クラブ別2022年振り返り:アトレチコ・ゴイアニエンセ (Atlético Goianiense)

投稿者: | 2023年1月4日

アトレチコ・ゴイアニエンセ ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカークラブ  Atlético Goianiense

アトレチコ・ゴイアニエンセ (Atlético Goianiense)

正式名称:Atlético Clube Goianiense

略称:ACG

創立:1937年

本拠:ゴイアス州 ゴイアニア

《 主要タイトル & 概略 》

タイトル優勝回数優勝年
N/AN/AN/A
 1937年に創立されたアトレチコ・ゴイアニエンセは、1970年に始まるブラジルスポーツ連盟(CBD, 現ブラジルサッカー連盟(CBF))主催の全国選手権以前の全国大会での上位入賞経歴はあるものの、長らくゴイアス州の中上位クラスのクラブに過ぎなかった。
 しかし、2005年にゴイアス州選手権2部で優勝を果たすと、2007年ゴイアス州選手権優勝。2008年全国選手権3部(Série C)で優勝し、2009年は昇格1年目の全国選手権2部(Série B)で4位に食い込み、2010年には全国選手権1部(Série A)に所属。2011年には1970年以降過去最高の13位を記録するなど、急激に力をつけていく。
 その後少し勢いに翳りが見られ2部リーグ降格を経験するが、2016年に2部(Série B)を制覇。2021年には全国選手権過去最高で初の1桁順位となる9位を記録。2022年はさらに上位を目指す1年になる。

《 直近3年成績(2020年-2022年) 》

大会2022年成績2021年成績2020年成績
ブラジル全国選手権18位9位13位
コパ・ド・ブラジル準々決勝敗退ベスト16敗退ベスト16敗退
コパ・スウアメリカーナ準決勝敗退予選R敗退
ゴイアス州選手権優勝準決勝敗退優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。

《 2022年 》

<戦績>

大会試合
勝数引分
敗数得点失点得失
点差
勝点率
(%)
順位
コパ・スウアメリカーナ1281320101069.4準決勝敗退
全国選手権38812183957-1831.618位
コパ・ド・ブラジル8431126662.5準々決勝敗退
州選手権16103324131168.8優勝
   743019259586949.1

<全国選手権 年間順位推移>

<振り返り>

 2022年は、マルセロ・カーボ(Marcelo Cabo)氏が指揮を執る。マルセロ氏は、2021年第32節から指揮を執ると4勝4分無敗の成績で15位から9位に順位を上げ、コパ・スウアメリカーナ出場権を獲得。2021シーズン終了前に契約を延長していた。

【州選手権】

 1月26日に開幕を迎えた州選手権、開幕2連勝後に2連敗を喫すると、前年12月に契約を延長したマルセロ・カーボ監督を早くも解任。エドワルド・ソウザ(Eduardo Souza)氏が監督代行を務め3勝1敗の成績を残し、2月22日に監督就任するウンベルト・ロウゼル(Umberto Louzer)氏にバトンを繋ぐ。
 ウンベルト監督は予選ラウンドの残り2試合を2引分で終え決勝ラウンドに臨む。
 決勝ラウンド1回戦(準々決勝)は、全国選手権外のモヒーニョスを1-0、3-0、2試合合計4-0で下す。
 準決勝は、予選ラウンドで2連敗を喫した全国選手権2部のヴィラノヴァとのクラシコ。
 ホームでの1stレグを3-2で勝利を収めると、アウェイでの2ndレグは、PKで先制を許したものの、ウェリントン・ハット(Wellington Rato, 2021年V・ファーレン長崎)のゴールで同点に追いつき1-1の引き分けで試合を終え、決勝進出を決める。
 決勝の対戦相手は全国選手権1部のゴイアス。準決勝に続きクラシコとなる。
 1stレグ(3月26日ホーム)は、試合を優位に進めるものの得点を奪えないでいたが、後半37分にPKから得点し、1-0で勝利。
 2ndレグ(4月2日アウェイ)は、前半31分にCKから失点、2試合合計1-1の同点に追いつかれる。しかし、後半開始早々の2分にマルロン・フレイタス(Marlon Freitas)、5分にウェリントン・ハット、21分にシャイロン(Shaylon)が立て続けにゴールを奪う。結局、この試合を3-1で勝利し2試合合計4-1。2年ぶりとなる州選手権優勝を果たした。

【コパ・ド・ブラジル】

 1回戦(3月3日)のマットグロッソ州代表のウニオン・ホンドノーポリスを3-0、2回戦(3月15日)のエスピリトサントス州代表全国選手権4部のノヴァヴェネーシアを2-1で退ける。
 3回戦の対戦相手は全国選手権1部のクイアバ。
 4月21日ホームでの1stレグ。後半25分、CKからのボールをフリーになったエジソン(Edson)が頭で合わせ先制。しかし、後半36分にゴール前での混戦から押し込まれ、1-1の同点で試合を終える。
 5月11日のアウェイでの2ndレグ。1stレグに続きクイアバは守備ラインを固める。アトレチコは果敢に何度か相手ゴールに迫るが、相手GK/GOLの好セーブにあい得点を奪えない。全体を通して両チームともパスミスや単純なミスが散見された試合はこのまま0-0で90分を終える。4回戦進出を賭けたPK戦では、2人目のキッカーが失敗したクイアバに対し、アトレチコは全員が成功。4回戦に進出する。
 4回戦の相手はクラシコとなるゴイアス。
 6月22日ホームでの1stレグ、立ち上がりの15分は相手に押し込まれるも以降は主導権を握り相手ゴールに迫る。後半はより強勢を強め度々シュートまで持ち込むがゴールを奪うことができない。試合は0-0のまま90分を終える。
 7月13日アウェイでの2ndレグもまたアトレチコが試合の主導権を握る。前半41分、ウェリントン・ハットからのクロスをジョルジーニョが頭で合わせ待望の先制点を奪う。後半8分には相手が前がかりになったところをカウンターからルイス・フェルナンド(Luiz Fernando)が持ち込み、中央を駆け上がるウェリントン・ハットへ。ボールを受けたウェリントン・ハットは切り返しでGK/GOLをかわし右足を振り抜きゴール。後半20分にはPKをマルロン・フレイタスが落ち着いて決め、3-0の勝利。準々決勝に駒を進める。
 準々決勝コリンチャンス戦。
 1stレグ(7月27日ホーム)、前半23分、相手のコンパクトな守備ラインに対し、ハーフライン付近から右サイド最終ライン裏へロングパス。ドゥドゥがこれを受け相手ラインが下がると、ゴール正面で相手2ラインの間に走りこむジョルジーニョにグラウンダーのパス。ジョルジーニョがシュートを放つと相手ディフェンダーに当たりコースが変わりゴール。待望の先制点を奪う。後半42分にはレオ・ペレイラ(Léo Pereira)がPA外左から右足の巻き込むシュートで追加点。2-0で1stレグをものにする。
 2ndレグ(8月17日アウェイ)。立ち上がりからゲームを支配され、前半43分、CKからの流れで失点。後半5分にカウンターから、後半11分にはFKから失点。後半27分にはミスを突かれ追加点を許す。後半42分に1点を返すが、反撃もそこまで。2試合合計3-4。1stレグの2点のアドヴァンテージを覆され準々決勝で敗退。

【コパ・スウアメリカーナ】

 2020年のコパ・スウアメリカーナ覇者デフェンサ・イ・フスティシア/アルゼンチン、リベルタドーレス優勝歴のあるLDUキト/エクアドルと同組の難しいグループでの戦い。
 4月5日ホームでの開幕節LDUキト戦。前半を0-0で折り返すが、後半はジョルジーニョの1ゴール2アシストの活躍もあり、4-0の快勝。
 第2節(4月12日アウェイ)デフェンサ・イ・フスティシア戦。試合は相手に支配されるが、前半9分のウェリントン・ハットのゴールを守備陣が無得点に抑える。シュート数僅か2本のアウェイでの難しい試合を1-0で勝利。
 第3節のアントファガスタ/チリ戦を落とすが、第4節、第5節を連勝。グループ首位で最終節を迎える。
 最終節5月24日の勝点差2でアトレチコを追うLDUキト戦。海抜2700mを越す敵地での戦いは引き分け以上の結果で決勝ラウンド進出を手にする。
 しかし、前半29分、PA左隅から強烈なシュートを叩き込まれ失点。後半20分、左CKからVOLバラーリャス(Baralhas)が頭で合わせ同点に追いつく。残り時間の相手の攻撃を凌ぎ1-1のままタイムアップ。コパ・スウアメリカーナ3度目の参戦にして初の決勝進出を決めた。
 決勝ラウンド1回戦の相手は最後のインターコンチネンタルカップ(クラブW杯、トヨタカップの前身)優勝チーム、古豪オリンピア/パラグアイ。
 6月30日のアウェイでの1stレグは2-0で完敗。
 7月7日ホームでの2ndレグ。前半4分にアイルトン(Airton)のCKをチュリン(Churín)が合わせ先制。前半8分には、アイルトンが右サイドからスピードのあるドリブルで5人をかわしシュート。ゴラッソ。追加点を奪う。試合は2-0で90分を終え2試合合計2-2でPK戦へ。アトレチコは5人全員が成功、5-3でPK戦をものにし準々決勝へ進出する。
 準々決勝の相手はインターコンチネンタルカップ&トヨタカップ計3回の優勝を誇るウルグアイの古豪ナシオナル。W杯4大会出場計7得点、スペインのFCバルセロナ、アトレチコ・マドリードで活躍したルイス・スアレスが1stレグから選手登録されている。
 8月2日アウェイでの1stレグ。前半21分にGK/GOLホナウド(Ronaldo)が負傷し交代を余儀なくされる。しかし、前半29分、ルイス・フェルナンドが右サイドからのアーリークロスを頭で合わせ先制。その後は相手がゴールに迫るも、途中交代出場のGK/GOLヘナン(Renan)が再三再四の好セーブを見せ、虎の子を1点を守り抜く。
 8月9日ホームでの2ndレグ。前半5分にルイス・フェルナンドの強烈な左足のシュートで先制。前半終了間際にはカウンターからバラーリャスが貴重な追加点。後半8分に再びルイス・フェルナンドが準決勝進出を決定づけるゴールを奪う。試合は3-0、2試合合計4-0で準決勝へ駒を進める。
 準決勝の相手はトヨタカップで3度の優勝を誇るサンパウロ。
 9月1日のホームでの1stレグ。前半11分、右サイドをパス2本で崩し、抜け出したドゥドゥがクロス。ジョルジーニョが右足を合わせ早くも先制。前半23分に同点に追いつかれるものの、前半40分に相手に退場者が出る。後半11分、再び右からのクロスをシャイロンが決め勝ち越すと、後半33分、カウンターから左サイドを抜け出したレオ・ペレイラがディフェンダーとの競り合いに負けずシュートに持ち込み追加点。3-1で1stレグを終える。
 9月8日アウェイでの2ndレグ。開始早々から猛攻を受け前半4分に失点。その後も相手に試合の主導権を握られ後半18分に失点。2試合合計3-3追いつかれる。迎えたPK戦ではGK/GOLヘナンが1本止めるが、アトレチコは2人が枠外に蹴り失敗。PK戦を2-4で敗れ、コパ・スウアメリカーナは準決勝で敗退。

【全国選手権】

 州選手権で優勝をもたらし、コパ・ド・ブラジルでは4回戦進出を決め、コパ・スウアメリカーナのグループラウンドを3勝1敗の首位に立つウンベルト・ロウゼル監督だが、全国選手権では結果が出ない。
 5月14日全国選手権第6節に2試合連続無得点で連敗を喫すると、翌日、選手権3分3敗19位の成績を残し解任。
 5月15日、ジョルジーニョ(Jorginho, 1994W杯優勝メンバー全試合出場, 1995-1998鹿島アントラーズでプレー, 2012鹿島アントラーズ監督)氏を招聘。ジョルジーニョ監督は就任直後の第7節から第13節にかけて4勝1分2敗とし順位を12位まで上げる。しかしその後は、コパ・スウアメリカーナでの準決勝進出があったものの、コパ・ド・ブラジルを準々決勝で敗退、全国選手権でも第15節から6連敗を喫するなど再び19位まで順位を下げ8月27日に解任。
 8月29日にエドワルド・バプチスタ(Eduardo Baptista, 2022年柏レイソル ネルシーニョ監督の息子)氏と契約する。しかし、コパ・スウアメリカーナの敗退、全国選手権4連敗と結果を残せず、1か月後の9月29日に解任。
 残りの10節をエドワルド・ソウザ氏が監督代行として指揮を執り、3勝5分2敗で勝ち点14を獲得するが、18位で全国選手権を終了。
   選手権前半 :   4勝 5分10敗、得点18失点28
   選手権後半 :   4勝 7分 8敗、得点21失点29
   選手権合計 :   8勝12分18敗、得点39失点57
 2021年全国選手権の得点33失点36の結果を踏まえ攻撃的な選手を優先的に補強し、守備面の補強がおろそかになる。また、7月終わりに中盤の底を支えていたエジソンが中東へ移籍。度重なる監督交代もあり最後まで守備が不安定となり、全国選手権の無失点試合は僅かに4試合。リーグワースト5位の失点数57を記録。2023年は2部リーグでの戦いとなる。

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手公式戦計全国選手権スウアメリカーナブラジル杯州選手権
最多試合出場マルロン・フレイタス
(Marlon Freitas)
– MF/MEI
703611815
(2位)ウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
703611815
(3位)レオ・ペレイラ
(Léo Pereira)
– FW/ATA
663012816
最多出場時間ヴァンデルソン
(Wanderson)
– CB/ZAG
521124779205401304
(2位)マルロン・フレイタス
(Marlon Freitas)
– MF/MEI
519824758127201191
(3位)ウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
518727927195621114
最多得点ウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
158124
(2位)シャイロン
(Shaylon)
– MF/MEI
123333
(3位)マルロン・フレイタス
(Marlon Freitas)
– MF/MEI
104114
最多アシストルイス・フェルナンド
(Luiz Fernando)
– FW/ATA
74030
(2位)ウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
73112
(3位)ジョルジーニョ
(Jorginho)
– MF/MEI
70322
最多デュエル勝利ジエゴ・チュリン
(Diego Churín)
– FW/ATA
209
(2位)ウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
129
(3位)ジョルジーニョ
(Jorginho)
– MF/MEI
127
最多キーパスウェリントン・ハット
(Wellington Rato)
– FW/ATA
49
(2位)ジョルジーニョ
(Jorginho)
– MF/MEI
39
(3位)マルロン・フレイタス
(Marlon Freitas)
– MF/MEI
38
最多CBIヴァンデルソン
(Wanderson)
– CB/ZAG
155
(2位)エジソン
(Edson)
– VOL
124
(3位)ルーカス・ガザウ
(Lucas Gazal)
– CB/ZAG
95
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

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