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全国選手権第8節 対戦組合せ
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/06/11 アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) x コリンチャンス(COR)
・2024/06/11 ジュヴェントゥージ(JUV) x ヴィトーリア(VIT)
・2024/06/11 ボタフォゴ(BOT) x フルミネンセ(FLU)
・2024/06/11 RBブラガンチーノ(RBB) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2024/06/13 クルゼイロ(CRU) x クイアバ(CUI)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第8節(2/2)[06/11-13]
・2024/06/13 インテルナシオナウ(INT) x サンパウロ(SAO)
・2024/06/13 フラメンゴ(FLA) x グレミオ(GRE)
・2024/06/13 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x クリシウーマ(CRI)
・2024/06/13 バイーア(BAH) x フォルタレーザ(FOR)
・2024/06/13 パウメイラス(PAL) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
全国選手権第8節 試合概要
アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) 2-2 コリンチャンス(COR)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2juu-7dqlbo
(COR) : 15' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#25 カカー(Cacá, 1999)]
(COR) : 62' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#10 ロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)]
(AGC) : 66' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(AGC) : 90+2' #10 シャイロン(Shaylon, 1997)[PK]
今節前の順位
アトレチコ・ゴイアニエンセは全国選手権1勝1分4敗勝点5の18位。
コパ・アメリカ代表選手なし。
コリンチャンスは全国選手権1勝2分4敗勝点5の17位。
コパ・アメリカ代表選手 :
CBフェリックス・トーレス(Félix Torres, 1997, エクアドル代表)
FWアンヘル・ホメーロ(Ángel Romero, 1992, パラグアイ代表事前登録)
得点シーン
(COR) : 15' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#25 カカー(Cacá, 1999)]
自陣右サイドライン際からCBカカーが前方にボールを蹴りだすと、FWユーリ・アウベルトがPA手前で確保し、マークに付かれながらもPAに侵入。DFとの間合いが少し開いた隙を突きFWユーリ・アウベルトが左足を振り抜くとボールはGKのニアサイドを突き抜けゴールネットを揺らす。アウェイのコリンチャンスが先制。[0-1]
FWユーリ・アウベルトは、サントス育成出身で、2017年11月全国選手権にて16歳のプロデビュー。2017年には南米U-17選手権(4試合2得点)、U-17W杯(4試合1得点)に出場。インテルナシオナウ、ゼニト/RUSを経て、2022年ロシアによるウクライナ侵攻後にコリンチャンスに期限付き移籍加入。2023年に完全移籍へ移行。2023年3月には国際親善試合モロッコ戦にて22歳の代表デビューを果たす。2024年はこの試合を終えた時点で25試合14得点1アシスト。
(COR) : 62' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#10 ロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)]
FWウェズレイ(Wesley. 2005)がPA左入口から後方に下がりながらゴール前ファーサイドへボールを送る。ゴールラインを割る寸前にMFロドリゴ・ガーロがマイナスのボール。FWユーリ・アウベルトがダイレクトに右足を合わせボールをゴールネットに突き刺す。[0-2]
MFロドリゴ・ガーロは、インスティトゥートACコルドバ/ARG育成出身のアルゼンチン国籍選手。同クラブから2019年3月アルゼンチン2部リーグにて21歳のプロデビュー。タジェーレス/ARGを経て、2024年1月に非公表ながら500万USDを上回ると推定される移籍金にてコリンチャンスに加入。全国選手権ではこれまでの全8試合に先発出場を果たすなど、22試合2得点4アシストを記録。背番号「10」を託されコリンチャンスの攻撃を指揮する。
(AGC) : 66' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
相手陣を右サイドから中央を経て左サイドへボールを展開。FWルイス・フェルナンド(Luiz Fernando, 1996)がPAの左からドリブルでPAに迫りゴール前にクロス。クリアを図ったCBカカーのヘディングがゴールに吸い込まれアトレチコ・ゴイアニエンセが1点差に迫る。[1-2]
FWルイス・フェルナンドは、アトレチコ・ゴイアニエンセ育成出身で、2015年2月ゴイアス州選手権にて18歳のプロデビュー。2016年、2017年と年間42試合に出場し、2018年に移籍したボタフォゴでキャリアハイの54試合に出場する(21歳)。2019年も53試合に出場するが、2020年にレギュラーの座を失いグレミオへ期限付き移籍。ボタフォゴ復帰後も出場機会は限られ、2022年4月全国選手権開幕を前に古巣アトレチコ・ゴイアニエンセに復帰。2023年は全国選手権2部ながらキャリアハイの19得点(8アシスト)を記録。2024年は、この試合を終えた時点で、26試合14得点4アシスト。ゴール数ではキャリアハイ更新が見込めるペースでゴールをマークしている。
(AGC) : 90+2' #10 シャイロン(Shaylon, 1997)[PK]
コリンチャンスSBウーゴ(Hugo, 1997)がゴールライン際でCKを避けようとボールを処理するが、そのボールがアトレチコFWマックス(Max, 2002)の元に流れる。ボールを取り戻そうとしたSBウーゴがFWマックスと接触。主審はアトレチコにPKの判定を下す。このPKをMFシャイロンがゴール正面に蹴り込み、アトレチコ・ゴイアニエンセが土壇場で同点に追いつく。[2-2]
MFシャイロンは、シャペコエンセ、サンパウロ育成を経て、2017年2月コパ・ド・ブラジルにて19歳のプロデビュー。サンパウロではポジションに定着できず、バイーアやゴイアスへ期限付き移籍を繰り返すが、いずれでもレギュラーの座を掴めず、2022年にアトレチコ・ゴイアニエンセに完全移籍を果たす。アトレチコ・ゴイアニエンセでは一年目からレギュラーの座を獲得し、55試合12得点4アシスト。二年目の2023年は53試合9得点13アシストと攻撃の要として活躍。2024年も28試合10得点12アシストを記録中。チームはいい内容の試合を見せているものの、結果が伴っていない状況だが、攻守にチームを牽引し1部残留に貢献したい。
試合経過、所感その他
ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:63% 37%
シュート(枠内): 前半:9‐5(4-2) ⇒ 前後半:21-6(7-3)
パス成功率: 前半:82% 74% ⇒ 前後半:86% 67%
Desarmes: 前半:7‐5 ⇒ 前後半:11-10
Faltas Cometidas: 前半:7‐5 ⇒ 前後半:12-12
コリンチャンスは、移籍交渉が進んでいるGKカルロス・ミゲウ(Carlos Miguel, 1998)が出場。エクアドル代表招集のCBフェリックス・トーレスに代わりCBグスタヴォ・エンヒキ(Gustavo Henrique, 1993)が入る。
アトレチコ・ゴイアニエンセは、前節は0-1の敗戦を喫したものの、最近の数試合は試合内容は安定しており、今節のスタメンは、ベテランFWヴァギネル・ロヴィ(Vágner Love, 1981)がベンチスタート、FWエミリアーノ・ロドリゲス(Emiliano Rodríguez, 2003)が先発に抜擢される。
降格圏に低迷する両チームによる一戦は、キックオフからオープンな展開。
前半2分、コリンチャンスがFK、CKと相次いでセットプレーからゴールを狙うと、一方のアトレチコ・ゴイアニエンセも前半4分、VOLバラーリャス(Baralhas, 1998)の叩きつけるヘディングシュートをGKカルロス・ミゲウがCKに逃れる。
前半15分、FWユーリ・アウベルトの個人技でコリンチャンスが均衡を破る。
前半25分、コリンチャンスCBグスタヴォ・エンヒキが相手のカウンターをファールで止めイエローカード。前半34分には、スローインから素早いリスタートを図る相手選手を押し倒し2枚目のイエローカードを提示され退場。コリンチャンスは10人での試合を余儀なくされる。
後半17分、数的不利のコリンチャンスがFWユーリ・アウベルトのこの試合2点目のゴールで追加点。しかし、4分後の後半21分にアトレチコ・ゴイアニエンセがオウンゴールにより1点差に詰め寄る。
その後は、アトレチコ・ゴイアニエンセが猛攻を仕掛け、コリンチャンスはカウンターの手がかりもなく防戦一方となるが、GKカルロス・ミゲウの再三の好守でゴールマウスを守り続ける。
しかし、後半アディショナルタイムにコリンチャンスはPKを献上。これをアトレチコ・ゴイアニエンセMFシャイロンがゴール正面に決め2-2の同点。その後もアトレチコ・ゴイアニエンセは逆転すべく相手ゴールを襲うがゴールを奪うことは出来ず、2-2のままタイムアップ。降格圏に低迷する両チームはいずれも勝点「1」を獲得するにとどまった。
アトレチコ・ゴイアニエンセは、ホームで積極的な試合を展開したが、守備面の脆さもあり、一人少ない相手から勝点「3」を奪えなかった。とは言え、後半アディショナルタイムでの同点劇で勝点「1」を獲得。降格圏に低迷するライバルから勝点「2」を奪ったことは評価でき、痛し痒しの結果となった。
試合内容は、前半はスピードがあり効果的なカウンターを見せ、相手から退場者を誘発。後半は全員が自陣深くでブロックを構築するコリンチャンス守備網とGKカルロス・ミゲウの好守になかなか得点を奪えなかったが、何度も守備を崩すような場面を創出し、今後の戦いに向け明るい兆しが見られた。
相手の得点源FWユーリ・アウベルトへのマークが甘く、2失点を喫した点を改善し、6月15日全国選手権第9節フルミネンセ戦に挑みたい。
コリンチャンスは早い時間帯に先制し、後半に追加点を奪ったものの、前半のうちにCBグスタヴォ・エンヒキが軽率なプレーで2枚のイエローカードをもらい、自ら試合を難しくした。
1失点目は、FWユーリ・アウベルトが自陣深くまで下がり、FWルイス・フェルナンドのマークに付いたものの、そのサポートが遅くクロスを上げられてのもの。その後も選手交代を通じて守備的な選手を厚くしたものの、自陣深くに全員が下がって耐える守備は20分以上耐えることができなかった。
次節は、代表CBフェリックス・トーレスに続きCBグスタヴォ・エンヒキも出場停止。この試合の後半に出場したCBカエタノ(Caetano, 1999)も経験という点では問題ないが、196cmのCBグスタヴォ・エンヒキに対し182cmと高さがなく、空中戦で不安が残る。
この試合でパリSG/FRAから期限付き移籍中のVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)が今季初出場を果たしたが、明らかに試合のリズムに乗り切れていなかった。契約期限は6月末と残りわずか。コリンチャンスでの勇姿をサポーターの目に焼き付け、パリへと旅立ちたい。
ジュヴェントゥージ(JUV) 1-1 ヴィトーリア(VIT)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=jhjEAWq9daE
(JUV) : 34' #34 ホドリゴ・サン(Rodrigo Sam, 1995)[#10 ネネー(Nenê, 1981)]
(VIT) : 42' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#16 ルーカス・エステヴィス(Lucas Esteves, 2000)]
今節前の順位
ジュヴェントゥージは全国選手権2勝4分1敗勝点9の12位。(1試合未消化)
コパ・アメリカ代表選手なし。
ヴィトーリアは全国選手権0勝2分5敗勝点2の20位。
コパ・アメリカ代表選手なし。
得点シーン
(JUV) : 34' #34 ホドリゴ・サン(Rodrigo Sam, 1995)[#10 ネネー(Nenê, 1981)]
SBエヴェルトン(Ewerthon, 2000)の強烈なミドルシュートから獲得した左CK。MFネネーが左足で上げたボールに、ファーサイドからニアサイドに動いたCBホドリゴ・サンがDFの前で頭を合わせる。CBホドリゴ・サムが先発起用に応える先制点。[1-0]
CBホドリゴ・サンは、2014年1月にサンパウロ州下位リーグのマリーリアから18歳のプロデビュー。同年は18試合に出場し、翌2015年にコリンチャンスU-20チームに移籍。2015年3月サンパウロ州選手権にてトップチームの試合に出場するが、以降は出場機会は訪れず、期限付き移籍や、その後移籍したアグア・サンタなど、多くのクラブでプレーする。2023年全国選手権2部ミラソウでのプレーが評価され、全国選手権再昇格を果たしたジュヴェントゥージに加入。プロ9年目、28歳にして初めてプレーする全国選手権1部での5試合など、2024年は14試合に出場。全国選手権1部初ゴールを記録した。
(VIT) : 42' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#16 ルーカス・エステヴィス(Lucas Esteves, 2000)]
自陣右サイドからのサイドチェンジから左サイドへボールを展開し、FWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)がサイドライン際を縦にボールを送る。SBルーカス・エステヴィスがゴールライン手前からPA中央入口へグラウンダーのボールを送ると、VOLウィリアン・オリヴェイラがダイレクトに左足を合わせる。ボールはクロスバーを直撃し跳ね返されるが、GKの背中に当たりゴールに吸い込まれ、ヴィトーリアが同点に追いつく。[1-1]
VOLウィリアン・オリヴェイラは、フルミネンセ育成出身で2013年に19歳のプロデビュー。同年は全国選手権8試合500分などデビュー年としては多くのプレー時間を記録する。しかし、その後2018年まではフルミネンセからの期限付き移籍、2019年以降は主に単年契約で複数のクラブを渡り歩く。2022年セアラーからの期限付き移籍でクルゼイロでプレー、43試合に出場しチームの1部昇格に貢献。2023年はゴイアスへ完全移籍を果たしキャリアハイの55試合の出場。2024年は全国選手権1部再昇格のヴィトーリアへ移籍し、26試合2得点1アシストを記録中。空中戦に強く前への推進力のあるボランチ。
試合経過、所感その他
ボール保持率: 前半:54% 46% ⇒ 前後半:56% 44%
シュート(枠内): 前半:6‐5(2-1) ⇒ 前後半:9-16(2-4)
パス成功率: 前半:84% 81% ⇒ 前後半:84% 81%
Desarmes: 前半:5‐5 ⇒ 前後半:12-11
Faltas Cometidas: 前半:6‐6 ⇒ 前後半:16-8
ジュヴェントゥージは、1-0の勝利で終えた前節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦からスタメンを若干変更。出場停止のSB(João Lucas, 1998)、試合中のケガで途中退場したCBゼ・マルコス(Zé Marcos, 1998)に代わり、今期2試合目のSBエヴェルトン(Ewerthon, 2000)と、CBホドリゴ・サン(Rodrigo Sam, 1995)が先発に名を連ねる。
ヴィトーリアは、全国選手権未勝利。4試合目の采配となるチアゴ・カルピーニ(Thiago Carpini)監督だが、コパ・ド・ブラジルを含め未だ白星はない。
今節のスタメンは、0-0の引き分けに終えた前節クイアバ戦と同じ顔ぶれ。組織的な守備から攻撃への効率的な移行で相手ゴールに迫りたい。
ジュヴェントゥージがホームサポーターの声援を後押しにコンパクトで組織的なサッカーで試合を優位に進める。
前半23分、左サイドからPAファーサイドへのボールを折り返しFWエリキ・ファリアス(Erick Farias, 1997)がボレーシュートを放つが僅かにゴールポストの外へ。前半32分、相手陣左サイドからサイドチェンジ、中央やや後方へ下げたボールをSBエヴェルトン(Ewerthon, 2000)の強烈なミドルシュートを放つがGKが辛うじてCKに逃れる。
しかし、このミドルシュートで獲得したCKからCBホドリゴ・サンの今季初ゴールでジュヴェントゥージが先制する。
さらに、ジュヴェントゥージは前半37分、右サイドからのクロスボールにFWマルセリーニョ(Marcelinho, 2002)がダイビングヘッドを見せるがボールは僅かに枠を捉えない。さらにさらに、前半38分、自陣からのロングカウンターから左サイドからのボールをPA内右で受けたVOLジャジソン(Jádson, 1993)がシュートに持ち込むが、胸トラップがやや強くなり、GKに間合いを詰められシュートは枠を捉えない。
ジュヴェントゥージが好機を相次いで逃すと、ヴィトーリアが前半42分、ピッチを広く使った展開から最後はVOLウィリアン・オリヴェイラのゴラッソで同点に追いつく。
さらに、前半45+2分、MFマテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)が右サイドPA手前からミドルシュート。これはジュヴェントゥージGKガブリエウ(Gabriel, 1992)が横に跳び両手で弾き返す。
後半開始時に、ヴィトーリアは2選手を交代、中盤での劣勢にテコを入れる。すると、ヴィトーリアは中盤での固い守備から素早い攻撃への移行がスムーズになり相次いでジュヴェントゥージゴールに迫る。
一方のジュヴェントゥージも後半11分に前線の2選手を交代、一時的に劣勢を跳ね返すが、ヴィトーリアも後半20分の交代カードで攻撃的な2選手を投入し、試合の主導権を握り返す。
ヴィトーリアは、ボールを持たせながらも早い寄せでボールを奪い、素早くボールを前方に運び、たびたびシュートに持ち込んでいく。しかし、最後の精度に欠き、勝ち越しゴールを奪うことができない。
前半はジュヴェントゥージがヴィトーリアGKルーカス・アルカンジョ(Lucas Arcanjo, 1998)の前にチャンスをものにすることができず、後半はヴィトーリアが試合を支配しながらもシュートの多くが枠を捉えず、1-1のままタイムアップ。両チームともに多くのチャンスを演出しながらも、最後の精度に欠ける課題が浮き彫りとなり、勝点「1」を分け合う結果に終えた。
ジュヴェントゥージは、前半は、左右にボールを散らし揺さぶる展開からシュートに持ち込むシーンが多く、守備面でもヴィトーリアのカウンターに無難に対応していたが、後半は相手ゴール前にボールを運ぶ過程でボールを失うシーンが多くなり、試合の主導権を持っていかれ、ホームで勝点「3」を勝ち取ることができなかった。
しかし、チャレンジ&エラーを繰り返しながらも、ホージェル・マシャード(Roger Machado)監督のサッカーが試合を重ねるにつれ浸透しており、チームとしての成長が感じられた。攻撃面では大ベテランMFネネーに依存する面が多く、交代要員として連戦に投入されるMFマンダカ(Mandaca, 2001)の成長を期待したい。
ヴィトーリアは、前半は劣勢の時間帯が続いたものの、前半間際の同点ゴール、ハーフタイムの修正や選手交代を通じて、後半は相手を上回る試合展開に持ち込んだ。全国選手権開幕以降、いい内容の試合を繰り返しながらも勝ち星から見放されているが、善戦に区切りをつけ、勝ち星を積み重ねたい。
ボタフォゴ(BOT) 1-0 フルミネンセ(FLU)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=J_LiwViPxxU
(BOT) : 66' #15 バストス(Bastos, 1991)[#22 ダミアン・スアレス(Damián Suárez, 1988)]
今節前の順位
ボタフォゴは全国選手権4勝1分2敗勝点13の3位。
コパ・アメリカ代表選手 :
FWサバリーノ(Savarino, 1996, ベネズエラ代表事前登録)
フルミネンセは全国選手権1勝3分3敗勝点6の15位。
コパ・アメリカ代表選手 :
FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997, コロンビア代表事前登録)
得点シーン
(BOT) : 66' #15 バストス(Bastos, 1991)[#22 ダミアン・スアレス(Damián Suárez, 1988)]
右CKのキッカーはSBダミアン・スアレス。右足から上げられたボールはゴールから離れながらゴール前へ。競ることなくスタンディングで跳んだCBバストスがフリーの態勢で頭を合わせゴールネットを揺らす。[1-0]
CBバストスは、アンゴラ代表として54試合2得点の実績を誇る。2016/17~2020/21はラツィオ/ITAでプレーし94試合9得点の成績を残しコパ・イタリアのタイトルを持つ。ボタフォゴには2023年8月にアル・アハリ・サウジ/KSAから加入。当初は出場機会に恵まれなかったが、2024年4月のアルトゥール・ジョルジ(Artur Jorge)監督の就任と共にレギュラーの座を獲得し、23試合2得点を記録中。好調のチームを最終ラインから牽引している。
試合経過、所感その他
ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:15‐4(4-0) ⇒ 前後半:20-6(6-0)
パス成功率: 前半:86% 85% ⇒ 前後半:80% 85%
Desarmes: 前半:8‐4 ⇒ 前後半:20-10
Faltas Cometidas: 前半:9‐5 ⇒ 前後半:21-13
ボタフォゴは、いつもの通りスリーボランチの4-3-3の布陣だが、VOLダニーロ・バルボーザ(Danilo Barbosa, 1996)が出場停止のため、VOLグレゴリ(Gregore, 1994)が先発。代表招集のFWサバリーノに代わりFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)がケガ明け3戦目にしてスタメンに復帰。
フルミネンセは、右SBサムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)が4月25日以来の試合をスタメンとして復帰。スリートップはFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)の脇をFWジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)とFWマルキーニョス(Marquinhos, 2003)が固める。
自陣から短いパスを繋ぎ攻撃を組み立てる両チームによる一戦は、ボタフォゴがボールを前に運ぶ意識が相手を上回り、序盤から前線にVOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)を筆頭にボランチ陣が絡み、相次いでフルミネンセゴールに迫る。
前半19分、ボタフォゴは相手陣PA脇でボールを奪い、FWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)がシュートに持ち込むが、フルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)が片手で阻止。さらに前半24分、自陣でのボール奪取から前方にボールが送られると、相手陣に抜け出しGKと一対一。しかし、シュートはゴールポストを僅かに逸れる。
一方のフルミネンセも、前半28分、左サイドからSBマルセロ(Marcelo, 1988)がPA入口へアーリークロス。走り込んだFWマルキーニョスが頭を合わせるが、ボールはゴールポストを叩き弾き返される。
前半38分、ボタフォゴは左サイドから中央へボールが運ばれFWチキーニョ・ソアレスがヒールパス。後方から走り込んだFWルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)が強烈なシュートを放つが、GKファビオが横に倒れ込みながら両手で弾き返す。
以降も前半終了までボタフォゴが猛攻を仕掛けるものの、フルミネンセはGKファビオを中心に耐え続ける。
後半12分、ボタフォゴは右サイドでボールを受けたFWルイス・エンヒキが中央へドリブルで切れ込みシュート。しかし、またもやGKファビオが立ちはだかる。
後半21分、GKファビオの再三の好守も虚しく、ボタフォゴがCKから先制。
ボタフォゴは、その後疲れの見える選手を中心に選手交代を行うが、戦術に変更はなく攻撃的な試合を継続。フルミネンセもいつものようにCBを下げ攻撃な選手を投入する交代策を見せるが、効果的にボールを前線に送ることができず試合は終了。
ボタフォゴがホームでのクラシコで1-0の勝利を収めた。
ボタフォゴは、公式戦2引き分けを挟み5連勝、全国選手権は暫定ながら首位に立った。アルトゥール・ジョルジ監督就任後暫くは守備の再構築に手間取ったが、この試合での零封で無失点試合は3試合連続。得点はわずか1得点に終えたが、縦に速さと厚みのある攻撃は迫力があり、デザインされたセットプレーも得点源となっており、今しばらくは勢いは衰えないように思われる。
フルミネンセは、スタッツ上ではボール保持率は上回ったものの、シュート数は僅かに6本、枠内シュートはゼロに終わり、決定的な場面は前半28分のFWマルキーニョスのヘディングシュートしかなかった。
2022年の全国選手権得点王のFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)は公式戦8試合ゴールなし。VOLアンドレ(André, 2001)の復帰はまだしばらく時間を要し、コロンビア代表FWジョン・アリアスは最大10試合に欠場。昨年から固定化された選手起用による層の薄さはボディブローのように効いている。
RBブラガンチーノ(RBB) 1-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=lBjsheU4Hg4
(RBB) : 25' #8 ルーカス・エヴェンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)[#11 エリーニョ(Helinho, 2000)]
(CAM) : 42' #15 サラーチョ(Zaracho, 1998)[]
(CAM) : 44' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#17 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)]
今節前の順位
RBブラガンチーノは全国選手権3勝3分1敗勝点12の6位。
コパ・アメリカ代表選手 :
SBアンドレス・ウルタド(Andrés Hurtado, 2001, エクアドル代表)
アトレチコ・ミネイロは全国選手権2勝4分0敗勝点10の10位。(1試合未消化)
コパ・アメリカ代表選手 :
SBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997, ブラジル代表)
MFアラン・フランコ(Alan Franco, 1998, エクアドル代表)
FWバルガス(Vargas, 1989, チリ代表事前登録)
得点シーン
(RBB) : 25' #8 ルーカス・エヴェンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)[#11 エリーニョ(Helinho, 2000)]
右ショールズから戻りのボールを受けたFWエリーニョがPA手前の高さまで下がり真横にボールを送る。ゴール正面やや左の位置でMFルーカス・エヴェンジェリスタがダイレクトにシュートを放つと、ボールはゴールネットに突き刺さる。デザインされたプレーでRBブラガンチーノが先制。[1-0]
MFルーカス・エヴェンジェリスタは、2015年U-20南米ユース選手権にて6試合に出場。2013年6月全国選手権にてサンパウロから18歳のプロデビュー。2014年8月ウディネーゼ/ITA、2018年7月ナント/FRAに移籍するが、いずれも多くの出場機会に恵まれず、期限付き移籍でギリシャやポルトガルでプレーする。2020年8月ナントからの期限付き移籍でRBブラガンチーノに加入し、一年後の2021年7月に買取オプションが行使され完全移籍へ移行。RBブラガンチーノ加入時から主力として活躍する。2024年は2月のケガで2か月チームを離脱。復帰後は交代出場がコンディションを上げ、最近の4試合はスタメン出場。このゴールが19試合目にして今季初ゴールとなった。
(CAM) : 42' #15 サラーチョ(Zaracho, 1998)[]
RBブラガンチーノVOLマテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)が自陣PA手前でアトレチコMFサラーチョとの空中戦でボール処理をミス。流れたボールをGKクレイトン(Cleiton, 1997)がクリアに前に出るが、MFサラーチョがシュートに持ち込むのが早く、ゴールネットを揺らす。[1-1]
MFサラーチョは、アルゼンチン代表として2019年3月モロッコ戦での出場履歴を有する。また、2017南米ユース選手権(2試合1得点)、2017U-20W杯(5試合)に出場。2017年6月リーグ戦にてラシン・クラブ/ARGから19歳のプロデビュー。2020年10月に500万ユーロ相当の移籍金でアトレチコ・ミネイロに移籍。2021年には全国選手権32試合など年間58試合に出場し13得点6アシストを記録。2022年43試合2得点4アシスト、2023年44試合3得点2アシストと主力級の働きを続けている。中盤での攻守に献身的なプレーで、チームの2021年全国選手権&コパ・ド・ブラジル二冠などに貢献している。
(CAM) : '44 #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#17 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)]
アトレチコVOLイゴル・ゴメスが自陣PA手前から相手ボールをクリアする形で前方にボールを蹴りだすと、FWパウリーニョが並走するDFに体を当てられながらもしっかりと足を振り抜きゴール。アトレチコ・ミネイロが3分間で試合をひっくり返す。[1-2]
試合経過、所感その他
ボール保持率: 前半:54% 46% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:9‐7(3-3) ⇒ 前後半:15-9(6-4)
パス成功率: 前半:74% 75% ⇒ 前後半:80% 77%
Desarmes: 前半:8‐7 ⇒ 前後半:12-16
Faltas Cometidas: 前半:10‐7 ⇒ 前後半:18-18
RBブラガンチーノは、エクアドル代表SBアンドレス・ウルタドが欠場となるが、右SBは従来からナタン・メンデス(Nathan Mendes, 2002)が併用されており、また、スリーバックの布陣で中盤の選手を右WBとして起用することもあり、マイナス要素はあまり多くない。
今節のスタメンは、2-0の勝利を収めた前節グレミオ戦から股関節の不調を訴えたCBペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1995)に代わりSBエドゥアルド・サントス(Eduardo Santos, 1997)が入る。
アトレチコ・ミネイロは、代表招集の3選手に加え、FWフッキ(Hulk, 1986)がケガのため欠場。FWフッキに代わり成長著しいFWカドゥ(Cadu, 2004)が入り、CBには2024年デビューで初先発となるCBホームロ(Rômulo, 2004)を抜擢するなど、1-1に終えた前節バイーア戦から、3つのポジションでスタメンを変更。スタメン起用が続くFWアリソン(Alisson, 2005)もスタメンに顔を並べ平均年齢の若いスタメンが構成された。
試合は、RBブラガンチーノが立ち上がりから多くの時間をアトレチコ・ミネイロ陣内で人もボールも連動し、左右にボールを散らしながら、シュートも積極的に放つ試合展開。相手ボールも高い位置での寄せでボールを奪い取り、試合の主導権を握る。
一方のアトレチコ・ミネイロは、相手のプレスに苦しみながらも、時折FWパウリーニョとFWカドゥがカウンターで相手陣にボールを運ぶが、RBブラガンチーノの両CBの適切な対応にチャンスを迎えることができない。
RBブラガンチーノペースで試合が続くと、前半25分にRBブラガンチーノがCKからデザインされたプレーによるMFルーカス・エヴェンジェリスタのゴラッソで先制。その後も先制前と同様のサッカーで試合を進めていく。
しかし、前半42分、RBブラガンチーノは自陣からのCBエドゥアルド・サントスの前線へのパスがカットされ、その跳ね返りのボールをVOLマテウス・フェルナンデスが処理ミス、そのカバーに前に出たGKクレイトンもボールを遠ざけることができず、RBブラガンチーノは自陣でのミスを重ね同点に追い付かれる。。
さらにその2分後の前半44分には、相手陣PA近辺でのボール回しをカットされ、一気に前方にボールを送られ、瞬く間に逆転を喫する。
後半開始時にRBブラガンチーノはケガ明けで一か月ぶりの実戦となるFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)を投入。すると、後半7分、右サイドからのFKにSBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)が頭を合わせるがGKエヴェルソン(Éverson, 1990)が片手で掻き出し、後半12分、FWエドゥアルド・サーシャのクロスにFWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)が頭を合わせるが、GKエヴェルソンが横に跳びながらしっかりと両手でキャッチ。RBブラガンチーノは同点のチャンスを逸する。
一方のアトレチコ・ミネイロは、後半22分、自陣からのボールにFWカドゥがDFにユニフォームを掴まれながらも、それを振りほどき、ドリブルでボールを運びゴールネットを揺らす。しかし、VARによりDFと競り合った際のハンドが検出されノーゴール。
その後、アトレチコ・ミネイロは、選手交代を通じて試合を均衡状態へと持ち込み、さらには試合のペースを落として、試合をコントロール。後半45分にRBブラガンチーノFWエドゥアルド・サーシャが暴言で一発退場となり試合終了。
アウェイのアトレチコ・ミネイロが、勝点「3」を持ち帰る結果に試合は終えた。
RBブラガンチーノは、相手陣でボールを支配し展開する、チームを象徴するサッカーをホームで披露したものの、前半終了間際の3分間で2点を奪われ逆転負けを喫した。
MFマテウス・フェルナンデスは前半はチームを後方から指揮、コントロールしていたが、前に出たCBのカバーに入った最終ラインで致命的なミスを犯しハーフタイムで交代。後半は立ち上がりこそRBブラガンチーノがゴールに迫ったものの、MFマテウス・フェルナンデスを失ったことで次第に主導権を失い、最後は試合の形勢を逆転され試合を締められた。
改めてサッカーの難しさを実感させられた。
2023年の就任以来、ペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)監督は、観ていて面白いサッカーを展開し、その戦術はチームに着実に浸透してはいるものの、詰めの甘さが散見される。2023年全国選手権は、終盤に首位が狙える位置につけたが連敗を喫し首位争いから脱落。2024年に入ってからは、期待されたサンパウロ州選手権が準決勝止まりと、ここ一番での勝負弱さが垣間見える。
まだ全国選手権は8節を終えたところ。カップ戦もコパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナは勝ち残っている。面白いサッカーを展開したところで結果が伴わなければ評価されない世界。3大会のいずれかで優勝、もしくは、それに近い成績を残してもらいたいと思うし、それだけの選手層、戦術を備えていると信じたい。
アトレチコ・ミネイロは、コパ・アメリカ招集メンバーとFWフッキを欠く試合となったが、事前に準備を整え、選手の入れ替えは最小限にとどめ、かつ、若手選手を複数起用して、難敵を相手に勝点「3」を獲得。ガブリエル・ミリット(Gabriel Milito)監督の長中期的な視野と足元の試合の両方を上手くバランスをとった采配の妙が発揮された。
監督の就任以来、成績は10勝5分2敗。2敗の内訳は、決勝ラウンドに進出を決めた後のリベルタドーレスと、コパ・ド・ブラジルでの2点差のリードを受けた2ndレグ。全国選手権は3勝4分と無敗を継続している。今後は日程がさらに厳しくなり、各大会で優勝候補の一角として他チームのマークも厳しくなるだろうが、この安定感はシーズン最後まで崩れないように思われる。
クルゼイロ(CRU) 2-1 クイアバ(CUI)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=tPzTBvm6HJA
(CRU) : 45+1' #10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)[#12 ウィリアン(William, 1995)]
(CUI) : 64' #9 イシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 1999)[PK]
(CRU) : 67' #8 ハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)[#10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)]
今節前の順位
クルゼイロは全国選手権3勝1分2敗勝点10の9位。(1試合未消化)
コパ・アメリカ代表選手 :
MFホセ・シフエンテス(José Cifuentes, 1999, エクアドル代表)
クイアバは全国選手権1勝1分5敗勝点4の19位。
コパ・アメリカ代表選手なし。
得点シーン
(CRU) : 45+1' #10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)[#12 ウィリアン(William, 1995)]
相手陣に入った位置中央からVOLルーカス・ロメロ(Lucas Romero, 1994)が右サイドライン際にボールを送る。ボールを受けに下がっていたMFマテウス・ペレイラがPA目掛け猛然と駆け上がるのを見た右SBウィリアンがゴール前にクロス。両CBとGKの間に落ちるピンポイントのボールにMFマテウス・ペレイラが頭を合わせゴールネットを揺らす。[1-0]
VOLウィリアンは、3試合に出場した2016リオ五輪金メダリスト。インテルナシオナウ育成出身で2015年3月州選手権にて両サイドのSBのケガのため先発に抜擢され19歳のプロデビューを果たすと、そのままポジションに定着。デビューから2年半で118試合1得点6アシストの成績を収め、ヴォルフスブルク/GERへ移籍。ヴォルフスブルクでも主力として2017年9月のクラブデビューから2020年2月までに82試合5得点5アシストの記録を残すが、膝への大ケガのため、その後はほとんど試合に出ず、2021/22年終了後に契約満了。1年半以上のブランクを置いて2023年を前にクルゼイロと契約すると、ケガ前のコンディションに近づき40試合に出場。2024年はこれまでチーム全試合の26試合に出場。クルゼイロの上位躍進への貢献は大きい。
(CUI) : 64' #9 イシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 1999)[PK]
自陣からFWクレイソン(Clayson, 1995)が左サイドをドリブルでボールを持ちあがり、内に切れ込みながらPAに侵入。DFに足を掛けられ転倒し、クイアバがPKを獲得。これをFWイシドロ・ピッタがグラウンダーのシュートでゴール右にボールを蹴り込みクイアバが同点に追いつく。[1-1]
FWイシドロ・ピッタは、セロ・ポルテーニョ育成出身のパラグアイ国籍選手。ポルトガルやスペインにて下位リーグでのプレー歴も持つ。2023年にクイアバに加入し、同年はいずれもキャリアハイとなる46試合12得点7アシストを記録。2024年はセンターフォワードとして定着し、この試合を終えた時点で、33試合16得点2アシスト。得点は前年の12得点を上回るキャリアハイをすでに更新。
FWクレイソンは、2022年7月‐2023年6月にV・ファーレン長崎/JPNにてプレーし25試合4得点。2023年7月にクイアバに加入すると、スピード豊かなウィンガーとして、左右にピッチを広く使う戦術にフィットし、半年間で23試合7得点2アシストを記録。2024年もチームの主力として、この試合を含め、30試合6得点2アシストと安定した成績を収めている。
(CRU) : 67' #8 ハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)[#10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)]
クルゼイロは相手陣左サイドでのパス交換からMFマテウス・ペレイラが中央を向きPA中央へグラウンダーのパス。ボールに対し横からアプローチしたFWハファ・シウヴァはDFの間で一歩後方に踏み出しボールを呼び込むと、縦に反転してゴールに向かいシュート。ボールはファーサイドのゴールネットを揺らし、クルゼイロが勝ち越し。[2-1]
FWハファ・シウヴァは、アルビレックス新潟/JPNで3年62試合26得点、浦和レッズ/JPNで1年42試合21得点2アシストを記録する経歴を持つ。2024年シーズン前に2022年にプレーしたクルゼイロに復帰。シーズン序盤はほとんど出場機会に恵まれなかったものの、フェルナンド・サエブラ(Fernando Seabra)監督就任後の全国選手権開幕節ボタフォゴ戦にて先発に抜擢、ゴールという結果を残すと、以降は全12試合(うち先発11試合)に出場、4得点を記録している。
試合経過、所感その他
ボール保持率: 前半:54% 46% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:6‐5(3-0) ⇒ 前後半:13-14(7-5)
パス成功率: 前半:84% 78% ⇒ 前後半:85% 83%
Desarmes: 前半:10‐5 ⇒ 前後半:18-8
Faltas Cometidas: 前半:5‐5 ⇒ 前後半:8-12
クルゼイロは、フェルナンド・セアブラ(Fernando Seabra)監督が就任し7勝3分2敗と好調。攻撃的なサッカーが特長で、就任直後は不用意な失点により勝ち星を逃す試合も見られたが、最近の試合では守備面の成長も見られる。
前節サンパウロ戦は、試合直後の失点、前半での退場者など、不本意な内容の試合で7試合ぶりの黒星を喫したが、今節のスタメンは出場停止の左SBマルロン(Marlon, 1997)に代わり、パリ五輪南米予選でのケガ以来試合から遠ざかり前節にて復帰を果たした左SBカイキ(Kaiki, 2003)を入れた変更のみ。
クイアバは、全国選手権では無得点での連敗が続いていたが、6月9日順延された第6節クリシウーマ戦で5-2の快勝。プチ(Petit)監督就任後は公式戦3勝2分1敗とチームは立て直されていたが、全国選手権でも結果が表れた。
今節のスタメンの変更は、出場停止の右SBマテウス・アレシャンドレ(Matheus Alexandre, 1999)に代わり右SBハイラン(Railan, 2000)のみ。両者はこれまで併用されておりスタメン変更の不安はない。
ホームのクルゼイロがボールを支配し、アウェイのクイアバが自陣でコンパクトな守備網を敷きFWイシドロ・ピッタを中心にカウンターを狙う展開で試合は始まる。
ゴール前に効果的にボールを運べないクルゼイロは、前半10分を過ぎて相次いでミドルシュートを放ち、DFを前へ引き出そうとするが、クイアバの守備陣は穴を作らない。
一方のクイアバは、左サイドのFWクレイソン、右サイドのFWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)のスピードを生かしたカウンターを狙うが、クルゼイロ守備陣がしっかりとした対応でピンチを未然に防いでいく。
前半41分、クイアバは、自陣でボールを受けたFWジョナタン・カフーがドリブルでDFのタックルを2度かわし、左前方にボールを送り3対2の状況を作り出す。ボールはゴール正面に送られ、ボールを受けたFWイシドロ・ピッタがPA内で倒される。しかし、ノーファールの判定。プレーは続き、クイアバは再びPA内でボールを繋ぐと、最後はFWクレイソンがシュート。しかし、ボールは大きく枠を越えていく。
前半45+1分、クルゼイロは、MFマテウス・ペレイラの相手守備網を縦断し、SBウィリアンのピンポイントクロスに頭を合わせ待望の先制点を奪う。
後半はリードを許すクイアバがボール保持を高めクルゼイロ陣で試合を進める時間が長くなる。
後半19分、クイアバはGKから左サイドを縦にボールを繋ぎ、FWクレイソンがドリブルでPAに侵入し倒されPKを獲得。これをFWイシドロ・ピッタが決め同点。
しかし、その3分後の後半22分、クルゼイロは左サイドで執拗にボールを繋ぎ、後半始めに負傷退場となったMFアルバロ・バレアル(Álvaro Barreal, 2000)に代わり攻撃の指揮を執っていたMFマテウス・ペレイラが縦パス、FWハファ・シウヴァが絶妙の動きで最終ライン裏に抜け出しゴール。すかさずクルゼイロが勝ち越しゴールを奪う。
勝ち越したクルゼイロは直後に若い3選手を投入、中盤の運動量を保ちクイアバの反撃を封じ、試合はタイムアップ。
ホームのクルゼイロが2-1の勝利を収めた。
クルゼイロは前節での敗戦を払拭、勝点を「13」に伸ばし、1試合未消化の状況で首位まで勝点「4」差の7位に浮上。一気に上位を狙えるポジションまで順位を上げてきた。
この試合では、後半にFWホベルチ(Robert, 2005)、MFヴィチーニョ(Vitinho, 2004)、MFジャパ(Japa, 2004)の将来性のある若手選手を一気に投入。得点に絡むことはなかったものの3選手とも持ち味を発揮。さらには、グレミオでコパ・ド・ブラジルやリベルタドーレスのタイトルを獲得した経験豊かなVOLハミーロ(Ramiro, 1993)を最後に投入し、試合を落ち着かせた。
育成カテゴリーでの評価は高かったものの、トップチームでの実績に乏しいセアブラ監督だが、監督自身試合を経るごとに成長を遂げており、全国選手権中盤から終盤に向けて、セアブラ監督の采配に注目していきたい。
クイアバは、プチ監督の戦術が浸透し、固い組織的な守備から前線のスピードを生かしたサッカーを展開。リードを許した後半はGKからボールを繋ぎPKを獲得して一時は同点に追いついたものの、直後の失点であえなく敗戦を喫した。
プチ監督は、選手起用の面では、過去の実績にとらわれず、自らの戦術に適した選手をフラットな視線で選択。チームは再建途上ではあるが、選手間のポジション争いが白熱し、今選手層の強化へと繋がっていくと思われる。