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全国選手権第28節 対戦組合せ
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第28節(1/2)
・2023/10/21 サンパウロ(SAO) x グレミオ(GRE)
・2023/10/21 バイーア(BAH) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/10/21 クイアバ(CUI) x ゴイアス(GOI)
・2023/10/21 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/10/22 フラメンゴ(FLA) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/22 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クルゼイロ(CRU)
・2023/10/22 インテルナシオナウ(INT) x サントス(SAN)
・2023/10/22 コリンチャンス(COR) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/22 RBブラガンチーノ(RBB) x フルミネンセ(FLU)
・2023/10/22 コリチバ(CFC) x パウメイラス(PAL)
全国選手権第28節 試合概要
アトレチコ・ミネイロ(CAM) 0-1 クルゼイロ(CRU)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=j02eYyzuTk0
(CRU) : 87' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
見どころ(試合前の順位)
アトレチコ・ミネイロは全国選手権12勝7分8敗勝点43の7位。
クルゼイロは全国選手権7勝10分10敗31勝点の15位。
得点シーン
(CRU)後半42分 :
相手陣右サイドでのFKをクイックスタート。右SBウィリアン(William, 1995)が右足で巻き込むゴールを相手GKと守備ラインの間に送ると、これがディフェンダーのオウンゴールを誘発。(0-1)
SBウィリアンは、2016リオ五輪で3試合に出場。インテルナシオナウ下部組織出身で2015年3月に19歳のプロデビューを果たすとそのままレギュラーの座を獲得。欧州2017/18シーズンを前に500万ユーロでウォルフスブルク/GERに移籍。2020/21シーズンに期限付き移籍先のシャルケ04/GERで大ケガを負い2年近くピッチから遠ざかる。2022年12月念入りなメディカルチェックを経てクルゼイロに加入。全国選手権開幕前の州選手権、コパ・ド・ブラジルの4試合に出場すると、全国選手権開幕後はレギュラーの座を獲得。2023年は今節終了時点で31試合(うち先発29試合)1得点3アシスト、全国選手権は24試合(うち先発22試合)で初アシストを記録。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:53% 47% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:7‐3(1-1) ⇒ 前後半:9-11(1-4)
パス成功率: 前半:85% 77% ⇒ 前後半:85% 76%
アトレチコ・ミネイロは、2-0で勝利を収めた前節パウメイラス戦と同じスターティングイレブン。
クルゼイロは、出場停止明けの右SBウィリアンとVOLマシャード(Machado, 1996)がスタメン復帰。左SBマルロン(Marlon, 1997)が出場停止で前節マルロンと縦に並んだSBカイキ(Kaiki, 2003)が左SBに入る。前線にはFWアルトゥール・ゴメス(Arthur Gomes, 1998)がスタメン復帰。
開始50秒、クルゼイロFWブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)がゴールライン際を個人技でペナルティエリアに抜け出しマイナスのクロス。ディフェンダーのクリアがクロスバーを直撃。開始早々クルゼイロにビッグチャンス。続く前半4分にもクルゼイロは左サイドからシュートに持ち込む。
一方のアトレチコ・ミネイロも前半10分に相手陣でFKを獲得すると、FWフッキ(Hulk, 1986)がGKに向けたクロス。GKの手前でワンバウンドしたボールがGKのファンブルを誘い、そこにFWパウリーニョ(Paulinho, 2000)が詰めるがディフェンダークリア。その1分後にもアトレチコが右サイドのロングフィードにFWフッキがディフェンダーをなぎ倒しシュートに持ち込むが、GKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)の前に出る圧力にボールはファーサイドのゴールポスト左へ外れる。
その後も両チームは交互の相手ゴールに迫るがシュートは枠を捉えない。
後半開始時にアトレチコはイエローカードを貰ったCBブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)と中盤のMFアラン・フランコ(Alan Franco, 1998)に代えCBジェメルソン(Jemerson, 1992)とVOLバタグリア(Battaglia, 1991)を投入し、守備面の安定を図る。
しかし、その意図に反し、クルゼイロは後半7分、13分と相次いで左サイドを起点にシュート、GKエヴェルソン(Éverson, 1990)がいずれもCKに逃れる。その後もクルゼイロは後半17分、23分と相次いでアトレチコゴールに迫り続ける。
クルゼイロは、アトレチコの攻撃を封じ込み、ボールを奪うと相手ゴールに迫る展開を続けると、後半41分に均衡を破る。その後もアトレチコの攻撃を封じ込み、アウェイの地でのクラシコで1-0の勝利。残留争いに巻き込まれる中貴重な勝ち点3を勝ち取った。
アトレチコ・ミネイロは前節と同じ顔ぶれのスタメンながら、高いラインを敷きサイド攻撃を軸に攻撃を仕掛けてくるパウメイラスと、守備に重点を置きながらあまり人数をかけずに攻撃を展開するクルゼイロの違いもあり、前節とは全く異なる試合内容。
開始直後にピンチを迎えると、その後もクルゼイロの速い寄せに簡単にボールを失い押し込まれる展開が続く。前半10分を過ぎるとFWフッキの強引なプレーをきっかけに試合を拮抗させていくが、効果的なボールを前線に送ることができず、クルゼイロ守備陣を崩すことができない。
後半開始時に2枚の交代枠を使い中盤の安定を図るが、結果として全体が下がり気味で受け身となる場面が増え、中盤より前での連係は改善せず、クルゼイロに次々とシュートに持ち込まれる。後半16分に攻撃的なポジションの2選手を交代するが試合の流れを変えることができず、後半41分に失点。新本拠地MRVスタジアムでの初のクラシコを不甲斐ない内容の試合でクルゼイロに苦杯を舐めた。
次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでの好調RBブラガンチーノとの対戦。
クルゼイロは前後半共に開始10分に積極的にボールを保持し相手ゴールに迫る。前半の10分間は惜しい場面もあり、後半の10分間は大きなチャンスを迎えることはなかったものの、それ以降も試合をコントロールすることに成功。
絶対的なレギュラーで出場停止の左SBマルロンの代役として起用されたSBカイキが特筆すべき活躍。アトレチコFWフッキ、FWパウリーニョの強力ツートップとの対峙を、相手が有利な形に持ち込む前にしっかりとした対応で抑え込むと、積極的に攻撃にも参加。VOLルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)やFWブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)のサポートに支えながらも、マルロンの不在を感じさせないプレーを披露した。
VOLルーカス・シウヴァは攻守に中盤を支配。アトレチコの攻撃の芽を摘み取りボールを確保すると、左右にボールを散らし攻撃を組み立てる。FWブルーノ・ホドリゲスは開始直後の個人技での抜け出しでその後は自信を持ってプレー。右SBウィリアンの絶妙なクロスが相手オウンゴールを誘発した。
調子の波に乗れず残留争いに巻き込まれる状況に陥りながら、クラシコで全体に統一感を持った試合を展開。この勢いを次節以降に繋げ、残留争いから一試合でも早く抜け出したい。
次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームで好調のバイーアとの対戦。勝ち点で並ぶ残留争いのライバルとの一戦だが、6月24日以来の勝利をホームサポータに贈りたい。
インテルナシオナウ(INT) 7-1 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rtJXoblicWk
(INT) : 1' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(INT) : 14' #10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)[]
(INT) : 27' #13 エネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)[#27 マウリシオ(Maurício, 2001)]
(INT) : 39' #11 ヴァンデルソン(Wanderson, 1994)[#20 アランギス(Aránguiz, 1989)]
(INT) : 54' #16 ファブリシオ・ブストス(Fabricio Bustos, 1996)[#27 マウリシオ(Maurício, 2001)]
(INT) : 61' #13 エネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)[#10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)]
(INT) : 75' #9 ルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)[#28 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)]
(SAN) : 80' #17 マキシ・シルベラ(Max Silvera, 1997)[]
見どころ(試合前の順位)
インテルナシオナウは全国選手権8勝8分11敗勝点32の12位。
サントスは全国選手権8勝6分13敗勝点30の17位。
得点シーン
(INT)前半1分 :
ペナルティエリア内でFWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)がポストプレーでボールをキープ。その左脇を追い抜くFWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)にボールを送る。ボールを受けたFWヴァンデルソンはゴールライン際からクロス。これがディフェンダーのオウンゴールを誘発しインテルナシオナウが55秒で先制。(1-0)
FWヴァンデルソンはアヤックス/HOL下部組織出身。ベルギーでプロデビューを飾ると、スペイン、オーストリア、ロシアを経て2022年4月にインテルナシオナウに入団、初めてブラジル国内でプレーする。スピード、ドリブル、キープ力、守備への貢献で前任マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督、現任エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督のいずれにも重宝されるサイドアタッカー。前々節グレミオ戦に続くゴールは今季全国選手権5得点目のゴール。
(INT)前半14分 :
サントスのビルドアップ、前方への出しどころがなくGKへボールを戻すが、ボールに勢いがなくMFアラン・パトリッキがカット。そのままドリブルで持ち上がると、間合いを詰めるGKの頭上を越すカヴァジーニャで無人のゴールにボールを送る。(2-0)
MFアラン・カルデッキはサントス下部組織出身。2011年U-20W杯、U-20南米ユース選手権代表での活躍を受け、20歳でシャクタルドネツク/UKRへ移籍。2013-14年に期限付き移籍でインテルナシオナウでプレー。ウクライナ戦争で2022年に2度目のインテルナシオナウのユニフォームを着ると、攻撃面でチームを牽引し全国選手権2位への躍進に貢献。研ぎ澄まされた戦術眼とそこから生み出されるアイディアを具体化する足元の技術は、南米各国の代表メンバーが顔を並べる現状のインテルナシオナウの選手層の中でも輝きを放っている。
(INT)前半27分 :
縦の速い攻撃は一旦行き詰まるが、ペナルティエリア外へ戻したボールをVOLジョニーがワンタッチで前方に送ると、MFマウリシオもワンタッチで守備ライン裏へ、FWエネル・バレンシアは背中で相手ディフェンダーを抑えながら右足でボールをゴール右隅に流し込む。(3-0)
FWエネル・バレンシアは、エクアドル代表で2022W杯など83試合40得点。インテルナシオナウには2023年6月12日に2026年6月までの契約で加入。スピードを生かした中央からの抜け出し、サイドでボールを受けてのドリブルでの突破など、ストライカー、チャンスメーカーとして相手の脅威となっている。全国選手権は出場機会2試合連続ゴール。インテルナシオナウ加入後は18試合7得点2アシストを記録している。
(INT)前半39分 :
MFアランギスがアタッキングサードでボールを受けると、ディフェンダーの寄せもなく、左SBの内側を斜めに駆け上がるFWヴァンデルソンへスルーパス。ディフェンダーを背中に右足を振り抜くとGKの足元をボールは通り抜けゴールネットを揺らす。(4-0)
MFアランギスは、チリ代表として2014W杯4試合1得点1アシスト、2015-2016年コパ・アメリカ連覇など、102試合7得点。直近のW杯南米予選にも出場。2014-15年にインテルナシオナウで54試合10得点4アシストの記録を残し、バイエル・レバークーゼン/GERに移籍。2023年2月に事前契約を結び4月7日にインテルナシオナウへの復帰を果たした。
(INT)後半9分 :
ペナルティエリア前後でパスを繋ぐと、MFマウリシオがペナルティエリア内から戻したボールを受けたSBファブリシオ・ブストスが思い切りよく右足を振り抜く。これがゴール左サイドネットに突き刺さる。(5-0)
SBファブリシオ・ブストスは、アルゼンチン代表として2018年に親善試合4試合に出場。育成時代からアルゼンチンの強豪インデペンディエンテ一筋にキャリアを積み上げていたが、2022年2月にインテルナシオナウに移籍加入。2022年はレギュラーとしてチームの全国選手権2位躍進に貢献。2023年は、高さがあり守備的なSBイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2002)、途中加入のSBウーゴ・マジョ(Hugo Mallo, 1991)とのポジション争いに一歩リード。今節終了時点で40試合3得点1アシストを記録。
(INT)後半16分 :
MFアラン・パトリッキが自陣からドリブルで持ち上がる。ディフェンダーのマークもなくペナルティエリア手前まで上がると左サイドのFWエネル・バレンシアへパス。ペナルティエリア左角からFWエネル・バレンシアがシュートを放つとゴール右サイドネットを揺らす。(6-0)
(INT)後半30分 :
FWペドロ・エンヒキが相手陣入口でボールを奪うと、そのままボールを前に運び、右サイドのFWルイス・アドリアーノへボールを送る。ピッチに立ったばかりのFWルイス・アドリアーノはこのボールを受けるとペナルティエリア入口からシュート。GKヴラジミール(Vladimir, 1989)の足元を抜けたボールはゴールネットを揺らす。(7-0)
今季のインテルナシオナウの前半戦を牽引した二人によるゴール。クラブが大型補強を実施する中、リベルタドーレスの合間の試合での出場や、ベンチスタートの機会が増えているが、元々は実力者。相手陣でのボール奪取からの素早いカウンターでチームの7点目を奪う。
(SAN)後半35分 :
右CKをゴール前でSBルーカス・ブラーガ(Lucas Braga, 1996)が頭で落とす。VOLトマス・リンコン(Tomás Rincón, 1988)が押し込もうとするがGKロチェ(Rochet, 1993)がブロック。こぼれ球をFWマキシ・シルベラが押し込みサントスが1点を返す。(1-7)
FWマキシ・シルベラは、2023年8月30日にネカクサ/MEXからサントスに加入。10月8日全国選手権第26節パウメイラス戦の後半13分にクラブデビューを果たすと、後半25分にFWマルコス・レオナルドの逆転ゴールをアシスト。このゴールは自身3試合目の出場でクラブ初ゴールとなった。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:50% 50% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:7‐5(4-2) ⇒ 前後半:13-8(7-3)
パス成功率: 前半:87% 83% ⇒ 前後半:88% 83%
インテルナシオナウは、代表帰りに面々がスタメンに復帰。現状のベストメンバーともいえるイレブンでサントスに臨む。
サントスは、GKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1995)が出場停止。VOLトマス・リンコンが代表から戻り、前線にはスピードのFWマキシ・シルベラに代わり高さのFWフルチ(Furch, 1989)が入る。
インテルナシオナウは開始1分の相手のオウンゴールを皮切りに、前半4点。後半3点の猛攻。5選手がゴール、4選手がアシストを記録。両方を記録したMFアラン・パトリッキを含め8選手が記録上でゴールに関与する多様さでホームで完勝を収めた。
次戦は、10月26日に全国選手権第29節アウェイでのヴァスコ・ダ・ガマ戦が予定されている。
サントスは、開始直後のオウンゴール、前半14分のパスミスからの失点。この2失点も致命的だったが、インテルのボール保持者の近くで2選手がサポートし離れた距離に1選手が位置する攻撃に全く対応できず、前方から2選手が寄せ、パスの出しどころにも素早く寄せに入るインテルの守備に簡単にボールを奪われ、攻守に厳しい試合となる。
前半19分の左CKからのFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)のヘディングシュートはGKロチェが片手を必死に伸ばしゴールを守り、前半30分の右CKからVOLトマス・リンコンのゴールはゴールポスト、後半15分のFWマルコス・レオナルドのペナルティエリア入口からのシュートはクロスバーを直撃。攻撃面ではセットプレーや僅かなチャンスから惜しい場面を迎えたが、中盤の守備の脆さは最後まで修正できず1-7の記録的な大敗を喫した。
この敗戦で2連敗。一時は降格圏を脱したが、前節に続き降格圏で翌節を迎える。
次戦は10月26日に全国選手権第29節ホームにコリチバを迎える。守備的なスタイルから攻撃的なスタイルに舵を切って3連勝、その後2連敗で今節は屈辱的な7失点を喫したが、次節はどのようなスタイルで試合に臨むだろうか。19位コリチバ相手に勝ち点3は是が非でも勝ち取らなければならない。
コリンチャンス(COR) 1-1 アメリカ・ミネイロ(AME)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=zBYDCJKvEZM
(AME) : 38' #10 ベニテス(Benítez, 1994)[#75 ホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)]
(COR) : 90+9' #20 ジウリアーノ(Giuliano, 1990)[#4 ジウ(Gil, 1987)]
見どころ(試合前の順位)
コリンチャンスは全国選手権7勝11分9敗勝点32の13位。
アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝6分17敗勝点18の20位。
得点シーン
(AME)前半38分 :
VOLエマヌエル・マルチネス(Emmanuel Martínez, 1994)が相手陣でボールを奪いドリブルで前方に仕掛けてから右サイドへはたく。ペナルティエリアすぐ右でボールを受けたMFホドリギーニョが一列内のMFベニテスへボールを折り返すと、MFベニテスはワントラップからシュート。これがゴール左に決まる。(0-1)
MFホドリギーニョは、アメリカ・ミネイロ生え抜き選手。2022年1月の州選手権で18歳のプロデビューを果たし、2022年5月10日コパ・ド・ブラジル三回戦CSA戦でプロ初ゴールをマーク。U-20チームが主戦場でトップチームでは14試合に出場。2023年は一年前倒しでトップチームに昇格。年初のケガで始動は6月と遅れたが8月以降は先発起用も多く、チームの将来を担う有望株としての期待が大きい。
(COR)後半45+9分 :
右サイド浅い位置からディフェンダーのマークをかわしSBファギネル(Fagner, 1989)がゴール左へクロス。CBジウが折り返したところにMFジウリアーノが飛び込み、コリンチャンスが実質的に最後のプレーで同点に追いつく。(1-1)
MFジウリアーノは、パラナクルービ下部組織出身で2007年に全国選手権2部でプロデビュー。2018W杯南米予選などブラジル代表として14試合2アシストを記録。10代のうちにインテルナシオナウへ移籍しレギュラーとして2年間プレー。2010/11シーズンを前に20歳で国外挑戦、FCドニプロ/UKRに移籍を果たす。その後もゼニト/RUSやフェネルバフチェ/TUR、アル・ナスル/KSAなど非主流国リーグやグレミオなどで長年に渡る活躍。コリンチャンスには2021年7月に加入。2023年は長年の経験に基づいたプレーで若手選手の手本となっている。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:69% 31% ⇒ 前後半:66% 34%
シュート(枠内): 前半:3‐6(1-1) ⇒ 前後半:17-13(5-4)
パス成功率: 前半:86% 74% ⇒ 前後半:86% 73%
アメリカ・ミネイロは前節ボタフォゴ戦のスタメンから以下のメンバーが変更。今季2試合目GKジョリ(Jori, 1996)、左SBマルロン(Marlon, 1994)、MFホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)。今節も司令塔タイプのVOLエマヌエル・マルチネスとMFベニテスが共存する。
コリンチャンスは、CBルーカス・ヴェリッシモ(Lucas Veríssimo, 1995)が出場停止明け、VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)はケガが大事に至らずセングンドボランチに入る。司令塔MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)が2試合ぶりのスタメン復帰。VOLマイコン(Maycon, 1997)が出場停止。
ホームの大歓声の中コリンチャンスは開始2分、VOLガブリエウ・モスカルドが中央をスルスルと駆け上がり、SBファギネル、MFフアン・オリヴェイラと繋がったボールをペナルティエリアで受けゴールポストをかすめるシュート。大きなチャンスを立ち上がりに迎えるが、以降はアメリカ・ミネイロの中盤のマークに攻撃の形が作れずに時間が経過する。
効果的に相手ゴール前にボールを運べない両チームは、コリンチャンスが前半35分、アメリカ・ミネイロが前半36分にミドルシュートを放つがいずれも枠を捉えない。しかし、その直後の前半38分、アメリカ・ミネイロはミドルシュートを放ったのと同様の流れから右サイドにボールを展開しゴール。均衡を破る。
1点を追うコリンチャンスは、後半開始時に2選手を交代。しかし、状況は変わらない。リードするアメリカ・ミネイロは中盤を固く閉ざしカウンターを狙う。アメリカ・ミネイロは、後半8分にペナルティエリアすぐ外で得たFKは僅かに枠を越え、後半18分にディフェンダーをかわしたMFホドリギーニョの強烈なシュートはGKカシオ(Cássio, 1987)に弾き出される。後半24分にはVOLジュニーニョが右サイドを抜け出しゴールライン手前中央へクロス、誰にも触れず逆サイドに流れたボールにSBマルロンが強烈なシュートを放つが、GKカシオがビッグセーブ。その後もアメリカ・ミネイロが相次いでコリンチャンスゴールに迫るがGKカシオがペナルティエリアを飛び出すクリアやシュートストップなど最後の砦として立ちはだかる。
後半38分を過ぎると、ようやくコリンチャンスもミドルシュートやサイドからのクロス、セットプレーでアメリカ・ミネイロゴールに迫る。そして、実質的な最後のプレーで同点。ホームのコリンチャンスが最下位に低迷するアメリカ・ミネイロから最後の最後で引き分けに持ち込み、勝ち点1を積み上げることに成功した。
監督交代後、コパ・スウアメリカーナ準決勝2ndレグの敗退後、全国選手権は3連続引分け。守備的な戦術からの脱却が期待されたマノ・メネゼス監督だが、3試合いずれも得点を奪うものの攻守のバランスを保てずにいる。今節も攻撃陣の連係はいいとは言えず、攻撃のバラエティも少なく、個人の力技での得点が多いように感じられる。また、前線には若手選手を積極的に登用するも前監督時のようなハツラツとしたプレーは少なくチームへの貢献度も限られたものになっている。
少しずつ勝ち点を積み上げているものの、降格圏までの勝点差は僅かに3ポイント。攻守にバランスの取れた試合展開での勝ち点3が待ち望まれる。
次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでのクイアバ戦。
アメリカ・ミネイロは、勝てる試合を落とした。前節は首位ボタフォゴを相手に一度は同点に追いついたものの突き放され、前々節は2-0のリードを守り切れず逆転負け。今節は最後の10分間をゴール前に押し込まれ1点のリードを守り切れずに試合を終えた。
今季は、守り切りたい場面で失点する場面が多く、シーズン終盤に差し掛かってもその課題が解消できずにいる。
今節の引き分けで、残留圏までの勝点差は12ポイントとなり、残り10試合での逆転は厳しい状況が続いている。全国選手権を面白くするためにも、一試合一試合を大事に、降格したとしても一年で復帰が叶えられるような選手の起用法や戦術を採用し、最後まで積極的な試合を見せてもらいたい。
次戦は10月25日に全国選手権第29節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。
RBブラガンチーノ(RBB) 1-0 フルミネンセ(FLU)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=vBxJiAIeJ6k
(RBB) : 17' #19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)[PK]
見どころ(試合前の順位)
RBブラガンチーノは全国選手権13勝10分4敗勝点49の2位。
フルミネンセは全国選手権12勝6分9敗勝点42の9位。
得点シーン
(RBB)前半17分 :
FWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)が自陣からのボールをに右サイドライン際でハーフラインから抜け出すと、ディフェンダーのマークを外しドルブルでペナルティエリアに向かいそのまま侵入、ディフェンダーに倒されPKを獲得。これをFWエドゥアルド・サーシャがゴール右に決めRBブラガンチーノが先制。(1-0)
FWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)は、フラメンゴ下部組織出身。将来を有望視され、17歳の2022年から多くの試合に出場機会を得たが、2023年は監督交代や、サポーターの期待を裏ぎ続けるチームの成績のために出場機会を失い、8月にRBブラガンチーノにシーズン末まで契約で期限付き移籍加入を果たした。細かいドリブルが最大の特長だが、トップチームでは球離れが課題となっている。試合経験を経て、その課題や守備面での動きなど少しずつ改善、スタメンに起用される機会も増え、日々成長を遂げている。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:47% 53% ⇒ 前後半:46% 54%
シュート(枠内): 前半:9‐7(1-4) ⇒ 前後半:20-12(2-5)
パス成功率: 前半:83% 97% ⇒ 前後半:83% 87%
RBブラガンチーノは、左SBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)が出場停止明け。前節3試合ぶりの先発を飾ったCBルアン・パトリッキ(Luan Patrick, 2002)は出場停止となり、南米予選帰りのエクアドル代表CBレオ・レアルペ(Léo Realpe, 2001)がスタメンに復帰。前節交代出場後僅か1分で3試合連続ゴールをマークしたMFエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)も先発に復帰。
フルミネンセは、FWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)とCBニノ(Nino, 1997)がケガのためベンチ外。VOLアンドレが試合開始時からCBを務め、ボランチはVOLマルチネリ(Martinelli, 2001)とVOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)が務める。
高いボール保持率から、攻撃的なスタイルでゴールを奪いに行く両チームの一戦。
RBブラガンチーノは、前半2分にSBアデルラン(Aderlan, 1990)の角度の浅いクロスが誰にも合わずゴールポストを直撃。前半4分にはFWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)がゴールポストを直撃するシュート。相次いで惜しい場面を迎える。すると、前半14分、FWマテウス・ゴンサウヴェスがドリブルでペナルティエリアに侵入したところを倒されPKを獲得。これをFWエドゥアルド・サーシャが決めRBブラガンチーノが先制。
RBブラガンチーノは、立ち上がりはほぼ全員が相手陣に入りマーク。先制後もペナルティエリアから15mほど上がった高い位置で最終ラインを敷き中盤のスペースを消す。フルミネンセは、自陣から細かくパスを繋ぎ前線にボールを運ぼうとするが、ボールの預け先がなくなるとGKへのバックパスで攻撃をリスタート。しかし、これは相手を自陣に呼び込むだけで、相手陣に大きく広がるスペースを有効に使おうとしない戦術ではあまり意味を持たない。
RBブラガンチーノは、自陣の守備ではクリアする場面とボールを繋ぐ場面にメリハリをつけリスクを管理。中盤にボールが入った際には周りの選手がスプリントでスピーディな攻撃を展開するのに対し、フルミネンセは細かくパスを繋ぐことでスピードに欠け、相手の帰陣を許す。その結果がシュート数の差として表れる。
同じベクトルの戦術だが、その内容は大きく異なり、その差が現在の順位を表している。
RBブラガンチーノは、2引分けを挟み6連勝。首位ボタフォゴとの差を7ポイントに縮めた。
次戦は10月25日に全国選手権第29節アトレチコ・ミネイロをホームに迎える。
フルミネンセは、1引分けを挟み3連敗。途中加入選手は戦術に十分に噛み合わず、レギュラー陣のケガや疲労によるパフォーマンスの低下はによる戦力ダウンはほぼ固定された選手で戦ってきたツケか。11月4日のリベルタドーレス決勝までは主力選手の体調に合わせ、温存しながらの戦いが続くと思われる。全国選手権は不甲斐ない試合が続くかもしれないが、何とかリベルタドーレス決勝はベストメンバーでピークの状態で迎えてもらいたい。
次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームにゴイアスを迎える。
コリチバ(CFC) 0-2 パウメイラス(PAL)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Dlw7ckPUHzA
(PAL) : 33' #15 グスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)[#23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)]
(PAL) : 45+3' #22 ピケレス(Piquerez, 1998)[]
見どころ(試合前の順位)
コリチバは全国選手権5勝5分17敗勝点20の19位。
パウメイラスは全国選手権12勝8分7敗勝点44の5位。
得点シーン
(PAL)前半33分 :
MFハファエウ・ヴェイガが蹴る左CK。ペナルティマークからファーサイド前方に流れたCBグスタボ・ゴメスが頭に合わせたボールはGKが伸ばす指先を越えゴール右に吸い込まれる。(0-1)
CBグスタボ・ゴメスは、2011年、2013年U-20南米ユース選手権、2013年U-20W杯代表。パラグアイ代表として3度のコパ・アメリカなど直近のW杯南米予選も含め70試合4得点を記録。パラグアイの名門リベルタ下部組織出身でラヌース/ARG、インテルミラン/ITAを経て2018年にパウメイラスに加入。守備面だけでなく攻撃面でもセットプレーでの打点の高いヘディングシュートで得点を量産。今季はリベルタドーレスで3得点を記録しているが、全国選手権では8月5日第18節フラメンゴ戦以来のゴール。
(PAL)前半45+3分 :
MFハファエウ・ヴェイガが蹴る右CK。ゴール前に上げたボールはディフェンダーがクリア。ゴール正面ペナルティアークからSBピケレスが左足を振り抜くボレーシュート。これがゴール左隅に決まる。(0-2)
左SBピケレスは現ウルグアイ代表。2021年に初めて代表にされると2022W杯南米予選の7試合に出場1得点。しかし、2022年の本大会は選外。2026年に向けた代表に復帰を果たすと、これまで行われたW杯南米予選の全4試合に出場。パウメイラスには2021年に加入すると翌2022年にはレギュラーの座を獲得し全国選手権ベストイレブンに選出。2023年はケガで3週間、戦列を離れる時期もあったが、今節終了時点で49試合(代表戦を含めると55試合、全国選手権は20試合)に出場、6得点5アシストを記録している。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:41% 59% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:7‐12(3-4) ⇒ 前後半:13-19(4-6)
パス成功率: 前半:79% 80% ⇒ 前後半:80% 80%
コリチバは、0-3で敗れた前節から守備的な3つのポジションでスタメンを変更。CBエンヒキ(Henrique, 1986)、CBタリソン(Thalisson, 2002)、VOLサマリス(Samaris, 1989)を起用。VOLサマリスは約一か月ぶりの試合。
パウメイラスは、スリーバックを採用。前線には高さのあるFWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2001)が入り、スピードのあるFWブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)とのツートップ。VOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)は前節試合中のケガが長引きベンチ外。
立ち上がりはホームのコリチバが高い位置からのプレスを仕掛けパウメイラス陣で試合を展開。前半7分には左SBヴィクトル・ルイス(Victor Luís, 1993)が中央やや左寄りをドリブルで持ち上がり、右サイドへボールを展開。このボールを受けたFWホビソン(Robson, 1991)がペナルティエリアに侵入しシュート。しかし、パウメイラスGKウェヴェルソン(Weverton, 1987)が片手でゴールを阻止。さらに、MFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)がゴールエリア左からディフェンダーを切り返しで綺麗にかわし逆サイドへライナー性のクロス、VOLマテウス・ビアンキ(Matheus Bianqui, 1998)はこれに合わすことができないが、こぼれたボールをMFセバスティアン・ゴメス(Sebastián Gómez, 1996)がシュート、ディフェンダーに当たったボールをVOLマテウス・ビアンキがゴールに押し込むが、最後のプレーが僅かにオフサイド。
コリチバは序盤の大きなチャンスを決めきれずにいると、高い位置でのプレスの強度も落ち、次第にパウメイラスが挽回。コリチバも中を閉じた守備で対応するが、セットプレーから相次いで失点を喫する。
後半に入り再びコリチバは高い位置でのプレスを強化。後半6分には右サイドFKから、後半10分には自陣からのカウンターでパウメイラスゴールに迫るがゴールを奪えない。
後半12分にパウメイラスがFWホニ(Rony, 1995)を投入し、守備ライン裏へのフィードを増やしてくると、コリチバの最終ラインが下がり中盤をコンパクトに保てない。
その後はパウメイラスに試合をコントロールされる時間が長くなり、コリチバは決定機を迎えることができずタイムアップ。
コリチバはホームで0-2の敗戦を喫した。
最近のコリチバは攻守に悪くないサッカーをしているものの、一瞬の隙や、今節では2度のセットプレーなど、守備面で脆く崩れる場面が90分の中に必ず現れ勝ち点を失っている。攻撃面でも決定機を迎えながら最後の局面で詰めを欠き、2試合連続無得点で2連敗。
残り10試合で残留圏までの勝点差は11ポイントと状況は一段と厳しくなった。残り10試合、そして来季に向け、攻守の詰めの甘さなど課題を解消したい。
次戦は10月26日に全国選手権第29節アウェイでのサントス戦。
パウメイラスは、スリーバックを採用。以前から右SBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)が最終ライン右に入る試合は見られたが、センターバックが3人並ぶ形の布陣を敷いた。
前半開始15分はコリチバのプレスと慣れない布陣のためか、WBの裏のスペースを使われ自陣に押し込まれる展開。ピンチを凌ぐと落ち着きを取り戻したものの、課題の攻撃面では右SBマイキ(Mayke, 1992)が好調時同様のクロスを上げるものの、FWフラッコ・ロペスには合わない。
前半のうちにセットプレーから2得点をあげたが、攻撃面の内容は芳しいものではなく、後半にはFWホニを投入。以前のスタイルに戻し試合の主導権を握ったものの、発展性に乏しく、目先の勝ち星を拾った以外にあまり得るもののない試合となった。
この勝利で、公式戦は9月15日以来、約一か月、7試合ぶりの勝利。全国選手権での連敗も4でストップし、順位も4位に再浮上した。
次戦は10月25日に全国選手権第29節ホームでサンパウロとのクラシコ。最近の停滞感を払拭する内容の試合が見たい。