最新更新日:2023/12/09 情報更新:2023/03/19
ユーリ・アウベルト・モンテイロ・ダ・シウヴァ
Yuri Alberto Monteiro da Silva
ポジション:フォワード/アタカンチ (Atacante)
利き足:両足
2001年3月18日生まれ
<クラブ経歴>
≪サントス≫
2013年に12歳でサントスの下部組織に入団。 2017年7月28日、サントスと契約期間3年でプロ契約。
2017年11月16日、ブラジル選手権第35節アウェイのバイーア戦において、後半29分、元代表ヘナト(Renato、2004コパアメリカ、2005コンフェデレーションズ杯など代表39試合)と交代で途中出場しプロデビューを飾る。
翌2018年3月7日、スターティングイレブンで出場したサンパウロ州選手権予選グループ、アウェイでのノヴォリゾンチーノ戦、後半9分にFKからのこぼれ球をゴールに蹴り込み、プロ初ゴールを挙げた。
2019年は、ホルヘ・サンパオリ監督(Jorge Sampaoli、監督としてコパ・アメリカ2015にてチリ代表に初戴冠をもたらす。W杯2014ベスト16など。)のもと、出場機会を失い、サンパウロ州選手権での2試合90分の出場にとどまり、活躍の場がU-20に移る。
2020年、サンパオリ監督に替わりポルトガル人のジェズアウド・フェレイラ(Jesualdo Ferreira)が監督に就任し、再びトップチームに昇格する。しかし、出場機会は限られていた。 サントスでの起用法に不満を持った代理人が他クラブとの交渉を始める。そして、契約満了を迎える2020年7月末を目前に控えた7月15日、代理人はインテルナシオナウとの間で契約に合意する。サントス側は優先的更新を定めた現行の契約条項を盾に申し立てたが、契約満了後の8月3日、インテルナシオナウが獲得を発表した。
≪インテルナシオナウ≫
インテルナシオナウ加入後間もない2020年8月15日、ブラジル全国選手権第3節フルミネンセ戦後半38分にクラブデビューを果たす。(この年の全国選手権はコロナ感染症の影響で2020年8月8日から2021年2月25日にかけて変則的に開催された。) その後太もものケガで一時戦列を離脱したが、10月11日第15節アトレチコ・パラナエンセ戦で復帰を果たすと、最終節まで警告累積による出場停止試合を除き全試合に出場。 10月14日、第16節エスポルチ戦でクラブ初ゴールを挙げると、2021年1月20日第31節アウェイでのサンパウロ戦では3ゴール1アシストを挙げるなど、この年度の選手権は10ゴール2アシストの成績を残した。
2021年シーズンには定位置を確保し、全国選手権では第15節アウェイ・フラメンゴ戦、第25節ホーム・シャペコエンセ戦での2度のハットトリックを含む33試合12ゴールを記録。
≪ゼニト≫
2022年1月30日、移籍金2500ユーロでゼニト/RUSへの移籍が発表。
2022年2月3日にはアトランチック・カップ、ミッティラン/DEN戦でデビューを果たし、クラブ初ゴールは2月28日ロシア・プレミアリーグのルビン・カザン戦で記録。
≪コリンチャンス≫
– 2022 –
FWジョー(Jô, 2018-2019名古屋グランパス在籍)との契約解除によりセンターフォワードを探していたコリンチャンスの白羽の矢が立つ。 6月29日、GKイヴァン(Ivan、1997年7月2日生まれ。2019年8月代表招集、代表戦出場なし)とMFグスタヴォ・マントゥアン(Gustavo Mantuan、2001年6月20年生まれ)との2対1のトレードの形で、ゼニトからコリンチャンスへの1年間のレンタル移籍が発表された。
ポルトガル人監督ヴィトル・ペレイラ(Vítor Pereira)氏のもと、2022年7月20日クリチバ戦においてスターティングイレブンでクラブ初出場を果たす。 8月17日のコパ・ド・ブラジル、準々決勝アトレチコ・ゴイアニエンセ戦2ndレグでハットトリックを達成すると、9月4日全国選手権第25節から10月4日第30節の6試合で5得点を挙げるなど、センターフォワードとしての定位置。また、この活躍を受け、コリンチャンスはゼニトとの間で買取の交渉を進めていることが報道される。
– 2023 –
2023年1月10日、ゼニトからの完全移籍をコリンチャンスが発表。
1月に開幕した州選手権では1月18日の第2節アグアサンタ戦から出場。前半21分にシーズン初ゴールを記録。 州選手権はユーリ自身10試合4得点3アシストの成績を残すが、コリンチャンスは、勝ち切れない試合も多く、3月12日の決勝ラウンド一回戦(準々決勝)イトゥアーノ戦でPK戦の末敗退。 監督の去就問題となると、監督人事は混乱をきたし、全国選手権は4月15日の開幕戦後の4試合をすべて異なる監督、監督代行の指揮のもと試合に臨む前例を見ない状態に陥る。
2023年3月25日、モロッコで行われた代表親善試合モロッコ戦で後半40分の交代出場で代表デビューを果たしたばかりのユーリだったが、帰国後のコリンチャンス合流後は上記の混乱や、最終的に監督に就任したヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ(Vanderlei Lexemburgo)監督の下部組織在籍選手を積極的に起用する起用法や、守備的な戦術など様々な要因が組み合わさり、試合では前線で孤立する場面が増え、相手ゴール前でも他の選手の動きに窮屈になる場面が多く見られ、得点から遠ざかっていく。
シーズンが深まるにつれ連係も深まっていくが、決定機を決め切ることができないシーンも増えていき、ゴール数は増えていかない。
2023年は年間63試合5000分超15得点7アシスト。 4人の監督、2人の監督代行の下、カウンターを引き出すプレーや、ポストプレー、サイドに流れ攻撃の起点となるプレーなど、監督の意図するプレーをこなし、常にセンターフォワードのレギュラーとして起用され続けるものの、ゴール数やアシスト数はシーズン前の期待に全く沿えない成績に終えた。
≪シーズン別クラブ成績≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2017年(16歳) | サントス | 全国選手権 | 2 | 43 | 0 | 0 |
合計 | 2 | 43 | 0 | 0 | ||
2018年(17歳) | サントス | リベルタドーレス | 1 | 41 | 0 | 0 |
全国選手権 | 9 | 260 | 0 | 0 | ||
コパ・ド・ブラジル | 2 | 96 | 1 | 0 | ||
州選手権 | 4 | 205 | 1 | 0 | ||
合計 | 16 | 602 | 2 | 0 | ||
2019年(18歳) | サントス | 州選手権 | 2 | 90 | 0 | 0 |
合計 | 2 | 90 | 0 | 0 | ||
2020年(19歳) | サントス | リベルタドーレス | 2 | 114 | 0 | 0 |
州選手権 | 3 | 225 | 1 | 1 | ||
合計 | 5 | 339 | 1 | 1 | ||
インテルナシオナウ | リベルタドーレス | 3 | 181 | 0 | 0 | |
全国選手権 | 23 | 1303 | 10 | 2 | ||
コパ・ド・ブラジル | 3 | 115 | 1 | 0 | ||
合計 | 29 | 1599 | 11 | 2 | ||
2021年(20歳) | インテルナシオナウ | リベルタドーレス | 7 | 382 | 3 | 0 |
全国選手権 | 33 | 2696 | 12 | 3 | ||
コパ・ド・ブラジル | 2 | 133 | 0 | 1 | ||
州選手権 | 13 | 637 | 4 | 1 | ||
合計 | 55 | 3845 | 19 | 4 | ||
2022年(21歳) | インテルナシオナウ | 州選手権 | 1 | 89 | 1 | 0 |
合計 | 1 | 89 | 1 | 0 | ||
ゼニト/RUS | ヨーロッパリーグ | 2 | 109 | 0 | 0 | |
ロシア・プレミアリーグ | 11 | 733 | 4 | 3 | ||
ロシア・カップ | 1 | 60 | 2 | 0 | ||
合計 | 14 | 902 | 6 | 3 | ||
コリンチャンス | リベルタドーレス | 2 | 149 | 0 | 0 | |
全国選手権 | 20 | 1455 | 8 | 1 | ||
コパ・ド・ブラジル | 6 | 530 | 3 | 1 | ||
合計 | 23 | 1684 | 8 | 1 | ||
2023年(22歳) | コリンチャンス | リベルタドーレス | 5 | 410 | 0 | 0 |
コパ・スウアメリカーナ | 6 | 491 | 2 | 0 | ||
全国選手権 | 34 | 2735 | 8 | 3 | ||
コパ・ド・ブラジル | 8 | 733 | 1 | 1 | ||
州選手権 | 10 | 858 | 4 | 3 | ||
合計 | 63 | 5227 | 15 | 7 |
イタリック斜体は、2023年12月9日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
2017年2月16日、15歳ながら南米ユース選手権U-17に向け招集。同大会は4試合で出場時間110分ながら2得点を挙げ、優勝に貢献。 2017年3月30日、U-17代表としてフランス・モンテギュー国際大会に向け招集。同大会では4試合3得点を記録。 2017年10月17日、FIFA U-17W杯に向け招集。4試合 出場時間78分 1得点を記録。 2020年、オリンピック南米予選に向けU-23代表に招集。2試合に出場。
2023年3月18日、3月25日に開催されるモロッコとの親善試合に向けた代表に追加招集を受ける。
≪シーズン別代表成績≫
年 | 開催日 | 大会・対戦相手 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2017年(16歳) | 南米ユース選手権U-17 | 4 | 110 | 2 | 0 | |
U-17 W杯 | 4 | 78 | 1 | 0 | ||
2020年(19歳) | 2020オリンピック南米予選 | 2 | 154 | 0 | 0 | |
2020/1/19 | – ペルー | 19 | 0 | 0 | ||
2020/1/31 | – パラグアイ | 2 | 0 | 0 | ||
2023年(22歳) | 親善試合 | 1 | 5 | 0 | 0 | |
2023/3/25 | – モロッコ | 5 | 0 | 0 |
2022年10月27日現在 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<エピソード、雑感 etc.>
サントス在籍時の監督ジャイール・ヴェントゥーラ(Jair Ventura)はユーリ・アウベルトについて、当時、次のように語っている。 「ユーリはまさしく9番(センターフォワード)であり、フィニッシャーだ。ペナルティエリアでの位置取りがとてもいい。しかも俊敏性も兼ね備えている。エリア内で構える9番じゃないね。ユーリの最大の武器はやっぱり決定力かな。ペナルティエリア内でディフェンダーを背負う形からシュートに持ち込むプレーも上手いし、(裏への抜け出しなど走る)コース取りからシュートに繋げる動きも上手い。」
インテルナシオナウ在籍時の監督クーカ(Cuca)もまた、「ディフェンダーを置き去りにするスピードがあってカウンターの起点になる。それにトレーニングへ取り組む姿勢やピッチ外での態度なども賞賛に値する。 パワーもスピードも兼ね備えていてフィニッシャーの9番として将来性豊かだね。もちろん、サッカーでの将来の成功には様々な要素が絡むんだけど。ただ、彼のようなプレースタイルはなかなか真似できないよ」と語っている。
フル代表への招集は今のところまだない。しかし、多くの関係者が認めるように、潜在的に非凡な能力を秘めている。初めてのヨーロッパ挑戦は戦争という思わぬ形で一時中断してしまったが、クーカの言う様々な要素が少しでも上手く絡み合えば、ヨーロッパのビッグクラブやブラジル代表でのプレーチャンスを勝ち取り、世界中のファンがその能力を目の当たりにすることになるだろう。
(2023年12月9日追記) 2023年3月25日、モロッコで開催された国際親善試合で代表デビューを果たした。 しかし、2023年は年間を通してクラブでの成績が振るわず、2023年半ばの移籍ウィンドウでは、それまでに身元調査のあったプレミアリーグの2チームや中東からのオファーはなく、シーズン終了後も国外移籍がメディアの俎上に乗る機会はほとんどない。
チームが守備的な戦術を採用したことや、マークが集中したこと、供給されるボールの精度など、外部的な多くの問題があったが、決定的なシーンでシュートミスや決めきれないことも多く、サポーターの期待を大きく裏切ったことも事実。オフザボールの動きなど、チームの指揮を執った多くの監督からの信頼は厚いが、フォワードとしてはゴールという明らかな結果が求められる。
2023年は自身にとっても不本意な一年だったと思われるが、2024年は心機一転、ゴールにどん欲になり、一つでも多くのゴールを決め、再び代表に呼ばれる活躍を期待したい。