【ブラジル全国選手権2023】第29節(2/2)

投稿者: | 2023年10月24日

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全国選手権第29節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第29節(1/2)
・2023/10/25 フルミネンセ(FLU) x ゴイアス(GOI)
・2023/10/25 RBブラガンチーノ(RBB) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/10/25 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/10/25 パウメイラス(PAL) x サンパウロ(SAO)
・2023/10/25 クルゼイロ(CRU) x バイーア(BAH)
以下の4試合の概要はこの記事で。
・2023/10/25 グレミオ(GRE) x フラメンゴ(FLA)
・2023/10/25 クイアバ(CUI) x コリンチャンス(COR)
・2023/10/26 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/10/26 サントス(SAN) x コリチバ(CFC)
以下の試合は順延。
・2023/11/23 フォルタレーザ(FOR) x ボタフォゴ(BOT)

全国選手権第29節 試合概要

グレミオ(GRE) 3-2 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=jBdJJhGEsu8
(FLA) : 42' #11 エヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)[]
(GRE) : 76' #10 フェヘイラ(Ferreira, 1997)[#20 ビジャサンチ(Villasanti, 1997)]
(GRE) : 81' #32 ナタン・ヒベイロ(Nathan Ribeiro, 2005)[#19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)]
(GRE) : 86' #77 アンドレ(André, 2001)[#19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)]
(FLA) : 89' #31 ルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)[#7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権13勝5分10敗勝点44の4位。
   フラメンゴは全国選手権14勝8分6敗勝点50の3位。

得点シーン

(FLA)前半42分 :
自陣からVOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)のパスを左サイドライン際で受けたFWエヴェルトン・セボリーニャがドリブルでペナルティエリアに迫る。FWエヴェルトン・セボリーニャは右サイドへのパスをブロックされるがそのボールを確保、間合いを詰めるGKの脇を抜くシュートでフラメンゴに先制点をもたらす。(0-1)
   FWエヴェルトン・セボリーニャは試合序盤から複数のチャンスを創出していたが、相手陣入口からドリブルで持ち上がったプレーでゴールをマーク。監督交代後初の先発起用の期待に応えた。
(GRE)後半31分 :
相手陣でVOLビジャサンチがパスカット。そのまま縦にボールを持ち上がり左サイドのFWフェヘイラにボールを送る。FWフェヘイラもボールを持つと縦に上がりVOLビジャサンチにボールを戻す。そのボールをVOLビジャサンチがダイレクトにライン裏へ流すとFWフェヘイラがサイドネットを狙ったシュート。(1-1)
   FWフェヘイラはグレミオ育成出身で2018年1月の州選手権で期限付き移籍先のトレドから20歳のデビュー。その後、複数の期限付き移籍を経て、2020年にはグレミオで41試合(うち先発12試合)に出場。翌2021年にはレギュラーの座を獲得し52試合(うち先発45試合)14得点13アシストを記録。しかし、2022年は相次ぐケガのため、8月21日の試合を最後に戦列を離脱。2023年年初に復帰を果たすが、4月にケガが再発し3か月の離脱。7月の復帰後は途中交代出場を中心にコンスタントに試合に出場、このゴールは8月13日の復帰後初ゴール以来の今季全国選手権2点目のゴール。
(GRE)後半36分 :
ペナルティエリア内でボールを受けたMFクリスタウドが、ディフェンダーのマークに前後に動きながら辛うじてボールをキープすると、ペナルティエリア入口に位置取るFWナタン・ヒベイロへボールを送る。FWナタン・ヒベイロがダイレクトに右足を振り抜くとボールはゴールネットを揺らす逆転弾。(2-1)
   FWナタン・ヒベイロ・フェルナンデスは、グレミオ下部組織出身で、2023年5月27日全国選手権第8節アトレチコ・パラナエンセ戦で18歳のプロデビュー。今季は主戦場はU-20ながら、トップチームでも今節が5試合目の出場。出場時間通算100分を目前に記念すべきプロ初ゴールを飾った。
(GRE)後半41分 :
相手陣アタッキングサード入口でのスローイン。中央に送られたボールにMFクリスタウドが頭でボールを叩きつけ前方に送ると、FWアンドレが右足を振り抜きボールをゴール左隅に突き刺す。(3-1)
   FWアンドレは、全国選手権4部エルシリオ・ルースから今季末までの期限付き移籍でグレミオでプレー。全国選手権開幕前の4月4日に加入が発表されると、今節終了時点で全国選手権17試合、コパ・ド・ブラジル4試合に出場。先発出場は1試合のみで交代出場が続くが、327分の出場時間で3得点を記録。契約終了時に40%の保有権に対し160万ユーロ、1年後にさらに追加の40%に対し同額の買取オプションは、グレミオにとって財政上負担が大きく、グレミオは買取に対して二の足を踏んでいる。
(FLA)後半44分 :
ペナルティエリア入口左外からのエヴェルトン・ヒベイロが蹴るFK。ニアサイドでMFルイス・アラウージョが頭を合わせる。
   MFルイス・アラウージョは、サンパウロ下部組織出身で、2016年3月に期限付き移籍先のノヴォリゾンチーノからサンパウロ州選手権で19歳のプロデビュー。2017/18シーズンを前にリール/FRAへ移籍、2021年シーズン目にはアトランタユナイテッド/USAへ移籍する。前任ホルヘ・サンパオリ監督の強い要望で900万ユーロの移籍金で2023年6月末にフラメンゴに加入したものの、出場時間は伸びず、今節終了時点で16試合373分の出場にとどまっている。チチ監督就任後は前節に続き試合終盤での交代出場、このゴールを機に出場機会を増やしたい。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:37% 63% ⇒ 前後半:38% 62%
シュート(枠内): 前半:4‐4(1-2) ⇒ 前後半:11-6(4-4)
パス成功率: 前半:79% 88% ⇒ 前後半:80% 89%

   グレミオは、出場停止のFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)など、5選手が前節から変更されたスターティングイレブン。前節でプロデビュー、デビュー2戦目となった10代の選手はベンチスタート。布陣は0-3で敗れた前節に引き続き3CBによる3バック。選手選考や戦術の意図が読めない采配で試合に臨む。
   フラメンゴは、チチ新監督が采配を執り3試合目。過去の2試合は無失点で2連勝を飾っている。今節のスタメンは、出場停止のCBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)に代わりCBパブロ(Pablo, 1991)、前線にはFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)に代わりFWエヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)が抜擢される。

   グレミオは、フラメンゴのピッチを前後左右に広く使いボールをテンポよく繋ぐサッカーの前に、前半は終始後手に回る展開。最後の局面でディフェンダーの体を張ったシュートブロックやGKグランド(Frando, 2000)の堅実な守備で1失点で凌ぎ後半を迎える。
   後半開始時にFWフェヘイラを投入。後半25分に3バックを諦め、MFクリスタウドを投入し4バックに変更。さらに、前線に若さのあるFWアンドレとFWナタン・フェルナンデスを投入。するとこの選手交代が功を奏し、後半30分からの10分間で交代投入されたFW3選手が各1ゴール、MFクリスタウドの2アシストで3ゴールを連取。一気に試合をひっくり返すとフラメンゴの反撃を1点に抑え、5試合ぶりの勝利を収めると共に連敗を3で止めた。
   この勝利で全国選手権6位を維持。3位パウメイラスまでの勝点差は3ポイントでまだまだ上位進出が狙える順位をキープした。
   次戦は10月28日に全国選手権第30節、苦手のアウェイで最下位アメリカ・ミネイロとの対戦が予定されている。

   フラメンゴはチチ監督就任後の初黒星。後半31分に采配3試合目にして初ゴールを許すと約10分間に相次ぐ3失点。グレミオのシステム変更にディフェンスが対応する前に一気に畳み掛けられた。
   とは言え、試合は攻撃でピッチを広く使いテンポのいいパス回しで試合を優位に進め、今後の連係改善でさらなる攻撃力アップが期待できる内容。また、3試合目で初スタメンに起用したFWエヴェルトン・セボリーニャが多くのサポーターからの批判を一蹴する活躍。加入後出場機会に恵まれずセボリーニャ同様サポーターからの批判の的となるMFルイス・アラウージョが途中出場からゴールを奪うなど、監督のモチベーターとしての手腕も発揮。残り9試合や来季に向けチームとしての成長力が期待される。
   今節は敗れたものの全国選手権は4位をキープ。
   全国選手権第30節ホームでのRBブラガンチーノ戦が11月23日に順延され、次戦は11月1日に全国選手権第31節ホームでのサントス戦。中6日の日程を有効に使い連係を高めてサントス戦二臨みたい。

クイアバ(CUI) 0-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=YJOJnimeEzk
(COR) : 77' #11 ロメロ(Romero, 1992)[#4 ジウ(Gil, 1987)]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権10勝7分11敗勝点37の10位。
   コリンチャンスは全国選手権7勝12分9敗勝点33の13位。

得点シーン

(COR)後半32分 :
相手陣右サイドライン際浅めの位置からMFマチアス・ロハス(Matías Rojas, 1995)が蹴るFK。ファーサイドゴールライン際に蹴られたボールをCBジウが空中戦に競り勝ち中央へ折り返し。そこにFWロメロが現れボールを押し込みコリンチャンスが貴重な先制点を奪う。(0-1)
   FWロメロは、パラグアイ代表で2021コパ・アメリカなど41試合8得点。コリンチャンスには2014年途中から2018年まで在籍し209試合35得点17アシストを記録。その後サンロレンソ/ARG、クルスアスル/MEXを経て、2023年シーズン前にコリンチャンスに復帰。前任ルシェンブルゴ監督の若手選手を積極的に起用する選手起用法のため、あまり多くは恵まれてはいなかったの出場機会も、8月以降は次第に増えていき、9月30日の第25節サンパウロ戦で今季全国選手権の初ゴール。このゴールはそれ以来2点目、貴重な決勝ゴールとなった。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:50% 50% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:6‐5(2-2) ⇒ 前後半:17-9(3-5)
パス成功率: 前半:82% 87% ⇒ 前後半:82% 86%

   クイアバは、2戦連続で途中出場から得点に関与(1得点1アシスト)したFWイシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)を全国選手権3度目の先発に起用。他のポジションは前節のスターティングイレブンから変更はない。
   コリンチャンスは、出場停止明けのVOLマイコン(Maycon, 1997)、前節終了間際に同点ゴールをマークしたMFジウリアーノ(Giuliano, 1990)、実績と経験を買われ最近出場機会が増えているFWロメロ(Romero, 1992)など、前節から5つのポジションで先発メンバーを変更。結果も内容も伴わない中試行錯誤が続く。

   クイアバは、前半から速いチェックでコリンチャンスの攻撃を封じ、相手陣で試合を優位に進める。前半3分にFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)が角度のない位置からシュート。前半4分、11分には相次いで左SBヒケウミ(Rikelme, 2003)の浅い位置からのクロスでチャンスを迎える。しかし、好機を逃し続けると、次第にコリンチャンスの守備網を前に効果的にボールを繋ぐことができなくなっていく。
   前半28分には相手陣でのボール奪取からVOLハニエリ(Raniele, 1996)がミドルシュート。ボールは枠を捉えるがコリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)が辛うじて片手でCKに逃れる。このプレーを機に再びクイアバが優位に試合を進めるがゴールを奪うまでは至らない。
   クイアバは後半6分、12分と相次いで相手ゴールに迫りシュートまで持ち込むがシュートは枠を捉えない。比較的に優位に試合を進めながら、最後の局面に精度を欠き続けると、後半32分にFKから失点。その後は低く引いて中を閉ざすコリンチャンスの守備陣を崩すことができずタイムアップ。ホームで試合を優位に進めたものの、シュートは枠を捉えることが少なく、0-1の敗戦を喫した。
   先発のチャンスを得たFWイシドロ・ピタだったが、今節は連係が噛み合わずいい形でボールを受けることができず、また、ゴール前にポジションをとることも多く、得意のスピードを生かしたプレーや思い切ったミドルシュートを見せることができなかった。
   この結果、5試合ぶりの黒星で1つ順位を落とし全国選手権は12位。まだ降格圏までの勝点差は6ポイントあるが、早く残留を確定し来季に向けた取り組みに取り掛かりたい。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、アウェイでのボタフォゴ戦。

   コリンチャンスは、少ないチャンスをゴールに結びつけ1-0の勝利。しかし、守備的な布陣で多くのシュートを浴び、攻撃面ではカウンターとベテランMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)に頼ったシーズン当初のサッカーに逆戻り、将来性や成長力を感じさせない内容。
   MFヘナト・アウグストは、前半23分に軽く浮かしたチップキックのあわやゴラッソというシュート、後半18分のミドルシュートなど、経験に裏打ちされたプレーで攻撃陣を牽引。FWユーリ・アウベルトは、孤立する場面も見られたが、カウンターのターゲットとしてチームに前への推進力を与えた。
   監督交代後5試合目にして初勝利。しかし、チームは攻撃面での連係が一向に見られず、繰り返しになるが、将来性や成長力を感じさせない内容での勝利。一先ずは残留争いから抜け出すことは出来たが今後も苦しい状況が続くように思われる。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、ホームでサントスとのクラシコ。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 1-2 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=nunUUSoqRMU
(INT) : 20' #27 マウリシオ(Maurício, 2001)[#10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)]
(INT) : 59' #13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)[#16 ブストス(Bustos, 1996)]
(VAS) : 84' #7 アレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)[#16 エリキ・マルクス(Erick Marcus, 2004)

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権8勝6分14敗勝点30の16位。
   インテルナシオナウは全国選手権9勝8分11敗勝点35の12位。

得点シーン

(INT)前半20分 :
相手陣左サイドライン際でボール奪取。FWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)からペナルティエリア中央手前のMFアラン・パトリッキにボールが繋がると、守備ラインの頭を越す柔らかいロビングのボール。走り込んだMFマウリシオがダイレクトに左足を合わせゴールに蹴り込む。MFアラン・パトリッキのアイディアに富んだパスが生み出したゴラッソ。(0-1)
   MFアラン・パトリッキは、2013年7月‐2014年12月にかけてシャクタルドネツク/UKRからの期限付き移籍によりインテルナシオナウでプレー。2022年ウクライナ戦争を機にインテルナシオナウに復帰。オフザボールでは相手選手の背後にポジションを取り、ワンタッチで次のプレーに繋がる地点にボールを置き、ボールをもってはフリーの選手に精度の高いパス、シュートコースを見つけるや多様なシュートでゴールを奪うこれぞ正しくクラッキと思わせる選手。
(INT)後半14分 :
自陣ゴール前でのFKからGKロチェ(Rochet, 1993)のロングフィード。相手ペナルティエリア手前での空中戦のこぼれ球をSBファブリシオ・ブストスが拾うと、守備ライン裏へスルーパス。そのボールに反応したFWエネル・バレンシアがシュートに持ち込むと、間合いを詰めるGKに当たりながらもボールはゴールに吸い込まれる。(0-2)
   GKロチェは、2022W杯3試合などウルグアイ代表として16試合に出場。直近の2026W杯南米予選ブラジル戦では無失点に抑え込む。2026年末までの契約で2023年7月13日にインテルナシオナウに加入。移籍金は70%の保有権に対し160万USドル。俊敏で躊躇のないプレーで最後の砦としてインテルゴールを守る。
(VAS)後半39分 :
相手陣センターサークルを出た位置からVOLジャイール(Jair, 1994)が左サイドライン際のFWエリキ・マルクスへボールを送る。FWエリキ・マルクスはディフェンダーのマークをかわしゴール前に上げたクロスボールに、相手CBの間に走り込んだFWアレックス・テイシェイラが頭を合わせゴールネットを揺らす。(1-2)
   FWアレックス・テイシェイラは、2007U-17W杯4試合2得点、2009U-20W杯7試合3得点。ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で2008年1月のリオデジャネイロ州選手権で18歳のプロデビューを果たすと、その年は55試合7得点を記録。翌2009年シーズン終了後にシャクタルドネツク/UKRへ600万ユーロの移籍金で移籍。2016年には江蘇/CHNに5000万ユーロの移籍金で加入。2021年に江蘇およびその親会社の経営悪化により契約は失効、ベシクタシュ/TURを経て、2022年7月にヴァスコ・ダ・ガマ復帰を果たし、ヴァスコ・ダ・ガマの1部昇格に貢献。2023年もマウリシオ・バルビエリ(Mauricio Barbieri)監督の下、豊かな経験と攻守に献身的なプレーでレギュラーとして活躍するが、監督交代を機に出場機会を失っていた。このゴールは今季全国選手権での初ゴール。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:48% 52% ⇒ 前後半:51% 49%
シュート(枠内): 前半:3‐4(1-3) ⇒ 前後半:14-8(6-5)
パス成功率: 前半:89% 89% ⇒ 前後半:87% 88%

   ヴァスコ・ダ・ガマは、敗れはしたものの試合を優位に運び、内容的に引けを取らなかった前節フラメンゴ戦と同じ顔ぶれのスターティングイレブン。連係を高め連敗を阻止したい。
   インテルナシオナウも前節7-1で完勝を収めたサントス戦とスターティングイレブンに変更点はなし。4か国の現役代表と9月のU-23ブラジル代表に招集された2選手、元アルゼンチン代表2選手が揃う豪華なスターティングイレブン。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、高い位置に最終ラインを敷き中盤をコンパクトに保ち、前線でのプレスからハーフライン前後でボール保持者を囲い込みに来るインテルナシオナウの守備網を掻い潜り、前半5分、19分とインテルゴールに迫る。
   ヴァスコはその後も動きの激しい中盤の攻防を優位に立っていたものの、前半20分、敵陣を目の前にした地点でボールを失うとインテルに先制点を奪われる。続く前半23分、インテルMFマウリシオのシュートをGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が片手でストップ。前半44分にはカウンターで抜け出したインテルFWエネル・バレンシアのシュートを再びGKレオ・ジャルジンがストップ。
   前がかりになるチームの後方でGKレオ・ジャルジンが試合を支える。
   後半は前半の終盤に引き続き、インテルナシオナウは守備ラインが自陣に引きカウンターを狙い、ヴァスコはボールを回しながら攻撃の糸口を探す展開で始まる。後半12分、左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)がゴールライン手前からゴール前にクロス。そこにFWベヘッチ(Vegetti, 1988)が現れ頭を合わせるがGKロチェが至近距離のシュートを片手で弾き返す。
   絶好の好機を逸すると、後半14分、インテルGKロチェのロングフィードを起点にFWエネル・バレンシアのゴールで追加点を許す。
   失点後に相次いでインテルがヴァスコゴールに迫るが、GKレオ・ジャルジンが抜け出したFWエネル・バレンシアのシュートをストップするなど、チームを鼓舞。すると攻撃陣も後半29分のSBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)のシュートを皮切りに後半35分、37分と相次いでシュートに持ち込み、後半39分に1点を返す。その後もヴァスコは猛攻を仕掛けるが、相次いで退場者を出し、ペナルティエリア内で人の壁を形成するインテル守備を崩すことができずタイムアップ。
   ヴァスコ・ダ・ガマは2試合で内容の濃い試合を展開するが、結果が伴わず2連敗。しかし、今節はレギュラー陣が複数の惜しい場面を創出、最近の試合で出場機会に恵まれていなかった選手がゴールに絡むなど、チーム全体の底上げが実感できた試合。ゴールを許したプレーやゴールを逃したプレーを検証し、細部の精度を高め残り9試合で降格圏から抜け出したい。
   全国選手権の順位は18位。降格圏脱出までの勝点差は3ポイントまで広がったが、好内容の試合展開に自信を失わず最後まで自分たちを信じて戦ってもらいたい。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、アウェイで17位ゴイアスとの残留争いの直接対決が控えている。

   インテルナシオナウは、豪華な顔ぶれが前線や中盤のプレスを怠らないプレーでチームとして統一感を持った試合を展開。試合序盤はプレスを掻い潜られ危ないシーンも見られたが、ウルグアイ代表GKロチェが最後の砦となりゴール前に立ちはだかる。
   前半20分に相手陣でのボール奪取から先制。
   後半序盤も攻め込まれたものの、GKロチェからのロングフィードで追加点。2点リード後は自陣に引いた守備を敷き、ヴァスコに押し込まれ1点を許したものの、最後までリードを守り切り、勝ち点3を獲得。
   今節の勝利の結果、勝ち点38で11位に浮上。シーズン途中の補強によるところが大きいとはいえ、豪華な顔ぶれの先発陣が攻守にワードワークを厭わず、控えにも実力者が控った選手層はこの順位には不釣り合いな印象。来年もリベルタドーレスや全国選手権序盤からこの顔ぶれの試合を拝見したい。そのためには残り9試合で9ポイントの勝点差を巻き返す必要があるが、それも決して不可能ではない。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、ホームにコリチバを迎える。

サントス(SAN) 2-1 コリチバ(CFC)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=AvDZyOo4ST0
(SAN) : 4' #xx オウンゴール[Gol Contra]
(CFC) : 11' #30 ホビソン(Robson, 1991)[PK]
(SAN) : 73' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#10 ソテウド(Soteldo, 1997)]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権8勝6分14敗勝点30の17位。
   コリチバは全国選手権5勝5分18敗勝点20の19位。

得点シーン

(SAN)前半4分 :
ペナルティエリア右手前の位置からMFルーカス・リマが蹴るFK。ファーサイドを後方から駆け上がりディフェンダーの前に入ったCBジョアキンがドンピシャのタイミングで頭を合わせゴールネットを揺らす。と見えたが、公式記録はオウンゴール。(1-0)
   CBジョアキンは、サンパウロ州選手権下位リーグのパウリスタから2019年4月に21歳でプロデビュー。その後複数のクラブを経て2021年クイアバに加入。2022年序盤に期限付き移籍先のボタフォゴ‐SPで試合経験を積むとクイアバ復帰後の6月半ばにポジションに定着。2023年2月にクイアバから300万ユーロ相当額の移籍金でサントスに加入。一対一の強さと的確なカバーリングを武器に加入後間もなくレギュラーの座を掴む。最近の試合ではセットプレーでのターゲットとして6試合で3アシストを記録。今節は自らがゴールを奪ったように思われたが、記録上はオウンゴール。全国選手権でのクラブ初ゴールは逃したが、残り9試合で複数のゴールが期待できるほどセットプレーではゴール前の強さを見せている。
(CFC)前半11分 :
左サイドからゴール前にボールを上げると、混戦からFWホビソンがボールを流し、MFマテウス・ビアンキ(Matheus Bianqui, 1998)がシュート。このボールがディフェンダーの腕に当たりPKを獲得。FWホビソンが勝ったPKはGKが腕に当てたもののボールの勢いが勝りゴールイン。失点後間もなくコリチバが同点に追いつく。
   FWホビソンは、2023年シーズン前にコリチバに加入、コリチバでは2019-20年に続く2度目の在籍。前回は2年間で67試合20得点4アシストを記録した。今季は今節終了時点で40試合9得点6アシスト、全国選手権は25試合7得点4アシストを記録しておりチーム30ゴールのうち3分の1に関与している。
(SAN)後半28分 :
左ショートコーナーからFWソテウドがペナルティエリア内でディフェンダーのマークをかわしゴール前ファーサイドへ柔らかいクロス。FWマルコス・レオナルドがフリーの体勢で頭を合わせゴールネットを揺らす。(2-1)
   FWマルコス・レオナルドは、U-20W杯出場のため全国選手権の5試合に欠場するも出場23試合で13得点2アシスト。選手権序盤は守備的なチーム戦術のためカウンターやセットプレーで多くのゴールをマーク、マルセロ・フェルナンデス監督代行が指揮を執る最近の6試合は攻撃的な戦術の中、流れの中で5ゴールをマーク。ポジショニングの妙と多彩なシュートで様々な状況からゴールを決めている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:53% 47% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:10‐2(4-1) ⇒ 前後半:21-3(7-2)
パス成功率: 前半:86% 79% ⇒ 前後半:84% 73%

   サントスは、前節インテルナシオナウ戦で1-7の記録的な大敗。この時の先発陣からは出場停止明けの3選手、GKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)、VOLジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)、FWソテウド(Soteldo, 1997)が復帰する変更のみ。
   2試合連続無得点で2連敗中のコリチバだが、出場停止明けのVOLウィリアン・ファリアス(Willian Farias, 1989)とCBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004)と守備的なポジションの変更に止まり、攻撃陣の変更はない。固い守備から連係を高めた攻撃陣へのスムーズな移行でゴールを目指す意図が感じられる。

   サントスが開始25秒にFWマルコス・レオナルドがゴールポストを直撃するビシクレッタ。立ち上がりから攻撃の圧力を強めると、早くも前半4分に先制。ホームのサントスがこのまま試合の主導権を握るかと思われたが、前半5分のプレーでコリチバにPKが与えられる判定。VARによる検証とオンフィールドレヴューの結果、ハンドか否かの微妙なプレーは判定通りコリチバにPKが与えられる。これをコリチバFWホビソンが決め、試合は振出しに戻る。
   前半17分、コリチバがゴールネットを揺らすが、一連のプレーにオフサイドがありゴールは無効。一方のサントスもFWマルコス・レオナルドが前半29分にゴールを僅かに外れるヘディングシュート、さらに前半32分にMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)とのタベーラからシュートに持ち込むがボールは僅かに枠を捉えない。コリチバは前半38分にVOLウィリアン・ファリアスがこの試合2枚目のイエローカードを提示され退場。残りの50分近くを一人少ない状況での試合を余儀なくされる。
   後半は一人多いサントスがボールを支配。後半17分のペナルティエリア手前からのFWマルコス・レオナルドのシュートはGKガブリエウ(Gabriel, 1992)が両手で跳ね返し、後半20分に左サイドからのMFジアン・ルーカスのクロスにFWフルチ(Furch, 1989)が頭で合わせたシュートはゴールポストが跳ね返す。
   しかし、後半28分、FWソテウドのクロスからFWマルコス・レオナルドが頭を合わせたシュートはゴールネットを揺らし、遂に数的優位に立つサントスがリード。試合終了間際にコリチバもゴールから40m近い位置でのFKを直接狙うがGKジョアン・パウロが冷静に弾き出す。
   試合はサントスが前節の屈辱的な敗退を払拭し、2-1の勝利を収めた。

   サントスは、立ち上がりから攻撃的な姿勢を示し先制。微妙な判定によるPKで同点に追いつかれたものの、数的有利に立つとカウンターを警戒しながらもボールを支配し後半に勝ち越し。その後はしっかりと試合を締め勝ち点3を手中に収めた。
   FWソテウドが細かなドリブルや視野の広いパスで何度もチャンスを作り、FWマルコス・レオナルドが決勝点。MFジアン・ルーカスやVOLトマス・リンコン(Tomás Rincón, 1988)がコリチバのカウンターの芽を摘み取っては攻撃陣に効果的なボールを供給する理想的な試合運び。
   連敗を2で止め勝ち点を33に伸ばしたサントスは、降格圏を抜け出し16位に浮上。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、アウェイでコリンチャンスとのクラシコが予定されている。

   コリチバは、残留争いのライバル、サントスに痛い敗戦。PKを獲得した場面で主審がオンフィールドのモニターを観に行く際にVOLウィリアン・ファリアスが暴言を吐き警告。前半40分を前に足元への危険なタックルで2枚目の警告を貰い退場。1枚目の警告はそのままコリチバにPKが与えられただけに愚か以外に表現のしようのない警告となった。
   この敗戦で降格圏脱出までの勝点差は13ポイント。残りは9試合で状況はさらに厳しいものとなった。
   次戦は10月29日に全国選手権第30節、アウェイでのインテルナシオナウ戦。爆発的な攻撃力を誇る相手にいかに守るかが焦点となる。

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