ヘッジブウ・ブラガンチーノ (Red Bull Bragantino)
正式名称:Red Bull Bragantino
略称:BRG
創立:1928年
本拠:サンパウロ州 ブラガンサパウリスタ
《 主要タイトル & 概要 》
タイトル | 優勝回数 | 優勝年 |
---|---|---|
N/A | N/A | N/A |
全国選手権: 1991年準優勝 コパ・スウアメリカーナ: 2021年準優勝 サンパウロ州選手権: 1990年優勝
RBブラガンチーノは、1928年に創立された「クルービ・アトレチコ・ブラガンチーノ(旧BGT)」と、2007年にオーストリアの飲料メーカーでレッドブル・ザルツブルクやニューヨーク・レッドブルズのオーナーである「レッドブル」グループが創立した「レッドブル・ブラジル(RBB)」が2019年4月に資本提携(実質的にレッドブルグループRBBによる旧BGTの買収)。サンパウロ州サッカー連盟の規約で、同じオーナーの支配下にある複数クラブが同リーグで競技することが認められないため、その資本提携後に、RBBの選手、監督、コーチ陣が旧BGTに移籍。RBBは規模を縮小し、U-23以下の選手で構成されるクラブとして存続する。
資本提携後に、スタジアムやトレーニングセンターの改修を開始。また、旧BGT時代のオーナーは名誉職の代表に落ち着き、クラブ経営はレッドブルが担うようになる。同時に中期的な強化プランを策定、そのプランでは2022年には国内タイトルを争うチームを目指す。そして、その実現に向けて積極的な補強に乗り出す。
その結果、2019年は全国選手権2部優勝、2020年には全国選手権10位、2021年には国際大会のコパ・スウアメリカーナで準優勝、全国選手権も6位に躍進し、クラブ史上初となるリベルタドーレス出場権を獲得する。 なお、2020年、旧BRTは提携時の条件通り「Red Bull ブラガンチーノ」と改称。さらに、チームカラー、エンブレムも変更する。
《 直近3年成績(2020年-2022年) 》
大会 | 2022年成績 | 2021年成績 | 2020年成績 |
---|---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 14位 | 6位 | 10位 |
コパ・ド・ブラジル | 3回戦敗退 | 3回戦敗退 | ベスト16敗退 |
コパ・リベルタドーレス | 予選R敗退 | ― | ― |
コパ・スウアメリカーナ | ― | 準優勝 | ― |
サンパウロ州選手権 | 準決勝敗退 | 準々決勝敗退 | 準々決勝敗退 |
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。
《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》
現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。
《 2022年 》
<戦績>
大会 | 試合 数 | 勝数 | 引分 数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失 点差 | 勝点率 (%) | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コパ・リベルタドーレス | 6 | 1 | 2 | 3 | 5 | 9 | -4 | 27.8 | 予選R敗退 |
全国選手権 | 38 | 11 | 11 | 16 | 49 | 59 | -10 | 38.6 | 14位 |
コパ・ド・ブラジル | 2 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0 | 50.0 | 3回戦敗退 |
州選手権 | 14 | 7 | 2 | 5 | 21 | 15 | 6 | 54.8 | 準決勝敗退 |
計 | 60 | 20 | 15 | 25 | 77 | 85 | -8 | 41.7 |
<全国選手権 年間順位推移>
<振り返り>
2022年は、2020年9月2日に監督に就任したマウリシオ・バルビエリ(Maurício Barbieri)監督が引き続き指揮を執る。
【州選手権】
1月27日に開幕した州選手権は、6勝2分4敗ながらグループ首位でグループラウンドを突破。
3月23日の決勝ラウンド1回戦サント・アンドレとの一戦は、前半41分、前年(2022年)の全国選手権ベストイレブンFW/ATAアルトゥール(Artur, 1998)があげたゴールを守り抜き、1-0で準決勝に進出。
3月26日準決勝パウメイラス戦。開始早々の前半2分、CKからの流れで早くも失点。前半19分、FKからCB/ZAGレオ・レアルぺ(Léo Realpe, 2001)のゴールで同点に追いつく。しかし、前半41分に左サイドからの速い攻撃で決勝点を奪われ、州選手権を後にする。
【コパ・ド・ブラジル】
リベルタドーレス出場のため、コパ・ド・ブラジルは3rdラウンドから。
3rdラウンド相手はゴイアス。 4月20日アウェイ1stレグ、前半8分に早くも失点。しかし、前半21分、左サイドからソヒーゾ(Sorriso, 2001)がPAにドリブルで侵入すると背後から倒されPKを獲得。このPKをベテランのイタロ(Ytalo, 1988)がゴール右上に決め同点。後半17分には右CKからルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)が打点の高いヘディングでボールをゴールネットに突き刺し逆転に成功。2-1でアウェイでの1stレグをものにする。
5月31日ホーム2ndレグ。試合開始から試合の主導権を握り度々ゴールに迫るが得点を奪えない。すると前半43分、一瞬の隙を突かれ失点。後半も攻め込むがシュートの精度を欠く。AT3分、右サイドからのクロスでゴールネットを揺らすが、ディフェンダーへのファールがありゴールが認められない。試合はこのまま1-0で終え、2試合合計2-2となり4回戦進出をPK戦に委ねる。PK戦は13人目までもつれるが8-9で敗れ、コパ・ド・ブラジルは3rdラウンドで敗退する。
【リベルタドーレス】
クラブ史上初のリベルタドーレスは、アルゼンチンのエストゥジアンテスとベレス・サルスフィエルデ、ウルグアイのナシオナウと、リベルタドーレス優勝歴のある古豪、強豪と同組の厳しいグループでの戦いとなる。
4月6日ホームにナシオナウ/ウルグアイを迎えた開幕戦。前半35分、左からのCK、ソヒーゾが頭ですらしたボールをイタロが頭で合わせ先制点を奪う。試合終了間際の後半AT3分には右SB/LADアンドレス・フルタード(Andrés Hurtado, 2001)がMF/MEIヒョーラン(Hyoran, 1993)とのタベーラから相手ディフェンスライン裏に抜け出しダメ押しのゴール。スタジアムが熱狂に包まれる中タイムアップ。クラブ史上初のリベルタドーレスの初戦を白星で飾る。
第2節以降は白星を挙げられず1勝2分2敗勝点5の2位で迎えたグループラウンド最終節、アウェイでナシオナウとの対戦。どちらも決勝ラウンドに向けて勝たなければならない試合。 試合は立ち上がりから劣勢となり前半9分に失点。前半31分には左サイドでのプレスを搔い潜られ失点。その後もカウンターで何度かピンチを招くと後半34分にPKを献上し、これを決められ0-3の完敗。クラブ史上初のリベルタドーレスはグループラウンドでのグループ最下位で敗退した。
【全国選手権】
開幕4試合を2勝2分と幸先のいいスタートを切るが、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルが並行し日程が厳しくなる5月に失速。次の5試合は勝ち星から見放される。両カップ戦に敗退し日程が緩やかになると勝ち星も増え、7勝6分6敗の8位で前半戦を折り返す。
6月半ばに、戦術的に重要な役割を担うCFセンターフォワード/CAセントロアヴァンチを務めていたイタロが踵のケガで戦列を離脱(治癒後にバイーアへレンタル移籍)。CF/CAをアレハンドロ(Alerrandro, 2000)が担うが、アレハンドロもまた7月末に左太ももに筋肉系のケガを負い、一度は復帰するも再発。8月末に選手権4部のオエスチからウェリキ・ポポー(Werik Popó, 2001)を獲得するがすぐには戦術に馴染むことができない。
すると、10月の初めに、守備の要でチチ(Tite)監督の代表に何度も呼ばれたCB/ZAGレオ・オルティスが年内絶望となる大ケガを膝に負う。 元々平均年齢の低いチームだったが、戦術的にも精神的にも中心となる選手が相次いで離脱した後半戦は、得点が前半戦の1/3、失点は逆に1.5倍となり、4勝5分10敗と大きく負け越し。前年の6位から大きく順位を落とす14位で全国選手権を終えた。
選手権前半 : 7勝 6分 6敗、得点30失点23 選手権後半 : 4勝 5分10敗、得点19失点36 選手権合計 : 11勝11分16敗、得点49失点59
<チーム内個人成績・記録>
* 参照元:サッカーサイト「Ogol」
記録 | 選手 | 公式戦計 | 全国選手権 | リベルタ ドーレス | ブラジル 杯 | 州選手権 |
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最多試合出場 | クレイトン (Cleiton) – GK/GOL | 57 | 37 | 6 | 2 | 12 |
(2位) | ルアン・カンジド (Luan Cândido) – 左SB/LTE | 50 | 34 | 4 | 2 | 12 |
(3位) | アルトゥール (Artur) – FW/ATA | 49 | 33 | 3 | 1 | 12 |
最多出場時間 | クレイトン (Cleiton) – GK/GOL | 5123 | 3330 | 540 | 180 | 1073 |
(2位) | ルアン・カンジド (Luan Cândido) – 左SB/LTE | 4214 | 2626 | 358 | 180 | 1050 |
(3位) | アルトゥール (Artur) – FW/ATA | 4021 | 2798 | 213 | 90 | 920 |
最多得点 | ルアン・カンジド (Luan Cândido) – 左SB/LTE | 13 | 11 | 0 | 1 | 1 |
(2位) | アルトゥール (Artur) – FW/ATA | 10 | 6 | 0 | 0 | 4 |
(3位) | アレハンドロ (Alerrandro) – FW/ATA | 9 | 6 | 0 | 0 | 3 |
最多アシスト | アルトゥール (Artur) – FW/ATA | 9 | 6 | 1 | 0 | 2 |
(2位) | ヒョーラン (Hyoran) – MF/MEI | 6 | 3 | 1 | 0 | 2 |
(3位タイ) | レオ・オルティス (Léo Ortiz) – CB/ZAG | 4 | 2 | 0 | 0 | 2 |
(3位タイ) | エリーニョ (Helinho) – FW/ATA | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 |
最多デュエル勝利 | ルーカス・エヴァンジェリスタ (Lucas Evangelista) – MF/MEI | – | 180 | – | – | – |
(2位) | アデルラン (Aderlan) – 右SB/LTD | – | 150 | – | – | – |
(3位) | ルアン・カンジド (Luan Cândido) – 左SB/LTE | – | 147 | – | – | – |
最多キーパス | アルトゥール (Artur) – FW/ATA | – | 72 | – | – | – |
(2位) | アデルラン (Aderlan) – 右SB/LTD | – | 56 | – | – | – |
(3位) | ルーカス・エヴァンジェリスタ (Lucas Evangelista) – MF/MEI | – | 28 | – | – | – |
最多CBI | ナタン (Natan) – CB/ZAG | – | 141 | – | – | – |
(2位) | レオ・オルティス (Léo Ortiz) – CB/ZAG | – | 136 | – | – | – |
(3位) | ルアン・カンジド (Luan Cândido) – 左SB/LTE | – | 112 | – | – | – |
※ デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標 CBI : クリア、ブロック、インターセプト
《 2023年に向けて 》
マウリシオ・バルビエリ監督は第37節終了後、最終節を待たずに解任。 選手平均年齢が23歳を切る若いチームに戦術を落とし込み、クラブ最高位となる全国選手権6位、コパ・スウアメリカーナ準優勝、リベルタドーレス初出場などをもたらした監督がチームを去った。
2022年12月10日、2023年に向けた監督が発表された。 クラブ方針である「若い人材を登用した攻撃的なチーム」を念頭にポルトガル人のペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)氏を招聘。ペドロ氏は前任のバルビエリ氏とベクトルの近い戦術を好んでおり、現在の選手構成を大きく変えることなく戦術を落とし込むことができる。 過去にはポルトガル以外にメキシコや中東で指揮を執り、メキシコではリーグ制覇を果たす。直近ではアルゼンチンのタジェレスで南米大陸での初めての指揮を執ったが、リベルタドーレスで予選ラウンドを突破したものの、半年足らずで解任されている。
期待と不安が入り混じる背景を持つが、2023年1月15日に開幕するサンパウロ州選手権開幕節コリンチャンスとの試合が待ち受けている。