クイアバーノ (Cuiabano)

投稿者: | 2024年1月14日
最新更新日 : 2024/04/20
更新履歴 : 2024/01/14

ルイス・エドゥアルド・ソアレス・ダ・シウヴァ

Luis Eduardo Soares da Silva

ポジション: 左サイドバック/ラテラウ・エスケルド

利き足:左

2003年2月16日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国マットグロッソ州クイアバに生まれる。
 登録選手名の「クイアバーノ」とは「クイアバ出身(の)」という意味。出身地が由来。
 アマチュアサッカー選手の父と陸上競技選手の母の元に生まれたクイアバーノは、両親のスポーツ選手としての資質を受け継ぎ地元のサッカースクールで頭角を現し、グレミオのほか、サンパウロなど複数のビッグクラブから注目を集める。

<クラブ 経歴>

育成時代≫

 2014年、11歳の時にグレミオ傘下のサッカースクールに入団。
 U-11チームに始まり着実にカテゴリーを昇格していき、14歳になりグレミオ下部組織に入団。
 グレミオU-14チームの時にポジションが左サイドバックに定着する。
 2019年、U-17チーム昇格一年目でレギュラーの座を獲得し、U-17全国選手権に出場。10チームで構成されるグループラウンドをグレミオU-17はグループ最多26得点で一位通過。チームは準決勝で敗退したものの、この攻撃的なチームの中でクイアバーノは全13試合にスタメン出場を果たし1得点を記録する。
 この年の活躍を受け、2020年2月には世代別代表へ招集。
 2020年もU-17チームでレギュラーとしてU-17全国選手権に出場。この年のチームもグループラウンドで2番目の9試合29得点を記録する攻撃的なチーム。コロナ感染症拡大による自粛期間を挟み、クイアバーノは開幕3試合連続ゴールをマーク。チームは準々決勝で敗退したものの、クイアバーノはチーム全11試合のうち出場停止試合を除く全10試合に出場した。
 2021年、U-20チームに昇格。昇格一年目ながら6月27日開幕U-20全国選手権の開幕節で後半出場を果たすと、翌節からはスタメンに定着。チーム全19試合のうち15試合(うち14試合先発)出場3得点を記録。
 この活躍を受け、11月9日~17日に開催されるU-18レヴェレーションズ杯に向けたU-18代表に招集、大会出場を果たす。
 また、2021年7月~10月にかけては、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督のもと、トップチームのトレーニングに合流し大きな刺激を受けることになる。
 2022年は1月のU-20全国大会カップ戦に出場。
 カップ戦終了後の1月26日、29日にはトップチームの州選手権にベンチ入りを果たす(出場機会なし)。
 2022年6月のU-20代表親善試合に出場し帰国するとU-23チームに合流。U-23チームでは先発出場と途中出場を繰り返しながら15試合(うち先発5試合)2得点、トップチーム昇格に向け一歩ずつ着実に歩みを進めていく。

グレミオ≫

– 2023 –

 2023年1月、トップチーム昇格。
 2023年2月18日リオグランデドスル州選手権第8節サンルイス戦、左SBとしてスタメンに抜擢され20歳3日目でのプロデビューを飾る。
 その後はトップチームでの出場機会はなく、U-20チームでの試合出場が続く。
 5月27日全国選手権第8節アトレチコ・パラナエンセ戦。一週間前の第7節インテルナシオナウ戦で3か月ぶり、約20分のトップチームでの試合出場を果たしていたが、このアトレチコ・パラナエンセ戦では先発出場。
 本来のポジションよりも一列高い左SHとしての起用となったが、立ち上がりに右サイドからのクロスにディフェンダーの間からFW顔負けのダイレクトシュートを放つ。前半31分、こぼれ球をペナルティエリア入口正面からゴール左隅に決めるプロ初ゴール。クイアバーノの攻撃的な特長を期待しての先発抜擢に見事に応えた。
 その後は、先発、途中出場で出場機会が増えていき、7月4日コパ・ド・ブラジルベスト16バイーア戦1stレグ、0-1のビハインドの状況で後半31分にピッチに立つと、後半45+5分、FWビテロのグラウンダーのクロスボールをGKが弾いたところを押し込む同点ゴール。
 決して多くはない出場時間でゴールという結果を残すものの、前線や中盤は層が厚く、左サイドバックも主戦ヘイナウドの壁は厚く、次第に出場機会は減少していく。10月に一か月チームを離脱するケガを負ったこともあり、上記のバイーア戦以降は5試合出場にとどまる。
 最終的にトップチーム一年目のシーズンは14試合610分2得点(U-20、U-23チームでの成績を除く)を残して終えた。
 2023年末には、ニース/FRA、ヒューストン・ダイナモ/USAから獲得オファーが届いたものの、いずれもグレミオが交渉拒否。2024年1月に入り、国外からはトリノ/ITA、フランスの他クラブ(クラブ不明)、国内からはボタフォゴ、昇格一年目のヴィトーリアによる身元照会があり、2024年に向けた契約更改が難航している。
 グレミオは左SBのポジションでヘイナウド(Reinaldo, 1989)に次ぐ2番手として評価しているが、他クラブからのクイアバーノへの評価はグレミオのそれを上回っているようだ。

– 2024 –

 2024年は、クラブから大きな期待を背負いシーズンに突入。しかし、1月中旬に左太ももに筋肉系のケガを負い、シーズン初試合は2月3日州選手権と始動が遅れると、その試合後のトレーニング中にケガを再発。グレミオは急遽グアラニーから左SBマイキ(Mayk, 1999)を獲得し、左サイドバックは再び3選手体制となる。
 4月9日リベルタドーレス第2節の後半10分に復帰。
 4月14日全国選手権開幕節ヴァスコ・ダ・ガマ戦には左サイドバックとして先発に抜擢。後半23分にショートコーナーを受けゴール前に低い弾道のボールを送りCBグスタヴォ・マルチンスのゴールをアシスト。4月17日第2節アトレチコ・パラナエンセにも先発出場し、守備面では素早い寄せと、攻撃面ではスピード豊かなオーバーラップを繰り返し、チームの2-0の勝利に貢献する。

グレミオ≫

– 2024 –

 2024年4月19日、ボタフォゴがクイアバーノの獲得を発表。移籍金は推定800万レアル(約2億4000万円)。
















≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(20歳)グレミオ全国選手権1148410
コパ・ド・ブラジル28110
州選手権14500
 合計1461020
2024(21歳)グレミオリベルタドーレス15500
全国選手権216401
州選手権1500
 合計422401
ボタフォゴ全国選手権
 合計
イタリック斜体は、2024年4月20日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

代表世代別含む)経歴

– 2020 –

 2020年2月18日、2021年に開催が予定されていたU-17W杯、南米U-17選手権を照準としたU-17代表合宿への24人の招集メンバーの一人として、自身初の代表招集を受ける。

– 2021 –

 2021年10月には、11月9日~17日に開催されるU-18レヴェレーションズ杯に向けたU-18代表に招集。
 11月10日アメリカ戦への出場は不明、13日メキシコ戦では後半途中出場、16日コロンビア戦は不出場。

– 2022 –

 2022年11月に開催されたチリとの2試合のU-20国際親善試合に向けた代表に招集。この試合は翌年に開催されるU-20南米ユース選手権を目前にした最後のU-20代表戦。
 17日の第1戦は先発出場から後半にカイキ・ブルーノと交代。20日の第2戦はカイキ・ブルーノに代わり後半途中交代出場を果たしたが、本番のU-20南米ユース選手権では、カイキ・ブルーノに代表の座を譲ることになった。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は左。
 身長179㎝、体重82kg。(サッカーサイト「oGol」2024年1月11日参照)
 ポジションは左サイドバックだが、2023年のトップチームではその攻撃的なスタイルから左サイドハーフや左ウィングとしての起用が続いた。
 体幹の安定した強靭な肉体は、周りが成長期にある育成カテゴリーでは大きな武器になっていたと思われるが、18歳~19歳にかけてプレーした2023年のトップチームでもすでにデュエルで高い勝利数を誇っており今後も大きな武器となる。
 また、陸上競技選手だった母親譲りのスピードは、瞬間的な爆発力やスプリント力として他選手との違いを生み出している。

 2023年のトップチームの試合では、不慣れな中盤や前線でのプレーだったこともあり、オフ・ザ・ボールでは少し漂うような時間帯も見られたが、プロ初ゴールは味方がディフェンダーをかわす際に大きくなったボールをゴールに蹴り込み、2点目は不慣れな右サイドでのプレーながら、GKが手で弾いたボールをゴールに押し込む、ポジションニングの妙で2得点を奪った。
 サイドバックらしいクロスはあまり見ることはなかったが、ドリブルでの切れ込みやゴールに向かう姿は迫力を感じさせた。
 2024年はグレミオでは左サイドバックの2番手としての起用が見込まれているが、場合によっては欧州を含めた他クラブでのプレーとなるかも知れない。また、移籍した場合には、慣れ親しんだサイドバックではなく攻撃なポジションでの起用となる可能性もある。
 2024年は、所属先も含め、クイアバーノのプレーに注目したい。

 2021年10月のインタビューでは、目標とする選手として同じ左サイドバックの2選手、レアルマドリード/ESPで長年主戦としてプレーしたマルセロ(Marcelo, 1988)、当時2022年W杯南米予選で活躍していたギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1977)を挙げた。
 この2選手はともに攻撃的なサイドバックとして精度の高いクロスや、低い弾道の強烈なシュートが持ち味。また、サイドライン際で攻撃の起点となることのできる選手。
 2023年はいずれもブラジル国内でプレーしており、同じピッチの上でプレーを習得することができた。クイアバーノは走力やパワーでは両選手に引けを取らない資質を備えており、今後は戦術眼などの細部について目標の2人からプレーを習得し、両選手がたどり着いた代表の座を世代別ではなくフル代表として掴み取ってもらいたい。

(2024年4月20日追記)
 2024年4月19日、移籍ウィンドウが締まる最終日に、ボタフォゴへの移籍が発表された。
 クイアバーノは2024年シーズンに向け大きな期待を集めたものの、1月、2月の相次ぐ左太ももへの筋肉系のケガを負い、グレミオは新たに左サイドバックにSBマイキ(Mayk, 1999)を獲得。SBマイキは守備面でクイアバーノを上回る安定感があり、クイアバーノの離脱中にヘナト・ポルタルーピ監督の信頼を得ていた。
 SBマイキがケガを負うと、2024年4月にクイアバーノの出番が訪れ、リベルタドーレスと全国選手権開幕節、第2節に出場。"SofaScore"によると全国選手権2試合平均のインターセプトは2.5回、ボール奪取1.5回、ルーズボールの獲得4.5回、ドリブル阻止2.5回と水準以上の数字を記録し、不安視されている守備面での成長がうかがわれた。
 しかし、グレミオは、2024年末に満了する契約更改交渉に難航しており、7月にはクイアバーノが他クラブとの移籍金ゼロでの事前契約が可能となることから、ボタフォゴのオファーを受諾した。

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