルタドーレスの試合に優先的に起用される。しかし、前シーズンからの連戦の疲れからか6月初めに左太ももにケガを負い、しばらく戦列から離れる。
 6月27日全国選手権第7節のバイーア戦で復帰を飾ると、この年はコパ・ド・ブラジルに出場することなく、リベルタドーレスを中心に戦い、全国選手権はリベルタドーレスの日程を考慮に入れて起用される。
 ダニーロは、この年、チームで唯一リベルタドーレスの全13試合に出場(うち11試合にスタメン、7試合にフル出場)し、チームと自身のリベルタドーレス連覇を成し遂げた。

– 2022年 –

 2022年は、1月23日開幕の州選手権から始動。 
 2月12日にはドバイで開催されたクラブW杯で南米代表として欧州代表チェルシー/イングランドと対戦。延長を含め120分のフル出場を果たす。
 2月23日、3月2日には前年のコパ・スウアメリカーナの覇者、アトレチコ・パラナエンセとヘコパ・スウアメリカーナで対戦、ホーム&アウェイの2試合にフル出場。2ndレグでは試合終了間際にゴールをマークし、ヘコパ制覇に花を添えた。
 5月11日、6月の韓国、日本との親善試合に向けた代表に、自身初となる招集が発表されると、同日のコパ・ド・ブラジル、14日の全国選手権、18日のリベルタドーレスと、異なる大会ながら3試合連続でゴールを記録。
 全国選手権は全38試合中34試合に出場。チームは4年ぶり11度目のブラジル全国選手権のタイトルを獲得し、2022年シーズンを終えた。

≪ノッティンガムフォレスト≫

– 2022/23年 –

 2023年1月21日プレミアリーグ第21節AFCボーンマス戦、後半開始時にピッチに立ちクラブデビューを飾る。
 1月25日、2月1日のリーグ杯マンチェスターユナイテッド戦などにも出場するが、2月18日第24節マンチェスターシティ戦を最後にしばらくベンチを温めることになる。
 2023年4月1日第29節ウルヴァーハンプトン戦、約1か月半ぶりの出場を先発で果たすと、先制点をアシスト。以降の試合にスタメンで起用されるようになる。
 4月26日第33節ブライトン戦ではクラブ初得点を記録。高い位置で相手のパスをカット、そのままドリブルで持ち上がりゴール。
 4月29日第34節ブレントフォード戦ではロングスローインからの混戦の中から、5月8日第35節サウサンプトン戦では右サイドからの速い攻撃から中央で絶妙なパスを受けゴール。
 3試合連続得点。いずれも相手チームにボールを持たれる中、少ないチャンスをものにしたゴール。
 チームはその後チェルシーと引き分け、アーセナルから優勝の芽を潰える勝利を収め、ノッティンガムフォレスト自身もほぼ残留を確実にする。
 本来のセグンドボランチよりも一列高い位置でプレー。チームが守備的な戦術を採用する中、守備時には自陣ゴールライン際まで戻ることもあるが、攻撃への自由が与えらているのか、積極的に攻撃参加しピッチ中央を相手ゴール前に駆け上がる。
 ブラジル代表招集後に少し影を潜めていた前への推進力をすっかり取り戻したように見える。
 本来の姿を取り戻したダニーロの2023/24シーズンの活躍が待ち遠しい。

– 2023/24年 –

 2023/24シーズンのプレミアリーグは開幕節アーセナル戦から連戦で先発出場。しかし、第4節チェルシー戦で前半終了後にピッチを去ると、2か月ケガのため戦列を離れる。11月5日第11節アストン・ヴィラ戦の後半37分に復帰するも第14節は再び欠場。第15~18節の途中交代出場を経て、12月26日第19節ニューキャッスル戦で先発に復帰。

今後は欧州での活躍が期待され、多くのメディアやブログ、SNS等で情報が収集できるようになると思われますので、当ブログでの情報更新は2023年12月30日をもって終了します。
Boa Sorte, Danilo !!!

≪クラブ試合記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(19歳)パウメイラスクラブW杯26600
リベルタドーレス1172812
全国選手権1890500
コパ・ド・ブラジル532600
合計36202512
2021年(20歳)パウメイラスクラブW杯221000
ヘコパ・スウアメリカーナ211700
リベルタドーレス1394211
全国選手権22155421
スーペルコパ・ブラジル14500
州選手権957811
合計49344643
2022年(21歳)パウメイラスヘコパ・スウアメリカーナ218010
リベルタドーレス856821
全国選手権34275612
コパ・ド・ブラジル324710
州選手権971720
合計56446873
2022/23年(22歳)ノッティンガム/ENGプレミアリーグ1398132
リーグ杯28400
合計15106532
2023/24年(23歳)ノッティンガム/ENGプレミアリーグ1257400
合計1257400
イタリック斜体は、2023年12月29日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

 2020年10月22日、翌年に開催が予定されていたU-20南米ユース選手権に向けた代表トレーニングに初めて招集(2021U-20南米ユース選手権は開催中止)。
 2022年5月11日、6月に開催される韓国と日本との親善試合のメンバーとして代表初招集が発表される。
 試合への出場機会はなかったものの、代表が採用する戦術、その戦術においてのボランチとしての役割、ポジショニングなどについて監督やコーチ陣からのレクチャーを受け、パウメイラスのアベウ・フェヘイラ監督とは異なるサッカーを学ぶ機会を得る。
 公表はされていないものの、FIFA2022W杯カタール大会、事前登録メンバーの55選手に選出と多くの記事で報道されている。
 2023年12月21日CBFより2024年1月20日開幕パリ五輪南米予選U-23代表への招集が発表。しかし、12月30日、チーム事情により代表辞退が発表された。

プレースタイル 特徴>

 〇 ボックストゥボックスの広いプレーエリア
 〇 俯瞰的な視野、エリア管理能力の高さ
 〇 ロングパス、スルーパスの精度
 〇 一対一の対人の強さ
(プレー集の動画が冒頭にあるので実際のプレーをご覧ください)

<エピソード、雑感 etc.>

 バイーアの下部組織では昇格を逃がし退団に追い込まれながらも、そこから這い上がり、パウメイラスでボランチという天職に出会う。今やブラジルのこれからを担う選手の一人としてブラジル国内で認識されているダニーロ。
 プレーエリアが広く、パスコースを消すポジショニングやパスカットで未然にピンチを防ぎ、対人ディフェンスで強さを発揮。ロングパスでチャンスを作り、自らが前線に上がり得点を決める場面も作っていた。
 しかし、チチ監督による2022年6月の代表招集後は、以前のように相手ゴール前に顔を出す場面や、相手ライン裏への自陣からのロングパスやスルーパスを出す場面が少なくなったように思われる。(招集後は33試合1得点2アシスト、招集前は23試合6得点1アシスト)
 ボランチとしての経歴が浅く、現在のプレースタイルはほとんどがアベウ・フェヘイラ監督のもとで作り上げたもの。代表招集で違うスタイルのボランチ像を垣間見、パウメイラスでの役割との違いに混乱したのだろうか。
 これから欧州や代表でプレーし活躍するためには、自分のプレースタイルを殺すことなく、監督に託される役割を遂行しなくてはならない。経験が浅いということは、まだまだ伸びしろがあるともいえる。2023年はどのクラブでプレーするのかわからないが、どのチームでプレーするにせよ、与えられた役割を遂行しつつも自分らしさを表面に出したダニーロのプレーを見ていたい。

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