最新更新日 : 2024/08/09
更新履歴 : 2023/12/06
ヴィトル・デ・オリヴェイラ・ヌーネス・ドス・ヘイス
Vitor de Oliveira Nunes dos Reis
ポジション:センターバック/ザゲイロ
利き足:右
2006年1月12日生まれ
パウメイラス下部組織入団以来、CBF(ブラジルサッカー連盟)への登録選手名は「ヴィトル・ヘイス(Vitor Reis)」で行われているが、2023年南米U-17選手権のチームメート、アトレチコ・ミネイロ在籍で同じ2006年生まれの「ヴィトル・ヘイス(Vitor Reis)」選手も存在するため、混乱を避けるため2023年は多くのサッカーサイトではパウメイラスの「ヴィトル・ヌーネス(Vitor Nunes)」、アトレチコ・ミネイロの「ヴィトル・ガブリエウ(Vitor Gabriel)」と区別して表記されている。 なお、2023年10月現在におけるCBFへの選手登録名は、こちらは「ヴィトル・ヘイス(Vitor Reis)」。アトレチコ・ミネイロの選手は「ヴィトル・ガブリエウ(Vitor Gabriel)」と登録されている。
<幼少期>
ブラジル連邦共和国サンパウロ州サン・ジョゼ・ドス・カンポスに生まれる。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2016年、10歳でパウメイラスの下部組織に入団。
将来を嘱望される若手選手を数々輩出するパウメイラス下部組織の中でも、2006年生まれ世代は類稀な世代で、2024/25シーズンにレアルマドリード/ESPへの移籍が決定しているエンドリッキ(Endrick)など、2023年現在(この世代が17歳になる年)で複数のトップチーム昇格者や、世代別代表でのタイトル(2022モンテギュー国際大会(U-17)、2023U-20南米ユース選手権、2023南米U-17選手権)保有者を有している。
※関連記事 : 湘南ベルマーレ主催『2017 コパ・ベルマーレ U-11』がえげつない。【パウメイラス】
その2006年生まれ世代にあって、ヴィトルはキャプテンとしてチームを引っ張り、各カテゴリーでタイトルを獲得。 2022年にはU-17カテゴリーの全国選手権、コパ・ド・ブラジル、サンパウロ州選手権の三冠をレギュラーとして制覇。 2023年はU-17コパ・ド・ブラジルとU-17全国選手権を連覇。U-17サンパウロ州選手権は準決勝で敗退し、2年連続のカテゴリー三冠を逃した。
2023年7月にはU-20チームに昇格しており、U-20全国選手権準々決勝ボタフォゴ戦のホーム&アウェイで途中交代出場を果たすと、準決勝コリンチャンス戦のホーム&アウェイ、一発勝負の決勝フラメンゴ戦では先発に抜擢されフルタイム出場。決勝戦は90分間を0-0の引き分けで終え、PK戦の末、チームは準優勝に終えたものの、2023年U-20W杯代表に選出された(ケガのため辞退)ミシェウとのコンビで、フラメンゴの強力な攻撃陣を無得点に抑えきった。
2022年11月28日にはパウメイラスとプロ契約を締結。契約期限は2025年末(注:初回プロ契約時の契約期間はFIFAの規定により最大3年と定められている)。契約違約金は1億ユーロが設定された。
2023年1月にはトップチームのトレーニングに参加。練習試合ではチームキャプテンでパラグアイ代表でもあるCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)とコンビを組み、トップチームの選手だけでなくトップチーム監督のアベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)監督から様々なアドヴァイスを貰うなど、多くの刺激を受けモチベーションをさらに高める。
2023年12月6日現在で17歳。まだトップチームでの試合出場はないが、すでにU-20チームでも活躍し、トップチームへの移行期間としてクラブ内で位置づけられ、着実に成長を続けている。
2024年1月はU-20全国大会カップ戦に出場。
同大会敗退後はトップチームに合流するが、ベンチ入りするものの出場機会は訪れない。
4月に一度U-20チームに復帰し、U-20全国選手権、U-20州選手権の9試合に出場する。
≪パウメイラス≫
– 2024 –
6月に入ると、CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)がコパ・アメリカにパラグアイ代表として出場、チームを離脱するため、ヴィトルはトップチームに再合流。さらには、トップチーム3番手のCBルアン(Luan, 1993)も移籍話が持ち上がりチームを離脱する。
2024年6月26日全国選手権第12節フォルタレーザ戦、後半29分にCBムリーロ(Murilo, 1997)が負傷、代わってヴィトルがピッチに送り出される。18歳5か月でのプレデビューを迎えた。
翌7月1日第13節コリンチャンスでは、先発に抜擢され、CBナヴェス(Naves, 2002)との若いCBコンビで2-0の完封勝利に貢献。後半12分にはMFハファエウ・ヴェイガが蹴る右CKに、少し後方へ下がりながら頭を合わせるゴール。デビュー2戦目にしてプロ初ゴールをマーク。
CBグスタボ・ゴメス、CBムリーロの復帰後も、3番手の立ち位置を獲得し、3バック採用時や主力の前記2選手のケガや出場停止試合にはスタメンとして出場。
2024年8月9日現在、6月1試合、7月7試合、8月2試合にいずれもスタメンとして出場。8月7日コパ・ド・ブラジルでのフラメンゴ戦2ndレグでは、CKから自身プロ2点目のゴールをマーク。
ある試合での試合後のインタビューにて、アベウ・フェヘイラ監督はヴィトルを「18歳の姿ながら、30歳の選手のような落ち着きでプレーする」と評した。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2024年(18歳) | パウメイラス | 全国選手権 | 8 | 646 | 1 | 0 |
コパ・ド・ブラジル | 2 | 180 | 1 | 0 | ||
合計 | 10 | 826 | 2 | 0 |
イタリック斜体は、2024年8月9日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表(世代別含む)経歴>
各カテゴリーで世代別代表に選出。
– 2022 –
2022年4月、UEFA主催のU-16国際大会の代表に選出。 9日ウェールズ戦(2-1)、11日スペイン戦(1-3)、14日トルコ戦(2-3)の3試合すべてに出場を果たす。
– 2023 –
【南米U-17選手権】
2023年3月8日、3月30日開幕の南米U-17選手権代表に選出。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/03/30 | 予選R第1節 | エクアドル | 2 – 2 | 90 | 0 | 1 |
2023/04/01 | 予選R第2節 | チリ | 3 – 0 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/03 | 予選R第3節 | コロンビア | 3 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/07 | 予選R第5節 | ウルグアイ | 3 – 0 | – | – | – |
2023/04/11 | 決勝R第1節 | ベネズエラ | 2 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/14 | 決勝R第2節 | パラグアイ | 3 – 2 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/17 | 決勝R第3節 | エクアドル | 2 – 2 | 90 | 0 | 1 |
2023/04/20 | 決勝R第4節 | チリ | 3 – 0 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/23 | 決勝R第5節 | アルゼンチン | 3 – 2 | 90 | 0 | 0 |
合計 | 24 – 10 | 720 | 0 | 1 |
開幕節エクアドル戦では、開始間もなく、自陣から守備ライン裏を狙うFWカウワン・エリアス(Kauã Elias)へのグラウンダーのスルーパス。前半36分にはCKからの流れで前線に残ったところをゴールライン際からのクロスでFWカウワン・エリアスのゴールをアシスト。
決勝ラウンド第1節ベネズエラ戦の前半18分に、左CKにドンピシャのタイミングで頭を合わせるがボールはクロスバーを叩く。
決勝ラウンド第2節パラグアイ戦では、自陣からのヴィトルのロングフィードに抜け出したMFドゥドゥ(Dudu)がゴール前へのクロスでハイアン (Rayan) のゴールをアシスト。
チームの攻撃時には相手のカウンターを未然に防ぎ、ゴール前での守備では粘り強い一対一の対峙や、サイドバック裏のスペースを的確にカバー、後方からチームメートに指示を送る様子もしばしば見られた。 攻撃面では、相手のプレスに動じずビルドアップを担い、最終ライン裏への絶妙なタイミングでのフィードなど、印象に残るプレーを多く披露。 攻守に、そしてキャプテンとして、チームの同大会優勝に貢献した。
【親善試合、代表合宿】
2023年6月7日、北中米カリブ海U-17選手権王者のメキシコとの親善試合に向けたU-17代表に選出。 親善試合はメキシコシティで、6月28日(メキシコ1-0ブラジル)、6月30日(メキシコ2-5ブラジル)の2試合が開催されたが、試合の詳細は公表されておらず、試合への出場は不明。
2023年9月26日~10月7日の期間に行われるU-17代表合宿、および、9月29日、10月1日の行われるカナダU-17代表との親善試合、10月4日、6日に行われるアメリカU-17代表との親善試合に向けたU-17代表に選出。 9月29日カナダ戦は先発フル出場、チームの3-1の勝利に貢献。 10月1日カナダ戦は先発フル出場、チームの5-0の勝利に貢献。 10月4日アメリカ戦は0-0のまま前半終了時に天候不良で試合終了。出場は不明。
【2023U-17W杯】
2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出された。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/11/11 | 予選第1節 | イラン | 2 – 3 | 90 | 0 | 0 |
2023/11/14 | 予選第2節 | ニューカレドニア | 9 – 0 | 90 | 1 | 0 |
2023/11/17 | 予選第3節 | イングランド | 2 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/11/20 | 決勝一回戦 | エクアドル | 3 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/11/14 | 準々決勝 | アルゼンチン | 0 – 3 | 90 | 0 | 0 |
合計 | 16 – 8 | 450 | 1 | 0 |
2023U-17W杯はキャプテンとして全5試合でフル出場を果たす。 予選第2節ニューカレドニア戦では、後半10分、FWエステヴォンが蹴る右CKから、ファーサイドでCBジョアン・ヴィトルが折り返したボールをゴール前で頭でゴールに押し込み1ゴールを記録。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。 身長186㎝、体重不明。(パウメイラス公式HP2023年選手情報より)
パウメイラスでは加入当初から各カテゴリーでキャプテンを務める。 2023年南米U-17選手権でもキャプテンマークを巻き、攻守に安定感のあるプレーを披露し、後方からチームに落ち着きを与えつつ一つにまとめるあげるキャプテンシーを発揮してチームを優勝へと導く。
チームの攻撃時には高い位置を取り広い守備範囲で相手が大きく蹴りだすボールをいち早く回収。自陣や自陣ゴール前では、粘り強い一対一の対峙や、スピードを生かした広範囲に渡るカバーリング。細身の体格ながら絶妙なポジショニングで体を上手く使い、マークに付いた相手に簡単に前を向かせず、空中戦にも強さを発揮。 攻撃面では、相手のプレスに動じず巧みにかわしていく足元の技術を持ち、ドリブルで相手陣深くへボールを持ち込むことも。前方への楔の縦パス、最終ライン裏への絶妙なタイミングでのフィードなど、視野が広くパス精度も高い。
参考にしている選手は、パウメイラストップチームでは、キャプテンでパラグアイ代表のグスタボ・ゴメスと、対人の強さだけでなく前線へのボールの供給を特長とするルアン(Luan, 1993)。 代表選手では、パリSG/FRAのマルキーニョス(Marquinhos, 1994)とチェルシー/ENGのチアゴ・シウヴァ(Thiago Silva, 1984)の名を挙げた。 ヴィトルのキャプテンシーやプレースタイルは、これらの選手の影響が強く感じられる。
2023年には、トップチームのトレーニングにも参加し、試合形式のトレーニングや練習試合でトップチームの選手とコンビを組み、プロのスピードやフィジカルの強さを経験。技術的なことはトップチームで学んだことをU-17、U-20カテゴリーの試合で実戦し、自分のものとして日々吸収している。
フィジカルが重要な要素となるセンターバックというポジションだが、U-17チームに所属しながら2023年5月のU-20チームでの初試合で初ゴールをマーク。2023年7月のU-20全国選手権準々決勝ホーム&アウェイの両試合で途中出場を果たすと、8月の準決勝の両試合はスタメンフル出場。一発勝負の決勝戦もスタメンフル出場を果たし、フラメンゴの強力な攻撃陣を無失点に抑えきるなど、まだ体の線の細さは感じられるものの、17歳にしてすでにU-20カテゴリーでのプレーは通用。
まだまだ肉体的にもプレー面でも伸び代は大きく残されており、今後、トップチームでのトレーニングや、上位カテゴリーでの試合を通してどこまで成長していくのか、そしてトップチームでプレーする際にはどれほどの観客を魅了するのか、今後どのようなキャリアを歩んで行くのか、楽しみは尽きることがない。