クラブ別2023年振り返り:ゴイアス (Goiás)

投稿者: | 2023年12月15日

ゴイアスEC ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Goiás EC

ゴイアス (Goiás)

正式名称:Goiás Esporte Clube

略称:GOI

創立:1943年

本拠:ゴイアス州 ゴイアニア

《 主要タイトル & 概要 》

タイトル優勝回数優勝年
N/AN/AN/A
   ゴイアスが本拠を置くゴイアス州には、全国的な強豪と呼べるクラブはなく、州選手権のレベルはあまり高くない。
   ゴイアスは、ライバルであるアトレチコ・ゴイアニエンセ(17回)やヴィラ・ノヴァ(15回)を凌ぐ、28回の州選手権優勝を数え、州内では常にトップクラスを維持している。
   国際大会、全国大会の過去の実績は以下の通り:
   〇コパ・リベルタドーレス: 唯一出場した2006年はグループラウンドを突破、決勝ラウンド1回戦(ベスト16)で敗退。
   〇全国選手権: 2005年の3位が過去最高
   〇コパ・ド・ブラジル: 1990年準優勝
   〇全国選手権2部: 1996年、2012年の2度優勝
   日本人選手に関連しては、1999年に元日本代表・前園真聖氏が所属。サッカーサイト「oGol」によると、コパ・ド・ブラジルに3試合計172分の出場している。

《 直近3年成績(2021年-2023年) 》

大会2023年成績2022年成績2021年成績
ブラジル全国選手権18位13位
ブラジル全国選手権2部準優勝
コパ・ド・ブラジル2回戦敗退ベスト16敗退1回戦敗退
コパ・スウアメリカーナベスト16敗退
ゴイアス州選手権準優勝準優勝準々決勝敗退
コパ・ヴェルジ優勝2回戦敗退
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2023年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェイ方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移。
ゴイアス 全国選手権 ブラジルリーグ 年度別順位推移

《 2023年 》

<戦績>

大会試合勝利引分敗北得点失点得失差順位等
コパ・スウアメリカーナ833278-1ベスト16敗退
全国選手権38911183653-1718位
コパ・ド・ブラジル20201102回戦敗退
ゴイアス州選手権171322371423準優勝
コパ・ヴェルジ75111028優勝
   72301923917813

<全国選手権 年間順位推移>

ゴイアス 全国選手権 ブラジルリーグ 2023年間順位推移

<振り返り>

【シーズン前・補強】

   ゴイアスは、2022年全国選手権序盤の不振を立て直し、一時は10位まで順位を上げたものの、最終的には少し尻つぼみの13位でシーズンを終えたジャイール・ヴェントゥーラ(Jair Ventura)監督との契約を延長せず、2022年12月9日にグート・フェヘイラ(Guto Ferreira)氏を監督に招聘する。
   2022年は、例年通り、単年契約や年末までの契約、他チームからの期限付き移籍でプレーした選手が多く、GKタデウ(Tadeu, 1992)、SBマギーニョ(Maguinho, 1992)、FWヴィニシウス(Vinícius, 1993)、FWニコラス(Nicolas, 1989)などの一部の主力選手を除き、多くの選手が2022年シーズン終了後にクラブを去る。
   2022年限りで退団した選手の一人には、2022全国選手権でチーム総得点の約半数(19得点)を記録しベストイレブンに選出、柏レイソル/JPNからの期限付き移籍でプレーしたFWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)が名前を連ねており、得点力の低下が懸念される。
   州選手権開幕前には、VOLウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)をセアラーから、CBブルーノ・メロ(Bruno Melo, 1992)を期限付き移籍でフォルタレーザから獲得。
   州選手権開幕後も補強を進め、FWマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)、MFパラシオス(Palacios, 1999)などを期限付き移籍で獲得し、チームを形づくっていく。

【ゴイアス州選手権】

   2023年1月12日開幕の州選手権は、開幕節は白星を収めるものの、第2節アトレチコ・ゴイアニエンセとのクラシコは1-2の敗戦。しかし、クラシコの敗戦を引きずらず、選手補強も進みチームは試合を経て熟成していき、予選ラウンドは8勝2分1敗の成績で1位で通過する。
   決勝ラウンド一回戦(準々決勝)を2試合合計10-3、準決勝を2試合合計4-0で勝ち上がり、決勝は予選ラウンドで苦杯を舐めさせられたアトレチコ・ゴイアニエンセとの再戦。
   2023年4月2日のアウェイ1stレグはGKタデウのPK阻止も実らず2-0の完敗。
   4月9日のホーム2ndレグも前半30分に先制される苦しい展開。前半38分に1点を返すが、前半アディショナルタイムに退場者を出し、2試合合計で2点のビハインドの中、さらに数的不利に陥る。ところが、後半8分にPKで1点を返すと、後半45+5分、FWマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)のポストプレーからMFパラシオス(Palacios, 1999)がゴールを奪い同点。優勝の行方をPK戦に託す。
   PK戦は、ゴイアス4人目のキッカーが軸足を滑らせ2度蹴りとなる珍しいプレーでゴールが認められず、最終的に4-5の敗退。2年連続で州選手権を準優勝に終える。
   決勝戦2ndレグの翌日4月10日、ゴイアス州選手権で優勝を逃したこと、コパ・ド・ブラジルでの二回戦敗退を理由に、クラブはグート・フェヘイラ監督を解任する。

【コパ・ヴェルジ】

   コパ・ヴェルジは、2014年に創設されたブラジル中西部州と北部州の24クラブによりノックアウト方式で開催される地域大会。
   州選手権(全国選手権)、コパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナと並行開催となるなか、ゴイアスはシードを受け、2月22日の二回戦から出場。順調に勝ち上がると、準決勝で難敵クイアバとの対戦。1stレグは0-1で落としたものの、ホームでの2ndレグを2-0で勝ち2試合合計で逆転。決勝にコマを進める。
   決勝戦(5月17日、31日)は、全国選手権3部パイサンドゥを相手に(A)2-0、(H)2-1、2試合合計4-1で下し、大会初優勝を飾った。

【コパ・ド・ブラジル】

   2023年3月1日に行われた一回戦は全国選手権4部ASAを相手に1-1の引分けに終えるも、規定により辛くも二回戦に進出。
   3月15日二回戦、全国選手権4部アーギア戦は、前半はほぼ互角の試合。後半に入り、圧倒的優位に試合を運ぶが最後までゴールを奪えず、PK戦(6-7)の末、敗退。

【コパ・スウアメリカーナ】

   2020年以来8度目の出場となるコパ・スウアメリカーナ。2010年には準優勝に輝いている。
   州選手権決勝戦1stレグから中1日となる2023年4月4日にコパ・スウアメリカーナの開幕節。直前の試合から大幅に先発メンバーを変更したものの、試合は0-0の引分けに終える。第2節はグート・フェヘイラ監督解任を受けたアーヴィラ(Ávila)監督代行の采配の下、2-2の引分け。第3節2-0、第4節1-0、第5節0-0と勝点を積み上げ、アルマンド・エヴァンジェリスタ(Armando Evangelista)監督へバトンを引き継ぐと、最終節も2-1の勝利を収め、グループ1位で決勝ラウンドへ駒を進める。
   決勝ラウンド一回戦(8月2日、9日)は、4度のリベルタドーレスタイトルを持つアルゼンチンの古豪エストゥデアンテスとの対戦。全国選手権で下位に低迷していることや、厳しい日程もマイナスに働き、(A)0-3、(H)0-2と連敗、コパ・スウアメリカーナはベスト16での敗退となった。

【全国選手権】

   全国選手権開幕前に中盤を補強。SCブラガ/PORでプロデビューを飾り、ポーランド、イタリア、トルコ、中国でプレーし、プロとしてブラジルでのプレーが初めてとなるMFギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)、マリンガでパラナ州選手権準決勝進出の立役者となった全国選手権1部初挑戦となるVOLモレリ(Morelli, 1997)を獲得。
   一方で、開幕直前に解任したグート・フェヘイラ監督の後任探しが難航し、アシスタンスコーチのアーヴィラ氏が監督代行として開幕を迎える。
   2023年4月15日開幕節アトレチコ・パラナエンセは0-2で黒星を喫したものの、ホーム開幕戦の第2節はコリンチャンスを相手に3-1の快勝し、五分の発進。しかし、その後は思うように勝ち点を積み上げることができず、監督人事も進捗しないまま、アーヴィラ監督代行は6月11日第10節までチームを率い、2勝2分6敗の成績で降格圏の17位に低迷する。
   6月9日、クラブはポルトガル国籍のアルマンド・エヴァンジェリスタ(Armando Evangelista)氏との契約を発表。氏は5月27日に全日程を終えたばかりのポルトガルリーグで、FCアロウカを率い5位の成績を収めていた。クラブはその手腕に残りのシーズンを託す。
   6月22日第11節ヴァスコ・ダ・ガマ戦、エヴァンジェリスタ監督の初采配試合は、ボールを支配されながらも後半28分のVOLモレリのゴールを最後まで守り抜き1-0の勝利。
   続く3試合は、それまで出場機会に恵まれていたとは言えないものの、セットプレーで精度の高いボールを供給する司令塔タイプのMFギリェルミ・マルケスを中心に置き、試合ごとに中盤から前線に欠けて様々な組み合わせを試す。しかし、結果は3試合で4得点8失点の3連敗。
   すると、エヴァンジェリスタ監督は4-5-1のコンパクトなラインを敷き、中盤の素早いチェックでスペースを消すサッカーを展開。FW陣には7月に開いた移籍ウィンドウで獲得した守備で貢献できるFWアンデルソン・オリヴェイラ(Anderson Oliveira, 1998)やFWアラーノ(Allano, 1995)を積極的に起用。
   チーム成績は安定し、第15節から前半戦折り返しの第19節まで3勝2分。後半戦始めの6試合(第20~25節)は5分1敗。第15節以降のいずれの試合も得点も失点も1点以下のロースコアの試合。第25節、首位を独走するボタフォゴ戦では、攻守にコンパクトなサッカーを展開し、1-1の引分けに終えたものの、内容では相手を上回るサッカーを見せた。
   しかし、試合内容は安定したものの、引分けが多く、残留争いから抜け出せない。シーズンが深まるにつれ、勝ち点3が渇望されるようになる。
   第25節ボタフォゴ戦での好内容の試合展開から、翌第26節バイーア戦は勝ち点3を狙うべく攻撃に重点を置く。ところが、カウンターに特化したバイーアの戦術にはまり乱打戦の末4-6の敗戦。
   第27節サンパウロ戦こそ2-0の勝利を収めたものの、第29節フルミネンセ戦は再び乱打戦となり3-5で試合を落とす。
   一度失った攻守のバランスは容易には取り戻せず、勝ち点3の焦りも助長され、白星はおろか黒星が積み重なっていく。
   11月12日第34節アトレチコ・ミネイロ戦の敗戦後にアルマンド・エヴァンジェリスタ監督は解任。マリオ・エンヒキ(Mário Henrique)U-20監督が代行として指揮を執ったが、チームを立て直すことはできず、11月30日第36節グレミオ戦での敗戦により降格が決定。全国選手権が現在の大会形式となった2006年以降、4度目の降格となった。
   選手権前半 :   6勝 4分 9敗、得点18失点27
   選手権後半 :   3勝 7分 9敗、得点18失点26
   選手権合計 :   9勝11分18敗、得点36失点53
   選手権ホーム  :   5勝 7分 7敗、得点19失点25
   選手権アウェイ :   4勝 4分11敗、得点17失点28
   得点数36  :  リーグ19位
   失点数53  :  リーグ5位タイ(の多さ
   アルマンド・エヴァンジェリスタ監督の守備は、人数をかけて引いて守るのではなく、中盤をコンパクトに保ち速いマークからボールを奪いに行く攻撃的な守備。一旦ボールを握ると左右に広くピッチを使い、中の高さを生かした攻撃を展開。第25節ボタフォゴ戦では見ていて面白みのあるサッカーを構築していただけに、勝ち切れない試合が続き、残留争いから抜け出せずにいたことが悔やまれる。クルゼイロを率いたペパ(Pepa)監督などと共に、再びブラジルで、シーズン前の準備期間からチームを指揮、構築していく姿を見てみたいと思わせた監督の一人。

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手


























最多試合出場タデウ
Tadeu
GK, 1992
653521774
(2位)ウィリアン・オリヴェイラ
Willian Oliveira
VOL, 1993
553101545
(3位)ブルーノ・メロ
Bruno Melo
CB, 1992
543311154
最多出場時間タデウ
Tadeu
GK, 1992
585031501801530630360
(2位)ブルーノ・メロ
Bruno Melo
CB, 1992
4736289190945450360
(3位)ルーカス・アウテル
Lucas Halter
CB, 2000
459125851801000466360
最多得点ニコラス
Nicolas
FW, 1989
800800
(2位タイ)ギリェルミ・マルケス
Guilherme Marques
MF, 1991
760010
(2位タイ)ヴィニシウス
Vinícius
FW, 1993
700511
最多アシストサンデル
Sander
SB, 1990
1230711
(2位)ギリェルミ・マルケス
Guilherme Marques
MF, 1991
660000
(3位)ヴィニシウス
Vinícius
FW, 1993
521110
最多デュエル勝利マギーニョ
Maguinho
SB, 1992
167
(2位)モレリ
Morelli
VOL, 1997
161
(3位)パラシオス
Palacios
MF, 1999
139
最多キーパスパラシオス
Palacios
MF, 1999
45
(2位)ギリェルミ・マルケス
Guilherme Marques
MF, 1991
37
(3位)マギーニョ
Maguinho
SB, 1992
27
最多CBIルーカス・アウテル
Lucas Halter
CB, 2000
159
(2位)ブルーノ・メロ
Bruno Melo
CB, 1992
141
(3位)マギーニョ
Maguinho
SB, 1992
111
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

《 2024年にむけて 》

   2023年終盤の主力選手は、FW陣については、シーズン途中加入の選手の多くが、2024年以降までの契約を締結。GKタデウとSBマギーニョは2024以降に満了する複数年契約。4月に期限付き移籍で加入したVOLモレリはシーズン途中に2026年までの完全移籍で獲得済。
   一方で、ルーカス・アウテル、ブルーノ・メロの両CBは期限付き移籍元への返却が濃厚。MFパラシオス、VOLルイス・オヤマ(Luís Oyama, 1997)、FWマテウス・バビ(Matheus Babi, 1997)等の期限付き移籍選手の契約延長は不明。SBウーゴ(Hugo, 1997)はコリンチャンスへの移籍が濃厚、VOLウィリアン・オリヴェイラは1部復帰のヴィトーリアへの移籍が確定。
   2023年末で契約が満了するMFギリェルミ・マルケスについては、契約更新を交渉中。
   同じく契約が満了する最多アシストを記録したSBサンデルについては、8月のケガや10月の復帰後の出場時間も限られおり、契約を更新しない模様。
   2024年も、例年通り、半数以上の登録選手が入れ替わることになりそう。
   先ずは監督人事を固め、監督の意向に沿った補強を行い、州選手権やコパ・ヴェルジは全国選手権1部復帰への準備期間と割り切り、万全な体制で全国選手権2部を迎えてもらいたい。





											

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