クラブ別2023年振り返り:コリチバ (Coritiba)

投稿者: | 2023年12月13日

コリチバ ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Coritiba

コリチバ (Coritiba)

正式名称:Coritiba Foot Ball Club

略称:CFC

創立:1909年

本拠:パラナ州 クリチーバ

《 主要タイトル & クラブ概略 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権11985
   コリチバは、1909年10月創立、全国選手権を1度、パラナ州選手権は39度もの優勝歴を誇るパラナ州クリチーバの名門クラブ。『コッシャ(Coxa)』の呼び名で親しまれている。 
   2011年2月3日~5月5日には、州選手権、コパ・ド・ブラジル、全国選手権での公式戦24試合に24連勝を達成。この記録は同年11月に最多連続試合勝利数としてギネスブックに認定された(2023年12月12日現在は3位)。
   日本人選手に関しては、1988-89年に三浦知良選手がプレー。サッカーサイト「oGol」によると、2年間で全国選手権21試合2得点、全国選手権を含めた公式戦59試合7得点の記録を残している。
   近年は育成に力を入れており、コリチバ下部組織出身で同クラブからプロデビューを果たした主な選手は以下の通り:
   〇ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995) ... 2016年3月に18歳のプロデビュー。2023年3月に代表デビューを果たし2026W杯南米予選3試合など代表6試合の出場履歴。(2023年パウメイラス所属)
   〇イゴル・パイション(Igor Paixão, 2000) ... 2019年1月に18歳のプロデビュー。2022年8月にフェイエノールト/HOLへ移籍し11月にレギュラーの座を獲得。2023/24シーズンも2023年12月12現在チーム21試合の全試合に出場(うち先発19試合)4得点3アシストを記録中。
   〇ヤン・コウト(Yan Couto, 2002) ... 2020年2月に17歳でプロデビュー。2019年南米U-17選手権、U-17W杯での活躍が国外から注目を浴び、2020年7月にマンチェスターシティ/ENGに移籍。期限付き移籍でジローナ/ESP、SCブラガ/PORなどでプレー。2023/24シーズンは好調ジローナでポジション争い。2023年12月12現在17試合(うち先発9試合)1得点5アシストを記録中。2023年10月12日には2026W杯南米予選第3節ベネズエラ戦で代表デビュー。10月17日第4節ウルグアイ戦ではスタメン出場。
   〇ジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004) ... 2023年6月に19歳のプロデビュー。2023年U-20南米ユース選手権(7試合)、U-20W杯(5試合2得点)に出場。
   〇カイオ・セーザル(Kaio César, 2004) ... 2023年1月に18歳のプロデビュー。2023年10月のパンアメリカン競技大会U-23代表に19歳ながら招集、すべて途中出場ながら全5試合に出場。

《 直近3年成績(2021年-2023年) 》

大会2023年成績2022年成績2021年成績
ブラジル全国選手権19位15位
ブラジル全国選手権2部3位
コパ・ド・ブラジル3回戦敗退3回戦敗退3回戦敗退
パラナ州選手権準々決勝敗退優勝9位
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2023年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェイ方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移。
コリチバ 全国選手権 ブラジルリーグ 年度別順位推移

《 2023年 》

<戦績>

大会試合勝利引分敗北得点失点得失差順位等
全国選手権3886244173-3219位
コパ・ド・ブラジル41217613回戦敗退
パラナ州選手権1365214104準々決勝敗退
   551513276289-27

<全国選手権 年間順位推移>

コリチバ 全国選手権 ブラジルリーグ 2023年間順位推移

<振り返り>

【シーズン前】

   2022年12月13日にアントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督の就任を発表。単年契約や期限付き移籍でプレーした多くの選手が退団する中、少ない予算で監督の意見を取り入れた選手獲得、期限付き移籍から復帰、下部組織からの若手選手の供給を受け、チームを組織していく。
   年明け2023年1月12日には、トップチームに昇格したばかりのCBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004)が、U-20南米ユース選手権に追加招集。チームはいい雰囲気で1月15日開幕のパラナ州選手権を迎える。

【パラナ州選手権】

   州選手権は開幕節(1月15日)から無失点で4連勝。シーズン前に獲得したベンフィカ/PORなどポルトガルで7年間プレーしたFWホドリゴ・ピーニョ(Rodrigo Pinho, 1991)と、2022年のチーム内得点ランキング2位のアレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)が攻撃を牽引し、予選ラウンドの11試合を6勝4分1敗の3位で通過、唯一の敗戦も最終節の後半15分に退場者を出してのものだった。
   しかし、予選ラウンド最終節の敗戦で一気に歯車が狂う。
   決勝ラウンド一回戦(準々決勝)全国選手権4部のカスカヴェウ戦アウェイでの1stレグに1-3の敗北を喫すると、ホームでの2ndレグは、立ち上がりから猛攻を仕掛けるが、相手GKの再三の好セーブや、少なくとも三度ポストに嫌われるなど、最後までゴールを奪うことができず0-0の引分け。州選手権を準々決勝で敗退する。

【コパ・ド・ブラジル】

   2023年2月23日一回戦全国選手権4部のウマイタ戦は3-0の完勝。
   州選手権敗退が決まった3日後の3月14日に行われた二回戦クリシウーマ(全国選手権2部)戦は、90分間を0-0の引分けに終えたが、PK戦の末辛うじて三回戦進出を決める。
   全国選手権開幕を4日後に控えたコパ・ド・ブラジル三回戦全国選手権2部のエスポルチ戦1stレグ(4月12日)は、二回戦以来一か月ぶりの公式戦となるが、リスクを負い攻撃に重点を置いた試合で3-3の引分け。
   4月26日2ndレグを前にアントニオ・オリヴェイラ監督が解任。2ndレグはザーゴ(Zago)新監督の初采配試合となったが、前半4分の失点でゲームプランが崩れ、最後まで立て直すことができず、0-2のスコアで敗戦。2試合合計は3-5となりコパ・ド・ブラジルを後にする。

【全国選手権】

   2023年4月16日開幕節フラメンゴ戦で0-3で敗北を喫すると、クラブはアントニオ・オリヴェイラ監督を解任。翌第2節フォルタレーザ戦は監督代行のもと0-3のスコアで2連敗。第3節サンパウロ戦はザーゴ新監督の全国選手権初采配、前半12分にVOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)のチーム全国選手権初ゴールでリードするものの後半36分に追いつかれ引分けに終える。
   その後も勝ち星を上げることができず6月25日第12節グレミオ戦で1-5の完敗を喫すると、クラブはザーゴ監督を解任。ザーゴ監督は4分7敗でクラブを去った。
   後任は速やかに決まらず、クラブは前年のU-20監督、2023年はトップチームのアシスタンスコーチを務めていたチアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)を監督代行としてチームを託す。
   すると、7月3日第13節ゴイアス戦で2-1のスコアで全国選手権初勝利(この勝利は2月23日コパ・ド・ブラジル一回戦以来、4か月、19試合ぶりの公式戦勝利)。第14節アメリカ・ミネイロ戦を3-1で連勝を飾ると、1引分けを挟み、第16節フルミネンセ戦で2-0の完勝を収める。
   チアゴ・コズロスキ監督代行は、それまで多くの出場機会に恵まれていなかったMFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)を中心に、ボール保持率を高め、最終ラインが高い位置を保ち、ボールロスト後の寄せを速くしボールを奪い返しに行く積極的なサッカーを展開。
   クラブも6月22日に可決されたスポーツ専門株式会社(SAF)への組織変更による資本注入で得る資金を原資に、7~8月の移籍ウィンドウでアルジェリア代表FWスリマニ(Slimani, 1988)や元ギリシャ代表VOLサマリス(Samaris, 1989)など国内外の13選手を補強。チームは遅ればせながら上昇気流に乗るかと思われた。
   しかし、第17節、首位を独走するボタフォゴ戦から8連敗。その直前の成功体験が足かせとなったのか、前がかりになったところを狙われる展開で連敗中の失点は25にも達し、残留の目も一気に遠ざかった。
   8連敗後は勝数と負数がほぼ互角になるまでチームを立て直したが、第35節フルミネンセ戦での敗戦で3節を残し降格が決定。チアゴ・コズロスキ監督(ボタフォゴ戦後に正式な監督に就任)はその責任を取る形で解任、全国選手権の約2/3に当たる24試合の指揮を執り、チームの全8勝を残しクラブを去った。
   選手権前半 :   3勝 5分11敗、得点18失点36
   選手権後半 :   5勝 1分13敗、得点23失点37
   選手権合計 :   8勝 6分24敗、得点41失点73
   選手権ホーム  :   4勝 4分11敗、得点17失点28
   選手権アウェイ :   4勝 2分13敗、得点24失点45
   得点数41  :  リーグ14位タイ
   失点数73  :  リーグ2位(の多さ

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手













最多試合出場タイガブリエウ・ヴァスコンセーロス
Gabriel Vasconcellos
GK, 1992
4731412
最多試合出場タイナタナエウ
Natanael
SB, 2002
4733410
最多試合出場タイホビソン
Robson
FW, 1991
4732312
最多出場時間ガブリエウ・ヴァスコンセーロス
Gabriel Vasconcellos
GK, 1992
420627663601080
(2位)ナタナエウ
Natanael
SB, 2002
36592510288861
(3位)ブルーノ・ゴメス
Bruno Gomes
VOL, 2001
33652206291868
最多得点ホビソン
Robson
FW, 1991
141211
(2位)アレフ・マンガ
Alef Manga
FW, 1994
13454
(3位)ホドリゴ・ピーニョ
Rodrigo Pinho
FW, 1991
5005
最多アシストホビソン
Robson
FW, 1991
7502
(2位)アレフ・マンガ
Alef Manga
FW, 1994
5311
(3位)マルセリーノ・モレノ
Marcelino Moreno
MF, 1994
4400
最多デュエル勝利マルセリーノ・モレノ
Marcelino Moreno
MF, 1994
190
(2位)ホビソン
Robson
FW, 1991
173
(3位)ナタナエウ
Natanael
SB, 2002
166
最多キーパスマルセリーノ・モレノ
Marcelino Moreno
MF, 1994
54
(2位)ブルーノ・ゴメス
Bruno Gomes
VOL, 2001
29
(3位)ホビソン
Robson
FW, 1991
26
最多CBIタイクスチェヴィッチ
Kuscevic
CB, 1996
145
最多CBIタイエンヒキ
Henrique
CB, 1986
145
(3位)ナタナエウ
Natanael
SB, 2002
88
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

《 2024年にむけて 》

   スポーツ専門株式会社(SAF)への組織変更に伴う資本注入でクラブは財務状況が大幅に改善。2023年7月に一度目の大型補強とそれに伴う人員整理を実施。2023年終了後には、7・8月加入選手の実績評価を行い契約解除を含めた契約の見直しを実施。2023年末に契約満了を迎える選手についても厳しい篩がかけられる。
   2023年末をもって退団する選手の中には、コリチバ下部組織出身でバルセロナ/ESPからの期限付き移籍で2008/09シーズンにバイエル・レバークーゼン/GERでレギュラー。パウメイラス、フルミネンセ、コリンチャンス、ナポリ/ITAでも活躍し、2014W杯1試合など代表歴があり、2021年にコリチバに復帰していたCBエンヒキ(Henrique, 1986)の名前も含まれる。
   一方で、2023年後半戦にチームの中核を担ったMFマルセリーノ・モレノを始め、2023年末に契約満了を迎える主力選手の契約延長交渉を開始。一部の選手の契約更新が決まっている。また、チーム内得点王のFWホビソン(Robson, 1991)、アルジェリア代表FWスリマニなど、シーズン終盤に主力を務めた多くの選手が複数年契約を結んでおり、主力選手の大量流出は避けられる見込み。
   チアゴ・コズロスキ監督は、2022年にU-20チーム監督を務めていたことも影響したのか、トップチームの指揮を執ると、補強で獲得した選手とともに多くの若手選手を試合に起用。2022年にはレギュラーに就いていた右SBナタナエウ(Natanael, 2002)はもちろんのこと、2022年から試合に出ていたVOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)が2023年終盤にレギュラーの座を獲得。全国選手権4部チームへの期限付き移籍から8月に復帰したCBタリソン(Thalisson, 2001)は、10月18日第29節クイアバ戦で復帰後の初試合を先発に抜擢されるとそのままポジションに定着した。
   10月のパンアメリカン競技大会にU-23代表として出場したFWカイオ・セーザル(Kaio César, 2004)は年間を通してコンスタントに試合に出場し、36試合(うち先発17試合)3得点を記録。U-20南米ユース選手権、U-20W杯に出場したCBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004)は、クラブでは7試合の出場にとどまったものの、もちろん将来的な期待は高い。
   最後の3試合にゴールマウスを守ったGKペドロ・モリスコ(Pedro Morisco, 2004)は、ボタフォゴ、RBブラガンチーノとの上位チームとの対戦で多くのシュートを浴びたが、再三の好守を見せ、細かなミスも少なく潜在能力の高さを見せた。
   2024年は、2023年終盤の選手構成をベースに、補強や若手選手による突き上げによって、チームの総合力が高められることは必至。12月11日には補強第一弾として、クリシウーマで1部昇格の立役者の一人となったVOLアリウソン(Arilson, 1993)の獲得を発表。
   残すは2024年に向けた監督人事。SAF(スポーツ専門株式会社)として新生コリチバを託すに値する新監督の発表が待ち望まれる。

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