2023年ブラジル全国選手権2部最終順位

投稿者: | 2023年11月26日
2023年ブラジル全国選手権2部(Série B)の全日程が11月26日に終了しました。
最終節を迎えた時点で3位から8位までの勝点差が2ポイントという混戦となりましたが、最終的には以下のような結果となりました。
(※)大会概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

<最終順位表>

順位チーム名チーム名勝点試合得点失点得失
点差
勝点
率(※)
1ヴィトーリアVitória72382261050311963
2ジュヴェントゥージJuventude65381811942311157
3クリシウーマCriciúma64381971245331256
4アトレチコ・ゴイアニエンセAtlético Goianiense64381713856451156
5ノヴォリゾンチーノNovorizontino63381961348301855
6ミラソウMirassol63381891142311155
7エスポルチSport63381712959401955
8ヴィラ・ノヴァVila Nova613817101149301953
9CRBCRB5738169134539650
10グアラニーGuarani57381512114233950
11セアラーCeará50381311144045-543
12ボタフォゴ-SPBotafogo-SP47381211152542-1741
13アヴァイーAvaí44381014143148-1738
14イトゥアーノItuano4238915143338-536
15ポンチ・プレッタPonte Preta4238915142435-1136
16シャペコエンセChapecoense4038913163843-535
17サンパイオ・コヘアSampaio Corrêa3938815153143-1234
18トンベンセTombense3738910193750-1332
19ロンドリーナLondrina3138710213158-2727
20ABCABC2838513202851-2324
水色のハイライト:1部昇格
ピンクのハイライト:3部降格
※勝点率 = 実際勝点 ÷ 最大可能勝点(勝点3x試合数)。
  例 クルゼイロの場合:
    実際勝点72、最大可能勝点 = 3x38 = 114、勝点率 = 72 ÷ 114 = 63.15%
 Aproveitamento (アプロベイタメント)といい、ブラジルでよく利用される指標です。

<昇格チーム総括>

優勝:ヴィトーリア(Vitória)

2018年以来の1部復帰。
2022年は3部に参戦するも、2023年の2部再昇格初年度を優勝で飾り、1部昇格を決めた。
全国選手権2部開幕前のバイーア州選手権は10チーム中6位、コパ・ド・ノルデスチは予選グループラウンドを8チーム中7位、コパ・ド・ブラジルは一回戦敗退と成績は芳しくなく、3部からの再昇格一年目ということもありノーマークで開幕を迎えた。
しかし、開幕節ポンチ・プレッタ戦を3-0で完勝すると、5試合無失点の5連勝で一躍首位に躍り出る。その後は勝ち負けを繰り返し、第12節から第15節にかけて1勝4敗の成績で5位に順位を落としたものの、その直後の5戦を4勝1分で巻き返し、第18節には首位に返り咲く。その後は成績も安定し、第36節で1部再昇格を決めた。
最多試合出場 : 36試合 GKルーカス・アルカンジョ(Lucas Arcanjo, 1998)
最多得点 : 10得点 FWレオ・ガマーリョ(Léo Gamalho, 1986)
最多アシスト : 9アシスト FWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)
守備でシーズンを通して活躍した両センターバック、カムタンガ(Camutanga, 1993)は来季まで契約を更新、ポルチモネンセ/PORからの期限付き移籍で加入したCBヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo)も8月に2025年までの完全移籍済み。
一方で攻撃面では、上記の通り、今季はベテランが牽引。ゼ・ウーゴ(Zé Hugo, 1999)は途中交代が中心ながら34試合の出場機会を得て試合経験を積んだが、2024年は攻撃の核となる中堅選手を補強したい。
ボランチは、7月に3部ヴォウタ・ヘドンダから一年間の期限付き移籍で獲得したVOLドゥドゥ(Dudu, 1999)が20試合の出場でチーム最多の131回のデュエル勝利を記録しており完全移籍で獲得したいところ。

2位:ジュヴェントゥージ(Juventude)

一年での1部復帰。
2部降格により、大幅な選手の入れ替わりがあり、ほとんど前年の面影のない選手構成でチームはスタート。全国選手権2部開幕前のリオグランデドスル州選手権では予選ラウンドを12チーム中5位で終わり決勝ラウンド進出を逃した。
選手権は開幕3連敗。6節終了時点で1勝5敗の19位と開幕スタートに失敗し、第5節終了後には監督を更迭。後任に、全国選手権4部までに登録のないサンタ・アグアをサンパウロ州選手権準優勝に導いたチアゴ・カルピーニ(Thiago Carpini)氏を監督に招聘する。
チアゴ・カルピーニ監督は、コンパクトな陣形を保ち、中に入るボールに素早く寄せるサッカーを採用。前線や中盤の選手は運動量が多くなるが、交代枠やローテーションを利用し多くの選手を起用。一方で、開幕前に加入した大ベテランMFネネー(Nenê, 1981)を中盤の中央に据えると、MFネネーはプレー面だけでなく精神面での柱を担う。
また、最終ラインは、右SBヘジナウド(Reginaldo, 1993)、CBダニーロ・ボーザ(Danilo Boza, 1998)、CBゼ・マルコス(Zé Marcos, 1998)、左SBアラン・フシェウ(Alan Ruschel, 1989)の4選手をほぼ固定して起用。
チームは第7節~第11節にかけ5連勝を達成し立て直しに成功。シーズン後半の19試合は勝ちきれない試合が増えたものの、9勝8分2敗の成績を残し、最終節セアラー戦では退場者を出しながらも、3-1で勝利を収め自力で1部昇格を勝ち取った。
最多試合出場 : 38試合 CBダニーロ・ボーザ(Danilo Boza, 1998)
最多得点 : 7得点 MFネネー(Nenê, 1981)
最多アシスト : 7アシスト MFネネー(Nenê, 1981)
MFネネーは、前年のヴァスコ・ダ・ガマに続き2年連続で所属チームの1部昇格に貢献。数字に残る成績以外のチームへの貢献度も高く、FWフアン(Ruan, 2005)やFWヴィ二・パウリスタ(Vini Paulista, 2001)など若い選手が多いチームの中、来季もチームに残ってもらいたい。
既にチアゴ・カルピーニ監督との契約は2024年末まで延長されている。2024年シーズン開幕までに、全国選手権1部での戦いに向け再び多くの選手の入れ替えが行われるだろうが、2023年サンパウロ州選手権では、限られた選手層の中、サンパウロやコリンチャンス、サントス、RBブラガンチーノを凌ぎ準優勝、そして全国選手権2部でも準優勝の実績を残したチアゴ・カルピーニ監督手腕をもって、組織的な戦術をベースに全国選手権1部でも台風の目となる活躍を期待したい。

3位:クリシウーマ(Criciúma)

2014年以来の1部復帰。
2020, 21年は3部に参戦、2022年に2部再昇格を果たし、2部在籍2年目で2024年の1部再昇格を果たした。
クリシウーマは、全国選手権2部20チーム中、唯一年間を通して監督交代が行われなかった(ヴィトーリアは全国選手権2部開幕前に監督交代あり)。
2021年10月に就任し2部昇格を果たしたクラウジオ・テンカチ(Cláudio Tencati)監督が、その2年後には1部昇格をももたらした。しかし、その道のりは不安定で、全国選手権2部閉幕時点で来季の指揮は決まっていない。
チームは、全国選手権2部開幕前のサンタカタリーナ州選手権に優勝。前年の全国選手権2部は8位で終えており、ダークホース的な評価で開幕を迎えた。
開幕3連勝で開幕ダッシュに成功すると第6節までは4勝2分の成績。前半戦19試合を最高位2位、10勝4分5敗の5位で折り返す。後半戦に入ると勝ちと負けを交互に繰り返すようになり、勝ち点を思うように伸ばすことができず、第32節終了後には8位まで順位を落とす。しかし、そこから1分を挟み4連勝。第37節終了後には1試合を残し1部昇格を決定した。
クリシウーマはホームゲームの成績が良く、14勝1分4敗と75%の勝点率(優勝チームヴィトーリアの勝点率は63%)を誇る一方で、アウェイでの試合は5勝6分8敗。
最多試合出場 : 36試合 MFフェリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)
最多得点 : 9得点 FWエデル・シタジーニ(Éder Citadin, 1986)
最多アシスト : 9アシスト MFフェリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)
2024年シーズンは、25人前後の選手を支配下に置き、現在所属選手および下部組織からの昇格組が半数、残りの半数を全国選手権1部の契約切れを迎える選手を中心に補強を進めていくとのこと。しかし、これは来季の続投が未定のクラウジオ・テンカチ現監督のコメントであり、2024年向けては監督人事から覆る可能性も。休暇に入るここ数日の人事が注目される。

4位:アトレチコ・ゴイアニエンセ(Atlético Goianiense)

一年での1部復帰。
前年の降格組の中でも比較的多くの選手が残留(とは言っても約三分の一)したアトレチコ・ゴイアニエンセだったが、全国選手権2部開幕前のゴイアス州選手権では、全国選手権1部ゴイアスに次ぐ2位で予選ラウンドを突破、決勝ゴイアス戦は1stレグをホームで2-0の勝利、2ndレグは1-3で破れたものの、PK戦で5-4の勝利を収め、州選手権のタイトルを獲得。
昇格候補の一角として全国選手権2部開幕を迎える。
開幕直後は4勝3分と開幕ダッシュに成功。しかし、第7節~第12節は勝ち星から遠ざかり、その後も勝ち切れない試合が続き、前半戦19試合を6勝9分4敗の11位で折り返す。
第16節終了後に監督を解任。第22節からジャイール・ヴェントゥーラ(Jair Ventura)監督が指揮を執ると、攻守の切り替えが速くなり、成績が安定。第22節~第27節に1分を挟む5連勝、第29節~第33節にも5連勝を達成、チームは勝ち切る力をつけていく。第32節には昇格圏の3位に浮上。第34節からの昇格を争いライバルとの4連戦では2分2敗と精神的な弱さを見せたが、5位で迎えた最終節は気持ちを切り替えて3-0の快勝。上位チームの敗戦もあり、最終的に4位に滑り込み、1部昇格を叶えた。
最多試合出場タイ : 36試合 GKホナウド(Ronaldo, 1991)
最多試合出場タイ : 36試合 MFシャイロン(Shaylon, 1997)
最多試合出場タイ : 36試合 MFハウジネイ(Rhaldney, 1998)
最多得点 : 14得点 FWグスタヴォ・コウチーニョ(Gustavo Coutinho, 1999)
最多アシスト : 7アシスト MFシャイロン(Shaylon, 1997)
最多出場タイの3選手は2022年からの残留組。チームの中心として1部でのプレー経験をチームに伝えた形となった。
最多得点のFWグスタヴォ・コウチーニョは、全国選手権2部得点王。フォルタレーザから2023年末までの期限付き移籍でプレーしており、フォルタレーザへの帰還が濃厚。
FW陣では、2022年途中加入のルイス・フェルナンド(Luiz Fernando,1996)が年間52試合19得点8アシスト、2023年8月に加入した高さのあるCFマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)が16試合4得点3アシストの記録を残し、いずれも来季の活躍が見込める。
今季はシーズン途中に、1部で出場機会が減少したFWマテウス・ペイショットや、2022年に期限付き移籍でアトレチコ・ゴイアニエンセでプレー、2023年にインテルナシオナウに復帰するも相次ぐ補強で戦力外となったVOLバラーリャス(Baralhas, 1998)を獲得。
2024年は、選手層の年齢構成などを考慮すると、4位での昇格とは言え、引き続き的確な補強を行うことができれば、昇格組4チームの中で最も良績を残すことができそうな面々。ジャイール・ヴェントゥーラ監督はこれまで全国選手権1部で華々しい結果を残せていないが、この半年間で戦術を浸透させたチームをベースに2024年は全国選手権1部での捲土重来を期待したい。

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