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全国選手権第31節 対戦組合せ
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/10/31 バイーア(BAH) x フルミネンセ(FLU)
・2023/11/01 コリンチャンス(COR) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/11/01 インテルナシオナウ(INT) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/11/01 フラメンゴ(FLA) x サントス(SAN)
・2023/11/01 コリチバ(CFC) x グレミオ(GRE)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第31節(2/2)
・2023/11/01 ボタフォゴ(BOT) x パウメイラス(PAL)
・2023/11/01 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/11/02 クイアバ(CUI) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/11/02 ゴイアス(GOI) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/11/02 サンパウロ(SAO) x クルゼイロ(CRU)
全国選手権第31節 試合概要
バイーア(BAH) 1-0 フルミネンセ(FLU)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hvK0zuR8O5I
(BAH) : 40' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#38 カミロ・カンジド(Camilo Cándido, 1995)]
(FLU) : N/A
見どころ(試合前の順位)
バイーアは全国選手権9勝7分14敗勝点34の15位。
フルミネンセは全国選手権13勝6分11敗勝点45の8位。
得点シーン
(BAH)前半40分 :
相手陣左サイドでボールを繋ぎペナルティエリアへ楔のパス。これはディフェンダーにカットされるものの、そのこぼれ球をFWビエウ(Biel, 2001)が背走しながらペナルティエリア左外に送る。これをフリーで受けた左SBカミロ・カンジドがゴール奥へクロス。ディフェンダーの背後から高さのあるヘディングでFWエヴェラウドが逆サイドへシュート。これがゴールポストを叩きゴールイン。バイーアが先制。(1-0)
左SBカミロ・カンジドは、2023年7月18日に2024年7月末までの買取オプション付きの期限付き移籍でナシオナル/URUからバイーアに加入。2023年7月31日全国選手権第17節サンパウロ戦の後半38分にバイーアでのデビューを果たすと、翌節以降は先発に定着。中2-4日での試合が続く中、前節は後半途中からの出場となったが今節は先発に返り咲き、デビュー2戦目で初先発に起用された第19節アメリカ・ミネイロ戦以来のアシストを記録した
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:6‐6(4-2) ⇒ 前後半:8-14(5-4)
パス成功率: 前半:88% 83% ⇒ 前後半:84% 83%
バイーアは、週2試合が4週間続く厳しい日程の半分を終えた中、前節パウメイラス戦からケガや出場停止を含め8つのポジションで先発を変更。リベルタドーレス決勝を目前に控え選手が中心となると見込まれるフルミネンセ戦にベストに近いメンバーをぶつけ勝ち点3を確実に奪いに来た。
フルミネンセは、リベルタドーレス決勝ボカ・ジュニオルス/ARG戦を中3日で迎えるにあたり、主力選手は遠征への帯同も控え、リザーブも含め控え選手や下部組織在籍の選手でベンチ入りの選手を構成。アヤックスBチームを退団し2023年1月にフルミネンセに加入したMFジョヴァーニ(Giovanni, 2002)が全国選手権での初スタメンに抜擢される。
試合は、フルミネンセがボールを握り、バイーアが高い位置でのプレスや中盤での速い寄せからカウンターを狙う想定通りの展開。フルミネンセは、前半10分、全国選手権初スタメンに抜擢されたMFジョヴァーニがハーフライン付近でのFKの早いリスタートに反応し、右サイドをペナルティエリア内で抜けだしワントラップからシュート。GKの頭を越えたボールはクロスバーを直撃し跳ね返される。前半36分には、MFレオ・フェルナンデス(Léo Fernández, 1998)がゴール正面のミドルシュート。これもクロスバーを直撃し跳ね返される。
フルミネンセが優位に試合を進め、2度の大きなチャンスをゴールポストに阻まれると、バイーアは少ないチャンスをいかし前半40分に先制する。
後半も前半と同様の展開。異なった点はバイーアがより多くの好機を生み出した点。後半20分、バイーアはMFカウリー(Cauly, 1995)が相手陣中央をドルブルで持ち上がり、左SBカミロ・カンジドを経てペナルティエリア内のVOLタシアーノ(Thaciano, 1995)にボールが渡るとVOLタシアーノが振り向きざまのシュート。しかし、ボールはGKの正面を突く。後半28分にもペナルティエリア内で右SBカミロ・カンジドからMFカウリーにボールが繋がりクロス。VOLタシアーノが飛び込むが僅かにタイミングが合わない。
対するフルミネンセも後半28分にペナルティエリア手前で相手パスをインターセプトしたVOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)がペナルティエリアに侵入しコースを狙ったシュート。しかし、ボールの勢いが弱くGKにキャッチされる。
試合はこのまま1-0でバイーアが逃げ切り、ホームで貴重な勝ち点3を獲得した。
バイーアは、残留争いに巻き込まれる中、過密日程を考慮しここに狙いを定めたホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)監督の采配が功を奏し貴重な勝ち点3を積み上げた。コンパクトにラインを保ったまま中盤に入るボールに対して素早く寄せ、フルミネンセに決定的な場面を許さず、ボールを奪っては手数を掛けないカウンター。前半終盤にリードを奪うと、ボールは支配されながらも試合をコントロールする内容で勝利を収めた。
この勝利で勝ち点を37に伸ばし、一試合多いながらも降格圏までの勝点差は5ポイントに広げ、13位に浮上した。
次戦は11月4日にアウェイで全国選手権第32節グレミオとの一戦を迎える。
控え選手主体のチームで試合に臨んだフルミネンセは、前半に2本のシュートがクロスバーを直撃するなど、やや不運な面もあり敗戦。そのシュートを放ったMFジョヴァーニやMFレオ・フェルナンデス、後半にピッチに立ったFWイザッキ(Isaac, 2004)もシュートは枠を捉えなかったもののドリブルでディフェンダーを翻弄してシュートに持ち込むプレーを見せ、今後に向けたアピールができたと思われる。
次戦は、11月4日にマラカナンスタジアムでコパ・リベルタドーレス決勝ボカ・ジュニオルス/ARGとの一戦。フルミネンセのリベルタドーレス初タイトルに向け期待は高まっている。
全国選手権第32節は11月22日に順延され、アウェイでのインテルナシオナウ戦が第33節として11月8日に予定されている。
コリンチャンス(COR) 1-0 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=86TPOlRYsKo
(COR) : 64' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[]
(CAP) : N/A
見どころ(試合前の順位)
コリンチャンスは全国選手権8勝13分9敗勝点37の14位。
アトレチコ・パラナエンセは全国選手権13勝10分7敗勝点49の7位。
得点シーン
(COR)後半19分 :
相手陣で左SBマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)がボールを奪い取るとそのままドリブルでペナルティエリア横までボールを持ち込みゴール前にグラウンダーのクロス。ディフェンダーのクリアが真上に上がると、FWユーリ・アウベルトがディフェンダーと競り合いながらも頭にボールを当てる。このボールをGKベント(Bento, 1999)が処理ミス。ボールはゴールに吸い込まれる。(1-0)
左SBマテウス・ビドゥは、前任ルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督指揮下ではSBファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)を上回る出場機会を得ていたものの、監督交代後は出場機会は減っている。今節はSBファビオ・サントスが出場停止ということもあり3試合ぶりの試合出場を先発で迎えたが、攻撃面ではクロスやパスのミス、プレー選択ミスも多く、得点機のクロスもディフェンダーにボールをカットされたが、相手陣でのボール奪取がゴールに結びついた。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:51% 49% ⇒ 前後半:46%54 %
シュート(枠内): 前半:5‐6(2-0) ⇒ 前後半:12-19(4-3)
パス成功率: 前半:88% 83% ⇒ 前後半:84% 83%
コリンチャンスは、SBファビオ・サントス(Fábio Santos, 1985)とプリメイロVOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)の2選手が出場停止のため、左SBマテウス・ビドゥとVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)がスタメンに名前を連ねる。他は前節サントス戦から変更はない。
アトレチコ・パラナエンセは、出場停止明けのVOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)がスタメンに復帰し、VOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)はベンチスタート。その他のポジションは1-1で終えた前節サンパウロ戦でのスターティングイレブンから変更はない。
試合は、アウェイのアトレチコ・パラナエンセがコンパクトな陣形から中盤でコリンチャンスの攻撃の芽を摘み取り、試合の主導権を握る。
しかし、この試合最初の好機はコリンチャンス。前半16分、左SBマテウス・ビドゥが自陣からボールを持ち上がり、前方一列内のVOLマイコン(Maycon, 1997)にボールを預け、自身はそのまま縦に駆け上がりペナルティエリアに侵入、戻りのボールを受けシュートに持ち込むが、GKベントが堅実なセーブ。
アトレチコ・パラナエンセも前半26分、コリンチャンスをゴール前に押し込み、左SBエスキベル(Esquivel, 2001)がゴール前にクロス、MFエリキ(Erick, 1997)が頭を合わせるがボールは枠を捉えない。
コリンチャンスは前半43分、ゴール前に駆け上がったFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)がMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)からスルーパスを受ける。しかしトラップが大きくなりGKベントがブロック、こぼれ球をFWロメロ(Romero, 1992)がシュートに持ち込むがVOLエリキがゴールライン上でクリア。
後半もアトレチコ・パラナエンセが速いテンポで縦にボールを繋ぐサッカーで優位に試合を展開。しかし、後半19分、コリンチャンスが幸運な形で先制。コリンチャンスの先制後は、攻撃の圧力を強めるアトレチコ・パラナエンセと、自陣でブロックを形成しカウンターのチャンスをうかがうコリンチャンスの構図がさらに深まり、お互いに相手ゴールに迫るオープンな展開となる。
しかし、両チームともシュート精度を欠き、スコアは動かずタイムアップ。ホームのコリンチャンスが1-0の勝利を収めた。
コリンチャンスは、これで6試合負けなし。マノ・メネゼス監督就任後は初戦のコパ・スウアメリカーナこそ黒星を喫したものの、以降は2勝4分。しかし、2勝の内訳はいずれも押し込まれる展開で、僅かなチャンスに幸運な形でゴールが生まれた勝利。前節の前半戦こそボールを支配し被シュートがゼロという好内容の試合を見せたが、後半は守備的なスタイルに戻り、得点はオウンゴールによる1点のみ。今節も面白みに欠ける試合を続けた。
この勝利で勝ち点を40に伸ばし、暫定ながら11位まで浮上。降格圏までの勝点差は8ポイントまで広がり、次節は戦術の自由度も増すように思われる。面白みのある試合を期待したい。
次戦は11月5日に全国選手権第32節、アウェイでのRBブラガンチーノ戦が予定されている。
アトレチコ・パラナエンセは、VOLエリキ、MFヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)、FWカノービオ(Canobbio, 1998)が攻撃を牽引するも、ここ数試合好調を維持したFWパブロ(Pablo, 1992)は消える時間が多く、チームは無得点で試合を終えた。守備面では、今季初めて代表にも招集された堅実でミスの少ない守護神ベントの珍しいフランゴによる失点。気持ちを切り替えて次戦に臨みたい。
6試合連続でベンチ入りを果たしていた18歳のMFシケッチ(Chiqueti, 2005)が後半31分にプロデビュー。約15分の出場時間でボールタッチは僅かに11回と、1点差を追う状況での出場にほとんど試合に参加することは出来なかったが、今後の活躍を期待したい。
リベルタドーレス出場圏を目前に足踏み。暫定7位でリベルタドーレス出場圏までの勝点差は1ポイント。次戦以降巻き返したい。
次戦は11月4日に全国選手権第32節、アウェイでのパウメイラスが控えている。
インテルナシオナウ(INT) 1-1 アメリカ・ミネイロ(AME)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=52uU2WUmKGk
(INT) : 15' #13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)[#22 ニコ・エルナンデス(Nico Hernández, 1998)]
(AME) : 74' #6 マルロン(Marlon, 1994)[]
見どころ(試合前の順位)
インテルナシオナウは全国選手権10勝8分12敗勝点38の12位。
アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝7分19敗勝点19の20位。
得点シーン
(INT)前半15分 :
今節はSBに起用されたニコ・エルナンデスが、ゴール前の動きを見て丁寧なフィード。FWエネル・バレンシアがディフェンダーとの空中戦を制しボールを頭でゴールに流し込む。(1-0)
SBニコ・エルナンデスは、2023年2月23日にアトレチコ・パラナエンセからインテルナシオナウに加入したコロンビア国籍選手。2023年1月には試合への出場はなかったものの、コロンビア代表に招集されている。インテルでの2023年5月13日全国選手権第6節アトレチコ・ミネイロ戦でクラブデビューを果たしたが、控えの1番手の立ち位置に甘んじている。スピードと空中戦の強さが特長。足元の技術も高くビルドアップを担うことも多い。この特長をいかし今節のようにサイドバックとしてのプレーすることもある。
(AME)後半29分 :
左CKはゴール前でクリアされるが、ペナルティエリア入口左でボールを拾った左SBマルロンが思い切りよくシュート。これがウルグアイ代表GKロチェ(Rochet, 1993)が一歩も動けないゴール右隅へのゴラッソ。アメリカ・ミネイロが試合を振り出しに戻す。(1-1)
左SBマルロンは、全国選手権に参加歴のないリオデジャネイロ州下位リーグのボンスセッソから2012年9月にコパ・ヒオで18歳のプロデビュー。リオデジャネイロ州内の下位リーグのチームを遍歴した後、2020年に全国選手権2部のサンパイオ・コヘアに加入。2021年に期限付き移籍で全国選手権1部アメリカ・ミネイロに加入するとシーズン後半に右SBのレギュラーの座を掴む。翌2022年に完全移籍を果たし、2023年も今節終了時点で40試合1得点2アシストを記録。地道にキャリアを歩み堅実なプレーを得意とするマルロンが、自身の今季初ゴールを見事なミドルシュートで飾った。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:58% 42%
シュート(枠内): 前半:7‐5(4-1) ⇒ 前後半:14-12(4-3)
パス成功率: 前半:85% 81% ⇒ 前後半:83% 79%
インテルナシオナウは、出場停止のCBヴィトン(Vitão, 2000)と入れ替わりで出場停止明けのCBメルカド(Mercado, 1987)が入り、CBが本職のニコ・エルナンデスが左SBに入る。VOLジョニー(Johnny, 2001)、MFマウリシオ(Maurício, 2001)も出場停止となっており、3-4で敗れた前節コリチバ戦から約半数、5つのポジションでスタメンを変更。
アメリカ・ミネイロは、3-4の撃ち合いで逆転負けを喫した前節グレミオ戦から、スターティングイレブンの変更は1点のみ。左SBにケガ明けで9月18日以来の試合となるSBダニエウ・ボルジェス(Daniel Borges, 1993)が入り、先発起用が続いたマルロン(Marlon, 1994)はベンチスタート。
ホームのインテルナシオナウが試合開始から高い位置でボール保持者はパスの出しどころへの素早いプレスで試合を有利に展開。しかし、素早い帰陣でゴール前を固めるアメリカ・ミネイロの守備陣を前にシュートに持ち込めない。
しかし、前半16分、浅い位置から手数を掛けずSBニコ・エルナンデスがゴール前CBとGKの間に絶妙なボールを送るとFWエネル・バレンシアの絶妙なポジショニングからのヘディングシュートでインテルナシオナウが先制。その後も前線に人数も手数も掛けない攻撃でアメリカ・ミネイロゴールに迫る。FWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)が二度、FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)、FWエネル・バレンシアがそれぞれシュートに持ち込むが追加点には至らない。
対するアメリカ・ミネイロは、序盤はインテルナシオナウの高い位置でのアグレッシブな守備に、インテルの先制後は中盤のタイトな守備に攻撃の形を作れない。前半40分を前にインテルゴールに迫るようになるが、右SBホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)のミドルシュートも、MFベニテス(Benítez, 1994)のクロスに合わせたCBマイダーナ(Maidana, 1996)のヘディングシュートも枠を越える。
後半開始時にアメリカ・ミネイロは右SBダニエウ・ボルジェスに代えFWフェリピ・アゼヴェド(Felipe Azevedo, 1987)を投入。前がかりとなるアメリカ・ミネイロを尻目に、インテルは自陣で守備を固めカウンターを狙う。後半17分にMFアランギス(Aránguiz, 1989)、18分にMFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)が速い攻撃でシュートに持ち込むがゴールポストに嫌われる。
インテルのカウンター狙いを前に、後半24分、アメリカ・ミネイロは、スピードに不安のあるCBマイダーナを下げ左SBマルロンを投入する。すると、後半29分、その左SBマルロンのゴラッソでアメリカ・ミネイロが同点。
インテルは残り時間に次々と攻撃的な選手を投入し得点を奪いに行くが、前半序盤の組織だったプレスから攻撃への移行を再現することはできず、試合は1-1のまま終了。最下位に低迷するアメリカ・ミネイロにも、来季のリベルタドーレス出場圏を狙うインテルナシオナウにとっても、消化不良な勝ち点1を分け合った。
インテルナシオナウは、シーズン途中の豪華な補強でリベルタドーレスで準決勝に進出、来季もこの顔ぶれを中心にリベルタドーレス出場を狙っているが、残り7試合で出場圏までの勝点差は11ポイント。一方、降格圏までの勝点差が7ポイントという厳しい状況となっている。残留争いに巻き込まれるチームとの5連戦を2勝1分2敗で終え、多くの勝ち点を取りこぼしており現状も致し方ないところ。
高い位置での組織的なプレスやそこからのショートカウンター、縦に速い攻撃で、嵌ればデカい爆発的な得点力を有するものの、遅攻では相手守備陣を崩す連係に欠き、守備面でも公式戦11試合連続失点中と安定感に欠いている。
次戦は11月5日に全国選手権第32節、アウェイでのクルゼイロ戦。今季の目標を失いつつある中での戦いぶりが気になる。
アメリカ・ミネイロは、この引き分けで10試合ちょうど2か月勝ち星から遠ざかった。今節は攻撃面ではいい形でFWマストリアーニ(Mastriani, 1993)にボールを運べずなかなかチャンスを掴めないものの、守備面では破壊力のあるインテルナシオナウの攻撃を凌ぎ、何とか引き分けに持ち込んだ。とは言え、好守は攻撃に資源を投入できない副産物で、攻守の歯車が噛み合わない試合が続いている。
次戦は11月4日に全国選手権第32節、ホームでのクラシコ、アトレチコ・ミネイロ戦。今季は州選手権決勝を含め1分2敗の成績。ホームサポーターの声援の中、一矢を報いたい。
フラメンゴ(FLA) 1-2 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=U0QGjRN4OG0
(FLA) : 21' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[]
(SAN) : 33' #7 ノナト(Nonato, 1998)[]
(SAN) : 89' #28 ジョアキン(Joaquim, 1998)[#8 ジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)]
見どころ(試合前の順位)
フラメンゴは全国選手権14勝8分7敗勝点50の5位。
サントスは全国選手権9勝7分14敗勝点34の16位。
得点シーン
(FLA)前半21分 :
MFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)が蹴る左CK。ニアサイドでディフェンダーの頭を掠めたボールにファーサイドでディフェンダーの前に現れたFWペドロが足に合わせゴールネットを揺らす。(1-0)
FWペドロは、最近の4ゴールはPKでのゴールで、流れからのゴールは6月28日リベルタドーレス予選ラウンドのアウカス/COL戦以来。前任ホルヘ・サンパオリ監督就任間もない5月10日全国選手権第5節時点では23試合22得点3アシストを記録していたが、監督在任期間に出場時間、ゴール数ともに減っていた。監督退任後の6試合はすべて先発出場、70分前後の交代が続いているが、以前の守備陣も混乱させるオフザボールの動きも好調時のものに戻りつつある。
(SAN)前半33分 :
相手陣アタッキングサードに入った辺り左サイドからのFK。FWソテウド(Soteldo, 1997)がゴール前に上げたボールはニアサイドでクリアされるが、そのボールの奪い合いからこぼれたボールにペナルティエリア入口からMFノナトが右足を一閃。ボールはGKの指先を抜けゴール左に突き刺さる。(1-1)
MFノナトは、コリンチャンス下部組織を経て、サンパウロ州下位リーグのサンカエタノから2016年3月に18歳のプロデビュー。2018年にインテルナシオナウへ期限付き移籍で加入すると、2019年に46試合3得点1アシストを記録し完全移籍を果たす。しかし、翌2020年はベンチを温める試合が多くなり、2021年にフルミネンセに期限付き移籍。2022年はフェルナンド・ジニース監督のサッカーにフィットしレギュラーとして活躍するが、2022年8月末に所属元のインテルナシオナウが170万ユーロでルドゴレツ・ラズグラド/BULへの移籍をまとめる。サントスへは2023年8月にルドゴレツ・ラズグラド/BULからの期限付き移籍で加入。途中出場が中心ながら今節終了時点で8試合288分の出場、今節では嬉しいクラブ初ゴールを記録した。
(SAN)後半44分 :
攻撃の再構築のため左サイドMFジアン・ルーカスから戻されたボールに、CBジョアキンはディフェンダーの寄せが遅いとみるやドリブルで前進し思い切りよく右足を振り抜く。ボールはゴール左隅に突き刺さるゴラッソ。サントスが後半アディショナルタイムを目前に逆転。(1-2)
CBジョアキンは、サンパウロ州選手権下位リーグのパウリスタから2019年4月に21歳でプロデビュー。その後複数のクラブを経て2021年クイアバに加入。2022年序盤に期限付き移籍先のボタフォゴ‐SPで試合経験を積むとクイアバ復帰後の6月半ばにポジションに定着。2023年2月にクイアバから300万ユーロ相当額の移籍金でサントスに加入。一対一の強さと的確なカバーリングを武器に加入後間もなくレギュラーの座を掴む。最近の試合では攻撃面でセットプレーのターゲットとして多くのアシストや相手のオウンゴールを誘発するなど、チームの得点源の一つとなっていた。ところが今節は目の覚めるような強烈なロングシュート。サントス加入後に飛躍的な成長を遂げるCBジョアキンに目が離せない。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:6‐9(3-2) ⇒ 前後半:8-15(4-5)
パス成功率: 前半:90% 77% ⇒ 前後半:88% 83%
フラメンゴは、出場停止明けのCBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)がスタメン復帰。前節交代出場から得点を記録したMFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)がスタメンに抜擢。前線はFWペドロ(Pedro, 1997)とFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)のツートップ。
サントスは、4-4-2にシステム変更。出場停止のFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)に代わりFWフルチ(Furch, 1989)、戦術的理由でMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)に代わりMFノナト(Nonato, 1998)が中盤に入る。
前半7分、サントスMFノナトがフラメンゴのハーフライン付近の横パスをカット、そのままドリブルで持ち上がりシュート。前半12分には左CKにCBジョアキンがヘディングシュート。
一方のフラメンゴも、前半17分、MFデ・アラスカエッタのふわりと上げた守備ライン裏へのボールにFWペドロが胸トラップから振り向きざまのシュート。前半20分にMFデ・アラスカエッタのCKにFWペドロが押し込みフラメンゴが先制。
前半27分にもフラメンゴはサントスのバイタルエリアでパスを繋ぎ最後はSBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)がポストとクロスバーの継ぎ目を叩くミドルシュートを放つなどフラメンゴが試合を優位に進める。
しかし、サントスは前半32分、FWソテウドが相手陣左サイドをドリブルでボールを持ち込むと、フラメンゴは3選手がマークに付きながらもファールを犯す。このソテウドの個人技で得たFKからサントスが同点に追いつく。
前半40分、サントスFWフルチのトラップが大きくなっとところにフラメンゴVOLジェルソン(Gerson, 1997)が体を入れボールを奪いに行くが、その際に肘がFWフルチのあごに綺麗に入り、VARの末、VOLジェルソンは一発退場。フラメンゴは試合の半分以上を数的不利で戦うことを余儀なくされる。
後半開始時にフラメンゴは3選手を一気に交代。右SBに守備に強いマテウジーニョ(Matheuzinho, 2000)、中盤にMFヴィクトル・ウーゴ(Victor Hugo, 2004)、前線にはFWペドロに代えFWガビゴウ(Gabigol, 1996)を投入。最終ラインは守備に専念、中盤で不用意なボールロストを避け、ツートップのスピードを生かして前線へのフィードで相手守備ラインを下げる意図が感じられる選手交代。さらに後半12分にMFデ・アラスカエッタを下げ4月23日以来の出場となるCBホドリゴ・カイオ(Rodrigo Caio, 1993)をボランチで起用。守備的な姿勢を鮮明にする。
攻め手に欠けるサントス、固い守備でゴール前を閉ざすフラメンゴの構図が後半を通じて続く。このまま引き分けで試合を終えるかと思われた後半44分、CBジョアキンが意表を突くロングシュート。これが決勝点となりサントスがアウェイで2-1の勝利。貴重な勝ち点3を獲得した。
フラメンゴは、立ち上がりからパスミスが多く、試合の流れに乗れない展開。前半21分には昨年来得点を多く生み出したコンビによるゴールで先制するも、その後もミスは頻発、前半のうちに退場者を出し、自ら試合を難しくする。
後半はカウンター狙いへと戦術を移行するが、交代5分でFWガビゴウが不用意なイエローカードをもらい守備への貢献も少なく、チチ監督は後半12分に選手交代を通じて守備を固める姿勢を鮮明にする。しかし、後半44分にサントスCBジョアキンへの寄せが甘くなりゴラッソで逆転を許すと、直後に攻撃的な選手を投入するも時すでに遅し、効果的な反撃に転じることができずホームで不甲斐ない内容の敗戦を喫した。
チチ監督就任後のフラメンゴはこれで2連勝の後2連敗。連係面や攻撃面に改善が見られるが、短い距離のパスミスや不用意なカードなど基本的な部分でのミスが多く、チームはあまり機能していない。さらに今節は選手交代も機能せず、一試合未消化ながら6位に転落。シーズン前には多くのタイトル獲得が期待された豪華な選手層のチームだったが、結局は無冠に終わり翌期のリベルタドーレス出場さえも黄色信号が灯る状況。残り7試合で二冠を制した昨シーズンの輝きを取り戻すことができるだろうか。
次戦は11月5日に全国選手権第32節、アウェイでリベルタドーレス出場権を争うフォルタレーザとの一戦が控えている。
サントスは、マルセロ・フェルナンデス監督代行が指揮を執り5勝1分2敗。就任当時の順位は降格圏内の17位。第28節インテルナシオナウ戦では1-7の屈辱的な大敗で2連敗を喫したが、翌節にはしっかりとチームを立て直し大敗後は2勝1分。守備的な試合を続けるも結果が伴わず、精神的にも厳しい状況にあったチームを攻撃的なスタイルに舵を切り替え、屈辱的な大敗にも翌節にはしっかりと立て直したマルセロ・フェルナンデス監督代行の手腕は大いに評価されている。
この勝利で、降格圏までの勝点差は4ポイントに広がった。まだまだ予断を許さない状況だが、チームの総合力も高まってきており一試合でも早く残留を決めたい。
次戦は11月6日に全国選手権第32節、ホームにクイアバを迎える。
コリチバ(CFC) 1-2 グレミオ(GRE)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=AgimpkmxMSQ
(GRE) : 27' #20 ビジャサンチ(Villasanti, 1997)[#13 ガウジーノ(Galdino, 1997)]
(CFC) : 60' #30 ホビソン(Robson, 1991)[PK]
(GRE) : 83' #10 フェヘイラ(Ferreira, 1997)[#9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)]
見どころ(試合前の順位)
コリチバは全国選手権6勝5分19敗勝点23の19位。
グレミオは全国選手権15勝5分10敗勝点50の4位。
得点シーン
(GRE)前半27分 :
相手陣半ばでVOLビジャサンチがボール奪取。そのままFWガウジーノとのタベーラでペナルティエリアに侵入し、間合いを詰めるGKの脇を抜けるゴール。(0-1)
VOLビジャサンチは代表戦33試合に出場する現役のパラグアイ代表。グレミオには2021年8月に加入し、すぐにプリメイロボランチとしてスタメンに定着。今季は攻撃参加も多く、二列目からのミドルシュートや前線を追い抜くプレーを見せ、今節終了時点で43試合7得点5アシストを記録(過去2年間は61試合3得点2アシスト)。好調のグレミオを中盤で攻守に支える活躍を見せている。
(CFC)後半15分 :
右サイドをペナルティエリアに侵入を図るMFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)が足を掛けられ転倒、これに主審はPKを宣言。FWホビソンが中央に蹴り込みコリチバが追いつく。(1-1)
MFマルセリーノ・モレノは、ラヌース/ARG育成出身のアルゼンチン国籍選手。2023年はアトランタユナイテッド/USAからの期限付き移籍でコリチバに加入。足元の技術が確かでコリチバ攻撃陣の指揮を執りながらも、高い位置での寄せからボールを奪い取る場面も。前監督時代は試合出場について浮き沈みが多かったものの、チアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)監督代行が指揮を執り始めると中核選手としてプレー、全幅の信頼を得ている。
(GRE)後半38分 :
右サイドライン際からFWフェヘイラのクロス。そのクリアボールをグレミオが拾い左ペナルティエリア外のFWルイス・スアレスに繋ぐ。FWルイス・スアレスはワンタッチでディフェンダーをかわしゴールライン際をゴールに向かい中央へマイナスのクロス。そこにFWフェヘイラが現れゴールネットを揺らす。(1-2)
FWフェヘイラはグレミオ育成出身で2018年1月の州選手権で期限付き移籍先のトレドから20歳のデビュー。その後、複数の期限付き移籍を経て、2020年にはグレミオで41試合(うち先発12試合)に出場。翌2021年にはレギュラーの座を獲得し52試合(うち先発45試合)14得点13アシストを記録。しかし、2022年は相次ぐケガの後、8月21日の試合を最後に戦列を離脱。2023年年初に復帰を果たすが、4月にケガが再発し3か月の離脱。7月の復帰後は途中交代出場を中心にコンスタントに試合に出場、今節終了時点で全国選手権は18試合(うち先発4試合)3得点2アシストを記録中。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:52% 48% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:5‐6(0-3) ⇒ 前後半:12-19(2-4)
パス成功率: 前半:78% 72% ⇒ 前後半:78% 77%
コリチバは、4-3で勝利を収めた前節インテルナシオナウ戦でのスタメンから右SBとVOLを変更。右SBは出場停止のナタナエウ(Natanael, 2002)に代わり、今年プロデビューを果たし全国選手権第13節から第20節まで出場(うち3試合スタメン)したジオゴ・バチスタ(Diogo Batista, 2003)がその第20節以来の出場。VOLにはブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)に代わり、出場停止明けのウィリアン・ファリアス(Willian Farias, 1989)が入る。
グレミオは、4-3で打ち勝った前節アメリカ・ミネイロ戦での4バックから今節は3バック。4つのポジションで先発メンバーを変更している。
残留に向け後がないコリチバは、開始30秒にFWガルセス(Garcez, 1997)がファーストシュート。カヴァジーニャでGKの頭上を越すシュートを狙うがボールは枠を越える。その後も積極的にボールを繋ぎグレミオゴールを目指す。一方のグレミオは中盤でコリチバの攻撃を寸断し、サイドからの攻撃でコリチバゴールを目指す。
一進一退の攻防が続くが、前半27分、グレミオがVOLビジャサンチの相手陣でのボール奪取から先制。
グレミオはさらに前半45+3分に左CKのボールをMFカルバージョ(Carballo, 1996)がニアサイドで頭を合わせるが、コリチバはGKガブリエウ(Gabriel, 1992)がビッグセーブで追加点を許さない。
後半15分、コリチバはPKを獲得し同点に追いつくと、試合はオープンな展開となる。グレミオはFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)にボールを集め、コリチバは劣勢になりながらもカウンターのチャンスをうかがう展開が続く。
後半38分、グレミオはFWフェヘイラがFWルイス・スアレスからのボールをゴールに流し込み勝ち越し。
コリチバは、失点直後にFWスリマニ(Slimani, 1988)がグレミオCBカネマン(Kannemann, 1991)の挑発に乗りこの試合二枚目の警告で退場。一人少なくなりながらも同点ゴールを目指すが、自陣に引きブロックを形成するグレミオ守備陣を崩すことができず、試合はこのままタイムアップ。
グレミオがアウェイで2-1の勝利を収めた。
コリチバは、後半開始時に投入されたFWスリマニが、グレミオCBカネマンの執拗なマークに冷静さを失い退場処分。グレミオの策にまんまと嵌ってしまいホームで連勝を飾ることができなかった。
この敗戦で、残り7試合で残留圏までの勝点差が14ポイントに拡がり、残留に向け一層厳しい状況に追い込まれた。
次戦は、11月5日に全国選手権第32節残留争いのライバル、ゴイアスとのアウェイでの対戦が控えている。
グレミオは、相手陣でのボール奪取からペナルティエリア近辺でのタベーラを使った抜け出しによる得点と、左右に大きく揺さぶった展開からのゴールによる2得点。今季の特長が現れた2ゴールで残留圏に低迷するコリチバに苦しみながらも勝ち点3を勝ち取った。
前節の1得点2アシストの活躍に続きFWルイス・スアレスがアシストを記録。相次ぐケガで途中出場が続く中、試合に入ればチームに新しい風を吹き込むFWフェヘイラが2試合ぶりのゴール。
これで苦手のアウェイゲームで連勝、3連勝と連勝記録を伸ばし、順位も4位まで上げてきた。
次戦は、11月4日に全国選手権第32節、ホームにバイーアを迎える。