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全国選手権第26節 対戦組合せ
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/07 ゴイアス(GOI) x バイーア(BAH)
・2023/10/07 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x サンパウロ(SAO)
・2023/10/07 コリンチャンス(COR) x フラメンゴ(FLA)
・2023/10/08 フルミネンセ(FLU) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/10/08 パウメイラス(PAL) x サントス(SAN)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第26節(2/2)
・2023/10/08 インテルナシオナウ(INT) x グレミオ(GRE)
・2023/10/08 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x コリチバ(CFC)
・2023/10/08 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/10/08 フォルタレーザ(FOR) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/14 クイアバ(CUI) x クルゼイロ(CRU)
全国選手権第26節 試合概要
ゴイアス(GOI) 4-6 バイーア(BAH)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=iuh7upjTStg
(BAH) : 15' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[]
(BAH) : 18' #2 ジウベルト(Gilberto, 1993)[FK]
(GOI) : 27' #60 ギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)[#45 ジョアン・マギノ(João Magno, 1997)]
(BAH) : 37' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]
(GOI) : 45+2' #60 ギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)[PK]
(GOI) : 45+4' #9 マテウス・バビ(Matheus Babi, 1997)[#70 アンデルソン・オリヴェイラ(Anderson Oliveira, 1998)]
(GOI) : 50' #45 ジョアン・マギノ(João Magno, 1997)[#66 ウーゴ(Hugo, 1997)]
(BAH) : 53' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[]
(BAH) : 56' #11 ハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)[#9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)]
(BAH) : 90+5' #10 ビエウ(Biel, 2001)[#11 ハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)]
見どころ(試合前の順位)
ゴイアスは全国選手権6勝9分10敗勝点27の16位。
前節の首位ボタフォゴ戦は、前半は主導権を握り、後半は主導権を奪われたものの失点シーン以外に危険なシーンはほとんどなく、1-1の引き分けで勝ち点1を獲得。安定感を取り戻した守備は、ここ最近の上位との対戦でも失点を1点以内に抑え、チームは自信を取り戻している。今節は残留争いのライバルバイーアとの一戦。勝ち点3を勝ち取って残留争いから抜け出したい。
バイーアは全国選手権7勝5分13敗勝点25の18位。
前節は、コンパクトにラインを保ち守備的な布陣でカウンターを狙うも効果的なカウンターを繰り出すことができず、後半の早い時間帯に退場者をだし、守備陣の健闘もフラメンゴの個の力に屈した形で0-1の敗戦。就任後3試合を経たホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)監督だが、初戦こそ最下位のコリチバを相手に守備の混乱に乗じて4得点を奪ったものの2失点を喫し、次戦サントス戦は同じパターンの失点を繰り返し2失点。前節こそ守備的な戦術で1失点にとどめたが、得点を奪いに行った際の守備の脆さが懸念される。
得点シーン
(BAH)前半15分 :
右SBジウベルトが自陣で右サイドライン際を個人技でディフェンダーをかわし相手陣にボールを運び、さらに相手陣深くへボールを送る。MFカウリーがボールを受けゴール前にクロス。ニアサイドでディフェンダーのマークが厳しいFWアデミール(Ademir, 1995)がスルーすると、ゴール正面でフリーのFWエヴェラウドがゴールに押し込みバイーアが先制。(G0-1B)
FWエヴェラウドは、2011年11月の全国選手権でグレミオから20歳のプロデビュー。サウジアラビアやメキシコ、2020‐22年に鹿島アントラーズ/JPNでプレーし101試合34得点15アシストを記録するなど、国外経験も豊かなストライカー。2023年バイーア加入後はコンスタントに試合に出場。最近はチャンスメーカーとしてのプレーが多く、このゴールは8月6日第18節アメリカ・ミネイロ戦以来2か月8試合ぶりのゴール。今季はこれで50試合15得点4アシスト、全国選手権は22試合4得点。
(BAH)前半18分 :
ハーフライン上の右サイドライン際でバイーアFWアデミールとゴイアスCBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)が頭を接触。ゴイアスがファールを取られ、両選手はピッチ外で治療を受ける。主審の再開の笛を聞いた右SBジウベルトは、ゴイアスの選手がポジションにつく前にロングシュート。これがゴイアスGKタデウ(Tadeu, 1992)の頭上を越えゴールに吸い込まれる。(G0-2B)
右SBジウベルトは、ボタフォゴ下部組織出身で2011年4月のリオデジャネイロ州選手権で18歳のプロデビュー。その後はヴァスコ・ダ・ガマやフルミネンセ、フィオレンティーナ/ITAなどでプレー。2020/21年から3年間在籍したベンフィカ/PORでは計106試合8得点7アシストを記録。2023年7月にバイーアに加入すると間もなくポジションに定着。11試合目の出場でクラブ初ゴール。これまで2アシストを記録している。
(GOI)前半27分 :
MFギリェルミ・マルケスが、自陣からのビルドアップで中央をドリブルでボールを持ち上がり、VOLハファエウ・グッツォへ預けそのまま縦に駆け上がる。ボールはVOLハファエウ・グッツォから縦に繋がれMFパラシオスがFWジョアン・マギノへスルーパス。ゴールエリアの外でボールを受けたFWジョアン・マギノは中央にボールを流すとMFギリェルミ・マルケスが走り込みゴール。(G1-2B)
MFギリェルミ・マルケスは、18歳の2009年にブラジル国内でのデビューを待たずSCブラガ/PORに移籍。その後、ポーランドやトルコを経て、広州恒大/CHNから2023年4月3日にゴイアスに加入、31歳にして母国ブラジルで初めてプレー。中盤で攻撃の指揮を執るだけでなく、セットプレーはチームの得点源の一つとなっている。
(BAH)前半37分 :
自陣からのクリアボールを右サイドでFWアデミールが空中戦で競ると、MFカウリーがこぼれ球を拾う。ドリブルでディフェンダーのマークをかわすと、左サイドをペナルティエリアに向かうFWエヴェラウドでスルーパス。ペナルティサークル内でFWエヴェラウドがダイレクトに右足を振り抜きゴールネットを揺らす。(G1-3B)
MFカウリーは、2023年8月27日の全国選手権第21節ボタフォゴ戦でのケガで一か月半ぶりの試合。2023年2月の加入以来、攻撃の指揮を執る。今季は36試合8得点6アシスト。全国選手権は21試合2得点3アシスト。
(GOI)前半45+2分 :
ゴイアスが相手陣でFKを得るとゴール前の混戦でCBブルーノ・メロ(Bruno Melo, 1992)が倒されゴイアスがPKを獲得。これをMFギリェルミ・マルケスがゴール右に強いシュートを決める。(G2-3B)
CBブルーノ・メロは、フォルタレーザからの期限付き移籍で2023年はゴイアスでプレー。左右のCB、SBをこなす器用な選手。ゴイアスでは右CBのレギュラーとして全国選手権は23試合2得点1アシストの記録を残している。
(GOI)前半45+4分 :
右SBブルーノ・サントスが中央から右サイドペナルティエリア外のFWアンデルソン・オリヴェイラにボールを送る。FWアンデルソン・オリヴェイラがゴール前にクロスを送ると、FWマテウス・バビがディフェンダーの背後から一歩前に出てヘディングシュート。これがゴールネットを揺らす。(G3-3B)
FWマテウス・バビは、アトレチコ・パラナエンセ所属で身長191㎝の大型センターフォワード。2022/23年は期限付き移籍でサンタクララ/PORでプレーし31試合6得点。2023年7月25日に期限付き移籍でゴイアスに加入した。7月30日の全国選手権第17節グレミオ戦でクラブデビュー、そして、クラブ初ゴールを記録。このゴールはグレミオ戦以来の2得点目のゴール。
(GOI)後半5分 :
MFギリェルミ・マルケスが相手陣中央やや右から左サイドライン際へ正確なパス。これを受けたSBウーゴがMFパラシオスとのタベーラでサイドライン際をゴールラインに向け抜け出すと、そのままドリブルから間合いを詰めるGKをかわす中央へのクロス。FWジョアン・マギノが難なくボールを足に合わせゴイアスが逆転(G4-3B)。
FWジョアン・マギノは身長195㎝の長身FW。2023年7月6日にデュドランジュ/LUXから移籍金ゼロでゴイアスに加入。ブラジル、ポルトガルでは上位リーグでのプレー経歴はなく、下位リーグでの実績も僅か。ルクセンブルクリーグでの32試合16得点の成績で自信をつけると、ゴイアス加入後3試合で2得点を記録。このゴールはそれ以来のゴールだが、守備面での貢献度も高く、最近のゴイアスの好調への貢献度は高い。
(BAH)後半8分 :
ペナルティエリア手前でボールを受けたMFカウリーがドリブルでスルスルと抜け、ゴールライン際までボールを運び、ゴール前にマイナスのクロス。FWハファエウ・ハトンのシュートはGKにブロックされるが、こぼれ球をFWエヴェラウドがゴールに押し込む。(G4-4B)
FWエヴェラウドはこれがこの日3点目。今季の全国選手権で初となるハットトリック。チーム5点目ではアシストも記録。
(BAH)後半11分 :
自陣からのカウンター。左サイドへのパスに抜け出したFWエヴェラウドがさらにドリブルで持ち上がり、ディフェンダーが詰められる前にアウトサイドキックでゴールファーサイドへクロス。このボールにFWハファエウ・ハトンが右足を振り抜きバイーアが逆転。(G4-5B)
FWハファエウ・ハトンは、2023年7月にトゥールーズ/FRAから加入。7月30日全国選手権第17節サンパウロ戦でクラブデビュー。翌節からスタメンに定着したが、この試合は9試合ぶりのベンチスタートとなった。後半開始時にピッチに立つと、貴重な勝ち越しゴールとチーム6点目のアシスト。これで今季は10試合3得点1アシスト。
(BAH)後半45+5分 :
自陣からのカウンター。VOLタシアーノが右サイドライン際をゴールライン際までボールを持ち上がりマイナスのクロス。FWハファエウ・ハトンはディフェンダーのマークにシュートに持ち込めないが、スルーされたボールをFWビエウが受けGKの位置をよく見てシュート。ダメ押しのゴール。(G4-6B)
FWビエウは、フルミネンセ下部組織出身。2022年は期限付き移籍先のグレミオでチームの1部昇格に大きく貢献。フルミネンセ育成時代からマンチェスターシティ/ENGがモニタリングしていたこともあり、2022年末にバイーアが180万USドル相当額で獲得。2023年はシーズン開始時から主力として活躍するも5月31日のコパ・ド・ブラジルでケガを負い3か月戦列を離脱する。8月27日の全国選手権第21節ボタフォゴ戦で復帰し、このゴールは復帰後2点目。今季は通算36試合10得点6アシスト。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:12‐6(5-4) ⇒ 前後半:20-9(7-7)
パス成功率: 前半:87% 79% ⇒ 前後半:83% 76%
ゴイアスは、前節で攻守に貢献度の高かった右SBマギーニョ(Maguinho, 1992)とVOLモレリ(Morelli, 1995)、FWアラーノ(Alano, , 1995)が累積警告で出場停止、右SBブルーノ・サントス(Bruno Santos, 1993)、MFハファエウ・グッツォ(Raphael Guzzo, 1995)、MFパラシオス(Palacios, 1999)が先発に抜擢される。
バイーアは、ケガ明けのMFカウリー(Cauly, 1995)が一か月半ぶりのスタメン復帰。前線をスリートップからツートップに変更した布陣で試合に臨む。
立ち上がりはホームのゴイアスがボールを支配し、相手陣で攻撃の糸口を探る展開。一方のバイーアは相手にボールを持たせ、自陣で固く閉ざした守備でカウンターのチャンスをうかがう。
バイーアの戦術は嵌り、バイーアが前半37分の時点で3-1とリード。
ゴイアスは前半43分にVOLウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)に代えFWマテウス・バビを投入。すると、前半アディショナルタイムに2点を奪い同点に追いつき前半を終える。
後半開始時にゴイアスはさらに2選手を交代。前半終了間際の勢いのまま後半5分にゴールを奪い逆転に成功にする。しかし、ここで試合を落ち着かせるのではなく、さらに追加点を狙いに行くと、バイーアのカウンターの餌食となり、相次いでゴールを許し、再びバイーアがリード。
ゴイアスは残る時間も相手ゴールに迫るが、バイーアGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)の好守や、ディフェンダーのゴールライン上のクリアなど、同点に追いつくことができない。
試合終了間際にはバイーアはFWビエウのダメ押しゴールを奪い、試合はバイーアが6-4の勝利。両チーム合計10得点、バイーアの6得点は、今季全国選手権の最多記録となった。
ゴイアスは、前節の首位ボタフォゴ戦での好ゲームが今節では裏目に出てしまった。前節で攻撃面、ボールを持つことの成果が現れたため、今節もその戦いぶりを再現しようとしたところ、それをうまくバイーアに突かれカウンターから前半のうちに3失点。結果論になるが、後半開始時の選手交代で戦術の選択肢を狭め、逆転後に試合を落ち着かせることができなかったことも敗因の一つか。残留争いのライバルとの対戦だっただけに、逆転後は試合を落ち着かせてもらいたかった。
前節まで7試合連続で1失点以内に抑える試合が続いたが、この試合は攻撃に重点を置いたことで6失点の大敗を喫した。
今節の敗戦で7試合未勝利、再び降格圏に転落した。
次戦は、10月18日に全国選手権第27節、ホームにサンパウロを迎える。再び守備に重点を置くのだろうか、攻撃面の向上を目指すのだろうか。
バイーアは、ゴイアスとは対照的に、前節フラメンゴ戦でのコンパクトにした3ラインでの守備で、一人少ない状況でも目途の立つ試合ができたことが自信になったのか、固い守備からのカウンターが嵌り6得点。相手の勢いに飲まれ短い時間帯に相次いで4失点を喫したが、何とか勝利を収めることに成功した。
この勝利で降格圏を脱出。
次戦は、10月18日に全国選手権第27節、ホームにインテルナシオナウを迎える。インテルナシオナウは、リベルタドーレスでの準決勝進出とは裏腹に、全国選手権では残留争いに巻き込まれつつある。監督交代を経て攻撃的なスタイルに変わったため、バイーアの自陣に引きこもりカウンターに賭ける戦術は再び嵌る可能性が高い。
ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-0 サンパウロ(SAO)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=zsQlPD-4egw
(VAS) : N/A
(SAO) : N/A
見どころ(試合前の順位)
ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権7勝5分13敗勝点26の17位。
前節は残留争いのライバルサントスに1-4の完敗。チームの柱CBメデル(Medel, 1987)が今節は出場停止となるが、再び守備的な布陣に立ち戻るのだろうか。攻撃陣は、前節も好調のFWベヘッチ(Vegetti, 1988)がゴール、FWガブリエウ・ペッキ(Babriel Pec, 2001)がアシストと決定力は高い。前節の思わぬ大敗で再び降格圏に足を踏み入れたが、チーム状況は確実に上向いていただけに、今節は少なくとも連敗を阻止し再浮上の足掛かりとした。
サンパウロは全国選手権9勝7分9敗勝点34の10位。
コパ・ド・ブラジル優勝後の2試合をいずれも2-1の勝利。コリチバ戦は同点に追いつかれた直後に突き放し、コリンチャンス戦は試合開始早々の失点を前半のうちにひっくり返した。失点はいただけないが、失点後も慌てることなくボールを支配して勝ち越し、その後は試合をコントロールして試合を終える王者の雰囲気を漂わす試合内容。今節のヴァスコ・ダ・ガマは17位ながらチーム力は上昇中で侮ることはできないが、チームの総合力で相手を上回り連勝を伸ばしたい。
得点シーン
N/A
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:36% 64% ⇒ 前後半:40% 60%
シュート(枠内): 前半:1‐5(0-3) ⇒ 前後半:8-11(2-5)
パス成功率: 前半:77% 89% ⇒ 前後半:81% 90%
ヴァスコ・ダ・ガマは、出場停止のCBメデルに代わりベテランCBマイコン(Maicon, 1988)、戦術的理由で右SBプーマ・ロドリゲス(Puma Rodríguez, 1997)に代わり右SBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)がスタメンに名を連ねる。
サンパウロは、フィールドプレーヤーの半数がコパ・ド・ブラジル決勝戦のスタメンメンバーで、残りの半数がコパでの控えのメンバー。今節のベンチには最近出場機会の少ない選手やケガ明けの選手などが入り、選手のモチベーションを維持するドリヴァウ・ジュニオール監督らしい選手選択。
前節4失点のヴァスコ・ダ・ガマは守備に重点を置き、攻撃に人数をかけることなく、前半は3分のショートコーナーからのFWベヘッチ(Vegetti, 1988)の枠を大きく越えるシュートの1本のみ。
一方のサンパウロも、ボールは握るものの、ヴァスコの守備陣を崩すことができず、盛り上がりに欠けたまま時間が経過する。
前半46分、サンパウロはFWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)がペナルティエリア左でボールを受け、ゴールライン際までボールを持ち込みマイナスのパス。これを受けたMFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)が浮き球のパスを前方に送ろうとするが、ディフェンダーの腕に当たり主審はPKの判定。このPKをMFウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)が蹴るが、ヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が両手でブロック。こぼれたボールにMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)が反応するがシュートはゴール左に外れる。
前半45+3分、サンパウロはMFウェリントン・ハットが自陣でヴァスコのパスミスのボールを拾い、ドリブルで相手陣に侵入しFWルーカス・モウラへスルーパス。FWルーカス・モウラはペナルティエリア手前からシュートを放つが、再びGKレオ・ジャルジンがボールを片手で弾きゴールを守り切る。
後半に入り、ヴァスコはサンパウロのボールの出どころへプレスをかけ試合のリズムを作っていく。後半7分、右サイドを起点にVOLパウリーニョ・パウラ(Paulinho Paula, 1997)がドリブルで持ち込みラストパス。これを受けたFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)がシュートに持ち込むが、ボールはゴールポストを直撃。跳ね返りのボールにMFプラシェデス(Praxedes, 2002)がダイレクトにシュートに持ち込むが、ボールは枠を捉えない。
後半22分、ヴァスコFWガブリエウ・ペッキの強烈なシュートをサンパウロGKハファエウ(Rafael, 1989)が好セーブ。後半25分には、右SBパウロ・エンヒキのクロスにMFディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)が綺麗に頭を合わせるがボールはGKハファエウの正面を突き、ヴァスコ・ダ・ガマはゴールを奪えない。
サンパウロは、後半20分にFWルシアーノを投入すると、再び試合の主導権を握り始める。後半29分にFWルーカス・モウラがFKを直接狙い、後半45+2分にはMFミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)がドリブルでボールを持ち込みシュートまで持ち込むが、いずれもゴール枠を捉えることができない。
試合は、お互いに相手ゴールをこじ開けることができず、0-0の引き分け。勝ち点1を分け合う結果に終えた。
ヴァスコ・ダ・ガマは前節の反省を生かし、前半の45分を自陣に引いた守備的な展開で無失点で乗り切ると、後半は高い位置での速い寄せから攻撃へ繋げる流れを作り出し、ゴールを奪えなかったものの、2度の決定的なシーンを作り出した。自陣での守備と相手陣での守備がそれぞれ機能し、前節の課題が修正されたように思われる。
今節の結果、勝ち点1を積み上げ、土曜日の3試合が終えた時点で降格圏を抜け出した16位。日曜日のサントスの結果次第で降格圏の17位に転落する可能性もあるが、前節の悪い流れをしっかりと断ち切り、次節以降は再浮上が期待できるのではないだろうか。
その次節、全国選手権第27節は、10月18日にホームで好調のフォルタレーザを迎える。
サンパウロは、攻撃での連係が悪く、ボールを持ちながらもパスワークで相手守備網が崩せず前半を終了。後半は相手のプレスに浮き足立ち、選手交代を経て落ち着きを取り戻すものの、攻撃の連係は最後まで改善されず試合を終えた。
8月に加入した期待のMFハメス・ロドリゲスが空回りをしているような状況で、まだ周りとの呼吸が合っていないように思われる。実績や実力は誰もが知るところなだけに、一日もチームスタイルに溶け込んでもらいたい。
次節は10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのゴイアス戦が予定されている。
コリンチャンス(COR) 1-1 フラメンゴ(FLA)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=NTSLHMYnE98
(FLA) : 55' #10 ジェルソン(Gerson, 1997)[#7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]
(COR) : 79' #6 ファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)[PK]
見どころ(試合前の順位)
コリンチャンスは全国選手権7勝9分9敗勝点30の13位。
週中10月3日に行われたコパ・スウアメリカーナ準決勝フォルタレーザ戦2ndレグは、アウェイで0-2の敗戦、2試合合計1-3となり同大会を敗退。初采配のマノ・メネゼス(Mano Menezes)監督は、VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)、FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)を除き、中堅、ベテラン選手をスタメンに起用したが、試合を支配、コントロールされ、いいところなく敗れた。
全国選手権は残留争いのボーダーラインが試合を追うごとに上がっており、13位とは言え勝点差は4ポイント。前任のルシェンブルゴ監督のように将来を見据えた選手起用か目先の一試合一試合を重視した選手起用か、スターティングイレブンの発表が待たれる。
フラメンゴは全国選手権12勝7分6敗勝点43の5位。
ことごとくタイトルを逃した2023年だが、全国選手権も厳しく、シーズンの残りはリベルタドーレス出場権を賭けたものとなる。前節はマリオ・ジョルジ(Mário Jorge)監督代行のもと、勝利を収め5位まで浮上したが、内容は相変わらず個の力に依存したもので、新監督の就任が待たれる。
得点シーン
(FLA)後半10分 :
コリンチャンスの攻撃の起点となるパス回しを相手陣でVOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)がカット。こぼれ球をFWペドロ(Pedro, 1997)が拾いMFエヴェルトン・ヒベイロへはたくと、ボールは中央のVOLジェルソンへ。VOLジェルソンはペナルティエリア手前を左サイドへ流れながら左足の思い切ったシュート。ボールはファーサイドのサイドネットを揺らすゴラッソ。
VOLジェルソンは、フルミネンセ下部組織出身で2015年U-20南米ユース選手権出場後の2月22日に州選手権で17歳のプロデビュー。そのままレギュラーの座を獲得すると、2016/17シーズン前にローマ/ITAへ移籍。2019年にフラメンゴに加入するが、再び2021/22シーズン前に欧州挑戦でマルセーユ/FRAへ移籍する。21/22シーズンは48試合11得点7アシストと活躍するが、翌シーズンは起用法を巡り監督と対立し、2022年末にフラメンゴに復帰する。今季は今節終了時点で49試合5得点9アシストを記録。全国選手権ではトップの6アシストを記録している。
(COR)後半34分 :
右サイド相手陣深くのロングスローがペナルティエリア内で混戦となるが、こぼれ球をSBファビオ・サントスがペナルティエリア入口からシュート。これがディフェンダーの広げた腕に当たり、コリンチャンスがPKを獲得。SBファビオ・サントスが強く蹴ったボールはGKロッシ(Rossi, 1995)の手のひらを掠めゴールネットを揺らす。
右SBファビオ・サントスは、PKのキッカーとして全国選手権はいずれもPKから3得点。主にブラジル国内でプレーしながら、2度のクラブW杯、2度のリベルタドーレス、3度の全国選手権などのタイトルを獲得。禿頭の攻撃的な左サイドバックは、コパ・スウアメリカーナ敗退後に、今季限りでの引退を発表した。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:45% 55%
シュート(枠内): 前半:5‐11(2-5) ⇒ 前後半:13-18(5-7)
パス成功率: 前半:83% 90% ⇒ 前後半:83% 86%
コリンチャンスは、週中のコパスーラから2選手を変更。右SBにブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)、FWウェズレイ(Wesley, 2005)を抜擢。
フラメンゴは、今節もマリオ・ジョルジ監督代行が指揮を執る。先発メンバーは前節1-0で勝利を収めたバイーア戦と同じ顔ぶれ。
コリンチャンスは立ち上がりこそ、相手陣でボール回しを展開するものの、次第に押し込まれていき自陣ゴール前で4-5のツーラインで相手の攻撃を受けるいつもの展開。前半23分には右SBブルーノ・メンデスが負傷交代を余儀なくされるアクシデント。
フラメンゴは、MFエヴェルトン・ヒベイロを中心にボールを左右に展開しコリンチャンスゴールに迫る。しかし、コリンチャンスの堅固な守備網を崩せず、ミドルレンジのシュートを積極的に放つことで攻撃のリズムを作り出していく。
前半32分、MFエヴェルトン・ヒベイロが左サイド深い位置からアウトサイドにかけたクロス性のシュートを放つが、ボールはGKの頭上を越えるもクロスバーを直撃し逆サイドへと流れていく。
コリンチャンスは後半開始時と後半13分に選手交代を行うと、次第に中盤でボールをキープできるようになり、攻撃のバリエーションが増えていく。フラメンゴも後半18分、後半31分に選手交代を行うが、コリンチャンスに傾き始めた流れを食い止めることができない。
すると、コリンチャンスは後半34分にPKから同点。
試合はその後、互いにミスが増えオープンな展開となるが、最後の局面で決め手に欠け、1-1のままタイムアップ。
勝ち点1を分け合う結果に終えた。
コリンチャンスは、マノ・メネゼス監督が采配を取り2試合目。初采配がコパ・スウアメリカーナ準々決勝2ndでまったくいいところなく敗退し、今節もほぼ同じメンバーで試合に臨み、やはりいいところなく試合を終えた。
守備面は人数をかけることで大きくは崩れないが、攻撃のパターンは左サイドFWウェズレイ(Wesley, 2005)や右サイドに流れたFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)へのフィードに偏りがちになり、MFマティアス・ローハス(Matías Rojas, 1995)とMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)の攻撃を組み立てられる選手を同時起用するものの。どちらにもボールは入らず、攻撃が組み立てられない。
ルシェンブルゴ監督解任後の3試合は2得点。1点目は相手陣でのパスカットからのこぼれ球をゴールに蹴り込んだもの、2点目は今節のゴール前の混戦から得たPK。ゴールへの形が見えてこない。
次戦は、10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのフルミネンセ戦。
フラメンゴは、MFエヴェルトン・ヒベイロがボールによく絡み攻撃のリズムを作っていく。そこにFWブルーノ・エンヒキのスピードや、左SBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)の攻撃参加など、攻撃のバラエティはこれまでの試合よりも多くなる。しかし、ゴール前のアイディアに欠け前半は無得点。
後半に入りVOLジェルソンのゴラッソで先制するも、MFエヴェルトン・ヒベイロのパフォーマンスは落ち、両SBも低い位置で守備的なプレーを続け、前半ほど相手ゴールに迫る機会は訪れない。
後半36分にはPKから失点を喫し、その後も大きなチャンスを作り出すことなく試合は引き分け。
前節より幾分か試合内容は改善したものの、前節同様、この試合も個人技での1得点にとどまった。
今節の試合の結果、勝ち点は44。暫定で5位、今節での6位以内は確定したものの、来季のリベルタドーレス出場権を確保するためにも、個々の選手をまとめ上げることのできる新監督の就任が待ち望まれる。
次戦は、10月19日に全国選手権第27節アウェイでのクルゼイロ戦。
フルミネンセ(FLU) 0-2 ボタフォゴ(BOT)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=etDqq0AVzLg
(BOT) : 20' #37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#6 チェチェー(Tchê Tchê, 1992)]
(BOT) : 22' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)]
(FUL) : N/A
見どころ(試合前の順位)
フルミネンセは全国選手権12勝5分8敗勝点41の6位。
週中のリベルタドーレス準決勝インテルナシオナウ戦2ndレグをアウェイの地で先制を許したものの、後半35分にFWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)、後半42分FWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)のゴールで逆転勝利を収め、2008年以来2度目の決勝進出を決めた。
中3日で迎える今節は、首位のボタフォゴとのクラシコだが、リベルタドーレスに出場した選手はベンチスタートか。全国選手権も上位を狙える6位につけているがリベルタドーレス決勝戦を照準とした試合が続くだろう。
ボタフォゴは全国選手権16勝4分5敗勝点52の首位。
全国選手権3連敗で迎えた前節は、得点王FWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)をベンチスタートにする思い切った采配も効果は発揮せず、残留争いに巻き込まれるゴイアスを相手に苦しい試合。後半にピッチに立ったFWチキーニョ・ソアレスのゴールで同点に追いついたものの勝ち越すまでは至らず1-1の引き分け。翌日ブルーノ・ラージェ(Bruno Lage)監督の解任が発表された。
得点シーン
(BOT)前半20分 :
自陣ゴール前からのビルドアップで、VOLチェチェーが相手の高い位置でのプレスを掻い潜り、相手守備ライン裏への抜け出しを図るFWジュニオール・サントスへスルーパス。オフサイドぎりぎりで抜け出したFWジュニオール・サントスはGKファビオとの一対一をかわしゴール。
VOLチェチェーは、2011年3月サンパウロ州選手権2部でアウダックス・オザスコから18歳のプロデビュー。2016年にサンパウロ州選手権でチームを準優勝に導く活躍をみせ、全国選手権開幕を前にパウメイラスに移籍。パウメイラスではクーカ(Cuca)監督のもと、当初は右SBとして、やがてはプリメイロボランチやセグンドボランチとして、全国選手権38試合中37試合に先発出場を果たす。この年はパウメイラスが全国選手権優勝。チェチェーは最優秀選手賞を受賞した。ボタフォゴには2022年4月に加入。2023年は今節終了時点で53試合2得点5アシストを記録している。
(BOT)前半22分 :
自陣からのカウンター。MFエドゥアルド(Eduardo, 1989)からのボールを受けたFWジュニオール・サントスが相手陣中央をゴールに向かってドリブル。左サイドのFWチキーニョ・ソアレスにボールを送ると、FWチキーニョ・ソアレスはトラップがやや大きくなったものの、間合いを詰めるGKファビオの頭を越すシュートでボタフォゴが連続得点。
FWチキーニョ・ソアレスは現在15得点で全国選手権得点王。8月6日全国選手権第18節クルゼイロ戦でのケガで3試合に欠場。復帰後もなかなか得点を奪えなかったが、前節で復帰後初ゴールを記録すると2試合連続ゴール。チームに6試合ぶりの勝利をもたらした。
FWジュニオール・サントスは、Jリーグの柏レイソル、横浜マリノス、サンフレッチェ広島でのプレー経歴あり。ボタフォゴには2023年全国選手権開幕前の4月にフォルタレーザから加入。守備への貢献やスピードとドリブルでゴールライン際までボールを持ち上がるプレースタイルがチーム戦術と合い、今節終了時点でボタフォゴでは38試合(うち23試合先発)3得点2アシストを記録している。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:12‐5(-) ⇒ 前後半:19-11(5-5)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:87% 78%
フルミネンセは、リベルタドーレス準決勝のスタメンから、右SBサムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)とFWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)が変更。ツーボランチからワンボランチへの布陣の変更を伴う。
ボタフォゴは、FWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)がスタメン復帰、FWヴィトル・サー(Victor Sá, 1994)とFWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)が脇を固める。
前半40秒、ボタフォゴは相手陣右サイドからのスローインにFWジュニオール・サントスが抜け出し、ゴールライン際からマイナスのライナー性のクロス。ニアサイドでMFエドゥアルド(Eduardo, 1989)が頭を合わせるが、フルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)が片手で弾き出すビッグセーブ。
試合は立ち上がりを除き均衡状態が続いたが、前半20分、前半22分と相次いでボタフォゴが自陣からの速い攻撃で連続得点を奪う。2点のリードを奪うと、ボタフォゴは自陣で4-2のツーラインにサイドハーフやウィング陣が守備に加わる固い守備を軸に、FWチキーニョ・ソアレスをターゲットにしたカウンターを目論む。
フルミネンセも前半42分にFWケーノ(Keno, 1989)がペナルティエリア内で守備ライン裏へ柔らかく浮かしたボールを送り、それにFWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)が反応するがシュートに勢いがなく、前半45+2分のFWジョン・ケネジーのミドルシュートはゴールポストに嫌われる。
後半13分、ボタフォゴは自陣右サイドからワンタッチのパスを繋ぎ、最後はVOLチェチェーからのパスにFWジュニオール・サントスが抜け出すが、シュートはゴールポストを叩く。
後半19分にはフルミネンセSBマルセロ(Marcelo, 1988)が個人技からミドルシュート、後半24分には最終ライン裏に柔らかく送られたボールにFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)が頭を合わせるが、ゴールを割ることができない。
ボタフォゴも後半33分、後半44分にシュートに持ち込むが、フルミネンセGKファビオの牙城を崩せない。
アイディアの溢れたシュートや両チームGKの好守も多々見られた白熱した試合は、カウンターで前半に2点を奪ったボタフォゴがフルミネンセを無得点に抑え、2-0で6試合ぶりの勝利を収めた。
フルミネンセは、いつも通りのコレクティブなサッカーを展開するが、ボタフォゴのスピード豊かなカウンターを浴び敗戦。ハマれば非常に面白いが、反面、相手の積極的な高い位置での(ファール交じりの)プレスや、大きく広がるスペースをスピードで蹂躙されるなど課題も多い。特に今季はCBで様々な問題が起こり、人材不足でシーズンを通して安定した守備が築けていない。
次戦は、10月19日に全国選手権第27節、ホームにコリンチャンスを迎える。
ボタフォゴは、ブルーノ・ラージェ監督解任後の最初の試合。立ち上がりのプレーでリズムを掴むと、シンプルに縦を狙うプレーで2点を先取。試合を通して、相手のスペースへの侵入、または味方にスペースを作りだすような効果的なスプリントが多く見られ、久しぶりに今季のボタフォゴを象徴するような試合を見せた。
この勝利で勝ち点は55。2位RBブラガンチーノとの勝点差を9ポイントに広げた。リーグ最多タイの42得点、リーグ最少の16失点を記録するメリハリの効いたサッカーが復活し、1995年以来となる優勝が現実のものとなる可能性は高まった。
次戦は、10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのアメリカ・ミネイロ戦。
パウメイラス(PAL) 1-2 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2eEONdyxnRY
(PAL) : 43' #8 ゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)[#25 ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)]
(SAN) : 45+1' #25 トマス・リンコン(Tomás Rincón, 1988)[#28 ジョアキン(Joaquim, 1998)]
(SAN) : 70' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2001)[#17 マキシ・シルベラ(Maxi Silvera,1997 )]
見どころ(試合前の順位)
パウメイラスは全国選手権12勝8分5敗勝点44の4位。
週中のリベルタドーレス準決勝ボカジュニオルス/ARG戦2ndレグは1-1、PK戦の末敗退となった。試合は終始ボールを支配し、後半半ばにはボカに退場者が出たものの、元アルゼンチン代表GKロメロ(Romer, 1987)が再三にわたる好セーブ、PK戦でも2本のシュートストップなど牙城を崩すことができず、涙をのんだ。
中2日で迎える今節は、リベルタドーレスに出場した選手はベンチスタートか。来季のリベルタドーレス出場権を賭けた戦いは続くが、今後は若手選手の起用がこれまで以上に増えるだろうと思われる。
サントスは全国選手権7勝6分12敗勝点27の15位。
前節は残留争いのライバル、ヴァスコ・ダ・ガマを相手に4-1の快勝。FWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)が2得点をマークし、ベネズエラ代表VOLトマス・リンコン(Tomás Rincón, 1988)が4得点すべてに絡む活躍。好調のヴァスコを攻守に上回り、これまでにない試合運びで勝利を収め降格圏を脱出した。今節のパウメイラス戦でも同様の試合運びができれば、残留争いに終止符を打つことも可能となるだろう。
得点シーン
(PAL)前半43分 :
相手陣やや左、ゴールまで約30mのFKをVOLガブリエウ・メニーノがゴール前にライナー性のボールを上げると、VOLゼ・ハファエウの頭を掠めたボールがゴールネットを揺らし、パウメイラスが先制。
VOLゼ・ハファエウは、コリチバ下部組織出身で2012年4月のパラナ州選手権で18歳のプロデビュー。2016年に期限付き移籍先のロンドリーナで全国選手権2部等42試合8得点6アシストを記録すると、翌2017年にバイーアへ移籍し瞬く間にレギュラーの座を獲得、2年間で128試合18得点9アシストを記録した。2019年にパウメイラスに加入すると、主力として2度のリベルタドーレスや全国選手権などのタイトルを獲得。本来は攻撃的なMFとして活躍したが、パウメイラスではボランチとして攻守に抜け目のないプレー、ポジショニングで、現在では替えの効かない選手の一人となっている。
(SAN)前半45+1分 :
VOLジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)が蹴る右CK。ニアサイドでCBジョアキンが頭に合わせたボールはファーサイドに流れるが、外から斜めに走り込んだVOLトマス・リンコンが頭でゴールに押し込みサントスが同点に追いつく。
VOLトマス・リンコンは、ベネズエラ代表として128試合1得点。サントスには2023年8月16日に加入が発表された。ボール奪取力やスペース管理、ボールを持った時の前への推進力やゴール前への飛び出しなど、一試合を注目して観るに値する選手。今節の得点は、ディフェンダーの視界の外からゴール前に現れるプレーで2試合連続得点。代表ではキャプテンも務めている。
(SAN)後半25分 :
自陣からのロングボールにディフェンダーのマークを抑えたFWマルコス・レオナルドが頭でゴールライン際にボールを送る。FWマキシ・シルベラがマイナスのクロスを送るとFWマルコス・レオナルドが走り込み右足を合わせる。
FWマキシ・シルベラは、2023年8月30日に今季末までの契約でサントスに加入。前任のアギーレ監督の下で獲得が進められたが、アギーレ監督による起用はなく、この試合がクラブデビュー戦だった。試合ではFWマルコス・レオナルドとの相性も良くアシストを記録。次戦以降はもっと長い時間のプレーを見たい。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:68% 32%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:24-11(7-10)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:88% 72%
パウメイラスは、リベルタドーレス準決勝ボカ・ジュニオルス戦の先発メンバーを中心に、右SBにマイキ(Mayke, 1992)が戻り、前線にFWエンドリッキ(Endrick, 2006)とFWケヴィン(Kevin, 2003)を抜擢。この若い2選手はボカ戦の後半途中出場から攻撃を活性化しており、得点力不足に悩むチームに勢いをもたらしたい。
サントスは今季一番の試合内容を見せた前節から、出場停止のドドー(Dodô, 1992)とMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)に代わり、CBメシアス(Messias, 1994)とFWモレロス(Morelos, 1996)を起用。FWモレロスはコロンビア代表で11試合1得点を記録しているが、サントスではこれが加入後2試合目で初の先発出場。
試合は、パウメイラスが右サイドをFWエンドリッキ(Endrick, 2006)が、左サイドをFWケヴィン(Kevin, 2003)が仕掛け、次々とサントスゴールに迫る。
FWエンドリッキは、前半3分にチーム初シュート。前半11分には自陣からドリブルで持ち上がるとペナルティエリア手前からシュート。ボールはクロスバーを直撃するあわやゴラッソというプレー。さらに前半26分には、ペナルティエリア手前での個人技からシュートに持ち込むが、サントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)がビッグセーブ。
かたや、FWケヴィンも前半5分にマイナスのクロスにダイレクトに右足を振り抜くが、ボールは味方に当たる不運。前半29分にもペナルティエリア内で相手クリアボールが短くなったところをシュートに持ち込むが、サントスGKジョアン・パウロの牙城を崩せない。
一方のサントスも、ワントップのFWマルコス・レオナルドが軸となり、味方の上りを待つプレーや自らがシュートに持ち込むなど、若い選手が躍動する試合となる。
均衡を破ったのはパウメイラス。前半43分、VOLガブリエウ・メニーノが蹴ったFKがVOLゼ・ハファエウの頭を掠めボールはゴールに吸い込まれる。
このまま前半を終えるかと思われたが、サントスもセットプレー(右CK)から同点に追いつく。
後半はハーフタイムに修正を行ったサントスが優位に試合を展開。前半3分にFWマルコス・レオナルド、前半7分にMFノナト(Nonato, 1998)、前半12分にはFWモレロスが相次いで惜しいシュートを放つ。
パウメイラスも、選手交代で若手選手を投入し、試合の流れを取り戻しにかかるが、後半24分、FWマルコス・レオナルドのゴールでサントスが逆転。
後半32分にMFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)のロングフィードにFWエンドリッキがゴール前に現れるが僅かに頭にあわず。後半45分にはCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)がゴールネットを揺らすがオフサイド。
サントスも2度のカウンターのチャンスが訪れるが、パウメイラスGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)の体を張ったビッグセーブに追加点を奪えない。
試合は、2-1でサントスが逆転勝利を収めた。
パウメイラスは、リベルタドーレス準決勝の2引き分けを挟み、公式戦3連敗。8月27日のFWドゥドゥ(Dudu, 1992)の離脱後は9試合5得点と得点力不足に悩まされている。リベルタドーレスの敗退で、以前から燻っていたクラブ会長とアベウ・フェヘイラ監督の軋轢も表面化しつつあるとの報道もあり、今後に不安を残す。
現場監督としてチーム成績を最優先に補強の実施を要請するも、国内有数の下部組織が輩出する若手選手をトップチームへ結局的に登用する方針を掲げるクラブは補強に消極的となり、年初から少なからず軋轢が生じていた。
しかし、今季のチームは主力として起用する選手が固定化され、FWドゥドゥの離脱前も攻撃面はマンネリ化しつつあり他チームに研究され、FWドゥドゥ離脱後も約一カ月で打開策を探りだすことができず、若手が主体となった今節が最近の試合で最も希望の持てる試合となっていた。
来季に向けた補強の話などもいくつか噂はあるが、来年の監督人事は不透明。今季は最終節までクラブ方針に従った若手選手の積極起用を貫き、その結果を現場も監督も真摯に受け止めてもらいたい。
次戦は、10月19日に全国選手権第27節、ホームにアトレチコ・ミネイロを迎える。
サントスは、前半をパウメイラスのスピードに後手に回ったものの、GKジョアン・パウロの再三の好セーブで最少失点にとどめると、後半はハーフタイムでのマルセロ・フェルナンデス(Marcelo Fernandes)監督の修正が嵌り、逆転勝ちを収めた。
前節に引き続き、VOLトマス・リンコンとFWマルコス・レオナルドがゴール。VOLトマス・リンコンは押され続けた前半も急所を抑えたプレーを続け終了間際に同点ゴール。FWマルコス・レオナルドもゴール以外にも攻撃を牽引するプレーを見せ続けた。
また、シーズン途中の補強で獲得したFWモレロス、FWマキシ・シルベラがそれぞれ2試合目、初出場で結果を残すなど一気にチーム状態は上向いている。
チームはこれで3連勝。勝ち点を30に伸ばし暫定で14位に浮上。降格圏までの勝点差は3ポイントとまだまだ予断は許さないが、現在の勢いを保ち残留争いから脱し中位争いに加わりたい。
次戦は10月19日に全国選手権第27節、ホームでのRBブラガンチーノ戦。好調のRBブラガンチーノとの一戦は今後に向けた試金石となるかも知れない。