クラブ別2023年振り返り:パウメイラス (Palmeiras)

投稿者: | 2024年1月17日
クラブ紹介 パウメイラス パルメイラス Palmeiras ブラジル サッカー 全国選手権 タイトル 順位推移 2022年 個人成績

パウメイラス (Palmeiras)

正式名称:Sociedade Esportiva Palmeiras

略称:PAL

創立:1914年

本拠:サンパウロ州 サンパウロ

《 主要タイトル & クラブ概略 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権122023, 2022, 2018, 2016,
1994, 1993, 1973, 1972,
1969, 1967(*), 1967(*),
1960
コパ・ド・ブラジル42020, 2015, 2012, 1998
コパ・リベルタドーレス32021, 2020, 1999
(*)1967年は州選手権優勝チームによる全国選手権(タッサ・ブラジル)と、主要州間選手権(トーナメント・ホベルト・ゴメス・ペドローザ)の2大会に優勝。ブラジルサッカー連盟(CBF)は2010年に両大会の優勝チームを全国クラブチャンピオンと認定し、別個にタイトルとしてカウントしている。
(詳細は、当ブログ記事「ブラジルサッカーの歴史」を参照ください。)

   パウメイラスは、サンパウロ州に本拠を置く4大クラブの一つ。サンパウロ州選手権優勝回数は25回を誇り、コリンチャンス(30)に次ぎ、サンパウロ(22)、サントス(22)を上回る。サンパウロ州の4大クラブは人気、実力ともに伯仲しており、特にコリンチャンスとのクラシコでは熱烈なサポーター間によるもめ事で死傷者をだすようなケースも後を絶たない。
   全国選手権の優勝回数12回はクラブ別最多。コパ・ド・ブラジルの4度の優勝はクラブ別3位タイの記録。コパ・リベルタドーレスも3度の優勝を誇る。しかし、クラブW杯(インターコンチネンタル杯、トヨタカップを含む)の優勝歴はなく、このタイトルを持つサンパウロ州4大クラブの他クラブサポーターからは「O Palmeiras não tem Mundial. (ウ パウメイラス ノン テン ムンジアウ / パウメイラスはクラブW杯を持っていない)」としばしば揶揄される。
   パウメイラスのサポーターやファンは『パウメイレンセ(Palmeirense)』と呼ばれる。ファンやサポーター、メディアはクラブを『ヴェルダォン(Verdão, 偉大なる緑の意)』と呼び、メディアでは『パレストラ(Palestra, パウメイラスの旧クラブ名)』とも呼ばれる。マスコットは『ポルコ(Porco, 豚)』。
   成績面では、1999年にクラブ初のリベルタドーレスのタイトルを獲得すると、その後低迷期に入り、2013年には全国選手権2部に降格。しかし、2015年、金融会社Crefisa(クレフィザ)がメーンスポンサーにつくと大量の資金を投入。有力な監督や選手の獲得のみならず、施設の拡充や育成部門の強化に着手する。
   その効果は短期的にも長期的にも現れ、2015年以降は全国選手権4度、コパ・ド・ブラジル2度、コパ・リベルタドーレス2度の優勝を飾り、育成部門からはインセンティブを含めた移籍金総額7000万ユーロ(約111億円)でレアルマドリード/ESPへの加入が決まっているFWエンドリッキ(Endrick, 2006)を筆頭に、多くの選手をトップチームだけでなく欧州をはじめとした国外、ブラジル国内に輩出するようになっている。
   パウメイラスでプレーした名選手は多く存在するものの、下部組織出身でプロデビューを果たした世界的に著名な選手はあまりいない。
   2022年W杯代表ではFWガブリエウ・ジェズス(Gabriel Jesus, 1997)。2026W杯南米予選出場選手にはFWエンドリッキが該当。2023年には多くの育成カテゴリーの選手が各世代別代表に招集され、トップチームでも多くの育成出身(所属)選手がプレーしており、今後は多くの選手がフル代表でプレーすることが予想される。
   日本関連では2018年8月から一年間の期限付き移籍でヴィッセル神戸所属MF佐々木大樹(1999)選手が加入。2019年1月のU-19全国大会カップ戦などU-20チームでの試合出場はあったものの、ケガの影響もあり満足な結果を残せず移籍期間を満了した。この時のチームメートには、ブラジルフル代表招集歴のあるVOLダニーロ(Danilo, 2001)、VOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)の両選手、2019U-17W杯最優秀選手FWガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)、2023年U-23代表CBヴィトン(Vitão, 2000)など。多くの選手がすでに欧州、ブラジル国内で活躍している。

《 直近3年成績(2021年-2023年) 》

大会2023年成績2022年成績2021年成績
ブラジル全国選手権優勝優勝3位
コパ・ド・ブラジル準々決勝敗退ベスト16敗退3回戦敗退
コパ・リベルタドーレス準決勝敗退準決勝敗退優勝
サンパウロ州選手権優勝優勝準優勝
ヘコパ・スウアメリカーナ優勝準優勝
スーペルコパ・ド・ブラジル優勝準優勝
クラブワールドカップ準優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2023年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェイ方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移。
パウメイラス 全国選手権 ブラジルリーグ 年度別順位推移 パルメイラス

《 2023年 》

<戦績>

大会試合勝利引分敗北得点失点得失差順位等
コパ・リベルタドーレス1274122715準決勝敗退
全国選手権3820108643331優勝
コパ・ド・ブラジル6213972準々決勝敗退
サンパウロ州選手権16114125718優勝
スーペルコパ・ド・ブラジル1100431優勝
   734119131245767

<全国選手権 年間順位推移>

パウメイラス 全国選手権 ブラジルリーグ 2023年間順位推移 パルメイラス

<振り返り>

【シーズン前・補強】

   2020年11月の就任以来、数多くのタイトルを獲得しているポルトガル国籍監督アベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)氏が2023年も引き続き指揮を執る。
   補強に関しては、クラブ方針として下部組織出身の若手選手の試合での起用、育成を優先するため、2023年3月29日にVOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000)、3月31日にパウメイラス下部組織出身でバイーアやRBブラガンチーノで実績を残したFWアルトゥール(Artur, 1998)の2選手の獲得に止まる。
   一方、アベウ・フェヘイラ監督のもと著しく成長したVOLダニーロ(Danilo, 2001)、2022年全国選手権ベストイレブンMFグスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)がシーズン開幕を前に移籍する。

【サンパウロ州選手権・予選ラウンド】

   2023年1月14日サンパウロ州選手権開幕節サンベント戦、圧倒的に攻め続けるもののゴールを奪えず0-0の引き分け。州選手権開幕当初は、退団したダニーロに代わるボランチにジャイウソン(Jailson, 1995)、アトゥエスタ(Atuesta, 1995)、ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)を交互に起用するがなかなかしっくりとこない。また、FWエンドリッキ(Endrick, 2006)をセンターフォワードとしてスタメンに定着させるが結果が出ない。
   1月25日第4節イトゥアーノ戦で3-1、今季4試合目にして初の複数得点を奪い白星を飾ると、ボランチにはガブリエウ・メニーノが定着し始め、FWエンドリッキはゴールを奪えない試合が続くが、攻撃陣の連係も高まり、予選ラウンドは8勝4分無敗で決勝ラウンドに駒を進める。

【スーペルコパ・ド・ブラジル】

   2023年1月28日、中立地ブラジリアで開催されたスーペルコパ・ド・ブラジル。前年の全国選手権王者として前年のコパ・ド・ブラジル王者フラメンゴと対戦する。
   試合は、前半26分にPKで先制を許す。しかし、前半38分、FWドゥドゥ(Dudu, 1992)のシュートをディフェンダーがカット、そのこぼれ球をMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)がゴールに蹴り込み同点。前半45+4分、VOLガブリエウ・メニーノが振り向きざまの約20mのミドルシュートをゴール左上角に突き刺し逆転。
   後半6分に追いつかれるものの、後半13分にペナルティエリア内でのFWエンドリッキのトラップがディフェンダーの腕に当たりPKを獲得。このPKをMFハファエウ・ヴェイガが決め再び3-2と勝ち越す。その3分後の後半16分に3-3の同点に追いつかれるが、後半29分、ペナルティエリア手前右からVOLガブリエウ・メニーノが左サイドへボールを展開。これを受けたFWドゥドゥが縦にボールを送ると、MFハファエウ・ヴェイガがゴールライン手前からゴール前にクロス。やや後方に流れたボールをVOLガブリエウ・メニーノが強引にシュートに持ち込むと、当たりの悪いシュートはコース良くゴールに吸い込まれパウメイラスが三たびリードを奪う。
   試合はこのままタイムアップ。2023年スーペルコパ・ド・ブラジルは打ち合いの末、パウメイラスが4-3の勝利。2023年初タイトルを獲得する。

【サンパウロ州選手権・決勝ラウンド】

   2023年3月11日準々決勝サンベルナルド戦。予選ラウンドで無得点に終わったFWエンドリッキをスタメンから外し、FWホニ(Rony, 1995)をワントップに据えた4-2-3-1の布陣で試合に臨むと前半43分のFWホニのゴールで1-0の勝利。
   3月18日準決勝イトゥアーノ戦も準々決勝に続き4-2-3-1で試合に入ると、試合を支配するもののなかなかゴールが奪えない。、後半58分、セットプレーからの流れでCBムリーロ(Murilo, 1997)がゴールを奪い、苦しみながらもでなんとか1-0の勝利を収め決勝進出を果たす。
   サンパウロ州選手権決勝戦の対戦相手は、準決勝でRBブラガンチーノを相手にPK戦の末勝ち上がってきたアグア・サンタ。
   3月の国際Aマッチデー期間が終えた直後の4月2日に行われた1stレグは前半44分に先制を許し、後半8分に交代出場のFWエンドリッキの今季初ゴールで一旦は同点に追いついたものの、後半45+2分に勝ち越しゴールを奪われ、今季初黒星を喫する。
   4月9日2ndレグは前半15分、前半27分にVOLガブリエウ・メニーノが連続ゴール。前半34分にはスタメン復帰したFWエンドリッキの2試合連続ゴールで突き放し、後半28分、途中交代出場のFWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)のダメ押しゴールで4-0の勝利。2試合合計5-2とし、2年連続25回目のサンパウロ州選手権優勝を果たした。

【コパ・ド・ブラジル】

   コパ・ド・ブラジルはリベルタドーレス出場のため三回戦からの出場。
   三回戦の対戦相手は全国選手権2部トンベンセ。
   4月12日ホームでの1stレグは、半数が控え選手による先発陣。前半10分に先制を許すも、前半のうちに逆転。後半も2点を追加し、4-2の完勝。
   4月26日2ndレグはほぼ控え選手による先発陣で試合に入り、前半13分に先制。その後は試合をコントロールし、反撃を後半40分の1失点にとどめ、2試合合計5-3でベスト16に駒を進める。
   ベスト16の対戦相手はフォルタレーザ。
   5月17日ホームでの1stレグ。前半11分に微妙なプレーで得たPKをMFハファエウ・ヴェイガが決め、前半18分にMFブルーノ・タバタ(Bruno Tabata, 1997)のゴールで追加点。その後は試合をコントロールし、後半43分のVOLヒシャルジ・ヒオスのダメ押し点で3-0の勝利を収める。
   5月31日2ndレグは相手にボールを持たせながら試合をコントロール。連戦による選手の疲労が溜まらないよう早め早めの選手交代を行い、失点を後半32分の1失点にとどめ2試合合計3-1。危なげなく準々決勝に進出する。
   準々決勝の対戦相手はサンパウロ。
   6月の国際Aマッチデー期間明け後、1勝1分2敗と波に乗れていない状況で7月5日の1stレグを迎える。アウェイでの試合は中盤での攻防に相手に優位に立たれ、得意の縦に速い攻撃もしっかりと対応されいい形でシュートに持ち込むことができない。後半は押し込まれる時間帯が続き、後半37分に失点を喫し0-1の敗戦。小休止期間明け後の3敗はいずれも0-1。得点力不足に陥る。
   一週間後の7月13日2ndレグは、立ち上がりから積極的にシュートに持ち込む展開。前半34分、左サイドからのSBピケレス(Piquerez, 1998)のクロスがアウトサイドにかかりダイレクトにゴールに吸い込まれる幸運な先制点で2試合合計1-1に追いつく。しかし、後半4分に失点。その後は自陣高めの位置に最終ラインを敷き、ピッチの中央をベースに前線や中盤が素早く寄せるサンパウロの守備に攻撃の形を作ることができない、すると、後半44分、カウンターを決められ1-2の敗戦。2試合合計1-3となりコパ・ド・ブラジルは準々決勝での敗退となった。

【リベルタドーレス】

   2023年4月5日に迎えたリベルタドーレス開幕節はボリバル/BOLとのアウェイでの一戦。海抜3627mの高地で開催される試合は、3日前の州選手権決勝1stレグでまさかの敗戦を喫したことから主力選手は遠征に帯同せず、若手選手を中心とした控え選手主体のチーム。試合は先制したものの前半終了間際に退場者を出し1-3の敗戦に終える。
   4月20日第2節セロ・ポルテーニョ/PAR戦は、前半5分に失点するものの、後半19分に得意のセットプレーからCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)のゴール、後半31分、途中交代FWハファエウ・ナヴァーホ(Rafael Navarro, 2000)のゴールで逆転勝利を収める。
   第3節以降はリベルタドーレスを中心に据えた選手起用で連勝を重ね、6月9日第6(最終)節はホームにボリバルを迎え開幕節の屈辱をそそぎ4-0の勝利。予選ラウンドを5勝1敗としグループ1位で決勝ラウンド進出を果たす。
   ベスト16の対戦相手はリベルタドーレスで3年連続の対戦となるアトレチコ・ミネイロ。
   8月2日1stレグはアウェイでの試合だが、立ち上がりからスピード豊かなFWドゥドゥ、FWホニ、FWアルトゥールの3トップへ効果的にボールを送り相手ゴールに迫る。すると、前半29分、MFハファエウ・ヴェイガがペナルティエリア入口からのシュートでゴールを奪い先制。その後はアトレチコにボールを持たれる時間が増えるものの組織的な守備で決定的なシーンを許さず1-0で試合を締める。
   8月9日2ndレグは、攻めるアトレチコ、守るパウメイラスという図式で試合は進むが、パウメイラスは組織的な守備でアトレチコにシュートまで持ち込ませない。そして、ボール奪取後は素早く3トップにボールを送り、空いたスペースに両サイドバックや中盤が埋めるようにポジションを取り攻撃に厚みをつけ、決定機の数ではアトレチコを上回る。やがてパウメイラスはアトレチコはボール持たせながらも試合をコントロールするようになり試合は両チーム無得点の0-0でタイムアップ。
   パウメイラスは3年連続で決勝ラウンドでアトレチコ・ミネイロを退け、準々決勝進出を決める。
   準決勝の対戦相手はボカ・ジュニオルス/ARG。
   9月28日1stレグはアウェイの試合。8月27日の試合中のケガで左SHドゥドゥが今季絶望となると、パウメイラスはその後の4試合の総得点は僅かに1点。センターフォワードにFWフラッコ・ロペスやFWエンドリッキを試し、3バックの布陣も試すがどれも上手く機能しない。
   この試合は右SBマイキを一列前に置き、ゼロトップの4-3-1-2の布陣を敷くが、ボールを繋ぐことはできるものの決定的なシーンに持ち込むことができず、決定機では相手に上回られる。しかし、何とか無失点にしのぎアウェイでの試合を0-0で終える。
   10月5日ホームでの2ndレグは、1stレグと同じスタメン。この試合もボールを支配するものの、前半22分にパウメイラスから期限付き移籍でボカ・ジュニオルスでプレーするFWメレンチエウ(Merentiel, 1997)にサイド突破を許し、FWエジンソン・カバーニ(Edinson Cavani, 1987)へのアシストを許し先制点を奪われる。パウメイラスは後半開始時に、FWエンドリッキとFWケヴィン(Kevin, 2003)を投入。FWケヴィンは高い位置でボールをキープ、FWエンドリッキはオフ・ザ・ボールで危険な位置に現れ、若い2選手が攻撃を活性化する。すると、後半21分、FWケヴィンへのファールでボカ・ジュニオルスから退場者が生まれ数的優位に立つ。後半28分、左SBピケレスが約25mの低い弾道のミドルシュートを決め同点。その後も猛攻を仕掛けるが同点のまま90分を終える。
   PK戦では先行ボカ・ジュニオルスの1人目をGKウェヴェルトンがストップ。しかし、パウメイラス一人目もシュートを止められると、二人目は枠を外す。ボカ・ジュニオルスは二人目以降全員が成功。パウメイラスは準決勝でリベルタドーレスを後にすることになった。

【全国選手権】

   2023年4月15日全国選手権開幕節、他試合に先駆けて行われた2023年全国選手権開幕試合は前半5分のFWエンドリッキのゴールで幕を下ろす。試合は一旦は同点に追いつかれるものの、後半20分に左SBヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)のクロスをFWフラッコ・ロペスがワントラップからゴールネットを揺らし2-1。開幕節を白星で飾る。
   開幕3節はいずれも2得点。第4節ゴイアス戦5-0、第5戦グレミオ戦4-0と好調な開幕スタートを決めるが、第6~8節は勝ち切ることができず3試合連続の引き分け。第9、10節は立て直し連勝。ここで6月の国際Aマッチデーを迎え、4月初めから週2試合が続く厳しい日程に小休止が訪れる。
   しかし、パウメイラスは代表選手も多く、小休止期間のトレーニングには主力選手が欠け、選手によっては国内日程が再開する前日や前々日に代表でプレーする場合もあり、チームとして万全の態勢で小休止期間明けの試合に臨むことができない。
   6月21日、6月の国際Aマッチデー明け初戦、第11節バイーア戦は代表4選手を欠いた先発陣で試合に臨み0-1の敗戦。
   6月25日、前節の敗戦で勝点差を5ポイントに広げられた首位ボタフォゴとの一戦をホームに迎える。
   立ち上がりから目まぐるしく攻守が入れ替わる激しい試合は、ホームのパウメイラスがやや優位に試合を進めるものの、前半28分にFKからの流れで失点。その後は攻勢を強めるが、両サイドの高い位置は塞がれ、両SBからのクロスもゴール前で弾き返される場面が続く。後半37分にPKを獲得するが失敗。試合は0-1のまま終わり勝点差は8ポイントに広げられる。
   ボタフォゴ戦の敗戦後は、コパ・ド・ブラジル準々決勝に重点を置いた選手起用を行い、全国選手権は3試合連続引き分け。第15節終了時点でボタフォゴとの勝点差は14ポイントまで広がる。
   コパ・ド・ブラジル敗退後は気持ちを切り替え、第15~22節は5勝1分1敗とチームは立て直され、全国選手権は巻き返しが果たせるかと思われた。
   しかし、8月27日第21節ヴァスコ・ダ・ガマ戦でここ数年来チームを支えてきた左SH・左WGドゥドゥが今季絶望のケガを負い途中交代。さらには、9月の国際Aマッチデーに突入。明けた9月15日第23節、残留争いに苦しむゴイアス戦こそ1-0で何とか勝ち点3を獲たものの、その後はチーム状態が上がらす連敗。
   リベルタドーレスの準決勝敗退が決まるとアベウ・フェヘイラ監督は、前線にそれまでチームを牽引してきたFWホニ、FWアルトゥールに替え、FWエンドリッキ、FWケヴィン、FWフラッコ・ロペスの若手選手を積極的に起用。それまで途中出場での起用が多かったFWブレーノ・ロペスやVOLヒシャルジ・ヒオスを先発に、MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)、MFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)を途中交代で積極的に試合に投入していく。
   リベルタドーレス敗退直後の第26、27節こそ結果が伴わなかったが、10月22日第28節コリチバ戦で3バックを採用すると2-0の完勝。さらに翌第29節サンパウロ戦ではFWブレーノ・ロペスの2ゴールなど5-0。第30節バイーア戦も1-0の勝利。前線の組み合わせで試行錯誤を重ねながらも3試合を無失点で抑えると、第31節首位ボタフォゴとの対戦を迎える。
   2023年11月1日第31節アウェイでのボタフォゴ戦。この時点でボタフォゴが1試合未消化の状態で勝点「3」のリード。パウメイラスは全国選手権の逆転優勝に向け引き分けも許されない。
   しかし、試合は前半立ち上がりからボタフォゴに主導権を握られ、前半21分、前半30分に連続失点。さらには前半36分にゴール前からロングカウンターを決められ3-0で前半を折り返す。
   ハーフタイムに修正を図ると、後半立ち上がりの4分、FWエンドリッキが個人技でボタフォゴ守備陣を切り裂き反撃ののろしを上げるゴール。前半と一変しパウメイラスがボールを支配し優勢に試合を進めると、後半31分にボタフォゴから退場が出、数的有利に立つ。後半38分にカウンターからゴール前に抜け出され堪らずPKを献上するが、これはGKウェヴェルトンがシュートストップ。後半39分、敵陣右サイドからのFKの流れからFWエンドリッキが1点差に詰め寄るゴールを奪うと、後半44分、右サイドライン際からFWエンドリッキがゴール前ファーサイドにボールを送る。これをCBグスタボ・ゴメスが頭で折り返し、FWフラッコ・ロペスが頭で押し込み3-3の同点。後半45+9分、敵陣左サイド浅い位置からのMFハファエウ・ヴェイガのFKにCBムリーロがファーサイドで直接足を合わせ4-3の逆転。パウメイラスは貴重な勝ち点3を手に入れると同時に、勝ち点で首位ボタフォゴに並ぶ。
   全国選手権は、第33節終了時点で勝点差「1」に4チーム、第35節終了時点で勝点差「1」に3チーム、勝点差「3」に5チームがひしめき合う大混戦となるが、パウメイラスはボタフォゴ戦以降、着実に勝ち点を積み重ねていく。
   2023年12月3日第37節フルミネンセ戦。前半30分にリベルタドーレス敗退後のチームの大躍進を支えた一人、FWブレーノ・ロペスが先制点を奪う。その後は膠着した展開となるが、後半10分に相手選手の退場があり数的優位に立つと、最後までリードを守り抜き1-0の勝利。
   2位アトレチコ・ミネイロに勝点差「3」、得失点差で「8」のアドバンテージを奪うと、12月6日最終節クルゼイロ戦は前半22分にFWエンドリッキのゴールで先制。後半36分に失点を許し、試合は引き分けに終えたものの、最終勝点は70。一時は14ポイント開いた勝点差を逆転し全国選手権二連覇。チーム別最多となる12度目の全国選手権戴冠で2023年シーズンを締めくくった。
   選手権前半 :   9勝 7分 3敗、得点34失点17
   選手権後半 :  11勝 3分 5敗、得点30失点16
   選手権合計 :  20勝10分 8敗、得点64失点33
   選手権ホーム  :  14勝 2分 3敗、得点35失点12
   選手権アウェイ :   6勝 8分 5敗、得点29失点21
   得点数64  :  リーグ1位
   失点数33  :  リーグ18位(の多さ)

【主力選手・7月補強】

   7月の移籍期間はMFブルーノ・タバタ、FWハファエウ・ナヴァーホの国外への期限付き移籍があったものの移籍加入はなし。
   主力選手は、正守護神に2022W杯代表ウェヴェルトン。
   CBにはグスタボ・ゴメス、ムリーロの両雄にルアンが続く。右SBマイキは中盤やウィングでプレーするなど大車輪の活躍。左SBには年間8得点のウルグアイ代表ピケレス。
   中盤の守備的なポジションには、VOLゼ・ハファエウ、VOLガブリエウ・メニーノ、VOLヒシャルジ・ヒオスの戦術的視野に優れた3選手が攻守に中盤を引き締める。攻撃的な位置には数多くのアシストを記録したMFハファエウ・ヴェイガとMFアルトゥール。
   MFアルトゥールは3トップの一角としてもプレーし、FWホニ、FWドゥドゥのスピード豊かなFW陣が年半ばまでチームを牽引。リベルタドーレス敗退後にはFWエンドリッキ、FWブレーノ・ロペスが攻撃陣の中心として多くのゴールに絡んだ。

【代表・世代別代表】

<フル代表>
 〇GKウェヴェルトン(Weverton, 1987) … 3月 国際親善試合、 6月 国際親善試合
 〇MFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995) … 3月 国際親善試合、 6月 国際親善試合、 2026W杯南米予選3試合
 〇FWホニ(Rony, 1995) … 3月 国際親善試合、 6月 国際親善試合
 〇FWエンドリッキ(Endrick, 2006) … 2026W杯南米予選2試合
 〇CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)パラグアイ代表 … 国際親善試合2試合、 2026W杯南米予選6試合(すべて先発)出場
 〇SBピケレス(Piquerez, 1998)ウルグアイ代表 … 国際親善試合2試合、 2026W杯南米予選4試合(うち先発3試合)出場
 〇VOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000)コロンビア代表 … 2026W杯南米予選3試合出場
<U-23代表>
 〇CBミシェウ(Michel, 2003) … 10月開幕 パンアメリカン競技大会、 11月 U-23代表合宿、 2024年1月開幕 パリ五輪南米予選
 〇SBヴァンデルラン(Vanderlan, 2002) … 11月 U-23代表合宿
 〇FWルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006) … 11月 U-23代表合宿
 〇GKカイーキ(Kaíque, 2003) … 2024年1月開幕 パリ五輪南米予選
 〇FWエンドリッキ(Endrick, 2006) … 2024年1月開幕 パリ五輪南米予選
<U-20代表>
 〇GKカイーキ(Kaíque, 2003) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権、 4月 国際親善試合、 5月開幕 U-20W杯
 〇CBミシェウ(Michel, 2003) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権(離脱)、 4月 国際親善試合、 5月開幕 U-20W杯(離脱)
 〇FWエンドリッキ(Endrick, 2006) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権(辞退)、 4月 国際親善試合(辞退)
 〇FWジオヴァーニ・エンヒキ(Giovani Henrique, 2004) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権(辞退)、 4月 国際親善試合(辞退)、 5月開幕 U-20W杯
 〇FWルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006) … 1月開幕 U-20南米ユース選手権、 4月 国際親善試合(辞退)
 〇MFペドロ・リマ(Pedro Lima, 2003) … 4月 国際親善試合
 〇FWケヴィン(Kevin, 2003) … 4月 国際親善試合、 5月開幕 U-20W杯
<U-17代表>
 〇GKセーザル(César, 2006) … 3月開幕 南米U-17選手権
 〇CBヴィトル・ヌーネス・ヘイス(Vitor Nunes Reis, 2006) … 3月開幕 南米U-17選手権、 11月開幕 U-17W杯
 〇FWヒケウミ・フィリピ(Riquelme Fillipi, 2006) … 3月開幕 南米U-17選手権、 11月開幕 U-17W杯
 〇VOLフィゲイレード(Figueiredo, 2006) … 11月開幕 U-17W杯(離脱)
 〇FWエステヴォン(Estêvão, 2007) … 11月開幕 U-17W杯
 〇FWルイージ(Luighi, 2006) … 11月開幕 U-17W杯

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手

























最多試合出場ウェヴェルトン
Weverton
GK, 1987
6835615111
(2位)グスタボ・ゴメス
Gustavo Gómez
CB, 1993
6332514111
(3位タイ)ゼ・ハファエウ
Zé Rafael
VOL, 1993
6031414101
(3位タイ)ハファエウ・ヴェイガ
Raphael Veiga
MF, 1995
6031414101
(3位タイ)ブレーノ・ロペス
Breno Lopes
FW, 1996
603151581
最多出場時間ウェヴェルトン
Weverton
GK, 1987
61203150540135099090
(2位)グスタボ・ゴメス
Gustavo Gómez
CB, 1993
55542764450126099090
(3位)ゼ・ハファエウ
Zé Rafael
VOL, 1993
49972594311115085587
最多得点ハファエウ・ヴェイガ
Raphael Veiga
MF, 1995
1791331
(2位タイ)エンドリッキ
Endrick
FW, 2006
14110210
(2位タイ)ホニ
Rony
FW, 1995
1450630
最多アシストハファエウ・ヴェイガ
Raphael Veiga
MF, 1995
1671530
(2位)マイキ
Mayke
SB, 1992
860110
(3位タイ)ホニ
Rony
FW, 1995
700340
(3位タイ)ピケレス
Piquerez
SB, 1998
750011
(3位タイ)ドゥドゥ
Dudu
FW, 1992
730220
最多デュエル勝利ゼ・ハファエウ
Zé Rafael
VOL, 1993
176
(2位)グスタボ・ゴメス
Gustavo Gómez
CB, 1993
162
(3位)ヒシャルジ・ヒオス
Richard Rios
VOL, 2000
132
最多キーパスハファエウ・ヴェイガ
Raphael Veiga
MF, 1995
71
(2位)アルトゥール
Artur
FW, 1998
44
(3位)マイキ
Mayke
SB, 1992
38
最多CBIグスタボ・ゴメス
Gustavo Gómez
CB, 1993
126
(2位)ルアン
Luan
CB, 1993
93
(3位)ムリーロ
Murilo
CB, 1997
82
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

《 2024年にむけて 》

<監督>

   2020年11月から指揮を執るアベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)氏が2024年も引き続き指揮を執る。

<退団>

   2023年3月に獲得したFWアルトゥールがゼニト/RUSへ移籍。移籍金1500万ユーロ(固定)+300万ユーロ(ボーナス)の総額1800万ユーロ(約28億7000万円)。
   VOLジャイウソンは2023年シーズン終了後にセルタ・デ・ビゴに加入。2024年1月15日現在で2試合出場1得点を記録している。
   FWケヴィンについて、シャクタルドネツク/UKRから1200万ユーロ(固定)+400万ユーロ(ボーナス)の総額1600万ユーロ(約25億5000万円)の獲得オファーが届いており公式発表待ち。
   ボカ・ジュニオルスへ期限付き移籍中のFWメレンチエウが選手保有権の70%相当に対して300万USD(約4億3700万円)で完全移籍。
   RBブラガンチーノへ期限付き移籍中のVOLマテウス・フェルナンデスは、完全移籍に向けクラブ間で交渉中。

<加入・契約更新>

   2019年U-20W杯、U-20南米ユース選手権アルゼンチン代表VOLアニバル・モレノ(Anibal Moreno, 1999)をラシン・クラブ/ARGから推定650万ユーロ(約10億円)で獲得。
   2022、2023年に期限付き移籍先のクルゼイロでプレーしたFWブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)を推定480万ユーロ相当額(約7億6600万円)でトンベンセから獲得。
   2023年期限付き移籍先のサンパウロでプレーしたSB・FWカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)を推定380万ユーロ相当額(約6億円)でフルミネンセから獲得。2024年1月15日に正式発表が行われた。
   主力のCBムリーロとVOLゼ・ハファエウ、ベテランSBマルコス・ホッシャ、第2GKマルセロ・ロンバの契約が更新された。

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