【ブラジル全国選手権2023】第28節(1/2)

投稿者: | 2023年10月21日

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全国選手権第28節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/21 サンパウロ(SAO) x グレミオ(GRE)
・2023/10/21 バイーア(BAH) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/10/21 クイアバ(CUI) x ゴイアス(GOI)
・2023/10/21 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/10/22 フラメンゴ(FLA) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第28節(2/2
・2023/10/22 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クルゼイロ(CRU)
・2023/10/22 インテルナシオナウ(INT) x サントス(SAN)
・2023/10/22 コリンチャンス(COR) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/22 RBブラガンチーノ(RBB) x フルミネンセ(FLU)
・2023/10/22 コリチバ(CFC) x パウメイラス(PAL)

全国選手権第28節 試合概要

サンパウロ(SAO) 3-0 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=AGTt9MEJ8OE
(SAO) : 21' #15 ミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)[#19 ハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)]
(SAO) : 68' #29 パブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)[#19 ハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)]
(SAO) : 90+7' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[]
(GRE) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   サンパウロは全国選手権9勝8分10敗勝点35の11位。
   グレミオは全国選手権13勝5分9敗勝点44の4位。

得点シーン

(SAO)前半21分 :
MFハメス・ロドリゲスが蹴る右CK。鋭く落ちるボールにMFミシェル・アラウーホが頭を合わせゴールネットを揺らす。(1-0)
   MFミシェル・アラウーホは2023年全国選手権開幕前の3月31日にフルミネンセからの期限付き移籍でサンパウロに加入。サンパウロでは今節終了時点で41試合4得点3アシスト(全国選手権23試合(うち先発13試合)2得点1アシスト)を記録。視界が広く足元の技術も高いウルグアイ国籍選手。期限付き移籍は2024年末まで。一定条件をクリアすると契約期間終了時に150万USドル相当額での買取義務が発生する。
(SAO)後半23分 :
自陣からのカウンター。しかし、守備陣のマークが厳しく相手陣で一旦ボールを下げる。そこからMFハメス・ロドリゲスが左サイドを駆け上がるVOLパブロ・マイアへスルーパス。ペナルティエリア入口でボールを受けたVOLパブロ・マイアはディフェンダーを切り返しでかわしシュート。(2-0)
   VOLパブロ・マイアは、サンパウロ下部組織出身で2022年1月の州選手権で20歳のプロデビューを飾ると、そのままレギュラーの座を獲得。この年は61試合2得点1アシストを記録。2023年も今節終了時点でフィールドプレーヤーでチーム最多の3636分の出場を果たしている。このゴールは今季4点目、これまでの3点はすべてペナルティエリア外からのミドルシュートで決めており、これがペナルティエリア内から決めた今季初ゴール。
(SAO)後半45+7分 :
グレミオが左サイドからのFKでサンパウロゴール前にボールを送る。これはディフェンダーがクリア、大きく前方に蹴りだす。グレミオはこのボールを拾い、GKへバックパスを送るが勢いが弱く、サンパウロFWルシアーノがボールを確保。そのままGKと一対一となりゴールを陥れる。(3-0)
   FWルシアーノは2020年8月にグレミオからサンパウロに移籍加入。その年は38試合21得点7アシスト、ゴール数はキャリアハイを記録した。2022年も21得点でチーム内得点数は2位。2023年も活躍が期待されたが、多くの選手に出場機会を与えるドリヴァウ・ジュニオール監督の選手起用に次第に出場時間が限られていく。とはいえ、今季も今季終了時点で55試合(うち先発40試合)12得点8アシストを記録。コパ・ド・ブラジルもピッチ上で優勝の瞬間を迎えている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:9‐2(3-1) ⇒ 前後半:18-2(6-1)
パス成功率: 前半:83% 70% ⇒ 前後半:84% 72%

   サンパウロは、左SBにウェリントン(Welington, 2001)、中盤にMFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)とMFミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)、FWデイヴィジ(David, 1995)が前節のスタメンからの変更。今節もゼロトップの陣形か。
   グレミオは、スリーバックを採用。左WBウェズレイ・コスタ(Wesley Costa, 2004)がプロデビュー戦、VOLジョズエ(Josué, 2005)は前節での途中交代に続くデビュー2戦目でのプロ初スタメンに抜擢。コパ・ド・ブラジル優勝チームを相手に若手選手の奮闘が期待される。
   前回の対戦では、スリーバックで中盤に厚みを持たせたグレミオが中盤でサンパウロの攻撃の芽を次々と摘み取り完勝を収めたが、この試合も中盤での主導権の奪い合いが勝負の行方を決めそうな顔ぶれの両チームのスターティングイレブン。

   前半27分グレミオはケガを負ったMFクリスタウド(Cristaldo, 1996)が交代を要請。FWナタン・フェルナンデス(Nathan Fernandes, 2005)が急遽ピッチに送り出される。FWナタン・フェルナンデスも前節まで3試合30分以下の出場にとどまっており、ピッチ上に10代のトップチームでの出場歴の少ない選手が3人立つ。
   これでは流石に厳しく、サンパウロがボール、試合展開をともに支配。前半21分にMFミシェル・アラウーホがCKから先制点を奪うと、グレミオも何とか均衡状態に持ち込むが、試合の主導権を握るまでには至らない。
   後半もグレミオは打つ手がなく、後半22分に追加点を許すと試合終了間際にカウンターからダメ押しゴールを奪われ、試合終了。
   ホームのサンパウロが3-0の勝利を収めた。

   サンパウロは、W杯南米予選帰りのMFハメス・ロドリゲスが南米予選での好調をクラブでも見せ中盤を支配。ボールタッチも多く、サンパウロの攻撃を組み立てていき、2アシストを記録。VOLパブロ・マイア、VOLアリソン(Alisson, 1993)の両ボランチがグレミオの攻撃の芽を摘み、中盤の攻防で優位に立ち、3-0の完勝を収めた。
   この結果、サンパウロは勝ち点を38に伸ばし10位に浮上。前節終了時点で勝点30~32に7チームがひしめく熾烈な残留争いから一歩抜け出した。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節、アウェイでパウメイラスとのクラシコが控えている。

   グレミオは、若手選手に経験を積ませる試合と割り切ったのか、戦術的に無策で選手交代も遅く、若手選手に経験を積ませた以外に難の収穫もない試合。上述の3選出の他に後半38分にプロデビューとなるMFジョアン・アラウージョ(João Araujo, 2005)もピッチに送り出したが、チームは守ることが精一杯で、シュートの数は僅かに2本。この試合に起用された若手選手には苦い経験となった。
   その若い選手を後方から支えたいスリーバックも、マークのミスやボールの処理ミスが多く、チームは機能不全。しかし、ベンチは対策を打つこともなく、まったく収穫のない試合。監督の手腕以前に、監督としての資質さえ疑いたくなる試合だった。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームにフラメンゴを迎える。

バイーア(BAH) 2-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=AGZLtyGo600
(BAH) : 22' #4 カヌー(Kanu, 1997)[#10 ビエウ(Biel, 2001)]
(BAH) : 90+6' #11 ハファエウ・ハトン(Rafael Ratão, 1995)[]
(FOR) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   バイーアは全国選手権8勝7分12敗勝点31の14位。
   フォルタレーザは全国選手権12勝6分9敗勝点42の8位。

得点シーン

(BAH)前半22分 :
FWビエウが蹴る右CK。ニアサイドでVOLアセベドがディフェンダーを前方に連れだし、その背後でCBカヌーが頭を合わせる。ゴール左隅に向かうボールにGKジョアン・ヒカルドは一歩も動けない。(1-0)
   CBカヌーは、育成時代をフラメンゴ、ヴァスコ、ボタフォゴと渡り歩き、2018年1月のリオデジャネイロ州選手権で20歳のプロデビュー。2022年末に200万USドル相当額での買取オプションが附帯された期限付き移籍でバイーアに加入。最終ラインの要としての活躍を受けバイーアは8月に買取オプションの行使を発表。このゴールはバイーアでの初ゴール。
(BAH)後半45+6分 :
GKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)から相手陣深くへゴールキック。空中戦でこぼれたボールにディフェンダーが処理を誤るとペナルティエリア内でFWハファエウ・ハトンがボールを確保しシュート。間合いを詰めるGKに当たるもボールの勢いがまさりボールはゴールに吸い込まれる。(2-0)
   FWハファエウ・ハトンは、2015年にアルビレックス新潟/JPNで1試合の出場経歴あり。トゥールーズ/FRAで2年弱62試合19得点6アシストの記録を残し、2023年7月26日に250万ユーロの移籍金でバイーアに加入。7月30日全国選手権第17節サンパウロ戦でクラブデビューを果たすと翌節から先発に定着。最近の3試合は途中交代での出場だが3試合で2得点2アシストを記録。スーパーサブとしての起用が続くか先発に返り咲くか、今後に注目したい。なお、今節終了時点で12試合4得点2アシスト。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:7‐6(2-2) ⇒ 前後半:15-10(3-5)
パス成功率: 前半:84% 81% ⇒ 前後半:81% 83%

   バイーアは、前節試合中のケガでCBヴィトル・ウーゴ(Vitor Hugo, 1991)が欠場しCBハウーウ・グスタヴォ(Raul Gustavo, 1999)が代役を務める。出場停止のVOLヘゼンジ(Rezende, 1995)に代わりVOLアセベド(Acevedo, 1999)がプリメイロボランチを務める。
   フォルタレーザは一週間後のコパ・スウアメリカーナ決勝に向けてか、GKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)を除くすべてのポジションで前節からスタメンを変更。しかし、今季途中加入後3試合目の出場となるCBトビアス・フィゲイレード(Tobias Figueiredo)以外は今季20試合以上に出場する顔ぶれで大きな戦力ダウンは感じられない。

   ホジェリオ・セニ監督の就任以来、固い守備からの鋭いカウンターというスタイルで勝ち点を積み重ね降格圏から抜け出したバイーアだが、ホームでのこの試合は積極的にボールを保持する展開。
   前半22分にセットプレーから先制点を奪うと、ゆっりくとしたテンポでボールを回し、ボールを保持することで守備機会を減らしていく。前半30分を過ぎるころには、フォルタレーザにボール支配の優位を明け渡すことになるが、これまで培ってきた固い守備でゴールを守り抜く。
   後半は前節以前のようにスリーラインがコンパクトさを保ち中盤のスペースを消す守備に回帰。同点を狙うフォルタレーザが前がかりになるところにカウンターの機会をうかがう。
   後半11分にはMFカウリーが、後半14分にはFWビエウがカウンターからシュートに持ち込むが、いずれもシュートは僅かに枠を捉えない。しかし、試合終了間際のはゴールキックからFWハファエウ・ハトンがゴールを陥れ、バイーアが2-0の勝利を飾った。
   これでバイーアは3連勝。3節前の6-4の壮絶な撃ち合い後の2試合は無失点に抑えており、守備面の修正もしっかりと施されている。この結果、勝ち点を34に伸ばし暫定ながら12位に浮上。降格圏までの勝点差は4ポイントだが守備に重点を置いたサッカーで着実に勝ち点を積み重ねていきたい。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでのクルゼイロ戦が予定されている。

   攻守に組織的なフォルタレーザは、大幅な先発変更の影響もあり、試合の立ち上がりは試合をバイーアに支配される。試合の流れを掴めないまま前半22分に失点を喫するが、前半30分を過ぎて攻守に歯車が噛み合うようになる。
   バイーアの鋭いカウンターを警戒しながらも、ケガ明けのFWマリーニョを軸に右サイドから攻撃を展開し、左サイドのスピードのあるFWマチューカや交代出場の中央FWルセロへボールを供給、自らシュートに持ち込むがバイーアゴールをこじ開けることができない。
   結局この試合も最後までゴールを奪うことができず2試合連続の無得点で試合を終えた。
   一週間後に控えたコパ・スウアメリカーナ決勝戦を目前に、上位争いに加わる中、足踏み状態が続く。
   週中にあと一試合を挟むが、その試合をどのように生かすか、そしてコパ・スウアメリカーナではどのようなメンバーを送り出すか。クラブ初の国際大会タイトルに向け、この一週間の動向に強く興味が惹かれる。 
   次戦は10月24日に全国選手権第29節ホームでの首位ボタフォゴ戦。

クイアバ(CUI) 1-1 ゴイアス(GOI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=mQtOdt1IMEU
(GOI) : 45+8' #60 ギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)[PK]
(CUI) : 46' #29 クレイソン(Clayson, 1995)[#9 イシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権10勝6分11敗勝点36の10位。
   ゴイアスは全国選手権7勝9分11敗勝点30の18位。

得点シーン

(GOI)前半45+8分 :
相手ペナルティエリアの手前で細かくボールを繋ぎ、ペナルティエリアに侵入したMFパラシオス(Palacios, 1999)が足を掛けられ転倒。主審はPKの判定。このPKをMFギリェルミ・マルケスがGKの逆にボールを蹴り込みゴイアスが先制。(0-1)
   MFパラシオスは、サン・ロレンソ/ARGから買取オプションが附帯された期限付き移籍で2023年1月2日にゴイアスに加入したアルゼンチン国籍選手。確かな足元の技術と当たり負けしない強靭な身体が特長。今節終了時点で42得点2得点3アシスト、全国選手権は20試合(うち先発15試合)1アシストを記録している。
(CUI)後半1分 :
ペナルティエリア入口でFWデイヴェルソンのポストプレーからFWイシドロ・ピタへボールが送られると、FWイシドロ・ピタがペナルティエリア左からややマイナス気味のグラウンダーのクロス。これをFWクレイソンがダイレクトにシュート。ディフェンダーに当たったボールはゴールに吸い込まれ、クイアバが同点に追いつく。(1-1)
   FWクレイソンは、2022年8月から2023年6月までV・ファーレン長崎/JPNでプレー。クイアバには2023年6月30日に加入、2021年以来1年半ぶりに復帰を果たす。2023年7月8日全国選手権第14節バイーア戦でクラブ再デビューを飾ると、今節終了時点で13試合4得点1アシスト。前節でのアシストに続く2試合連続の得点関与。
   FWイシドロ・ピタは、前節は途中出場から1分で個人技でのゴールをマーク。今節も途中出場から1分でアシストを記録。監督の信任を得てポジション争いからスタメンの座を掴みたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:54% 46% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:4‐7(1-1) ⇒ 前後半:15-9(5-3)
パス成功率: 前半:84% 86% ⇒ 前後半:85% 82%

   クイアバは、3-0の勝利を収めた前節と同じ顔ぶれのスターティングイレブン。
   ゴイアスは、出場停止のVOLウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)に代わりVOLメリトン(Meritão, 1994)が起用される以外は、2-0で勝利を収めた前節サンパウロ戦からスターティングイレブンに変動はない。

   クイアバは、ボールを持つもののゴイアスの守備網を崩すことができず、ボールを失っては大きなピンチを招く。前半終了間際にペナルティエリア内でファールを犯しPKから失点。
   後半開始時に高さのあるFWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)に代えスピードのあるFWイシドロ・ピタを投入。この交代が功を奏し後半1分に同点に追いつく。その後も左サイドFWイシドロ・ピタのスピードを軸に攻撃を展開。後半39分、FWイシドロ・ピタはFWデイヴェルソンからボールを受けシュートに持ち込むがゴイアスGKタデウ(Tadeu, 1992)がシュートストップ。その直後にはFWデイヴェルソンが至近距離からのシュートを放つが再びGKタデウが立ちはだかる。後半45+2分に再びFWイシドロ・ピタがチャンスを迎えるがヘディングシュートは枠外へ。
   クイアバは終盤に相次いでチャンスを迎えたものの、決勝点を奪うことができず、試合は1-1の引き分け。しかし、途中出場のFWイシドロ・ピタが2試合連続でゴールという結果を残した。少しずつではあるが前線に選手層も厚くなりつつある。試合やトレーニングで前線の連係を高め、全国選手権終盤から来季に向け、攻撃の精度を高めていきたい。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームにコリンチャンスを迎える。

   アウェイのゴイアスが前半を優位に試合を進める。前半16分には、MFパラシオスのスルーパスに反応したFWアラーノ(Allano, 1995)がGKをかわす絶妙なシュートを放つが、ボールはゴールポストに弾かれる。前半43分にはFWアラーノからのボールを受けたSBウーゴ(Hugo, 1997)が丁寧なパスを送りVOLメリトンがシュートに持ち込むなど、惜しい場面が続く。すると、前半終了間際にPKを獲得し先制。
   後半に入るとクイアバの選手交代を通じたスピードのある攻撃にについていけず、開始1分で失点。その後も後手に回る時間帯が続くが、組織的な守備でクイアバの猛攻をしのぐ。後半は明らかなチャンスを迎えることは出来なかったが、なんとか1-1で試合を終え、アウェイで貴重な勝ち点1を持ち帰ることに成功した。
   ゴイアスは前節の勢いを前半に持ち込むことができたが、決定的なチャンスをポストに弾かれるなど決めきれずにいると、後半は試合の主導権を相手に引き渡し、連勝を飾ることは出来なかった。
  この結果、勝ち点は31。土曜日の試合が終えた時点で降格圏を抜け出す16位に浮上したが、日曜日の下位2チームの結果次第では再び降格圏に沈む・
   次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでのフルミネンセが控えている。

ボタフォゴ(BOT) 1-1 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=8_Y3AY28PYI
(BOT) : 24' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#21 マルサウ(Marçal, 1989)]
(CAP) : 41' #92 パブロ(Pablo, 1992)[#28 クエージョ(Cuello, 2000)]

見どころ(試合前の順位)

   ボタフォゴは全国選手権18勝4分5敗勝点58の首位。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権12勝8分7敗勝点44の6位。

得点シーン

(BOT)前半24分 :
SBマルサウが蹴る左CK。ゴール前に上げられたボールにFWチキーニョ・ソアレスが頭を合わせる。アトレチコ守備陣はFWチキーニョ・ソアレスのプッシングの反則をアピールするがゴールは認められる。(1-0)
   Wチキーニョ・ソアレスは、ケガによる戦列離脱もあり、8月2日から2か月間、出場した4試合にノーゴール。しかし、10月2日全国選手権第25節ゴイアス戦で同点ゴールを奪うと、その試合を含め4試合3得点。全国選手権得点ランキングを独走する16回目のゴールで完全復活を示す。
(CAP)前半41分 :
右WBクエージョが右サイドで一対一の対峙を抜き去り、ゴールライン手前からゴールラインと平行にライナー性のクロス。GKと最終ラインの間を通るボールにディフェンダーは誰も触れることができず、FWパブロがディフェンダーの間から抜け出し足を合わせる。(1-1)
   FWパブロは、前々節のゴールに続き、今季全国選手権5点目のゴール。今季は州選手権での得点王を獲得するも、FWヴィトル・ホッキの台頭で控えに甘んじている。しかし、得点力のみならず、守備面での貢献やオフザボールでの動きでも秀逸したものを持っており、FWヴィトル・ホッキの戦列離脱でその重要性が浮き彫りとなっている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:7‐7(4-1) ⇒ 前後半:9-11(5-2)
パス成功率: 前半:87% 82% ⇒ 前後半:87% 82%

   ボタフォゴは、VOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)が出場停止明けでスタメンに復帰。他のポジションは前節と変更がないスターティングイレブン。
   アトレチコ・パラナエンセは、前節決勝点をマークしたCBカイキ・ホッシャ(Kaique Rocha, 2001)をスタメンに抜擢しスリーバックの布陣。FWカノービオ(Canobbio, 1998)が出場停止。その他は前節から変更点はない。

   ホームのボタフォゴが素早い寄せでアトレチコ・パラナエンセの攻撃を封じ、相手陣で多くの時間をプレーする展開。ピッチを前後左右に広く使いスプリントを有効に使った、今季の好調時のボタフォゴのサッカーを体現する。
   すると、前半24分、SBマルサウのCKをゴール正面で得点王FWチキーニョ・ソアレスが豪快なヘディングシュートで先制。
   一方のアトレチコ・パラナエンセも、失点後に攻撃面で修正。こちらも左右にピッチを広く使い、効果的な縦パスを要所で有効に使い、チャンスを生み出していく。
   前半41分、右サイドのクロスからFWパブロが足を合わせ同点。
   試合はお互いに持ち味を発揮した白熱した展開となるが、スタジアムの照明障害のため度々試合が中断する。後半開始間もなく、5度目の照明不具合が発生すると30分間の保守時間を設定し一時試合は中断。しかし、不具合は解消せず、試合は翌日15時に無観客で再開することが決定された。
   翌10月22日15時、後半7分から試合が再開。アトレチコ・パラナエンセが守備的な陣形を形成し、自陣深くで守備を固め、ボタフォゴがその周りでボールを回し守備の綻びを探す展開。前日の中断前の展開とは一転し、テンポのゆったりとした流れが続く。
   ボタフォゴは左サイドのFWヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)にボールを集め、アトレチコはボールを確保するとFWパブロをターゲットとしたロングフィードで対抗する。
   後半25分を回ると、アトレチコが攻撃へシフト。後半27分のCKはCBチアゴ・エレーノがヘディングシュート、後半28分には左サイドからSBエスキベルのクロスと相次いでボタフォゴゴールを襲う。
   この時間帯を耐え抜くと再びボタフォゴがアトレチコゴール前へ。アトレチコもカウンターで応酬。再び試合は白熱した状態となる。
   試合は終盤に差し掛かり熱さを帯びていくが、両チームともにゴールを奪うことができず、試合は1-1で終了。白熱した展開も数々の照明障害や翌日への延期で水を差され、煮え切らない内容で両チーム勝ち点1を分け合った。

   この結果、ボタフォゴの連勝は2でストップしたものの、この試合終了時点で試合未消化の2位RBブラガンチーノとの勝点差は10ポイントに広がった。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節ホームでのクイアバ戦。第29節は対戦相手のフォルタレーザがコパ・スウアメリカーナ決勝を戦うため順延(開催日は未定)された。

   アトレチコ・パラナエンセは、暫定ながら4位に浮上。FWヴィトル・ホッキの台頭で出場時間が限られていたFWパブロがゴールの他にもロングボールのターゲット、前後にボールを引き出す動きなど、アトレチコ・パラナエンセの攻撃陣を牽引。
   守備の局面と攻撃の局面でメリハリをつけたスタイルが徐々にチームに浸透してきている。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームにアメリカ・ミネイロを迎える。

フラメンゴ(FLA) 1-0 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=XR69lJ_B7kE
(FLA) : 76' #20 ジェルソン(Gerson, 1997)[]
(VAS) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   フラメンゴは全国選手権13勝8分6敗勝点47の3位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権8勝6分13敗勝点30の16位。

得点シーン

(FLA)後半31分 :
自陣からの攻撃。ハーフライン手前でVOLジェルソンがボールを受けると、それを追い越すVOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)へボールを繋ぐ。そこからさらにゴールライン際にボールが送られると、FWガビゴウ(Gabigol, 1996)がボールを確保しゴール前にクロス。ディフェンダーのクリアボールがペナルティエリア入口にこぼれると、そこに走り込んだVOLジェルソンがシュート。ディフェンダーの足に触れたボールはコースを変えゴールネットを揺らす。
   VOLジェルソンは、直近のW杯南米予選に招集され、2023年10月12日の第3節ベネズエラ戦の後半34分に途中交代出場を果たす。ブラジル代表は2021年9月~11月にかけてW杯南米予選の4試合に出場しており、約2年ぶりの出場となった。ボックストゥボックスのプレー範囲で相手選手へのマーク、ボール奪取、攻撃参加や前線への配球など、攻守に渡り秀逸な才能を持つ選手。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:55% 45% ⇒ 前後半:49% 51%
シュート(枠内): 前半:7‐7(-) ⇒ 前後半:10-12(4-7)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:84% 81%

   フラメンゴは、CBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)が出場停止明けで復帰、CBダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)は前節試合中のケガでベンチ外。攻撃の指揮役にはMFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)に代わりMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)が入る。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、出場停止のVOLパウリーニョ・パウラ(Paulinho Paula, 1997)とCBメデル(Medel, 1987)が復帰、CBマイコン(Maicon, 1988)がベンチスタート。前節ケガ明けで復帰を果たしたFWホッシ(Rossi, 1993)はケガが再発、MFマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)もケガのためベンチ外となる。

   フラメンゴは、ヴァスコ・ダ・ガマの高い位置でのプレスに後手に回り、自陣でのサッカーを余儀なくされる。ヴァスコが前半12分、16分、17分と相次いでシュートに持ち込む。前半20分にはペナルティエリア左にヴァスコFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)が抜け出してくるが、GKロッシ(Rossi, 1995)がゴールマウスを離れ間合いを詰めてシュートブロック。
   前半36分、フラメンゴは右サイドからのクロスにMFデ・アラスカエッタが頭を合わせるが、ヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が横に倒れながらしっかりとキャッチ。前半43分、フラメンゴ右CKにCBファブリシオ・ブルーノが頭を合わせるがクロスバーに弾き返される。そのボールを再びCBファブリシオ・ブルーノがシュートに持ち込むが、GKレオ・ジャルジンが辛うじて弾いたボールは今度はゴールポスト叩き、ゴールは生まれない。
   後半6分、ヴァスコはFWベヘッチ(Vegetti, 1988)が右サイドからのクロスをワントラップから強引なシュート。ブロックされたボールにVOLプラシェデス(Praxedes, 2002)が左足を振り抜くがディフェンダーが頭でコースを変えCKに逃れる。後半22分には左サイドライン際からのSBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)のクロスにFWベヘッチが体を潜らせ頭を合わせるがGKロッシが横跳びに両手でボールを弾きだす。
   後半31分、フラメンゴは自陣からボールを繋ぎ、最後はVOLジェルソンがボールをゴールに叩き込み貴重な先制点。
   後半35分にはヴァスコSBルーカス・ピトンが再び左サイドライン際から良質なクロス。VOLジャイール(Jair, 1994)のヘディングシュートはファーサイドのゴールポストの僅かに右へ。
   ヴァスコは最後まで攻め続けるが、フラメンゴはGKロッシを中心にゴールを守り抜き、フラメンゴが1-0の勝利。白熱したクラシコを制した。

   フラメンゴが苦しい試合展開ながら2試合連続無失点で2連勝。前節共にゴールに関与した両サイドバックSBウェズレイ(Wesley, 2003)、SBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)は相手両SBに押し込まれ効果的な攻撃参加を封じ込まれる。中盤も司令塔MFデ・アラスカエッタにボールが入らず攻撃の糸口が掴めない。
   攻撃が停滞する中、守備陣が奮闘。押し込まれる展開が続くも相手のシュートコースを制限し、ゴールマウスはGKロッシがしっかりと蓋をする。GKロッシは果敢に飛び出しシュートを防ぐなど大奮闘。
   その奮闘に応えるかのように、後半31分に攻撃陣が僅かなチャンスを生かしゴールを奪い1-0の勝利。
   これで全国選手権は5試合負けなし、順位も3位を維持。首位ボタフォゴまでの勝点差は9ポイントとその差は小さくはないが、残る10試合での逆転も不可能ではない。新監督の戦術理解を深めつつ、目先の一試合一試合を大事に首位ボタフォゴにプレッシャーをかけていきたい。
   次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでのグレミオ戦。

   ヴァスコ・ダ・ガマは戦う姿勢を前面に出し、アウェイでの試合ながら開始直後から相手ゴールに相次いで迫る。両サイドバック、特に左SBルーカス・ピトンが高い位置を取り、サイドでの攻防で主導権を握り、次々と良質のクロスをゴール前に供給。SBルーカス・ピトンからのクロスは次々とシュートに持ち込まれるもののフラメンゴ守備陣の奮闘にゴールを奪うことは出来なかったが、次節以降も大きな武器となるはず。
   失点シーンは、前がかりになった所を、フラメンゴの速すぎることのないボール繋ぎに油断があったのか中盤の帰陣が遅れ、クリアボールをバイタルエリアからゴールに叩き込まれてしまった。中盤の寄せの速さ、ボールを保持することで守備面でも安定していただけに、悔いが残る失点となった。
   次戦は10月26日に全国選手権第29節、ホームに今節7得点のインテルナシオナウを迎える。

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