【ブラジル全国選手権2023】第26節(2/2)

投稿者: | 2023年10月6日

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全国選手権第26節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第26節(1/2)
・2023/10/07 ゴイアス(GOI) x バイーア(BAH)
・2023/10/07 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x サンパウロ(SAO)
・2023/10/07 コリンチャンス(COR) x フラメンゴ(FLA)
・2023/10/08 フルミネンセ(FLU) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/10/08 パウメイラス(PAL) x サントス(SAN)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/08 インテルナシオナウ(INT) x グレミオ(GRE)
・2023/10/08 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x コリチバ(CFC)
・2023/10/08 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/10/08 フォルタレーザ(FOR) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/14 クイアバ(CUI) x クルゼイロ(CRU)

全国選手権第26節 試合概要

インテルナシオナウ(INT) 3-2 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=1BwRkcSy96I
(INT) : 6' #13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)[]
(INT) : 49' #11 ヴァンデルソン(Wanderson, 1994)[#6 ヘネー(Renê, 1992)]
(GRE) : 67' #18 ジョアン・ペドロ(João Pedro, 1996)[]
(INT) : 70' #10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)[#27 マウリシオ(Maurício, 2001)]
(GRE) : 74' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987[FK]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権7勝8分10敗勝点の14位。
   週中のリベルタドーレス準決勝フルミネンセ戦2ndレグは、早い時間帯に先制。その後も試合の主導権を握り続けたが、決定的なチャンスを2度、3度と逸すると、後半終了間際の10分間に2失点を喫し、決勝進出の目が絶たれた。
   全国選手権は気づけば降格圏まで勝点差は3ポイントと安泰とはしていられない。戦力的には残留争いに巻き込まれていることが不思議な顔ぶれが並ぶが、公式戦は5試合連続で2失点を喫しており、守備を立て直し残留争いから抜け出したい。
   グレミオは全国選手権13勝5分7敗勝点44の3位。
   前節のアウェイでのフォルタレーザ戦はコパ・スウアメリカーナ準決勝を控える相手に先制を許し、PK失敗など苦しい試合展開が続いたが、若手のVOLホナウジ(Ronald, 2003)、FWベソッツィ(Besozzi, 2003)を投入すると2人が試合の流れを引き寄せ、FWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)のゴールで同点。苦手のアウェイゲームで勝ち点1を勝ち取った。
   今節は得意のホームゲーム。相手陣ゴール前での守備陣を崩すワンタッチのパスワークでサポーターを魅了し、クラシコ「グレナウ」で勝利を収めたい。

得点シーン

(INT)前半6分 :
相手陣右サイドで人数をかけてボールを動かすと、最後は縦に3選手が縦に向かいマークを分散すると、MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)のパスにFWエネル・バレンシアが抜け出しシュート。一度はGKグランド(Grando, 2000)にブロックされるが、跳ね返りのボールを直接ゴールに蹴り込みインテルナシオナウが先制(1-0)。
   FWエネル・バレンシアは、エクアドル代表で2022W杯など81試合40得点。インテルナシオナウには2023年6月12日に2026年6月までの契約で加入。リベルタドーレスを中心に起用され6試合4得点1アシストを記録。全国選手権は11試合目の出場で初得点となった。
(INT)後半4分 :
SBヘネー(Renê
, 1992)が相手陣で相手選手がこねるボールを掻き出すと、FWヴァンデルソンが拾いドリブルでペナルティエリアに向かう。そのまま内に切り返し2人のディフェンダーをかわしてシュート。ボールはグラウンダーでGKのブラインドサイドを抜きゴールネットを揺らす(2-0)。
   FWヴァンデルソンはアヤックス/HOL下部組織出身。ベルギーでプロデビューを飾ると、スペイン、オーストリア、ロシアを経て2022年4月にインテルナシオナウに入団、初めてブラジルでプレーする。サイドでのスピード、ドリブル、キープ力、守備への貢献で前任マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督、現任エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督のいずれにも重宝されている。このゴールは彼の特長が良く表れたゴール。今季は51試合5得点9アシストを記録している。
(GRE)後半22分 :
左サイドからペナルティエリア右へのサイドチェンジ。人数をかけたインテルの守備ラインに攻撃は手詰まりになるが、後方から右SBジョアン・ペドロが顔を出し、ボールを受けると思い切りのいいミドルシュート。これがGKロチェ(Rochet, 1993)のミスを誘いグレミオが反撃(2-1)。
   SBジョアン・ペドロは、2015年U-20W杯7試合、U-20南米ユース選手権6試合に出場。パウメイラスから2014年9月全国選手権第22節で17歳のプロデビューを果たすと、その年はそのままポジションに定着。しかし、その後は、ポルト/PORを含め複数のチームでプレーするが、レギュラーとして定着することができない。2023年シーズン前にグレミオに加入、SBファビオのケガによる離脱を機にポジションを獲得すると、SBファビオの復帰後も右SBの一番手として起用されている。ファビオとの比較では守備的になるが、思い切りのいいミドルシュートをゴールに突き刺した。
(INT)後半25分 :
自陣からのボールをMFアラン・パトリッキがMFマウリシオに繋ぎ、MFマウリシオがゴールに向かいドリブル。タイミングよくMFアラン・パトリッキにボールを送るとMFアラン・パトリッキはGKの位置をよく見た冷静なシュートで再びインテルが点差を離す(3-1)。
   MFアラン・パトリッキは、サントス下部組織出身で2009年9月の全国選手権で18歳のプロデビュー。2011年にはU-20W杯、U-20南米ユース選手権に出場。欧州2011/12シーズンに先立ちシャクタルドネツク/UKRへ移籍。しかし、2016年まではブラジルの計3クラブにおいて期限付き移籍でプレー。2016/17シーズンからシャクタルドネツクで主力として活躍。2022年ウクライナ戦争を機にインテルナシオナウに移籍。それまで不振のチームで攻撃のタクトを振るいチームの2位躍進に貢献。今季も攻撃面で中心的な活躍をみせている。
(GRE)後半29分 :
ゴール正面約30m強の地点のFK。FWルイス・スアレスが直接狙ったボールは割れた壁を抜けゴールネットに突き刺さる。
   FWルイス・スアレスは、今季43試合21得点12アシスト。全国選手権は22試合9得点6アシスト。4度のW杯や、リヴァプール/ENG、バルセロナ/ESPで長年世界のトップに君臨した実力は色褪せていない。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:49% 51%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:16-7(7-2)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:83% 81%

   インテルナシオナウは、リベルタドーレス準決勝と同じスターティングイレブン。ホームサポータの前でクラシコ「グレナウ」に快勝し、リベルタドーレス敗退のうっ憤を晴らしたい。
   グレミオは、前節から2つのポジションで変更。出場停止明けのVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)とFWフェヘイラ(Ferreira, 1997)がスターティングイレブンに復帰。

   インテルナシオナウは開始早々、約2分間、9人の選手がボールを繋いだゴールで先制。
   その後もインテルが試合を支配。相手陣で執拗にボールを回し、ボールを失った際には素早い寄せで奪い返す。自陣に押し込まれた際も危機は訪れず、奪ったボールはMFアラン・パトリッキに集め、MFアラン・パトリッキが攻撃の舵をとる。
   しかし、インテルも最後の局面に精度を欠き、試合は1-0のインテルのリードで前半を折り返す。   
   後半開始時にグレミオは3選手を一気に交代。しかし、後半4分にインテルは相手陣でのボール奪取からショートカウンターで追加点。さらにその後も相次いでグレミオゴールに迫るが、やはりシュートの精度に欠きダメ押し点を奪うことができない。
   グレミオは後半23分、ペナルティエリアの外からSBジョアン・ペドロのミドルシュートのゴールを皮切りに、7分間で3ゴールが生まれる激しい展開となるが、そこから相次いで守備的な選手を投入したインテルナシオナウが1点差を守り抜き、3-2の勝利を収めた。

   インテルナシオナウは、相手陣でのプレスや、ワンタッチでのテンポのいいボール回しなど、エドゥアルド・クーデ監督の戦術が攻撃面では浸透しつつある。一方で、守備面でのほんの少しの綻びが失点に繋がり、公式戦5試合連続で複数失点を喫している。時間帯による攻守の重点の切り替えや、リードした際の戦い方など、一工夫が必要かもしれない。
   とは言え、クラシコ「グレナウ」での勝利で、巻き込まれつつあった残留争いからひとまず抜け出すことに成功。選手層は残留争いに巻き込まれるような顔ぶれではなく、相手陣に押し込みテンポよくパスをつなぐ戦いぶりは迫力さえ感じるものだけに、来季に向けて一つ一つの課題を試合を経て解消していってもらいたい。
   次戦は10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのバイーア戦。

   グレミオは相変わらずホームとアウェイで異なる戦い方を見せる。立ち上がりから自陣に引いた守りでボールの奪いどころを特定できず、次々とボールを回され先制を許すと、その後も押し込まれる展開。攻撃面でもホームでのワンタッチで人もボールも動く連携は影を潜め攻撃に迫力を感じない。
   最近の試合では4バックを主に採用しているが、一時採用していた3バックで中盤に人数をかけた攻撃がとても印象深かっただけに、もう一度あの戦術をアウェイの地で見たいように思う。
   順位は維持したものの、この敗戦で首位ボタフォゴとの勝点差は再び11ポイントに広がった。再昇格後1年目で大健闘の部類だが、面白く魅力的なサッカーをみせる試合も多いだけに、ホーム、アウェイに関わらない安定感のあるチームへの成長を期待したい。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、ホームでのアトレチコ・パラナエンセ戦。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 1-2 コリチバ(CFC)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Jkw8WbjWi9w
(CAM) : 59' #7 フッキ(Hulk, 1986)[#25 マリアーノ(Mariano, 1986)]
(CFC) : 64' #17 マテウス・ビアンキ(Matheus Bianqui, 1998)[#30 ホビソン(Robson, 1991)]
(CFC) : 90+1' #9 スリマニ(Slimani, 1988)[#83 ジャメルソン(Jamerson, 1998)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権11勝7分7敗勝点40の7位。
   現在3試合無失点で3連勝中。FWパウリーニョ(Paulinho, 2000)、FWフッキ(Hulk, 1986)のゴールを奪うべき選手がゴールを奪うと、前節ではMFイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)、VOLエデニウソン(Edenílson, 1989)と出場機会の少なかった選手が起用に応える活躍。チーム戦術の浸透と、チーム内での競争の激化で選手層は厚みを増している。
   コリチバは全国選手権4勝5分16敗勝点17の20位。
   8連敗でその間の総失点が25にも達し守備陣が崩壊していたコリチバだが、前節ホームでのクラシコ「アトレチーバ」では、2-0の完勝。連敗中は途切れがちだった集中力を前節は最後まで継続し、上位争いに絡むアトレチコ・パラナエンセを零封。前節の集中力を今節も継続し連勝を期待したい。

得点シーン

(CAM)後半14分 :
左サイドのFWパボン(Pavón, 1996)からのサイドチェンジを受けたSBマリアーノがゴール前にクロス。ディフェンダーのマークが甘くなったところを見逃さず、FWフッキが強烈なヘディングシュート(1-0)。
   SBマリアーノは、2009-11年にフルミネンセでレギュラーを務めると、ボルドー/FRAへ移籍し、以降セビージャ/ESP、ガラタサライ/TURでプレーし、2020年にアトレチコ・ミネイロに加入。今季は円熟味のある安定したプレーで35試合(うち先発28試合)3アシスト、全国選手権は19試合(うち先発15試合)でこのアシストが初。
(CFC)後半19分 :
左サイドのFWホビソンからゴール正面でボールを受けたMFマテウス・ビアンキが思い切りよく約25mのミドルシュート。これがゴール右隅に決まるゴラッソ(1-1)。
   MFマテウス・ビアンキは、ロンドリーナ下部組織出身で2019年1月のパラナ州選手権で20歳のプロデビュー。2022年にマリンガへ移籍すると間もなく、全国選手権2部のシャペコエンセへ期限付き移籍、全国選手権2部で31試合に出場する。2023年はマリンガに復帰、州選手権を1得点4アシストの活躍でチームの準決勝進出に貢献すると、全国選手権開幕後の4月19日に買取オプション付きの期限付き移籍でコリチバ入り。途中交代出場が多かったものの、初スタメンに抜擢された7月3日第13節でチームの初勝利に貢献。以降はスタメン起用も増え、このゴールでクラブ初ゴールを飾った。
(CFC)後半45+1分 :
自陣ペナルティエリア手前から左SBジャメルソンがサイドライン際をドリブルで駆け上がる。3人のディフェンダーをかわし、相手ペナルティエリア内で4人目のディフェンダーのマークをかわしファーサイドへクロス。フリーのFWスリマニがダイビングヘッドを決めコリチバが逆転(1-2)。
   SBジャメルソンが約80mのドリブルでもたらしたゴール。SBジャメルソンはサンパウロ州選手権3部のマリーリャから2018年に19歳のプロデビュー。欧州2018/19シーズン前にポルチモネンセに移籍するがトップチームでの出場機会はなく、翌シーズンはポルトガル下位リーグでプレー。2022年に全国選手権4部アズーリスへの移籍でブラジルに復帰。2023年は全国選手権2部のグアラニーにてサンパウロ州選手権に出場。州選手権での活躍がサンパウロ、サントスの関心を呼ぶが、コリチバが交渉の末獲得。これまで23試合(先発20試合)に出場、このアシストが記録上の初の得点関与となった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:12-10(4-6)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:87% 79%

   アトレチコ・ミネイロは、出場停止明けのVOLオターヴィオ(Otávio, 1994)がスタメン復帰。前節は途中出場で試合の流れを変えたMFイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)、VOLアラン・フランコ(Alan Franco, 1998)がスタメンに名を連ねた。
   コリチバは、出場停止のMFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)と出場停止明けのFWホビソン(Robson, 1991)が入れ替わるのみで、前節アトレチーバで2-0の勝利を収めた先発メンバーが今節もスタメンに顔を並べる。

   前半は攻めるアトレチコ・ミネイロ、守るコリチバの構図。相手陣でボールを回しながらアトレチコ・ミネイロはサイドからの展開や縦にボールを送りコリチバ守備網を破ろうとするが、コリチバも粘り強い守備でシュートに持ち込ませない。
   一方のコリチバはカウンターからFWスリマニにボールを集めようとするが、効果的なボールを送ることができない。
   後半に入り、コリチバは前半のうちに足を痛めたチリ代表に招集のあったCBクスチェヴィッチ(Kuscevic, 1996)が交代を余儀なくされる。また、同時にFWカイオ・セーザル(Kaio César, 2004)を投入しスピードで相手守備のかく乱を狙う。
   後半5分、MFマテウス・ビアンキがゴール正面からミドルシュート。しかし、ボールは勢いに欠きGKエヴェルソン(Éverson, 1990)がキャッチされるが、コリチバがアトレチコゴール前に迫るようになる。
   しかし、アトレチコはコリチバが前がかりになるところを、FWパボンのサイドチェンジからSBマリアーノのクロス、FWフッキのヘディングシュートと手数の少ない攻撃で先制。
   コリチバも失点の5分後に、MFマテウス・ビアンキが後半5分に放ったものと同じような位置から再びミドルシュート。芯に当たったボールはゴール右隅に突き刺さるゴラッソ。コリチバがたちまち同点に追いつく。
   その後は両チームとも守備陣が踏ん張り、大きなチャンスを迎えずに試合を終えるかと思われた後半45分+1分、コリチバSBジャメルソンの80mのドリブルから繰り出したクロスにアルジェリア代表スリマニが豪快に頭を合わせコリチバが逆転。1-2としコリチバが2連勝を収めた。

   アトレチコ・ミネイロは、好調の攻撃陣がコリチバの堅固な守備網を崩せず、逆転負けを喫した。
   守備面ではバイタルエリアでのマークが甘く、後半に同じような位置からコリチバMFマテウス・ビアンキに2本続けてミドルシュートを放たれ、2本目のシュートで失点。試合終了間際には、コリチバSBジャメルソンに80mのドリブルを許し、逆サイドをFWスリマニと並走するディフェンダーがボールを見てしまい、FWスリマニをフリーにする失態を演じてしまった。
   3試合連続無失点が止まり、一引分けを挟んだ連勝も4でストップ。6位の目前に迫った順位も2つ落とし9位に転落。
   次戦は、10月19日に全国選手権第27節アウェイでのパウメイラス戦。中10日の期間を有効に活用し、攻撃面の連係の強化と今節での守備面の欠陥を修正し、再びリベルタドーレス出場権争いに食い込みたい。

   コリチバは、シーズン最後までの続投が決まったチアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)監督代行の戦術がピタリと嵌り、好調アトレチコ・ミネイロから逆転勝利を収め、2連勝を飾った。
   前半は粘り強い守備からカウンター狙い。後半は積極的にボールを保持し、アトレチコ・ミネイロと対等に渡り合う。シーズン初めに将来を見据えて獲得したMFマテウス・ビアンキがこれまでにない積極的なシュート、もう一人のSBジャメルソンのドリブルが勝負を決めた。
   この勝利で最下位を脱出したものの、依然降格圏脱出までの勝点差は8ポイントと厳しい状況に変わりはないが、チアゴ・コズロスキ監督代行の積極的な采配で、最後まで諦めずに一試合一試合を集中力を切らさずに戦ってもらいたい。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、ホームでのクイアバ戦。相手は中3日での試合となる日程上の有利を生かし連勝を伸ばしたい。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 1-1 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=DamL8Juhi_g
(RBB) : 34' #7 エリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)[#35 マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)]
(CAP) : 40' #92 パブロ(Pablo, 1992)[#10 サペリ(Zapelli, 2002)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権11勝7分7敗勝点40の8位。
   前節は、最下位のコリチバを相手に0-2の完敗。チームはコンパクトな3ラインでボール奪取からのカウンターを得意とするスタイルだが、FWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)、FWパブロ(Pablo, 1992)の両センターフォワードをケガで欠き、効果的なカウンターを発動できなかった。
   今節の対戦相手RBブラガンチーノはボール保持率が高いチーム。得意のカウンターが効果を表しやすい対戦相手だが、両センターフォワードを欠いた攻撃の組み立てが改善されているかどうかが勝敗のカギとなるだろう。
   RBブラガンチーノは全国選手権12勝9分4敗勝点45の2位。
   前節は上位対決を制し、遂に2位まで浮上。対戦相手に関わらず、ボールを保持し相手陣で試合を展開するチームスタイルは、バラエティが豊富で人数をかけた攻撃面に注目が集まるものの、ボールロスト時の対応と背後に広がるスペースをしっかりと管理した結果、前節で無失点記録は4でストップしたものの、守備面でも大きな成果を残している。
   今節の対戦相手アトレチコ・パラナエンセは守備が固くカウンターを得意とするチームだが、いつも通りのサッカーで一蹴したい。

得点シーン

(RBB)前半34分 :
ハーフウェイライン付近右サイドライン際での3選手によるディフェンスで相手ボールを奪うと、VOLマテウス・フェルナンデスがドリブルでボールを前方に持ち上がり、左ペナルティエリア入口へ駆け上がるVOLエリキ・ハミーレスへボールを送る。VOLエリキ・ハミーレスはワントラップから左足を振り抜くと、ボールはゴール右サイドネットを揺らす(0-1)。
   VOLエリキ・ハミーレスは、2019年U-20南米ユース選手権代表で4試合に出場。バイーア育成出身で18歳の2018年9月2日全国選手権第23節エスポルチ戦でスタメン起用のプロデビュー。2020年のバーゼル/SUIへの期限付き移籍などを経て、2020年11月に期限付き移籍でRBブラガンチーノに加入。2021年にはRBブラガンチーノで48試合に出場し、RBブラガンチーノが完全移籍で獲得。今節は前節に続くゴールをマーク。
(CAP)前半40分 :
左サイドからのバックパスを受けたGKベント(Bento, 1999)がハーフウェイライン上中央やや右のMFサペリへのパスを通すと、前を向いたMFサペリは最終ライン裏に抜け出しを図るFWパブロへスルーパス。FWパブロはGKの位置を確認しゴール左へシュート。副審はオフサイドフラッグを上げるがVARの検証の結果、ゴールは認められる(1-1)。
   FWパブロは、2015年にセレッソ大阪/JPNでプレーし40試合8得点。アトレチコ・パラナエンセ育成出身で2011年8月の全国選手権アトレチコ・ミネイロ戦で19歳のプロデビュー。2023年はFWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)の台頭もあり控えに回ることも多いが、すでにキャリアで2番目に多い13ゴールをマークし、4年連続で2桁ゴールを記録。オフザボールでの動き出しや高さを活かした空中戦など、ヴィトル・ホッキとは違ったスタイルで、チームに貢献している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:20-12(6-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:75% 81%

   アトレチコ・パラナエンセは、布陣を4バックから3バックに変更。センターフォワードにはFWパブロが復帰。FWパブロのオフザボールの動きでスピードのあるFWカノービオ(Canobbio, 1998)、FWクエージョ(Cuello, 2000)のスペースを作り、相手ゴールに迫りたい。
   RBブラガンチーノは、出場停止のVOLルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)に代わりVOLエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)がスタメンに入る変更のみ。

   試合はRBブラガンチーノがボールをコントロールし、アトレチコ・パラナエンセが守る展開。しかし、アトレチコはラインが比較的高い位置を保ち中盤のスペースを制限し、ボールを奪うとFWパブロやFWカノービオ、FWクエージョが守備ライン裏を狙い、カウンターから相次いでRBブラガンチーノゴールに迫る。
   しかし、先制点はRBブラガンチーノ。相手陣での速い寄せでカウンターを防ぐとボールを奪い、ショートカウンターからVOLエリキ・ハミーレスがゴール。一方のアトレチコも6分後にGKベントから2本のパスでライン裏に抜け出したFWパブロのゴールで同点に追いつく。
   前半44分、RBブラガンチーノは左浅い位置からのクロスにFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)が絶妙のトラップからシュートに持ち込むが、間合いを詰めたGKベントがブロック。アディショナルタイムにはアトレチコFWカノービオが左サイドへのスルーパスに反応しシュートを放つが、ディフェンダーにブロックされたボールは僅かにゴール右に外れる。
   後半も前半同様にアトレチコが素早いプレスから効果的に相手ゴールに迫り、後半4分には、FWカノービオの右浅い位置からのクロスにVOLエリキ(Erick, 1997)がCBの間を抜け出しヘディングシュート。しかし、ボールはゴールポストに弾かれる。
   後半33分には、RBブラガンチーノGKクレイトン(Cleiton, 1997)がハイボールの判断を誤り、アトレチコFWホームロ(Rômulo, 2002)にヘディングシュートを許すが、CBレアルペ(Realpe, 2001)がゴールライン上でクリア。
   中盤の激しい攻防と、縦への速い球出しや積極的なシュートで白熱した試合は、両チームGKを中心に守備陣が最後までしっかりと守り切り、試合は1-1の引き分け。両チーム勝ち点1を分け合う結果に終えた。

   アトレチコ・パラナエンセは、いつものようにコンパクトなスリーラインで試合に臨むが、今節は高めの位置を維持し、中盤でのボールの出どころへの寄せを速めることで、攻撃への移行がスムースに行われ、多くのチャンスを生み出すことに成功した。
   対戦相手に応じて、ラインの位置を変更しているが、今節のような戦い方が最も安定した試合運びができるのではないだろうか。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのグレミオ戦。

   RBブラガンチーノは、両SBが高い位置を取らず、アトレチコ・パラナエンセの速攻に対応。シュートに持ち込まれるシーンも多くカウンターから1失点は喫したものの、リスク管理はかなりの成長を遂げている。
   また、ケガ明けで1月以来の試合となるVOLハウーウ(Raul, 1996)や、今季途中加入のFWラキタナ(Laquintana, 1999)、今季プロデビューのグスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)を投入し、選手間の競争を促し、選手のモチベーションを維持するなど育成型のチームとしても機能。
   今季末、来季以降に向けて楽しみは大きい。
   次戦は、10月19日に全国選手権第27節、好調のサントスとアウェイでの一戦が控えている。

フォルタレーザ(FOR) 3-2 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=5RNGb3GCy1Y
(AME) : 18' #17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)[PK]
(AME) : 23' #17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)[#37 エヴェラウド(Everaldo, 1994)]
(FOR) : 31' #9 ルセロ(Lucero, 1991)[#17 ゼ・ウェリソン(Zé Welison, 1995)]
(FOR) : 56' #39 マチューカ(Machuca, 2000)[#91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)]
(FOR) : 68' #6 ブルーノ・パシェコ(, )[#91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権11勝6分8敗勝点39の9位。
   週中のコパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグをコリンチャンスを相手に2-0の完勝を収め、クラブ史上初の国際大会での決勝戦進出を果たした。
   全国選手権もリベルタドーレス出場権を争っており、10月28日に開催されるコパ・スウアメリカーナ決勝戦に向けて現状の勢いを失わないためにも、今節もベストに近いメンバーで試合に臨むように思われる。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝6分15敗勝点18の19位。
   前節のクルゼイロとのクラシコは、前半に先制を許したものの、前半のうちに同点に追いつき1-1の痛み分け。守備面では失点シーン以外に危険な場面はほとんどなく改善が見られたが、攻撃面では効果的なカウンターを仕掛けることができなかった。
   降格圏脱出には9ポイントの勝点差をひっくり返す必要があるが、13試合残されておりまだまだ逆転は可能。目先の一試合一試合で勝ちにこだわり最後まで残留に向け戦いたい。

得点シーン

(AME)前半18分 :
MFカサーレス(Cazares, 1992)が相手ボランチの手前で真横にパスを送り縦に走り出す。これを受けたVOLジュニーニョ(Juninho, 1987)が両FWのマークにつく相手両CBの間にボールを入れる。そこにMFカサーレスが表れシュート。ディフェンダーがシュートブロックに行くがボールはディフェンダーが広げた腕に当たりアメリカ・ミネイロがPKを獲得。これをFWマストリアーニがGKの逆をつくシュートで得点(0-1)。
   MFカサーレスは2014-17年にかけてコパ・アメリカ2015、2016などエクアドル代表として22試合1得点を記録。ブラジルでは2016-2019年にアトレチコ・ミネイロ、2020年にコリンチャンス、2021年にフルミネンセでプレー。アメリカ・ミネイロにはインデペンディエンテ/ARGを経て、2023年8月22日に加入。2023年シーズン終了までの契約。途中交代での出場が続いていたが、今節は6試合目の初スタメン。元代表の試合の流れを読むプレーは衰えていない。
(AME)前半23分 :
自陣ゴール前のCBマイダーナ(Maidana, 1996)の縦パスから、FWマストリアーニ、MFジュニーニョを経て、相手陣右サイド奥へFWエヴェラウドがボールを運ぶ。FWエヴェラウドがゴールライン際からペナルティエリア入口にボールを戻すと、右SBホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)が守備ラインを下げたスペースを利用しFWマストリアーニがコースを狙った左足のシュート。これがゴール左サイドネットを揺らす。
   FWマストリアーニは欧州、中南米でのプレー経験がある経験豊かなウルグアイ国籍選手。2022年8月にアメリカ・ミネイロに加入するもなかなか出場機会に恵まれない。しかし、2023年7月2日全国選手権第13節アトレチコ・ミネイロとのクラシコでの2得点をマークすると。この試合を機にレギュラーの座を獲得。以降は得点を量産し、今季は32試合16得点、全国選手権に限ると14試合6得点を記録している。
(FOR)前半31分 :
相手陣右サイドライン際のVOLゼ・ウェリソンが、一列内の右SBチンガ(Tinga, 1993)とのタベーラでサイドライン際を抜け出すと、内からのディフェンダーに寄せられる前にゴール前にクロス。ディフェンダーのマークがずれたところをFWルセロが頭を合わしフォルタレーザが1点を返す(1-2)。
   FWルセロは、デフェンサ・イ・フスチシア/ARG下部組織出身のアルゼンチン国籍選手。2022年のコロコロ/CHLでの活躍を受け、2023年1月にフォルタレーザが3年契約で獲得。州選手権での活躍後、全国選手権序盤は公式戦8試合無得点のスランプに陥ったが、このゴールが全国選手権3試合連発、5試合5得点と完全に調子を取り戻した。今節終了時点で51試合に出場、チームトップの21得点、7アシストを記録している。 
(FOR)後半11分 :
アメリカ・ミネイロがカウンターを狙うボールを自陣で右SBチンガがカット。するとそこから一気に約50mのロングフィード。このボールはFWルセロの手前でカットされるが、こぼれ球をFWチアゴ・ガリャルドが拾い、ペナルティエリアに侵入し中央へクロス。フリーの状態で逆サイドを詰めたFWマチューカが足を合わせるゴール(2-2)。
   FWマチューカは、7月28日にフォルタレーザがウニオン/ARGから保有権の50%に対し250万USドル(約3億5000万円)で2027年末までの契約で獲得を発表。翌日の2023年7月29日でクラブデビューを果たすと、自身5試合目で初ゴール。このゴールはそれ以来となる。スタメン、途中交代でコンスタントに試合に出場し、今節終了時点で13試合(うち4試合先発)2得点を記録している。
(FOR)後半23分 :
相手陣左サイドアタッキングサードでのボール回しから、左SBブルーノ・パシェコの浮き球のパスでVOLカイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)がサイドライン際を抜け出すと、ペナルティエリア入口左のFWチアゴ・ガリャルドでボールを送る。FWチアゴ・ガリャルドは、右に3選手が控える中、縦のダイレクトパスを選択。そこに左SBブルーノ・パシェコが走り込み、ゴールエリアの角からGKのニアサイドを強烈に抜くシュート。フォルタレーザが逆転(3-2)。
   左SBブルーノ・パシェコは2022年シーズン終了後にセアラーから加入した攻撃的なサイドバック。加入後はポジション争いを繰り広げるが、全国選手権が開幕するとポジションに定着。直近のコパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグでのアシストに続く得点関与で、8月13日全国選手権第19節サントス戦以来の2点目のゴール。好調フォルタレーザの左サイドを攻守に支えている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:16-14(4-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:85% 76%

   フォルタレーザは、直近のコパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグコリンチャンス戦と全く同じスターティングイレブン。
   アメリカ・ミネイロは、前節引き分けに終えたクルゼイロ戦から4つのポジションでスタメンを変更。MFカサーレスを初スタメンに抜擢する。

   試合は立ち上がりからアウェイのアメリカ・ミネイロが初スタメンのMFカサーレスを中心にフォルタレーザゴールに迫る。前半8分のショートコーナーからCBダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)のヘディングシュート、前半12分のMFカサーレスのペナルティアーク内での反転からのシュートはいずれも枠を捉えない。
   しかし、前半18分、MFカサーレスのシュートが相手のハンドを誘発し、アメリカ・ミネイロがPKを獲得し先制。さらに5分後の前半23分には、自陣ゴール前からの縦に速い攻撃で追加点を奪う。
   一方のフォルタレーザも、前半31分に相手のマークミスを突き1点を返し、2-1とアメリカ・ミネイロがリードし前半を終える。
   後半に入り、フォルタレーザはアメリカ・ミネイロが守備的に来るとみるや、FWギリェルミ(Guilherme, 1995)と、得点に絡んだVOLゼ・ウェリソンを下げ、FWマチューカとFWチアゴ・ガリャルドと投入。
   フォルタレーザは後半開始時から攻撃の圧力を強めていくと、後半6分にCKからゴールネットを揺らす。しかし、これはオフサイド。しかし、攻撃の勢いは止まらず、後半11分、後半23分と相次いでゴール、一気に試合をひっくり返す。
   逆転に成功したフォルタレーザは、VOLペドロ・アウグスト(Pedro Augusto, 1997)を投入。その後も中盤に選手交代。最終ラインが比較的高い位置を保ち中盤をコンパクトに保ち、アメリカ・ミネイロの攻撃の芽を中盤の早い段階で断ち切ると、得点こそ奪えなかったもののカウンターで相手ゴールを脅かし、試合終了。
   フォルタレーザが、0-2からの逆転で勝利を収めた。

   フォルタレーザは、コパ・スウアメリカーナでは守備的に入るコリンチャンスを相手に終始試合を支配し勝利を収めたものの、今節は同じスターティングイレブンで、攻撃的に入るアメリカ・ミネイロに苦戦。前半の内に2点を奪われる試合展開。しかし、ボイボダ(Vojvoda)監督のハーフタイムの修正と選手交代で一気に試合の流れを引き寄せると一気に逆転。その後も試合をコントロールし試合を終えた。
   これで、チームは公式戦2引分けを挟み4連勝。コパ・スウアメリカーナの決勝進出もあり、全国選手権も来季のリベルタドーレス出場圏の6位に浮上。全国選手権は後半戦を5勝1分1敗と後半戦だけの成績では1位の結果を残している。
   最近の好調を牽引したFWマリーニョ(Marinho, 1990)がケガのため前節から離脱しているが、タイプの異なるMFヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)が起用されてもチームは好調を維持するなど、ボイボダ監督のアイディアが試合に起用される選手の間で共通して理解されており、現在の勢いは一過性のものではないと感じられる。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのヴァスコ・ダ・ガマ戦。以降は中3日の試合が続き10月28日にコパ・スウアメリカーナ決勝戦を迎えるが、クラブ史上初の主要大会、国際大会の戴冠に向け、その期待は日を追うごとに高まるだろう。

   アメリカ・ミネイロは、第20節フルミネンセ戦は先制しながら1-3の敗戦。第23節クイアバ戦では2点リード追いつかれた引き分け。今節も2点のリードをひっくり返され2-3の敗戦。今節でも立ち上がりの得点を奪いに行く局面では得点が奪えているものの、時間帯ごとの攻守の意思統一がチーム内共有されておらず、さらに守りに入った局面でチーム全体が下がり過ぎる傾向がみられるように思われる。
   この敗戦で再び最下位に転落。残り12試合で16位のチームまでの勝点差は10ポイントと状況はかなり深刻なものになっている。目先の一試合一試合に集中して最後まで残留の可能性に懸けたい。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、ホームに首位ボタフォゴを迎える。

クイアバ(CUI) 0-0 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=9_i_Iq1-lko
(CUI) : N/A
(CRU) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   10月12日にクイアバ本拠地のパンタナウスタジアムで2026W杯南米予選第3節ブラジル代表 vs. ベネズエラ代表の試合が開催されるため、この試合は10月14日に順延。
   クイアバは全国選手権9勝5分11敗勝点32の11位。
   一時期はリベルタドーレス出場圏の争いに加わるかと思われたが、1引分を含む5連敗であっけなく脱落した。前節は7試合ぶりの勝利。控え選手主体で前半のうちに退場者を出したフルミネンセが相手とは言え、勝ち星に勝る良薬はない。これまではFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)の得点力に依存していたが、異なる3選手がゴールをマークした。
   順位で並ぶクルゼイロから勝ち点3を獲得し、連勝で再び上位争いに加わる足場としたい。
   クルゼイロは全国選手権7勝9分9敗勝点30の12位。
   前節は降格圏に低迷するアメリカ・ミネイロとの対戦。試合の主導権は握るものの淡白な攻撃で1-1の引き分け。就任後3試合を終えたゼ・ヒカルド(Zé Ricardo)監督だが、初戦こそサントス相手に3-0の勝利を収めたものの、その後は控え主体のフルミネンセに敗戦、降格圏に低迷するアメリカ・ミネイロと引き分けと、チーム再建の道はまだ遠い。
   気がつけば降格圏までの勝点差は4ポイントと安泰とはしていられない。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:44% 56% ⇒ 前後半:49% 51%
シュート(枠内): 前半:4‐1(0-1) ⇒ 前後半:9-7(2-2)
パス成功率: 前半:80% 83% ⇒ 前後半:83% 84%

   クイアバは、ビルドアップを司るCBアラン・エンペレウール(Alan Empereur, 1994)が累積警告で出場停止のため、CBには約一か月振りの試合となるアリソン(Allyson, 1990)が入る。また、VOLにはデニウソン(Denilson, 2001)が出場停止明けで復帰。
   クルゼイロは、VOLマテウス・ジュッサ(Matheus Jussa, 1996)が出場停止。MFマテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)がベンチスタートとなり、ルーカス・オリヴェイラ(Lucas Oliveira, 1996)、マシャード(Machado, 1996)、ルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)のスリーボランチの布陣で試合に臨む。

   開始11秒、クルゼイロはFWウェズレイ(Wesley, 1999)の斜めに入りボールにペナルティエリア入口でVOLマシャードがスルー。FWアルトゥール・ゴメス(Arthur Gomes, 1998)がフリーの状態で右足を振り抜くがシュートはGKヴァウテル(Walter, 1987)の正面を突く。
   一方のクイアバも、前半22分、左CKのニアサイドでFWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)がボールをすらし、ファーサイドでCBマルロン(Marllon, 1992)が右足を合わせるが、ボールを枠に収めることができない。
   前半28分、クイアバ左SBウエンデウ(Uendel, 1988)とクルゼイロ右SB(William, 1995)が顔面と頭部を接触。両選手とも出血が激しく交代を余儀なくされる。
   前半44分、クイアバはFWクレイソン(Clayson, 1995)の右CKからCBアリソンがゴールから遠ざかるボールにゴールエリア入口で頭を合わせるが、ボールはゴールポストを直撃し嫌われる。
   アウェイのクルゼイロが積極的にボールを展開し、ホームのクイアバが少ないチャンスで得たセットプレーからゴールを狙う展開で前半を0-0で終了。
   後半開始時にクルゼイロはVOLルーカス・シウヴァを下げ、MFマテウス・ヴィタウを投入し、攻撃の優位を強めようとする。
   一方のクイアバも、個半11分、CBアリソンを下げVOLフィリピ・アウグスト(Filipe Augusto, 1993)を投入し中盤を厚くする。
   試合は交互にゴールに迫るものの、決定的なチャンスを作り出すことができず、時間は経過。
   後半45分、クイアバはペナルティエリア手間左端の位置からのFKにMFフェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)がゴールを直接狙うが、壁の横を抜けたボールをクルゼイロGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)が横跳びのビッグセーブ。
   後半アディショナルタイムにはクルゼイロがMFニカォン(Nikão, 1992)、FWパウロ・ヴィトル(Paulo Vitor, 1999)、MFマテウス・ヴィタウ相次いでミドルシュートを放つが、ゴールをこじ開けることはできない。
   試合は0-0のスコアレスドロー。両チーム勝ち点1を分け合う結果となった。

   クイアバは、前半はクルゼイロのスリーボランチが交互に攻めあがる戦術に後手に回り、セットプレーからの僅かなチャンスも決め切ることができない。後半は相手の選手交代でマークが容易となり、ボールを握る時間も長くなったがの、流れの中ではチャンスを迎えることができず、無得点で試合終了。
   前節こそ退場で一人少なくなったフルミネンセから3得点を奪ったものの、最近の試合は得点力不足が顕著。FWデイヴェルソンの決定力の高さに依存する形となっており、FWデイヴェルソンを囮とするプレーや、二列目からの飛び出しなど、攻撃のバラエティを増やしたい。
   次戦は、10月18日に全国選手権第27節、アウェイでのコリチバ戦。

   クルゼイロは、スリーボランチが嵌り前半は試合を優位に進めたものの、後半開始時点の交代策で相手に流れを明け渡すことに。ゼ・ヒカルド(Zé Ricardo)監督が就任し、初戦こそ3-0で勝利を収めたものの、以降は0-1、1-1、0-0と結果が伴わない。守備面の再構築に重点を置いているものと思われるが、今節の前半のようにスリーボランチで中盤を固めつつボールを保持することで守備機会を減らし、攻撃への移行をスムーズにするサッカーを継続してもらいたい。
   次戦は10月19日に全国選手権第27節、ホームでのフラメンゴ戦。

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