【ブラジル全国選手権2023】第27節(1/2)

投稿者: | 2023年10月16日

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全国選手権第27節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/18 グレミオ(GRE) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/10/18 コリチバ(CFC) x クイアバ(CUI)
・2023/10/18 アメリカ・ミネイロ(AME) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/10/18 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/10/18 ゴイアス(GOI) x サンパウロ(SAO)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第27節(2/2)
・2023/10/18 バイーア(BAH) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/10/19 パウメイラス(PAL) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/10/19 クルゼイロ(CRU) x フラメンゴ(FLA)
・2023/10/19 サントス(SAN) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/10/19 フルミネンセ(FLU) x コリンチャンス(COR)

全国選手権第27節 試合概要

グレミオ(GRE) 1-2 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=BbzTgrijT1A
(GRE) : 7' #22 ルーカス・ベソッツィ(Lucas Besozzi, 2003)[#9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)]
(CAP) : 38' #10 サペリ(Zapelli, 2002)[#26 エリキ(Erick, 1997)]
(CAP) : 90+4' #4 カイキ・ホッシャ(Kaique Rocha, 2001)[#37 エスキベウ(Esquivel, 2001)]

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権13勝5分8敗勝点44の3位。
   前節アウェイでのクラシコ「グレナウ」は打ち合いの末、2-3の敗戦。アウェイ試合は7試合未勝利となった。今節はアトレチコ・パラナエンセをホームに迎えるが、全国選手権ホーム試合は13試合10勝2分1敗、5連勝中と好成績を残している。FWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)は最近は10試合5得点3アシストで好調を維持。VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)がW杯南米予選に招集を受け欠場の見込みが高いが、VOL以外のポジションは現状のベストイレブンで試合に臨めそうだ。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権11勝8分7敗勝点41の8位。
   FWカノービオ(Canobbio, 1998)はW杯南米予選に招集され欠場が濃厚だが、センターフォワードへの起用が濃厚なFWパブロ(Pablo, 1992)は前節のゴールで調子は上向き。カウンター狙いの引いた守備ではホーム試合で無頼の強さを発揮するグレミオ攻撃陣のパスワークに翻弄されゴール前に押し込まれ続ける可能性も。ボールの出どころへのプレスから攻撃への移行で得点機を迎えたい。

得点シーン

(GRE)前半7分 :
自陣から素早くボールを前に運ぼうとするが、相手陣でパスをカットされる。しかし、直ぐにボールを奪い返し、MFクリスタウド(Cristaldo, 1996)からFWルイス・スアレスに縦にボールが入ると、FWルイス・スアレスはペナルティアーク内へ真横に浮かしたボールを送る。FWルーカス・ベソッツィはボールに触れず体の動きでディフェンダーをかわすと左足を振り抜く。これがゴール右隅に決まる。(1-0)
   FWルーカス・ベソッツィは、2023年8月2日にラヌース/ARGから買取オプション付きの期限付き移籍加入が発表されたアルゼンチン国籍選手。直近の2試合で30分前後の出場を果たし、今節は初スタメン。その期待に応えるようにクラブ初ゴールを記録。FWビテロ(Bitello, 2000)移籍後のポジション争いに加わりたい。
(CAP)前半38分 :
GKベント(Bento, 1999)からのボールに自陣まで下りてきたFWパブロが難しい態勢からワンタッチで右サイドにボールをはたく。これをMFサペリが受けると、MFヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)へ横、VOLエリキへ縦、MFサペリへ横にボールを繋げ、最後はMFサペリがゴールネットを揺らす。GKから始まったゴラッソ。(1-1)
   MFブルーノ・サペリは、2023年7月21日にベルグラーノ/ARGからの加入したアルゼンチン国籍選手。移籍金は保有権の50%に対し400万USドル(約5億6000万円)。契約条項にゴールに繋がるパスをインセンティブにすることを要求するほど、得点に関与することに自信を持ち、短いパスだけでなく30~40mのパスの精度も高い。このゴールは8月15日第19節クイアバ戦での初ゴール以来。前節ではアシストを記録しており2試合連続の得点関与。
(CAP)後半45+4分 :
ペナルティエリア手前右端からのSBエスキベウが蹴るFK。ゴール前に上げられたボールにCBカイキ・ホッシャが綺麗に頭を合わせアトレチコ・パラナエンセが逆転。(1-2)
   CBカイキ・ホッシャは、サントス下部組織出身でブラジルでデビューすることなくサンプドリア/ITAへ移籍。しかし、サンプドリアでは1試合に出場するのみで、2021年、2022年はインテルナシオナウへの期限付き移籍でプレー。2023年1月、サンプドリアとの契約を解除しアトレチコ・パラナエンセに加入。今節は今季6試合目の出場だが、前節では先発出場を果たしこの試合は途中出場から終了間際の逆転ゴール、そして、これが自身のプロ初ゴール。これを機に来季に向けポジション争いに加わりたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:46% 54%
シュート(枠内): 前半:3‐11(2-3) ⇒ 前後半:11-18(5-5)
パス成功率: 前半:76% 79% ⇒ 前後半:80% 78%

   グレミオは、前日のボリビア戦に出場したパラグアイ代表VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)がベンチ外、VOLペペ(Pepê, 1998)がスタメンに入る。今季途中加入でほとんど出番のなかったFWの二人、ルーカス・ベソッツィ(Lucas Besozzi, 2003)と元パラグアイ代表FWイトゥルベ(Iturbe, 1993)がスタメンに抜擢される。
   アトレチコは、右SBを削ったようなスリーバック。W杯南米予選ブラジル戦に出場のなかったウルグアイ代表FWカノービオがスタメンに名を連ねる。MFサペリ(Zapelli, 2002)を軸にFWパブロ(Pablo, 1992)がオフザボールの動きで相手守備陣をかく乱し、FWカノービオとFWクエージョ(Cuello, 2000)のスピードを生かしてゴールに迫りたい。

   前半2分、アトレチコ・パラナエンセはMFサペリが右サイドからのクロスに頭を合わせゴールポストを叩くシュート。アトレチコはペナルティエリアに4、5選手が侵入しマークを分散する分厚い攻撃をみせる。
   しかし、前半7分、グレミオは自陣からのカウンターから初スタメンFWルーカス・ベソッツィがクラブ初ゴール。ホームのグレミオが先制。
   先制されたアトレチコだが、攻める意識は衰えず、前半12分、前半16分と相次いで右サイドからグレミオゴールに迫りシュートに持ち込む。しかし、シュートは枠を捉えない。一方のグレミオも前半36分、自陣ペナルティエリアからのカウンター。最後はFWルイス・スアレスがアトレチコGKベントと一対一になるが、GKベントは間合いを詰めシュートコースを塞ぎ、FWルイス・スアレスのシュートを右手一本で弾き返す。
   GKベントの好守に応えるかのように、アトレチコ・パラナエンセは前半38分、GKベントからのフィードからボールを繋ぎ、MFサペリがゴール。アトレチコが前半のうちに同点に追いつく。勢いに乗るアトレチコは、さらに前半44分、ドリブルでボールを運んだMFサペリからペナルティエリア入口でボールを受けたFWカノービオがシュート。これはグレミオGKグランド(Grando, 2000)が倒れ込みながら辛うじてCKに逃れる。
   最近の試合でよく見られるように、グレミオは後半開始時にFW2人を交代、さらに右SBも変更。すると、グレミオは後半2分、3分と相次いでアトレチコゴールに迫る。しかし、GKベントがゴール前に立ちはだかる。
   後半14分にアトレチコFWクエージョがアウトサイドキックのミドルシュート、後半16分にグレミオはVOLペペが約30mのミドルシュート、いずれも綺麗なシュートだったが僅かにゴール枠を捉えない。
   グレミオは後半19分、左サイドからのクロスにFWフェヘイラ(Ferreira, 1997)がファーサイドで胸でボールを押し込もうとするがゴール右に外してしまう。
   その後、両チームとも選手交代を通じて試合の流れを掴もうとするが、試合は均衡状態に陥る。
   このままタイムアップかと思われた後半45+1分、アトレチコ・パラナエンセはペナルティエリア近くでFKのチャンスを得る。しかし、SBエスコバルのFKは壁に当たりチャンスは潰える。しかし、後半45+4分、アトレチコは再びペナルティエリア付近でFKのチャンスを得ると、SBエスコバルのボールにCBカイキ・ホッシャが頭を合わせアトレチコ・パラナエンセが逆転。
   試合は、CBカイキ・ホッシャのゴールパフォーマンスをきっかけに荒れるが、そのまま終了。両チーム合わせて29本のシュートが飛び交う試合は、アトレチコ・パラナエンセが2-1で勝利を収めた。

   グレミオは、前半早い時間帯に先制点を奪ったものの、相手のパスの出どころへのマークが緩く、押し込まれる時間が続き、前半のうちに同点に追い付かれる。
   後半は選手交代を通じてパスの出どころへのマークを強めると、攻撃のリズムを掴み、相手陣でのテンポのいいボール回しから相手ゴールに迫ったが、ゴールを奪うまでは至らず、試合終了間際に被弾し逆転負け。
   FWルーカス・ベソッツィとFWイトゥルベを先発に抜擢したが、守備面での連係に課題が残る結果となった。FWビテロの穴を埋めるために様々な組み合わせが試されているが、なかなか最適解は見つからない。
   また、アトレチコCBカイキ・ホッシャのゴールパフォーマンスに苛ついたSBヘイナウド(Reinaldo, 1989)がCBカイキ・ホッシャへの危険なプレー(肘打ち)で一発退場処分を受け次節は出場停止。
   得意のホームゲームで6試合ぶりの黒星。リベルタドーレス出場権争いで一歩リードしたいところだったが足踏み。暫定では3位を維持しているが今節残り試合の結果次第では6位まで転落する可能性もある。
   次戦は、10月21日に全国選手権第28節アウェイでのサンパウロ戦。

   アトレチコ・パラナエンセは、前線がペナルティエリア内に4、5人が並び、中盤の選手が二列目から前線へ顔を出し、時には前線を追い抜くプレーをみせる分厚い攻撃。ゴールライン際にボールを運ぶなど相手守備を押し込み、カウンターの芽を相手陣で摘み取るサッカーを前半は披露。先制を許したものの、攻撃的なスタイルを貫き前半のうちに同点に追いついた。
   後半はグレミオの修正に前半のようなサッカーを展開することは出来なかったが、勝利への執念がグレミオを上回り、後半アディショナルタイムに絶好の位置で相次いでFKを獲得すると、CBカイキ・ホッシャのプロ初ゴールで逆転ゴールに成功した。
   この勝利で勝ち点は44。暫定で3位から6位までが勝ち点44で並ぶリベルタドーレス出場圏に浮上。
   次戦は、10月21日に全国選手権第28節アウェイでの首位ボタフォゴ戦。現在の勢いが本物かどうか評価するには絶好の対戦相手だ。

コリチバ(CFC) 0-3 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qvv9BfDHydg
(CUI) : 24' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[#29 クレイソン(Clayson, 1995)]
(CUI) : 82' #9 イシドロ・ピタ(Isidro, 1999)[#14 ハニエリ(Raniele, 1996)]
(CUI) : 88' #14 ハニエリ(Raniele, 1996)[#27 デニウソン(Denilson, 2001)]
(CFC) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   コリチバは全国選手権5勝5分16敗勝点20の19位。
   粘り強い守備で2連勝。3試合連続ゴール中のアルジェリア代表FWスリマニ(Slimani, 1988)の高さをいかしたゴール、セットプレー、それまで出場機会に恵まれていなかった選手が得点に絡むなど、チーム状態は良い。しかし、代表戦帰りのFWスリマニ、ケガのためチリ代表招集を辞退したCBクスチェヴィッチ(Kuscevic,1996)の試合出場が微妙な状況。攻守に核となる選手を欠く可能性が高いが、チーム一丸となってその穴を埋め連勝を伸ばしたい。
   クイアバは全国選手権9勝6分11敗勝点33の11位。
   以前から攻撃面ではFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)への依存度が大きかったが、最近の8試合のうち6試合が無得点試合と、FWデイヴェルソンの出来が試合を左右する傾向が顕著になりつつある。10月14日に約2週間のブランクをおいて第26節を消化したが0-0の引き分け、課題を解消できずにいた。今節は中3日での試合となるが、アントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督はどのような手を打ってくるだろうか。

得点シーン

(CUI)前半24分 :
FWクレイソンが蹴る右CK。ディフェンダーの一歩前に入ったFWデイヴェルソンが頭を振り抜くと、ボールはゴールポストを叩きゴールイン。(0-1)
   FWデイヴェルソンは、9月15日第23節アメリカ・ミネイロ戦以来一カ月、4試合ぶりのゴールで今季全国選手権二桁の10得点目。
(CUI)後半37分 :
交代出場したばかりのFWイシドロ・ピタが相手陣左サイドライン際でボールを受けるとそのまま中央へドリブル。寄せが甘くなったところに右足を振り抜くと約25mのミドルシュートがファーサイドのサイドネットを揺らす。(0-2)
   FWイシドロ・ピタは、セロ・ポルテーニョ/PAR下部組織出身。パラグアイ国内だけでなく、ポルトガル、スペインの下位リーグでのプレー経験がある。2022年のジュヴェントゥージでの活躍を受け、2022年12月にクイアバが獲得。2023年は、州選手権11試合で6得点6アシストを記録するが、全国選手権はFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)の控えに回り、この試合が18試合目の出場(うち2試合先発)。最近は出場機会を大きく減らしていたが、このゴールを機に出場機会を増やしたい。
(CUI)後半43分 :
相手陣左サイドライン際アタッキングサードの入口辺りからのFK。VOLデニウソンが低く鋭いクロスを送ると、VOLハニエリがニアサイドでフリック。これが直接ファーサイドのサイドネットに決まる。(0-3)
   VOLハニエリは、全国選手権開幕直前の2023年3月31日に全国選手権2部のアヴァイーからクイアバに加入。全国選手権は累積警告による出場停止を除く全25試合に出場(うち24試合先発)3得点1アシスト。過去最高位を目指すクイアバにとって中盤のキープレーヤーとして存在感を示している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:59% 41% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:7‐3(1-2) ⇒ 前後半:18-6(3-6)
パス成功率: 前半:82% 71% ⇒ 前後半:83% 73%

   コリチバは、CBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004)とCBタリソン(Thalisson, 2002)の若いコンビが最終ラインに入る。中盤はスリーボランチ、攻撃陣にはFWマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)が出場停止から復帰。
   クイアバは、前線に長身191㎝のFWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)が入り、FWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)へのマークを分散したい。こちらも中盤はスリーボランチ。中盤の攻防が勝敗を分けそうだ。

   降格圏脱出のため勝ち点3が欲しいホームのコリチバは、試合開始時からサポーターの声援を後押しにボールを支配。中央FWスリマニ(Slimani, 1988)の高さを活かすサイド攻撃を中心にコリチバが攻撃の圧力をかけ続ける。前半5分には狙い通りの展開でシュートまで持ち込むがボールはクイアバGKヴァウテル(Walter, 1987)の正面を突く。前半15分過ぎまではクイアバ陣での試合が続く。
   しかし、前半24分、クイアバがCKから先制。数少ないチャンスを得点に繋げる。
   コリチバも前半30分、FWスリマニがスピードを生かし守備ライン裏を抜け出すとGKをかわしゴールネットを揺らす。しかし、3分近くにも及ぶVARの検証の末オフサイドの判定。コリチバは同点の機会を逸す。
   コリチバは、前半45+1分には右サイドからのクロスのこぼれ球をミドルシュート、45+4分、45+7分には立て続けに左サイドからゴール前へのクロスで大きなチャンスを迎えるが、シュートは枠を捉えない。
   前半をクイアバの1-0のリードで折り返す。
   後半もコリチバが得点を奪いに攻撃に重点を置くと、後半12分、後半18分と相次いでサイド攻撃からシュートまで持ち込む。しかし、ゴール前を固めるクイアバの最終ラインを前にシュートの精度を高めることができない。
   その後もコリチバはクイアバのカウンターを防ぎつつ、クイアバゴールに迫り続ける。
   しかし、後半37分、クイアバFWイシドロ・ピタの個人技からクイアバが追加点。さらに後半43分にはダメ押し点。
   コリチバは勝利に向かい果敢に攻めたものの、それを逆手に取ったクイアバが3-0で勝利を収めた。

   降格圏脱出のためには勝ち点3を積み上げていかなければならない状況に陥っているコリチバは、試合開始から積極果敢に攻め続ける。ワントップのFWスリマニを軸に後方からサイドを上手く使い、相手のカウンターをケアしつつ攻撃を展開するが、シュートは枠を捉えない。
   失点後にゴールネットを揺らすが、長いVARの検証の末、オフサイドの判定。前半終了間際の相次ぐチャンスなど、どれか一つでもゴールを決めていれば試合の展開は大きく異なるものなっていたかもしれない。
   しかし、後半37分に一瞬の隙を突かれ失点を喫し突き放されると、さらに失点を喫し試合終了。勇敢にゴールを奪いに行ったものの、最後までゴールを奪うことができず、0-3の敗戦を喫した。
   残留争いのボーダーラインが試合を追うごとに上がっていく中、この敗戦で残留に必要な勝点差は10ポイントに広がった。勝ち点1を積み重ねても残留の可能性が低い中、攻撃に重点を置いた積極的な試合を展開したが、この日はコリチバの日ではなかった。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節としてホームにパウメイラスを迎える。カウンターをケアした攻撃的なスタイルは効果を発揮していただけに、今後に向けてそのスタイルを貫き続けてもらいたい。

   クイアバは8月から9月にかけて6試合で勝ち点1という厳しい状況を乗り越え、その後は3試合連続無失点で2勝1分と残留争いから一歩抜け出した。
   試合は、厳しい中盤のマークや、押し込まれた局面ではゴール前に選手が閂をかける必死の守備で、3試合連続の無失点試合を達成。コリチバが勝たなければならない状況を上手く利用し、数少ないチャンスをセットプレーとカウンターから3得点。控えのFWイシドロ・ピタがゴールを奪うなど、FWデイヴェルソン頼みの攻撃から脱却するヒントを得たかもしれない。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節、今節に続き留争いを繰り広げるゴイアスをホームに迎える。

アメリカ・ミネイロ(AME) 1-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=eUhFfjnGDsg
(BOT) : 22' #37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)]
(AME) : 39' #10 ベニテス(Benítez, 1994)[#17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)]
(BOT) : 50' #37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#34 アドリエウソン(Adryelson, 1998)]

見どころ(試合前の順位)

   アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝6分16敗勝点18の20位。
   5試合勝ち星なしで再び最下位に転落。前節フォルタレーザ戦は2点のリードを逆転された悔しい敗戦。5試合前の第23節クイアバ戦でも2点のリードを追いつかれており、リードした局面での選手間の意思統一ができていないように思われる。ボタフォゴとの前回の対戦は開始3分と後半5分に失点する難しい展開。立ち上がりは特に集中して試合に入りたい。
   ボタフォゴは全国選手権17勝4分5敗勝点55の首位。
   前節は6試合ぶりの勝ち星。ブルーノ・ラージェ(Bruno Lage)監督解任後の初戦で結果を残した。2得点は自陣からのカウンターでFWが綺麗に抜け出しGKとの一対一を冷静に決めた。しかし、ボールは保持され自陣で守備に負われる時間が長く、内容的には褒められたものではなかった。今節は最下位アメリカ・ミネイロとの対戦。結果と共に試合内容が問われる試合となる。

得点シーン

(BOT)前半22分 :
ハーフライン付近の左サイドライン際から中央のMFエドゥアルドを経て、ボールは右サイドのFWジュニオール・サントスの元へ。FWジュニオール・サントスはボールを受けるとドリブルでペナルティエリアに接近、そのまま中央へ流れながら左足を振り抜く。ディフェンダーのブロックを掠めたボールはコース良くゴール右上に吸い込まれる。(0-1)
   FWジュニオール・サントスは、Jリーグの柏レイソル、横浜マリノス、サンフレッチェ広島でのプレー経歴あり。ボタフォゴには2023年全国選手権開幕前の4月にフォルタレーザから加入。守備への貢献やスピードとドリブルでゴールライン際までボールを持ち上がるプレースタイルがチーム戦術と合いレギュラーの座を獲得。一時期は控えに回ったものの再びレギュラーの座を奪回。前節に続く2試合連続ゴールを記録した。
(AME)前半39分 :
MFベニテスがピッチ中央を細かなドリブルでゴールに向かいディフェンダーの間をすり抜けると、FWマストリアーニとのタベーラでペナルティエリア内を抜け出すゴラッソ。(1-1)
   MFベニテスは、2011年U-17W杯2試合、2011年南米U-17選手権5試合2得点を記録するアルゼンチン国籍選手。2022年7月に期限付き移籍でアメリカ・ミネイロに加入すると、中盤でのボールキープ、攻撃の組み立てを担い、下位に低迷していたチームの10位フィニッシュに貢献。クラブも一か月以上に及ぶ交渉の末、完全移籍で獲得した。2023年はチームが低迷する中、戦術的理由で満足のいく出場機会を得ていないが、このゴールは足元の技術の確かさを証明するゴラッソ。守備が安定すれば出場機会も増えていくはず。
(BOT)後半5分 :
相手陣アタッキングサードの手前でCBアドリエウソンが相手ボールを刈り取ると、そのこぼれ球をFWジュニオール・サントスが拾い、ペナルティエリア手前から左足を振り抜く。ボールは外から内に巻き込み、ゴール左隅に突き刺さる。(1-2)
   CBアドリエウソンは直近のW杯南米予選に招集。出場機会には恵まれなかったものの、世代別での招集以来、久しぶりに黄色い代表ユニフォームに袖を通した。ボタフォゴではスピード、高さ、一対一の強さ、ビルドアップとその資質が開花。守備の要としてだけでなく攻撃の起点としてもチームを牽引する。2023年シーズン終了後にはボタフォゴと同オーナーが率いるリヨン/FRAへの移籍が確実視されている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:36% 64% ⇒ 前後半:45% 55%
シュート(枠内): 前半:11‐4(3-1) ⇒ 前後半:21-6(5-2)
パス成功率: 前半:71% 87% ⇒ 前後半:78% 84%

   アメリカ・ミネイロは、中盤でボールを握れるMFベニテスとMFエマヌエル・マルチネス(Emmanuel Martínez, 1994)を同時起用。3-5-2の布陣で中盤を厚くし、ボタフォゴの攻撃が加速する前にボールの出どころを抑えたい。
   ボタフォゴは、代表招集も出場機会のなかったCBアドリエウソン(Adryelson, 1998)が先発。出場停止のVOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)に代わりVOLガブリエウ・ピーレス(Gabriel Pires, 1993)が入る。

   アメリカ・ミネイロは、首位ボタフォゴを相手に引けを取らない試合を展開したものの、地力の差に劣り、ホームで悔しい敗戦を喫した。
   その中でMFベニテスが観客を魅了するプレーを数々披露。前半37分に右サイドの浅い位置からGKとディフェンダーの間への絶妙なクロス。前半38分にはCBマイダーナ(Maidana, 1996)のロングフィードをFWマストリアーニ(Mastriani, 1993)が後ろにすらしたところを抜け出しシュート(これはGKの足に当たりクロスバーを叩く)。そして、前半38分のゴラッソ。
   後半はMFベニテスへのマークが厳しくなり、MFベニテスは前半のような好プレーは影を潜める。さらに、後半5分のボタフォゴの得点以降はボタフォゴが引いて守る態勢となったことから、アメリカ・ミネイロはボールを持ちながらも攻めあぐねる展開が続く。アディショナルタイムには立て続けにボタフォゴゴールに迫り、後半45+3分のFWカサーレスの強烈なミドルシュートはGKルーカス・ペリ(Lucas Perri, 1997)のビッグセーブに阻まれ同点に追いつけない。
   首位ボタフォゴを苦しめたものの最後までリードすることは出来ず1-2の敗戦。
   勝ち点を伸ばすことができず、降格圏までの勝点差は12に広がり第27節を終えた。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのコリンチャンス戦が予定されている。

   ボタフォゴは、スプリントを有効に使ったスピードのある攻撃、ピッチをゴールライン際まで深く、そして左右に広く使った攻撃が戻り、4連敗の直後の1引分けから2連勝。一時の不調を完全に克服し、選手権制覇に向けた強いボタフォゴが戻ってきた。
   最下位に低迷するアメリカ・ミネイロを相手に、試合を圧倒することもなく、相手に多くのチャンスを作られたが、要所を締めて最少失点に抑えるのは今季のボタフォゴの戦い方。前節終了時点で勝点差9で追うRBブラガンチーノとの勝点差を暫定とはいえ12ポイントに広げた。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節ホームでのアトレチコ・パラナエンセ戦。前回の対戦ではアウェイで0-1の苦杯を舐めただけに、ホームでの一戦で雪辱を果たしたい。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 1-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=8x-Ym2VqEhU
(VAS) : 58' #10 ディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)[#21 プラシェデス(Praxedes, 2002)
(FOR) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権7勝6分13敗勝点27の17位。
   守備の要CBメデル(Medel, 1987)がW杯南米予選出場により前節に続き欠場が濃厚。その前節はサンパウロを相手に前半を守備的に入り、後半に攻撃に転じる試合内容。前半終了間際にPKを献上したものの全般に守備は機能、後半は相手ゴールに迫る機会も多く、FWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)のシュートがポストに嫌われるなど、不運な一面もあり0-0で試合を終えた。
   好調のフォルタレーザを相手に今節も同様の試合運びとなると思われるが、ホームでの試合だけに勝ち点を奪い降格圏から脱出したい。
   フォルタレーザは全国選手権12勝6分8敗勝点42の6位。
   前節アメリカ・ミネイロ戦は、守備的に来ると思われたアメリカ・ミネイロの立ち上がりからの積極的な攻撃に2失点を喫するものの、前半に1点を返すと後半にはハーフタイムでの修正と選手交代で逆転。最近の13試合を9勝3分1敗。コパ・スウアメリカーナ決勝進出も決め、チームに自信が溢れている。
   今節は、降格圏に低迷しているもののラモン・ディアス監督のもと決定力があり攻守にバランスがとれたチームに変貌したヴァスコ・ダ・ガマとの対戦。難敵を倒し10月28日コパ・スウアメリカーナ決勝戦をいい形で迎えたい。

得点シーン

(VAS)後半13分 :
相手陣右サイドをSBペドロ・エンヒキがドリブルで持ち上がりVOLプラシェデスにボールを預ける。さらに、MFディミトリ・パイェにボールが送られると、MFディミトリ・パイェは右手でディフェンダーを抑えながら左足のシュート。間合いを詰めるディフェンダーの外を通り内に巻き込むボールはゴール左隅に突き刺さる。(1-0)
   MFディミトリ・パイェは、ユーロ2016での7試合3得点2アシストなどフランス代表として38試合8得点を記録。2023年8月17日にヴァスコ・ダ・ガマに加入すると、9月3日のクラブデビュー以降7試合目の出場でクラブ初ゴールを記録。これはブラジル全国選手権でのフランス国籍選手による初ゴールでもあった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:11‐4(4-1) ⇒ 前後半:18-13(8-5)
パス成功率: 前半:85% 80% ⇒ 前後半:81% 84%

   ヴァスコ・ダ・ガマは、W杯南米予選出場のCBメデル(Medel, 1987)がベンチ外。右SBには比較的守備的なSBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)が入る。VOLパウリーニョ・パウラ(Paulinho Paula, 1997)が出場停止のため、プラシェデス(Praxedes, 2002)がセグンドボランチを務めると思われる。
   フォルタレーザは、最終ラインのCBベネヴェブット(Benevenuto, 1996)と左SBエスコバル(Escobar, 1997)が前節の先発メンバーからの変更点。序盤に2失点を喫したことによる修正か。好調な攻撃陣に変更はない。

   ホームのヴァスコ・ダ・ガマがボールを支配。前後左右にピッチを広く使ったテンポのいいボール回しでフォルタレーザの守備陣を翻弄、守備から攻撃への移行も速く、鋭いカウンターからもフォルタレーザゴールに迫る。
   この状況で前半の主役はフォルタレーザGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)。前半11分、カウンターから左サイドのクロスにワンタッチで合わせたヴァスコFWベヘッチ(Vegetti. 1988)のシュートを片手で弾き出す。前半26分には、VOLプラシェデスのペナルティエリア内左からの強烈なシュートを両手でストップ。前半32分にもヴァスコが右サイドから左へボールを展開し、最後はVOLプラシェデスが強烈なシュートに持ち込むもCKに逃れる。
   なかなか相手ゴールに迫れないフォルタレーザだったが、前半38分、右サイドからのクロスがニアサイドに合わず流れたところにFWマチューカ(Machuca, 2000)が表れGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)と一対一。しかし、SBパウロ・エンヒキがスライディングのシュートブロック。続く前半40分には、センターサークル内から左奥へのフィード、そしてゴールライン手前から中央へのクロスでFWルセロ(Lucero, 1991)が頭に合わせるがシュートはGKレオ・ジャルジンの正面を突く。
   前半45分にはヴァスコFWベヘッチのヘディングシュート、前半45+1分にはフォルタレーザFWマチューカがゴールエリア手前から強烈なシュートを放つが、いずれも枠を捉えない。
   ボールが良く動き、多くのシュートが放たれ白熱した展開が続いた前半は、両チームGKの活躍もあり、ゴールが生まれることがなく終える。
   後半開始時にヴァスコはMFマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)に代えケガ明けのFWホッシ(Rossi, 1993)を投入。この交代でMFディミトリ・パイェがFWベヘッチとの距離感良く自由に動くようになる。すると後半13分にMFパイェのゴールでヴァスコが先制。
   その直後には、フォルタレーザがペナルティエリア手前左から右奥、そして中央へとボールを展開、最後はゴール前に駆け上がったMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)が強烈なヘディングシュート。しかし、ヴァスコGKレオ・ジャルジンがこの至近距離のシュートをストップ。続くCKからのSBチンガ(Tinga, 1993)のヘディングシュートもGKレオ・ジャルジンは両手のパンチングで跳ね返す。
   フォルタレーザの猛攻はまだまだ続く。後半24分、右サイドからのMFカレビ(Calebe, 2000)のFKは誰にも合わずゴールへと抜けてくるが、ワンバウンドの難しいボールをGKレオ・ジャルジンが横に跳びつきCKへ逃れる。
   後半35分に、フォルタレーザはケガ明けのFWマリーニョ(Marinho, 1990)を投入。後半43分、そのFWマリーニョがFWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)とのパス交換を経てペナルティエリア手前から強烈なシュート。しかし、またもやGKレオ・ジャルジンが両手で弾き出す。
   後半45分にヴァスコ・ダ・ガマは左サイドからのカウンター、後半45+4分にフォルタレーザがFWマリーニョのゴールライン際からのクロスにSBチンガが頭を合わせるが、いずれもゴール枠を捉えない。後半45+6分にヴァスコ・ダ・ガマが再び左サイドからのカウンターでFWホッシがシュートに持ち込むがGKジョアン・ヒカルドがシュートストップ。
   白熱した展開が続いた試合は、1-0でヴァスコ・ダ・ガマの勝利。ヴァスコが貴重な勝ち点3を勝ち取った。

   ヴァスコ・ダ・ガマは前節と一変。立ち上がりから積極的な姿勢を見せ、ボールも試合も支配。積極的な選手交代で先制点を奪うと、その後はフォルタレーザの攻撃の圧力に押し込まれる時間帯が続くもGKレオ・ジャルジンを中心に粘り強く守ると、得点には結びつかなかったものの鋭いカウンターも発動し、最後まで戦う姿勢を見せ好調フォルタレーザを勝ち点3を獲得。
   この結果、3試合ぶりの勝ち星で勝ち点を30に伸ばし、同勝点ながら降格圏を脱する16位に再浮上。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのフラメンゴ戦。マラカナンスタジアムでのクラシコは今節に劣らない白熱した試合が展開されるだろう。

   フォルタレーザは、前節でリベルタドーレス出場圏に浮上したものの、一時足踏み。ヴァスコ・ダ・ガマの速く大きく展開する攻撃に組織的な守備が翻弄されるものの、GKジョアン・ヒカルドが最後の砦として立ちはだかり、失点後は攻撃陣が奮闘し何度も相手ゴールに迫ったもののヴァスコGKレオ・ジャルジンの牙城を崩すことができず、7試合ぶりの黒星を喫した。
   しかし、FWマリーニョがケガから復帰し少ない時間で複数のチャンスを創出、前半の劣勢を修正した後はカウンターをケアしながら相手ゴールに迫る試合を展開、結果は伴わなかったものの悲観するような内容の敗戦ではない。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節アウェイでのバイーア戦。固い守備から鋭いカウンターで勢いに乗るバイーアだが、カウンターを封じ鉄壁を崩して、再びリベルタドーレス出場圏に浮上したい。

ゴイアス(GOI) 2-0 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6Ui7Dynw2iA
(GOI) : 10' #66 ウーゴ(Hugo, 1997)[#60 ギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)]
(GOI) : 45+5' #40 モレリ(Morelli, 1997)[]
(SAO) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ゴイアスは全国選手権6勝9分11敗勝点27の18位。
   前節は主力3選手が累積警告で出場停止。その影響もあり、バイーアのカウンターの餌食となり両チーム計10得点の乱打戦に4-6の敗戦。今節は主力3選手の復帰が見込まれるものの、U-23代表としてパンアメリカン競技大会に出場するためCBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)を欠く。
   前節は乱打戦となったものの、それ以前は7試合連続で1失点以下に抑えていた。今節は守備的にいくのか、攻撃的なスタイルを継続するのか、スターティングイレブンの発表が待たれる。
   サンパウロは全国選手権9勝8分9敗勝点35の10位。
   コパ・ド・ブラジル優勝後のチームは、それまで控えに回っていた選手が出場機会を獲得、連係に欠く場面も見れらるものの、失点後も慌てることなく落ち着いて試合を運び、選手一人一人にコパ優勝の自信とポジション獲得に向けたモチベーションが随所にみられる好循環。W杯南米予選への招集やケガのため、今節も先発の半数が控え選手となる見込みだが、相手の戦術に左右されないサッカーで勝ち点を積み上げたい。
   なお、FWカレリ(Calleri, 1993)はケガの治療のため手術を受け、復帰は来季となる模様。

得点シーン

(GOI)前半10分 :
MFギリェルミ・マルケスが蹴るCK。ファーサイドのペナルティエリア入口へ大きく蹴られたボールに、フリーの状態でSBウーゴが右足を振り抜くボレーシュート。ボールは逆サイドのサイドネット上部に突き刺さるゴラッソ。
   SBウーゴは、ゴイアス加入三年目。これまではレギュラーの座を掴むことができなかったが、8月2日のコパ・スウアメリカーナでスタメンに抜擢されると、以降は守備面での貢献が評価され念願のレギュラーの座を獲得。このゴールが今季初得点、目の覚めるゴラッソで飾った。
(GOI)前半45+5分 :
相手陣に張った所でVOLモレリがボール奪取。そのままドリブルで駆け上がり、ゴールエリア手前から右足のシュート。グラウンダーのシュートが逆サイドのサイドネットを揺らす。
   VOLモレリは、パラナ州選手権でのマリンガでの活躍が評価され全国選手権開幕前に買取オプション付きの期限付き移籍でゴイアスに加入。得点力のあるボランチは、加入後間もなくポジションに定着。豊富な運動量で中盤のスペースを消す働きで特に守備面でチームに貢献。今節のゴールはボール奪取からドリブル、シュートとモレリの特長を凝縮したようなプレーで奪った。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:31% 69% ⇒ 前後半:30% 70%
シュート(枠内): 前半:3‐3(2-1) ⇒ 前後半:7-8(3-3)
パス成功率: 前半:70% 92% ⇒ 前後半:66% 91%

   ゴイアスは、CBルーカス・アウテルに代わりCBシジマール(Sidimar, 1992)がスタメンに入る。前節試合中のケガで退場したFW(Anderson Oliveira, 1998)はベンチ外、MFパラシオス(Palacios, 1999)が入り、システムは4-3-3から4-4-2に変更。
   サンパウロは、FWカレリに代わりFWルシアーノ(Luciano, 1993)が入った以外はベストメンバー。FWルシアーノ(Luciano, 1993)は前年チーム内得点ランク2位の実力者、プレースタイルは異なるがFWカレリ不在も不安はない。

   ゴイアスは、ボールをサンパウロに持たせ、鋭いカウンターや相手陣でのセットプレーからゴールを狙う戦術。前半はハーフラインの手前にブロックを形成し、相手陣で無理にボールを追わず、最終ラインは比較的高い位置を保ち、中盤のスペースを消して自陣に入るボールの周囲を囲い込む。
   前半10分にMFギリェルミ・マルケスのCKからSBウーゴのゴラッソで先制。その後も守備的スタイルや守備方法は変更せず、サンパウロの反撃を封じる。
   前半終了間際には、VOLモレリが一瞬の隙を突き相手陣に入りボールを奪取。そのままドリブルで持ち上がりシュートで完結し2点のリードで前半を折り返す。
   後半はより守備的となり、4-5-1、5-4-1の布陣で全体的に引いた形となる。モレリ、ウィリアン・オリヴェイラ(
Willian Oliveira, 1993)の両ボランチやFW陣がスペースを消し、サンパウロのボール保持者の自由を奪う素早い寄せを繰り返す。最終ラインはこぼれてくるボールをしっかりと回収、抜け出してくる選手にも厳しいチェックで仕事をさせない。
   一方でカウンターから後半6分にはFWジョアン・マギノ(João Magno, 1997)がGKの頭上を越すシュートはゴールライン上のクリア、後半41分には左CKからVOLイゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)のヘディングシュートはディフェンダーを掠めクロスバーを叩くなど、惜しい場面も作り出す。
   ゴイアスのハードワークは最後まで続き、試合終盤はゴイアスがボールを確保するとスタジアムが一体となる声援でチームをサポート。ボールを支配されながらも試合をコントロールしたゴイアスがホームで2-0の勝利を収めた。
   8月13日第19節アメリカ・ミネイロ戦以来、8試合ぶり、2か月ぶりの勝利で、勝ち点は30。暫定ながら12位から18位までが勝ち点30~32に凝縮する残留争いの中、順位は18位のままだが今後に向けチームに自信をもたらす貴重な勝ち点3を獲得した。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節アウェイでのクイアバ戦が控える。

   サンパウロは、ゼロトップの布陣で前線にターゲットがなく、守備ライン裏からゴールライン際に抜け出す動きもなく、ゴイアスのコンパクトな守備隊形の前に苦しい展開。数少ない決定機は、前半39分、左サイドライン際をSBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)が抜け出し、ペナルティエリア入口へマイナスのクロス、FWルシアーノがフリーの態勢でシュートを放つがボールは大きくゴール枠を越える。
   後半に入り、選手交代を通じてゴールライン際に選手やボールを送る場面が出始める。そのまま劣勢を巻き返すかと思われたが、ゴイアスのボールの出どころへの素早い寄せの前に、次第にゴールライン際への動き出しもなくなっていく。
   攻め手に欠いたまま時間は経過。試合終了間際にFWデイヴィジ(David, 1995)がGKタデウ(Tadeu,1992)の好守に阻まれるシュートを放ったものの、それ以外に大きなチャンスを作り出すことができず試合はタイムアップ。
   ボール保持率は70%に達するものの、シュート数はほぼ互角。攻め手に欠いたサンパウロは、いいところなく0-2の敗戦を喫した。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節ホームにグレミオを迎える。

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