【ブラジル全国選手権2024】第3節(1/2)

投稿者: | 2024年4月20日

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全国選手権第3節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/04/20 フルミネンセ(FLU) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2024/04/20 グレミオ(GRE) x クイアバ(CUI)
・2024/04/20 RBブラガンチーノ(RBB) x コリンチャンス(COR)
・2024/04/20 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クルゼイロ(CRU)
・2024/04/21 ヴィトーリア(VIT) x バイーア(BAH)
以下の4試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第3節(2/2)
・2024/04/21 パウメイラス(PAL) x フラメンゴ(FLA)
・2024/04/21 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x インテルナシオナウ(INT)
・2024/04/
21 ボタフォゴ(BOT) x ジュヴェントゥージ(JUV)
・2024/04/21 アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) x サンパウロ(SAO)
以下の試合の順延。
・2024/xx/xx クリシウーマ(CRI) x フォルタレーザ(FOR)

全国選手権第3節 試合概要

フルミネンセ(FLU) 2-1 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=euNJOSnn-cw
(FLU) : 10' #10 ガンソ(Ganso, 1989)[#12 マルセロ(Marcelo, 1988)]
(FLU) : 53' #8 マルチネリ(Martinelli, 2001)[#2 サムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)]
(VAS) : 55' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#25 ウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)]

今節前の順位

   フルミネンセは全国選手権0勝1分1敗勝点1の15位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝0分1敗勝点3の9位。

得点シーン

(FLU) : 10' #10 ガンソ(Ganso, 1989)[#12 マルセロ(Marcelo, 1988)]
相手陣に入ったところでCBフェリピ・メロ(Felipe Melo, 1983)からアタッキングサード入口左サイドライン際のSBマルセロへボールが送られる。SBマルセロがゴール前にボールを上げると、相手CB間にMFガンソが駆け上がりヘディングシュート。シンプルな2本のパスでフルミネンセが先制。
   MFガンソは、サントス育成出身で2008年2月の州選手権にて18歳のプロデビュー。2009年にトップ下でレギュラーの座を掴む。2012年9月900万ユーロ相当の移籍金でサンパウロに移籍する。2016年7月セビージャ/ESPへ950万ユーロの移籍金で念願の欧州挑戦を果たす。しかし、出場機会に恵まれず、2年間で28試合7試合3アシストを残し、期限付き移籍によるアミアン/FRAを経て、2019年1月31日に加入。フルミネンセでの出場試合数は2019年47試合から2021年32試合と低減していくが、2022年フェルナンド・ジニース(Fernando Diniz)氏の監督就任後は独特のテンポが評価され主力選手としての起用が続いている。
(FLU) : 53' #8 マルチネリ(Martinelli, 2001)[#2 サムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)]
VOLマルチネリがペナルティエリアにボールを運び右に展開。FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)を経て右SBサムエウ・シャヴィエルにボールが渡ると、VOLマルチネリはフリーの態勢となり、SBサムエウ・シャヴィエルのクロスを胸で受けゴールに押し込む。
   VOLマルチネリは、フルミネンセ育成出身で2020年11月の全国選手権で19歳のプロデビュー。2021年にコンスタントに試合に出場するようになり55試合に出場すると、フェルナンド・ジニース監督のもとでも重用され、2022年、2023年も50試合以上の出場を記録している。中盤では攻撃的・守備的いずれのポジションもこなし、最近ではセンターバックとしてプレーすることもある。
(VAS) : 55' #99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)[#25 ウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)]
ヴァスコ・ダ・ガマが押し込み、2列目のVOLウーゴ・モウラがゴール前に柔らかいボールを送る。DF2選手に挟まれながらも、FWベヘッチがゴール前に上がりながらヘディングシュート。ヴァスコ・ダ・ガマが1点差に迫る。
   FWベヘッチは、2023年7月末に終えたアルゼンチンリーグで得点王となる13得点を挙げ、8月にヴァスコ・ダ・ガマに加入。21試合10得点1アシストの結果を残しチームの1部残留に貢献。2024年もこの試合を含め13得点7得点1アシスト、チームの得点源として分厚いマークをものともせず得点を量産している。
   VOLウーゴ・モウラは4月18日にアトレチコ・パラナエンセからヴァスコ・ダ・ガマへの入団が決まったばかり。早くもアシストを記録し今後の活躍が期待される。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:3‐5(2-1) ⇒ 前後半:10-20(7-5)
パス成功率: 前半:89% 83% ⇒ 前後半:87% 81%

   フルミネンセのスタメンは前節から次の変更。センターバックには本職CBマノエウ(Manoel, 1990)が入り、VOLマルチネリ(Martinelli, 2001)は一列上がり本来のボランチへ。左サイドバックはSBジオゴ・バルボーザ(Diogo Barbosa,1992)に代わりSBマルセロ(Marcelo, 1988)が入った。平均年齢は約32.4歳。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、センターバックにCBジョアン・ヴィトル(João Victor, 1998)に代わりCBマイコン(Maicon, 1988)。州選手権から固定できない中盤にはVOLスフォルツァ(Sforza, 2002)、VOLガウダメス(Galdames, 1996)、VOLマテウス・カルヴァーリョ(Mateus Carvalho, 2002)のスリーボランチが前節に続き先発に起用される。

   お互いに様子を見た立ち上がりは前半10分、CBフェリピ・メロ→SBマルセロ→MFガンソへと2本のシンプルなパスからフルミネンセが先制する。勢いに乗るフルミネンセは、その後もSBマルセロを中心とした左サイドから攻撃を仕掛け、2度の大きなチャンスを迎えるがシュートが枠を捉えない。
   一方のヴァスコ・ダ・ガマは前半の終盤に入り、マークを強め、ボール奪取後にはサイドにボールを散らしチャンスをうかがう。
   後半開始時にヴァスコ・ダ・ガマは3選手を交代。ボランチ2選手とウィング1選手を下げ、4月18日加入したばかりのVOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)、前線にFWエリキ・マルクス(Erick Marcus, 2004)、FWハイアン(Rayan, 2006)を投入。すると、後半4分、相手陣に入ったところで相手のビルドアップのボールをインターセプト、そのまま縦にボールを運びGKと一対一となるが、ここはフルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)がシュートストップ。
   後半8分、フルミネンセはこの試合にボランチへ復帰したVOLマルチネリが自陣からの速い攻撃を主導し追加点。
   その2分後に後半10分、ヴァスコ・ダ・ガマはクラブデビューのVOLウーゴ・モウラがFWベヘッチのゴールをアシストし、再び1点差に迫る。
   試合はややオープンな展開となり、後半30分にヴァスコ・ダ・ガマはFWベヘッチがゴールネットを揺らすが僅かにオフサイド。フルミネンセもFWマルキーニョス(Marquinhos, 2003)のゴールポストを直撃する直接FK。後半35分にヴァスコFWベヘッチのヘディングシュートをGKファビオが横に跳び辛うじてCKに逃れると、後半45+2分のフルミネンセFWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)の至近距離のシュートと、後半45+3分のフルミネンセFWドウグラス・コスタ(Douglas Costa, 1990)のペナルティエリア入口からのシュートををGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が連続してストップ。
   前半は静かだったが、後半に入り盛り上がりを見せたクラシコは、フルミネンセが2-1の勝利を収めた。

   フルミネンセは全国選手権第3節にして初勝利。週中にリベルタドーレスがあり厳しい日程が続くが、この試合は交代カードを一枚残して試合を終えた。ベテランが多いだけに選手交代を有効に利用し疲れを蓄積させないようにしたいところだ。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、先発のスリーボランチがあまり機能しなかったが、後半出場の新加入VOLウーゴ・モウラの活躍が明るい材料。FWロッシ(Rossi, 1993)は、試合ごとに好不調の波が激しく、この試合は悪い面が出た。2023年も同様で一時期は出番を失ったが、好調時にはFWベヘッチへ多くの精度の高いボールを供給するだけにムラをなくしたい。

グレミオ(GRE) 1-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=q8Rk6j6nEE8
(GRE) : 44' #10 クリスタウド(Cristaldo, 1996)[#7 ソテウド(Soteldo, 1997)]

今節前の順位

   グレミオは全国選手権1勝0分1敗勝点3の8位。
   クイアバは全国選手権0勝0分1敗勝点0の20位。

得点シーン

(GRE) : 44' #10 クリスタウド(Cristaldo, 1996)[#7 ソテウド(Soteldo, 1997)]
クイアバ守備網の外を細かくパスを繋ぎ攻撃の糸口を探ると、浅い位置からMFクリスタウドがゴール前に逆サイドから上がるFWガウヴォン(Galvão, 1992)へクロス。このボールはFWガウヴォンに合わず流れるが、ゴールに吸い込まれグレミオが先制。
   MFクリスタウドは前節でも先制ゴールを記録しており、全国選手権2試合連続先制ゴール。チーム一年目の2023年は54試合11得点12アシストの成績を残したが、2024年はこの試合を含め、18試合8得点2アシスト。前年とは異なる戦術に対応し自らの役割を遂行、今年も攻撃の中心としてタクトを振っている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:7-9(5-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:87% 83%

   グレミオは、前節終了後にボタフォゴに移籍したSBクイアバーノ(Cuiabano, 2003)に代わり、今季デビューを果たしたSBゼ・ギリェルミ(Zé Guilherme, 2005)を左サイドバックに抜擢。全国選手権で2戦交代出場が続いたFWグスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)をケガのFKパボン(Pavón, 1996)に代わりスタメンに起用。週二試合の日程が続く中、前節から5つのポジションでスタメンを変更。
   クイアバは、全国選手権前節は順延となったものの、17日にコパ・ヴェルジが開催され、中2日での試合。その試合からスタメンは6つのポジションで変更。攻撃の核となるFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)が規律違反によりベンチ外。

   高い位置でのプレスからチャンスを掴みたいクイアバと、自陣でプレスを掻い潜り相手陣でのパス交換から守備陣を崩したいグレミオ。
   最初にチャンスを迎えたのはクイアバ。前半3分、人数をかけた攻撃でペナルティエリアに5選手が入り、最後は右SBマテウス・アレシャンドレ(Matheus Alexandre, 1999)がシュートに持ち込むがボールは僅かにポスト右へ。
   クイアバは、前半19分にもペナルティエリア内で後方からのロングフィードを受けたFWイシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)がDF2選手を引き寄せゴール正面でフリーのFWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)へボールを送るが、FWカフーがダイレクトに合わせたシュートはGKの正面を突く。
   グレミオは前半40分、VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)が縦にペナルティエリア内へ柔らかくボールを送り、FWガウヴォン(Galvão, 1992)がバイシクルシュート。クイアバGKヴァウテル(Walter, 1987)が辛うじてボールを手に当てCKに逃れる。
   前半44分、相手陣でボールを展開し、MFクリスタウドのゴールでグレミオが均衡を破る。
   グレミオがハーフタイムに攻撃面で修正を加えると、クイアバのマークを外し、次々とクイアバゴールに迫る。クイアバは選手交代を通じてマークを強化し前線の選手も入れ替え、試合の流れを変えようとするが、効果は発揮しない。後半も終盤に差し掛かると、グレミオは広くピッチを使ったパス交換や、前がかりになる相手に対しカウンターを仕掛け、クイアバがボールを持つと自陣に堅固な守備網を張り、試合をコントロール。試合は1-0のままタイムアップを迎えた。

   グレミオは開幕節での敗戦後、ホームで無失点の2連勝。前節から半数のスタメン変更があり、前半序盤はピンチを迎えたものの、ハーフタイムでの修正で戦術的理解がチーム内で共有されると後半は試合を支配。リードは僅かに1点ではあったが、盤石な試合運びで試合を締めた。
   グレミオは、クラブとして若手選手の起用については保守的、段階を経てトップチームに起用する方針を取っていたが、2023年から下部組織出身・所属の若手選手を積極的に起用。この試合では、先発には先述の2005年生まれの2選手の他にCBグスタヴォ・マルチンス(Gustavo Martins, 2002)が起用され、後半にはVOLホナウジ(Ronald, 2003)、FWナタン・フェルナンデス(Nathan Fernandes, 2005)が出場した。
   外部からの補強も積極的に推し進めながら、内部昇格選手が試合を通じて経験を積み、選手層が厚くなる好循環が生まれている。
   クイアバは、公式戦3試合連続無得点で3連敗。攻撃陣が停滞している中、攻撃の核となるFWデイヴェルソンに対し、規律違反を理由に、遠征に旅立つ直前に不帯同を告げ、泣いて馬謖を斬る形で、目先の1勝ではなくクラブの秩序を守ることを優先した。
   試合は、序盤の好機を逸し「デイヴェルソンが居れば」という状況もあったが、この決定がチームを一丸となるきっかけとなることを期待したい。そのためにも一日も早く、チーム方針に沿った監督を招聘したい。

RBブラガンチーノ(RBB) 1-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qozT8aO_7Bo
(RBB) : 5' #28 ヴィチーニョ(Vitinho, 1999)[#17 ブルニーニョ(Brininho, 2003)

今節前の順位

   RBブラガンチーノ(RBB)は全国選手権1勝1分0敗勝点4の4位。
   コリンチャンスは全国選手権0勝1分1敗勝点1の16位。

得点シーン

(RBB) : 5' #28 ヴィチーニョ(Vitinho, 1999)[#17 ブルニーニョ(Brininho, 2003)]
RBブラガンチーノは相手陣手前の右サイドライン際で短い距離のパス交換で相手のプレスを掻い潜ると、MFブルニーニョが対角線にペナルティエリア手前左にグラウンダーの強いパス。FWヴィチーニョがDFをかわし右足の巻き込むシュート。ボールはコリンチャンスGKの指先を過ぎファーサイドのゴールネットを揺らす。
   FWヴィチーニョは6月に満了するディナモ・キエフ/UKRからの期限付き移籍でプレー。2023年の加入後はコンスタントに試合に出場。今季は州選手権敗退後のコパ・スウアメリカーナや全国選手権開幕節でベンチスタートとなるが、その開幕節で後半開始時の交代出場で2アシストを記録。第2節も後半17分の出場で決勝ゴールをマーク。この試合では先発に復帰すると前半5分のゴールを決め、全国選手権は第3節で3試合78分出場時点で2得点2アシストをマーク。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:42% 58%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:9-13(3-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:66% 82%

   RBブラガンチーノは、前節後半出場でゴールを決めたFWヴィチーニョ(Vitinho, 1999)とそれをアシストしたMFエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)をそれぞれ先発起用。前節ボランチ起用のSBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)が戻りVOLジャジソン(Jadson, 2001)がボランチに入り、MFブルニーニョ(Bruninho, 2003)が全国選手権3試合目にして初スタメン。GKクレイトン(Cleiton, 1997)が2試合ぶりの出場。
   開幕2試合得点のないコリンチャンスは、攻撃時の布陣を4-2-3-1から4-4-2に変更し、FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)に代えFWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)、全国選手権初出場となる新加入FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)がツートップを形成。VOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)がツーボランチを形成し、CBハウーウ・グスタヴォ(Raul Gustavo, 1999)が全国選手権初出場でスタメンに抜擢。

   立ち上がりはコリンチャンスが厳しいプレスで流れを掴み、前半2分、MFロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)がシュートに持ち込むが、GKクレイトンが両手でCKに逃れる。
   前半4分にプレスを掻い潜られ早くも失点を喫すると、3分後の前半7分にもビルドアップのボールを失いシュートに持ち込まれる。すると、コリンチャンスは各選手が神経質になり、前半16分に右SBマテウス・フランサ(Matheus França, 2000)が自陣からのロングフィードに抜け出し、ペナルティエリア手前にボールを運び味方の上りを待つが、守備陣7選手の帰陣に対し、攻撃陣はゴール前に1選手、SBマテウスの外に1選手が現れるのみ、右SBマテウス・フランサはシュートを選択するが枠を大きく越える。
   神経質な相手を尻目にRBブラガンチーノは追加点は奪えないものの、試合をコントロールして前半を終える。
   後半の最初のチャンスもRBブラガンチーノ。後半8分、FWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)のマイナスのパスにMFエリキ・ハミーレスがシュートに持ち込むがボールはGK正面。一方のコリンチャンスも後半9分にVOLファウスト・ベラがミドルシュート。GKクレイトンが弾き返したボールをコリンチャンスが確保し、ゴール前にボールを折り返すが、SBマテウス・フランサのシュートは当たりが悪く、GKクレイトンがキャッチ。
   後半17分、コリンチャンスは自陣でボールを奪うと、素早く前方にボールを送り、相手陣に抜け出したFWペドロ・エンヒキがゴールネットを揺らす。しかし、オフサイドの判定によりノーゴール。
   コリンチャンスは、FWペドロ・ハウーウを残し前節先発のスリートップの3選手を相次いで投入する。後半25分、コリンチャンスはCKからの流れでFWウェズレイ(Wesley, 2005)がシュートに持ち込むが、GKクレイトンが倒れ込みながら両手でボールを弾き返す。
   その後もコリンチャンスは中盤でのインテンシティでRBブラガンチーノを上回り同点ゴールを奪いに行く。しかし、コリンチャンスサポーターが火炎筒を焚き試合は7分間中断すると、試合再開後はコリンチャンスの勢いはRBブラガンチーノに削がれ、試合は1-0のままタイムアップ。

   RBブラガンチーノは、全国選手権負けなしの2勝1分勝点「7」となり、日曜日の試合を残し暫定首位に浮上。試合全体のボール支配率は40%とコリンチャンスに大きく上回られたが、試合は終始コントロール、これまであまり見られなかった巧みな試合運びで、試合を締めた。
   RBブラガンチーノは、チームとして奥行きが出てきた印象もあり、昨年最後に優勝争いから脱落した経験が生かされているように思われる
   コリンチャンスは3試合連続無得点。全国選手権開幕前はサイドを広く使い、各選手がダイナミックにポジションを変える攻撃を見せていたが、MFロドリゴ・ガーロとMFイゴル・コロナード(Igor Coronado, 1992)のボールを握れる2選手を中央寄りに配置することで、チームとしてのダイナミズムが失われているように見える。
   アントニオ・オリヴェイラ監督にチームを立て直す時間はほとんど残されていない。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 3-0 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6dtsTIeIn3w
(CAN) : 25' #15 サラーチョ(Zaracho, 1998)[#6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)]
(CAM) : 35' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#7 フッキ(Hulk, 1986)]
(CAM) : 45+2' #13 ギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)[#6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)]

今節前の順位

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権0勝2分0敗勝点2の14位。
   クルゼイロは全国選手権1勝1分0敗勝点4の5位。

得点シーン

(CAN) : 25' #15 サラーチョ(Zaracho, 1998)[#6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)]
自陣ゴール前から右サイドから70秒間ボールを繋いで奪ったゴール。最後はMFグスタヴォ・スカルパが右サイドライン際から中央に向かいながら顔を上げると、MFサラーチョが中央を縦に駆け上がるのを見てGKと最終ラインの間へクロス。ボールはやや短かったが、MFサラーチョはアクロバティックなバイシクルシュートでボールをゴールネットに沈める。ゴラッソ。
   MFサラーチョは、アルゼンチン代表で1試合の出場歴。2017U-20南米ユース選手権、U-20W杯出場。2020年10月のアトレチコ・ミネイロでのクラブデビュー以来、166試合21得点13アシストを記録中。
(CAM) : 35' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#7 フッキ(Hulk, 1986)]
サイドチェンジのボールを右サイドライン際で受けたMFグスタヴォ・スカルパがディレイするDFのマークを外しゴール前にクロス。逆サイドに流れたボールを左SBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)が中央へボールを戻し、FWフッキがシュート性のクロス。FWパウリーニョのコースを変えゴールネットを揺らす。
   FWパウリーニョは、2023全国選手権得点王(20得点)。2023年11月16日2026W杯南米予選第5節コロンビア戦にて後半24分にピッチに立ち代表デビューを果たした。
(CAM) : 45+2' #13 ギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)[#6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)]
相手陣浅い位置での右サイドライン際からMFグスタヴォ・スカルパが大きくサイドチェンジ。ボールを受けたSBギリェルミ・アラーナがペナルティエリア左角手前から左足を振り抜くと、ゴールニアサイドを外に流れるボールはGKのセーブミスを誘いゴールイン。
   SBギリェルミ・アラーナは、2022W杯代表の候補に挙げられたが試合中の大ケガでW杯出場の夢は散った。しかし、2026W杯南米予選第3節ベネズエラ戦で代表復帰。改めて2026W杯代表を目指す。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:7‐4(4-2) ⇒ 前後半:8-9(4-3)
パス成功率: 前半:92% 84% ⇒ 前後半:88% 85%

   アトレチコ・ミネイロは、全国選手権開幕2試合を2引き分け。2試合で僅か1得点と自慢の得点力が影を潜めている。ところが、この試合のスタメンは前線の選手に変更はなく、最終ラインと中盤を変更。VOLバターリャ(Battaglia, 1991)を最終ラインに起用し、中盤の攻撃的な位置にMFサラーチョを抜擢する。
   ここまで1勝1分のクルゼイロはのスタメンは、出場停止のVOLルーカス・ロメロ(Lucas Romero, 1994)からVOLマシャード(Machado, 1996)への変更のみ。

   立ち上がりは、クルゼイロが仕掛け、アトレチコ・ミネイロが前に出る守備で対応する。時間が経つにつれ、アトレチコが前に出て奪ったボールを縦に速く展開し試合の主導権を握り始める。
   前半25分、アトレチコ・ミネイロが自陣から70秒間ボールを展開し、MFサラーチョのアクロバティックなバイシクルシュートで先制。クルゼイロもFWマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)を中心にアトレチコゴールに迫るが、前半35分にFWパウリーニョのゴールでアトレチコ・ミネイロが追加点。
   前半44分、クルゼイロはVOLルーカス・シウヴァ(Lucas Silva, 1993)のシュートがブロックされたこぼれ球をFWハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)が拾いGKをかわしシュートを放つも、ゴールライン手前で右SBサラビア(Saravia, 1993)がクリア。
   すると、前半45+2分、アトレチコ・ミネイロは左SBギリェルミ・アラーナのゴールで3点目を奪う。
   後半開始時にクルゼイロは2選手を交代。しかし、アトレチコ・ミネイロが試合をコントロールし試合のテンポを落とす。クルゼイロは後半17分にFW2選手を投入し、一時的にアトレチコ・ミネイロゴールに迫るが、間もなくアトレチコも対応。クルゼイロは攻撃の指揮を執るFWマテウス・ペレイラが右サイドの開いたポジションに入り消える時間が多くなると、前線へ効果的にボールを送る場面が減り、決定的な場面を最後まで迎えることができず試合は終えた。

   アトレチコ・ミネイロは、右サイドに開いてプレーするMFグスタヴォ・スカルパが、視野の広さから精度の高いクロスをゴール前に供給し全3得点に絡む活躍。センターバックに入ったVOLバターリャは前に出る守備で多くのデュエルに勝利、CBジェメルソン(Jemerson, 1992)が空いたスペースを埋めバターリャをサポート。
   攻守に前に出る意識が高く、攻撃面ではピッチを左右に広く使い得点を奪い、後半は試合をコントロールした完勝。就任7試合目のガブリエル・ミリット(Gabriel Milito)監督の戦術がチームに浸透、MFグスタヴォ・スカルパやVOLバターリャの新たな一面を引き出す起用法など、今後のアトレチコ・ミネイロの戦いぶりが注目される。
   クルゼイロは、前半終了間際の3点目の失点で選手、監督共に気持ちが折れたような試合。後半は前線に相次いで選手を投入したものの、効果的にFW陣にボールが渡る機会が少なく手詰まり感が感じられた。前半にしばしば見られた両サイドバックによる攻撃参加は、少なからず好機をもたらしているものの、その後方のスペースの管理が行き届いていない印象。また、攻撃面ではFWマテウス・ペレイラへの依存度が高く、FWマテウス・ペレイラにボールが入らなかった後半は、攻撃の糸口が見えなかった。
   クルゼイロは、昨年来、得点力に課題があったが、フェルナンド・セアブラ(Fernando Seabra)監督就任以降、4試合7得点と課題は解消しつつある。しかし、同時に9失点と喫しており、得点力アップはもろ刃の剣となっている。
   現時点では、アトレチコ・ミネイロと歴然とした力の差があることを見せつけられた。この現実をしっかりと認識し、今後のチーム作りの糧としてもらいたい。

ヴィトーリア(VIT) 2-2 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=DIooNFoKzrs
(VIT) : 20' #30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)[]
(VIT) : 57' #4 ヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
(BAH) : 69' #11 ビエウ(Biel, 2001)[]
(BAH) : 72' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#11 ビエウ(Biel, 2001)]

今節前の順位

   ヴィトーリアは全国選手権0勝0分1敗勝点0の17位。
   バイーアは全国選手権1勝0分1敗勝点3の10位。

得点シーン

(VIT) : 20' #30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)[]
相手陣右サイドらライン際でVOLレオ・ナウジ(Léo Naldi, 2001)が相手ボールを掻き出すと、SBゼッカ(Zeca, 1994)が拾いゴール前にクロス。身長165㎝MFマテウジーニョがCB間で頭にボールを合わせる。一旦はGKに阻まれたものの、角度のない位置から落ち着いてこぼれ球をゴールに押し込む。
   MFマテウジーニョは、フィゲイレンセ育成出身で2015年3月州選手権にて17歳のプロデビュー。2016年には全国選手権5試合に出場。同年チームは2部に降格すると、MFマテウジーニョもレギュラーの座を掴むことができないまま、期限付き移籍により下部リーグでプレーする時期もあり、2024年は8年ぶりの全国選手権1部でのプレーとなる。ヴィトーリアには2023年7月に加入。2024年はインサイドハーフのレギュラーとして特に攻撃面でチームを牽引している。
(VIT) : 57' #4 ヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
右CKのキッカーはMFマテウジーニョ。左足で上げたボールは弧を描きゴールに向かう。GKの手前でCBヴァギネル・レオナルドがボールを頭に合わせヴィトーリアが待望の追加点。
   CBヴァギネル・レオナルドは。サントス育成出身で2019年3月コパ・ド・ブラジルにて19歳のプロデビュー。サントスでは2021年の23試合出場が出場試合数のキャリアハイ。2022年末の契約満了を受け、ポルチモネンセ/PORに加入。1試合に出場し、7月にヴィトーリアへ期限付き移籍。8月1日に完全移籍に移行。2024年は左CBのレギュラーとしてこの試合を含め20試合2得点を記録中。
(BAH) : 69' #11 ビエウ(Biel, 2001)[]
ペナルティエリア手前からMFカウリー(Cauly, 1995)がシュート。DFのブロックによるこぼれ球をFWタシアーノ(Thaciano, 1995)がシュートに持ち込むが、ボールはクロスバーを叩く。落ちてくるボールにFWビエウが詰めゴールに押し込む。
   FWビエウは、開幕節インテルナシオナウ戦に続く2点目のゴール。この試合では3分後にアシストを記録。バイーア1年目の2023年は48試合11得点7アシストを記録したが、2024年はこの試合を含め20試合3得点7アシスト。平均して2試合に一回の得点関与。アシスト数はすでに前年のキャリアハイの数字に並んだ。
(BAH) : 72' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#11 ビエウ(Biel, 2001)]
FWビエウからのボールをペナルティアークで受けたFWエヴェラウドが強烈なシュート。ボールはクロスバー右隅を掠めゴールネットに突き刺さる。
   FWエヴェラウドは、2011年のプロデビューをはたすが、ポジションを掴めず複数のクラブを期限付き移籍などで渡り歩く。2019年シャペコエンセで初めてレギュラーの座を掴むと52試合19得点2アシストの記録を残し、2020‐22年の3年間を鹿島アントラーズ/JPNでプレー(101試合34得点15アシスト)。2023年にバイーアに加入すると60試合20得点5アシスト。今季の試合出場は、先発、途中交代と半々の状況だが、この試合を含め18試合4得点3アシストと期待通りの成績を残している。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:49% 51% ⇒ 前後半:47% 53%
シュート(枠内): 前半:5‐6(4-3) ⇒ 前後半:13-18(8-6)
パス成功率: 前半:81% 87% ⇒ 前後半:82% 86%

   ヴィトーリアは、開幕節(第2節は順延)のスタメンからの変更点は2点。ケガのCBカムンタンガ(Camutanga,1993)とVOLドゥドゥ(Dudu, 1999)に代わり、いずれも今季開幕後に加入したCBブルーノ・ウヴィーニ(Bruno Uvini, 1991)とVOLレオ・ナウジ(Léo Naldi, 2001)が先発を務める。
   バイーアは、2-1の勝利を収めた前節フルミネンセ戦と同じスターティングイレブン。

   今季5度目の対戦は、これまでヴィトーリアが2勝1分1敗。州選手権決勝では2試合合計4-3でヴィトーリアがタイトルを獲得している。
   中盤の素早い寄せで相手のミスを誘う両チームは、個々の選手の技術が上回るバイーアがやや有利に試合を展開する。
   しかし、先制点はヴィトーリア。前半20分に相手陣でのボール奪取からショートカウンターを発動しMFマテウジーニョがゴールネットを揺らす。
   バイーアは前半24分にFKから、前半39分には流れの中からシュートチャンスを掴むがヴィトーリアGKルーカス・アルカンジョ(Lucas Arcanjo, 1998)がしっかりとセーブ。GKルーカス・アルカンジョは前半45+2分にはVOLカイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)の強烈なミドルシュートを倒れ込み弾き出すと、そのボールに詰めたFWアデミール(Ademir, 1995)のシュートも身を挺して防ぐ。
   後半立ち上がりはヴィトーリアが反撃。後半4分のFKからのヘディングシュートは僅かに枠を捉えず、後半7分のカウンターはFWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)のタッチが大きくなりGKに間合いを詰められる。後半11分、FWアレハンドロ(Alerrandro, 2000)が直接狙ったFKは枠を捉えるもののバイーアGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)が辛うじてCKに逃れる。
   好機を逸し続けたが、後半12分、CKからCBヴァギネル・レオナルドのゴールで2点差にリードを拡げる。
   後半15分にバイーアは3選手を交代し相手に向いた試合の流れを引き戻す。後半24分に途中出場のFWビエウのゴールで1点差に詰め寄ると、その3分後にやはり途中出場のFWエヴェラウドのゴールで同点。
   その後もバイーアが試合を有利に進めるが、最後は試合のテンポを落とし、アウェイで勝点「1」を拾いにいき試合終了。

   ヴィトーリアは、守備的な2選手をケガで欠いたものの、組織的な守備は健在、守→攻の移行で先制。後半序盤は試合の主導権を握り、後半12分にリードを拡げたものの、その直後のバイーアの選手交代策に対応できず、3分間で2失点を喫し同点。その直後に、3月下旬以降に加入した右SBウィレアン・レポ(Willean Lepo, 1997)、VOLルアン・シウヴァ(Luan Silva, 1999)、FWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)を投入したものの、試合の流れを取り戻すことは出来ず、ホームでのクラシコを1-1の引き分けに終えた。
   
   バイーアは、個々の選手は技術で上回り、インテンシティも高いが、この試合はヴィトーリアの組織的でボールの奪う位置を絞った守備に苦しみ、2点のビハインドを追いかける展開となった。しかし、後半15分の選手交代で試合の流れを取り戻すと3分間で同点。
   後半15分の交代ではCBヴィトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)を下げVOLヘゼンジ(Rezende, 1995)への投入は、相手が下がり気味になったこともあるが、相手を押し込む展開で有効な交代策となった。今後もオプションとして活用していきたい。

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