クラブ別2023年振り返り:コリンチャンス (Corinthians)

投稿者: | 2023年12月22日

コリンチャンス ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Corinthians

コリンチャンス (Corinthians)

正式名称:Sport Club Corinthians Paulista

略称:COR

創立:1910年

本拠:サンパウロ州 サンパウロ

《 主要タイトル & クラブ概略 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権72017, 2015, 2011, 2005,
1999, 1998, 1990
コパ・ド・ブラジル32009, 2002, 1995
コパ・リベルタドーレス12012
コパ・スウアメリカーナ12008
クラブワールドカップ(*)22000, 2012
(*)インターコンチネンタルカップおよびトヨタカップを含む
   コリンチャンスは、ブラジル国内で一、二の人気を誇るビッグクラブ(ブラジルでは一般的にサッカーファンは地元クラブと全国的なビッグクラブを応援するので、コリンチャンスサポーターは全国に存在する)。サポーターやメディアによる愛称は『チマォン(Timão, 偉大なチームの意)』。ファン、サポーターは、男性の場合『コリンチャーノ(Corinthiano)』、女性の場合『コリンチャーナ(Corinthiana)』と呼ばれる。
   サンパウロ州に本拠を置く4大クラブの一つ。サンパウロ州選手権はクラブ別最多の30回の優勝を誇り、パウメイラス(25)、サンパウロ(22)、サントス(22)を凌ぐ。全国選手権の優勝回数は7回。これは、パウメイラス(12)、サントス(8)、サンパウロ(6)と拮抗しておりサンパウロ州の4大クラブは人気、実力ともに伯仲。パウメイラスとのクラシコ当日には、スタジアムの周辺などで熱烈なサポーターによる死傷者をだすような乱闘が絶えない。
   コリンチャンス下部組織出身で同クラブからプロデビューを果たした選手は、世界的に著名な選手はあまりいない。
   エラシコ(ボールを足の外側で押し出し、すかさず内に切り返すフェイント技。ポルトガル語ではエラスチコ(elástico))を世界に広め、ブラジル代表としてペレ―(Pelé, 1940)などと共に1970年W杯メキシコ大会を制したMFホベルト・ヒヴェリーノ(Roberto Rivellino)。ブラジルでは実績がなく無名だが、エラシコを発明(?)しMFヒヴェリーノに伝授、日本でサッカー評論家、指導者として活躍するセルジオ越後が該当。
   2023年12月現在のバルセロナ/ESPスポーティングディレクターを務め、ポルトガル代表として2006W杯MVPに輝いたMFデコ(Deco, 1977)は、コリンチャンスでプロデビューを飾っている。

《 直近3年成績(2021年-2023年) 》

大会2023年成績2022年成績2021年成績
ブラジル全国選手権13位4位5位
コパ・ド・ブラジル準決勝敗退準優勝3回戦敗退
コパ・リベルタドーレスグループラウンド敗退準々決勝敗退
コパ・スウアメリカーナ準決勝敗退グループラウンド敗退
サンパウロ州選手権準々決勝敗退準決勝敗退準決勝敗退
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2023年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェイ方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移。
コリンチャンス 全国選手権 ブラジルリーグ 年度別順位推移

《 2023年 》

<戦績>

大会試合勝利引分敗北得点失点得失差順位等
コパ・リベルタドーレス6213761グループ3位
コパ・スウアメリカーナ8422761準決勝敗退
全国選手権381214124748-113位
コパ・ド・ブラジル8404910-1準決勝敗退
州選手権1365220119準々決勝敗退
   732822239081

<全国選手権 年間順位推移>

コリンチャンス 全国選手権 ブラジルリーグ 2023年間順位推移

<振り返り>

【シーズン前・補強】

   2022年にコパ・ド・ブラジルでチームを準決勝に導き、全国選手権では4位の成績を収めたヴィトル・ペレイラ(Vitor Pereira)監督が家族事情を理由に退任。コリンチャンスは、長年、分析担当やアシスタントコーチを務めた1981年生まれのフェルナンド・ラザロ(Fernando Lázaro)氏を2023年の監督に抜擢、2022年11月19日に監督就任が発表される。
   チームは、2018W杯代表のGKカシオ(Cássio, 1987)、SBファギネル(Fagner, 1989)、VOLパウリーニョ(Paulinho, 1988)、MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)や近年のチームを支えるベテラン選手、FWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)、FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)、VOLドゥ・ケイロス(Du queiros, 2000)、FWアジソン(Adson, 2000)らのシーズン終盤にレギュラーやレギュラー争いに食い込んだ中堅に差し掛かる年代の選手が残留。
   一方で、2022年に一時的にレギュラーに就いた選手や、途中出場が主ながら多くの試合に出場した縁の下の力持ち的な選手を次々と放出、例えばSBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)はヴァスコ・ダ・ガマ、CBハウーウ・グスタヴォ(Raul Gustavo, 1999)はバイーアへのレンタル、MFマテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)とVOLハミーロ(Ramiro, 1993)の両選手はクルゼイロへと移籍する。将来を嘱望されるCBホベルチ・ヘナン(Robert Renan, 2003)もFWユーリ・アウベルトの完全移籍で獲得するための人的保障の形でゼニト/RUSへ放出。
   2023年に向けたチーム構成は、2022年シーズンからの残留メンバーに下部組織からの登用を見込む。クラブは財政上の均衡、人件費の圧縮を図るために補強を絞り、4月中旬に締まる移籍ウィンドウでの補強は僅か3選手に止まった。

【サンパウロ州選手権】

   2023年1月15日州選手権開幕節はRBブラガンチーノを相手に0-1の敗戦を喫したものの、1月29日第5節サンパウロ戦は2-1の勝利、2月16日第9節パウメイラス戦、2月26日第11節サントス戦は、それぞれ2-2、1-1のスコアで引分け。前年終盤とほぼ変わらないメンバーで臨んだ予選ラウンドは6勝5分2敗と少し物足りない成績で決勝ラウンドに進出。
   2023年3月12日決勝ラウンド一回戦(準々決勝)は一発勝負、対戦相手は全国選手権2部のイトゥアーノ。大方の予想を裏切り1-1の引分け。PK戦の末、早くも州選手権から姿を消す。
   この結果を受け、フェルナンド・ラザロ監督の手腕にサポーターを始めメディアなどから疑問が呈されるようになる。

【リベルタドーレス】

   2023年4月6日に開幕節を迎えたコパ・リベルタドーレス。開幕節はアウェイでリーベルプール・モンテビデオ/URUを相手にFWホージェル・ゲデスの2ゴールなどで3-0の完勝。幸先のいいスタートを切る。
   しかし、相次ぐ監督交代や厳しい日程、全国選手権での不振などが重なったこともあり、第2、3節を連敗。第4節を引分けに終え、決勝ラウンド進出を懸け第5節インデペンディエンテ・デル・バジェ/EQU戦に臨むが、試合を支配され、シュート数は僅かに3本、3-0の完敗でグループラウンド敗退が確定。
   6月28日最終節ホームでグループ3位を懸けたリーベルプール・モンテビデオ戦。控え選手や下部組織在籍選手を中心とした先発陣。2000年代生まれが先発5選手、途中出場5選手を占める。
   ところが試合が始まると、リベルタドーレスや全国選手権の不振と打って変わって相手を圧倒する試合展開で3-0の完勝。チームはグループ3位となりコパ・スウアメリカーナのプレーオフに駒を進める。
   なお、この試合では、2023年末にチェルシー/ENGやパリSG/FRAが獲得を目指すVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)が後半34分にプロデビュー。2023年末にベティス/ESPが関心を表明したFWウェズレイ・テイシェイラ(Wesley Teixeira, 2005)、2023年8月31日にノッティンガム・フォレスト/ENGへ移籍し定位置を確保しているCBムリーロ(Murillo, 2002)がスタメン出場。2023年12月19日にベルギー1部サークル・ブルッヘへの移籍が発表されたFWフェリピ・アウグスト(Felipe Augusto, 2004)はスタメン出場から後半19分にプロ初ゴールを決めている。

【コパ・ド・ブラジル】

   コパ・リベルタドーレス出場により、三回戦からの登場となるコパ・ド・ブラジル。
   2023年4月12日全国選手権3部ヘモとの1stレグは州選手権での敗退からちょうど一か月、十分な休養とトレーニング期間があったが、この試合の一週間前に行われたリベルタドーレス開幕節での3-0の勝利を無に帰するかのような内容で0-2の敗戦。
   4月26日ホームでの2ndレグは、前半2分にMFアジソンのゴールで先制。その後も終始、ヘモ陣内での試合を続けるがゴールが奪えない。後半45+3分にFWホージェル・ゲデスが起死回生の同点ゴール。PK戦の末、辛うじて準々決勝進出を決める。
   三回戦ヘモ戦2ndレグ後の公式戦を2分3敗の不振のまま迎えた5月17日準々決勝アトレチコ・ミネイロ戦1stレグ。自陣深くに5-4の2ラインを敷く守備的な布陣で試合に臨むも2ゴールを喫し敗戦。
   5月31日ホームでの2ndレグは、アトレチコ・ミネイロが厳しい日程を理由に控え選手中心の先発陣で試合に入ったこともあり、コリンチャンスが前半から試合の主導権を握る。左SBマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)が前半36分に先制ゴール、後半20分にはFWホージェル・ゲデスのゴールをアシストし、コリンチャンスが2-0の勝利。2試合合計で2-2に持ち込んだコリンチャンスは、PK戦の末、準決勝に駒を進める。
   2023年7月5日準々決勝アメリカ・ミネイロ戦1stレグ、全国選手権で19位に低迷する相手に、前半は押し込まれる時間が多くなり36分に失点。後半は試合の主導権を握り、25分を過ぎるころには相次いで相手ゴールに迫るが、最後までゴールを奪えず0-1の敗戦。
   7月15日ホームでの2ndレグ。前半を均衡した状態で試合を折り返すと、後半2分にMFヘナト・アウグストのゴールで先制、後半20分にFWユーリ・アウベルトがゴールを奪い2試合合計で逆転する。その後試合はオープンな展開となり、後半24分にアメリカ・ミネイロ、後半27分にコリンチャンスがそれぞれ得点。コリンチャンスは逃げ切りに失敗し後半38分に2試合合計3-3に追いつかれるが、PK戦でGKカシオが2本のシュートを阻止。チームは前年に続き準決勝への進出を決めた。
   2023年7月25日準決勝サンパウロ戦。ここまでコパ・ド・ブラジルでは3戦3勝のホームでの試合。後半3分にMFヘナト・アウグストのゴールで先制するが、後半9分に失点。後半36分にCBムリーロ(Murillo, 2002)の対角線のロングフィードを受けたMFヘナト・アウグストがこの日2点目のゴールを決めコリンチャンスが2-1の先勝。
   8月16日2ndレグ。ここまでコパ・ド・ブラジルで3戦3敗のアウェイでの試合。しかし、直前の公式戦11試合を8勝3分無敗でこの試合を迎える。試合は立ち上がりからサンパウロに圧され前半13分のゴールで2試合合計で同点に追い付かれると、前半38分に逆転を許す。その後もサンパウロにボールを支配されると、後半40分を迎えるころに反撃に転じるようになるが、結局最後までゴールを奪えず試合終了。2年連続ドリヴァウ・ジュニオール監督の前に準決勝で涙をのんだ。

【コパ・スウアメリカーナ】

   2023年7月11日プレーオフ、ウニベルシタリオ/VENとのホームでの1stレグは、2000年代生まれが、先発5選手、交代出場2選手を占めた試合。それまで守備的な試合が今季の大勢を占めていたチームは、65%を越えるボール支配率を記録し、FWフェリピ・アウグストのゴールで1-0の勝利。
   7月18日アウェイでの2ndレグは、6月28日のリベルタドーレス最終節でプロデビューを果たしたMFヒアン(Ryan, 2003)のプロ初ゴールなどで2-1とし、コパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド進出を決めた。
   2023年8月1日決勝ラウンド一回戦(ベスト16)ニューウェルズ・オールドボーイズ/ARG戦ホームでの1stレグは、FWユーリ・アウベルトとFWウェズレイ・テイシェイラのゴールで2-1の勝利。8月8日のアウェイでの2ndレグを0-0で凌ぎ準決勝進出。
   2023年8月22日準々決勝エストゥジアンテス/ARG戦、得意のホームゲームを前半17分のCBジウのゴールで先勝。
   8月29日アウェイでの2ndレグは、試合開始早々の前半50秒に先制を許す。その後も試合は相手に支配され、30本ものシュートを浴びるが、GKカシオの再三の好守、エストゥジアンテスのシュートが4度ゴールポストに嫌われたこともあり、0-1のまま試合を終える。準決勝進出がPK戦に委ねられると、コリンチャンスは3人目が失敗。一方のエストゥジアンテスは2人目がGKカシオに阻まれ、3人目と5人目がクロスバーに阻まれる。GKカシオとゴール枠の活躍でコリンチャンスが苦しみながらも準決勝進出を果たした。
   2023年9月26日準決勝フォルタレーザ戦ホームでの1stレグ。立ち上がり押し気味に試合を進めるが前半22分にCKから失点。前半40分にFWユーリ・アウベルトのゴールで同点に追いつくも、勝ち越すまでは至らず1-1。
   10月3日アウェイでの2ndレグは、試合開始時からお互いが相手ゴールの迫る少しオープンな展開で始まる。前半40分を過ぎ、フォルタレーザの猛攻を受けるがGKカシオを中心にゴールを許さない。しかし、前半終盤の勢いをそのまま後半に持ち込まれ、後半4分、後半10分に連続失点。その後はコリンチャンスがボールを支配するもフォルタレーザの堅守を攻略できず、コパ・スウアメリカーナもコパ・ド・ブラジルに引き続き、準決勝で姿を消した。

【全国選手権】

   2023年4月16日、ホームにクルゼイロを迎えた全国選手権開幕節。州選手権のベスト16敗退、リベルタドーレス開幕節の3-0の快勝、コパ・ド・ブラジル三回戦1stレグの0-2の敗戦と、不安定な試合が続き、監督人事で様々な意見が取り沙汰される中、開幕節は2-1の勝利を収める。しかし、フロントにとってはこれは最低限の結果、甲乙つけがたい試合内容に終わる。
   4月19日ホームでのリベルタドーレス第2節を0-1で敗れると、クラブはフェルナンド・ラザロ監督を解任する。
   4月23日第2節をクーカ(Cuca)新監督で1-3の敗戦を喫すると、クーカ監督は現役時代の暴行事件がメディアでバッシングにあい、家族へのSNSを通じた脅迫などもあり監督を辞任。第3節パウメイラス戦はU-20監督ダニーロ(Danilo, 2007-09年鹿島アントラーズ所属)氏が監督代行を務め1-2の敗戦。第4節フォルタレーザ戦はヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ(Vanderlei Luxemburgo)新監督のもと1-1の引分け。
   開幕後の4試合をすべて異なる監督が指揮を執るという、過去に例を見ないケースで全国選手権のスタートを切る。
   しかし、フェルナンド・ラザロ監督のもとで起用される選手が固定化しつつあった中、この監督の変節の中で、クーカ監督がコパ・ド・ブラジルでCBムリーロにプロデビューの機会を与え、ダニーロ監督代行はCBムリーロを先発に抜擢し、2月26日の11分間のプロデビュー以来トップチームの試合から遠ざかっていたU-20南米ユース選手権代表FWジオヴァーニ(Giovane, 2003)を後半24分に投入。ルシェンブルゴ監督はFWペドロ(Pedro, 2006)、MFマテウス・アラウージョ(Matheus Araújo, 2002)を先発に抜擢する(この2選手は開幕節でも途中交代出場をはたしている)など、下部組織所属選手にトップチームへの門戸を開く。
   ルシェンブルゴ監督は、若手選手や控え選手を多く起用するが、試合は少し押し込まれると自陣深くに5-4の2ラインを敷く守備的な形になることが多く、結果も伴わないため、サポーターを中心に監督や選手への批判も噴出する。しかし、ルシェンブルゴ監督は意に介さず、自分のスタイルを貫き、第17節終了後に、それまで年間21得点、全国選手権では15試合で7得点を記録していたFWホージェル・ゲデスが退団したものの、第14~20節(第15節は順延)を3勝3分無敗の成績を残し、前半19試合を6勝6分7敗で折り返す。
   後半戦に入り、第21~24節+順延された15節を1勝3分1敗で終えると、第24節終了後に行われたコパ・スウアメリカーナ準決勝1stレグでの引分けの結果を受けルシェンブルゴ監督は解任。
   第25節の監督代行による指揮を挟み、第26以降は新たに招聘されたマノ・メネゼス(Mano Menezes)監督が指揮を執る。
   マノ・メネゼス監督のもとでも守備的な戦術は大きくは変わらず、指揮をとった13試合で複数得点は3試合のみ。そのうち2試合は最終節の降格が決まっていたコリチバ戦と、第36節の残留争いに巻き込まれているヴァスコ・ダ・ガマ戦でのもの。攻撃面での改善はほとんど見られなかったものの、最終的にマノ・メネゼス監督は5勝4分3敗の成績を残し、チームは12勝14分12敗の13位で2023年全国選手権を終えた。
   選手権前半 :   6勝 6分 7敗、得点21失点22
   選手権後半 :   6勝 8分 5敗、得点26失点26
   選手権合計 :  12勝14分12敗、得点47失点48
   選手権ホーム  :   6勝10分 3敗、得点26失点23
   選手権アウェイ :   6勝 4分 9敗、得点21失点25
   得点数47  :  リーグ10位
   失点数48  :  リーグ8位(の多さ)

ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ監督

   ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ監督は、数多くの下部組織出身選手を登用。その起用法に賛否があるのは当然だが、好意的な評価をすると、選手の成長を促し、売却による莫大な移籍金でクラブの金庫を潤わした。
   例えば、監督がスタメンに定着したCBムリーロ(Murillo, 2002)は、推定移籍金(固定)1300万ユーロ(約20億円)+(インセンティブ)300万ユーロ(約4億7000万円)でノッティンガム・フォレスト/ENGへ移籍。
   チェルシー/ENGやパリSG/FRAが獲得を目指し移籍金総額が2500万ユーロ(約39億円)に達する可能性もあるというVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)をトップチームデビューに導き、プリメイロボランチからセグンドボランチへとプレー幅を広げる起用。
   1月の州選手権でプロデビューを飾ったFWウェズレイ・テイシェイラ(Wesley Teixeira, 2005)は、それ以降試合への出場がなかったが、監督就任後の5月以降に積極的に試合に起用され、2023年12月にはベティス/ESPが冬季移籍ウィンドウでのオファーを検討しているとの報道がされている。
   また、監督就任後の5月14日にプロデビューを飾り、21試合(うち5試合先発)2得点を記録したFWフェリピ・アウグスト(Felipe Augusto, 2004)に関して、選手保有権の70%に対して300万ユーロ(約4億7000万円)の移籍金でのベルギー1部サークル・ブルッヘへの移籍が、12月19日に発表された。
   上記の4選手はクラブで試合に出るまでは、調べた限り世代別代表への招集歴はなく、ルシェンブルゴ監督によるチームでの起用が欧州クラブの興味を誘う主因となったと言える。
   また、第24節の試合後の記者会見で、強引なシュートが多いFWウェズレイ・テイシェイラに疑念を呈する記者の質問に対し、ルシェンブルゴ監督はFWウェズレイのプレーに問題はなく、むしろ試合を追うごとに成長が感じられる。プロの監督業を務める私が言うのだから間違いない、といった主旨の回答。ルシェンブルゴ監督は若手選手を試合で起用するだけでなく、このように間接的にも選手の成長をサポートする技量を見せた。

【代表・世代別代表(クラブ在籍時の記録のみ)】

<フル代表>
 〇FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001) … 3月25日親善試合モロッコ戦後半40分の交代出場で代表デビュー。
 〇MFマティアス・ローハス(Matías Rojas, 1995) … パラグアイ代表としてW杯南米予選第1節途中出場、第5, 6節に先発出場。
 〇CBバウブエナ(Balbuena, 1991) … パラグアイ代表として親善試合2試合に出場(うち先発1試合)1得点。
 〇CBブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999) … ウルグアイ代表としてW杯南米予選2試合に途中交代出場。親善試合2試合(うち1試合先発)出場。
<U-23代表>
 〇FW, MF, SBギリェルミ・ビロ(Guilherme Biro, 2004) … 11月合宿(パリ五輪南米予選に照準)、 10月開幕パンアメリカン競技大会
 〇GKマテウス・ドネリ(Matheus Donelli, 2002) … 10月開幕パンアメリカン競技大会
 〇VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005) … 9月U-23親善試合モロッコ戦
<U-20代表>
 〇FW, MF, SBギリェルミ・ビロ(Guilherme Biro, 2004) … 1月開幕U-20南米ユース選手権、 4月親善試合、 5月開幕U-20W杯
 〇FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006) … 1月開幕U-20南米ユース選手権、 4月親善試合(辞退)、 5月開幕U-20W杯(辞退)
 〇FWジオヴァーニ(Giovane2003) … 1月開幕U-20南米ユース選手権、 4月親善試合、 5月開幕U-20W杯
 〇カウエー(Kauê, 2004) … 4月親善試合
 〇ジョアン・ペドロ(João Pedro, 2003) … 4月親善試合(離脱)
<U-17代表>
 〇VOLルイス・グスタボ(Luiz Gustavo, 2006) … 3月開幕南米U-17選手権、 11月開幕U-17W杯(離脱)
 〇GKマテウス・コヘア(Matheus Corrêa, 2006) … 11月開幕U-17W杯
 〇FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006) … 11月開幕U-17W杯(辞退)

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手



























最多試合出場カシオ
Cássio
GK, 1987
663781146
(2位)ユーリ・アウベルト
Yuri Alberto
FW, 2001
633481056
(3位)ジウ
Gil
CB, 1987
613281056
最多出場時間カシオ
Cássio
GK, 1987
59673312780990360525
(2位)ジウ
Gil
CB, 1987
55042880780900450494
(3位)ユーリ・アウベルト
Yuri Alberto
FW, 2001
52572735763858410491
最多得点ホージェル・ゲデス
Róger Guedes
FW, 1996
2173830
(2位)ユーリ・アウベルト
Yuri Alberto
FW, 2001
1581402
(3位)アンヘル・ロメロ
Ángel Romero
FW, 2001
880000
最多アシストヘナト・アウグスト
Renato Augusto
MF, 1988
1041302
(2位)ファギネル
Fagner
SB, 1989
812320
(3位)ユーリ・アウベルト
Yuri Alberto
FW, 2001
731300
最多デュエル勝利ユーリ・アウベルト
Yuri Alberto
FW, 2001
160
(2位)ジウ
Gil
CB, 1987
114
(3位)ファギネル
Fagner
SB, 1989
89
最多キーパスファギネル
Fagner
SB, 1989
40
(2位)ヘナト・アウグスト
Renato Augusto
MF, 1988
36
(3位)マテウス・ビドゥ
Matheus Bidu
SB, 1999
23
最多CBIジウ
Gil
CB, 1987
139
(2位)ムリーロ
Murillo
CB, 2002
72
(3位)ブルーノ・メンデス
Bruno Méndez
CB, 1999
70
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

《 2024年にむけて 》

   クラブ会長が2024年1月1日に新たに就任。すでに加入が決定しているSBウーゴ(Hugo, 1997)を除き、新体制の下ですべての契約を見直すとのこと。
   監督に関してもマノ・メネゼス監督の続投は不透明。
<退団>
   SBファビオ・サントスが2023年シーズンをもって引退。
   MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)やCBジウ(Gil, 1987)、MFジウリアーノ(Giuliano, 1990)の契約が2023年末に満了。いずれもクラブに長く在籍し2023年も主力としてプレーしたが、クラブは契約を更新しない方針。
   CBや右SBで活躍したウルグアイ代表ブルーノ・メンデスは選手側の意志で契約更新を拒否。
   FWペドロ(Pedro, 2006)は、18歳の誕生日(2024年2月5日)後のゼニト/RUSの移籍が2023年6月に合意しており退団。
<加入>
   2023年12月20日現在で確定している移籍加入選手は、2023年にゴイアスでプレーした左SBウーゴ。
   2023年にクイアバでプレーしCBもできるVOLハニエリ(Raniele, 1996)を、5年契約、選手保有権の60%に対し250万ユーロ(約4億円)の移籍金で獲得。
   手薄なCBに2022年まで在籍したCBホベルチ・ヘナン(Robert Renan, 2003)の獲得を目指したが断念。引き続きCBの獲得を模索するものと思われる。

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