ルーカス・フィゲイレード (Lucas Figueiredo)

投稿者: | 2023年12月20日
最新更新日 : 2024/09/10

ルーカス・フィゲイレード ヴァスコ フォワード FW CF WG VOL SB

ルーカス・フィゲイレード・ドス・サントス

Lucas Figueiredo dos Santos

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2001年8月14日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ州の州都リオデジャネイロ市とグアナバラ湾を挟んだ対岸に位置するニテロイ市に生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 地元ニテロイのサッカースクールでサッカーをしていたが、11歳の時にボタフォゴの下部組織に入団する機会を得る。ボタフォゴではU-15カテゴリーまでプレーしたが、U-17カテゴリーに昇格することができず退団を余儀なくされる。
 電話一本での昇格不合格の通知に対し、茫然自失となり、サッカーを続けることを諦めようとも考えたが、少し時間をおいてボアヴィスタ-RJでプレーする機会を得てそのまま入団。ボアヴィスタ-RJでのプレーを評価したヴァスコ・ダ・ガマから勧誘を受け、2018年、ヴァスコ・ダ・ガマU-17チームに入団する。
 ヴァスコ・ダ・ガマU-17チームではセンターフォワードとしてプレー。U-17リオデジャネイロ州選手権での5試合3得点など好成績を残し、2019年、U-20カテゴリーへの昇格を果たす。
 2019年、1999年生まれが主体となるU-20カテゴリー一年目は、5月を目前に途中出場で出場機会を得るようになると、短い出場期間ながら5月2日U-20コパ・ド・ブラジル準決勝パウメイラス戦、6月2日U-20州選手権決勝フラメンゴ戦でゴールをマーク。6月末にはセンターフォワードとしてレギュラーの座を掴み、10月にはU-23チームで2試合に出場し1得点を記録するなど、年間で47試合14得点の成績を残す。シーズン終盤にはトップチームのトレーニングにも参加する。
 2020年はコロナ感染症拡大の影響で変則的なシーズンとなるが、センターフォワードやウィングとして38試合に出場、11得点1アシストの記録を残し、チームのU-20コパ・ド・ブラジル、U-20州選手権の優勝に貢献する。

ヴァスコ・ダ・ガマ≫

– 2021 –

 2021年3月3日州選手権開幕節、若手主体のチームながら、マルセロ・カーボ(Marcelo Cabo)監督の下、後半開始時の交代出場で19歳でのプロデビュー。
 州選手権では2度の先発起用を含め多くの出場機会を得ると、2021年5月29日全国選手権2部オペラーリオとの開幕節では、FWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988, 2022年全国選手権得点王)、FWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001, 2023年U-23代表)とのスリートップの左ウィングとしてスターティングイレブンに抜擢される。
 しかし、ポジションに定着することは出来ず、この年は、トップチーム29試合(うち先発5試合)、U-20チーム8試合(すべて先発)の成績で終える。

– 2022 –

 2022年はすでにトップチームに昇格していたものの、自ら志願して年初に開催されるU-20全国大会カップ戦に出場。センターフォワードとして6試合8得点1アシスト、大会得点王に輝く。
 大会終了後はゼ・ヒカルド(Zé Ricardo)監督率いるトップチームに戻るが、州選手権での出場時間は限られる。
 3月16日決勝ラウンド準決勝フラメンゴ戦1stレグの後半開始時に左ウィングとして出場すると、GKに阻まれた惜しいミドルシュートなど積極的なプレーを見せ、3月20日2ndレグは左ウィングでスタメン出場。
 2022年4月8日全国選手権2部開幕節ヴィラ・ノヴァ戦、ベンチスタートとなるが後半25分に中盤として交代出場。
 2022年4月16日第2節CRB戦では左ウィングとして先発出場。すると、守備的な戦術を採用するゼ・ヒカルド監督の下、守備面での当たりの強さや自陣深くまで戻る献身性、カウンター時には敵陣深くまで上がり精度の高いクロスを供給するプレーが評価され、この試合を機に左ウィングとして先発の座を獲得する。
 2022年4月27日第4節ポンチプレッタ戦でプロ初アシストを記録。
 5月15日第7節バイーア戦の前半22分、相手陣ペナルティエリア左隅から約15m下がった位置でのFK。MFネネー(Nenê, 1981)が軽く右に流したボールに右足を一閃。ボールはゴール右上に突き刺さるゴラッソ。プロ初ゴールを決める。
 2022年6月2日第10節の試合後に、フィゲイレードをスタメンで起用し続けたゼ・ヒカルド監督が、自らの申し入れで監督を辞任。
 後を受けたエミリオ・ファロ(Emílio Faro)監督代行のもと、第11節ナウチコ戦で1得点1アシスト。得点はゴール正面約30mの直接FKを豪快に決め、アシストは守備ライン裏を抜け出し、後方からの柔らかいロビングのボールをペナルティエリア内で巧みに確保。GKが間合いを詰めるところをゴール正面のMFネネーにボールを送るアシスト。
 第12~20節の指揮を執るマウリシオ・ソウザ(Maurício Souza)監督の下でも、2試合のケガによる欠場を除き、全試合に先発出場。
 第21~28節、二度目の指揮となるエミリオ・ファロ監督の下では、移籍加入のFWアレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)の控えにまわり途中交代出場が増えるが、全試合に出場。
 第29節を前に就任したジョルジーニョ(Jorginho)監督のもとでもベンチスタートの状況は変わらないが、右サイドバックとして起用される機会も生まれる。10月4日第33節オペラーリオ戦ではウィングとして先発、後半15分に右サイドバックにポジションを移すと、後半44分に浅い位置からファーサイド守備ライン裏への絶妙のクロスでFWアレックス・テイシェイラの同点ゴールをアシスト。
 翌10月8日第34節ノヴォリゾンチーノ戦では、ツートップの一角として先発すると、前半45分にペナルティエリア左手前から右足の外から巻き込むシュートでファーサイドにボールを沈めるゴラッソ。
 10月27日第37節サンパイオ・コヘア戦では、開始5分にCKからの流れで右サイドからクロスボールを供給しアシストを記録。
 第33節の先発復帰後は1得点2アシスト、その期間チームは4勝1分1敗の成績を残し最終節で1部昇格を決めた。

– 2023 –

 2023年に向けてヴァスコ・ダ・ガマはマウリシオ・バルビエリ(Mauricio Barbieri)監督に就任。プレシーズンのアメリカ遠征でフィゲイレードの(セグンド)ボランチ起用を試す。前年に多くの時間を共にプレーした大ベテランのMFネネーは、フィゲイレードのインテリジェンスや戦術眼、視野の広さ、スタミナや強靭な身体能力などを理由にこの転向に太鼓判を押す。
 1月の州選手権でセグンドボランチとして3試合連続先発出場。しかし、その後ケガのため一か月間戦列を離れると、復帰後の3試合を後半半ばの交代出場でウィングに入る。
 2023年4月15日に全国選手権が開幕。左右のウィングで先発出場や交代出場を繰り返すが、自身もチームも結果が伴わない。
 2023年7月23日第16節アトレチコ・パラナエンセ戦では、この試合が初采配となるラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督のもと、3トップのセンターフォワードとして先発起用。続く第17節コリンチャンス戦にはツートップの一角として先発に起用されるが、チームは連敗。
 その後は急速に出場機会を失い、第27~32節までをパンアメリカン競技大会出場のためにチームを離れたこともあるが、第18節以降は3試合45分の出場に止まる。そして、第26節サンパウロ戦の6分間の出場が2023年ヴァスコでの最後の出場となった。

 ルーカス・フィゲイレードは2026年末までの契約があるものの、ラモン・ディアス監督の構想外となっており、ヴァスコ・ダ・ガマは2024年に向けて期限付き移籍でのプレー先を模索。(2023年12月18日現在)日本の報道では清水エスパルスとJリーグの他2チーム、ブラジルの報道では清水エスパルスとブルガリアの強豪ルドゴレツ・ラズグラドが新たな移籍先の候補として名前が挙がっている。
 ルドゴレツ・ラズグラドには、2023年に僅かな期間ヴァスコ・ダ・ガマに在籍、サントスから買取オプション付の期限付き移籍でプレーするFWフアン・クルス(Rwan Cruz, 2001)がポジションを獲得しており、フィゲイレードが加入した場合はFWフアン・クルスへのボールの供給役としての活躍が期待できる。また、ルドゴレツ・ラズグラドはチャンピオンズリーグ予備予選の常連、将来的な欧州移籍の足掛かりとなる可能性も高く、日本への移籍の可能性は低いのではないかと思われる。

コリチバ≫

– 2024 –

 2024年1月9日、コリチバよりFWフィゲイレードの期限付き移籍加入が発表。期限は全国選手権2部閉幕。300万ユーロ相当での買取オプションが附帯。
 上記の清水エスパルス、ルドゴレツ・ラズグラド以外にも、全国選手権1部クイアバ、全国選手権2部ゴイアス、中国のクラブなどからも打診がある中、1年での1部復帰を目指すコリチバへの移籍となった。
 2024年1月18日パラナ州選手権開幕節にてスタメンに起用されクラブデビューを果たすと、翌1月25日第2節にて移籍後初ゴール。州選手権はチーム全15試合のうち11試合に出場。
 (2024年9月10日現在)
 2024年4月21日開幕節での先発出場など、全国選手権2部はチーム全25試合のうち23試合(うち先発14試合)に出場。チームは第25節終了時点で昇格圏の4位までの勝点差が「8」の10位と厳しい状況に置かれているが、1年での1部復帰に向け、最後までチームに貢献したい。
 

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(20歳)ヴァスコ・ダ・ガマ全国選手権2部1640700
コパ・ド・ブラジル33800
州選手権946600
合計2991100
2022年(21歳)ヴァスコ・ダ・ガマ全国選手権2部36227144
コパ・ド・ブラジル13100
州選手権929800
合計46260044
2023年(22歳)ヴァスコ・ダ・ガマ全国選手権1665500
州選手権630101
合計2295601
2024年(23歳)コリチバ全国選手権2部23122512
州選手権1188012
合計34210524
イタリック斜体は、2024年9月10日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

2023年パンアメリカン競技大会(U-23)≫

 2023年9月22日、10月22日に開幕する2023パンアメリカン競技大会のU-23代表18選手の一人としての選出が発表された。22歳にして初の世代別代表への招集となった。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/10/23予選第1節アメリカ合衆国1 – 0
2023/10/26予選第2節コロンビア2 – 0400
2023/10/29予選第3節ホンデュラス3 – 04500
2023/11/01準決勝メキシコ1 – 09000
2023/11/04決勝チリ1 – 1
PK: 4-2
7500
 合計8 – 121400
予選ラウンドは第2節、第3節に右ウィングとして途中交代出場。
準決勝メキシコ戦では、体調不良で欠場のFWマテウス・ナシメントに代わりセンターフォワードとしてフル出場。
決勝チリ戦は、0-1のビハインドで迎えた後半開始時に2トップの一角としてピッチに送り込まれる。後半38分、左CKのキッカーとしてボールをファーサイドゴールライン際に送ると、FWマテウス・ナシメントが折り返し、VOLホナウジが同点ゴール。貴重な同点ゴールに関与した。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長178㎝、体重76kg。(サッカーサイト「oGol」2023年12月18日参照)
 下部組織ではセンターフォワードとしてプレー。
 トップチームでは左ウィングで起用されることが多い。
 しかし、ボランチやサイドバックでの起用もあるなど、ポリヴァレント性豊かな選手。
 FKやCKではキッカーを務めることももあり、FKでは時速110㎞を越える強烈なミドルシュートを放ち、CKでは精緻なボールをゴール前に送る。

 2022年に全国選手権2部全38試合をケガによる欠場2試合を除く36試合に出場。ウィングを主戦場としたが、シーズン途中の補強を通じ控えに回る時期もあり、ジョルジーニョ監督のもとでサイドバックとしてもプレー。
 2023年はバルビエリ監督のもとボランチとしてプレーするなど、複数の監督がフィゲイレードの特長を評価し、様々なポジションでの起用を試す。
 2010/11、2011/12シーズンのフランス・リーグ1のベストイレブン、2011/12シーズン得点王の経歴を持つベテランMFネネー(Nenê, 1991)は、2022年の一年間をフィゲイレードとプレーし、そのインテリジェンスや戦術眼、視野の広さ、スタミナや強靭な身体能力の高さを評価している。
 一方、精神的に優しい(気の弱い)一面も感じられ、パンアメリカン競技大会決勝戦のPK戦では当たりもコースも悪いシュートで失敗。
 少し器用貧乏な面があるようにも思われるが、技術面だけでなく、身体的にも戦術眼的にも標準以上のサッカーセンスを持つことは、MFネネーの評価や過去の監督の起用法、パンアメリカン競技大会U-23代表に招集されたことから明らか。プレー環境を変え、自身の長所にさらに磨きをかけ、もっとゴールに近い位置でプレーしゴールに関与することで自信を取り戻し、高いレベルのリーグで復活することを期待したい。

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