【ブラジル全国選手権2023】第30節(2/2)

投稿者: | 2023年10月28日

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全国選手権第30節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第30節(1/2)
・2023/10/28 パウメイラス(PAL) x バイーア(BAH)
・2023/10/28 アメリカ・ミネイロ(AME) x グレミオ(GRE)
・2023/10/28 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x フルミネンセ(FLU)
・2023/10/29 ゴイアス(GOI) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/10/29 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x サンパウロ(SAO)
以下の3試合の概要はこの記事で。
・2023/10/29 コリンチャンス(COR) x サントス(SAN)
・2023/10/29 インテルナシオナウ(INT) x コリチバ(CFC)
・2023/10/29 ボタフォゴ(BOT) x クイアバ(CUI)
以下の2試合は順延。
・2023/11/18 フォルタレーザ(FOR) x クルゼイロ(CRU)
・2023/11/23 フラメンゴ(FLA) x RBブラガンチーノ(RBB)

全国選手権第30節 試合概要

コリンチャンス(COR) 1-1 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=__RYbPj0lb8
(COR) : 57' # オウンゴール(Gol Contra)[]
(SAN) : 90+9' #20 メンドーサ(Mendoza, 1992)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   コリンチャンスは全国選手権8勝12分9敗勝点36の14位。
   サントスは全国選手権9勝6分14敗勝点33の16位。

得点シーン

(COR)後半12分 :
SBファギネル(Fagner, 1989)が蹴るCK。ニアサイドでFWロメロ(Romero, 1992)がコースを変えるとFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)が飛び出し足に合わせる。サントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)がこの至近距離のシュートをブロック、ゴールポストを叩いたボールをディフェンダーがクリアを図るが、図らずもゴールネットを揺らしてしまう。(1-0)
(SAN)後半45+9分 :
FWソテウド(Soteldo, 1997)がペナルティエリア内左を縦に仕掛ける。ディフェンダーを1人かわし、2人目をかわしたところで転倒。VARの結果、ディフェンダーの足がFWソテウドの足に掛かっており、サントスにPKが与えられる。このPKをFWメンドーサがGKの逆を突いたシュートで決めサントスが土壇場で同点。(1-1)
   FWソテウドは、W杯南米予選も含め最近の試合はゴールに絡むプレーを連発。公称160㎝と小柄な体形ながら、重心の低い細かいタッチながらスピードのあるドリブルと、広い視野から繰り出される決定的なパスで残留争いを繰り広げるサントスで輝きを放っている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:61% 39% ⇒ 前後半:56% 44%
シュート(枠内): 前半:12‐0(5-0) ⇒ 前後半:15-8(6-3)
パス成功率: 前半:83% 64% ⇒ 前後半:80% 74%

   コリンチャンスは、褒められた内容ではなかったものの1-0で勝利を収めた前節クイアバ戦から、右SBをSBブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)からSBファギネルに変更しただけのスターティングイレブン。
   サントスは、2-1の勝利に終えた前節コリチバ戦から、左WBケヴィソン(Kevyson, 2004)に代えVOLロドリゴ・フェルナンデス(Rodrigo Fernández, 1996)にスタメンを変更。守備面で中盤を閉じる狙いか。

   前半はシュート数がコリンチャンスの12本に対しサントスはゼロ。この数字が示す通りコリンチャンスがボールも陣地も支配する展開。前半14分、CKのクリアボールを拾ったVOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)のミドルシュート、前半16分にはペナルティエリア内のゴールライン際からのマイナスのボールを足に合わせたFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)の至近距離のシュート、前半42分の左CKからのCBジウ(Gil, 1987)のヘディングシュート、前半45+2分の左サイドからのクロスにフリーで足を合わせたMFジウリアーノ(Giuliano, 1990)のボレーシュート。これらはいずれも枠を捉えるがサントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が相次ぐビッグセーブでゴールを守り切る。
   後半30秒過ぎにサントスはMFソテウド(Soteldo, 1997)のパスを受けたMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)がチーム初シュート。しかし、シュートの勢いは弱くGKカシオ(Cássio, 1987)の正面を突く。その30秒後にもMFソテウドのパスを受けたFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)がシュートに持ち込むが枠を大きく越えていく。
   この1分間が過ぎると再びコリンチャンスがボールを支配。後半12分にコリンチャンスのCKからの至近距離のシュートはまたもやGKジョアン・パウロがストップ。しかし、味方のクリアボールのミスキックは防ぐことができずコリンチャンスが先制。
   リードを奪ったコリンチャンスは試合のペースを落とし自陣で守備ブロックを構築。一方のサントスは相次いで攻撃的な選手を投入。後半41分、サントスは左サイドからのクロスをファーサイドでFWフルチ(Furch, 1989)が折り返しFWマキシ・シルベラ(Maxi Silvera, 1997)がダイレクトボレー。しかし、CBジウがゴールライン上のクリア。
   このままコリンチャンスが逃げ切るかと思われた後半アディショナルタイム、MFソテウドがペナルティエリア内ドリブルを仕掛け、そのまま倒されサントスがPKを獲得。これをFWメンドーサが決め試合は終了。残留争いに巻き込まれいる2チームは痛み分けの勝ち点1を獲得するにとどまった。

   コリンチャンスは高い位置での素早い寄せと、サントスの多発するミスに便乗し、相手陣で試合を展開。しかし、サントスGKジョアン・パウロの再三の好セーブがあったとは言え、奪った得点はオウンゴールの1点のみ。
   先制後は守備を固めるものの試合終了間際にPKを与え引き分けに終えた。
   マノ・メネゼス監督が率いて6試合が終了し、1勝4分1敗で勝ち点7の積み上げ。降格圏までの勝点差は、就任時の4ポイントが5ポイントに僅かに広がったにとどまり、残留争いから抜け出せずにいる。
   攻撃面では6試合で7得点を記録し、今節では得点機会も多く作り出したが、何かが足りない印象。監督が得意とする守備の再構築も上手く運べず、足踏み状態が続いている。
   次戦は11月1日に全国選手権第31節、ホームにアトレチコ・パラナエンセを迎える。

   サントスは、1-7で大敗を喫したインテルナシオナウ戦同様マークが甘く、攻守に細かなミスを連発し、前半をシュートゼロに抑えられる不甲斐ない試合。4本の決定的なシュートを防いだGKジョアン・パウロが目立つのみだった。
   失点後にはコリンチャンスが引いたこともあり、シュートに持ち込む場面も増えはしたが、決定機は終盤まで迎えることができず、何とか後半アディショナルタイムでのPK獲得で同点。
   不甲斐ない試合ながらも残留争いのライバルを相手に試合終了間際で勝ち点1を奪い、コリンチャンスから勝ち点2を奪ったことは今後大きな影響を与える可能性も。
   試合ごとに、試合展開が大きく変わる安定感のなさが気になるところだが、残留に向け今節同様内容の薄い試合でも少なくとも勝ち点1を加算していきたい。
   次戦は11月1日全国選手権第31節、アウェイでのフラメンゴ戦が予定されている。

インテルナシオナウ(INT) 3-4 コリチバ(CFC)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=7eUonAJ9_JY
(CFC) : 28' #33 ガルセス(Garcez, 1997)[]
(INT) : 43' #10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)[PK]
(CFC) : 45+4' #17 マテウス・ビアンキ(Matheus Bianqui, 1998)[#30 ホビソン(Robson, 1991)]
(CFC) : 70' #30 ホビソン(Robson, 1991)[PK]
(INT) : 83' #8 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1989)[#30 ジョニー(Johnny, 2001)]
(CFC) : 90' #30 ホビソン(Robson, 1991)[PK]
(INT) : 90+12' #13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)[]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権10勝8分11敗勝点38の11位。
   コリチバは全国選手権5勝5分19敗勝点20の19位。

得点シーン

(CFC)前半28分 :
相手陣でボールを展開。前線には5~6選手が並ぶ人数をかけた攻撃。右SBナタナエウ(Natanael, 2002)にボールが渡るとGKと最終ラインの間へのグランダーのクロス。ディフェンダーが足に当てたボールはゴールポストを叩き、その跳ね返りをFWガルセスがファーサイドのサイドネットに突き刺す。(0-1)
   FWガルセスは、2023年7月9日に全国選手権2部ブルスキから買取オプション付きの期限付き移籍でコリチバに加入。それまではCSKAソフィア/BULでプレー。あまり出場機会は恵まれていなかったものの、直近は4試合連続出場。今節で初のスタメンに抜擢されるとその期待に応えるかのように貴重な先制点をマーク。このゴールを機に前線のポジション争いを過熱化しチームの1部残留に繋げたい。
(INT)前半43分 :
相手陣深く左サイドからのスローイン。ペナルティエリア内でボールを受けたMFマウリシオ(Maurício, 2001)が転倒。背後から押されたとしてインテルナシオナウにPKが与えられる。このPKをMFアラン・パトリッキが強烈なシュートでGKの指先を抜きインテルナシオナウが同点。(1-1)
(CFC)前半45+4分 :
自陣から相手陣右サイドにボールを展開。右SBナタナエウが一列内で守備ライン裏をうかがうFWホビソンにパス。これを受けたFWホビソンは大きめのクロス。中央からファーサイドに流れた長身MFマテウス・ビアンキが逆サイドへヘディングシュートを決める。(1-2)
   MFマテウス・ビアンキは、ロンドリーナ下部組織出身で2019年1月のパラナ州選手権で20歳のプロデビュー。2022年に期限付き移籍でシャペコエンセに加入し全国選手権2部で31試合に出場する。2023年はマリンガで州選手権を1得点4アシストの成績でチームの準決勝進出に貢献すると、全国選手権開幕後の4月19日に買取オプション付きの期限付き移籍でコリチバ入り。当初は途中交代出場が多かったものの、次第にスタメン起用も増え、10月8日全国選手権第26節アトレチコ・ミネイロ戦でクラブ初ゴール。このゴールはそれ以来の今季コリチバでの2点目のゴール。
(CFC)後半25分 :
インテルGKロチェ(Rochet, 1993)のロビングのパスをめぐる空中戦のこぼれ球をペナルティエリア内でFWホビソンが拾うが倒される。副審はオフサイドフラッグを掲げるがVARによる検証の結果、オフサイドは認められない。コリチバにPKが与えられると、FWホビソンは中央やや右の上部にボールを蹴り込む。(1-3)
   FWホビソンは、2023年シーズン前にコリチバに加入、コリチバには2019-20年に続く2度目の在籍。前回は2年間で67試合20得点4アシストを記録した。今季は今節終了時点で41試合11得点7アシスト、全国選手権は26試合9得点5アシストを記録。今節は2得点1アシスト、2試合連続のゴール。
(INT)後半38分 :
左サイド深い位置からののFK。ゴール前に上げられたボールは大きく前後に行きかうが、VOLジョニーがペナルティアーク手前で確保。一列左のMFブルーノ・エンヒキにボールを送ると、マークの甘くなったところをMFブルーノ・エンヒキがGKの頭を越すコントロールショット。ボールはクロスバーをかすめゴールネットを揺らす。(2-3)
   MFブルーノ・エンヒキは、2023年7月に2025年末までの契約でインテルに加入。2014-16年はコリンチャンスでプレーし2017年にパレルモ/ITAへ移籍。半年後にパウメイラスに移籍すると2019年半ばにアル・イチハド/KSAへ移籍。交代出場が中心ながら多くの試合に出場している。このゴールは8月5日全国選手権第18節、古巣コリンチャンス戦での移籍後初ゴール以来の2点目。
(CFC)後半45分 :
インテル陣ペナルティエリア右でのデュエルの攻防で、VOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)が倒される。主審はPKの判定。FWホビソンの強烈なシュートがゴール左に決まる。(2-4)
   VOLブルーノ・ゴメスは、ヴァスコ・ダ・ガマ下部組織出身で2019年9月29日の全国選手権コリンチャンス戦で18歳のプロデビュー。2022年にインテルナシオナウに加入するも出場機会に恵まれず、7月に買取オプション付きの期限付き移籍でコリチバに加入。コリチバでは加入後間もなくレギュラーの座を獲得。クラブもシーズン終了に先駆けオプション行使の意志を示す。2023年も引き続きレギュラーをして活躍。守備範囲の広いプリメイロボランチ。
(INT)後半45+12分 :
ペナルティエリア内でMFペドロ・エンヒキがシュート。これをGKガブリエウ(Gabriel, 1992)がストップ。そのこぼれ球をめぐる混戦でディフェンダーの腕がインテルCBニコ・エルナンデス(Nico Hernández, 1998)の顔にあたりPK。このPKをFWエネル・バレンシアが左へ蹴るがGKガブリエウがストップ。しかし、その跳ね返りをFWエネル・バレンシアが冷静にゴールに流し込む。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:5‐7(2-4) ⇒ 前後半:16-10(8-4)
パス成功率: 前半:84% 86% ⇒ 前後半:83% 80%

   インテルナシオナウは、CBメルカド(Mercado, 1987)とFWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)が共に出場停止、CBニコ・エルナンデス(Nico Hernández, 1998)とFWカルロス・デ・ペニャ(Carlos de Peña, 1992)がスタメンに抜擢される。その他は前節ヴァスコ・ダ・ガマ戦からの変更はない。
   コリチバは、4週間続く週2試合の日程が半分終えた中、FWスリマニ(Slimani,1988)は足元の不安もあり遠征に帯同せず、途中出場が続く今季途中加入のFWガルセス(Garcez, 1997)が初スタメン。前節不出場のCBタリソン(Thalisson, 2002)が復調。出場停止のVOLウィリアン・ファリアス(Willian Farias, 1989)に代わり、ケガ明けで2試合連続途中出場のVOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)が9月14日以来のスタメン。

   前半9分、コリチバGKガブリエウのロングフィードを空中戦に勝ったFWホビソンが頭で前方にボールを送る。守備ライン裏に抜け出しを図るFWガルセスにインテルナシオナウCBヴィトン(Vitão, 2000)が後方からタックル。主審はこのプレーに警告を提示するが、VARの結果、一発退場に。試合開始早々インテルは一人少ない状況での試合を強いられる。
   個々の能力に勝るインテルに対し、数的優位のコリチバは組織力で対抗。コリチバは攻守にメリハリをつけ前半28分に先制。前半43分にPKから追いつかれたものの、前半のうちに勝ち越し。
   さらに後半25分にFWホビソンがPKで追加点を奪うと、ゴールを許しながらも常に試合をリード。両チームに2回ずつPKが与えられる少し常軌を失い撃ち合いとなった試合は、最終的にコリチバが4-3で制した。

   インテルナシオナウは、シーズン途中に豪華な顔ぶれの補強を進めたものの、CBの層の薄さが露呈した。前半9分のCBヴィトンの退場後は選手交代を行わず試合をすすめたものの、前半28分に先制を許した直後に右SBが主戦のイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)を投入。後半25分に失点後にこれがデビュー戦となる17歳のCBダラ・コルチ(Dalla Corte, 2006)を投入。
   選手交代でも後手後手に回ったインテルは最後まで追いつくことができず、連勝は2でストップした。
   この敗戦でリベルタドーレス出場圏までの勝点差は11ポイント。残りは8試合しかなく状況はより厳しくなった。また、次節はCBヴィトン以外にVOLジョニー(Johnny, 2001)、MFマウリシオ(Maurício, 2001)も出場停止、今節に続き左SBヘネー(Renê, 1992)も足元の状態に改善が見られず欠場が見込まれるなど、守備面で厳しい戦いが強いられそうだ。
   その次戦は11月1日に全国選手権第31節、ホームにアメリカ・ミネイロを迎える。

   コリチバは、加入後初スタメンのFWガルセスが、先制点をマークした以外にもインテルCBヴィトンのレッドカード、VOLジョニーのイエローカードを誘発するなど、スピードと巧妙なポジショニングでインテル守備陣を翻弄。FWホビソンは自ら獲得したPKを含めた2得点に加えチーム3点目のアシストも記録。左右のウィングが期待を上回る活躍で勝利に貢献した。
   この勝利で連敗は3でストップ。今季全国選手権は6勝目。降格圏脱出への勝点差は依然11ポイントあり、残り8試合での逆転は厳しいかもしれないが、組織的に機能すれば最近でもアトレチコ・ミネイロ、アトレチコ・パラナエンセなど上位チームから勝ち点3を奪う実力があるだけに、最後まで残留を目標に一試合一試合を今節のように大切に戦ってもらいたい。
   次戦は11月1日に全国選手権第31節、ホームにグレミオを迎える。

ボタフォゴ(BOT) 0-1 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=NqMbfQ_vWz8
(CUI) : 52' #9 イシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)[]

見どころ(試合前の順位)

   ボタフォゴは全国選手権18勝5分5敗勝点59の首位。
   クイアバは全国選手権10勝7分12敗勝点37の12位。

得点シーン

(CUI)後半7分 :
自陣でVOLデニウソン(Denilson, 2001)がボール奪取から一気に前線にボールを送る。ボタフォゴGKペリ(Perri, 1997)がペナルティエリアを飛び出し前方に大きく蹴り返そうとするが、クイアバFWイシドロ・ピタが胸でブロック。そのボールがゴールに向かうとFWイシドロ・ピタはディフェンダーと並走しながら最後はスライディングでボールをゴールに押し込みクイアバが先制。(0-1)
   FWイシドロ・ピタは、3節前に途中出場から1分でゴール。2節前には途中出場から1分でアシストを記録。前節は先発に抜擢されながらも消える時間が多かったが、今節も再び先発に抜擢される。本職のセンターフォワードとしてではなく不慣れなサイドでのプレーだったがで、センターフォワードらしい中央の抜け出しとゴールへの執着心で貴重なゴールをマークした。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:62% 38%
シュート(枠内): 前半:14‐3(5-0) ⇒ 前後半:30-5(9-1)
パス成功率: 前半:85% 77% ⇒ 前後半:86% 74%

   ボタフォゴは、試合を優位に展開しながらも、相次ぐ照明のトラブルで試合時間約30分を翌日に順延され、消化不良の1-1の引き分けに終えた前節アトレチコ・パラナエンセ戦から、スターティングイレブンは1選手のみ変更。出場停止のFWヴィトル・サー(Victor Sá, 1994)に代わりFWルイス・エンヒキ(Luis Henrique, 2001)が5試合ぶりのスタメンに抜擢される。
   クイアバは、前節コリンチャンス戦を優位に試合を展開しながらセットプレーからの失点で0-1の敗戦。今節は中盤の攻撃的なMFフェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)に代え、VOLデニウソン(Denilson, 2001)を起用。首位ボタフォゴに対戦相手が替わり若干守備的な選手起用となる。

   ボタフォゴがホームの大観衆のサポーターの声援を後押しに、試合開始後直後から相手陣でクイアバに圧力をかけ続ける。左サイドを起点にゴール前へのクロスやペナルティエリア付近までボールを繋ぎチャンスを創出。左サイドから中央のMFエドゥアルド(Eduardo, 1989)を経て右サイドのFWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)へ素早くボールを運びシュートやクロスへと持ち込む。
   自陣でボールを奪った際もゆっくりとしたビルドアップはほとんどなく、縦に素早くボールを繋ぎ常に相手陣で時間を費やす。
   一方のバイーアは、中央のFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)、右サイドはFWクレイソン(Clayson, 1995)、左サイドはFWイシドロ・ピタにSBヒケウミ(Rikelme, 2003)が絡み、後方から送られるボールを拾い攻撃に持ち込もうとするが、ボタフォゴ守備陣の前に攻撃は機能しない。
   ボタフォゴは、前半37分にペナルティエリア手前をドリブルで仕掛けたFWジュニオール・サントスのこぼれ球をMFエドゥアルドが拾いGKヴァウテルと一対一に、しかし、GKヴァウテルは片手でシュートストップ。前半45+6分には左サイドでのFKからCBヴィトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)が混戦の中、頭でボールをゴールに押し込むが、VARにより一連のプレーでハンドの確認されゴールは認められない。
   後半7分、クイアバは幸運と言えるプレーで待望の先取点。
   ボタフォゴは後半14分にMFマチアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)を投入し右サイドからの攻撃にも厚みを加える。さらに後半28分、43分と疲れの見える中盤やSBの選手をベンチに下げ、攻撃的な選手を次々と送り込む。後半27分にMFエドゥアルドの意表をついたヒールシュートはGKヴァウテルが落ち着いてキャッチ。後半31分にはMFマチアス・セゴビアのクロスからFWジャンデルソン(Janderson, 1999)が高さのあるヘディングシュート、後半38分のペナルティエリア内でFWジュニオール・サントスがコースを狙ったシュートを放つがいずれも惜しくも枠を捉えない。
   ボタフォゴは、後半43分、VOLガブリエウ・ピーレス(Gabriel Pires, 1993)のミドルシュートは枠を捉えるもののGKヴァウテルが横に倒れ込みながら両手でCKに逃れ、後半45+2分の右CKからのFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)のヘディングシュートはGKヴァウテルが片手でボールを掻き出す。後半45+3分にはCBヴィトル・クエスタのクロスにFWチキーニョ・ソアレスが詰めるが、GKヴァウテルが速い難しいクロスをしっかりと捕球。
   ボタフォゴは、30本ものシュートを記録するが、クイアバGKヴァウテルの再三のスーパーセーブやクイアバ守備陣の粘りに最後までゴールを奪うことができず、ホームで0-1の敗戦を喫した。

   ボタフォゴは、速いスピードのパス、タイミングよく繰り出されるスプリント、よくトレーニングされたセットプレーなど、チームの特長を表したプレーでクイアバゴールに次々に襲い掛かるが、最後までゴールを奪うことができなかった。GKヴァウテルのリスタートまでの時間を潰す行為やクイアバ選手による時間稼ぎに神経質になり過ぎ冷静さに欠いた面もあり、そういった面でもクイアバの術中に嵌まった感もある。
   アシスタンスコーチから正式に監督として指揮を執るルシオ・フラヴィオ(Lúcio Flávio)監督による4戦目の試合で初の黒星。ゴールこそ奪えなかったものの、先述のチームの特長がそこかしこに表れた試合で何ら悲観するものはない。一時の停滞期を脱し再び迎えた上昇気流は一旦足踏みとなったが、1995年以来2度目、現行の大会形式となった2006年以降初の全国選手権制覇はもう手の届くところまで近づいている。
   今節は敗れたものの、一試合未消化のボタフォゴは依然2位と6ポイントの勝点差を維持。
   次戦は11月1日に全国選手権第31節ホームでの2位パウメイラスとの直接対決。全国選手権優勝に向け乗り越えなければならない一つ目の大きなハードルを迎える。

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