ペドロ・リマ (Pedro Lima, 2006)

投稿者: | 2024年2月22日
最新更新日 : 2024/08/22
投稿日 : 2024/06/17, 02/22

ブラジル 若手 逸材 ペドロ・エンヒキ・カルドーゾ・デ・リマ 右サイドバック エスポルチ

ペドロ・エンヒキ・カルドーゾ・デ・リマ

Pedro Henrique Cardoso de Lima

ポジション:右サイドバック/ラテラウ・ジレイト

利き足:右

2006年7月1日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国北東部に位置するパライバ州、州都ジョアン・ペッソアに隣接するクリスタルブルーの海が鮮やかな町カベデロに生まれる。
 7歳の時にジョアン・ペッソア市内でエスポルチが運営するサッカースクールでフットサルを始める。
 8,9歳頃に「メニーノス・ダ・パライバ(Meninos da Paraíba, 「パライバの少年たち」の意)」に入団し、フットサルを続けると同時にグランドでのサッカーを始める。
 エスポルチの下部組織に入団するまでは、毎日のように、午前中は海へ行き波と戯れ、午後は学校、学校が終われば体育館でボールを蹴って過ごす。
 2021年、メニーノス・ダ・パライバのメンバーとしてU-15カテゴリーのフットサル全国大会に出場。この大会はエスポルチU-15が優勝するが、ペドロ・リマは大会得点王に輝く。
 大会終了後、エスポルチのスカウトの勧誘を受け、地元から130㎞離れたペルナンブカーノ州ヘシフィに本拠を置くエスポルチの2週間に渡るセレクションに参加し無事合格を果たす。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 2022年(年初15歳)、エスポルチU-17チームに加入。
 4月28日U-17コパ・ド・ブラジル第1節で途中交代出場。その後も途中交代出場で経験を積み、この年はチーム全21試合の公式戦のうち14試合(うち先発3試合)に出場。
 2023年(年初16歳)にはU-20チームの試合にも多く出場するようになり、U-17チームではコパ・ド・ブラジルを中心に9試合(すべて先発)に出場し5得点を記録、チームの準決勝進出に大きく貢献。U-20チームでは州選手権を中心に9試合(うち先発6試合)1得点を記録。

エスポルチ≫

– 2024 –

 2024年(年初17歳)、1月に開催されるU-20全国大会カップ戦に出場すると、大会終了後にトップチームへの昇格が告げられる。
 1月29日ペルナンブカーノ州選手権第5節で右SBとしてスターティングイレブンに抜擢され17歳でのプロデビュー。90分のフルタイム出場を果たす。
 2月1日州選手権第6節もスタメン起用。後半39分、相手陣右サイドで後方からのボールを受けると、ライン際にポジションを取るMFドミンゲス(Domínguez, 1998)にボールを預け一列内を駆け上がる。ペナルティエリアに侵入しゴールエリア脇で戻りのボールを受けるとダイレクトに右足を振り抜きゴラッソ。17歳、プロ二試合目でプロ初ゴールを飾る。
 ゴールシーン動画 : https://www.youtube.com/watch?v=RZBumMveFGQ 1:56~
 2024年2月4日に北東部地域大会「(※)コパ・ド・ノルデスチ」が開幕すると、コパ・ド・ノルデスチを中心に先発として起用される。
 (※)[ブラジル北東部地域は小さな州が多く、各州選手権は実力差が大きくなりがちになる。一方、「コパ・ド・ノルデスチ」は2024年大会は参加16チームのうち全国選手権1部、2部チームが各3チーム参加し、個別の州選手権よりもレベルは高い。]
 3月30日(1stレグ)、4月6日(2ndレグ)に開催された州選手権決勝はいずれも先発フル出場を果たし、ペルナンブカーノ州選手権のタイトルを獲得。
 2024年6月17日現在、2024年4月20日に開幕した全国選手権2部は8試合に出場。並行して開催されたコパ・ド・ブラジル、コパ・ド・ノルデスチは全試合に出場した。
 2024年6月17日、エスポルチは、ペドロ・リマが18歳の誕生日となる7月1日以降のウルヴァーハンプトンへの移籍に関するクラブ間合意を発表。
 前日6月16日の試合にペドロ・リマは欠場。6月10日全国選手権2部第9節でのプレーがエスポルチでの最後のプレーとなった。

ウルヴァーハンプトン≫

– 2024/25 –

 2024年7月2日ウルヴァーハンプトンより公式に入団発表が行われる。
   関連記事 : 【公式】ウルヴァーハンプトン、SBペドロ・リマ選手加入を発表 [2024.07.02改題・更新]
 2024年7月15日コモ/ITA戦でのスタメン出場など、プレシーズンマッチは5試合(うち先発3試合)に出場。しかし、8月17日プレミアリーグ開幕戦ではベンチ外。今後の起用方法は不明だが、トップチームでの出場機会は、短い出場時間であってもしっかりと自分の特長をアピールし、より多くの経験を積んでいきたい。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(18歳)エスポルチ全国選手権2部863100
コパ・ド・ブラジル436000
コパ・ド・ノルデスチ981011
ペルナンブカーノ州選手権545011
 合計26225122
2024/25年(19歳)ウルヴァーハンプトン/ENG
 合計
イタリック斜体は、2024年8月22日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

 2023年6月7日、2023年南米U-17選手権後初のU-17代表合宿(23選手招集)に向け、自身初の世代別代表招集がCBF(ブラジルサッカー連盟)より発表される。
 8月9日、9月15日に発表されたU-17代表招集(いずれも23選手招集)にも連続して招集メンバーに名前を連ねる。
 9月26日~10月7日の期間に行われた世代別代表合宿では、カナダU-17と2試合、アメリカU-17と1試合の国際親善試合が組まれたが、9月29日、10月1日の国際親善試合カナダU-17戦の2試合でスタメン出場。2戦目ではチームの3点目のゴールを記録。

 【2023U-17W杯】 

 2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/11/11予選第1節イラン2 – 37700
2023/11/14予選第2節ニューカレドニア9 – 09000
2023/11/17予選第3節イングランド2 – 19000
2023/11/20決勝一回戦エクアドル3 – 19001
2023/11/14準々決勝アルゼンチン0 – 39000
合計16 – 843701
決勝ラウンド一回戦(ベスト16)エクアドル戦の後半45分、前線にポジションを取りMFロハンからのパスをペナルティエリア右脇で受けると、相手GKと守備ラインの間に鋭いクロス。FWルイージのチーム3点目のゴールのアシストを記録。

– 2024 –

 2024年5月17日、世代別代表合宿への代表23選手の一人として招集を受ける。この合宿は2025年1月に開幕されるU-20南米ユース選手権に向けた第1回目の代表合宿として位置づけられている。
   関連記事 : [2024.05.17発表]<ブラジルU-20代表招集>
 2024年8月17日、CBFよりU-20代表合宿招集メンバーが発表され、代表23選手の一人として招集を受けた。この代表合宿は。2025年1月にペルーにて開催が予定されているU-20南米ユース選手権に照準とした2度目の合宿。合宿期間は9月2日~10日、5日と8日にメキシコU-20代表との国際親善試合が予定されている。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長174㎝、体重不明。(サッカーサイト「SofaScore」2024年2月19日参照)
 フットサルを15歳までサッカーと並行して行っていたため、ボールタッチ時の瞬間的な判断力が養われている。また、フットサルの世代別全国大会で得点王に輝いた実績があり、ドリブル技術やマークを外すプレーなど足元の技術は非常に高く、ゴールの嗅覚も鋭い。
 プレー範囲は、右サイドライン際のミドルサード、相手陣でのポジショニングがやや高くなっている。
 自陣からのビルドアップでは、サイドライン際ハーフライン前後で起点となり、20~30mのパスを縦、中央、逆サイドと蹴りわけ、パスの成功率は高い。
 SHやWGが内に絞りできたスペースをするすると駆け上がり、敵陣深い位置からのマイナス、ライナー性、ふわりと浮かしたクロスなどを使い分ける。また、SHやWGとのワンツーを使い相手守備ライン裏に抜け出す場面もよく見られる。
 利き足は右足だが、逆足の左足での球さばきもそん色はなく、左足からは短い距離のパスのみならず、ミドルシュートをゴールネットに突き刺すシュート力も兼ね備えている。
 両足でパスが出せ、ドリブルや、ペナルティエリア付近ではシュートも選択肢に入るため、ディフェンダーから見れば非常に守りにくい選手だと思われる。
 守備面については、ミドルサードではポジショニングでパスコースを消し、一対一で強さを発揮。しかし、自陣深くではボール保持者との間合いが開きすぎ自身の背後のスペースへボールを送られる場面が時折見られる。また、逆サイドからの攻撃を受ける際にもやはり自身の背後をおろそかにする場面がある。
 クリアに関しては足元、頭に関わらず、味方に繋ぐ意識が高く、ハイボールの処理では身長は高くないものの的確なポジショニングで対応できている。

 サイドバックとして国外から注目を浴び世代別代表に選出されるような選手は、攻撃的な強豪チームで攻撃的なプレーをする選手が多い。そして、ペドロ・リマもまた攻撃的なサイドバックとして評価は高まっている。しかし、2023年後半のフル代表やU-20、U-23代表ではチーム戦術が守備的なものとなり、サイドバックに攻撃を自重させるような采配が続いており、必ずしも攻撃一辺倒なサイドバックは代表のチーム戦術に適合しているとは言えない。
 エスポルチは、2023年全国選手権2部で中位に甘んじており、2024年シーズンも守備的な試合が少なからずあるものと思われる。ペドロ・リマは、年初からスタメンに起用される試合も多く、そのままポジションに定着することができれば、守備面の課題を克服する絶好のシーズンになると思われる。
 攻撃面ではすでに世代トップクラスの実力が認められているが、2024年は守備面で他の選手とは違った一面を磨き、世代別代表の常連となり、やがてはフル代表、クラブではエスポルチの1部昇格への貢献、さらには欧州強豪リーグへの移籍を果たす足掛かりとなる一年にしてもらいたいと思う。

 代理人によると、すでにU-17W杯出場に前後してイングランド、ポルトガル、スペインのクラブから身分照会を受けているという。しかし、代理人とエスポルチの関係は良好で、代理人はエスポルチの育成プログラムに沿ったペドロ・リマの育成に満足しており、早急な移籍を望んでいないとのこと。

2023年12月に行われたインタビューの中で、ペドロ・リマは以下のような話をしている。
 ペドロ・リマは幼い頃に両親が離婚したため母親の手により育てられた。美容師の母は経済的に苦しい中、道具を揃え、幼い頃から仕事の合間や時には仕事を休んでまで練習の送り迎えをするなど、ペドロがプロサッカー選手になる夢をサポートし続けてくれた。
 ペドロがエスポルチでプロ契約を結んだ頃には、美容室での母の顧客の多くがペドロのことを知るようになり、2023年11月に開催されたU-17W杯では、母は多くの顧客とテレビの前でブラジル戦を観戦し、皆でペドロの活躍を応援してくれたという。大会期間中に母は電話元で、感情を高ぶらせながらペドロが息子であることを誇らしく思うと話し、何度もU-17W杯出場を祝ってくれた。
 ペドロはトップチームでのデビューが近づくにつれ、母のために家を建て、母を世界中に連れていき、人生を楽しんでもらいたいという思いが日増しに強くなっている。

 2023年は6月にU-17代表に初めて招集されると、そのまま一気に駆け上がりU-17W杯に出場。サッカー人生が大きく動き出した一年となった。
 2024年はクラブで実績を積みプレーの幅を大きく広げる機会に恵まれる一年になると思われる。この一年の取り組み次第で母親への思いを実現する日は早まるに違いない。

ペドロ・リマ (Pedro Lima, 2006)」への2件のフィードバック

  1. ryu

    たまたまTwitterでこの選手見かけたからググってみたけどこのサイトのほうが化け物だわ。
    さすがに感動した。

    返信
    1. RnkRnk 投稿作成者

      ペドロ・リマ選手に関しては、チェルシーに続き、レアルマドリードも関心を示しているそうです。チェルシーとの交渉は、選手保有権の保有割合でチェルシー、エスポルチ、代理人の三者間で折り合わず、難航しているようですが、レアルマドリードが獲得争いに参戦すれば一気に移籍が決まりそうですね。

      返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です