クラブ別2023年振り返り:サンパウロ (São Paulo)

投稿者: | 2023年12月24日

サンパウロ ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Sao Paulo

サンパウロ (São Paulo)

正式名称:São Paulo Futebol Clube

略称:SAO

創立:1930年

本拠:サンパウロ州 サンパウロ

《 主要タイトル & クラブ概略 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権62008, 2007, 2006,
1991, 1986, 1977
コパ・ド・ブラジル12023
コパ・リベルタドーレス32005, 1993, 1992
コパ・スウアメリカーナ12012
クラブワールドカップ(*)32005, 1993, 1992
(*)インターコンチネンタルカップおよびトヨタカップを含む
   サンパウロFCは、サンパウロ州に本拠を置く4大クラブの一つ。サンパウロ州選手権は、コリンチャンス(30)、パウメイラス(25)に次ぐ、サントスと並ぶ22回の優勝回数を誇り、全国選手権の優勝回数は7回で、パウメイラス(12)、サントス(8)、コリンチャンス(7)、リオデジャネイロ本拠のフラメンゴ(8)との間でしのぎを削っている。
   現行のレギュレーションで開催される2006年以降の全国選手権で、唯一、三連覇を記録している。
   チームはしばしば『トリコロール(Tricolor)』または『トリコロール・パウリスタ(Tricolor Paulista)』と呼ばれる。ファン、サポーターの通称は、男性の場合『サンパウリーノ(São Paulino)』、女性の場合『サンパウリーナ(São Paulina)』。
   サンパウロFC下部組織出身で同クラブからプロデビューを果たした主な選手は、GKとして通算世界最多得点となる131得点を記録するGKホジェリオ・セニ(Rogério Ceni, 1973)。2007年FIFA最優秀選手賞、バロンドールを受賞したMFカカー(Kaká, 1982)、1994年2002年と二度のW杯を獲得する右SBカフー(Cafu, 1970)。
   2022W杯代表選手では、エデル・ミリトン(Éder Militão, 1998)、VOLカゼミロ(Casemiro, 1992)、FWアントニー(Antony, 2000)が該当。GKエデルソン・モラエス(Ederson Moraes, 1993)はサンパウロU-17からベンフィカU-17へ移籍しポルトガルでプロデビューを果たしている。

《 直近3年成績(2021年-2023年) 》

大会2023年成績2022年成績2021年成績
ブラジル全国選手権11位9位13位
コパ・ド・ブラジル優勝準決勝敗退準々決勝敗退
コパ・リベルタドーレス準々決勝敗退
コパ・スウアメリカーナ準々決勝敗退準優勝
サンパウロ州選手権準々決勝敗退準優勝優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2023年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェイ方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移。
サンパウロ 全国選手権 ブラジルリーグ 年度別順位推移

《 2023年 》

<戦績>

大会試合勝利引分敗北得点失点得失差順位等
コパ・スウアメリカーナ1071217314準々決勝敗退
全国選手権381411134038211位
コパ・ド・ブラジル106221275優勝
サンパウロ州選手権13733231013準々決勝敗退
   71341720925834

<全国選手権 年間順位推移>

サンパウロ 全国選手権 ブラジルリーグ 2023年間順位推移

<振り返り>

【シーズン前・補強】

   監督は、2021年10月から指揮を執り、2022年はコパ・スウアメリカーナと州選手権で準優勝と、コパ・ド・ブラジルでの準決勝進出と、タイトル獲得まであと一歩に迫ったクラブOBホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)監督が続投。
   財政難に苦しむサンパウロFCは、優先順位の高いポジションで完全移籍による選手獲得。
   例えば、セニ監督就任以来固定できていないGKにアトレチコ・ミネイロで第2GKを務めていたハファエウ(Rafael, 1989)、2部に降格するアトレチコ・ゴイアニエンセからMFウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)、元代表CBミランダの引退、2022年終盤にレギュラーを掴んだもののウェストハム/ENGへ移籍したCBルイザォン(Luizão, 2002)の穴を埋めるため、アトランタユナイテッド/USAから獲得したCBアラン・フランコ(Alan Franco, 1996)が挙げられる。
   2022年に頭角を現した下部組織出身のMFイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)がアトレチコ・ミネイロへ移籍。チーム内得点王FWカレリ(Calleri, 1993)、同2位にFWルシアーノ(Luciano, 1993)は残留したものの、その2人に続くFWの控え選手が複数退団したため、ユーティリティ性の高いFWカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)やアトレチコ・マドリード所属FWマルコス・パウロ(Marcos Paulo, 2001)などを期限付き移籍で獲得。控えは多くのポジションで期限付き移籍選手や在籍2、3年目の選手、下部組織所属選手が務めることになる。

【サンパウロ州選手権】

   2023年1月15に開幕節を迎えたサンパウロ州選手権。
   州選手権は開幕当初から主力選手のケガが続き、第4節を前にバイエルン・ミュンヘン/GERでの7年間で数々のタイトルを獲得した大ベテラン右SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)がケガで戦列を離脱。急遽レンタル先のコリチバから復帰したSBナタン・メンデス(Nathan Mendes, 2002)が替わりを務める。
   第6節を前に2022W杯エクアドル代表CBアルボレーダ(Arboleda, 1991)がケガで離脱すると、以降はCBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003)が先発に抜擢されるようになる。
   このような状況で、予選ラウンドは、第3節パウメイラス戦(0-0)、第5節コリンチャンス戦(1-2)、第7節RBブラガンチーノ戦(1-2)、第8節サントス戦(3-1)と全国選手権1部チームとの対戦では芳しい成績を残せず、第10節には全国選手権3部サンベルナルドにも黒星。予選ラウンドを7勝2分3敗の成績で終え決勝ラウンドに進出する。
   決勝ラウンド一回戦(準々決勝)の対戦相手は州選手権にのみ参加するアグア・サンタ。
   FWカレリなど主力にケガ人を抱え、若い2000年以降生まれの選手が両SB、CB、MFの4つのポジションで先発に起用される。予選ラウンド8得点2アシストの成績を残し攻撃陣を牽引したMFガロッポ(Galoppo, 1999)が前半18分にケガで交代を余儀なくされると、終始試合を優位に進めながらも最後までゴールを奪えず0-0の引分け。PK戦を5-6で敗れ、早くも州選手権を後にする。
   しかしながら、主力選手のケガでチャンスを得た2選手のうち、SBナタン・メンデスはSBハフィーニャが復帰すると先発の座を明け渡すが、2番手としてターンオーバーや途中交代で多くの試合に出場。CBルーカス・ベラウドはCBアルボレーダ復帰後もポジションを守り、CBアルボレーダとのコンビでサンパウロFCの最終ラインをまとめ上げ、また、ビルドアップ能力を発揮し、絶対的なレギュラーとしてのポジションを確立する。

【コパ・スウアメリカーナ】

   2023年4月6日コパ・スウアメリカーナ開幕節は、州選手権での敗退から約25日のブランクを置いた試合。新たに採用する3バックの布陣で2-0の完勝を収める。
   4月18日第2節は、コパ・ド・ブラジル、全国選手権開幕節と、内容が伴わない試合が続いた後に迎えたが、この試合も圧倒的にボールを支配しながら、後半41分、後半43分の連続ゴールで何とか勝利を掴んだフラストレーションの溜まる試合内容。
   翌4月19日、サンパウロFCはホジェリオ・セニ監督の解任を決断する。
   第3節以降は、2022年にフラメンゴでリベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルのカップ戦二冠を達成し、カップ戦の戦い方を熟知するドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)監督が、ターンオーバーで控え選手や若手選手を多用しながらも勝ち点を積み重ね、最終的には5勝1分13得点無失点の成績でグループ首位、決勝ラウンドに駒を進める。
   全国選手権はボタフォゴが独走し、優勝の可能性が僅かなものになると、ドリヴァウ・ジュニオール監督は照準をコパ・スウアメリカーナとコパ・ド・ブラジルに切り替える。
   決勝ラウンド一回戦(ベスト16)サンロレンソ/ARG戦。
   8月3日アウェイでの1stレグは、立ち上がりからボールを支配される苦しい展開が続き後半6分に失点。その後は一転し、ボールを支配するようになるが、サンロレンソの守備陣を崩すことができず0-1の敗戦。
   8月10日2ndレグは、前半45分、サンパウロFCがFKからFWカレリのヘディングシュートで先制。後半22分にはMFホドリゴ・ネストールの個人技からFWルシアーノがゴールを奪い2試合合計で2-1と逆転する。その後も最後までボールと試合の主導権を握り、準々決勝進出を決める。
   準々決勝の対戦相手はLDUキト/EQU。
   8月24日、標高2700mを越える高地でのアウェイゲームは、前半2分に早くも失点。その後も猛攻を浴び前半25分に追加点を許す。後半に入りLDUキトが試合のリズムを落とし試合をコントロールするが、サンパウロFCは後半35分にゴール前から細かく縦にボールを繋ぎ、最後はFWルシアーノからのスルーパスを受けたFWルーカス・モウラがボールをゴールに流し込み、点差を1点差に詰め1stレグを終える。
   8月31日ホームでの2ndレグ。1stレグと打って変わりサンパウロFCがボールを支配する。しかし、ゴールは奪えない。後半3分にLDUキトから退場者が出てサンパウロFCは数的有利に立つが、専守に徹するLDUキトの守備網を崩せない。後半32分、左CKからCBアルボレーダが頭を合わせ待望の先制点。その後も猛攻を浴びせるがLDUキトゴールをこじ開けることができず、試合はPK戦に突入。サンパウロFCは2人目がゴール枠を捉えることができず、LDUキトは全員が成功。サンパウロFCは準々決勝でコパ・スウアメリカーナから姿を消した。

【コパ・ド・ブラジル】

   コパ・スウアメリカーナ出場により、コパ・ド・ブラジルは三回戦からの出場。
   2023年4月11日コパ・ド・ブラジル三回戦、全国選手権2部イトゥアーノとの1stレグは0-0の引分け。4月25日2ndレグ、交代出場したばかりのFWウェリントン・ハットが、後半18分にMFアリソンからのサイドを替えるパスを受け、ペナルティエリア手前を中央に切れ込みゴール。苦しみながらもベスト16進出を果たす。
   ベスト16の対戦相手は全国選手権2部エスポルチ。
   5月17日1stレグはアウェイゲームながら2-0の完勝。6月1日2ndレグの前半26分に2試合合計で3-0となるゴールを奪うが、ハーフタイムを挟んで2失点。後半45+4分の失点でPK戦に持ち込まれる。PK戦ではGKハファエウが2人目のシュートをストップ、サンパウロFCは全員が成功。三回戦に続き下位リーグのチームを相手に苦戦するが、辛うじて勝ち上がる。
   コパ・ド・ブラジル準々決勝はクラシコ、パウメイラスとの対戦。
   7月5日ホームでの1stレグは、ボールを支配して相手ゴールに迫り、パウメイラスのスピード豊かなFW陣に仕事をさせず試合を進め、後半37分に相手ペナルティエリア付近を左右に揺さぶり、最後はSBハフィーニャの鋭いミドルシュートで1-0の勝利を収める。
   7月13日2ndレグは、立ち上がりからパウメイラスに押し込まれ前半34分に失点。しかし、後半4分に左SBカイオ・パウリスタがペナルティエリア中央で元FWの決定力をみせ、2試合合計2-1の勝ち越し。その後も守備的にならず、中盤の速い寄せで試合を均衡状態に持ち込むと、後半44分に自陣ペナルティエリアからのロングフィードに空中戦で競り勝ったFWデイヴィジ(David, 1995)がFWフアン・サントス(Juan Santos, 2002)からのタベーラの戻りのボールを受け、GKとの一対一の対峙を制しボールをゴールに流し込む。準々決勝はH&Aを2連勝でまとめ準決勝に駒を進める。
   準決勝の対戦相手は準々決勝に続きクラシコ、コリンチャンス。
   7月25日アウェイでの1stレグは1-2の敗戦。8月16日2ndレグは、立ち上がりから引いて守るコリンチャンスゴールに相次いで迫ると、前半13分、FWウェリントン・ハットが約25mのミドルシュートをゴール左隅に決め2試合合計で同点。その後も勢いは止まらず、前半32分、FWルーカス・モウラがペナルティエリア左手前からゴールエリア右のFWウェリントン・ハットへ柔らかい浮き球のパスを送ると、その折り返しのボールをファーサイドゴール前で頭で押し込み、2試合合計で逆転。後半35分を過ぎて、コリンチャンスの反撃に防戦一方となるが、最後までゴールを許さず、タイムアップ。
   1996年に始まったコパ・ド・ブラジルで、2000年以来2度目の決勝進出を果たす。
   決勝の相手は連覇を目指すフラメンゴ。
   9月17日アウェイでの1stレグ、中盤の攻防が激しくなる中、ほとんどのセカンドボールをフラメンゴに奪われる苦しい展開が続く。しかし、前半45分、自陣右サイドライン際の混戦から右SBハフィーニャがサイドチェンジ。そのボールを受けた左SBカイオ・パウリスタがドリブルで持ち上がり、中央に絞りながらペナルティエリア手前をサイドに開いたMFホドリゴ・ネストールへボールを送る。MFホドリゴ・ネストールがゴール前ファーサイドにクロスを送るとディフェンダーとのポジション取りに競り勝ったFWカレリがフリーで頭を合わせゴールネットを揺らす。後半は中盤でのマークを強めるサンパウロFCがフラメンゴにシュートまで持ち込ませず、1-0で逃げ切る。
   9月24日2ndレグ。立ち上がりからフラメンゴがサンパウロゴールに迫る中、前半8分にCBアルボレーダが負傷交代。不慮のアクシデントに急遽ピッチに投入されたCBジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1999)だったが、安定したプレーをみせ、サンパウロ守備陣はフラメンゴの猛攻をしのぐ。しかし、先制したのはフラメンゴ。前半43分、フラメンゴVOLエリキ・プルガールが強烈なシュート。GKハファエウが手に当てボールはゴールポストを叩くが、FWブルーノ・エンヒキが詰められ失点。2試合合計で同点に追い付かれる。
   その5分後の前半45+3分、サンパウロは相手陣右サイドライン際でFKを獲得。FWウェリントン・ハットがゴール前に上げたボールはフラメンゴGKロッシのパンチングでクリアされるが、ペナルティエリア手前左でMFホドリゴ・ネストールがダイレクトに左足を振り抜き、抑えの効いたボールがファーサイドのゴールネットに突き刺さる。2試合合計2-1となる決勝点。
   サンパウロFCはクラブ史上初のコパ・ド・ブラジル制覇を成し遂げた。

【全国選手権】

   2023年4月15日全国選手権開幕節ボタフォゴ戦、アウェイでの試合を後半43分のゴールで1-2の敗戦を喫すると、クラブは4月18日のコパ・スウアメリカーナ第2節終了後にホジェリオ・セニ監督を解任、後任にドリヴァウ・ジュニオール監督を招聘する。
   ドリヴァウ・ジュニオール監督は、守備ラインを高い位置に敷き、相手陣でFW陣のプレスバックや中盤の選手が局面での数的有利を作り出す守備を仕掛け、素早く攻撃に移行する戦術を採用。
   監督就任後初戦の全国選手権第2節アメリカ・ミネイロ戦では、開幕節から6つのポジションでスタメンを変更。3-0の勝利を収めたものの、第3節コリチバ戦では4つのポジションで先発を変更。その後も、コパ・スウアメリカーナやコパ・ド・ブラジルも含め、それまで控えに回っていた選手や、若手選手を積極的に起用していき、各選手の戦術への適性を見極め、チーム内の戦術の浸透を図っていく。
   ドリヴァウ・ジュニオール監督は就任後、5月末まで公式戦7勝4分無敗の成績を残す。
   6月に入るとコパ・ド・ブラジルで公式戦約2か月ぶりの敗戦。6月4日全国選手権第9節では、グレミオの3-6-1で中盤を厚くした布陣に中盤の優位性を奪われ点差は1-2ながら内容的には完敗。すると、対戦相手による研究も進み、第10~12節は1勝2敗と以前の勢いは衰える。
   試合日程も、4月7試合、5月8試合、6月は国際Aマッチデーを挟むものの7試合、7月8試合、そして、8月はコパ・スウアメリカーナとコパ・ド・ブラジルを勝ち上がることで9試合が予定される過密日程。
   第13節(7月1日)~第16節(7月22日)はコパ・スウアメリカーナ1試合、コパ・ド・ブラジル準々決勝2試合を挟みながらも、全国選手権は2勝1分1敗で乗り切るが、7月25日コパ・ド・ブラジル準決勝1stレグ、8月3日コパ・スウアメリカーナベスト16の1stレグを共に落とすと、ドリヴァウ・ジュニオール監督は重点をカップ戦の2大会に切り替える。
   すると、コパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナのいずれも2ndレグで巻き返し、次のステージに駒を進めることに成功。コパ・スウアメリカーナは続く準々決勝で敗退したものの、コパ・ド・ブラジルはクラブ史上の優勝を成し遂げた。
   一方で、全国選手権は8月6日の第18節から、コパ・ド・ブラジル決勝2ndレグ直前の第24節(第22節は順延)までの6試合を2分4敗。一気に14位まで順位を下げる。
   しかし、コパ・ド・ブラジル閉幕後は、チーム内得点王のFWカレリが慢性的なケガの治療のためチームを離脱したものの、7勝4分4敗の成績でまとめ、全国選手権は14勝11分13敗、11位の成績で2023年を終えた。
   選手権前半 :   7勝 6分 6敗、得点24失点19
   選手権後半 :   7勝 5分 7敗、得点16失点19
   選手権合計 :  14勝11分13敗、得点40失点38
   選手権ホーム  :  13勝 3分 3敗、得点29失点13
   選手権アウェイ :   1勝 8分10敗、得点11失点25
   得点数40  :  リーグ16位
   失点数38  :  リーグ15位(の多さ)

【主力選手・7月補強】

   ドリヴァウ・ジュニオール監督のもと、多くの選手が起用される中、次第に軸となる選手が固まっていく。
   長年不安視されたGKに今季加入のハファエウが定着。2022年からレギュラーを務めていたVOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)は監督の戦術の下でその重要性を高め、控えに回ることの多かったVOLアリソン(Alisson, 1993)が潤滑油的な役割で復活。シーズン途中に加入したFWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)は試合の中で違いを作り、2022年得点王のFWカレリ(Carelli, 1993)は慢性的なケガを抱えながらも高い決定力を誇示した。
   シーズン当初にケガ人が続出したCBとレギュラー不在の左SBには、CBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003)とFWから転向した超攻撃的なカイオ・パウリスタ(Caio Paulista)がポジション争いから抜け出した。
   途中加入のFWアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)は監督の戦術にフィットせず、同じく途中加入のFWハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)はブランクもあり、コパ・ド・ブラジル決勝戦ではスタメンを外れたが、シーズン終盤には2024年での活躍が約束されるような働きをした。

【世代別代表】

<U-23代表>
〇SBパトリッキ・ランザ(Patryck Lanza, 2003) … 10月開幕 パンアメリカン競技大会、 11月合宿、 2024年1月開幕 2024パリ五輪南米予選
〇CBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003) … 11月合宿
〇VOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2003) … 11月合宿
〇SBジョアン・モレイラ(João Moreira, 2004) … 10月開幕 パンアメリカン競技大会(辞退)
〇SBウェリントン(Welington, 2001) … 9月親善試合
<U-20代表>
〇SBパトリッキ・ランザ(Patryck Lanza, 2003) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権、 4月親善試合(辞退)
〇CBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権(辞退)、 4月親善試合(辞退)
<U-17代表>
〇MFギリェルミ・バチスタ(Guilherme Batista, 2006) … 9月親善試合4試合、 11月開幕 U-17W杯
〇FWヒアン・フランシスコ(Ryan Francisco, 2006) …  9月親善試合4試合
〇左SBマルケス・ヒケウミ(Marques Rickelme, 2006) …  9月親善試合4試合

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手




















最多試合出場ハファエウ
Rafael
GK, 1989
6633101310
(2位)ルシアーノ
Luciano
FW, 1993
653491210
(3位)ウェリントン・ハット
Wellington Rato
FW, MF, 1992
643210139
最多出場時間ハファエウ
Rafael
GK, 1989
594029709001170900
(2位)パブロ・マイア
Pablo Maia
VOL, 2002
44162587720592517
(3位)ルーカス・ベラウド
Lucas Beraldo
CB, 2003
41682160696727585
最多得点ルシアーノ
Luciano
FW, 1993
159222
(2位)カレリ
Calleri
FW, 1993
149122
(3位)ガロッポ
Galoppo
MF, 1999
80080
最多アシストウェリントン・ハット
Wellington Rato
FW, MF, 1992
94131
(2位)ルシアーノ
Luciano
FW, 1993
82213
(3位)ホドリゴ・ネストール
Rodrigo Nestor
MF, 2000
72113
最多デュエル勝利ミシェル・アラウーホ
Michel Araújo
MF, 1996
139
(2位)ルシアーノ
Luciano
FW, 1993
112
(3位)カイオ・パウリスタ
Caio Paulista
SB, 1998
101
最多キーパスウェリントン・ハット
Wellington Rato
FW, MF, 1992
40
(2位タイ)ホドリゴ・ネストール
Rodrigo Nestor
MF, 2000
24
(2位タイ)ミシェル・アラウーホ
Michel Araújo
MF, 1996
24
(2位タイ)ハフィーニャRafinhaSB, 198524
最多CBIジエゴ・コスタDiego CostaCB, 199987
(2位)ルーカス・ベラウドLucas BeraldoCB, 200384
(3位)アルボレーダArboledaCB, 199182
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

《 2024年にむけて 》

   監督はドリヴァウ・ジュニオール監督が続投。
   シーズン終盤に約40名にまで膨れ上がったトップチーム登録選手は、ドリヴァウ・ジュニオール監督から細かく選手を管理するには多すぎるとの意見があり、30人前後にまで絞り込む予定。
<退団>
   CBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003)は、12月21日にパリSG/FRAとクラブ間合意がなされており、年内に渡仏しメディカルチェックを受け契約に至る模様。移籍金は2000万ユーロ(約31億4000万円)でサンパウロFCにはその60%が入る。
   VOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)、SBウェリントン(Welington, 2001)も欧州からの関心は高く、2024年1月に移籍の可能性は十分にある。
   シーズン途中に加入したコロンビア代表MFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)は、起用法に不満があり、退団の可能性もある。
   右SBハフィーニャの穴を埋めたSBナタン・メンデス(Nathan Mendes, 2002)はRBブラガンチーノから正式オファーがあり移籍が濃厚。
   スリム化に向け既に11選手の退団が確定的。主な選手は以下の通り。
   FWアレシャンドレ・パトは年末までの契約を更新せず退団。FWダヴィジ(David, 1995)、FWエリソン(Erison, 1999)は、シーズン終盤を含めシーズンを比較的多くの試合に出場したが、期限付き移籍を更新せず退団。同じく期限付き移籍のSBハイー・ハーモス(Raí Ramos, 1994)はシーズン序盤の出場機会を生かせなかった。
   下部組織出身のCB兼VOLヴァウシ(Walce, 1999)、同じく下部組織出身で2023年にプロデビューを果たし3試合に出場したCBマテウス・ベレン(Matheus Belém, 2003)は契約満了に合わせ退団。
<加入・契約更新>
   シーズン途中に加入した元ブラジル代表FWルーカス・モウラは2026年末までの契約延長に合意。
   2023年12月23日現在で確定している補強は以下の通り。
   セロ・ポルテーニョ/PARからVOLボバディージャ(Bobadilla, 2001)、セアラーからFWエリキ(Erick, 1997)、アル・ナスル/KSAから2014W杯代表VOLルイス・グスタヴォ(Luiz Gustavo, 1987)。
   グレミオFWフェヘイラ(Ferreira, 1997)の獲得に向け交渉中。SBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1999)については完全移籍での獲得をフルミネンセを交渉中だが、パウメイラスも獲得を検討し始めており、今後の動向に注目が集まる。

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