最新更新日 : 2024/08/30
更新履歴 : 2023/11/30
イゴル・ジェズス・リマ
Igor Jesus Lima
ポジション: ボランチ
利き足:右
2003年3月7日生まれ
<幼少期>
ブラジル連邦共和国中部、ゴイアス州の州都ゴイアニアに生まれる。
2017年、14歳の時に、同年ゴイアニアに創立された育成年代に特化したデスポルチーヴォ・ヘアウに入団。同クラブの会長で現在はイゴル・ジェズスの代理人も務めるタレス・カヌー氏に勧誘されたことがきっかけとなり、イゴル・ジェズスのキャリアがスタートした。
<クラブ 経歴>
≪育成時代≫
貧しい生活環境のなか、トレーニング場まで往復約50㎞の道のりを自転車で通った時期もあったが、デスポルチーヴォ・ヘアウでトレーニングや試合を積み重ねると、やがて同州内の強豪ゴイアスECの関心を引く。
2018年(14歳)にゴイアスECのU-15チームに入団すると、2019年には15歳でU-17チームに昇格。
2020年10月、U-17全国選手権フラメンゴ戦でのプレーがフラメンゴのスカウトの関心を呼び、2021年にはフラメンゴU-20チームの練習に参加。同年4月21日にフラメンゴU-20チームに入団を果たすと共に、2023年5月末を期限とするプロ契約を締結する。
2021年、フラメンゴU-20加入後間もなくレギュラーの座を奪うものの、8月から約2か月間はベンチで過ごす試合が続く。しかし、同年最後の大会、U-20全国選手権では再びレギュラーに返り咲く。
2022年最初の大会、U-20全国大会カップ戦では、18歳でレギュラーとして出場。
≪フラメンゴ≫
– 2022 –
2022年1月26日、リオデジャネイロ州選手権開幕節ポルトゲーザRJ戦で先発に抜擢され18歳のプロデビュー。 続く第2節もスタメン起用。この2試合は若手選手を主体とした布陣での試合だったが、2022年5月のコパ・ド・ブラジル3回戦1stレグでは、パウロ・ソウザ(Paulo Sousa)監督の下、主力メンバーに混ざり先発出場を果たす。
その後、トップチームはドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)氏に監督が交代するものの、イゴルは頻繁にトップチームのトレーニングに参加、U-20カテゴリーの大会と並行して、トップチームの全国選手権第31節から3試合連続の試合出場を果たす。
2022年は、U-20チームでの試合が主ではあったが、プロデビューを飾り、U-20カテゴリーとトップチームのコパ・ド・ブラジル二冠を獲得することになった。なお、2022年2月25日に契約が更改され、契約期限は2023年末までに延長、5000万ユーロの契約違約金が設定された。
– 2023 –
2023年は年初からトップチームに合流。ヴィトル・ペレイラ(Vítor Pereira)監督の下、州選手権ではボタフォゴ戦やフルミネンセ戦といったクラシコの重要な試合で先発に抜擢。決して多くはないものの着実に試合出場の機会を得ていた。しかし、チーム成績の不振から、次第に出場機会は減り、4月16日の全国選手権開幕節を最後にトップチームでの出場機会を失う。
4月以降は、トップチームに帯同しベンチ入りを果たすものの出場機会はなく、U-20チームで月に約2試合ずつ試合に出場。 2023年9月7日にはU-20全国選手権決勝パウメイラス戦に先発出場。キャプテンマークを左腕に巻き、チームを後方から支えると、試合は0-0で終え、PK戦の末、チームは優勝を果たす。
その直後の9月13日全国選手権第23節アトレチコ・パラナエンセ戦で、5が月ぶりにトップチームの試合に出場。続く20日第24節ゴイアス戦にも途中交代出場を果たす。
10月7日第26節から11月3日第32節までの期間をパンアメリカン競技大会出場のためチームを離れると、その期間にチームは優勝争いに加わったこともあり、復帰後は試合出場の機会は訪れていない。 なお、2023年6月3日に契約が更改され、契約期限は2025年末まで延長された。
– 2024 –
2024年2月15日州選手権第8節にて先発に起用され、2024年シーズンの初試合を迎える。
翌第9節(2月20日)もまたスタメンに起用されアシストを記録。しかし、準決勝、決勝のH&Aの両試合に出場はするものの、第10節以降の6試合はベンチスタートとなる。
その後も、全国選手権、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルと厳しい日程が続く期間は、控え選手中心のチームの一人として出場するにとどまる。
5月4日全国選手権第5節RBブラガンチーノ戦にて先発に抜擢されたものの、前半37分にベンチに下げられる悔しい思いをすると、6月13日第8節グレミオ戦にて第5節以来のスタメン出場の機会を得るが、前半30分に負傷交代。一か月後に復帰を果たすものの、出場機会は訪れず、8月28日のコパ・ド・ブラジルでの試合に後半44分に二か月半ぶりにピッチに送り出される。
2024年8月30日、エストレラ・アマドーラ/PORへの移籍が報道される。移籍金は、選手保有権の50%に対して200万ユーロ(約3億2300万円)。契約期間は不明。イゴル・ジェズス自身もこの移籍を容認し、交渉は詳細を詰めた後、ポルトガルに渡ると伝わっている。
≪エストレラ・アマドーラ/POR≫
– 2024/25 –
To be continued...
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2022年(19歳) | フラメンゴ | 全国選手権 | 3 | 21 | 0 | 0 |
コパ・ド・ブラジル | 1 | 45 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 2 | 166 | 0 | 0 | ||
合計 | 6 | 232 | 0 | 0 | ||
2023年(20歳) | フラメンゴ | 全国選手権 | 4 | 74 | 0 | 0 |
州選手権 | 5 | 361 | 0 | 0 | ||
合計 | 9 | 435 | 0 | 0 | ||
2024年(21歳) | フラメンゴ | リベルタドーレス | 3 | 166 | 0 | 0 |
全国選手権 | 3 | 77 | 0 | 0 | ||
コパ・ド・ブラジル | 3 | 34 | 0 | 1 | ||
州選手権 | 8 | 264 | 0 | 1 | ||
合計 | 17 | 541 | 0 | 2 | ||
2024/25年(22歳) | エストレラ・アマドーラ/POR | |||||
合計 |
イタリック斜体は、2024年8月30日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<世代別代表経歴>
≪2023年パンアメリカン競技大会(U-23)≫
2023年9月22日、10月22日に開幕する2023パンアメリカン競技大会のU-23代表18選手の一人、プリメイロボランチとしての選出が発表された。20歳で初の世代別代表への招集となった。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/10/23 | 予選第1節 | アメリカ合衆国 | 1 – 0 | 90 | 0 | 0 |
2023/10/26 | 予選第2節 | コロンビア | 2 – 0 | 90 | 0 | 0 |
2023/10/29 | 予選第3節 | ホンデュラス | 3 – 0 | 28 | – | – |
2023/11/01 | 準決勝 | メキシコ | 1 – 0 | 90 | 0 | 0 |
2023/11/04 | 決勝 | チリ | 1 – 1 PK: 4-2 | 120 | 0 | 0 |
合計 | 8 – 1 | 390 | 0 | 0 |
ボランチとして、中盤でボール奪取やインターセプトを数多く敢行し相手の攻撃を摘み取り、押し込まれる場面では守備ラインの手前でフィルター役となる。積極的に攻撃にも参加し、初戦では惜しいミドルシュートを放った。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。 身長179㎝、体重76㎏。(サッカーサイト「oGol」2023年9月29日参照)
がっしりとした体格を生かし、体を上手く使ったボール奪取やイーブンボールの奪い合いを得意とする。 スペース管理やパスコースを切るポジショニングなど、ボールを持たない局面でのポジショニングにも優れる。 最終ラインに入ってのビルドアップや、両CBと三角形を形成して、自陣からの攻撃の起点となり、長短のパス、特にサイドライン際へのロングパスの成功率は高い。また、プレスを軽くいなす足元の技術や体の使い方も巧み。 強烈なミドルシュートを放つキック力も魅力の一つ。
U-20チームでは、攻撃的なチームを中盤の底から支えるワンボランチとしての起用が多く、豊富な運動量で守備ライン前でフィルター役として機能。また、チームキャプテンとしてチーム全体を引っ張るキャプテンシーもあわせ持つ。 2023年4月からフラメンゴの指揮を執るホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督は、試合への起用は一度もなかったが、イゴル・ジェズスのフィジカルの強さを特に気に入っていると話していた。
イゴル・ジェズスが所属するフラメンゴは、2022年終盤にカップ戦二冠(リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジル)を果たし、大きく期待され2023年シーズンに突入した。しかし、9月29日現在で六つの大会で優勝を逃し、残す全国選手権も翌年のリベルタドーレス出場圏外の7位に低迷。9月24日のコパ・ド・ブラジル敗退後にはホルヘ・サンパオリ監督が解任され、後任に2022W杯でブラジル代表を率いたチチ(Tite)氏の就任。
チチ監督のもとでは、チームの刷新が期待され、下部組織が送り出す豊富な若手の有望株の起用、発掘も期待されている。また、戦術的にはチチ監督はワンボランチを頻繁に採用し、イゴル・ジェズスにとってこの監督交代は大きなチャンスとなる可能性が高い。
イゴル・ジェズスは2023年9月に二つの人生の大きな転換点を迎えている。 一つは、9月7日のU-20全国選手権決勝戦を優勝で終えたその試合後にピッチ上でプロポーズ。 もう一つは、9月22日に、パンアメリカン競技大会U-23代表で初の世代別代表招集。 発表目前に迫っているチチ監督との出会いもその一つに加わることになるかもしれない。
ジャーナリストのレオ・ジョゼ氏は、2023年9月にSNSで、アーセナル/ENGがイゴル・ジェズスの身元調査に乗り出したと投稿。今後はパンアメリカン競技大会、フラメンゴトップチームでの活躍を受け、欧州からの視線も日増しに熱を帯びていくことになるだろう。