【ブラジル全国選手権2024】第9節(2/2)[06/15-17]

投稿者: | 2024年6月15日

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全国選手権第9節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第9節(1/2)[06/15-17]
・2024/06/15 RBブラガンチーノ(RBB) x ジュヴェントゥージ(JUV)
・2024/06/15 フルミネンセ(FLU) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)
・2024/06/16 ヴィトーリア(VIT) x インテルナシオナウ(INT)
・2024/06/16 コリンチャンス(COR) x サンパウロ(SAO)
・2024/06/16 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/06/16 グレミオ(GRE) x ボタフォゴ(BOT)
・2024/06/16 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x クルゼイロ(CRU)
・2024/06/16 クイアバ(CUI) x フォルタレーザ(FOR)
・2024/06/16 クリシウーマ(CRI) x バイーア(BAH)

・2024/06/17 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x パウメイラス(PAL)

全国選手権第9節 試合概要

グレミオ(GRE) 1-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=7izynxLA0jE
(BOT) : 10' #66 クイアバーノ(Cuiabano, 2003)[#17 マルロン・フレイタス(Marlon Freitas, 1995)]
(GRE) : 21' #39 グスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)[]
(BOT) : 57' #11 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)]

今節前の順位

グレミオは全国選手権2勝0分4敗勝点6の13位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997, パラグアイ代表事前登録)
  FWソテウド(Soteldo, 1997, ベネズエラ代表事前登録)
ボタフォゴは全国選手権5勝1分2敗勝点16の3位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  FWサバリーノ(Savarino, 1996, ベネズエラ代表事前登録)

得点シーン

(BOT) : 10' #66 クイアバーノ(Cuiabano, 2003)[#17 マルロン・フレイタス(Marlon Freitas, 1995)]
相手陣中央に入った位置で後方からのボールを受けたVOLマルロン・フレイタスが縦にFWルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)とパス交換。戻りのパスを縦に向かい受けると左に開き、左サイドを上がる左SBクイアバーノへスルーパス。PA内でボールを受けたSBクイアバーノが左足を振り抜き、GKの足元を抜けたボールがファーサイドのゴールネットを揺らす。[0-1]
   SBクイアバーノは、グレミオ育成出身で2023年2月リオグランデドスル州選手権にて20歳のプロデビュー。グレミオトップチームでは攻撃的な特長を生かせる中盤やウィングでのプレーが多く14試合2得点の成績を残す。2024年は全国選手権2試合など4試合の出場に止まり、移籍ウィンドウが締まる直前にボタフォゴへの移籍が決まる。ボタフォゴでは5月2日コパ・ド・ブラジルでクラブデビューを果たすと、アルトゥール・ジョルジ(Artur Jorge)監督の信頼を獲得し、選手登録されていないリベルタドーレスを除く全試合に出場。このゴールはボタフォゴでの初ゴール。古巣グレミオから挙げた。
(GRE) : 21' #39 グスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)[]
自陣高い位置でのボール奪取からカウンター。左右にボールを散らしゴールに迫ると、PA内右からMFクリスタウド(Cristaldo, 1996)がゴール前にグラウンダーのクロス。DFが足に当てコースが変わったボールを、FWグスタヴォ・ヌーネスがインサイドキックでゴール右隅に流し込み、グレミオが瞬く間に同点に追いつく。[1-1]
   FWグスタヴォ・ヌーネスは、グレミオ育成出身で2024年2月リオグランデドスル州選手権にて後半開始時にピッチに送り出され18歳のプロデビュー。デビュー戦では後半43分に同点ゴールのアシストを記録。州選手権では決勝戦の2試合を含め、10試合(うち先発9試合)に出場。リベルタドーレス、全国選手権、コパ・ド・ブラジルでも、先発、途中出場で多くの出場機会を得て、これまで22試合(うち先発13試合)3得点3アシストを記録中。3月の時点で複数の欧州クラブから身元照会があり、足元ではモナコ/FRAが強い関心を示していると報道されたいる。
(BOT) : 57' #11 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)]
VOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)が最終ラインに入りビルドアップ。相手陣に入ると、縦にFWルイス・エンヒキにボールを入れると、攻撃のギアが一気に上がる。FWルイス・エンヒキは前を向き、ペナルティサークルに位置取るFWジュニオール・サントスへ鋭いパス。FWジュニオール・サントスは絶妙なトラップでゴールに向かいボールを置くとGKの脇を抜けるシュートでゴールネットを揺らす。[1-2]

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:42% 58% ⇒ 前後半:45% 55%
シュート(枠内): 前半:6‐6(1-3) ⇒ 前後半:14-13(4-5)
パス成功率: 前半:80% 89% ⇒ 前後半:82% 85%
Desarmes: 前半:2‐2 ⇒ 前後半:12-9
Faltas Cometidas: 前半:4‐5 ⇒ 前後半:12-11

   グレミオは、試合を支配された前節フラメンゴ戦から7選手を変更。センターバックは大ベテランCBペドロ・ジェロメウ(Pedro Geromel, 1985)と若いCBグスタヴォ・マルチンス(Gustavo Martins, 2002)のコンビ。右ウィングにFWグスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)を4試合ぶりの先発に起用する。
   ボタフォゴのスタメンは、1-0の結果ながら内容で圧倒した前節フルミネンセ戦から若干の変更。CBアレキサンデル・バルボサ(Alexander Barboza, 1995)に代わりCBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)。この2選手はCBバストス(Bastos, 1991)の相方として交互にスタメンを務めている。FWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)は父の逝去により欠場。タイプの異なる技巧派のMFオスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)が起用される。

   今節はグレミオの主催試合だが、水害被害のため、ポルトアレグレから2000km離れたエスピリトサント州カリアシカ(Cariacica)の45000人収容の競技場で開催される。
   立ち上がりはボタフォゴがボールを支配。グレミオをゴール前に押し込み、相手陣で試合を展開する。すると、早くも前半10分に左SBクイアバーノのゴールで先制する。
   これで目が覚めたか、グレミオは試合再開後は前に出る守備に切り替え、ボタフォゴのボールの出どころへプレスをかけ続け、次第に試合の流れを掴んでいく。
   前半21分、自陣で高い位置でのボール奪取を起点としてカウンターを発動、FWグスタヴォ・ヌーネスのゴールで試合を振り出しに戻す。
   その後、両チームとも持ち味を発揮、互いに相手ゴールに迫る緊迫した雰囲気を醸し出し、前半を1-1のスコアで終える。
   ボタフォゴ優勢で後半が始まると、後半12分にFWジュニオール・サントスのゴールで勝ち越し。
   対するグレミオは、後半15分、右CKからファーサイドでCBグスタヴォ・マルチンスがドンピシャのヘディングシュート。ボールはGKの指先を越えるが、FWジュニオール・サントスがゴールライン上で上体を反転させるクリア。
   後半20分には、ゴールライン際からのクロスにファーサイドでMFクリスタウドが頭を合わせるが、ボタフォゴGKジョン・ヴィクトル(John Victor, 1996)が横に跳び片手でボールを掻き出す。
   後半36分、グレミオは3分前にピッチに立ったMFカルバージョ(Carballo, 1996)が2枚目のイエローカードを提示され退場。グレミオは数的不利となりながらも攻勢をかけ、後半42分、VOLドゥ・ケイロス(Du Queiroz, 2000)がミドルシュートを狙うが、GKジョン・ヴィクトルが両手でCKに逃れる。
   終了間際のグレミオの猛攻をしのぎ、ボタフォゴが2-1の勝利を収めた。

   グレミオは全国選手権4連敗。2試合未消化ながら降格圏の17位に順位を落とした。試合内容は前節から大きく改善され、首位を争うボタフォゴと互角の試合を展開したが、僅かな差が1-2という結果に帰結した。
   次戦は中3日でアウェイでのフォルタレーザ戦。詳細の精度を高め、全国選手権での連敗を止め、降格圏から脱出したい。

   ボタフォゴは、中盤が横に5選手が並び、前線が前後に動き、中盤の一角が縦に飛び出す分厚い攻撃を展開。サイドを左右に広く使う展開も併用し、ダイナミズムがあり観ていて面白い。
   この勝利で公式戦は8試合負けがなく、全国選手権は4連勝で遂に首位に立った。
   アルトゥール・ジョルジ監督は就任直後に2連敗を喫したが、その後は11勝2分1敗。就任当初はケガ人が相次いだものの、そこで様々な試みを実戦で行い、チームスタイルを築き上げている。
   2023年は監督の引き抜きにより、全国選手権前半戦の独走状態から大失速し、5位に終えたボタフォゴだが、今シーズンはいかに。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-0 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=1_dP3ATrBfY

今節前の順位

ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝0分6敗勝点6の14位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。
クルゼイロは全国選手権4勝1分2敗勝点13の7位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  MFホセ・シフエンテス(José Cifuentes, 1999, エクアドル代表)

得点シーン

N/A

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:44% 56% ⇒ 前後半:47% 53%
シュート(枠内): 前半:3‐3(2-2) ⇒ 前後半:12-8(4-2)
パス成功率: 前半:75% 83% ⇒ 前後半:74% 78%
Desarmes: 前半:18‐8 ⇒ 前後半:29-11
Faltas Cometidas: 前半:3‐4 ⇒ 前後半:11-11

   ヴァスコ・ダ・ガマは、アウヴァロ・パシェコ(Álvaro Pacheco)監督就任後の2試合が、1-6、0-2。いずれも25本以上のシュートを浴びており、守備再構築が喫緊の課題。
   前節はCBの負傷退場により3バックから4バックに変更したが、その4バックがある程度機能。今節は4バックで試合に入る。両サイド(ウィング)バックを入れ替え、今季3試合目で初先発となるヴィトル・ルイス(Victor Luís, 1993)を右サイドバックに起用。3ボランチにはプロ2試合目で初先発となるVOLジョタ・ペー(JP, 2005)を抜擢する。
   クルゼイロは、前節出場停止の左SBマルロン(Marlon, 1997)がスタメン復帰。一方でMFマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)が出場停止。また、前節試合中に足に違和感を覚え途中交代したFWバレアル(Barreal, 2000)がベンチ外。司令塔役を担う2選手が欠場する中、経験豊かなVOLハミーロ(Ramiro, 1993)と、今季全国選手権初スタメンとなる将来性豊かなFWホベルチ(Robert, 2005)がスタメンに抜擢される。

   ヴァスコ・ダ・ガマが、最終ラインを高く保ち、前に出る守備でクルゼイロのボールの出どころへプレスをかけ、相手の攻撃を早々に摘み取っていく。しかし、司令塔となるMFマテウス・ペレイラとFWバレアルの欠場が重くのしかかり、効果的に攻撃に移行することができない。
   前半18分にクルゼイロは、自陣右サイドからパスを繋ぎながら相手陣左サイドにボールを運び、最後はFWホベルチが左サイドライン際から中央に切れ込ミドルシュート。クルゼイロのファーストシュートはヴァスコ・ダ・ガマGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)がしっかりとキャッチ。
   このシュートを機に、クルゼイロはボールを支配し始め、ヴァスコ・ダ・ガマをゴール前に押し込む。しかし、そこからのアイディアに欠け、ヴァスコの守備網を崩せず、ミドルシュートでターンを終える場面が続く。
   前半32分、ヴァスコがチームファーストシュート。自陣右サイドライン際深くから2本の縦パス、さらに、左へ2本のパスを繋いで、左SBヴィトル・ルイスがPA手前からシュート。ボールは枠を捉えるが、クルゼイロGKアンデルソン(Anderson, 1998)が横に倒れ込みながら、堅実に両手でボールを弾き返す。
   ゴール前のアイディアに欠ける淡白な試合は、互いに好機を演出することなく前半を終える。
   後半立ち上がりはクルゼイロがボールを前に運びシュートで終えるターンが続くが、後半10分過ぎからヴァスコ・ダ・ガマがボールを確保できるようになると、相手陣深くから2度に渡りゴール前のFWベヘッチを照準にクロスを上げる。しかし、クルゼイロDFのマークは厳しくゴールを奪えない。
   後半31分、ヴァスコは右CKからVOLガウダメス(Galdames, 1996)が上げたボールにニアサイドでFWベヘッチが頭で方向を変え、ファーサイドでVOLゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1999)が足を合わせる。しかし、この至近距離のシュートをGKアンデルソンが倒れ込みながら両手で弾き出す。
   試合はこの後落ち着きを取り戻し、互いにゴールを陥れることは出来ず、0-0のままタイムアップの笛が吹かれた。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、前に出る守備が機能し29回のボール奪取を記録。押し込まれる時間帯もあったが、3ボランチがバイタルエリアを埋め、最終ラインに蓋をすることで、大きなピンチを回避した。
   一方、攻撃面では、FWベヘッチが前線で孤立。FWベヘッチの個人能力で局面を打開する場面も見られたが、サポートが遠く、決定機は生まれなかった。
   しかし、今節は、無失点に抑え勝点「1」を獲得。次節以降は、守→攻への移行、FWベヘッチを生かした攻撃の構築に期待したい。

   クルゼイロは、上述の通り、MFマテウス・ペレイラとFWバレアルの欠場のため、攻撃が停滞し、相手守備網を崩すことができず、無得点に終えた。
   FWジョアン・ペドロ(João Pedro, 2003)と、プロデビューとなるFW(Arthur Viana, 2004)を後半開始時に投入。後半26分にMFヴィチーニョ(Vitinho, 2004)と、ケガ明けのMFジャパ(Japa, 2004)を2試合連続投入。先発での起用が続くFWガブリエル・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)やFWホベルチを含め、今節はチームの勝利に貢献できなかったが、若い力でチームを牽引していってもらいたい。
   CBゼ・イヴァウド(Zé Ivaldo, 1997)とCBジョアン・マルセロ(João Marcelo, 2000)の両CBは、ヴァスコ・ダ・ガマFWベヘッチにほとんど仕事をさせることなく、安定した守備でチームに貢献した。

クイアバ(CUI) 5-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=i69tywgpkSU
(CUI) : 3' #25 クレイソン(Clayson, 1995)[]
(CUI) : 11' #23 ハモン(Ramon, 2001)[]
(CUI) : 37' #7 ジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)[]
(CUI) : 45+8' #9 イシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 1999)[#23 ハモン(Ramon, 2001)]
(CUI) : 54' #88 フェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)[PK]

今節前の順位

クイアバは全国選手権1勝1分6敗勝点4の19位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。
フォルタレーザは全国選手権2勝4分1敗勝点10の11位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBクスチェヴィッチ(Kuscevic, 1996, チリ代表)
  FWケルビン・アンドラーデ(Kervin Andrade, 2005, ベネズエラ代表事前登録)

得点シーン

(CUI) : 3' #25 クレイソン(Clayson, 1995)[]
相手陣高い位置でFWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)が相手DFの処理ミスを突き、左サイドへボール蹴りだす。後方から駆け上がったFWクレイソンがこのボールをダイレクトにゴールに蹴り込み早くもクイアバが先制。[1-0]
   FWクレイソンは、2012年3月ウニオン・サン・ジョアンからサンパウロ州下位リーグにて16歳のプロデビュー。全国選手権4部イトゥアーノ、全国選手権1部ポンチプレッタを経て、2017年5月にコリンチャンスに入団。2019年には62試合7得点10アシストの成績を残し、コリンチャンスでの3シーズンで139試合13得点17アシスト。その後、バイーアへ移籍し、2021年クイアバにて期限付き移籍でプレー。その後、中東、長崎/JPNでプレーし、2023年7月クイアバに復帰を果たす。クイアバでは左右を広く使い戦術にフィット。スピードやドリブルでサイドを蹂躙、守備面での貢献度も高く、レギュラーとしてクイアバ復帰後2シーズン目を過ごしている。
(CUI) : 11' #23 ハモン(Ramon, 2001)[]
右サイドからのショートコーナー。PA入口の高さまで戻した位置からのクロスはクリアに遭うが、PA手前5mの位置から左SBハモンが落ちてくるボールに対し左足のボレーシュート。ボールはニアサイドぎりぎりに決まるゴラッソ。クイアバが追加点。[2-0]
   SBハモンは、フラメンゴ育成出身で、2018年1月州選手権にて16歳でプロデビューを果たす。将来を嘱望されたが、主力クラスの相次ぐ補強のため、レギュラーの座を掴めず、期限付き移籍を重ね、2023年1月オリンピアコス/GREへ移籍。2024年2月5日にクイアバに期限付き移籍加入し、左SBヒケウミ(Rikelme, 2003)との併用が続く。5月にプチ監督が就任するとレギュラーの座を確保。最近の3試合で2得点1アシストを記録し、プチ監督のチーム再建の主軸の一人となっている。攻守にバランスの取れた戦術眼の高いサイドバック。
(CUI) : 37' #7 ジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)[]
後方からのボールを受けたVOLデニウソン(Denilson, 2001)がハーフライン手前からPA内右へロングフィード。GKが飛び出すが、高く跳ねたボールの処理を誤る。こぼれたボールをFWジョナタン・カフーが角度のない位置から無人のゴールに流し込みクイアバがリードを拡げる。[3-0]
   FWジョナタン・カフーは、当時全国選手権に参戦していないボアヴィスタから2011年1月リオデジャネイロ州選手権にて19歳のプロデビュー。その後ステップアップし2015年サンパウロに入団、さらには初の海外挑戦となるルドゴレツ・ラズグラド/BULへ2015年7月に移籍、2シーズンと少しの期間で79試合23得点3アシストの成績を残す。2017年8月ボルドー/FRAへ移籍金750万ユーロの移籍。クイアバには2021年にコリンチャンスからの期限付き移籍で加入し2024年に完全移籍。スピードとキレのあるドリブルを武器とし、クイアバの主力としてクラブの成長にも貢献している。
(CUI) : 45+8' #9 イシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 1999)[#23 ハモン(Ramon, 2001)]
自陣左サイド深くでのボールの奪いから、左SBハモンがセンターサークル内のFWイシドロ・ピッタをターゲットに大きくボールを蹴りだす。FWイシドロ・ピッタは軽く頭にボールを当て軌道を変えると、DFのマークをスピードで剥がし、GKと一対一。間合いが詰まる前にシュートに持ち込みゴールネットを揺らす。[4-0]
   FWイシドロ・ピッタは、セロ・ポルテーニョ育成出身のパラグアイ国籍選手。2022年ジュヴェントゥージでの活躍後、2023年にクイアバに加入。2023年はいずれもキャリアハイとなる46試合12得点7アシストを記録。2024年はセンターフォワードとして定着し、この試合を終えた時点で、34試合17得点2アシスト。得点は前年の12得点を上回るキャリアハイをすでに更新。
(CUI) : 54' #88 フェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)[PK]
相手陣内で最終ラインがボールをまわし右サイドライン際のMFフェルナンド・ソブラウにボールが渡る。MFフェルナンドは浅目の位置からゴール正面のFWイシドロ・ピッタに向けクロス。空中戦の中でDFが振り上げた腕にボールが当たりPK。これをMFフェルナンド・ソブラウがこのPKをゴール右に決める。
   MFフェルナンド・ソブラウは、長く全国選手権外のクラブでプレーするが、2017年当時全国選手権3部のサンパイオ・コヘアで2部昇格に貢献。2019年当時1部セアラーに入団しレギュラーの座を掴み着実にステップアップを果たす。2023年クイアバに加入し主軸の一人として49試合4得点2アシストの記録を残し、クラブ最高位の12位躍進に貢献。2024年もすでに34試合に出場し7得点6アシスト。クイアバの攻撃を司っている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:12‐2(7-0) ⇒ 前後半:20-2(12-0)
パス成功率: 前半:87% 88% ⇒ 前後半:90% 85%
Desarmes: 前半:2‐3 ⇒ 前後半:4-10
Faltas Cometidas: 前半:5‐4 ⇒ 前後半:9-5

   クイアバは、1-2の敗戦に終えた前節から、最終ラインの2つのポジションを変更。前節出場停止の右SBマテウス・アレシャンドレ(Matheus Alexandre, 1999)がスタメン復帰。CBブルーノ・アウヴェス(Bruno Alves, 1991)が4試合ぶりのスタメンに入る。
   フォルタレーザは、0-1で敗れた前節バイーア戦から7つのポジションでスタメンを変更。公式戦は2試合連続無得点で2連敗。FWモイゼス(Moisés, 1996)をケガで欠くが、悪い流れを払拭したい。

   クイアバは、高い位置でのプレスで相手のミスを誘い、早くも前半3分に先制。その勢いは衰えず、前半11分にCKからの流れでSBハモンのゴラッソが決まり、前半早々に2点のアドバンテージを得る。
   クイアバは、その後は全体的に後ろに重心を置くが、寄せの速さは衰えず、相手のミスを誘ってはスピード豊かな両サイド、またはセンターFWイシドロ・ピッタへ素早くボールを送り、相次いでフォルタレーザに迫る。
   前半25分、フォルタレーザは早くも交代策。ボランチを下げフォワードを投入する。
   この交代策でフォルタレーザは持ち直し、前半28分、MFヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)がチーム初シュート。相手陣でボールを動かす時間が増える。
   しかし、前半37分、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)の処理ミスで無人のゴールにボールを流し込まれる痛恨の失点。
   前半45+1分には、途中出場のFWヘナト・カイゼル(Renato Kayzer, 1996)が、サイドラインを割ったボールを巡りプチ監督を押し倒し一発退場。さらに、CBブリテス(Emanuel Brítez, 1992)がこの判定に異議を唱えイエローカード。この判定に激高したCBブリテスは主審に向け中指を立て一発レッド。
   前半終了間際にクイアバはFWイシドロ・ピッタが追加点。
   後半9分に、クイアバはPKから5点目を奪う。
   その後、5点のリードを奪ったクイアバが、2人少ないフォルタレーザに反撃を許さず、ホームで5-0の大勝を収めた。

   全国選手権開幕6試合が無得点だったクイアバは、前々節に続き5点を奪い、全国選手権2勝目。降格圏から脱出した。
   この試合では、高い位置でのプレスが嵌り、早い時間帯で2点のリード。自陣での守備もコンパクトさを保ち、前後から挟み込んで相手のミスを誘い、スピードのある前線へのカウンターが威力を発揮した。
   さらには、前半終了間際に相手から退場者が2人出て、余力を残して試合を締めることができた。
   次節は監督交代後無敗のサンパウロ戦。混戦の全国選手権の中で、今後上位争いに加われるか、試金石の試合となりそうだ。

   フォルタレーザは、相次ぐミスを発端とした失点を重ね、感情をコントロールできず2選手が退場処分。無得点での連敗は3試合に伸び、苦しい状況が続く。
   この試合はFWモイゼスが前節に続きケガのため欠場。前年はFWモイゼスが移籍するとともに好調の波は途切れ長く不振に陥ったが、今年も同じ轍を踏もうとしている。
   幸いFWモイゼスのケガも重傷ではない模様。一人の選手への依存は避けたいが、FWモイゼスを中心に早急にチームを立て直したい。

クリシウーマ(CRI) 2-2 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=kA2Fj6om5QQ
(CRI) : 34' #22 マルセロ・エルメス(Marcelo Hermes, 1995)[FK]
(CRI) : 46' #45 アルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)[#3 ホドリゴ(Rodrigo, 1987)]
(BAH) : 56' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#10 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]
(BAH) : 72' #19 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]

今節前の順位

クリシウーマは全国選手権1勝2分3敗勝点5の17位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBウィルカー・アンヘル(Wilker Ángel, 1993, ベネズエラ代表事前登録)
バイーアは全国選手権5勝2分1敗勝点17の2位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  SBサンチアゴ・アリアス(Santiago Arias, 1992, コロンビア代表事前登録)

得点シーン

(CRI) : 34' #22 マルセロ・エルメス(Marcelo Hermes, 1995)[FK]
ゴール正面、PA僅かに手前の位置からのFK。左SBマルセロ・エルメス(Marcelo Hermes, 1995)が左足で蹴ったボールは、壁の下を通りGKの脇を抜けゴールネットを揺らす。[1-0]
   SBマルセロ・エルメスは、グレミオ育成出身で2015年1月にリオグランデドスル州選手権にて19歳のプロデビュー。グレミオで34試合2得点1アシストの成績を残し、2016年8月にベンフィカ/PORへ移籍。しかし、ベンフィカでは1試合の出場に止まり、その後はブラジルクラブを転々とする。2022年クリシウーマに入団すると、2023年はキャリアハイの55試合に出場、1得点6アシストでチームの1部昇格に貢献。クラブ3年目の2024年もレギュラーの座を守り、州選手権優勝など、チームへの貢献度は高い。
(CRI) : 46' #45 アルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)[#3 ホドリゴ(Rodrigo, 1987)]
クリシウーマが相手陣深くでプレス。バイーアDFが大きく前に蹴りだしたボールをCBホドリゴがダイレクトに大きく蹴り返すと、ボールはPA内へ。バイーアDFが目測を誤りクリアミス。GKが飛び出す中、大きく跳ねたボールにいち早くFWアルトゥール・カイーキが頭を合わせゴールに流し込む。[2-0]
   FWアルトゥール・カイーキは、2010年8月全国選手権4部にてイラチ(Iraty)から17歳のデビューを果たす。2011年にロンドリーナへ移籍すると、期限付き移籍により全国選手権2部、1部の複数のクラブを遍歴。2016年に全国選手権1部サンタ・クルスにて54試合出場、2017年全国選手権1部シャペコエンセにて63試合出場。2021年に加入した鹿島アントラーズ/JPNでは3シーズンで78試合22得点7アシストを記録。クリシウーマへはエスポルチを経て2024年4月11日に入団。全国選手権はコンスタントに出場し、2試合目の先発となったこの試合でクラブ初ゴール。年末までの契約だが、このままゴールを積み重ね、チームの1部残留に貢献し、来季以降もクリシウーマ、全国選手権1部でプレーしたい。
(BAH) : 56' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#10 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]
相手陣右サイドで相手の速い寄せを外しながらバイーアがボールをPA手前にボールを送る。これを受けたMFカウリー(Cauly, 1995)が左へ流れながら、PA外左に位置取るMFエヴェルトン・ヒベイロへボールを送ると、PAの外と内とでパス交換。MFエヴェルトン・ヒベイロがフリーの態勢となりクロスボールを入れると、ファーサイドでDFの中に入ったFWエヴェラウドが頭を合わせバイーアの反撃が始まる。[2-1]
   FWエヴェラウドは、グレミオ育成出身で2011年11月の全国選手権で20歳のプロデビュー。その後は期限付き移籍や、グレミオとの契約満了後は、単年や数か月間の契約で複数のクラブでプレーする。2019年シャペコエンセにて全国選手権1部など52試合19得点を記録。2020年からは鹿島アントラーズ/JPNに3年間在籍し101試合34得点15アシストの成績を残す。2023年バイーアに入団し、60試合20得点のキャリアハイの成績をたたき出し、2024年はこれまで26試合7得点3アシスト。2023年終盤からは戦術的理由でベンチスタートとなる試合が増えていたが、その中で結果を残し、全国選手権は第3節からスタメンに定着。このゴールは全国選手権4点目のゴールとなり、得点ランキング首位に躍り出た。
(BAH) : 72' #19 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]
右ショートコーナーからMFカウリーがゴールライン沿いにボールを運び、PA内へマイナスのボールを送る。VOLカイオ・アレシャンドレがワントラップから思い切りよく右足を振り抜くと、ボールは一直線にゴールネットに突き刺さる。[2-2]
   VOLカイオ・アレシャンドレは、ボタフォゴ育成出身で2020年1月リオデジャネイロ州選手権にて20歳のプロデビュー。同年は全国選手権34試合など計50試合に出場。2021年3月にバンクーバー/CANへ移籍。2023年期限付き移籍でプレーしたフォルタレーザで65試合5得点6アシストの成績を残し、シーズン終了後は複数のクラブが争奪戦を行う。その中でバイーアが争奪戦を制し、選手保有権60%に対して500万USドルの移籍金で獲得。これまでチーム36試合のうち33試合に出場。戦術眼が高く、最終ラインの前でのフィルター役、ビルドアップ、前線への配球、前線への飛び出しなど、様々な役割を担うことができるボランチ。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:40% 60% ⇒ 前後半:37% 63%
シュート(枠内): 前半:8‐8(3-3) ⇒ 前後半:14-21(5-6)
パス成功率: 前半:67% 82% ⇒ 前後半:67% 87%
Desarmes: 前半:4‐5 ⇒ 前後半:6-8
Faltas Cometidas: 前半:9‐5 ⇒ 前後半:14-12

   クリシウーマは公式戦5連敗中。その中にはコパ・ド・ブラジルでのバイーアとのH&Aでの対戦が含まれたおり、今節は雪辱を果たしたい。そのためにも5連敗中15失点を喫している守備の整備が必要。今節のスタメンには、経験値の高いCBホドリゴ(Rodrigo, 1987)、188cmの長身VOLネウトン(Newton, 2000)、前線でのプレス要員としてアルトゥール・カイーキFW(Arthur Caíke, 1992)を起用。
   11試合負けのないバイーアは、スタメンのベースを変えず、FWタシアーノ(Thaciano, 1995)が出場停止明けでスタメン復帰、ベテランCBヴィトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)を第3節以来のスタメン起用。

   アウェイのバイーアが相手陣でボールを握り攻撃の糸口を探るが、クリシウーマは両フォワードによるボールの奪いどころを見極めたプレスが効果を発揮し、カウンターから相手を上回る好機を演出する。
   すると、前半34分、クリシウーマはゴール正面のFKをSBマルセロ・エルメスが直接決め先制。
   クリシウーマは、得点、試合内容で好調バイーアを上回り、前半を1-0のリードで折り返す。
   後半開始直後の後半1分、クリシウーマは、前半からプレスで相手を苦しめていたFWアルトゥール・カイーキが、再びDFのミスを誘い、その好機を逃さず2点目のゴール。リードを2点に拡げる。
   バイーアは、クリシウーマの守備陣がさがり、プレスの勢いが弱まる中、相手陣でボールを展開。攻撃に人数をかけ、左右にピッチを広く使いボールを散らしながら、クリシウーマ守備網の綻びを探る。
   後半11分、バイーアは狙い通りの展開から、MFエヴェルトン・ヒベイロのクロスをFWエヴェラウドが頭を合わせ1点差に詰め寄る。
   後半14分、クリシウーマは右サイドからGKへバックパス。GKグスタヴォ(Gustavo, 1993)のトラップが大きくなったところをボールに詰めたバイーアFWタシアーノ(Thaciano, 1995)とGKグスタヴォが接触。GKグスタヴォにイエローカードが提示される。このFKは、枠を越え大事に至らなかったが、GKグスタヴォが再スタートを遅らせ、主審は2枚目のイエローカードを提示。GKグスタヴォは退場。
   数的有利に立ったバイーアは攻勢を強めるが、クリシウーマは、交代でピッチに立ったGKアリソン(Alisson, 1995)が好守でチームを鼓舞する。
   しかし、バイーアは、後半27分、CKからの流れでVOLカイオ・アレシャンドレの強烈なシュートで同点。
   その後も、バイーアの猛攻が続く中、クリシウーマはゴールを守り抜くと、後半45+6分、自陣からのカウンターにMFマルキーニョス・ガブリエウ(Marquinhos Gabriel, 1990)がPA内左サイドからシュート。ファーサイドを狙ったシュートはGKマルコス・フェリピが片手で弾き出す。
   試合の主導権を握りながらも2点のリードを追いつかれたクリシウーマ、数的有利を生かせず逆転ゴールを奪えなかったバイーア。共に勝点「2」を失い、勝点「1」を分け合う結果に終えた。

   クリシウーマは、久しぶりに攻守が噛み合い、守→攻の移行がスムーズに行われた試合をホームで取り戻すことができた。複数の選手が攻撃の起点となりうるバイーアを相手に、奪いどころを絞ったプレスが功を奏し、前半はバイーアの攻撃の無力化に成功。さらに相手のミスに乗じて得点を重ねた。
   しかし、後半15分頃の不用意なプレーによる退場でGKを失い、残りの30分間を数的不利による試合を余儀なくされ、6試合ぶりの勝ち星を逃した。

   バイーアは、暫定ながら勝てば首位に立つことができる試合だったが、そのこともアダになったのか、前半は攻撃が機能せず、ミスから2失点を許す難しい試合。後半の2失点後には、バイーアらしい攻撃で1点を返し、相手から退場者が出ると攻撃の圧力を強め、早い時間で同点に追いついたが、終盤にかけて攻撃の圧力は弱まり逆転には至らなかった。
   スタメンがほぼ固定され、交代選手も一部の選手に止まっているが、この試合の最後の失速は、選手の疲労によるものでなければいいのだが。これまで厳しい日程が続いていたが、今後もまだまだ週2試合の日程は続くだけに、選手層を拡げ、個々の選手の体調管理に十分留意する必要がある。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 0-4 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=6Gw7vApY3Dk
(PAL) : 25' #5 アニバル・モレノ(Anibal Moreno, 1999)[]
(PAL) : 60' #22 ピケレス(Piquerez, 1998)[PK]
(PAL) : 61' #41 エステヴォン(Estêvão, 2007)[]
(PAL) : 90+5' #42 フラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)[#6 ヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)

今節前の順位

アトレチコ・ミネイロは全国選手権3勝4分0敗勝点13の8位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  SBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997, ブラジル代表)
  MFアラン・フランコ(Alan Franco, 1998, エクアドル代表)
  FWバルガス(Vargas, 1989, チリ代表事前登録)
パウメイラスは全国選手権4勝2分2敗勝点14の6位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993, パラグアイ代表事前登録)
  VOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000, コロンビア代表事前登録)
  FWエンドリッキ(Endrick, 2006, ブラジル代表)

得点シーン

(PAL) : 25' #5 アニバル・モレノ(Anibal Moreno, 1999)[]
相手陣PA内右でパウメイラスが執拗にボールを回す。PA入口にボールを戻しMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)が浮き球をゴール前に送る。DFが頭でクリアしたボールをVOLアニバル・モレノが胸トラップからダイレクトに左足のシュート。外から軽く巻き込んだボールがゴールポストをかすめゴールイン。アウェイのパウメイラスが先制。[0-1]
   VOLアニバル・モレノは、2019年にアルゼンチンU-20代表としてU-20南米ユース選手権8試合1得点1アシスト、U-20W杯3試合。2023年リベルタドーレスでの活躍をパウメイラスが注目し、2024年に5年契約、650万ユーロ相当の移籍金で獲得。4選手によるボランチのポジション争いから、1~4月開催の州選手権中盤に抜け出しレギュラーに定着。アベウ・フェヘイラ監督に求められる、攻守の切り替えや、他選手との距離感、俯瞰的に状況を把握した適切なプレー選択など、いわゆるサッカー脳に長けたボランチ。
(PAL) : 60' #22 ピケレス(Piquerez, 1998)[PK]
自陣からのボールを左サイドライン際でボールを受けたVOLゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)がスピードのあるドリブルで斜めに上がりPAに侵入。後方から戻ったDFに足を掛けられ転倒すると主審はPKの判定。このPKを左SBピケレスが決めパウメイラスが追加点。[0-2]
   SBピケレスは、2022W杯南米予選7試合、2026W杯南米予選4試合など、ウルグアイ代表として13試合に出場。しかし、2022W杯本戦、2024コパ・アメリカでは残念ながら代表入りは見送られた。パウメイラスでは2021年7月の加入後瞬く間にレギュラーの座を獲得し、2022年は51試合、2023年は58試合のキャリアハイを連続して更新。2023年は8得点7アシストと得点面でもチームの全国選手権優勝に寄与。185㎝の長身ながら守備時の一対一にも強さを発揮する穴の少ない攻撃的なサイドバック。
(PAL) : 61' #41 エステヴォン(Estêvão, 2007)[]
相手陣右サイドライン際でルーズボールを拾ったFWエステヴォンが、ドリブルでPAに向かいPA手前で一歩中央に切れ込み左足のシュート。ボールはファーサイドのゴールネットを揺らすゴラッソ。試合を決定づけるゴール。[0-3]
   FWエステヴォンは、2025/26年でのチェルシー/ENG移籍が内定。2023年12月7日最終節にて16歳のプロデビュー。2024年序盤は出場機会は少なかったが、4月11日リベルタドーレスにて初先発、プロ初ゴールを記録すると、出場機会はもちろんのこと、スタメンでの起用も一気に増え、直近は8試合連続先発出場。2024年はこれまで20試合4得点3アシスト。スピードのあるドリブル、PA付近では縦にボールを置いた右足のクロス、中央に切れ込んでのシュート、PAに駆け上がる二列目の選手へのパスなど、広い選択肢のプレーが相手の脅威。すでにFWエステヴォンを起点とした攻撃がチームの戦術の一部となっている。
(PAL) : 90+5' #42 フラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)[#6 ヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)]
自陣深くからパスを繋いで前に向かうと、VOLゼ・ハファエウが自陣センターサークル内から縦にスルーパス。これはDFにカットされたものの、左サイドに流れたボールを左SBヴァンデルランが拾い、ドリブルでPA内に侵入し、ゴール前に低い弾道のクロス。中央でFWフラッコ・ロペスが足を合わせパウメイラスが試合を締める。[0-4]
   FWフラッコ・ロペスは、ラヌース(Lanús)/ARG育成出身で、2021年1月に20歳のプロデビューを飾ったアルゼンチン国籍選手。翌シーズンには37試合14得点3アシストを記録。2022年6月にパウメイラスに加入する。準主力として2022年14試合2得点、2023年40試合8得点を記録。2024年は1月開幕のサンパウロ州選手権にて15試合10得点2アシストの成績を残すが、リベルタドーレス、全国選手権では交代出場が続き、レギュラーの座には手が届いていない。このゴールは全国選手権でのシーズン初ゴール。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:47% 53% ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:4‐13(0-3) ⇒ 前後半:11-20(3-9)
パス成功率: 前半:77% 76% ⇒ 前後半:80% 79%
Desarmes: 前半:7‐13 ⇒ 前後半:13-19
Faltas Cometidas: 前半:7‐8 ⇒ 前後半:14-16

   アトレチコ・ミネイロ(CAM)は全国選手権負けなし。しかし、3勝4分と勝ち切れない試合が多い。前節はアウェイでRBブラガンチーノに先制点を奪われたが、前半終了間際の3分間で逆転。その後は大きなピンチもなく逃げ切った。
   今節のスタメンは、GKエヴェルソン(Éverson, 1990)が出場停止。今季初出場となる生え抜きのGKマテウス・メンデス(Matheus Mendes, 1999)が守護神を務める。フォーメーションは4バックから3バックに変更。CBホームロ(Rômulo, 2004)とFWカドゥ(Cadu, 2004)の生え抜きの若い2人が2試合連続で先発を務める。
   パウメイラスは、2-0の勝利に終えた前節ヴァスコ・ダ・ガマ戦から先発の変更はなし。前節ではヴァスコ・ダ・ガマFWベヘッチ(Vegetti, 1988)との局地戦で苦しみながらも無得点に抑えたCBナヴェス(Naves, 2002)だが、今節は元代表FWフッキ(Hulk)、2023全国選手権得点王FWパウリーニョ(Paulinho, 2000)を擁する強力なフォワード陣が相手。前節で得た自信を確信に変えることはできるだろうか。

   試合は序盤から、アウェイのパウメイラスが試合の主導権を握り、右サイドFWエステヴォン(Estêvão, 2007)を軸にアタッキングサード内で人数をかけた攻撃。しかし、CAM守備陣が粘り強く対応しパウメイラスの放つシュートはいずれも枠を捉えない。
   一方のCAPは、守備時はワントップにFWカドゥが残り、ポスト役や相手陣へ送り込まれるボールに反応し攻撃の起点となる。
   前半25分、パウメイラスは右サイドから5~7選手がPA内でプレーする分厚い攻撃を繰り広げVOLアニバル・モレノのゴールで先制。
   前半31分、アトレチコ・ミネイロFWフッキとパウメイラスVOLゼ・ハファエウが両者倒れ込みながらボールの争奪戦を行う。主審がCAMボールのファールとしてプレーを止めたが、FWフッキが主審に何かを言いイエローカード。さらにはこのイエローカードにも異議を唱え、主審は2枚目のイエローカードを提示。FWフッキは退場処分となりCAMは数的不利に陥る。
   FWフッキ退場後は、パウメイラスはマークの勢いを弱め、相手にボールを持たせながらも、ボールを奪うとスピードのある3トップへ素早くボールを送りカウンターを発動。そのままシュートに持ち込み、または中盤の上りを待って分厚い攻撃へと繋げる。
   後半1分、CAMは、相手陣に入った地点でFWパウリーニョがボール奪取。FWカドゥにボールが送られ、FWカドゥはドリブルでPAに侵入し強烈なシュートを放つ。しかし、ボールは僅かにゴールポストを逸れる。
   後半12分、CAMは相手陣でボールを展開し、一気に駆け上がった右WBサラビア(Saravia, 1993)がゴール前にクロス。しかし、GKウェヴェルトン(Weverton, 1987)が低く速いボールを倒れ込みながらキャッチ。ピンチを事前に防ぐ。
   後半に入り、CAMが押し込む時間がしばらく続いたが、後半15分、パウメイラスはカウンターからVOLゼ・ハファエウがPA内でファールを受けPKを獲得。これをSBピケレスが決め2-0。相手にボールを持たせカウンターを狙うパウメイラスの策が嵌る。
   試合再開直後の後半16分、FWエステヴォンが右サイドをドリブルで上がり左足のゴラッソ。パウメイラスがダメ押しの3点目を奪う。
   以降は両チーム選手交代を繰り返し時間を消費。後半45+5分、パウメイラスが途中出場でチャンスを得たSBヴァンデルランとFWフラッコ・ロペスの両選手による連係のゴール。
   アウェイの地でパウメイラスが4-0の大差勝ちを収めた。

   アトレチコ・ミネイロは、前半の不運な退場劇で試合を壊された結果となった。
   CBF(ブラジルサッカー連盟)の試合報告書を確認すると、「早よ笛吹け!ボケ!!(Apita logo caralho!)」の発言で1枚目のイエローカード。「なんでやねん!なんで俺にカードやねん!教えてくれ!(Me diz o porquê do cartão, me diz o porquê.)」と無礼な口調による訊ね方で2枚目のイエローカードを提示。
   FWフッキはゲームキャプテンのマークを腕に巻いており、判定について主審と対話することに問題はない。また、「無礼な口調による」という理由はかなり主観的で曖昧。この後の試合展開に大きく影響を与えたこともあり、この判定には疑問が残る。また、好試合を期待し観戦していただけに、この判定で試合の流れが一方的となり、退屈なものとなってしまった。
   試合終了後には、FWパウリーニョ(Paulinho, 2000)が試合最終盤にパウメイラスSBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)の腕で顔を殴られた(形となった)ことに対し、抗議のため詰め寄ったが、SBマルコス・ホッシャは無視。この態度にキレたFWパウリーニョがSBマルコス・ホッシャに蹴りを入れようとしてレッドカードが提示された。
   次戦は、FWフッキとFWパウリーニョを同時に欠く厳しい試合となるが、気持ちを切り替え、チーム一丸となって試合に臨んでもらいたいと思う。

   パウメイラスは、序盤からアウェイとは思えぬ攻勢をかけ前半中盤に先制。その後も高い位置でのプレス、掻い潜られた際には自陣でコンパクトな守備網からカウンターを狙い、後半にその策が嵌り一気に突き放した。
   前半30分のアトレチコ・ミネイロFWフッキの退場は、試合が容易になった理由の一つ。とは言え、右FWエステヴォンはキレキレ。控えに甘んじるFWフラッコ・ロペスが少ない出場時間の中で久しぶりのゴール。同じく控えSBヴァンデルランがアシストと、若い選手が活躍し、チーム内の競争も激しくなっている。
   最近の試合で先発が続くFWラザロ(Lázaro, 2002)がこの試合で負傷し、戦列を離脱することが翌日発表されたが、新戦力がその穴を埋めることが期待される。

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