【ブラジル全国選手権2023】第35節(2/2)

投稿者: | 2023年11月24日

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全国選手権第35節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第35節(1/2)
・2023/11/24 コリンチャンス(COR) x バイーア(BAH)
・2023/11/25 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/11/25 フルミネンセ(FLU) x コリチバ(CFC)
・2023/11/26 ボタフォゴ(BOT) x サントス(SAN)
・2023/11/26 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x グレミオ(GRE)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/11/26 サンパウロ(SAO) x クイアバ(CUI)
・2023/11/26 インテルナシオナウ(INT) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/11/26 フォルタレーザ(FOR) x パウメイラス(PAL)
・2023/11/26 アメリカ・ミネイロ(AME) x フラメンゴ(FLA)
・2023/11/27 ゴイアス(GOI) x クルゼイロ(CRU)

全国選手権第35節 試合概要

サンパウロ(SAO) 0-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hi0rYsClPkg

見どころ(試合前の順位)

   サンパウロは全国選手権12勝10分12敗勝点46の10位。
   クイアバは全国選手権13勝8分13敗勝点47の9位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:59% 41% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:7‐1(1-0) ⇒ 前後半:19-3(4-0)
パス成功率: 前半:93% 85% ⇒ 前後半:92% 84%

   コパ・ド・ブラジルを制覇して来季のリベルタドーレス出場権を獲得し、降格圏まで勝点差5、10位に位置するサンパウロと、降格圏まで勝点差6で9位に位置するクイアバ。いずれも残留は確定していないものもそのリスクは少なく、モチベーションに欠いた一戦。
   試合はサンパウロがボールを支配し、相次いでクイアバゴールに迫る。前半13分には右サイドをSBナタン・メンデスが突破。そのまま中央にクロスボールを供給すると、ゴール正面でFWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)が頭を合わせるが、ゴイアスGKヴァウテル(Walter, 1987)がストップ。
   一方のクイアバは、攻め手がなく、後半22分にFWクレイソン(Clayson, 1995)が左サイドから中央に切れ込みペナルティエリア内でシュートに持ち込むが、ディフェンダーに当たり大きく枠を越える。前半のシュートはこの一本に終える。
   後半も試合の展開は変わらない。クイアバは後半21分に左サイドからのクロスにFWイシドロ・ピタ()が足を合わせ、サンパウロは後半42分にFWエリソン(Erison, 1999)が左サイドライン際から個人技でペナルティエリアに侵入、マイナスのパスにFWデイヴィジ(David, 1995)が強烈なシュート、GKが弾いたボールにFWエリソンが詰めるが、いずれのシーンもオフサイド。
   試合は0-0のまま終了。両チームは僅かに残す降格の可能性を狭める勝ち点を分かち合い試合を終えた。

   サンパウロの残り3節の対戦相手は、降格争いに巻き込まれているバイーア、優勝争いに加わるアトレチコ・ミネイロとフラメンゴ。モチベーションの高い対戦相手にコパ・ド・ブラジル王者として無様な試合は避けてもらいたい。
   一方のクイアバの残り3試合の対戦相手は、インテルナシオナウ、フラメンゴ、アトレチコ・パラナエンセ。今節出場停止で今季終了後に移籍退団の噂が流れるチーム内得点王のFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)が次節は復帰。過去最高位の15位を大きく上回る順位で着地するためにも1つでも多くの勝利を飾りたい。

インテルナシオナウ(INT) 1-0 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=NZJNn9gOOiw
(INT) : 30' #13 エネル・バレンシア(Enner Velencia, 1989)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   インテルナシオナウは全国選手権11勝10分13敗勝点43の13位。
   RBブラガンチーノは全国選手権16勝11分7敗勝点59の5位。

得点シーン

(INT)前半30分 :
自陣でボールを受けたFWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)がスピードのあるドリブルでピッチ中央をボールを持ち上がる。左サイドを上がるFWエネル・バレンシアへボールを送ると、FWエネル・バレンシアがペナルティエリアに侵入すると、足を掛けられ転倒。インテルナシオナウがPKを獲得する。これをファールを受けたFWエネル・バレンシア自身が蹴り、PK成功。インテルナシオナウが先制点を奪う。(1-0)

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:45% 55% ⇒ 前後半:41% 59%
シュート(枠内): 前半:5‐7(1-2) ⇒ 前後半:7-15(1-5)
パス成功率: 前半:70% 83% ⇒ 前後半:68% 82%

   リベルタドーレスでは準決勝まで進出したインテルナシオナウだが、全国選手権は前節終了時点で降格圏まで勝点差3ポイントと思わぬ苦戦。シーズン途中の大型補強で選手層は厚くなり、監督交代を経て採用された前線から中盤にかけての集散の速い戦術は、嵌れば圧倒的な試合を展開するが、嵌らなければもどかしい展開となり、不安定な試合が続く。
   今節は、ボール支配率が高いRBブラガンチーノを相手に戦術は嵌らないが、立ち上がりからカウンターを中心に相手ゴールに迫ると、前半30分にFWエネル・バレンシアがPK獲得からゴールを決め先制。
   後半は押し込まれる展開が続くが、GKロチェ(Rochet, 1993)を中心にゴール前を固め、終盤には全員守備でRBブラガンチーノの攻撃をしのぎ、1-0の勝利。勝ち点を46、降格圏までの勝点差を5ポイントに広げる勝利となった。
   3試合を残し、かなり低くなったとは言え、降格の可能性はまだ残されている。今後3試合の対戦相手は、クイアバ、コリンチャンス、ボタフォゴ。
   シーズン終了後には、U-23ブラジル代表MFマウリシオ(Maurício, 2001)、アメリカ代表VOLジョニー(Johnny, 2001)の移籍も噂されており、インテルナシオナウで育った彼らを気持ちよく送り出すためにも、チームとして有終の美を飾りたい。

   RBブラガンチーノは首位を目前に1引分けを挟み3連敗。チームの年齢層が若く、主力として優勝や優勝争いを経験する選手はFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)のみと、経験の少なさが露呈する形となっている。
   今節も、攻撃面ではFWエドゥアルド・サーシャはゴール前でも視野を広く左右にボールを展開するものの、他の選手は多くの場面でシュートを選択。連敗や、直近の3試合のうち2試合を無得点で終えている焦りが手に取るように見えた。
   この敗戦で優勝争いから一歩後退したものの、依然首位までの勝点差は4ポイントとまだまだ可能性は残されている。残り3試合の対戦相手は、上位争いにも残留争いにも加わっていないフォルタレーザ、降格が確定したコリチバ、残留争い真っ只中のヴァスコ・ダ・ガマと、比較的恵まれているだけに、優勝を意識せず、気持ちを切り替え、ここまで積み上げてきたサッカーを貫いてもらいたい。そうすれば結果は自ずとついてくるはずだ。

フォルタレーザ(FOR) 2-2 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=vDHIC1Owj_o
(FOR) : 20' #91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)[#29 ギリェルミ(Guilherme, 1995)]
(PAL) : 66' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[2 マイキ(Mayke, 1992)]
(FOR) : 70' #27 カレビ(Calebe, 2000)[#91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)]
(PAL) : 77' #8 ゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)[#26 ムリーロ(Murilo, 1997)]

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権12勝8分14敗勝点44の11位。
   パウメイラスは全国選手権18勝8分8敗勝点62の首位。

得点シーン

(FOR)前半20分 :
GKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)のロングフィードは相手が頭で弾き返されるが、そのこぼれ球をMFカレビが左サイドを上がるFWギリェルミにダイレクトに送る。FWギリェルミはペナルティエリア外左でタメを作り、真横にゴール前へボールを送るとFWチアゴ・ガリャルドが走り込みゴール左隅にボールを蹴り込む。(1-0)
   FWギリェルミはグレミオ下部組織出身で期限付き移籍先のサンジョゼ-RSから2016年2月の州選手権で20歳のプロデビュー。2017年には期限付き移籍先の全国選手権1部ボタフォゴで62試合7得点1アシストの成績を残す。しかし、グレミオではポジションを掴めず期限付き移籍を繰り返す。フォルタレーザへは2023年2月に2024年末までの期限付き移籍で加入。今季は今節終了時点で、グレミオで出場した2試合を含め、51試合9得点6アシストを記録している。
(PAL)後半21分 :
ペナルティエリア手前やや右でボールを受けたMFハファエウ・ヴェイガがゴールニアサイドを狙いミドルシュート。これはSBマイキに当たるがボールは再びMFハファエウ・ヴェイガの足元に。MFハファエウ・ヴェイガは今度はファーサイドへコースを狙ったシュート。これがゴール左隅に決まる。(1-1)
(FOR)後半25分 :
自陣からゆっくりと攻めあがると、相手陣に入りVOLカイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)が一気にギアを上げ、FWチアゴ・ガリャルドに向け縦パス。FWチアゴ・ガリャルドは前を向くとMFカレビとのタベーラで最終ライン裏に抜け出す。間合いを詰めるGKの股を抜くシュートでゴールネットを揺らす。(2-1)
   VOLカイオ・アレシャンドレは、今季フォルタレーザでブレークを遂げた選手の一人。先を読むプレーで、守備面では相手の攻撃を摘み取り、攻撃面では急所を突くパスを繰り出し、攻守に活躍。パウメイラスが2024年に向け興味を示している。
(PAL)後半32分 :
左CKからゴール前に上げられたボールはディフェンダーがクリア。これをSBピケレス(Piquerez, 1998)がダイレクトにのシュートを放つが、当たりが悪くボールは山なりの軌道を描く。しかし、このボールをCBムリーロが落とし、そこに走り込んだVOLゼ・ハファエウがボールをゴールに突き刺す。(2-2)
   VOLゼ・ハファエウは、コリチバ下部組織出身で2012年4月のパラナ州選手権で18歳のプロデビュー。当時はFWや中盤の攻撃的なポジションでプレーする。2016年に期限付き移籍先の全国選手権2部ロンドリーナで42試合8得点6アシストを記録すると、翌2017年はバイーアへ移籍し2年間で128試合18得点9アシストの成績を残す。2019年にパウメイラスに加入すると主にセグンドボランチとして年後半にレギュラーの座を獲得。2020年3月のアベウ・フェヘイラ監督就任後はプリメイロボランチとしてもプレーし、試合ごとや、試合展開に応じてポジションを変更する柔軟性を持つ。派手さはないものの、攻守に的確にポジショニングをとる痒い所に手が届く選手。。アベウ・フェヘイラ監督の最も信頼を置く選手の一人となっている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:32% 68% ⇒ 前後半:39% 61%
シュート(枠内): 前半:8‐7(1-2) ⇒ 前後半:20-11(7-5)
パス成功率: 前半:73% 85% ⇒ 前後半:81% 84%
レッドカード: (PAL)59' グスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)

   フォルタレーザは、コパ・スウアメリカーナ決勝でLDU/EQUにPK戦の末敗れ、コパに注力した影響や目標を失ったこともあり、最近の公式戦は9試合白星なく3分6敗。ホームでの勝利も10月8日から約一か月半遠ざかっており、久しぶりの勝利をサポーターに捧げるべくピッチに立つ。
   一方のパウメイラスは前節の勝利で首位に浮上。しかし、今季は代表戦直後の試合では勝ち星がなく、この試合ではそのジンクスを破りたい。

   試合は、パウメイラスがボールを支配するもののフォルタレーザの組織的な守備を崩せず、フォルタレーザは素早いカウンターからチャンスをうかがう展開。前半12分のフォルタレーザVOLカイオ・アレシャンドレのミドルシュートはクロスバーに弾かれたものの、前半20分にはGKからのカウンターでFWチアゴ・ガリャルドがゴールを奪いフォルタレーザが先制。
   後半15分、パウメイラスは、攻撃的な選手交代を行い3バックから4バックに布陣を変更。しかし、その2分後、キャプテンCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)が得点機会阻止で一発退場。ここでアベウ・フェヘイラ監督は、FWブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)をベンチに下げ、SBヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)を投入することで対応する。
   試合は一気にオープンな展開へと傾き、両チーム交互に大きなチャンスを迎える中、パウメイラスは後半21分にセットプレーの流れから同点。その4分後には、フォルタレーザが相手陣中央を縦に崩し再リード。後半29分、フォルタレーザのカウンターから持ち込まれたシュートをGKの後方でパウメイラスSBマイキ(Mayke, 1992)がクリアしピンチを免れると、後半32分、セットプレーからパウメイラスが同点に追いつく。
   首位を死守したいパウメイラス、ホームで意地を見せたいフォルタレーザは、互いに最後まで相手ゴールを目指すが、試合は2-2のまま終了。後半に一気に熱を帯びた試合は勝ち点1を分け合う結果に終えた。

   守備の要CBグスタボ・ゴメスを欠いたものの、2度のビハインドを追いついたパウメイラスは、同勝点ながら首位を死守。
   残り3試合の対戦相手は、最下位アメリカ・ミネイロ、クラブW杯に向け人工芝への対応で選手を温存すると公言するフルミネンセ、残留争いに巻き込まれているクルゼイロと、かなり恵まれた組合せ。3連勝で全国選手権二連覇を達成したい。
   フォルタレーザは、数的有利を生かせず、この引き分けで10試合白星から遠ざかった。順位は12位ながら、降格圏までの勝点差は4ポイントと降格の可能性も僅かながら帯びてきた。
   今後は、RBブラガンチーノ、ゴイアス、サントスと試合が続く。この3試合で一勝すれば自力で残留が確定。早く残留を決め、来季に向けたチーム作りを始めたい。

アメリカ・ミネイロ(AME) 0-3 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=wn4YOuwQmVM
(FLA) : 29' #11 エヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)[#6 アイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)]
(FLA) : 50' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[#27 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)]
(FLA) : 85' #7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)[#11 エヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)]

見どころ(試合前の順位)

   アメリカ・ミネイロは全国選手権4勝9分21敗勝点21の20位。
   フラメンゴは全国選手権17勝9分8敗勝点60の3位。

得点シーン

(FLA)前半29分 :
相手陣左サイドをMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)がゆっくりとボールを持ち上がり、一列後方のSBアイルトン・ルーカスにボールを下げる。そこからアイルトン・ルーカスがゴール前にクロス。FWエヴェルトン・セボリーニャがディフェンダーの間で頭を合わせる。(0-1)
   SBアイルトン・ルーカスは、ABC、フルミネンセの下部組織を経て、フルミネンセから2015年10月18日全国選手権第31節クルゼイロ戦で18歳のプロデビュー。2017年に期限付き移籍先の全国選手権2部ロンドリーナで52試合に出場すると、2018年にはフルミネンセに復帰しレギュラーの座を獲得。同年閉幕後にスパルタク・モスクワ/RUSへ移籍する。2022年にウクライナ戦争が勃発すると、期限付き移籍でフラメンゴに加入。フラメンゴでもレギュラーの座を獲得し、攻撃的なサイドバックとしてカップ戦二冠に貢献。2023年6月の代表親善試合2試合に先発出場を果たす。2023年は4月の監督交代を受け守備的なプレーを強いられるが、チチ(Tite)現監督が就任すると攻撃的なプレーで2022年の輝きを取り戻しつつある。
(FLA)後半5分 :
自陣でボールを受けたFWブルーノ・エンヒキがMFデ・アラスカエッタへボールを送ると、大きく蹴りだすドリブルでMFデ・アラスカエッタがカウンターを主導。戻りのボールを受けたFWブルーノ・エンヒキがドリブルを仕掛けると、詰めるディフェンダーの空けたスペースにFWペドロが入りFWブルーノ・エンヒキがスルーパス。FWペドロが冷静にボールをゴールに流し込む。(0-2)
(FLA)後半40分 :
相手陣右サイドでのパス交換からMFエヴェルトン・ヒベイロがボールを受けると前を向きドリブルを開始。攻撃のスピードが一気に上がる。ペナルティアーク内のFWペドロを経由しペナルティエリア内左のFWエヴェルトン・セボリーニャにボールが渡ると、FWエヴェルトン・セボリーニャは縦に向かい中央へクロス。これをMFエヴェルトン・ヒベイロがゴールに流し込む。(0-3)
   このゴールに絡んだMFエヴェルトン・ヒベイロ、FWペドロ、FWエヴェルトン・セボリーニャはチチ監督率いる代表に何度も招集された実力者。今季は戦術的な理由で昨年までの輝きを失っていたが、監督交代を機に復活を遂げている。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:10‐9(1-1) ⇒ 前後半:11-21(1-7)
パス成功率: 前半:83% 83% ⇒ 前後半:84% 85%

   降格が確定しているアメリカ・ミネイロだが、CBジュリオ(Julio, 2003)を除きスタメンはほぼベストの先発陣。ホームでの勝利をサポーターに贈りたい。
   一方のフラメンゴは、前節RBブラガンチーノ戦のスタメンから2つのポジションを変更。ボランチはチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)に代わりエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)、FWの一角がルイス・アラウージョ(Luiz Araújo)に代わりブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)が入る。

   静かな立ち上がりは次第にアメリカ・ミネイロが相手陣でボールを展開。前半12分のFWフェリピ・アゼヴェド(Felipe Azevedo, 1987)のシュートはクロスバーを直撃。前半14分のMFエマヌエル・マルティネス(Emmanuel Martínez, 1994)のシュートはフラメンゴGKロッシ(Rossi, 1995)がキャッチ。前半20分のFWフェリピ・アゼヴェドのミドルシュートはディフェンダーに当たりコースが変わるがGKロッシが辛うじてCKに逃れなど、相次いでアメリカ・ミネイロがフラメンゴゴールに迫る。
   しかし、アメリカ・ミネイロは多くのチャンスを逃し続けると、次第にフラメンゴが試合の主導権を握り始める。そして、前半29分にFWエヴェルトン・セボリーニャが均衡を破ると、後半5分にFWペドロが追加点。
   アメリカ・ミネイロは、下部組織(出身)のMFホドリギーニョ(Rodriguinho, 2003)、FWヘナト・マルケス(Renato Marques, 2003)、FWアジソン(Adyson, 2005)、プロデビュー戦となるFWイゴル・ガブリエウ(Ighor Gabryel, 2003)を次々に投入し、若手選手に経験を積ませる。しかし、フラメンゴに傾いた流れを食い止めることは出来ず、フラメンゴが後半40分にダメ押しの3点目。
   試合はフラメンゴが3-0の完勝を収めた。

   アメリカ・ミネイロは、攻める姿勢を見せるものの、先制点を許し、前がかりになるところを追加点を奪われる今季を象徴するような試合展開でホームでの試合に0-3の完敗。
   今季主力を担った複数の選手はすでに1部の他チームの調査対象となっており、シーズン終了後には多くの選手の流出が見込まれる。その状況で、この試合では多くの若手選手を起用。来季は2部で主力を担う活躍を期待したい。
   今季の残りは、パウメイラス、バイーア、ゴイアスとの対戦。特にバイーア戦は今季最後のホームゲーム。勝利をサポーターに贈りたい。

   フラメンゴは、1引分けを挟み5連勝。チチ前代表監督の戦術、チチ監督により代表に招集された選手の間柄で、互いに特長を理解し合う関係が多いフラメンゴが、遂にタイトルに手が届く位置まで浮上してきた。
   この勝利で同勝点の2位。勝ち星も並び、得失点差でパウメイラスの後塵に排している。
   残り3試合の対戦相手は、アトレチコ・ミネイロ、クイアバ、サンパウロ。2引分けを挟み5連勝中で勝点差3に迫るアトレチコ・ミネイロは優勝に向けて越えなければならない相手。前回の対戦で0-3の完敗を喫したクイアバと、コパ・ド・ブラジル決勝戦で苦杯を舐めたサンパウロには、雪辱を果たしたい。

ゴイアス(GOI) 0-1 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=1cGbzf5hZm8
(CRU) : 90+6' #80 ホベルチ(Robert, 2005)[#9 ブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)]

見どころ(試合前の順位)

   ゴイアスは全国選手権8勝11分15敗勝点35の18位。
   クルゼイロは全国選手権10勝11分13敗勝点41の16位。

得点シーン

(CRU)後半45+6分 :
GKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)からのフィードを左サイドライン際で受けたFWブルーノ・ホドリゲスがドリブルで前進。ペナルティエリアの手前で大きく右へ展開する。そのボールを受けたFWホベルチが思い切りよく右足を振り抜くと、ボールはゴイアスGKタデウ(Tadeu, 1992)の指先を抜けファーサイドのサイドネットを揺らす。
   FWホベルチは、クルゼイロ下部組織出身で2023年7月8日全国選手権第14節ヴァスコ・ダ・ガマ戦の後半18分にピッチに立ち18歳でのプロデビューを飾る。優勝で幕を下ろしたU-20コパ・ド・ブラジル後に再度トップチームに合流すると、通算6試合目の出場となるこの試合でプロ初ゴール。残留争いに苦しむチームに貴重な勝ち点3をもたらした。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:47% 53% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:5‐7(2-3) ⇒ 前後半:10-11(3-7)
パス成功率: 前半:84% 82% ⇒ 前後半:80% 79%

   第35節の他の試合がすべて終わって時点で17位と18位に低迷する両チームの一戦。いずれも残留のためには勝ち点3が必須となっている。
   試合は17位クルゼイロが、相手陣で試合を展開。セカンドボールの多くを回収、ゴイアスが前線に送るボールは厳しいマークでボールの受け手に前を向かせず、中盤の選手が挟み込みボールを奪い、ゴイアスにサッカーをさせない。この展開が前半30分まで続くが、これまでリーグ最少得点のクルゼイロも得点を奪うことができない。
   前半の主役はゴイアスGKタデウ。前半25分のゴールライン際に抜け出しFWウェズレイ(Wesley, 1999)のシュートを身を挺して防いだのを手始めに、続く前半26分には再びFWウェズレイのシュートをしっかりとキャッチ。さらに1分後には中央を抜け出したFWブルーノ・ホドリゲスが一対一をかわしに来るところをしっかりとボールを掻き出すビッグセーブ。
   前半30分を過ぎると、ゴイアスもクルゼイロの厳しいマークを掻い潜り、主に左サイドのFWヴィニシウス(Vinícius, 1993)を起点に攻撃を組み立てる。前半38分にこの試合の初シュートを放つと、次第にクルゼイロゴールに迫るシーンも増えていく。
   後半最初の好機はクルゼイロ。後半10分にMFマテウス・ヴィタウが右サイドからコースを狙ったミドルシュート。しかし、またもやGKタデウが立ちはだかる。後半21分のFWハファエウ・エリアス(Rafael Elias, 1999)の強烈なシュートもGKタデウが片手でCKに逃れる。
   一方のゴイアスも後半25分に相手陣でのパスミスを奪ったFWヴィニシウスがシュートに持ち込むがシュートはGKの正面を突く。後半34分にはペナルティエリア手前からMFジエゴ(Diego, 1995)がシュートを放つもディフェンダーに当たったボールは僅かにゴール枠を外れ、これで得たCKからのCBブルーノ・メロ(Bruno Melo, 1992)のヘディングシュートは僅かにクロスバーを越える。
   後半45+6分、どうしても勝ち点3が欲しいゴイアスが前がかりになったところをクルゼイロはGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)が左サイドライン際へロングスローを起点に18歳FWホベルチのプロ初ゴールでクルゼイロが均衡を破る。
   試合は数プレーを経てタイムアップ。
   裏天王山はクルゼイロが1-0の勝利を収め、一気に13位に浮上した。

   ゴイアスは、前半の苦しい時間帯をGKタデウの奮闘で切り抜けると、前半35分以降は優位に試合を進めたものの、得意のセットプレーに持ち込むことができず、試合終了間際の失点で0-1の敗戦。3試合を残し、残留圏までの勝点差が7ポイントと窮地に追い詰められた。
   残り3試合の対戦相手は、グレミオ、フォルタレーザ、アメリカ・ミネイロ。対戦相手に関わらず3試合いずれにも勝ち点3を獲得し、他チームの動向に委ねるしかない。

   クルゼイロは、残留争いのライバルが勝ち点を積み上げることに苦戦する中、貴重な勝ち点3を獲得し一気に順位を13位に押し上げた。
   残り3試合の対戦相手は、アトレチコ・パラナエンセ、ボタフォゴ、パウメイラスと強敵揃い。しかし、前回の対戦は前2チームとは引き分け、パウメイラスとは試合終了間際の失点による0-1と、五分の内容で五分の結果を残している。
   この試合の前半30分まで見せた執拗な守備や、直近の5試合で3得点1アシストのFWブルーノ・ホドリゲスを中心とした攻撃で、今節の終了間際のゴールによる勝利を勢いに変え、勝ち点を積み上げ、1試合でも早く1部残留を確定したい。

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