【ブラジル全国選手権2024】第10節(2/2)[06/19-20]

投稿者: | 2024年6月19日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第10節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第10節(1/2)[06/19-20]
・2024/06/19 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2024/06/19 アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) x クリシウーマ(CRI)
・2024/06/19 サンパウロ(SAO) x クイアバ(CUI)
・2024/06/19 フォルタレーザ(FOR) x グレミオ(GRE)
・2024/06/19 ジュヴェントゥージ(JUV) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/06/19 インテルナシオナウ(INT) x コリンチャンス(COR)
・2024/06/19 クルゼイロ(CRU) x フルミネンセ(FLU)
・2024/06/20 ヴィトーリア(VIT) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2024/06/20 フラメンゴ(FLA) x バイーア(BAH)

・2024/06/20 パウメイラス(PAL) x RBブラガンチーノ(RBB)

全国選手権第10節 試合概要

インテルナシオナウ(INT) 1-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=PYKoTSKv_ms
(INT) : 42' #21 ウェズレイ(Wesley, 1999)[#3 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)]

今節前の順位

インテルナシオナウは全国選手権3勝2分2敗勝点11の10位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  GKロチェ(Rochet, 1993, ウルグアイ代表)
  FWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989, エクアドル代表)
  FWボレー(Borré, 1995, コロンビア代表)
コリンチャンスは全国選手権1勝4分4敗勝点7の16位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBフェリックス・トーレス(Félix Torres, 1997, エクアドル代表)
  FWアンヘル・ホメーロ(Ángel Romero, 1992, パラグアイ代表)

得点シーン

(INT) : 42' #21 ウェズレイ(Wesley, 1999)[#3 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)]
ハーフライン前後での相手の寄せに苦しみ、左サイドライン際から斜め後方にボールを戻すと、右サイドへボールを展開。CBイゴル・ゴメスが相手陣アタッキングサード入口右サイドライン際へボールを送る。これを受けたFWウェズレイがPAに向かいドリブルを開始、インテルナシオナウの前線が一気に縦に攻めあがる。これに引きずられ相手の守備ラインが下がると、FWウェズレイは思い切りよくPA手前からシュート。ボールはファーサイド上隅に突き刺さるゴラッソ。インテルナシオナウが先制。[1-0]
   FWウェズレイは、パウメイラス育成出身で2019年6月、期限付き移籍先のヴィトーリアから全国選手権2部にて20歳のプロデビュー。2021年50試合、2022年49試合とパウメイラス復帰後は準主力として活躍し、2023年クルゼイロへ300万ユーロ相当で移籍。42試合に出場したが、チームは得点力不足により残留争いに巻き込まれ、2024年に200万ユーロ相当でインテルナシオナウに加入。途中出場を繰り返すが、全国選手権開幕節で後半出場から1得点。第2節は先発に抜擢され2試合連続ゴールをマークし、先発出場が続く。このゴールは前節に続く2試合連続ゴール。全国選手権での4ゴール目。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:52% 48% ⇒ 前後半:49% 51%
シュート(枠内): 前半:5‐1(3-0) ⇒ 前後半:10-13(5-3)
パス成功率: 前半:82% 79% ⇒ 前後半:81% 80%
Desarmes: 前半:7‐7 ⇒ 前後半:20-15
Faltas Cometidas: 前半:7‐8 ⇒ 前後半:17-13

   インテルナシオナウの主催試合だが、水害のため本拠地ベイラ・ヒオは使用できず、今節は500km近く離れたサンタカタリーナ州フロリアノポリスにあるフィゲレンセの本拠地オルランド・スカルペリ(Orlando Scarpelli)競技場で開催。
   インテルナシオナウは、前節は未勝利で最下位のヴィトーリアを相手に1-2の敗戦。試合終了間際のPKで決勝点を奪われた。
   今節のスタメンは、出場停止のCBヴィトン(Vitão, 2000)のほか、戦術的理由から計6選手を入れ替え。CBイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 2001)やFWウェズレイ(Wesley, 1999)などがスタメンに起用される。
   コリンチャンスは、全国選手権で4試合勝ちがなく2分2敗。順位も16位と低迷している。前節は、前半をインテンシティの高い内容で2-2で折り返し、退場者が早々に出た後半は試合のテンポを落としそのまま引き分けに持ち込んだ。
   今節のスタメンは、出場停止の2選手を含めた4つのポジションで変更。出場停止明けのMFロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)が先発に復帰。

   ポルトアレグレから駆け付けた多くのサポーターの声援を後押しに、早くも前半3分、インテルナシオナウが好機を迎える。自陣深くでボールを奪い、素早く右サイドへボールを展開、最後はFWウェズレイがドリブルでゴールに向かいPA手前からニアサイドへシュート。ボールは枠を捉えるがコリンチャンスGKマテウス・ドネリ(Matheus Donelli, 2002)が横に跳び辛うじて両手でCKに逃れる。
   さらに、前半13分、インテルナシオナウは相手陣手前から右SBファブリシオ・ブストス(Fabricio Bustos, 1996)が相手陣PA内へロングフィード。コリンチャンスCBグスタヴォ・エンヒキ(Gustavo Henrique, 1993)が処理を誤り、こぼれたボールを巡る混戦から最後はFWアラリオ(Alario, 1992)がゴールネットを揺らす。しかし、VARが介入し僅かにオフサイドの判定。
   一方のコリンチャンスは、左サイドFWウェズレイ(Wesley, 2005)にボールを集めるが、インテルナシオナウは素早く複数のマークがつき攻撃の芽を摘んでいく。
   前半42分、自陣からのビルドアップから右サイドへボールを展開すると、前半3分の好機と同様の位置からFWウェズレイがシュート。ファーサイドを狙ったボールがゴールネットに吸い込まれインテルナシオナウが先制。
   ハーフタイムにコリンチャンスは修正すると、後半は全体的に高い位置をキープしボールを支配。相手守備陣の周りをボールを左右に散らすが、中に効果的にボールを送ることができず、強引なミドルシュートやクロスを繰り返し、決定的なシーンは訪れない。
   コリンチャンスはボランチを削りFWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)、両SBを交代しサイドの強度を維持する一方、インテルナシオナウはCBメルカド(Mercado, 1987)や右SBウーゴ・マジョ(Hugo Mallo, 1991)など守備的な選手を投入しコリンチャンスの攻撃をしのぐ。
   試合はインテルナシオナウが最後まで相手の攻撃をしのぎ切りタイムアップ。インテルナシオナウが平日にもかかわらず集まった多くのサポーターの前で1-0の勝利を収めた。

   インテルナシオナウは、今節はいつもの高い位置で寄せを速める守備と異なり、ゴール前に人数をかけた守備網を構築。ボールを持たれる時間は多くなったが、中に入るボールをシャットアウトし、効果的なカウンターを繰り返す。右サイドFWウェズレイのスピードを生かしたカウンターは試合序盤から効果を発揮し、前半終了間際にそのFWウェズレイのゴラッソで先制。
   後半も同様の戦術を継続し、守備的な選手を投入していき1点を守り抜く采配。代表招集などでフォワード陣に駒不足を感じる中、従来の攻撃的なイメージを覆す堅実で守備的な戦術が功を奏し、勝点「3」を勝ち取った。

   コリンチャンスは、中央にボールを握れるMFロドリゴ・ガーロとMFイゴル・コロナド(Igor Coronado, 1992)を起用する采配を継続しているが、両選手は時折ミドルシュートを放つものの、フォワードを追い抜くようなプレーは見られず、ゴール前での怖さがない。アントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督は、サイド攻撃に重点を置いた戦術を好むが、両サイドバックの積極的な攻撃参加は少なく、ゴール前に人数をかけられず、上記両MFの上がりもないため、ディフェンダーのマークは容易となっている。
   終盤には、FWペドロ・ハウーウを投入し、FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)とゴール前に並べるが、守備的な選手を増やしたインテルナシオナウ守備陣に脅威を与えることができず、無得点のまま試合を終えた。
   この結果、遂に降格圏内の17位に転落。日程が詰まりトレーニングで修正を行う時間はほとんどないが、細かな点の修正を図りつつ一試合一試合改善を図りたい。

クルゼイロ(CRU) 2-0 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rkC4Sa9nM10
(CRU) : 41' #12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)[PK]
(CRU) : 90+3' #12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)[]

今節前の順位

クルゼイロは全国選手権4勝2分2敗勝点14の8位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  MFホセ・シフエンテス(José Cifuentes, 1999, エクアドル代表)
フルミネンセは全国選手権1勝3分5敗勝点6の19位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997, コロンビア代表)

得点シーン

(CRU) : 41' #12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)[PK]
アタッキングサード入口右サイドでボールの争奪戦から、こぼれ球を拾った右SBウィリアン・フルタドがドリブルでPAに向かいシュート。ブロックされたボールを右にポジションを変えていた左SBマルロン(Marlon, 1997)がシュートに持ち込む。ボールはブロックに行ったDFに当たりプレーは流れるが、VARが介入しOFRの結果、ハンドの判定が下されクルゼイロがPKのチャンス。このPKを右SBウィリアン・フルタドがGKファビオ(Fábio, 1980)のわきの下を抜けるシュートで成功させ、ホームのクルゼイロが先制点を奪う。[1-0]
   SBウィリアン・フルタドは、2016リオ五輪金メダリスト。インテルナシオナウ育成出身でトップチーム昇格後間もなくレギュラーの座を掴む。2017年8月ヴォルフスブルク/GERに移籍後もレギュラーとして活躍。3シーズン目の終盤に膝を故障し、その後は僅かな出場記録で契約を満了する。一年以上のブランクの後、2023年にクルゼイロに入団。膝の心配もあったが、完全に治癒しており、シーズン中盤にはレギュラーの座を獲得。2024年はこれまでチーム全28試合のすべてに出場(うち先発26試合)し、2260分の出場時間を記録。3得点6アシストの得点関与も記録し、攻撃を重視するフェルナンド・セアブラ監督の必要不可欠なピースをなっている。
(CRU) : 90+3' #12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)[]
自陣半ば右サイドライン際で右SBウィリアン・フルタドがボール奪取。そのままドリブルで相手陣に入り、加速してさらにPAに侵入。GKファビオのしっかりとみて放ったシュートはファーサイドに刺さるゴラッソ。クルゼイロが後半アディショナルタイムのダメ押しの2点目。[2-0]

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:44% 56% ⇒ 前後半:40% 60%
シュート(枠内): 前半:11‐5(4-2) ⇒ 前後半:16-9(5-4)
パス成功率: 前半:80% 87% ⇒ 前後半:77% 89%
Desarmes: 前半:6‐3 ⇒ 前後半:12-7
Faltas Cometidas: 前半:8‐4 ⇒ 前後半:16-10

   クルゼイロは前節、下位に低迷するヴァスコ・ダ・ガマを相手に、攻撃の要MFマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)を出場停止で欠き、ゴールをこじ開けることができず0-0の引き分けに終えた。
   今節のスタメンは、MFマテウス・ペレイラが復帰。2023年の主力のVOLフィリピ・マシャード(Filipe Machado, 1996)がケガ明けで2か月ぶりの試合。最近の試合で積極的なプレーを見せているFWホベルチ(Robert, 2005)が2試合連続スタメン出場。
   フルミネンセは、リベルタドーレスはグループ首位で決勝ラウンドに駒を進めたが、全国選手権はここまで4月20日第3節での1勝のみ。2か月6試合勝利から遠ざかり、順位は19位まで落としている。前節アトレチコ・ゴイアニエンセでは終盤に同じ形のカウンターを何度も浴び、最後はカウンターからゴールをこじ開けられ1-2で敗れた。
   今節のスタメンは、出場停止や日程を考慮にし、6つのポジションで選手を入れ替え。主力の一部はベンチ入りもせず完全休養となっている。

   前半2分、早くもフルミネンセはMFリマ(Lima, 1996)がファーストシュート。これで得たCKのクリアボールにSBマルキーニョスがPA手前からボレーシュート、DFに当たったボールは僅かにゴールポストの外へ流れていく。
   クルゼイロは、前半15分、右サイド相手陣に入った位置から、MFマテウス・ペレイラが対角線にPAに向けフィード。最終ライン裏に抜け出したSBマルロン(Marlon, 1997)が絶妙なトラップからファーサイドを狙いシュートを放つが、GKファビオ(Fábio ,1980)が僅かに触れたボールは枠を外れる。
   前半20分を過ぎると、クルゼイロの寄せが効果を発揮し始め、試合の主導権を握り始める。
   すると、前半41分、クルゼイロが相手陣でのボール奪取から速い攻めに移行しPKを獲得。これを右SBウィリアン・フルタドが決めクルゼイロが先制。
   後半5分、フルミネンセは左サイドライン際深くからクロス。これにFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)が頭を合わせるが、クルゼイロGKアンデルソン(Anderson, 1998)が片手で阻止。
   その直後にクルゼイロは高い位置でのボール奪取からゴールを狙うが、シュートは枠を捉えない。
   互いにミスを重ね、そのミスに乗じて攻めに転じる、一進一退の攻防が続くが、後半アディショナルタイムに右SBウィリアン・フルタドが自陣からドリブルでボールを持ち上がりゴールに沈めるダメ押しゴール。
   クルゼイロがホームで2-0の勝利を飾った。

   クルゼイロは、相手のボールの出どころへの寄せを強め、ボールを奪うとMFマテウス・ペレイラを中心とした攻撃に転じ、試合の主導権を握る。しかし、シュート精度に欠け、何度もチャンスを迎えるがゴールは生まれない。前半終盤のPK、試合終了間際のSBウィリアン・フルタドのゴラッソで2点を奪ったが、攻撃の精度を高めたい。
   一方で、下位チームが相手だったとはいえ、2試合連続無失点。5月には4試合連続の無失点試合も記録しており。攻撃面で定評のあるフェルナンド・セアブラ監督だが、守備の構築でも指導者として成長を続けている。

   フルミネンセは、大幅に選手を入れ替えて試合に入り、何度か決定機を迎えたが、クルゼイロGKアンデルソンを中心とした粘り強いにゴールは奪えず公式戦3連敗。他会場の結果、今節終了時点で最下位に転落した。
   前半30分には、右ウィング、右サイドバックとして大車輪の活躍をしてきたマルキーニョスが負傷交代。ケガの状態が心配される。
   一方で、交代でポジションに入った右SBカレガリ(Calegari, 2002)が今季初出場。2020年のデビュー以来3年連続で25試合前後の試合に出場しながらも、2023年に構想外となりLAギャラクシー/USAへ期限付き移籍。新天地でレギュラーとして活躍するも膝前十字靭帯断裂の重傷でフルミネンセに復帰。一度はフェルナンド・ジニース監督のもとで構想外となったが、このチャンスをいかして出場機会を増やしていきたい。

ヴィトーリア(VIT) 4-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=SQqwS_U1xGI
(VIT) : 8' #30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)[]
(CAM) : 14' #6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)[PK]
(VIT) : 44' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#27 ラウール・カセレス(Raúl Cáceres, 1991)]
(VIT) : 66' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
(VIT) : 76' #31 ラクレブラ(Laculebra, 1995)[#10 ジアン・モタ(Jean Mota, 1993)]
(CAM) : 88' #30 ブライアン・パラシオス(Brahian Palacios, 2002)[]

今節前の順位

ヴィトーリアは全国選手権1勝3分5敗勝点6の20位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。
アトレチコ・ミネイロは全国選手権3勝4分1敗勝点13の9位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  SBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997, ブラジル代表)
  MFアラン・フランコ(Alan Franco, 1998, エクアドル代表)
  FWバルガス(Vargas, 1989, チリ代表)

得点シーン

(VIT) : 8' #30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)[]
相手陣PA右へ素早くボールを送ると、右SBラウール・カセレス(Raúl Cáceres, 1991)がゴール前にクロスを送ろうとするが、DFが頭に当てコースを変える。ペナルティサークル内にポジションを取っていたMFマテウジーニョは、流れたボールを受ける前に相手のポジションを確認し、ボールを受けると間髪開けずに左足のシュート。DFの間をすり抜けたボールはゴール左に決まり、ホームのヴィトーリアが先制。[1-0]
   MFマテウジーニョは公称165㎝の小柄にミッドフィルダー。低い重心を利用したボールキープ力や確かな戦術眼を持ち、決定的で正確なパス出しを得意とする。フィゲイレンセ育成出身で2015年3月州選手権にて17歳のプロデビュー。将来性を期待されたが、フィゲイレンセ、2020年に加入したカシアスではあまり多くの出場機会に恵まれず、2023年全国選手権2部開幕を前にヴィトーリアに入団。7月16日第17節の先発出場を機にレギュラーの座を獲得しチームの2部優勝に貢献する。2024年も攻撃の要としてバイーア州選手権優勝に貢献。この試合では個のゴールの他に1アシストも記録。2016年以来となる全国選手権1部の舞台では10試合2得点3アシストを記録中。
(CAM) : 14' #6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)[PK]
PA入口で後方からのボールを受けたMFペドリーニョ(Pedrinho, 1998)が反転しドリブルでゴールに向かう。すると、DFの足が伸びMFペドリーニョは転倒。主審はプレーを流すが、VARが介入し、OFRの結果、主審はPKの判定。これをMFグスタヴォ・スカルパがゴール右に決めアトレチコ・ミネイロが同点に追いつく。[1-1]
   MFグスタヴォ・スカルパは、フルミネンセ育成出身で2014年にプロデビューを果たすと、2016年、2017年は年間50試合以上に出場。2018年に移籍したパウメイラスにて主軸として複数のタイトルを獲得。2022年パウメイラスの全国選手権優勝に導き、2023年にノッティンガム・フォレスト/ENGに移籍するが、適応に苦しみ半年間で10試合の出場に止まる。その後、オリンピアコス/GREを経て、2024年1月にアトレチコ・ミネイロに入団。当初は適応に苦しむが、ミリット(Milito)監督就任後にサイドを中心とした起用に瞬時にフィット。今では攻撃の組み立て、フィニッシュにおいて、なくてはならない選手となっている。
(VIT) : 44' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#27 ラウール・カセレス(Raúl Cáceres, 1991)]
右SBラウール・カセレスが右サイドライン際をゴールライン際までボールを運びPA入口中央へマイナスのパス。FWアレハンドロ(Alerrandro, 2000)の内側にVOLウィリアン・オリヴェイラが後方から駆け上がりシュート。[2-1]
   右SBラウール・カセレスは、2011年U-20南米ユース選手権パラグアイ代表(4試合)。ブラジルでは2019ヴァスコ・ダ・ガマ(29試合3アシスト)、2020‐21年クルゼイロ(計60試合3得点7アシスト)、2022年アメリカ・ミネイロ(41試合1得点2アシスト)の実績。2024年にヴィトーリアに加入したものの、出場機会に恵まれず、この試合が6試合目、全国選手権初出場となった。しかし、試合ではオーバーラップを繰り返し右サイドを制圧。SBゼカ(Zeca, 1994)退団後のポジション争いではSBウィリアン・レポ(Willean Lepo, 1997)の後塵に排していたが、この試合の活躍でポジション争いに名乗りを挙げた。
(VIT) : 66' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
右サイドライン際相手陣に入った地点でのFKから縦に送られたボールをMFマテウジーニョがPA横でキープ。後方に下がりながらゴール前に柔らかいボールを送ると、FWアレハンドロが外から中に絞り込みDFと競り合う。ボールは両者に合わず背後に流れるが、FWアレハンドロが空けたスペースを後方から上がり埋めていたVOLウィリアン・オリヴェイラが、ワントラップからGKのニアサイドを抜くシュート。[3-1]
   VOLウィリアン・オリヴェイラは、この試合の2得点で全国選手権得点ランクのトップに躍り出た。試合後のインタビューではその事実が信じられない様子で、「すべてが神の思し召し。神が導いてくれた。得点ランクトップは特別なこと。僕よりも実力が上の選手はいくらでもいる。でも、この試合でヴィトーリアのユニフォームを着て、アトレチコ・ミネイロというビッグクラブを相手に勝利し、その中で僕が2ゴールを決められたのはすべて神の導きだ」といった旨を言葉を噛みしめながら語った。下積み時代が長く、30歳を前に上位リーグでコンスタントに試合に出るようになった高さのある守備的なボランチが、ここ2~3年は攻撃面でも積極なプレーを習得。今年31歳を迎えたVOLウィリアン・オリヴェイラはまだまだ成長を続けている。
(VIT) : 76' #31 ラクレブラ(Laculebra, 1995)[#10 ジアン・モタ(Jean Mota, 1993)]
FWファビオ・ソアレス(Fábio Soares, 2004)が中央やや右のレーンを縦にボールを運び最終ライン裏へスルーパス。これを受けたMFジアン・モタがグラウンダーのクロスを送るとファーサイドでFWラクレブラが駆け上がりながら足を合わせダメ押しの4点目。途中交代3選手によるゴール。[4-1]
   FWラクレブラ(スペイン語で「コブラ」)こと、エリキ・カスティージョ(Eryc Castillo)は、エクアドル代表として試合の経歴を持つ。母国エクアドルのほかメキシコでもプレー。2024年シーズンに向けヴィトーリアに加入。これがブラジルでの初めてのプレーとなる。ケガやチームへの適応に苦労し、出場機会は限られていたが、6月に入り連戦で途中交代ながら出場を繰り返し、このゴールがヴィトーリアでの初ゴールをなった。
(CAM) : 88' #30 ブライアン・パラシオス(Brahian Palacios, 2002)[]
CBブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)からのボールを受けたMFホベルチ(Robert, 2003)が前を向き、間合いを詰めるDFの裏のスペースへボールを送ると、MFグスタヴォ・スカルパがダイレクトにシュート。GKルーカス・アルカンジョ(Lucas Arcanjo, 1998)が両手で防いだボールは右サイドに流れる。FWブライアン・パラシオスがボールを拾うと角度のない位置から強烈なシュート。GKのニアサイドを破ったボールがファーサイドのゴールネットに刺さる。[4-2]
   FWブライアン・パラシオスは、2023年パンアメリカン競技大会コロンビアU-23代表(4試合1アシスト)。2024年3月に270万ユーロでアトレチコ・ミネイロへ移籍入団。5月22日コパ・ド・ブラジル三回戦にてクラブデビュー。自身5試合目の出場となるこの試合で思い切りのいいシュートでクラブ初ゴールをマーク。今後も出場機会を増やす中で監督の信頼を勝ち取り、ポジション争いに名乗りを挙げたい。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:49% 51% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:6‐9(3-4) ⇒ 前後半:10-19(5-7)
パス成功率: 前半:81% 88% ⇒ 前後半:79% 86%
Desarmes: 前半:4‐8 ⇒ 前後半:13-17
Faltas Cometidas: 前半:5‐4 ⇒ 前後半:14-13

   ヴィトーリアは、前節インテルナシオナウ戦にて試合終了間際のPKで勝ち越し、全国選手権初白星を収めた。
   今節のスタメンは、出場停止の右SBウィリアン・レポ(Willean Lepo, 1997)に代わり、今季全国選手権初出場となる右SBラウール・カセレス(Raul Cáceres, 1991)が入り、戦術的理由からCBカムタンガ(Camutanga, 1993)に代わりVOLカイオ・ヴィニシウス(Caio Vinícius, 1999)がセンターバックに入る。
   アトレチコ・ミネイロは、前節パウメイラス戦を前半31分の理解しがたい理不尽な2枚の警告によりFWフッキ(Hulk, 1986)が退場。後半に一気に突き放され0-4の大敗を喫した。
   今節は、コパ・アメリカ代表の3選手に加え、FWフッキ(Hulk, 1986)とFWパウリーニョ(Paulinho, 2000)が出場停止のため欠場。出場停止明けのGKエヴェルソン(Éverson, 1990)、VOLバターリャ(Battaglia, 1991)の両選手がスタメン復帰、FWカドゥ(Cadu, 2004)のワントップを右FWペドリーニョ(Pedrinho, 1998)と左FWアリソン(Alisson, 2005)が支える布陣になると思われる。

   前半3分、ヴィトーリアは左サイドから右へボールを展開し、PA右手前からMFマテウジーニョがファーストシュート。
   対するアトレチコ・ミネイロも、前半7分、相手陣PA内でMFグスタヴォ・スカルパが掻き出したこぼれ球をFWカドゥがゴールに沈め全国選手権初ゴール。と思われたが僅かにオフサイド。ゴールは認められない。
   すると、ヴィトーリアはリスタートされた流れから右サイドを前線にボールを送り、右SBラウール・カセレスのマイナスのボールを、MFマテウジーニョがシュート。今度はしっかりと枠を捉え先制点を奪う。
   アトレチコ・ミネイロも、直後の前半14分、MFペドリーニョがPA内で倒され獲得したPKをMFグスタヴォ・スカルパが決め同点に追いつく。
   さらに、後半22分、MFイゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)がPA手前左から放ったシュートはDFに当たりコースを変えるが、逆を突かれた形となったGKルーカス・アルカンジョが辛うじて指先にボールを当て、ボールはゴールポストを叩きDFがクリア。
   後半30分、左サイドを抜け出したFWアリソンがシュートに持ち込むが、GKルーカス・アルカンジョが間合いを詰め足でシュートをブロック。
   後半32分、またもや左サイドから守備陣を崩し、MFイゴル・ゴメスからのボールを受けたMFペドリーニョがシュートに持ち込むが、GKルーカス・アルカンジョがファーサイドに流れるボールを両手で弾き返す。
   複数のピンチをGKルーカス・アルカンジョの好守で乗り越えたヴィトーリアは、後半40分、右サイドゴールライン際からのマイナスのパスに合わせたFWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)がダイレクトにシュート。しかしボールは枠を越えていく。
   しかし、前半44分、先ほどと同様の位置からのマイナスのパスにVOLウィリアン・オリヴェイラが左足を合わせゴールネットを揺らす。
   ホームのヴィトーリアが2-1とアトレチコ・ミネイロをリードし前半を折り返す。
   後半開始はアトレチコ・ミネイロのターン。後半5分にイゴル・ゴメスがゴール正面約20mのミドルシュート。ボールはクロスバーに嫌われ、このターンで追いつくことができない。
   後半21分、ヴィトーリアがまたもや右サイドを起点とした攻めから、VOLウィリアン・オリヴェイラがこの試合自身2点目のゴール。
   さらには、後半31分には、交代出場したばかりのMFジアン・モタとFWラクレブラのコンビによるアシストとゴールでダメ押しの追加点。
   後半43分、アトレチコ・ミネイロも途中出場のFWブライアン・パラシオスのゴールで1点を返すが、反撃もここまで。
   ホームでヴィトーリアが連勝を飾った。

   ヴィトーリアが、右サイドをゴールライン際まで何度も攻めあがり4得点の快勝。バイーア州選手権を制覇した意思統一された組織的なサッカーが復活し、最近の4試合で勝点「8」。最下位から降格圏を抜け出し、一気に15位まで順位を上げた。
   攻撃面では、MFマテウジーニョが攻撃陣をコントロール、右サイドをSBラウール・カセレスがオーバーラップを重ね、中央でFWアレハンドロがDFを引き付け、FWオズヴァウドが下がるのと入れ違うようにVOLウィリアン・オリヴェイラが上がり攻撃参加。ゴールライン際までボールを持ち上がり、相手最終ラインを押し下げ、ぽっかり空いたスペースにボールを送る、デザイン通りのゴールを積み重ねた。
   また、3点のリード後も、さらに追加点を奪いに行き、タイムアップまで戦う姿勢を見せた。
   対戦相手も対策を打ってくるだろうが、次節以降も上記のようにデザインされた攻撃で得点を積み上げ、連勝を重ねていきたい。

   アトレチコ・ミネイロは、欠場選手が多かったとは言え、同じサイドから同じパターンの失点を繰り返した。これで2試合連続の4失点。
   左サイドバックはSBギリェルミ・アラーナが代表に選出され、控えの一番手のSBフーベンス(Rubens, 2001)は長期離脱中。現状は長ければコパ・アメリカ閉幕の7月下旬まで続く。台所事情は苦しいが、戦術的にカバーして、現在の危機を乗り越えたい。

フラメンゴ(FLA) 2-1 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=EZ42W4KIJCs
(FLA) : 24' #8 ジェルソン(Gerson, 1997)[#9 ペドロ(Pedro, 1997)]
(BAH) : 35' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1998)[#6 ジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1991)]
(FLA) : 90+4' #23 ダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)[#8 ジェルソン(Gerson, 1997)]

今節前の順位

フラメンゴは全国選手権5勝3分1敗勝点18の2位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  VOLエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994, チリ代表)
  SBバレラ(Varela, 1993, ウルグアイ代表)
  SBビーニャ(Viña, 1997, ウルグアイ代表)
  MFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994, ウルグアイ代表)
  MFデ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997, ウルグアイ代表)
バイーアは全国選手権5勝3分1敗勝点18の3位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  SBサンチアゴ・アリアス(Santiago Arias, 1992, コロンビア代表)

得点シーン

(FLA) : 24' #8 ジェルソン(Gerson, 1997)[#9 ペドロ(Pedro, 1997)]
相手陣に入った地点でボールを奪い返したVOLジェルソン→MFロハン(Lorran, 2006)→FWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)と右前方へ展開、PA内側をFWルイス・アラウージョ→MFロハン→FWペドロとボールを中央へ折り返していき、FWペドロがワンタッチでボールをPA外へ戻すと、VOLジェルソンが低い弾道の強烈なシュート。これがゴールファーサイドに突き刺さりフラメンゴが先制。
   VOLジェルソンは、ブラジウる代表として2022W杯南米予選5試合の経歴。フルミネンセ育成出身で2015年3月リオデジャネイロ州選手権にて17歳のプロデビュー、そのままレギュラーの座を獲得し、デビュー一年目で45試合5得点3アシストの成績を残す。2016年1月にローマ/ITAへ1600万ユーロにて移籍。バルセロナ/ESPが獲得手前まで交渉が進んだもののローマがバルセロナを上回る条件を提示し獲得に至った。2019年7月フラメンゴへ移籍。2021年6月2500万ユーロにてマルセーユ/FRAへ移籍しシーズン48試合11得点7アシスト。しかし、翌期は新監督と揉め出場機会が急激に減り、2023年1月にフラメンゴへ復帰。復帰後はセグンドボランチとして攻守に幅広い活躍するフラメンゴの核となる選手の一人。この試合ではCKのキッカーとして2点目のアシストも記録。
(BAH) : 35' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1998)[#6 ジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1991)]
自陣中央でのビルドアップからCBカヌー(Kanu, 1997)がVOLジアン・ルーカスに縦にボールを入れると、前を向いたVOLジアン・ルーカスが素早く縦にスルーパス。FWエヴェラウドが並走するDFに競り勝ち、間合いを詰めるGKの頭上を越すシュート。バイーアが試合を振り出しに戻す。[1-1]
   FWエヴェラウドは、2023年に鹿島アントラーズ/JPNからバイーアに加入、年間60試合20得点5アシストの成績を収める。しかし、2024年序盤は戦術的理由によりベンチスタートが増えるが、全国選手権第3節にて途中出場から1得点、翌第4節にて先発起用に応え1得点を決め、先発に定着。この試合を含め全国選手権は10試合5得点、年間27試合8得点3アシストを記録中。
(FLA) : 90+4' #23 ダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)[#8 ジェルソン(Gerson, 1997)]
右CKからVOLジェルソンが左足でボールをゴール前に上げる。ニアサイドでDFの前に出たCBダヴィ・ルイスが頭を合わせると、鋭いボールがGKの手を掠めゴールネットに沈む。フラメンゴが勝ち越し。[2-1]
   CBダヴィ・ルイスは、2014W杯7試合2得点1アシストなどブラジル代表として通算57試合3得点1アシスト。ヴィトーリア育成出身で2006年デビュー年に53試合2得点の成績を収め、翌2007年2月にベンフィカ/PORへ移籍。その後、チェルシー、パリ、チェルシー、アーセナルと約15年間欧州の一線でプレーし、2021年フラメンゴに加入。2022年には主力としてチームのリベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルの二冠に貢献。2023年以降も頼もしい準主力として活躍を続けている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:39% 61% ⇒ 前後半:42% 58%
シュート(枠内): 前半:6‐5(1-1) ⇒ 前後半:13-8(3-3)
パス成功率: 前半:85% 94% ⇒ 前後半:84% 93%
Desarmes: 前半:6‐5 ⇒ 前後半:12-8
Faltas Cometidas: 前半:6‐4 ⇒ 前後半:8-10

   フラメンゴは5選手がコパ・アメリカに出場し、同大会期間中は厳しい戦いを余儀なくされるが、一方で若手選手や控えに甘んじてきた選手にはアピールする絶好のチャンス。MFロハン(Lorran, 2006)とFWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)が連戦で高パフォーマンスを見せている。
   前節は後半アディショナルタイムにPKから失点するも、最後のプレーでFWルイス・アラウージョが蹴るCKをVOLエヴェルトン・アラウージョ(Evertton Araújo, 2003)が頭で押し込み勝点「1」を獲得した。
   今節のスタメンは、左SBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)が4週間ぶりの復帰、前々節の前半に負傷交代したFWエヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1997)が大事に至らずスタメンに復帰した。
   バイーアは、公式戦11試合負けなし、全国選手権は開幕節の敗戦以降8戦負けなし。中盤を厚くした布陣で、ボールを支配する試合と守備からカウンターを狙う試合を使い分け、上位との試合で互角以上の成績を残し、リベルタドーレス出場圏(4位)内をキープしている。
   前節は、他会場の結果、勝てば首位に立つという状況で、連敗中のクリシウーマとの試合に臨んだが、2点をリードされる苦しい展開。後半18分に相手から退場者が出たものの、逆転までは至らず、3位に順位を落とした。
   今節のスタメンは、出場停止明けのCBカヌー(Kanu, 1997)が復帰。他に変更はなく、今節も不動のスターティングイレブンで試合に入る。

   上位との対決では守備的な戦術でカウンターを狙う試合が多かったバイーアだが、今節はアウェイにもかかわらず積極的にボールを持って試合を展開する。
   立ち上がりこそ、フラメンゴのハイプレスに苦しむものの、次第にプレスを剥がすようになり、前半6分には右サイドライン際からの縦に速い攻めからMFカウリー(Cauly, 1995)がゴール正面からシュート。前半15分には相手陣中央を細かいパスを繋ぎVOLジアン・ルーカスがシュートまで持ち込む。
   しかし、先制点はフラメンゴ。VOLジェルソンのボール奪取を起点に、サイドへボールを展開し、最後はゴール前に上がったVOLジェルソンが強烈なシュート。試合の均衡を破る。
   一方のバイーアは、失点後も序盤の攻める姿勢を崩さず、前半35分、CBカヌーからの縦に鋭いパス2本でフラメンゴ守備網を崩し、FWエヴェラウドがゴールを奪い、試合を振り出しに戻す。
   後半も立ち上がりはバイーアがボールを繋ぎ優位に試合を進める。しかし、次第にフラメンゴの守備が対応していき、試合は膠着状態に陥る。後半35分を過ぎ、バイーアは前線にスピードのあるフレッシュな選手を投入し、勝ち越しゴールを狙いに行くが、フラメンゴ守備陣は落ち着いて対応。試合は動かない。
   フラメンゴは、後半44分に右CK、後半45+1分に左CKを獲得。いずれもVOLジェルソンがキッカーを務めCBダヴィ・ルイスをターゲットにボールを送るが、CBダヴィ・ルイスが頭で合わせたボールは勢いが弱くゴールは生まれない。後半45+4分、三たびフラメンゴはCKを右サイドで獲得すると、三たびVOLジェルソンがCBダヴィ・ルイスをターゲットにボールを送る。すると、CBダヴィ・ルイスはニアサイドで強烈なヘディングシュート、3度目の正直で奪ったゴールが決勝点。
   白熱した上位対決は、ホームのフラメンゴに軍配が上がり、フラメンゴは遂に首位に躍り出た。

   フラメンゴは、VOLジェルソンが1得点1アシストの活躍。守備面では相手の攻撃の蓋となり、攻撃面では縦の推進力で好機を演出。CKのキッカーとしてもCBダヴィ・ルイスの決勝ゴールを演出した。
   また、17歳(2006年生まれ)のMFロハンが二列目で積極的にボールに触れ先制点に関与。縦の抜け出しから惜しいシュートを放つなど、この試合でも存在感をみせた。
   コパ・アメリカにより選手を欠いた状況で3試合目の試合となったが、戦績は2勝1分。MFロハン、FWルイス・アラウージョに加え、前節同点ゴールのVOLエヴェルトン・アラウージョや、ボランチ起用のCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)などが期待を上回る活躍。チチ監督は、この試合では1-1で同点の局面の後半40分に今季全国選手権初出場、プロ5試合目となるCBクレイトン(Cleiton, 2003)をピッチに送り出すなど、足元と将来を見据えた選手起用も見せている。
   主力を欠く試合は7月下旬まで続くが、次々とヒーローが生まれるフラメンゴの選手起用は、一サッカーファンとして楽しみが尽きない。

   一方のバイーアは、足元の結果に重点を置いた選手起用で、ほぼ固定化されたスタメンと交代選手。州選手権ではプレーチャンスが与えられた若手選手やポジション争いに加わりたい選手は、今では出場機会が一切なく、選手層には厚みがない。
   国際カップ戦への参加がなく、他の上位チームと比較して日程的な有利はあるとはいえ、今年のブラジルは南部を除いて、初冬にも関わらず日中は30度を超える日が続いており、選手の疲労の蓄積が懸念される。
   今節は、選手の攻撃面でのポテンシャルを引き出すような戦術が採用されたが、豊富なタレントを擁するチームが守備的に試合を進めることも多く、一サッカーファンとして期待を裏切られ続けてきた。今節のような個々の選手の攻撃的なポテンシャルを引き出すような試合運びを今後も見たい。

パウメイラス(PAL) 2-1 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=WkdUlafmBUM
(PAL) : 21' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[#10 ホニ(Rony, 1995)]
(RBB) : 49' #38 マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)[#19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)]
(PAL) : 55' #10 ホニ(Rony, 1995)[#21 ウェヴェルトン(Weverton, 1987)]

今節前の順位

パウメイラスは全国選手権5勝2分2敗勝点17の5位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993, パラグアイ代表)
  VOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000, コロンビア代表)
  FWエンドリッキ(Endrick, 2006, ブラジル代表)
RBブラガンチーノは全国選手権4勝3分2敗勝点15の7位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
   SBアンドレス・ウルタド(Andrés Hurtado, 2001, エクアドル代表)

得点シーン

(PAL) : 21' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[#10 ホニ(Rony, 1995)]
GKウェヴェルトン(Weverton, 1987)から右サイドライン際FWエステヴォン(Estêvão, 2007)を狙ったロングフィード。DFの寄せを剥がしPA内に侵入したFWエステヴォンはディフェンスラインが下がり出来たスペースへボールを戻す。FWホニを経て、中央に流れたボールをMFハファエウ・ヴェイガがシュート。ボールはゴール右上に決まりパウメイラスが先制。[1-0]
   右サイド17歳のFWエステヴォンがドリブルでPA内にする攻撃はすでにパウメイラスの戦術の一部となっている。
(RBB) : 49' #38 マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)[#19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)]
自陣PA手前で相手のパスをカットしたVOLマテウス・フェルナンデスが中央のレーンをドリブルでボールを持ち上がる。細かく縦にFWエリーニョ(Helinho, 2000)、FWエドゥアルド・サーシャと繋がったボールは、DFラインのギャップを突いたVOLマテウス・フェルナンデスの元に戻り、間合いを詰めるGKの頭上を越すシュート。これがゴールに吸い込まれRBブラガンチーノが同点に追いつく。[1-1]
   VOLマテウス・フェルナンデスは、ボタフォゴ育成出身で2017年1月リオデジャネイロ州選手権にて18歳のプロデビュー。ボタフォゴで2年間85試合1得点4アシストの成績を収め、2019年にパウメイラスへ移籍。パウメイラスで12試合に出場し、2020年1月末にバルセロナ/ESPに700万ユーロで入団、この時21歳。期限付き移籍先のバジャドリーにて7試合に出場し、バルセロナではチャンピオンズリーグでの1試合17分の出場に止まり、2021年7月に契約を解除、パウメイラスに入団する。しかし、パウメイラスでも出場機会は恵まれず、2022年アトレチコ・パラナエンセへの期限付き移籍に続き、2023年RBブラガンチーノへ期限付き移籍。RBブラガンチーノのボールを支配し、相手を押し込むサッカーに適応し、主力の一人として55試合に出場し、2024年に完全移籍。2024年は2度に渡るケガによる離脱期間があったものの、5月以降はレギュラーとして復帰。このゴールは2024年初ゴールとなった。
(PAL) : 55' #10 ホニ(Rony, 1995)[#21 ウェヴェルトン(Weverton, 1987)]
GKウェヴェルトンから大きく蹴りだされたボールは、相手センターバックの間を縦に走るFWホニのわずか先に落下。バウンドを合わせたFWホニのシュートが間合いを詰めるGKの脇を抜けゴールネットを揺らす。5秒間の速攻でパウメイラスが勝ち越し。[2-1]
   GKウェヴェルトンは、2022W杯1試合などブラジル代表として10試合に出場。2016リオ五輪金メダリスト。2007年6月全国選手権2部にてヘモ(Remo)から19歳のプロデビュー。2010年に在籍した2チームで計51試合に出場。2011年全国選手権2部ポルトゲーザにて57試合に出場。2012年6月に当時全国選手権2部アトレチコ・パラナエンセに移籍すると瞬く間にレギュラーを座を獲得。2017年まで定位置を守り続ける。2018年パウメイラスに入団すると、半年後にはレギュラーの座に就き、以降は守護神としてチームの数々のタイトル獲得に貢献。デビュー以来15年、824試合出場の記録を残しているが、このアシストがプロサッカー人生初のアシストとなった。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:45% 55%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:22-13(7-3)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:75% 83%
Desarmes: 前半:‐ ⇒ 前後半:20-14
Faltas Cometidas: 前半:‐ ⇒ 前後半:10-9

   パウメイラスは、前節アトレチコ・ミネイロは前半に相手から退場者が出たこともあり4-0の快勝。
   今節のスタメンは、前節負傷退場のFWラザロ(Lázaro, 2002)が欠場し、3トップから2トップに変更。中盤にVOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2002)が入り3ボランチとし、RBブラガンチーノのパスを繋ぐサッカーに対応する。
   RBブラガンチーノは、先制後の前半12分に退場者を出し、80分間を数的不利の状況での試合となったが、後半37分にFWエリーニョ(Helinho, 2000)のこの試合2点目のゴールで勝ち越し、難しい試合で勝点「3」を獲得。
   今節のスタメンは、4つのポジションで変更。出場停止明けのSBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)と入れ替わるようにSBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)が出場停止。前節右サイドバックに入ったVOLジャジソン(Jadsom, 2001)が出場停止のため、SBナタン・メンデス(Nathan Mendes, 2002)が4試合ぶりのスタメン。中盤にMFエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)が起用され、出場停止明けのFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)が3トップの一角に入る。

   ボールを支配し相手陣でボールを前後左右に散らすサッカーを展開するアウェイのRBブラガンチーノ。コンパクトに保った守備網からスピーディーな展開で一気に相手陣に深く押し込むホームのパウメイラス。
   パウメイラスは、RBブラガンチーノの攻撃を受けながらも、ボールを奪うと右サイドに位置するスピードのあるFWエステヴォンにボールを送り、大きく広がる相手陣に攻め上がる。前半12分にFWホニ(Rony, 1995)、前半20分にはFWエステヴォン自らが、この展開からシュートまで持ち込む。すると、前半21分、GKウェヴェルトンからロングフィードを右サイドライン際で受けたFWエステヴォンがゴールライン際までボールを運び、FWホニを経たボールをMFハファエウ・ヴェイガがゴールに蹴り込みパウメイラスが先制。
   一方のRBブラガンチーノは、相手陣でボールを展開するものの、シュートに持ち込むまでに時間を要し、パウメイラスがブロックを構築する時間を与え、決定的なシーンに持ち込むことができない。
   パウメイラスは、前半29分、30分とFWエステヴォンが相次いで右サイドから中央に切れ込みシュートに持ち込むが、いずれもGKクレイトン(Cleiton, 1997)がストップ。追加点は生まれない。
   前半は終盤にかけてパウメイラスが相次いでRBブラガンチーノのゴールを襲うが、GKクレイトンが再三の好守でゴールを守り切る。
   後半4分、RBブラガンチーノは、自陣PA手前から縦に速い攻撃でパウメイラスのゴールを陥れる。
   しかし、6分後の後半10分、GKウェヴェルトンのロングフィードにFWホニが抜け出しパウメイラスが勝ち越し。
   パウメイラスは、リードを奪うと全体的にラインが下がり、構えて受ける守備を展開。RBブラガンチーノは、ボールを展開するものの、パウメイラスの守備網を崩せない。後半31分にFWエリーニョが約30mのミドルシュート、ボールは枠を捉えるがGKウェヴェルトンは堅実にクロスバーの上にボールを弾きだす。
   その後もRBブラガンチーノは、パウメイラスの堅固な守備網を崩せない。パウメイラスはボールを持たれながらも試合をコントロールし、試合はタイムアップ。
   パウメイラスが、終始試合をコントロールし2-1の勝利を収めた。

   パウメイラスは、前半は17歳のFWエステヴォンを軸にしたスピード豊かな攻撃を仕掛け相次いで相手ゴールに迫り、後半に入り一度は同点に追いつかれたものの、再度リードを奪うと、VOLファビーニョ(Fabinho, 2002)など、しばらく出場機会のなかった育成出身の若手4選手を相次いで投入。規律の高い組織的な守備を最後まで保ち、ピンチらしいピンチを迎えず試合を締めた。
   交代出場でプレーした若手選手は、守備的なプレーに終始したものの、各選手ミッションを完遂し、次につながるパフォーマンスを披露した。
   この試合の結果、全国選手権2連覇中のパウメイラスは、全国選手権4連勝で首位まで勝点差「1」の3位に浮上。次節以降5試合連続で下位に低迷するチームとの対戦が続くが、ここで一気に首位に立ち、さらには独走態勢に持ち込む可能性もある。

   RBブラガンチーノは、理想のサッカーに固執するあまり、対戦相手に対応する戦術の柔軟性でパウメイラスに劣り、試合に敗れた。
   攻撃時には、相手陣で両サイドバックが高い位置を保ち、相手の守備網を包み込むように選手間の距離を一定間隔に置く布陣がベース。中の選手が有機的にポジションを変え守備網を崩しにいくが、この試合では相手守備陣に混乱を生み出すことができず、ボールロスト後の寄せに行く前に素早くボールを前に送られ、広大に広がる自陣をFWエステヴォンのスピードに侵された。
   後半の得点は、自陣からの縦に速い展開でのゴール。このゴールのようにボール支配にこだわらず柔軟に速攻と遅攻とを組み合わせ、相手にボールを持たせる時間帯も作っていけば、試合展開に幅も広がり取りこぼしも減ると思うのだが、現実はなかなか難しいようだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です