マテウス・ジアス (Matheus Dias)

投稿者: | 2023年12月25日
最新更新日 : 2024/02/03
投稿日 : 2023/12/25

マテウス・ジアス・ドス・サントス  若手 ブラジルサッカー インテルナシオナウ 右SB サイドバック ボランチ マテウス・ディアス

マテウス・ジアス・ドス・サントス

Matheus Dos Santos Dias

ポジション: 右SB/ラテラウ・ジレイト、 ボランチ

利き足:右

2002年5月9日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市東部地区に生まれる。
 9歳の時、サンパウロ市北部カニンデー地区に本拠を置く当時全国選手権2部ポルトゲーザのサッカースクールでサッカーを始める。入団当初は、祖母に連れられバスや地下鉄を乗り継ぎトレーニングに通う。

<クラブ>

≪育成時代

 2018年、サンパウロ市の西に隣接するオザスコ市に本拠を置くサンパウロ州選手権下位リーグのグレミオ・オザスコ下部組織に入団。
 同年には、地元から南西に約500㎞離れたサンタカタリーナ州ジョインヴィリに創立されたばかりのナサォンへ移籍する。
 2020年に入り、地元から南西に約700㎞離れたサンタカタリーナ州フロリアノポリスに本拠を置く全国選手権2部アヴァイー下部組織を経て、地元から北東に約650㎞離れたミナスジェライス州トンボスに本拠を置く全国選手権3部トンベンセの下部組織へと移籍。
 2021年4月、地元から南西に約1100㎞離れたリオグランデドスル州ポルトアレグレに本拠を置くインテルナシオナウU-20チームに期限付き移籍を果たす。
 インテルナシオナウU-20チームでは2021年5月7日に公式戦デビュー。しばらくは途中交代出場が続くが、6月26日のU-20全国選手権でスタメン起用されると、その後はポジションに定着。この年はボランチながら32試合で5得点を記録。インテルナシオナウU-20チームのU-20スーペルコパ・ド・ブラジル、U-20全国選手権、U-20州選手権の三冠に貢献する。
 2021年12月22日、インテルナシオナウは買取オプションを行使するとともに、トップチームへの昇格を決定。クリスマス休暇をサンパウロの自宅で過ごしていたマテウス・ジアスは、代理人から電話でこの知らせを受け、家族とともに喜びを分かち合った。

インテルナシオナウ≫

– 2022 –

 2022年2月2日州選手権第3節サン・ルイス戦、アレキサンデル・メディーナ(Alexander Medina)監督の下、後半40分に交代出場で19歳のプロデビューを飾る。
 しかし、その後はトップチームでの出場機会は訪れず、U-20チームでの試合が続く。シーズン最終盤の2022年11月8日全国選手権第37節サンパウロ戦、マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督の下、後半15分に交代出場。11月13日最終節パウメイラス戦ではプロ初スタメンに起用される。

– 2023 –

 2023年1月開幕の州選手権では、開幕3試合に連続出場を果たすが、前年のレギュラー陣、VOLジョニー(Johnny, 2001)、VOLバラーリャス(Baralhas, 1998)の壁は厚く、その後はベンチを温める試合が続く。
 2月25日第9節で先発に起用されると、第10節グレミオとのクラシコ「グレナウ」では後半開始時に交代出場。第11節は再びスタメンに起用され、このままポジション争いに加わるかと思われた。
 しかし、チームは、州選手権決勝ラウンド一回戦(準決勝)のホーム&アウェイの2試合をいずれも引分けに終え、PK戦の末、決勝に進めず敗退。
 すると、全国選手権を前に加入したVOLカンパニャーロ(Campanharo, 1992)、ユーティリティ性の高いMFカルロス・デ・ペニャ(Carlos de Peña, 1992)の前にポジション争いから脱落。
 4月11日コパ・ド・ブラジル三回戦1stレグは右サイドバックとして先発出場。ボランチとしては、全国選手権第3節、第6節で先発に起用されるものの前半のみで交代。チームは、全国選手権と並行してコパ・ド・ブラジルとリベルタドーレスが開催される厳しい日程に苦しむが、マテウス・ジアスの出場試合数は減っていき、試合に出ても交代出場による15分前後の時間のみピッチに立つ状況が続く。
 2023年7月16日全国選手権第15節パウメイラス戦後に、インテルナシオナウは成績不振を理由にマノ・メネゼス監督を解任。後任にエドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督が就任する。
 エドゥアルド・クーデ監督は勝ち残っているリベルタドーレスに重点を置いたターンオーバー制を採用。マテウス・ジアスは、全国選手権を中心に試合出場機会を増やしていく。
 8月5日第18節コリンチャンス戦、エドゥアルド・クーデ監督のもとで初めて先発に起用されると、前半17分、ゴールライン際へ絶妙なスルーパスを通し先制点をお膳立て。チームが全体として高い位置でプレスをかける中、相手のパスコースを消すポジショニングやこぼれ球を回収。ボール奪取後にはボールを預かり、次の攻め手の起点になる。この試合を機に先発起用も増えていく。
 9月21日第24節アトレチコ・パラナエンセ戦で先発出場を果たすと、翌9月22日、パンアメリカン競技大会U-23への招集が発表され、しばらくチームから離脱。
 パンアメリカン競技大会から帰国後の11月8日第33節フルミネンセ戦、後半21分に交代出場を果たすが、10分後の後半31分に負傷交代。検査の結果、左太ももの筋肉系のケガで今季中の復帰は難しいと診断され、この試合が2023年の最後の試合となった。

– 2024 –

(To be continued...)

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(20歳)インテルナシオナウ全国選手権210800
州選手権1500
 合計311300
2023年(21歳)インテルナシオナウリベルタドーレス32800
全国選手権1440100
コパ・ド・ブラジル314200
州選手権846100
 合計28103200
2024年(22歳)インテルナシオナウ
イタリック斜体は、2023年12月24日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

2023年パンアメリカン競技大会(U-23)≫

 2023年9月22日、10月22日に開幕する2023パンアメリカン競技大会のU-23代表18選手の一人としての選出が発表された。21歳にして初の世代別代表への招集となった。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/10/23予選第1節アメリカ合衆国1 – 09001
2023/10/26予選第2節コロンビア2 – 09000
2023/10/29予選第3節ホンデュラス3 – 06200
2023/11/01準決勝メキシコ1 – 0
2023/11/04決勝チリ1 – 1
PK: 4-2
7700
 合計8 – 131901
予選ラウンド開幕節、0-0の同点で迎えた後半42分、ゴール前正面でMFギリェルミ・ビロからのクロスをヘディングシュート。これは当たりが悪くボールは流れるが、フリックをしたような形となり、CBミランダのゴールのアシスト。

– 2024 –

2024年パリ五輪南米予選(離脱)≫

 2023年12月21日、2024年1月20日にベネズエラで開幕する2024年パリ五輪南米予選U-23代表の23選手の一人として選出が発表された。ポジションは右サイドバック。
 2024年1月15日、トレーニング中に左太ももにケガを負い、パリ五輪南米予選代表からの離脱がCBFより発表された。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長187㎝、体重不明(インテルナシオナウ公式サイトより。2023/12/24参照)
 ポジションはボランチ。
 長い手足と懐の深さを上手く使ったボールキープやボール奪取を得意とする。
 自陣での引いた守備では最終ラインの手前でフィルター役となり、地上戦ではドリブルやタベーラを使い抜け出しを図る相手に長い足を伸ばしてボールをカット。ロングボールやクロスボール、クリアボールでの空中戦は高さで対応。
 チームが高い位置でボールを奪いに行く局面では、ボールの奪いどころから数m下がった位置でルーズボールの回収や、パスコースを切るポジショニング、ディフェンスを掻い潜った相手は素早く潰し攻撃の芽を摘み取る。
 攻撃面では視野の広さをいかし、ボールを受けると縦や斜め、サイドを変えるパスを次々と通す。
 アタッキングサードでの決定的なパスも多く、2023年8月のコリンチャンス戦では外に開く味方FWに食いつくディフェンダーの背後を通す想像(創造)力豊かなパスを通しゴールの起点となる。
 試合中は常に冷静さを保ちプレー。
 2023年5月31日のコパ・ド・ブラジルベスト16アメリカ・ミネイロ戦2ndレグでは、PK戦のキッカーを務め成功させている。

 2023年にパンアメリカン競技大会でU-23代表として初めて世代別に招集されたが、周りの多くの選手が幼い頃から強豪クラブや中堅クラスのクラブの育成部門でサッカーをしてきた中、マテウス・ジアスは長い間地味な存在で有力クラブのスカウト網に掛かることもなく、19歳にして初めて強豪と呼べるクラブ、インテルナシオナウの下部組織に入団した。
 しかし、そこから驚異的な成長を遂げ、翌年にはインテルナシオナウでトップチームに昇格。トップチームでは浮き沈みはありながらも、試合への出場を重ねていく。
 守備的な戦術を得意とするマノ・メネゼス監督のもとではプロとして平均的な評価だったが、攻撃的で高い位置でボールを奪いに行くことの多いエドゥアルド・クーデ監督のもとで素質が開花。一気にパンアメリカン競技大会U-23代表としてチームの大会優勝に貢献し、その働きが評価され、2024年パリ五輪南米予選代表にも招集を受けるまでに至った。
 思うに、幼い頃から過ごした中堅~下位クラスのクラブでのチームや、マノ・メネゼス監督のもとでの守備的な戦術では、マテウス・ジアスの本来の特長が生かされる場面がごくわずかに限られていたのかもしれない。
 年間三冠を達成したインテルナシオナウU-20チームでの活躍により買取オプションが行使され、トップチーム昇格を勝ち取った。エドゥアルド・クーデ監督のもとで世代別代表に選出されたのは、相手陣でのボール回しに主眼を置く戦術の中で本来の特長を遺憾なく発揮できているからなのかもしれない。

 パリ五輪南米予選でのブラジルU-23代表が攻撃的なチームとして編成されることは間違いなく、パンアメリカン競技大会に続き、マテウス・ジアスが本領を発揮するには絶好の舞台。
 今回のパリ五輪南米予選では、2024年初の欧州移籍ウィンドウで欧州移籍が見込まれる選手ついては、移籍後の適応のため招集が見送られている中、マテウス・ジアスは招集を受けたが、この予選で本領を発揮し、クラブで監督の期待に沿うプレーが続けることができれば、2024/25欧州シーズンを前にした五輪本番では代表招集を見送られることになるのではないだろうか、と個人的には思っている。
(2024年2月3日追記)
 残念ながら、パリ五輪南米予選は左ハムストリングのケガのため、開幕を目前に代表を離脱した。ケガに関するインテルナシオナウの発表はないが、2023年終盤と同じ左太ももの筋肉系のケガのため、再発したものと思われる。戦列復帰予定についても情報はないが、州選手権が閉幕、全国選手権の開幕やコパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナが並行して開催される4月中旬から5月にかけての復帰になるのではないかと思われる。
 インテルナシオナウは、レアルベティス/ESPへ移籍したVOLジョニー・カルドーゾ(Johnny Cardoso, 2001)に代わる補強を施していないことから、マテウス・ジアスへの期待の程がうかがわれる。しかし、まずはケガの治療に専念し、万全な態勢で戦列に復帰してもらいたい。

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