最終更新 : 2024/07/20
更新履歴 : 2024/01/10, 2023/09/28, 08/04, 06/16, 03/26
サーヴィオ・モレイラ・デ・オリヴェイラ
Sávio Moreira de Oliveira
ポジション:フォワード/アタカンチ
利き足:左
2004年4月10日生まれ
<幼少期>
リオデジャネイロ州リオデジャネイロ都市圏に位置するドゥーケ・デ・カシアスに生まれる。貧しいながらも両親、特に母親の愛情に包まれて育つ。
その後、祖母が暮らすエスピリトサントス州サンマテウスへ家族とともに引っ越し、農園で家畜の飼育や耕地を手伝う暮らしを送る。やがてサッカー選手を夢見てサンマテウスから200㎞離れたヴィトーリアでビーチサッカーを始める。すると間もなくアトレチコ・ミネイロのスカウトの目に留まる。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2018年、アトレチコ・ミネイロのU-14チームに入団。入団するや否やそのプレーが注目を浴びる。
2019年、U-15チームに昇格し、U-15ミナスジェライス州選手権優勝に貢献。
≪アトレチコ・ミネイロ≫
2020年、16歳の誕生日を迎えるとアトレチコ・ミネイロとプロ契約を締結。プロ初契約で認められる最長の3年間の契約期限、2年間の自動更新、そして6000万ユーロの違約金が設定された契約内容だった。
2020年はコロナ感染症拡大の影響で変則日程で大会が開催されたが、ホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督のもと、16歳にして9月19日全国選手権第11節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦で後半37分に途中交代出場。プロ初出場を果たす。
10月10日第15節ゴイアス戦では、自身4戦目にして初のスターティングイレブンに右ウィングに起用されると、前半13分には一対一の局面から相手ディフェンダーをかわしシュートに至るなど積極的にプレー。16分、20分にもシュートを放つがいずれも惜しくの相手GKに阻まれる。
10月14日第16節フルミネンセ戦もスタメンで出場。 その後はベンチ入りするもなかなか出場機会に恵まれず、プロデビューを果たした16歳での2020年は8試合159分の試合出場を記録する。
2021年2月28日州選手権開幕節にルーカス・ゴンサウヴェス(Lucas Gonçalves)監督代行のもとスタメン出場を果たすと4試合連続出場。しかし、クーカ(Cuca)監督が就任すると出場機会が減少。とはいえ、予選ラウンド最終節、決勝ラウンド準決勝ではスタメンに起用される。 5月30日に全国選手権が開幕するとさらに出場機会は減り、U-17チームやU-20チームでの試合に出場し試合勘を維持するようになる。この年の全国選手権は4試合55分の出場にとどまった。
18歳を迎える2022年に入ると、国外移籍の噂が飛び交うようになる。そんな中、州選手権で僅かにスタメン起用があるものの、出場機会は増えていかない。
2022年5月19日リベルタドーレスグループラウンド第5節、ホームでのインデペンディエンテ・デル・バジェ/EQU戦。後半35分にピッチに立つと、後半45+5分、ペナルティエリア右入口で相手ディフェンダーと対峙すると、中央に切れ込み左足を振り抜く。ボールは外から巻き込みながらゴール左上隅に突き刺さるゴラッソ。プロ初得点をアトレチコ・ミネイロの本拠地ミネイロンで記録。
6月11日全国選手権第11節サントス戦、国外移籍決定の報道後、初のホームでの試合。 前半1分に右サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入しシュートを放つなど積極的に仕掛けると、前半6分、右サイドライン際からゴール目掛け走り込み、左サイドライン際からのケーノ(Keno, 1989)のクロスボールを合わせゴール。ホームサポーターへ惜別弾を送る。 6月28日リベルタドーレスラウンド16エメレキ/EQU戦(アウェイ)でのベンチ入りを最後に欧州へ旅立つ。
≪シティグループ トロワAC → PSVレンタル移籍≫
6月30日、アトレチコ・ミネイロがサーヴィオのシティグループ移籍を発表。保有権の87.5%について650万ユーロ+ボーナス条項600万ユーロ。移籍先はフランスのトロワAC。
7月10日、PSV/オランダがサーヴィオのレンタル加入を発表。
2022年8月5日のオランダ2部リーグ開幕節でPSVのBチームでスタメン出場し45分間プレー。 翌8月6日にトップチームでオランダリーグ開幕節に後半44分にデビュー。 その後8月28日、31日の1部での試合に途中交代出場を果たすと、それぞれの試合でアシストを記録。 その後は1部(トップチーム)、2部(Bチーム)での試合に出場し実戦経験を積み重ねる。
≪シティグループ トロワAC → ジローナ レンタル移籍≫
2023年7月13日、ジローナ/ESPがサーヴィオの期限付き移籍加入を発表。
2023年8月12日、ラ・リーガ開幕節レアルソシエダ戦でスタメン出場を果たしクラブデビューを飾る。
8月20日第2節ヘタフェ戦の前半12分にチームの先制点をアシスト。
9月18日第5節グラナダ戦では、前半22分に左サイドライン際からドリブルで中央に向かい、ヴィクトル・ツィハンコフ(Viktor Tsygankov)へのパスでアシストを記録。前半33分には中央ペナルティエリア手前から強烈なシュートでクラブ初ゴールを記録。
9月23日第6節マジョルカ戦、前半37分に左サイドライン際から一対一の対峙を制し、ドリブルでゴールライン際までボールを持ち込みアシスト。後半12分にはワンツーで抜け出しGKの脇を抜くゴール。
9月27日第7節ビジャレアル戦も後半11分に先制点をアシスト。
その後もスタメンに定着し、2024年2月26日第26節ラジョ・バジェカノ(Rayo Vallecano)戦では自身初の1試合2ゴール。
ミシェル(Míchel)監督の攻撃的なサッカーを具現化する中核選手の一人として、終盤までリーグ戦での優勝争いに加わるチームを牽引。ラ・リーガでは、全38試合のうち37試合に出場し、約3000分9得点10アシストの成績を収めた。
≪マンチェスターシティ≫
2024年7月18日マンチェスターシティがサーヴィオの獲得を発表。移籍金は固定2500万ユーロ(約43億円)、インセンティブを含めた総額は4000万ユーロ(約68億円)。
今後は欧州主要リーグでの活躍が見込まれ、数多くの記事、情報が入手できるようになると思われますので、当ブログでの更新は終了します。
≪クラブ試合記録≫
イタリック斜体は、2024年7月20日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
≪2019年 世代別代表≫
2019年8月28日、チリ代表とのU-15国際親善試合でエメルソン(Emersonn, アトレチコ・パラナエンセ)との途中交代で世代別代表初出場を記録。右ウィングでの出場。
2019年9月に開催されたボリビア代表、ペルー代表、ウルグアイ代表とのU-15国際親善大会に出場。23日ボリビア戦では中盤でスタメン出場。25日ペルー戦、27日ウルグアイ戦ではそれぞれ右ウィングで出場。
≪2019年 U-15南米ユース選手権≫
2019年11月23日、U-15南米ユース選手権が開幕。サーヴィオは背番号7をつける。 同日グループラウンド初戦、招待枠で出場するベルギー戦に右ウィングとしてスターティングイレブンで出場すると、代表初ゴールを記録。 25日ヴェネズエラ戦、27日ボリビア戦、29日ペルー戦にスタメン出場。グループラウンドは決勝進出を決めた後の最終節を除き全試合に出場。
12月5日、決勝ラウンド初戦(準決勝)、前半25分に右サイドライン際からサーヴィオが左足で上げたクロスをアルトゥール(Arthur, フルミネンセ)がゴール正面で合わせ先制。サーヴィオはアシストを記録。
決勝アルゼンチン戦(12月8日)にスタメン出場。前半40分にマテウス・ナシメント(Matheus Nascimento, ボタフォゴ)のヒールパスを受けシュートを放つが枠外へ。後半19分のカウンターからシュートを放つがポストに嫌われる。その後、交代するが、チームは1-1の引き分けからPK戦を5-3でものにし優勝を果たす。
サーヴィオは7試合中すべてスタメンで6試合に出場。1ゴール1アシストを記録した。
≪2020年-2022年 世代別代表≫
2020年11月の代表合宿に招集。グアラニーとの親善試合で1得点を記録。
2021年9月2日、5日に行われたパラグアイ代表との親善試合では、共にスタメン出場。5日の試合では、前半10分、マテウス・ナシメントからのパスをPA右で受けると冷静に左足でゴールを決める。
2021年11月に開催されたアメリカ代表、メキシコ代表、コロンビア代表とのU-18レヴェレーションズ杯では、第2戦メキシコ戦、第3戦コロンビア戦に出場。
2022年はPSVへの移籍もあり世代別代表への招集は見送られるが、2022年12月8日に発表された2023年U-20南米ユース選手権の代表メンバーに選出。2019年U-15南米ユース選手権に続き南米ユース選手権の優勝を狙う。
2023年に入りリオデジャネイロでのU-20南米ユース選手権に向けたトレーニングに合流するが、左足太ももに筋肉系の痛みを発症。そのまま代表チームに帯同するが、2023年2月3日にオランダPSVに戻り治療することがブラジルサッカー連盟(CBF)から発表。 U-20南米ユース選手権は試合に出場することなく離脱する。
≪2023年U-20W杯≫
2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/05/21 | グループR第1節 | イタリア | 2 – 3 | 45 | 0 | 1 |
2023/05/24 | グループR第2節 | ドミニカ共和国 | 6 – 0 | 76 | 1 | 1 |
2023/05/25 | グループR第3節 | ナイジェリア | 2 – 0 | 77 | 0 | 1 |
2023/05/31 | 決勝R1回戦 | チュニジア | 4 – 1 | 67 | 0 | 0 |
2023/06/01 | 決勝R準々決勝 | イスラエル | 2 – 3 | 73 | 0 | 0 |
合計 | 16 – 7 | 679 | 1 | 3 |
開幕節イタリア戦は後半開始時に交代出場。右サイドから細かいタッチと一瞬のスピードを発揮したドリブルで前半の嫌な流れを払拭すると、FWマルコス・レオナルドへのアシストを記録。
次戦以降は右サイドのウイング、サイドハーフとして先発出場。スピードを生かした守備ライン裏への抜け出しやドリブル突破を見せ、サイドから中央へ切り返してシュートを放ち、セットプレーではキッカーを務めるなど攻撃を牽引。豊かな運動量で守備面での貢献度も高い。球離れの悪さを感じさせる場面もあったが、一対一での勝率は非常に高く、ボールを持つたびに可能性を感じさせるプレーが印象に残った。
2023年に入りリオデジャネイロでのU-20南米ユース選手権に向けたトレーニングに合流するが、左足太ももに筋肉系の痛みを発症。そのまま代表チームに帯同するが、2023年2月3日にオランダPSVに戻り治療することがブラジルサッカー連盟(CBF)から発表。 U-20南米ユース選手権は試合に出場することなく離脱する。
≪2024年親善試合≫
2024年3月、ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)新監督率いる初の国際親善試合に向けたブラジル代表に初招集。
2024年3月23日イングランド戦にて後半33分、右ウィングとしてピッチに送り出され19歳での代表デビューを果たす。
2024年5月、アメリカにて開催される2024コパ・アメリカ代表に選出。
6月8日国際親善試合メキシコ戦にて先発に抜擢され、前半5分、MFアンドレアス・ペレイラ(Andreas Pereira)の先制ゴールをアシスト。
6月12日国際親善試合アメリカ戦にて後半20分に途中交代出場。
≪2024年コパ・アメリカ≫
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2024/06/24 | グループR第1節 | コスタリカ | 0 – 0 | 20 | 0 | 0 |
2024/06/28 | グループR第2節 | パラグアイ | 4 – 1 | 72 | 1 | 0 |
2024/07/02 | グループR第3節 | コロンビア | 1 – 1 | 17 | 0 | 0 |
2024/07/06 | 決勝R1回戦準々決勝 | ウルグアイ | 0 – 0 ( 2 – 4 ) | 8 | 0 | 0 |
合計 | 4 – 2 | 117 | 1 | 0 |
2024年6月24日コパ・アメリカGR第1節にて、後半25分に交代出場。ブラジルが優位に試合を進めながらもゴールを奪えない状況でピッチに立つ。右サイド深くで得意のドリブルから複数のクロスを上げ、数本のシュートを放つものの、ゴールに繋げることができないまま試合を終えた。
6月28日GR第2節パラグアイ戦では先発に抜擢され、前半43分、PA内左サイドでFWホドリゴが仕掛けシュート気味のクロス。GKが弾き、DFがクリアしたこぼれ球を右サイドから絞り込んでいたFWサーヴィオが左足で押し込み、代表初ゴール。
7月2日GR第3節コロンビア戦、7月6日準々決勝ウルグアイ戦に、いずれも後半途中から交代出場し、右サイドから好機を作り出したものの、ゴールには結びつかなかった。
<プレースタイル>
映像で見るかぎり、16歳(2020年)の頃に比べると、18歳(2022年)時点では体幹がしっかりとし、身体も十分に成長したように感じられる。
主に右サイドでのFW/ATAとしてプレー。ドリブルやオフ・ザ・ボールの動きでは右サイドから中央に向かうプレーが多い。アトレチコ・ミネイロでは両翼を広く使うことを好む監督のもとでもプレースタイルは変わらなかった(あえて監督が変えようとしなかったのか?)が、それがプレー時間が制限された要因かも知れない。 ヨーロッパでは左サイドでのプレーも含め、プレーの幅を広げる必要があるだろう。
左足から放たれるシュートやパスは精度が高く、世代別代表ではしばしばCKやFKを任される。
<雑感 etc.>
2018年に突如としてアトレチコ・ミネイロに発掘され、瞬く間にU-15南米ユース選手権代表に招集。レギュラーとして出場し、優勝を果たしたサーヴィオ。
その勢いは衰えず、16歳でプロデビューを果たし、海外移籍が可能となる18歳を迎えると間もなくシティグループのトロワACに移籍、2022/23年シーズンはレンタル移籍加入のオランダの強豪PSVでプレー。
日本の学制でいえば中学2・3年生でチームスポーツとして本格的にサッカーを始めた少年が、中学校卒業前後に大陸チャンピオン(U-15南米ユース選手権優勝)に輝き、高校卒業を目前にしてPSVのトップチームでプレーをしていると考えると、その成長スピードに驚かざるをえない。キャリアのスタートが遅かっただけにブラジルのサッカー文化に染まっていないであろう。一日も早くヨーロッパのサッカー文化を吸収し、ブラジルを代表する選手の一人としてヨーロッパで活躍することを期待したい。
(2023.09.28追記) 2023年のジローナでは、ミシェル(Michel)監督のもと、左サイドを中心に比較的自由に広いプレーエリアでプレー。ディフェンダーとの対峙では相手の重心移動をよく見た瞬間的なスピードで制し、スピードに乗ったドリブルではバランスを崩さない左右の揺さぶりや一気の加速でディフェンダーを置き去りに。パス、シュートの判断力も的確で開幕節からの7試合で2得点、4アシストを記録。 スペイン国カタルーニャ州バルセロナに拠点を置く「スポルト」紙は、第5節を終了した時点で「リーグ序盤ですでにリーグ最高のドリブラーの一人として認められる独特のクオリティと繊細で華麗なボールタッチを披露。僅かな期間でサヴィーニョはその才能を広く知らしめた」と報道している。