【ブラジル全国選手権2023】第25節(1/2)

投稿者: | 2023年10月1日

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全国選手権第25節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/09/30 フラメンゴ(FLA) x バイーア(BAH)
・2023/09/30 フォルタレーザ(FOR) x グレミオ(GRE)
・2023/09/30 サンパウロ(SAO) x コリンチャンス(COR)
・2023/09/30 クイアバ(CUI) x フルミネンセ(FLU)
・2023/09/20 インテルナシオナウ(INT) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第25節(2/2)
・2023/10/01 サントス(SAN) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 
・2023/10/01 クルゼイロ(CRU) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/01 コリチバ(CFC) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/10/01 RBブラガンチーノ(RBB) x パウメイラス(PAL)
・2023/10/02 ボタフォゴ(BOT) x ゴイアス(GOI)

全国選手権第25節 試合概要

フラメンゴ(FLA) 1-0 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rkCM_w0w4rQ
(FLA) : 61' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   フラメンゴは全国選手権11勝7分6敗勝点40の7位。
   先週末9月24日のコパ・ド・ブラジル決勝戦2ndレグを1-1の引き分け。2試合合計で1-2でタイトルを逃し、9月28日にホルヘ・サンパオリ監督を解任。後任の監督には2022W杯ブラジル代表のチチ(Tite)氏の発表が寸前に迫っている状態。今節はマリオ・ジョルジU-20監督が監督代行として指揮を執る。全国選手権は来年のリベルタドーレス出場圏外となる7位に位置しており、1試合も無駄にできないが、来シーズンに向けた選手層の拡充も必要な状況。マリオ・ジョルジ監督がどのような布陣でバイーアに挑むか興味が持たれる。
   バイーアは全国選手権6勝7分11敗勝点25の17位。
   ホジェリオ・セニ監督は、就任後の2試合をいずれも残留を争うチームとの対戦で1勝1敗。前節サントス戦は、同じようなプレーで相次いで失点を喫した逆転負け。ついに降格圏内の17位に足を踏み込んだ。今節はセニ監督の3試合目の采配。攻撃力のあるフラメンゴを相手にここ2戦と同様のスタメンを組むのか、少し変化をつけてくるのか、こちらもスタメンの布陣に興味が持たれる。

得点シーン

(FLA)後半16分 :
バイーア陣ペナルティエリア内での混戦で、ディフェンダーがクリアしようとした足がフラメンゴFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)の足を蹴り上げる形となり、フラメンゴにPKが与えられる。これをFWペドロがゴール右に決めフラメンゴが先制。
   FWペドロは2022年にFWブルーノ・エンヒキのケガによる長期離脱を受けスタメンに定着。チーム得点王となる29得点を記録し、2022W杯代表にも選出された。今季も4月までは19試合17得点3アシストを記録していたが、5月以降はホルヘ・サンパオリ監督のもと起用法が変則的となり、出場時間とともにゴール関与も減少。このゴールは自身9試合ぶりのゴール。今節終了時点で48試合24得点4アシスト、全国選手権に限れば21試合6得点を記録している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:65% 35% ⇒ 前後半:64% 36%
シュート(枠内): 前半:7‐4(1-3) ⇒ 前後半:15-6(5-4)
パス成功率: 前半:84% 73% ⇒ 前後半:85% 78%

   フラメンゴは、4-4-2の陣形で多くのサポーターが満足するであろうスターティングイレブン。ツーボランチで攻守にバランスが保たれている。これまでは右SBウェズレイが高い位置を取り、左SBアイルトン・ルーカスが守備的なポジションを取ることが多かったが、今節はその配分が気になる。
   バイーアのスターティングイレブンは、出場停止明けのVOLヘゼンジ(Rezende, 1995)が復帰した以外は前節と同じ顔ぶれ。コンパクトな守備網を保ち、カウンターを狙っていくことになると思われる。

   試合は戦前の予想通り、フラメンゴがボールを持ちバイーアが守る展開。しかし、バイーアは最終ラインを高く保ち、フラメンゴ陣でプレスを仕掛け、それを掻い潜られると素早い帰陣でコンパクトにラインを保ちフラメンゴにスペースを与えない。
   前半9分、バイーアは相手陣の高い位置でボールを奪うとそのままシュート。GKロッシ(Rossi, 1995)が正面のボールを弾くがディフェンダーがCKに逃れる。前半18分には、ペナルティエリア手前で相手パスをカット。すぐさま縦にボールを出し中央へクロスを送るが、FWハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)のヘディングシュートはGKロッシの正面を突く。
   フラメンゴも、前半36分に相手陣でVOLエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)がパスカットからMFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)へボールを送ると、自身はそのまま縦に上がりゴールエリア手前で戻りのボールを受けて中央へクロス。FWペドロがそこに飛び込むが寸前でディフェンダーがブロック。
   さらに、前半45+2分、ペナルティエリア左手前からVOLエリキ・プルガールが直接狙ったFKはクロスバーを叩く。
   守備を起点に効率良く相手ゴールに迫りたいバイーアと、ボールを回しながらゴールをこじ開けたいフラメンゴは、お互いに僅かな決定機をゴールに結びつけることができないまま前半を終える。
   後半2分、フラメンゴは後方からのボールが前方に流れたところをVOLジェルソン(Gerson, 1997)が抜け出すが、ペナルティエリア手前でディフェンダーに背後から倒される。VARの介入により得点機会阻止と判断されディフェンダーは一発レッド。数的優位に立ったフラメンゴが攻撃の圧力を強め、相次いでバイーアゴールに迫ると、後半16分にPKをFWペドロが決め待望の先制点。
   その後もフラメンゴは攻撃的な姿勢を崩さず、後半28分にはMFエヴェルトン・ヒベイロの右サイドからのクロスにFWブルーノ・エンヒキが頭を合わせるが、GKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)が辛うじてCKに逃れる。
   バイーアも、後半32分、FWビエウ(Biel, 2001)の自陣からのパスに抜け出したFWルシアーノ・ジュヴァ(Luciano Juba, 1999)がシュートに持ち込むが、ボールはGKロッシの正面を突きチャンスを逸する。
   数的不利な状況が続くバイーアは、後半はゴール前での防戦が続き、後半32分のチャンス以外にチャンスを作り出すことができにない。先制後はフラメンゴが試合をコントロールし1-0で勝ち点3を獲得して終えた。

   フラメンゴは、今季の課題の攻撃のアイディア不足がこの試合でも解消できず、相手の退場とPKでの得点で何とか勝ち点3を勝ち取った。
   後任は2022W杯ブラジル代表監督のチチ(Tite)氏が有力視されているが、早く就任し攻撃の意思統一を図りたい。
   この試合の結果、土曜日の試合を終えた時点で4位に浮上。翌日以降の試合結果に関わらず6位以内が確定し、ひとまずはリベルタドーレス出場圏に返り咲いた。
   次戦は、全国選手権第26節、10月7日にアウェイでのコリンチャンス戦が控えている。

   バイーアは前半に、前に出る攻撃的なディフェンスで複数のチャンスを迎えたが決め切ることができず、後半は数的不利な状況で試合を支配され二連敗。CBカヌー(Kanu, 1997)は味方の処理ミスをカバーしに行ったところを手が出てしまい一発退場。前回のフラメンゴとの対戦でも相手のシミュレーションとも取られかねないリアクションで2枚目のイエローカードをもらい退場しており、不運が続いた。
   残留争いの他チームは土曜日に試合がない中、勝ち点を積み上げプレッシャーを掛けることが叶わず、日曜日の結果次第では18位に転落する可能性も出てきた。
   次戦は、全国選手権第26節、10月7日にアウェイでのゴイアス戦。ゴイアスはまだ第25節が未消化の時点で勝点差1でバイーアの上位に位置付けており、重要なシックスポイントゲームとなる。

フォルタレーザ(FOR) 1-1 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rAJ-u7ZGw7s
(FOR) : 44' #91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)[PK]
(GRE) : 80' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)[#6 ヘイナウド(Reinaldo, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権11勝5分8敗勝点38の8位。
   今節はコパ・スウアメリカーナ準決勝コリンチャンス戦の谷間の試合。2ndレグに向け今節は控え選手が主体のメンバーとなりそうだ。守護神GKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)と攻守に絶好調のVOLゼ・ウェリソン(Zé Welison, 1995)が累積警告で出場停止だが、ケガによる戦列離脱中にポジションを奪われた形のGKフェルナンド・ミゲウ(Fernando Miguel, 1985)、VOLのバックアップ陣もレギュラーの座を奪うべく、このチャンスを生かしたい。
   全国選手権は第18節終了時点で13位と苦しんでいたが、以降は5勝1敗で8位まで順位をあげており、控え選手が主体とはいえホームゲームだけに勝ち点を積み重ねたい。
   グレミオは全国選手権13勝4分7敗勝点43の3位。
   前節は2位パウメイラスとの対戦で1-0の勝利。その直前の試合で4-4の撃ち合い、2度のリードを守り切ることができなかったが、ほぼ同じメンバーでしっかりと守備を改善し、零封で勝ち点3を勝ち取った。今節はVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)が出場停止、CBホドリゴ・エリー(Rodrigo Ely, 1993)がケガのため、守備的なポジションで先発メンバーの変更が行われるが、攻撃陣に変更はない模様。
   アウェイゲームでは公式戦7試合未勝利が続いているが、この試合でその記録をストップすることができるだろうか。

得点シーン

(FOR)前半44分 :
相手陣高い位置の右サイドライン際でボールを受けたSBドゥドゥ(Dudu, 1997)が、間合いを詰めるディフェンダーの股を抜き、そのままゴール前にクロスを上げようとする。ボールがディフェンダーに当たるとVARが介入しフォルタレーザにPKが与えられる。このPKをFWチアゴ・ガリャルドがゴール左上隅にボールを突き刺しフォルタレーザが先制。
   FWチアゴ・ガリャルドは、2022年6月末にインテルナシオナウからの期限付き移籍でフォルタレーザに加入。21試合7得点1アシストの成績を受け、2023年4月にフォルタレーザに完全移籍、2025年末までの契約を締結。2023年は6月までは期待通りの成績を残すものの、次第に自身の成績もチーム成績も下降線を描いていき、最近の一か月はベンチスタートに回っている。今節は8月19日以来の先発起用で、その日以来のゴール。まだ年齢的に衰えるには早く、ストライカーとして復活を期待したい。
   SBドゥドゥは、フィゲイレンセ下部組織出身で2016年11月の全国選手権で19歳のプロデビュー。翌2017年にはレギュラーの座を獲得し全国選手権2部25試合など年間43試合に出場。その活躍を受け、インテルナシオナウに移籍するものの、ポジション争いに加わることができず、2020年にアトレチコ・ゴイアニエンセへ期限付きで移籍し、翌年には完全移籍。アトレチコ・ゴイアニエンセでは3年間で139試合4得点11アシストを記録。2022年のアトレチコの2部降格を受けフォルタレーザに加入。2023年は右SBで2番手として今節終了時点で22試合に出場。精度の高いクロスとこの試合で見せた足元の技術で、レギュラーの座を狙いたい。
(GRE)後半35分 :
相手陣左サイドライン際の浅い位置からSBヘイナウドがゴール前左へボールを送ると、守備ラインから抜け出したFWルイス・スアレスがワンタッチで間合いを詰めるGKの股下を通すシュート。これがゴールに吸い込まれグレミオが同点に追いつく。
   FWルイス・スアレスは、試合に出る時と出ない時で試合の展開が大きく変わるグレミオのキーとなる選手。点取り屋としてではなく、ボールのつなぎ役やゴールのおぜん立てなど、幅広く活躍。一時は10試合連続無得点の時期もあったが、最近は6試合で4得点2アシストと調子も上向いている。今季はこれで42試合20得点13アシスト。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:55% 45% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:10‐5(3-0) ⇒ 前後半:17-14(6-3)
パス成功率: 前半:85% 87% ⇒ 前後半:87% 86%

   フォルタレーザはコパスーラ1stレグからすべてのポジションで先発メンバーを変更。
   グレミオの先発メンバーは、CBにジェロメウ(Geromel, 1985)とカネマン(Kannemann, 1991)が入り、VOLにはウルグアイ代表カルバージョ(Carballo, 1996)を抜擢。

   前半3分、グレミオはペナルティエリア手前左からのFK。FWルイス・スアレスが直接狙うが、GKが一歩も動けないボールはゴールポストを叩き、グレミオは立ち上がりの大きなチャンスを逸する。
   その後はフォルタレーザが、組織的でコンパクトな守備をベースにグレミオの攻撃を未然に防いでいくと、次第に試合を優位に展開し始め、前半20分にFWチアゴ・ガリャルドが縦に落ちるミドルシュート、前半31分にはFWマチューカ(Machuca, 2000)が個人技でゴールライン際までボールを運びゴール前にクロス。ディフェンダーのクリアボールにVOLルーカス・サーシャ(Lucas Sasha, 1990)がダイレクトにゴールを狙うが、いずれのシュートもグレミオGKグランド(Grando, 2000)が好セーブでゴールを守り切る。
   フォルタレーザが押し気味に試合を運ぶと、前半44分、PKを獲得し先制点。
   一方のグレミオも、前半45+5分、MFクリスタウド(Cristaldo, 1996)がペナルティエリア内で倒されPKを獲得。しかし、MFクリスタウド自身が蹴ったボールは、軸足が滑りゴール枠を越えてしまう。
   1点をリードしたフォルタレーザは、守備に重心を移しつつ、カウンターから追加点を狙う。後半12分、自陣からのカウンターに最後はFWマチューカがシュートに持ち込むがボールは僅かにゴール右に外れる。
   対するグレミオは後半15分に2選手を交代。VOLホナウジ(Ronald, 2003)、FWベソッツィ(Besozzi, 2003)の若い選手を投入。すると、VOLホナウジは後半22分にCKからヘディングシュート、FWベソッツィは後半26分に個人技での仕掛けからクロスを供給、後半31分には強烈なシュートを放つ。この二人がチームに勢いをもたらすと、後半35分、FWルイス・スアレスがGKの股を抜くシュートで同点。
   同点になると試合は少しオープンな展開となるが、お互いにシュートを決め切ることができず、1-1の同点で試合終了。控え選手主体のフォルタレーザ、苦手のアウェイゲームを若手選手が流れをもたらしたグレミオは、それぞれ勝ち点1を積み上げた。
   

   フォルタレーザは、控え選手主体ながら、1つ順位は落としたものの、勝ち点1を積み上げ上位争いに踏みとどまった。PKとは言え、今季前半でチームを牽引したFWチアゴ・ガリャルドが久しぶりの得点、途中出場になると思われるがコパスーラ2ndレグを目前に、FWチアゴ・ガリャルドの復調は心強い。
   一方で、今季しばしば見られるのだが、この試合でも、リードした場面で守りに回る時間帯が早く、また、最終ラインの位置も低くなりすぎるため、効果的なカウンターを発動して追加点を奪うことができず、リードを守り切れずに引き分けに終える試合となってしまった。
   次戦は、10月3日にコパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグ、ホームにコリンチャンスを迎える。1stレグはアウェイで1-1の引き分け。ホームでの試合だけにしっかりと勝ち切って決勝に駒を進めたいところ。
   全国選手権第26節は10月8日にホームにアメリカ・ミネイロを迎える。

   グレミオは、苦手のアウェイ戦で8試合勝ち星がない。ホームゲームでの中盤の厳しい寄せや、相手ペナルティエリア前後でのリズムのいいワンタッチのパスワークが影を潜め、アウェイでは文字通り余所行きの試合運びとなってしまう。
   この試合では8月初めに加入したFWベソッツィが約一カ月ぶりの試合で、個人技を仕掛け、積極的にシュートに持ち込むなど、試合の流れを変える働き。若さゆえに課題はまだまだあるだろうが、試合の流れを変えることのできる選手として今後も試合で見たい選手。
   次戦は、全国選手権第26節、10月8日に伝統のクラシコ「グレナウ」、アウェイでのインテルナシオナウ戦。グレナウでのアウェイ戦で勝利を収め、アウェイの苦手意識を払しょくしたい。

サンパウロ(SAO) 2-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=D6O7dqTy9P8
(COR) : 3' #11 ホメーロ(Romero, 1992)[#25 ブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)]
(SAO) : 40' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#11 ホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)]
(SAO) : 45+2' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#7 アリソン(Alisson, 1993)]

見どころ(試合前の順位)

   サンパウロは全国選手権8勝7分9敗勝点31の10位。
   一週間前のコパ・ド・ブラジルでクラブ史上初の大会制覇。厳しい日程で挑んだ前節も控え選手主体のメンバーで試合を支配し、2-1の勝利を収め、全国選手権は前節の勝利で9試合ぶりの勝ち星。
   コパ・ド・ブラジル優勝で来季のリベルタドーレス出場権を獲得し、今後は来季に向けたチーム力の底上げが重点に置かれることになる。今後は、コパ・ド・ブラジル決勝戦の先発メンバーを軸に、今季途中加入のMFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)や、シーズン途中にポジションを奪われた形のFWルシアーノ(Luciano, 1993)やVOLガブリエル・ネベス(Gabriel Neves, 1997)、多くの若手選手が出場機会を得ていくだろう。
   コリンチャンスは全国選手権7勝9分8敗勝点30の11位。
   週中のコパ・スウアメリカーナ準決勝フォルタレーザ戦1stレグを1-1で引き分けたものの、試合後の9月28日にルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督の解任が発表され、翌日にはマノ・メネゼス(Mano Menezes)監督の就任が発表された。ルシェンブルゴ監督は今季3人目の監督として就任、就任当初はなかなか勝ち星に恵まれず、批判にも晒されたが、若手選手や年初は控えに甘んじた選手を多く起用し、選手層を充実させ、攻撃の核となっていたFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)をシーズン途中に引き抜かれながらも、州選手権では準々決勝敗退のチームを、コパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナでは準決勝まで進出させた。
   今節は、シジネイ・ロボ(Sidnei Lobo)氏が監督代行を務める。コパスーラ2ndレグに向け控え選手主体のスターティングイレブンが予想されている。

得点シーン

(COR)前半3分 :
相手陣の高い位置でSBブルーノ・メンデスが相手のパスをカット。こぼれたボールはペナルティエリア手前中央に流れ、FWホメーロがダイレクトにシュート。ボールはゴール右隅に決まりコリンチャンスが先制。
   FWホメーロは、パラグアイ代表でコパ・アメリカ2021など41試合8得点。コリンチャンスには2014‐2018年の5年間在籍し、2016‐2018年の3年間はレギュラーに定着。2015年、2017年には全国選手権のタイトルを獲得している。2度目のコリンチャンスでのプレーは2023年シーズン前に決定。加入当初の州選手権は出場機会に恵まれたものの、フェルナンド・ラザロ監督の先発メンバーの硬直化や、ルシェンブルゴ監督の若手選手や控え選手の底上げを狙った起用法のために試合出場は限られたものとなっていった。8月に入り、途中交代での出場が増え始め、サイドライン際でのスピードとボールキープ力をいかしたプレーでチームに活力を与えている。このゴールは今季の初ゴール。
(SAO)前半40分 :
FWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)が蹴る左CK。ディフェンダーのクリアボールをペナルティエリア右入口からMFホドリゴ・ネストールがダイレクトにシュート。FWカレリがコースを変えサンパウロが同点。
   MFホドリゴ・ネストールは、週末のコパ・ド・ブラジル戴冠の立役者、1stレグでは左サイドからのクロスで先制点のアシストをマーク。2ndレグでは2試合合計の勝ち越し点となるゴールを決めた。2017U-17W杯4試合、2017南米U-17選手権6試合の経歴。サンパウロ下部組織出身で2020年3月の州選手権で19歳のプロデビュー。2021年にはレギュラーの座を獲得し、翌2022年は62試合8得点11アシストでチームの中核選手に成長。2023年も今節終了時点で48試合(うち37試合に先発)2得点7アシスト、全国選手権に限れば19試合(うち13試合に先発)1得点2アシストを記録している。
(SAO)前半45+2分 :
相手陣約10mの地点から右SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)がペナルティエリア手前に下がったFWカレリへパス。右SBハフィーニャと並ぶ位置にいたVOLアリソンが縦に駆け上がっており、FWカレリはワンタッチで縦にボールを流す。VOLアリソンがペナルティエリア内でボールを受けゴールライン手前からマイナスのボール。ニアサイドでMFホドリゴ・ネストールがディフェンダーを引き付けスルー。FWカレリがゴール正面でフリーの態勢からボールをゴールに突き刺すゴラッソコレチーボ。
   FWカレリは、2016リオ五輪アルゼンチン代表で3試合1得点。2016年にサンパウロで約半年間31試合16得点3アシストの記録を残し、ウェストハム/ENGへ移籍。2021年9月にサンパウロに再加入すると2022年はチーム内得点王。今季は3月にケガのため戦列を離れるが、全国選手権開幕に合わせ復帰し、今節終了時点で44試合14得点6アシスト、全国選手権は19試合9得点2アシストを記録。コパ・ド・ブラジル決勝戦1stレグでは相手のマークをフィジカルの強さで外し、ヘディングシュートで試合唯一の得点をマークした。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:11‐3(3-2) ⇒ 前後半:19-6(7-2)
パス成功率: 前半:90% 84% ⇒ 前後半:88% 85%

   サンパウロのスターティングイレブンは、コパ・ド・ブラジル決勝2ndレグ前半の負傷交代でのCBアルボレーダ(Arboleda, 1991)からCBジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1999)への交代後と同じメンバー。
   コリンチャンスは、GKカシオ(Cássio, 1987)、CBジウ(Gil, 1987)、VOLマイコン(Maycon, 1997)、MFジウリアーノ(Giuliano, 1990)を除くポジションがコパスーラ2ndレグから変更された先発メンバー。

   サンパウロは、コパ・ド・ブラジル優勝の祝福ムードに包まれたホームのモルンビースタジアムで試合を迎えたが、開始早々の失点で冷や水を浴びせられる。前半9分にも自陣でのパスミスをカットされシュートまで持ち込まれるなど、ミスから相次いで危険なシーンが続く。
   しかし、その後は落ち着きを取り戻し、ミスもほとんどなくなり相手陣でのプレーが続く。前半17分にSBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)の個人技での持ち上がりからのクロス、前半28分はFKから相手ゴールに迫ると、前半40分にCKからの流れでFWカレリが同点ゴール。
   さらに、その7分後には、相手陣での華麗なパス回しで相手守備網を崩しFWカレリが逆転ゴール。前半終了間際に観客の盛り上がりはピークを迎える。
   後半も追加点を狙うサンパウロが後半11分にFWルーカス・モウラがボールを自陣からドリブルで持ち上がりシュート。しかし、GKカシオが倒れ込みながら両手でゴールを阻止。続くCKはFWカレリがボールを頭に合わせるもゴール枠を僅かに越える。後半20分にはカウンターから最後はFWカレリがシュート。
   コリンチャンスは選手交代で試合の流れを引き戻しにかかるが、後半26分の相手ペナルティエリアで混戦は最後はゴール枠を大きく越えるシュートで終える。サンパウロは守備を固め、カウンターを狙う戦術に切り替えると、後半44分、後半45分と相次いでコリンチャンスゴールに迫る。
   試合は、2-1でサンパウロの勝利。コパ・ド・ブラジル優勝後のホームゲームを2連勝。コパ制覇は確かな自信となっている。

   サンパウロは、初めの15分は慢心があったのかもしれないが、その後はチーム全体に王者の風格をまとい、前半の内に逆転、後半も試合をコントロールして試合を締めくくった。コリンチャンスとのクラシコを試合内容で圧倒し、全国選手権も2連勝。一時は残留争いを意識する順位、勝点差となっていたが、この勝利で降格圏までの勝点差は9ポイントに広がり、今後は先を見据えた試合を送ることができる。
   次戦は、10月7日に全国選手権第26節アウェイでのヴァスコ・ダ・ガマ戦。

   控え選手主体のコリンチャンスは、立ち上がりこそ高い位置でのプレスと相手のミスにつけ込み先制したものの、その後は劣勢となり逆転負けを喫した。この試合は代行監督のもとでの試合となったが、前監督同様の守備的な戦術、若手選手を積極的に起用する方針を継続、結果こそ伴わなかったが、選手のモチベーションを保ってマノ・メネゼス新監督にバトンを渡すことができたのではないだろうか。
   次戦は、10月3日にコパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグ、アウェイでのフォルタレーザ戦。ホームでの1stレグは引き分け、勝って決勝にコマを進めたい。
   全国選手権第26節は、10月7日にホームにフラメンゴを迎える。

クイアバ(CUI) 3-0 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ODNwwb131kc
(CUI) : 57' #29 クレイソン(Clayson, 1995)[#8 ホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)]
(CUI) : 64' #33 アラン・エンペレウール(Alan Empereur, 1994)[#16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)]
(CUI) : 87' #88 フェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)[#7 ジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権8勝5分11敗勝点29の12位。
   5勝1分の後、1分5敗と好不調の周期が長く、一時期はリベルタドーレス出場圏内を争うところまで達したが、現状は中位争いに収まっている。最近の6試合は計2得点11失点で無得点試合が5を数える深刻な得点力不足。サイド攻撃を封じ込まれ、FWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)に良質なクロスを供給できずにいる。
   ここ数試合はスピードのあるFWウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)と高さのあるFWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)を試合途中に入れ替え打開を図っているが、それ以前に中盤でのボールキープや、中央でのトリアングラソンなどで、相手の守備の意識をサイドと中央に分散したい。
   フルミネンセは全国選手権12勝5分7敗勝点41の5位。
   リベルタドーレス準決勝の谷間となる今節は、控え選手主体のスターティングイレブンが予想される。フェルナンド・ジニース監督の独特なサッカースタイルの下、起用される選手が固定化されつつあるので、今節起用される選手は監督のサッカーをピッチ上で具現化し、今後に向けチャンスを掴んでほしいところ。

得点シーン

(CUI)後半12分 :
相手陣右サイドゴールライン際へのパスはディフェンダーに奪われるが、FWウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)がプレスをかけパスミスを誘う。MFホナウジ・ロペスがこぼれたボールを拾い、逆サイドへライナー性のクロス。FWクレイソンがダイレクトに足を合わせるとボールはファーサイドのゴールネットを揺らす。
   FWクレイソンは、2022年8月から2023年6月までV・ファーレン長崎/JPNでプレー。2023年6月30日に移籍加入が発表され、2021年以来1年半ぶりにクイアバへの復帰を果たす。2023年7月8日全国選手権第14節バイーア戦でクラブ再デビューを飾ると、今節終了時点で10試合3得点。FWデイヴェルソンと適度な距離を保ち、ゴールに結びつけている。
   MFホナウジ・ロペスは、2016年9月にリオデジャネイロ州選手権下部リーグのノヴァ・イグアスから19歳のプロデビュー。2020年にフォルタレーザに加入すると、レギュラー争いを繰り広げ3年間で108試合に出場。2023年2月に2023年末までの期限付き移籍でクイアバに加入すると、多くの試合に出場していたが、6月以降は出場機会が激減していた。今節は5月27日全国選手権第8節コリチバ戦以来のスタメン起用。そして、その起用に応える先制点のアシスト。これを機にポジション争いに加わり来季以降の契約に繋げたい。
(CUI)後半19分 :
右ショートコーナーからMFホナウジ・ロペスがファーサイドへクロス。FWデイヴェルソンが中央ペナルティエリア入口へ折り返したボールを、後方に下がったCBアラン・エンペレウールが振り向きざまのシュート。これがゴールに吸い込まれクイアバが追加点。
   CBアラン・エンペレウールは、フィオレンティーナ/ITA下部組織出身でイタリアでデビュー。2020年にパウメイラスに加入し、26歳で初めてブラジルでプロとしてプレー。2021年9月にクイアバに加入すると、間もなくレギュラーの座を獲得。2023年もレギュラーとして多くの試合に出場。このゴールは今季の全国選手権初ゴール。左足利きのCBとは思えない、右足の難しいボレーシュートのゴラッソでゴールを決めた。
(CUI)後半43分 :
FWジョナタン・カフーが、自陣からのFWデイヴェルソンのボールを受け、ペナルティエリア手前右でキープ。VOLフェリピ・アウグスト(Filipe Augusto, 1993)が左サイドからディフェンダーを引き連れペナルティエリアに進出すると、一列下の空いたスペースにVOLフェルナンド・ソブラウが駆け上がり、FWジョナタン・カフーからボールを受けシュート。グラウンダーのシュートは左ゴールポストを叩きゴールイン。
   VOLフェルナンド・ソブラウは、セアラー州選手権の下位クラブで2012年にキャリアをスタート、2017年に全国選手権3部のサンパイオ・コヘアに加入。チームが全国選手権2部に昇格した2018年にレギュラーの座を獲得。この活躍を受け、2019年にセアラーSCへ移籍。4年間で171試合8得点9アシストの記録を残し、2022年末にクイアバと3年契約を結ぶ。入団当初はポジション争いを繰り広げるも、全国選手権第6節フルミネンセ戦以降ポジションに定着。攻撃的なMFとしてボールを左右に振り分け、時にはサイドの選手とのパス交換やポジション交替でチャンスを生み出すなど、攻撃を牽引している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:8‐6(2-2) ⇒ 前後半:17-7(6-2)
パス成功率: 前半:85% 90% ⇒ 前後半:87% 88%

   クイアバはスタメンに、前節後半からの出場で高さだけでなくオフザボールで相手守備ラインをかく乱したFWデリキ・ラセルダと、中盤での落ち着きを与えたMFルーカス・ミネイロ(Lucas Mineiro, 1996)を抜擢。中盤のボールキープ率を高め、FWデイヴェルソンに集中するマークを分散することが狙いと思われる。
   フルミネンセは予想通り、リベルタドーレス準決勝1stレグで退場処分を受けたSBサムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)を除く10のポジションで選手を入れ替えたスターティングイレブン。

   アウェイのフルミネンセが前半3分に相手陣でのパス交換から後方に戻したところから縦の楔のパスでFWジョニ・ゴンサーレス(Yony González, 1994)が抜け出しシュートに持ち込むがシュートはGK正面。
   ホームのクイアバも前半10分に自陣からのロングボールを起点に右サイドからクロス。ゴール前の空中戦でFWデイヴェルソンが倒されるが主審は試合を流す。
   中盤の攻防が激しく両チームは前線に効果的にボールを運ぶことができず、膠着状態のまま時間が経過していく。
   しかし、前半40分、フルミネンセはVOLマルチネリ(Martinelli, 2001)がこの試合2枚目のイエローカードを提示され退場。一気に試合が動く。
   数的有利に立ったクイアバは前半アディショナルタイムに相次いでフルミネンセゴールに迫り、前半45+3分にはFWデイヴェルソンが至近距離のヘディングシュートを放つがGKペドロ・ハンジェウ(Pedro Rangel, 2003)がデフェザッサ。
   後半開始と同時にフルミネンセは一気に3選手を交代。しかし、クイアバの勢いを止めることは出来ない。
   クイアバは後半12分に先制点を奪うと、後半19分に追加点。後半40分にダメ押し点。ボールを支配し攻撃的に試合を進め、ボールロスト後は素早い寄せでフルミネンセに攻撃の形を作らせず、後半は被シュート一本に抑え3-0の快勝。

   クイアバは、相手に退場者が出たとは言え、7試合ぶりの3得点で7試合ぶりの勝ち星。スタメン変更が効果を発揮したかどうかもこの試合だけでは判断できないが、少なくとも3得点無失点の結果は、最近の7試合の悪い流れを払拭するに値する結果。この流れを次節以降に繋げていきたい。
   次戦は、10月14日に全国選手権第26節ホームでのクルゼイロ戦。

   フルミネンセは控え選手主体のチームだったが、主力選手主体のチームに対して大きく見劣る試合展開。前半3分の攻撃こそフルミネンセらしい形で相手ゴールに迫ることができたが、全体としては、攻撃面では縦パスや相手の急所を突くような危険なパスが少なく、相手のプレスに慌てる場面があり、守備面では素早く囲い込むプレーが少し甘くなるなど課題が多く残った。
   退場者を出した前半40分以降は、押し込まれる展開が続き、カウンターもほとんど発動することができず試合を終えた。
   次戦は、10月4日にリベルタドーレス準決勝インテルナシオナウとの2ndレグ。1stレグはホームで退場者を出し、一度は1-2とリードされながらも同点に追いついた試合。アウェイでの2ndレグは厳しい試合が予想されるが、勝ち切って決勝進出を果たしたい。
   全国選手権第26節は、10月8日に首位ボタフォゴとのクラシコが本拠地のマラカナンスタジアムで予定されている。

インテルナシオナウ(INT) 0-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: 
(CAM) : 73' #7 フッキ(Hulk, 1986)[]
(CAM) : 81' #17 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)[]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権7勝8分9敗勝点29の14位。
   リベルタドーレス準決勝に挟まれた今節は控え選手主体のスターティングイレブンが予想される。全国選手権は前々節で11試合ぶりの勝ち星を収めたものの、前節は再び敗戦。降格圏までの勝点差は4ポイントまで縮まっており安泰ではない。リベルタドーレスに重点が置かれるのは致し方ないが、全国選手権で残留争いに巻き込まれないためにも勝ち点を積み重ねたい。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権10勝7分7敗勝点37の9位。
   突然の監督交代後は9試合勝ち星がなかったが、第18節2か月ぶりの勝利を収めるとその後は5勝2分1敗と調子を取り戻し、来季のリベルタドーレス出場権獲得争いに参入してきた。今節は最近の試合で攻守にバランスが取ってきたVOLオターヴィオ(Otávio, 1994)を出場停止で欠き不安の種となる。
   突然の辞任を申し入れたエドゥアルド・クーデ監督率いるインテルナシオナウとの因縁の一戦となる。

得点シーン

(CAM)後半28分 :
右サイドをVOLエデニウソンがドリブルで持ち上がり、ペナルティエリア手前から逆サイドへクロス。MFアラン・フランコ(Alan Franco, 1998)が頭で合わすが、GKケイレル(Keiller, 1996)が両手でゴールを阻止するが、跳ね返りのボールをFWフッキがビシクレッタでゴールネットを揺らす。
   MFアラン・フランコは、2022W杯2試合などエクアドル代表として30試合1得点。インデペンディエンテ・デル・バジェ/EQU下部組織出身で2020年にアトレチコ・ミネイロに加入するが、2年間で48試合3得点の記録を残し、シャーロットFC/USA、タジェレス/ARGに期限付き移籍。2023年6月にアトレチコ・ミネイロとの契約を更新し、一年半ぶりにアトレチコ・ミネイロに復帰。復帰後6試合目の出場で記録には残らないものの、劣勢の中での貴重な先制点に関与。
(CAM)後半36分 :
相手陣深くの相手ボールのスローイングをアトレチコMFイゴル・ゴメスがインテルCBイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)の手前で掻っ攫い、そのままシュート。これがゴールネットに突き刺さりアトレチコが貴重な追加点。
   MFイゴル・ゴメスは、サンパウロ下部組織出身でサンパウロから2018年11月26日全国選手権第37節エスポルチ戦で19歳でのプロデビュー。翌2019年に途中出場で多くのチャンスを得ると終盤に攻撃的なMFのポジションを獲得。2020‐22年の3年間は主力として170試合8得点15アシストを記録。2022年末のサンパウロとの契約満了をもってアトレチコ・ミネイロに移籍。2023年は今節終了時点で40試合に出場しているものの、交代出場が多く(22試合)、自他ともに満足のいく内容ではない。しかし、この試合は後半開始時の出場から前半の嫌な流れを変える働きを見せ、今季の全国選手権初ゴールをマーク。これを機にタレント揃いのチームの中でポジションを確保したい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:66% 34% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:9‐2(1-0) ⇒ 前後半:14-9(4-5)
パス成功率: 前半:88% 78% ⇒ 前後半:87% 78%

   インテルナシオナウは戦前の予想通りリベルタドーレス準決勝2ndレグに向けすべてのポジションで先発を変更。前線のスリートップにはベテランFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)を真ん中に、最近出場機会が増えているFWルーカ(Lucca, 2003)、今季全国選手権開幕前にイトゥアーノから加入したFWガブリエウ・バーホス(Gabriel Barros, 2001)が両脇を固める。
   アトレチコ・ミネイロは、VOLオターヴィオに代わり、セグンドボランチでの起用が多いVOLエデニウソン(Edenílson, 1989)が先発。プリメイロボランチはバタグリア(Battaglia, 1991)が務めると思われる。他のポジションに変更はない。

   試合はホームで控え選手主体のインテルナシオナウが、立ち上がりから相手陣でプレスをかけ、自陣でボールを奪った際は相手陣左サイド深くにボールを送り、アトレチコ守備陣を自陣深くに押し込んでいく。
   前半5分にはFWルイス・アドリアーノがクロスバーを直撃するこの試合の初シュート。その後も相次いでシュートに持ち込む。アトレチコはサイドのスペースを埋めにいくが、後方に重心を置いた布陣となり前線はFWフッキが孤立状態。FWフッキは厳しいマークの中、自陣からのクリアボールをキープすることができず、効果的にカウンターを仕掛けることもできず、前半はほとんどの時間をアトレチコ・ミネイロ陣内でのプレーとなる。
   後半3分、インテルは左CKからCBイゴル・ゴメスが頭を合わせるが、アトレチコGKエヴェルソン(Éverson, 1990)が片手でボールを掻き出す好セーブ。後半9分には自陣からのカウンターでインテルがシュートに持ち込むがGKエヴェルソンが落ち着いた対応でボールをキャッチ。
   アトレチコは後半開始時にMFイゴル・ゴメス、後半17分にMFアラン・フランコを投入し、中盤でのボールキープを図るが、前半同様、インテルが押し込む展開が続く。
   ところが、後半28分、自陣からドリブルでVOLエデニウソンが持ち上がり、MFアラン・フランコを経由してFWフッキが起死回生の先制ゴール。後半36分にはMFイゴル・ゴメスが相手の一瞬の隙を突き追加点。
   インテルも、後半15分から相次いで主力選手を投入していくが、最後までアトレチコゴールをこじ開けることができず、アトレチコ・ミネイロが2-0の勝利を収めた。

   インテルナシオナウは、前半はゴール以外はほぼ理想的な展開。前線のプレスと相手ゴールライン際までボールを運ぶことで強力なアトレチコ・ミネイロの攻撃陣を無効化に成功し、ほとんどの時間を相手陣でプレー。
   控え選手主体の選手構成でチーム戦術の浸透が実感されたが、主力選手が投入される中、最後までゴールを奪えない課題も。リベルタドーレスに向けしっかりと修正したい。
   次戦はリベルタドーレス準決勝フルミネンセ戦2ndレグ。1stレグはアウェイで2-2の引き分けに終えており、ホームで勝って決勝に駒を進めたい。
   全国選手権第26節は、10月8日にホームで伝統のクラシコ「グレナウ」。降格圏までの勝点差は4ポイントまで詰まっており、全国選手権でも勝利が欲しい。

   アトレチコ・ミネイロは、難しい試合を無失点で切り抜け、3試合連続無失点で試合を終えた。VOLオターヴィオに代わりスタメンに起用されたVOLエデニウソンが1点目に繋がる約50mのドリブルなど攻守に貢献、途中出場のMFアラン・フランコ、MFイゴル・ゴメスがゴールに関与し、選手間の競争が激しくなり、フェリピ・ルイス・スコラーリ監督にとっては嬉しい悩みとなりそうだ。
   この勝利の結果、来季リベルタドーレス出場圏の6位までの勝点差は1。8チームが勝点差6で5つの出場権を競う展開となっており、現在の好調をシーズン終盤まで維持し、出場権を確保したい。
   次戦は、10月8日に全国選手権第26節、開場以来3連勝のアレーナMRVにコリチバを迎える。

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