【ブラジル全国選手権2023】第27節(2/2)

投稿者: | 2023年10月16日

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全国選手権第27節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第27節(1/2)
・2023/10/18 グレミオ(GRE) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/10/18 コリチバ(CFC) x クイアバ(CUI)
・2023/10/18 アメリカ・ミネイロ(AME) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/10/18 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/10/18 ゴイアス(GOI) x サンパウロ(SAO)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/18 バイーア(BAH) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/10/19 パウメイラス(PAL) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/10/19 クルゼイロ(CRU) x フラメンゴ(FLA)
・2023/10/19 サントス(SAN) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/10/19 フルミネンセ(FLU) x コリンチャンス(COR)

全国選手権第27節 試合概要

バイーア(BAH) 1-0 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ePG7Xot-2bo
(BAH) : 44' #10 ビエウ(Biel, 2001)[#5 ヘゼンジ(Rezende, 1995)]
(INT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   バイーアは全国選手権7勝7分12敗勝点28の16位。
   前節は堅固な守備からのカウンターがさく裂。FWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が今季全国選手権初のハットトリックを記録。ケガのため一か月半ぶりの出場となったMFカウリー(Cauly, 1995)がいきなり存在感を発揮した。
   前節の勝利で降格圏を脱出したものの、残留争いは依然熾烈な状況。ホームゲームで勝ち点3を勝ち取りたい。
   インテルナシオナウは全国選手権8勝8分10敗勝点32の12位。
   リベルタドーレスに重点を置いていたため全国選手権は苦戦。しかし、リベルタドーレスに敗退し、全国選手権に重点が変わった前節はクラシコ「グレナウ」に3-2の勝利。今節は、エクアドル代表FWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)とチリ代表MFアランギス(Aránguiz, 1989)がW杯南米予選に招集のため欠場が濃厚。しかし、控え陣にも実力者は多く不安は少ない。

得点シーン

(BAH)前半44分 :
自陣からVOLヘゼンジの縦パスをFWビエウは前を向くとゴールに向かいドリブル、ペナルティエリア手前から右足を振り抜くと当たりの悪いは転がったコースが良くゴール左に吸い込まれる。
   FWビエウは、フルミネンセ下部組織出身。2022年は期限付き移籍先のグレミオでチームの1部昇格に大きく貢献。フルミネンセ育成時代からマンチェスターシティ/ENGがモニタリングしていたこともあり、2022年末にバイーアが180万USドル相当額で獲得。2023年はシーズン開始時から主力として活躍するも5月31日のコパ・ド・ブラジルでケガを負い3か月戦列を離脱する。8月27日の全国選手権第21節ボタフォゴ戦で復帰すると、6試合を途中交代出場から2得点。今節はケガ明け初の先発の期待に応え2試合連続となるゴールを記録。今季は通算37試合11得点6アシスト。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:46% 54%
シュート(枠内): 前半:5‐5(1-0) ⇒ 前後半:13-13(4-1)
パス成功率: 前半:83% 84% ⇒ 前後半:82% 84%

   バイーアは、CBカヌー(Kanu, 1997)が出場停止明け、戦術的理由でFWビエウ(Biel, 2001)がスタメンに名を連ねる。
   インテルナシオナウは、前節勝利を収めたクラシコ「グレナウ」から、W杯南米予選に出場または招集を受けた4選手と累積警告で左SBヘネー(Renê, 1992)の5選手が変更。交代でスタメンに並ぶ選手はいずれも実力者で大きな戦力ダウンは感じられない。

   前半のバイーアは、ボールを持つもののインテルの高い位置でのプレスに苦しむが、前半15分過ぎにはプレスも弱まり、FWビエウのスピードを頼みに大きく蹴りだすことで陣地を獲得。前半24分にはFWビエウが獲得したペナルティエリア手間のFKをMFカウリー(Cauly, 1995)が直接狙うが僅かにゴール枠を越える。
   その後はインテルにボールを支配されるが、前半44分、FWビエウのゴールで先制する。
   後半に入るが、極端に引いて守ることはなく追加点を奪いに行くと、後半2分、VOLタシアーノ(Thaciano, 1995)がゴールネットを揺らすが、一連のプレーでオフサイドがありゴールは認められない。後半12分にはFWビエウのクロスにMFカウリーがタイミングよく現れ足を合わすがインテルGKケイレル(Keiller, 1996)の攻守に追加点を奪えない。さらに後半18分には自陣からのカウンターに右サイドをFWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が抜け出し、逆サイドを駆け上がるFWビエウにクロスボールを送るが、GKケイレルにシュートコースを消されたFWビエウのシュートは枠を捉えない。後半22分にはカウンターでFWビエウからFWエヴェラウドにボールが渡るが再びにGKケイレルに阻まれる。
   後半30分を過ぎ、インテルの攻撃の圧力に押し込まれ、効果的なカウンターを仕掛けることができなくなるが、後半38分にインテルから退場者が出て数的優位に立つ。インテルの攻撃の勢いは弱まることはないが、カウンターのチャンスも現れる。カウンターを決め切ることは出来なかったが時間を消化。選手交代でも時間を消費すると、守備陣も最後まで踏ん張り1-0で勝利を収めた。
   この勝利で、前節に続き2連勝、勝ち点を31に伸ばし14位に浮上した。
   次戦は10月21日に全国選手権第28節ホームにフォルタレーザを迎える。

   インテルナシオナウは、高い位置でのプレスが効果を発揮。前半16分に相手右サイドペナルティエリアの前後でワンタッチのパスをテンポよく繋ぎ最後はFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)がシュート。しかし、ボールはゴール枠を越える。
   前半26分には相手陣でボールを奪うと、MFマウリシオ(Maurício, 2001)が思い切りよくミドルシュート。前半32分にはペナルティエリアの手前でFKを獲得。MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)が直接狙うが壁に当たりゴール枠を越える。
   試合を優位に進めるものもゴールを奪えずにいると、前半44分にバイーアの自陣からの縦に速い攻撃に寄せが甘くなりゴールを許す。
   後半はバイーアのカウンターのリスクを犯しながらも同点ゴールを奪いに行く。後半11分、敵陣浅い位置からのFKにCBメルカド(Mercado, 1987)が頭を合わせるが、ボールはゴールポストに跳ね返される。
   一方で後半13分、22分と相次いでバイーアのカウンターから一対一の場面を迎えるがGKケイレルが好セーブで追加点を許さない。
   後半24分、MFマウリシオがゴールポストを掠める惜しいミドルシュート。後半34分にはカウンターで左サイドからのライナー性のクロスを受けたMFマウリシオが強烈なシュートを放つがゴール左に外れる。
   後半38分の退場者が出た後も攻撃の圧力をかけ続けるが、カウンターのリスクも高まり、時間を上手く消化される。
   試合はそのままタイムアップ、0-1の敗戦を喫した。
   順位は12位を維持したものの、この敗戦で降格圏までの勝点差が2ポイントに迫ることに。次節は各国の代表に招集された4選手が戻ってくるとは言うものの、波に乗り切れない試合が続いており安泰としてはいられない状況に陥りつつある。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節ホームでのサントス戦。サントスは17位で降格圏にいるもののインテルナシオナウとの勝点差は僅かに2ポイント。ベストメンバーで臨み勝ち点3を勝ち取りたい。

パウメイラス(PAL) 0-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=UT5hLz8ANoY
(CAM) : 2' #7 フッキ(Hulk, 1986)[#10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)]
(CAM) : 76' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#26 サラーヴィア(Saravia, 1993)]
(PAL) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   パウメイラスは全国選手権12勝8分6敗勝点44の4位。
   前節はサントスとのクラシコで逆転負け。全国選手権3連敗となった。しかし、以前より若手選手を比較的積極的に起用してきたが、リベルタドーレスの敗退を受けさらにその傾向は大きくなり、前節はFWエンドリッキ(Endrick, 2006)とFWケヴィン(Kevin, 2003)をスタメンに抜擢。この2人はその期待に応え、惜しいシュートや多くのチャンスを作り出した。そして交代選手も若手選手。
   結果を残すにはしばらく時間はかかるだろうが、必ず近い将来にその果実は実るはず。サポーターにとっては、目先の試合が重要だろうが、将来のためにも今は生みの苦しみと思って忍耐強くチームをサポートしてもらいたい。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権11勝7分8敗勝点40の9位。
   前節は最下位に低迷するコリチバの守備網をなかなか崩すことができず、後半に先制したものの逆転負け、6試合ぶりの黒星を喫した。2失点はいずれも相手のゴラッソとは言え、同じサイドから奪われており、ボランチ、前線の選手を含め、守備システムやマークを再確認したい。
   今節は、W杯南米予選への招集選手や出場停止選手はおらず、ベストに近いメンバーで試合に臨むことができる。9位とは言え来季リベルタドーレス出場枠までの勝点差は3ポイント。現在4位のパウメイラスから勝ち点3を奪いリベルタドーレス出場権を確保したい。

得点シーン

(CAM)前半2分 :
ペナルティエリア手前右からFWパウリーニョからボールを受けたFWフッキが小細工なしに左足を振り抜く。グラウンダーのシュートはゴールニアサイドに突き刺さる。(0-1)
   FWフッキは、前々節で7試合ぶりのゴールを決めると、このゴールが3試合連続のゴール。その7試合の間も4アシストを記録しており、37歳となった今のその存在感は衰えていない。
(CAM)後半31分 :
自陣ペナルティエリア手前で相手の縦パスをSBサラーヴィアがカット、そのまま中央を相手陣に侵入するFWパウリーニョへスルーパス。FWパウリーニョはドリブルでGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)と一対一に。GKウェヴェルトンの位置を冷静に確認しペナルティエリア手前からシュートを放ち無人のゴールを揺らす。(0-2)
   FWパウリーニョは、最近の出場9試合で7得点1アシストと波に乗る。
   SBサラーヴィアは、コパ・アメリカ2019での2試合などアルゼンチン代表として9試合に出場。2023年2月にアトレチコ・ミネイロに加入。マリアーノ(Mariano, 1986)と右SBのポジションを競い合い今季は31試合に出場。SBマリアーノの出場停止を受け、8試合ぶりの先発起用でアシストを記録した。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:50% 50% ⇒ 前後半:54% %
シュート(枠内): 前半:3‐8(1-2) ⇒ 前後半:11-12(4-3)
パス成功率: 前半:79% 83% ⇒ 前後半:81% 78%

   パウメイラスは前節に続きFWエンドリッキ(Endrick, 2006)とFWケヴィン(Kevin, 2003)がFWホニ(Rony, 1995)とともにスリートップを構成。W杯南米予選に出場したパラグアイ代表CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)、ウルグアイ代表SBピケレス(Piquerez, 1998)がスタメンに名を連ねる。
   アトレチコ・ミネイロは、戦術的な理由でFWパボン(Pavón, 1996)がベンチスタート。MFサラーチョ(Zaracho, 1998)とMFイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)が中盤に入り4-2-2-2の布陣で試合に臨むと思われる。

   ホームのアトレチコ・ミネイロが前半2分にFWフッキの強烈なシュートで先制。その後もなおも攻め続け、前半14分にはFWフッキがFKを直接狙うもGKウェヴェルトンが堅実にボールを弾きだし、前半16分には浅い位置からのFKをゴール右に上げると混戦の中からGKの背後でディフェンダーがクリア、そのボールを拾ったVOLアラン・フランコ(Alan Franco, 1998)のミドルシュートはクロスバーを直撃する。
   前半20分を過ぎるころにパウメイラスも反撃を開始。前半24分にSBピケレス、前半27分にMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)がミドルシュートを放つがボールは枠を僅かに捉えない。
   アトレチコ・ミネイロも前半アディショナルタイムにSBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)が自陣でのボール奪取から左サイドをドリブルで持ち上がり中央へクロス、VOLオターヴィオ(Otávio, 1994)が足を合わせるがボールは枠を越える。
   後半はアトレチコ・ミネイロが高い位置でのプレスを控え、自陣で守備ブロックを形成。パウメイラスがボールを支配する。後半7分、右サイドライン際からのクロスにFWエンドリッキが頭を合わせるが勢いがなくGKがキャッチ。後半16分にはMFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)がゴール隅を狙ったミドルシュートを放つが僅かにゴール枠を捉えない。その後も右サイドを中心としたサイド攻撃やセットプレーからゴールを狙うがアトレチコ・ミネイロの堅固な守備を崩すことができない。
   後半30分、アトレチコ・ミネイロは自陣でSBサラーヴィアがパスカットから素早く前方にボールを送りFWパウリーニョのゴールで貴重な追加点。
   試合終了間際の後半45+6分に、パウメイラスは右サイドからのクロスをファーサイドで折り返し、FWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)が押し込もうとするが、GKエヴェルソン(Éverson, 1990)が果敢に間合いを詰めシュートを阻止。
   試合はホームのアトレチコ・ミネイロが2-0の勝利。理想的な展開で試合を終えた。

   アトレチコ・ミネイロが試合開始後の先制、後半半ばでの追加点。前半の先制後も多くのチャンスを作り出し、後半は固い守備からのカウンターを仕留め、最後までパウメイラスにゴールを許さない理想的な展開で勝利をものにした。
   フェリピ・ルイス・スコラーリ監督就任後は、かなりの期間カウンターを決め切ることができなかったが、最近の試合ではリードした状況で固い守備からカウンターで追加点を奪う試合展開も見られるようになり、チーム成績は安定している
   この勝利で順位は7位に浮上。現状の勢いを保ちリベルタドーレス出場圏6位以内への浮上を目指す。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節ホームでクルゼイロとのクラシコ。新本拠地MRVスタジアムでの初クラシコを勝利で飾りたい。

   パウメイラスは、若手を積極起用するがゴールは遠い。後半には右サイドライン際からのSBマイキ(Mayke, 1992)が、今年前半戦でのチームの得点パターンを再現する良質なクロスをゴール前に上げ続けるが、中に飛び込むタイミングが少しずつ合わずゴールが奪えない。
   FWドゥドゥ(Dudu, 1992)の戦列離脱で機に、起用する選手が固定化しつつあったツケが顕在化しているように感じられる。
   これで全国選手権は4連敗、順位は5位に転落。チーム状況は厳しい状況にあるものの、国内一の下部組織は次々と次世代のレギュラーを育てている。経験に勝る成長の薬はないだけに、現状の厳しい状況を将来の投資として乗り越えてもらいたい。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのコリチバ戦が予定されている。

クルゼイロ(CRU) 0-2 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=1UnxgatcDqQ
(FLA) : 39' #6 アイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)[]
(FLA) : 44' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[PK]
(CRU) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クルゼイロは全国選手権7勝10分9敗勝点31の13位。
   監督交代後の4試合に1勝2分1敗の成績。初戦こそ3-0の快勝を収めたものの、以後の3戦の総得点は1と勢いに乗り切れずにいる。前節は守備的に入った前半に試合を優位に進め、攻撃に舵を切った後半に攻守のバランスが崩れ劣勢となる微妙な試合展開。前後半でシステム変更しており、今節はその試合の入り方に興味が持たれる。
   フラメンゴは全国選手権12勝8分6敗勝点44の5位。
   前ブラジル代表監督チチ(Tite)氏の初采配試合。昨年のフラメンゴの戦い方や、代表でのチチ監督のシステムを考えると、相性のいい組合せと思われる。
   フラメンゴの当面の目標はリベルタドーレス出場権の確保。そして、タレント豊富な若手選手の育成と、厚い選手層の中で出場機会に恵まれていなかった選手のモチベーション維持。チチ監督はコリンチャンス時代には若手育成で定評があり、モチベーターの一面もあるだけに、現在のフラメンゴにとって最適任者と思われる。
   チチ監督の新しい船出を勝利で祝いたい。

得点シーン

(FLA)前半39分 :
CBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)から対角線にFWブルーノ・エンヒキへロングフィード。FWブルーノ・エンヒキがワンタッチでSBアイルトン・ルーカスへボールを戻すと、SBアイルトン・ルーカスからFWエヴェルトン・ヒベイロを経て、ボールはサイドライン際のFWブルーノ・エンヒキの元へ。FWブルーノ・エンヒキのクロスをディフェンダーがカットするが、ペナルティエリアに侵入していたSBアイルトン・ルーカスがボールを拾い、ディフェンダーをかわしシュート。フラメンゴが先制。(0-1)
   SBアイルトン・ルーカスは、攻撃的センスが認められ2023年6月に代表招集、6月17日ギニア戦でスタメン出場の代表デビュー。しかし、クラブでは攻撃を自重する戦術に自身の特長を生かせない試合が続いていた。監督交代を経て再び攻撃センスを発揮、6月5日全国選手権第9節ヴァスコ・ダ・ガマ戦以来のゴールを記録した。
(FLA)前半44分 :
右サイドライン際の一列内のスペースをSBウェズレイ(Wesley, 2003)がMFジェルソンにボールを預けゴールライン際まで上がる。戻りのボールを受ける際に足を掛けられフラメンゴがPKを獲得。このPKをFWペドロが左隅に決める。(0-2)
   SBウェズレイは、前任ホルヘ・サンパオリ監督のもとで右SBのレギュラーの座を獲得。全国選手権に限れば、チーム最多の26試合に出場、出場時間も僅か4分差の2位、デュエル勝利数はチーム1位を記録している。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:39% 61% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:0‐4(0-2) ⇒ 前後半:10-8(4-2)
パス成功率: 前半:77% 87% ⇒ 前後半:80% 85%

   クルゼイロは、MFマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)が加入後2度目の先発起用。VOLイアン・ルーカス(Ian Luccas, 2003)、VOLルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)、VOLマテウス・ジュッサ(Matheus Jussa, 1996)のスリーボランチ。左SBを本職とするカイキ(Kaiki, 2003)がFWとして先発登録されており、試合での布陣が気になるところ。
   フラメンゴは、出場停止のCBレオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)に代わりCBダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)が最終ラインに入る。登録上はエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro)はFWだが、二列目で自由に動き、FWペドロ(Pedro, 1997)、とFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)がツートップを構成するものと思われる。

   前半45分は、序盤と終盤が異なる展開に。前半を通じてフラメンゴがボールを支配するものの、序盤に決定的なチャンスを迎えたのはクルゼイロ。前半17分、左サイドライン際をクルゼイロ左SBマルロン(Marlon, 1997)がスピード豊かなドリブルで駆け上がり、ゴール前にクロスボールを送ると、VOLイアン・ルーカスがドンピシャのタイミングでヘディングシュート。しかし、フラメンゴGKロッシ(Rossi, 1995)がビッグセーブでゴールを守る。
   前半25分を過ぎるとフラメンゴが左SBアイルトン・ルーカスの積極的な攻撃参加でクルゼイロゴールに迫り始める。すると、前半39分にSBアイルトン・ルーカスのゴールでフラメンゴが先制。さらに2分後に今度は右SBのウェズレイがゴールライン際まで上がりPKを獲得。これをFWペドロが決め前半を2-0のスコアでフラメンゴがリードして終える。
   後半は2点を追うクルゼイロがボールを持ちゴールを奪いに行くが、フラメンゴはしっかりと守備ブロックと中盤の速い寄せでクルゼイロに得点機を許さない。後半30分にクルゼイロMFニカォン(Nikão, 1992)が強烈なシュートを見舞うがGKロッシが安定したシュートストップ。クルゼイロの大きなチャンスはこの場面のみ。
   後半はフラメンゴが試合をコントロールし、2-0のまま試合は終了。アウェイでフラメンゴがチチ監督の初陣を勝利で飾った。

   クルゼイロは、新しい試みを企てるもあまり効果を見せることはなかった。
   MFマテウス・ペレイラはボールロストや判断ミスが多く、守備面のマークの甘さからフラメンゴSBアイルトン・ルーカスを自由にし、それが先制点に結びつく。左サイドでSBマルロンとSBカイキが縦に並び相手右サイドの攻撃に対応したものの、2点のリードを許した後半開始時にSBカイキはお役御免。SBカイキは攻撃面に特長のある選手だけにもう少し見たかった。
   これでクルゼイロは4試合未勝利、2試合連続無得点。降格圏まで勝点差1の15位まで状況は悪化した。しかし、チーム状況が厳しい中でも2003年生まれのSBカイキの先発抜擢や、2005年生まれのFWフェルナンド(Fernando, 2005)のプロデビューなど、将来にも目を向けた采配には好感が持てる。トレーニングを通じ連係を高め、膠着したチーム状況を打開し、残留争いに勝ち残ってもらいたい。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのクラシコ、アトレチコ・ミネイロ戦が予定されている。

   フラメンゴは、チチ監督の初采配試合。ボールを支配する時間は長く、両サイドを広く使った展開。今季はこれまで戦術的な理由で自重を余儀なくされていた左SBアイルトン・ルーカスが攻撃面で躍動。バランスを取りながら右SBウェズレイも攻撃に参加し、両サイドバックがそれぞれゴールに関与した。
   ボランチの二人も交互に攻撃参加。二列目のMF二人も前線やサイドバックを上手く使い、ポジションチェンジを交えながらもバランスを取り攻撃を作り出した。
   連係が噛み合わない面も見られたが、バランスを重視したスタイルで2-0の快勝。シーズン終盤、来季に向け、希望が持てる内容で試合を終えた。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節ホームにヴァスコ・ダ・ガマを迎えるクラシコ。

サントス(SAN) 1-3 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=GH81W9pMQDw
(RBB) : 9' #19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)[]
(RBB) : 29' #19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)[PK]
(RBB) : 47' #7 エリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)[#11 エリーニョ(Helinho, 2000)]
(SAN) : 86' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権8勝6分12敗勝点30の15位。
   マルセロ・フェルナンデス(Marcelo Fernandes)監督代行が指揮を執り、負けなしの3連勝。残留争いのライバル、バイーア、ヴァスコ・ダ・ガマを叩くと前節では上位を争うパウメイラスに逆転勝ちを収めチーム状況は一気に上向いている。
   しかし、この3試合で無双の働きをしたVOLトマス・リンコン(Tomás Rincón, 1988)とFWソテウド(Soteldo, 1997)がベネズエラ代表としてW杯南米予選出場のため、今節での試合出場が微妙な状況。3試合連続ゴール中で好調のFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)へどのようにボールを送るかがカギとなりそうだ。
   RBブラガンチーノは全国選手権12勝10分4敗勝点46の2位。
   前節はアトレチコ・パラナエンセに同点に追いつかれ引き分けに終えたものの全国選手権2位の座を維持。最近の6試合での総失点は僅かに2で攻守のバランスの取れた試合を継続している。
   今節は攻守に欠くべからず存在となりつつあるSBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)を出場停止で欠くが、実力者SBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)なども控えておりマイナス要素は少ない。また、サントスFWマルコス・レオナルドへのボールの出どころをしっかりと抑えピンチの芽を摘みつつ、いつもの攻撃なスタイルで試合を展開したい。

得点シーン

(RBB)前半9分 :
左サイドをゴールライン際まで上がりマイナスのクロス。これはディフェンダーにクリアされるが、クリアボールを拾ったSBアデルラン(Aderlan, 1990)がコースを狙ったミドルシュート。クロスバーを叩き真下に落ちたボールをFWエドゥアルド・サーシャが頭で押し込みRBブラガンチーノが先制。(0-1)
   SBアデルランは、2009年4月に当時全国選手権2部に所属したカンピネンセからパライバ州選手権で18歳のプロデビュー。2018年にアメリカ・ミネイロに加入し、27歳にして初めて全国選手権1部でプレー(31試合2アシスト)。2019年にレッドブルブラジルを経てブラガンチーノに加入すると、レギュラーとして全国選手権2部優勝に貢献。その後は、RBブラガンチーノのクラブの成長と共に歩みを進める。チームは若い選手が多い中、遅咲きのベテランは精神的な支柱としてもチームを引っ張っている。
(RBB)前半29分 :
自陣やや左の位置からCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)がペナルティエリア右入口へのロングフィード。FWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)は間合いを詰めるGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)の頭上を越すトラップを決めるが足を掛けられ転倒。RBブラガンチーノがPKを獲得。FWエドゥアルド・サーシャのPKはGKジョアン・パウロが手に当てるがボールの勢いがまさりゴール。(0-2)
   FWマテウス・ゴンサウヴェスは、フラメンゴ下部組織出身で将来を期待され2022年にデビューを果たし試合経験を積んでいくが、2023年はホルヘ・サンパオリ監督のもと出場機会を失い、2023年8月に年内限定でRBブラガンチーノへ期限付き移籍。このゴールに繋がるプレーで見せた抜け出しとトラップは素質の片鱗を見せていた。
   FWエドゥアルド・サーシャは、インテルナシオナウ下部組織出身で2010年9月の全国選手権で18歳のプロデビュー。期限付き移籍のゴイアスを含め、サントス、アトレチコ・ミネイロでの多くの監督のもとで主力選手として活躍。RBブラガンチーノには2023年全国選手権開幕前にアトレチコ・ミネイロから加入。8月の一か月間をケガにより戦列を離脱するが、今季はこれで30試合14得点5アシスト。戦術理解度が高く、どのようなサッカーにも対応するプレースタイルはRBブラガンチーノでもポジティブな影響を及ぼしている。
(RBB)後半2分 :
自陣からのカウンター。ボールを中央から右へ展開すると、FWエリーニョがゴールライン手前からペナルティエリア入口へマイナスのパス。これを受けたVOLエリキ・ハミーレスが右足を振り抜くとボールはゴールネットを揺らす。(0-3)
   後半開始時にピッチに立ったFWエリーニョとVOLエリキ・ハミーレスがアシストとゴールを記録。VOLエリキ・ハミーレスは中盤ながら3試合連続ゴール。FWエリーニョは出場機会6試合ぶりにスタメンを外れるも、切れのある動きでアシストを記録。
(SAN)後半41分 :
CBバッソ(Basso, 1997)の縦パスをMFソテウド(Soteldo, 1997)が受け前を向くとドリブルでペナルティエリアに侵入。そこから縦にスルーパスを送るとFWメンドーサ(Mendoza, 1992)が中央へ速いクロス。このボールがディフェンダーに当たりコースを変えゴールイン。サントスが1点を返す。(1-3)
   MFソテウドは2日前のW杯南米予選にベネズエラ代表として出場し1得点1アシストの活躍でチームの勝利に貢献。サントスでも前節の得点など最近の好調に貢献している。
   FWメンドーサは、ふくらはぎのケガで一か月の戦列離脱。復帰初戦の今節は後半開始時からの出場となったが、持ち前のスピードを生かし相手のオウンゴールを誘発。攻撃的なスタイルに舵を切ったサントスにとって頼りになる助っ人が復活。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:41% 59% ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:18‐12(4-6) ⇒ 前後半:27-14(7-7)
パス成功率: 前半:73% 87% ⇒ 前後半:78% 84%

   サントスは、VOLトマス・リンコンに代わりVOLドッジ(Dodi, 1996)。前節途中出場からアシストを記録したFWマキシ・シルベラ(Maxi Silvera, 1997)が先発に抜擢される。
   RBブラガンチーノはSBジュニーニョ・カピシャバの他にエクアドル代表としてW杯南米予選に招集を受けたCBレオ・レアルペ(Léo Realpe, 2001)など、4つのポジションで前節からスタメン変更。

   サントスは、やはりベネズエラ代表VOLトマス・リンコンの不在が大きく、中盤でRBブラガンチーノの攻撃を食い止めることができず1-3の敗戦に終えた。
   しかし、マルセロ・フェルナンデス監督代行が指揮を執る以前の、怯えた小動物のように自陣に閉じこもり、僅かなチャンスに賭けるような戦いぶりから脱却。試合開始30秒でゴールポストを直撃するシュート、その後も畳み掛けるようにシュートを浴びせ、立ち上がりは試合を支配。前半8分にRBブラガンチーノの初の大きくなチャンスを得点に結びつけられたものの、カウンターや人数をかけた攻撃で相手ゴールに迫る。
   PKや後半立ち上がりの速攻で試合を通じて3失点を喫したものの、43%のボール保持率ながら27本ものシュートを浴びせ、試合終了後には、これまでブーイングが常だったサポーターから労いの拍手で奮闘を称えられるなど、チームは戦う集団へと一変。連勝は3でストップしたものの、今後の展望は明るい。
   とはいえ、この敗戦で再び降格圏の17位に転落。試合内容は良くともこのままズルズルと連敗することは許されない。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのインテルナシオナウ戦。共に複数の全国、大陸、大陸間タイトルを保有する名門同士の対決。勝点差2で上位に位置するインテルナシオナウを引きずり落とし降格圏からの脱出を果たしたい。

   RBブラガンチーノは先発選手を4人変更したためか、前半立ち上がりに大きなピンチを迎える。しかし、それを凌ぎ切ると僅かなチャンスをものにし連続得点。後半開始時に投入した二選手が関与するゴールで追加点を奪い3-1の勝利を収めた。
   一定のリスクを背負ったポゼッションスタイルのサッカーを展開、多くの選手を起用するものの、試合を経るごとにチームは安定感を増しており、戦術のチーム全体への浸透が見て取れる。前節まで中央に位置取り攻撃の指揮を執っていた左SBジュニーニョ・カピシャバが出場停止になると、その役割を右SBアデルランが担うなど、多くの選手が複数の役割をこなす強みも生まれつつある。
   今節の結果、2引分けを挟み5連勝。首位ボタフォゴも勝ち点3を積み上げたため、勝点差を詰めることは出来なかったが、3位以下の混戦を尻目に2位の座をキープ。
  次戦は10月22日に全国選手権第28節ホームでのフルミネンセ戦。ポゼッションスタイル同士の一戦は、前回の対戦で1-2の敗戦を喫しているが、その後の上昇度の違いで雪辱を果たしたい。

フルミネンセ(FLU) 3-3 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=1YvjcvMCI3k
(COR) : 10' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#7 マイコン(Maycon, 1997)]
(FLU) : 22' #45 リマ(Lima, 1996)[#14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)]
(COR) : 29' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#7 マイコン(Maycon, 1997)]
(COR) : 32' #6 ファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)[PK]
(FLU) : 56' #45 リマ(Lima, 1996)[]
(FLU) : 84' #21 ジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)[#10 ガンソ(PH Ganso, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   フルミネンセは全国選手権12勝5分9敗勝点41の7位。
   前節はリベルタドーレスから中3日の試合だったとは言え、首位ボタフォゴを相手に0-2の完敗。フェルナンド・ジニース監督はW杯予選でVOLアンドレ(André, 2001)を温存したものの、代表を離脱したCBニノ(Nino, 1997)、前節負傷交代のCBマルロン・サントス(Marlon Santos)の両CBのケガの状況は不明で、もし今節を欠場することになると厳しい試合が待ち構えることになる。
   コリンチャンスは全国選手権7勝10分9敗勝点31の14位。
   マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督就任後2試合を終えたが、まったく目に見える成果のない試合が続いた。課題となっている攻撃面では形を作ることができず、戦術も守備的で監督交代のクラブの意図が見えてこなかった。
   国際Aマッチデーによる比較的まとまったトレーニング期間を経て、チームがどのような進化を遂げているのかが目に見えるような試合を期待したい。

得点シーン

(COR)前半10分 :
後方からのVOLマイコンのスルーパスに抜け出したFWユーリ・アウベルトがワンタッチでGKの意表を突くチップキック。FWユーリのアイディアとシュート技術が凝縮されたゴラッソ。(0-1)
   FWユーリ・アウベルトは、2022年7月にゼニト/RUSから期限付き移籍でコリンチャンスに加入。26試合11得点2アシストを記録。コリンチャンスは2023年に完全移籍で獲得。ユーリ自身も2023年3月25日モロッコ戦で代表デビューを果たす。しかし、守備的なチーム戦術に前線で孤立する場面が多く、また厳しいマークを受け、今季は54試合14得点6アシストとサポーターの期待を裏切る形となっている。今節の2ゴールを機に残り試合では多くのゴールを量産したい。
(FLU)前半22分 :
中盤でのパス交換からSBマルセロ(Marcelo, 1988)がペナルティエリア左へボールを送る。FWケーノ(Keno, 1989)のトラップが大きくなったところをFWヘルマン・カーノが拾おうとするが再びこぼれる。しかし、MFリマが左足で確保、すかさず右足を振り抜くとボールはゴール右隅に決まる。(1-1)
   MFリマは、グレミオ育成出身で2017年5月28日の全国選手権で20歳のプロデビュー。しかし、グレミオでは2018年に21試合に出場した以外は出場機会に恵まれず期限付き移籍を繰り返す。2020年、期限付き移籍先のセアラーで全国選手権31試合6得点3アシストなど45試合9得点6アシストを残し2021年に完全移籍。セアラーの降格もあり、2022年12月にフルミネンセに3年契約で加入。足元の細かい技術やポジショニングの妙があり、ボール奪取力にも優れたプレーで、これまで2023全国選手権はチーム最多出場、フィールドプレーヤーで最多出場時間を記録、デュエル勝利数もチーム2位の記録を残している。
(COR)前半29分 :
フルミネンセの右CK。ディフェンダーがクリアしたボールをSBマルセロが拾うが、VOLマイコンがプレスをかけSBマルセロがボールコントロールを誤る。VOLマイコンがそのボールを拾いドリブル。中央を上がるFWユーリ・アウベルトへボールを送るとFWユーリ・アウベルトはGKファビオ(Fábio, 1980)との一対一を制しゴール右隅の突き刺す。(1-2)
   VOLマイコンとFWユーリ・アウベルトのコンビによるこの2点目の得点。VOLマイコンはコリンチャンス下部組織出身で2016年2月の州選手権で18歳のプロデビュー。2017年にポジションに定着し58試合5得点4アシストを記録。翌2018年7月にシャクタルドネツク/UKRへ660万ユーロで移籍。2022年のウクライナ戦争を機に期限付き移籍でコリンチャンスに帰還。今季も期限付き移籍でプレーし、今節終了時点で49試合3得点4アシストを記録している。
(COR)前半32分 :
右SBファギネル(Fagner, 1989)の浅い位置からのペナルティエリア中央入口へ向けたクロスにMFフアン・オリヴェイラ(Ruan Oliveira, 2000)が反応するが、ゴールを受けたタイミングで倒される。主審はPKの判定。これを左SBファビオ・サントスがゴール右に確実に蹴り込む。(1-3)
   SBファギネルは、2018W杯での4試合などブラジル代表として10試合に出場。コリンチャンス育成出身で2006年11月1日全国選手権第32節にスタメンで17歳のプロデビューを果たすと、その年は最終節までの7試合(うち6試合先発)に出場。2007年にヴィトーリアへ期限付き移籍でプレーすると、PSV/HOLやウォルフスブルク/GER、ヴァスコ・ダ・ガマを経て、2014年にコリンチャンスに復帰。2023年までの10年間は毎年50試合前後の試合に出場、コリンチャンスの2度の全国選手権制覇に貢献している。
(FLU)後半11分 :
SBマルセルが蹴る左CK。ゴール前に上げられたボールはディフェンダーがクリア。ペナルティエリアの外でボールを拾ったMFリマが狙いすましたミドルシュート。ボールはゴール左上隅に突き刺さるゴラッソ。フルミネンセが反撃ののろしを上げる。(2-3)
(FLU)後半39分 :
自陣左サイドでのパス交換から相手陣中央へボールを送るとMFガンソが背中越しにワンタッチのスルーパス。守備ライン裏に抜け出したFWジョン・アリアスが左へ流れながら左足を振り抜く。ボールはファーサイドのサイドネットを揺らしフルミネンセが同点に追いつく。(3-3)
   FWジョン・アリアスは、コロンビア代表として2日前のW杯南米予選エクアドル戦にフル出場。後半開始時にピッチに立つと、いつもと同様に豊富な運動量とスピードをいかしたフリーランニング、細かいタッチとスピードを使い分けたドリブルでチームの反撃に勢いを加える活躍。8月19日第20節アメリカ・ミネイロ戦以来のゴールをマークした。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:69% 31%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:26-6(10-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:87% 77%

   フルミネンセは、代表でのトレーニング中のケガでCBニノ(Nino, 1997)が欠場。MFガンソ(PH Ganso, 1989)がトップ下に入り、FWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)とFWケーノ(Keno, 1989)がツートップを形成する。
   コリンチャンスは、出場停止のCBルーカス・ヴェリッシモ(Lucas Veríssimo, 1995)に代わりCBカエタノ(Caetano, 1999)、トレーニング中のケガでVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)が欠場し、VOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)がプリメイロボランチ、前線にはFWペドロ(Pedro, 2006)がFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)をツートップを形成する。

   フルミネンセは、試合の立ち上がりから主審の判定にチーム全体があからさまな不満の態度や不服を繰り返す。前半10分に失点を喫すると、MFリマのゴールで同点に追いついた直後の前半29分にミスを起点にカウンターから失点。さらには前半32分にはPKを献上。ミスからの失点による2点のビハインドや判定への不満でチームは冷静さを欠いていく。
   しかし、後半に入り、コリンチャンスが引いた守備を敷き相手陣でのボール回しが楽になると、ゴールライン際までボールを運んでのクロスやミドルシュートなど次々と相手ゴールに迫りシュートに持ち込む。後半11分にMFリマがこの試合の2点目をゴラッソで記録すると、その後も猛攻を続ける。コリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)の相次ぐ決死のセーブになかなか得点を奪うことができないものの、後半39分のMFガンソの芸術的なワンタッチのパスに反応したFWジョン・アリアがゴールを決め同点。
   その後も攻撃の手綱を緩めず逆転ゴールを目指すものの、後半45+6分のCKからのFWケーノのヘディングシュートがGKカシオのビッグセーブで阻まれ、試合は3-3の同点で終了。
   最近はボールを繋ぐこと、相手のプレスを掻い潜ることが目的かと思われるほど、ボールを保持することにこだわり。シュートで終えることが少ない試合が続いていたが、この試合では26本ものシュートを記録。主審の判定への不満がシュートに込められた一面もあるような気もするが、一皮むけた印象を受けた。
   今節はコリンチャンスが極端に引いたことも要因の一つかもしれないが、次節以降もゴールへの執着心が見られるようだと、11月4日のリベルタドーレス決勝戦に向け明るい材料になると思われる。
   後半は圧倒的な試合運びをしたものの、結果は引き分けで勝ち点を1つ積み上げたのみ。順位は2つ9位に転落。
   次戦は10月22日に全国選手権第28節アウェイでのRBブラガンチーノ戦。方法論は異なるものの、RBブラガンチーノもボール保持にこだわるチーム。フルミネンセを上回る2位と結果も残している相手にどのような試合を挑むか興味深い。

   コリンチャンスは、前半はボールを握られながらも要所を締め、カウンターからのFWユーリ・アウベルトのゴラッソで先制。一旦は同点に追いつかれるものの、相手のミスを誘発し、2点を追加して前半を終えた。
   しかし、後半は明らかにマノ・メネゼス監督の采配ミス。高い位置でのプレスを捨て自陣に籠る守備を選択。選手交代では比較的技巧派の選手を次々投入、極めつけは疲れの見えるFWユーリ・アウベルトに代えスピードよりも高さやボールキープ力を特長とするFWフェリピ・アウグスト(Felipe Augusto, 2004)を投入。
   最終ラインからはターゲットを狙ったクリアボールを蹴ることができず、中盤の選手はボールを収めるような機会もなく、前線のスピード頼みのロングキックで相手の攻撃陣を下げることもできず、45分間を自陣でのサッカーに終始する。
   GKカシオの奮闘や、全選手の守備の意識で逆転は免れたものの、前半の2点のリードを守り切れず3-3の引き分け。
   これでマノ・メネゼス監督就任後は1分2敗。守備の構築に定評のある監督だが、攻撃面は選手に任せる面もあり、事実この3試合は流れの中で崩して奪ったゴールはない。前任のルシェンブルゴ監督は就任当初は苦しみながらも若手や控え選手を積極的に起用し全体な底上げに成功、コパ・ド・ブラジルやコパ・スウアメリカーナの両大会は準決勝まで駒を進めただけに、直近の結果と目先の試合しか見ていないサポーターの不満を逸らす監督交代は拙速以外の何物でもない。
   次戦は10月22日全国選手権第28節ホームでのアメリカ・ミネイロ戦。最下位に低迷するアメリカ・ミネイロを相手に胸のすくような試合を期待したい。

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