【ブラジル全国選手権2024】第11節(1/2)[06/22-23]

投稿者: | 2024年6月22日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第11節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/06/22 クリシウーマ(CRI) x ボタフォゴ(BOT)
・2024/06/22 グレミオ(GRE) x インテルナシオナウ(INT)
・2024/06/22 クイアバ(CUI) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)
・2024/06/22 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x サンパウロ(SAO)
・2024/06/23 バイーア(BAH) x クルゼイロ(CRU)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第11節(2/2)[06/22-23]
・2024/06/23 フルミネンセ(FLU) x フラメンゴ(FLA)
・2024/06/23 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x コリンチャンス(COR)
・2024/06/23 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x フォルタレーザ(FOR)
・2024/06/23 パウメイラス(PAL) x ジュヴェントゥージ(JUV)

・2024/06/23 RBブラガンチーノ(RBB) x ヴィトーリア(VIT)

全国選手権第11節 試合概要

クリシウーマ(CRI) 2-1 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rbDB7yoztFU
(CRI) : 10' #88 バヘット(Barreto, 1995)[#6 ホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)]
(BOT) : 55' #3 ルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)[#70 オスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)]
(CRI) : 84' #45 アルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)[#27 クラウジーニョ(Claudinho, 2000)]

今節前の順位

ボタフォゴは全国選手権6勝2分2敗勝点20の2位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  FWサバリーノ(Savarino, 1996, ベネズエラ代表)
クリシウーマは全国選手権2勝3分3敗勝点9の14位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  CBウィルカー・アンヘル(Wilker Ángel, 1993, ベネズエラ代表)

得点シーン

(CRI) : 10' #88 バヘット(Barreto, 1995)[#6 ホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)]
右サイドをFWボラシエ(Bolasie, 1989)、MFマテウジーニョ(Matheusinho, 1998)、SBジョナタン(Jonathan, 1992)、MFホナウジ・ロペスが執拗にボールを繋ぎ、ゴールライン際までボールを運んだMFホナウジ・ロペスがゴール前にクロス。DFの前にVOLバヘットが飛び込みクリシウーマが先制。[1-0]
   MFホナウジ・ロペスは、2016年9月にリオデジャネイロ州下位リーグにてノヴァ・イグアス(Nova Iguaçu)から19歳のプロデビュー。2020年にフォルタレーザに期限付き移籍でプレーするチャンスを得ると、準主力として全国選手権28試合など計32試合に出場。シーズン後買取オプションが行使され3年間で108試合3得点4アシストの成績を残す。クリシウーマには全国選手権開幕前にフォルタレーザから期限付き移籍加入。途中出場が続いたが、最近は4試合連続で先発に起用されている。
(BOT) : 55' #3 ルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)[#70 オスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)]
右CKを蹴るのはMFオスカル・ホメーロ。左足でゴール前に上げたボールにニアサイドでCBルーカス・アウテルが頭を合わせると、ファーサイドに流れたボールがGKの指先を越えゴールネットを揺らす。[1-1]
   CBルーカス・アウテルは、2017年にU-20W杯7試合、U-20南米ユース選手権8試合1得点の経歴を持つ。アトレチコ・パラナエンセ育成出身で2019年1月パラナ州選手権にて18歳のプロデビュー。同年は25試合2得点、翌2020年は20試合2得点1アシストの成績を残す。その後出場機会は減るが、2023年期限付き移籍でゴイアスに加入すると54試合6得点。ケガのため辞退したものの、10月にはパンアメリカン競技大会U-23代表へ招集。2024年ボタフォゴへ完全移籍を果たし、31試合2得点1アシストを記録している。
(CRI) : 84' #45 アルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)[#27 クラウジーニョ(Claudinho, 2000)]
相手の縦の鋭いパスを自陣の高い位置でSBクラウジーニョがインターセプト。そのまま縦にボールを持ち上がり、左斜め前方にボールを送る。フリーの態勢でボールを受けたFWアルトゥール・カイーキがシュート。間合いを詰めるGKの足元をかすめたボールが無人のゴールに吸い込まれクリシウーマが勝ち越し。[2-1]
   FWアルトゥール・カイーキは、2021‐23年の3年間、鹿島/JPNでプレーし計78試合22得点7アシスト。2024年は3か月間の契約でエスポルチでプレーした後に、4月にクリシウーマに加入。スタメン、途中出場を繰り返しながらもコンスタントに試合に出場し、今節終了時点で8試合2得点。この試合では2度の好機を逃したものの、ストライカーの意地を見せた値千金の勝ち越しゴールを決めた。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:43% 57% ⇒ 前後半:44% 56%
シュート(枠内): 前半:7‐4(2-1) ⇒ 前後半:13-10(3-2)
パス成功率: 前半:78% 87% ⇒ 前後半:77% 83%
Desarmes: 前半:8‐6 ⇒ 前後半:12-14
Faltas Cometidas: 前半:7‐6 ⇒ 前後半:16-13

   前節の勝利で降格圏から抜け出したクリシウーマ。
   今節のスタメンは、前節クラブ初ゴールを記録したVOLネウトン(Newton, 2000)はボタフォゴからのレンタルのため欠場。前節1得点1アシストのSBトラウコ(Trauco, 1992)が一列前に上がり、左サイドバックには前々節同点ゴールのSBマルセロ・エルメス(Marcelo Hermes, 1995)が復帰。出場停止明けのFWエデル・シタジン(Éder Citadin, 1986)の1トップ。
   ボタフォゴは、9試合負けがないものの、前節は引き分けに終え首位から陥落。しかし、苦しい試合を最後のプレーで同点に追いつく粘りを見せた。
   今節のスタメンは、前節から5つのポジションで変更。父の逝去のため2試合欠場したFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)が先発復帰。

   立ち上がりの5分間はボタフォゴが左サイドを軸に相手陣奥深くで試合を展開。しかし、この時間帯をしのいだクリシウーマがボールを支配し、相手陣右サイドを執拗にボールを繋ぎ、前半10分にゴールライン際までボールを運んだMFホナウジ・ロペスがVOLバヘットへクロスを送りクリシウーマが先制。
   ボタフォゴは先制点を許すと再びボールを支配し相手陣ゴール前に迫る。しかし、5バックに中盤が挟み込むクリシウーマの堅守が、クロスボールはしっかりと弾き返し、地上戦ではボールを掻き出し、ボタフォゴにシュートまで持ち込ませない。セカンドボールを拾うと、自陣でパスを繋ぎ、速攻と遅攻を使い分け相手陣へとボールを運ぶ。
   前半31分、クリシウーマが相手陣PA手前でボールを奪い、MFマテウジーニョがゴールネットを揺らす。しかし、VARにより一連の流れでのファールが検出されゴールは取消。
   前半はクリシウーマの組織的なサッカーが攻守に機能。ボール支配やテリトリーではボタフォゴを下回るものの、シュート数や決定的なシーンの数では相手を上回り、ホームサポータの称賛の声の中、クリシウーマの選手たちは控室へ引き上げていく。
   後半開始時にボタフォゴは3選手を交代。
   ボタフォゴは、前半同様立ち上がりに相手をゴール前に押し込んでいく。すると、後半10分、CKから後半開始時にピッチに立ったばかりのCBルーカス・アウテルのヘディングシュートでボタフォゴが試合を振り出しに戻す。
   失点直後にクリシウーマはフォワードの2選手を交代。
   クリシウーマは相手陣で積極的に前に出る守備で相手陣内で試合を展開。交代出場FWアルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)に2度の大きなチャンスが訪れるが決め切ることができない。
   後半25分を過ぎると一進一退の展開となり、次第にボタフォゴが相手ゴールに迫っていく。ボタフォゴは2度CKを獲得し、CBルーカス・アウテルをターゲットとするが、ゴールは生まれない。
   後半39分、クリシウーマはFWアルトゥール・カイーキが3度目の正直、フリーの態勢で受けたボールをしっかりと決め切り勝ち越す。
   同点に追いつきたいボタフォゴは、前への圧力を高めCKやFKを獲得し、ゴール前にボールを送るが、クリシウーマはCBトビアス・フィゲイレード(Tobias Figueiredo, 1994)を中心に跳ね返していく。
   後半45+4分、クリシウーマは自陣からのカウンターで試合を決定づけるゴール。と思われたが、僅かにオフサイド。
   試合はこのままタイムアップ。ホームのクリシウーマが2-1の勝利を収めた。

   クリシウーマは、各選手が豊かな運動量と高い集中力を保ち、規律性の高いサッカーを展開し、首位を争い9試合負けのないボタフォゴから金星。
   ドリブル突破を得意とするFWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)、FWルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)にスペースを与えず完封。空中戦をことごとく跳ね返した。粘り強い守備と前に出る守備を時間帯やプレーエリアにより使い分け、ボールを持てば長短のパスを組合せボールを繋ぎ2得点を奪った。
   公式戦5連敗で苦しんだ時期もあったが、その後はこの勝利で2勝1分。全国選手権は3勝3分3敗の勝点12とし、2試合未消化ながら暫定13位。クラウジオ・テンカチ(Cláudio Tencati)監督がしっかりと立て直し、選手も規律高く、献身的なプレーで監督のサッカーをピッチ上で表現。このサッカーを継続し、今後も上位陣を喰い、全国選手権の台風の目として、さらに上位を目指してもらいたい。

   ボタフォゴは10試合ぶりの敗戦。前節に続き、守備的な試合を展開する相手を崩すことができず、得意のセットプレーから得点を奪ったものの、流れの中からはこの試合でも得点を奪えなかった。
   今節は、選手が循環し、二列目から前線や裏に選手が表れるような場面がなく、以前のような迫力が失われている。個人で打開できるFWジュニオール・サントスやFWルイス・エンヒキが抑えられ、FWチキーニョ・ソアレスも試合開始早々にシュートを記録したが、以降は消える時間が長かった。
   少し閉塞感のある2試合だったが、気持ちを切り替え、次節RBブラガンチーノ戦に備えたい。

グレミオ(GRE) 0-1 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=_vzK01rT8nA
(INT) : 64' #44 ヴィトン(Vitão, 2000)[]

今節前の順位

グレミオは全国選手権2勝0分6敗勝点6の19位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  VOLビジャサンチ(Villasanti, 1997, パラグアイ代表)
  FWソテウド(Soteldo, 1997, ベネズエラ代表)
インテルナシオナウは全国選手権4勝2分2敗勝点14の9位。(2試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  GKロチェ(Rochet, 1993, ウルグアイ代表)
  FWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989, エクアドル代表)
  FWボレー(Borré, 1995, コロンビア代表)

得点シーン

(INT) : 64' #44 ヴィトン(Vitão, 2000)[]
セットプレーの流れから右サイドゴールライン際をMFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)がマークを外し、PAに侵入してグラウンダーのクロス。GKが足で弾き、浮いたボールをCBヴィトンが頭で押し込もうとすると、DFに当たったボールがゴールに吸い込まれ、インテルナシオナウが待望の先制点を奪う。[0-1]
   CBヴィトンは、パウメイラス育成出身で、2015U-15(不明)、2017U-17(8試合)、2019U-20(9試合)の各カテゴリー南米選手権代表。2023年9月にU-23代表に選出されたがケガのため辞退。ブラジル国内では2019年3月サンパウロ州選手権での19歳のプロデビュー戦の1試合に出場したのみで、2019年9月にシャクタルドネツク/UKRへ移籍。2022年4月期限付き移籍にてインテルナシオナウに加入すると、間もなくレギュラーの座を獲得し、最終ラインの要としてプレー。期限付き移籍契約を2度更新し、現在の契約およびシャクタルドネツクは6月末に満了する。引き続きインテルナシオナウでのプレーの見込みが高いが、イングランドやスペインなど複数のクラブが関心を示しており、欧州移籍ウィンドウが締まるまで、その動向に注目が集まる。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:50% 50% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:3‐6(0-0) ⇒ 前後半:6-16(2-3)
パス成功率: 前半:78% 82% ⇒ 前後半:81% 79%
Desarmes: 前半:5‐8 ⇒ 前後半:9-14
Faltas Cometidas: 前半:6‐4 ⇒ 前後半:12-11

   両チームの本拠リオグランデドスル州ポルトアレグレを襲った水害により、グレミオ主催のこの試合は、パラナ州クリチーバのコリチバの本拠地コウトペレイラでの開催。100年以上の歴史を持ち、442回目を数えるクラシコ『グレナウ』は史上2度目の州外での対戦となる。
   グレミオは、水害前の敗戦から数えて全国選手権は5連敗。2試合未消化ながら19位と低迷している。
   0-1で敗れた前節フォルタレーザ戦は、優位に試合を運んだが、前半42分にオウンゴールでリードを許すと前半終了間際に退場者を出し、後半は試合を支配され敗戦。
   今節のスタメンは、中盤の2選手を交代。VOLペペー(Pepê, 1998)、VOLドゥ・ケイロス(Du Queiroz, 2000)に代わり、VOLカルバージョ(Carballo, 1996)、MFクリスタウド(Cristaldo, 1996)が入る。
   インテルナシオナウは、前節はいつもとは戦術を変更し、自陣での固い守備からカウンターを狙う展開。前半のFWウェズレイ(Wesley, 1999)のゴールを守り切り1-0の勝利を収めた。
   今節のスタメンは、出場停止明けのCBヴィトン(Vitão, 2000)が先発復帰。その他3つのポジションで日程を考慮した変更が実施され、右SBファブリシオ・ブストス(Fabricio Bustos, 1996)、左SBヘネー(Renê, 1992)、VOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)が先発に起用される。

   442回目を迎えたクラシコ『グレナウ』だが、序盤から互いにボールを相手陣に運ぶものの、ゴール前では効果的な手が打てず、ボールを失っては、ボールに寄せながら後退し、自陣で守備ブロックを構築する展開を繰り返す。
   この試合の両チーム初の枠内シュートは後半6分、グレミオは相手陣右サイドで細かくボールを繋ぎ、FWガウジーノ(Galdino, 1997)がPA内に抜け出しシュート。しかし、間合いを詰めたインテルナシオナウGKファブリシオ(Fabrício, 1986)が膝でボールを弾きだし事なきを得る。
   後半19分、インテルナシオナウは右サイドでFKを獲得し、一連の流れからCBヴィトンが頭でボールをゴールに押し込み、待望の先制点を奪う。
   失点後、グレミオは中盤の2選手を投入。中盤で数的優位に立つと、後半26分にカウンターからFWグスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)が抜け出しシュートに持ち込むがボールはGK正面。
   その後、両チーム選手交代を繰り返し、再び試合は均衡した状態になる。
   後半アディショナルタイム、前がかりとなるグレミオに対し、インテルナシオナウはカウンターを起点にグレミオゴール前で猛攻。一連の流れで、2本のシュートがゴールポストに弾き返され、1本のシュートがグレミオDFによるブロックに遭い、試合を決定づけるゴールは生まれない。
   しかし、インテルナシオナウは、その後もグレミオに反撃を許さず、ノーゴールに抑え込み、勝点「3」を獲得した。

   グレミオは、この敗戦により全国選手権6連敗。この連敗記録は、最下位で2部降格となった2004年以来。
   守備面では、相手にボールが渡ると最終ラインがズルズルと下がり、中盤のコンパクトさが保てず、ボールへの寄せが甘くなり、押し込まれる展開。
   攻撃面では、昨年見せたような相手陣PA近辺でのワンタッチを中心とした前後左右へのテンポのいいパス回しによる崩しが見られず、逆にゴール前では行き詰ったような場面が散見される。好機はカウンターによるものが多くなるが、上記の通り、中盤のコンパクトさが保てず、高い位置でのボール奪取が減り、カウンターの機会も減っている。
   水害によりポルトアレグレを離れた厳しい環境下での試合、トレーニング、生活が続くが、その状況は受け入れざるを得ない。被災後のインタビューでは弱気な発言が続くヘナト・ポルタルーピ監督だが、監督が率先して選手を鼓舞し、もう一度昨年の華麗なサッカーを取り戻してもらいたい。

   この勝利で、インテルナシオナウは、被災後に再開された全国選手権を3勝1分1敗。第11節6月22日の試合が終えた時点で、2試合未消化ながら6位まで順位を上げている。
   特に前節から現実を直視したサッカーを行い、2試合連続で1-0の勝利。高い位置でのプレスを控え、ボールを握った際も攻め急がず、カウンターのリスクを減らしている。
   この好調の影には、コパ・アメリカ出場によりチームを離れているウルグアイ代表GKロチェ代わる、大ベテラン、38歳のGKファブリシオ(Fabrício, 1986)の好守が見逃せない。
   GKファブリシオはこれまで全国選手権1部での出場歴はなく、2部や3部でも目立った出場記録を残していない。しかし、2024年リオデジャネイロ州選手権で準優勝を収めたノヴァ・イグアス(全国選手権は4部に所属)での活躍を受け、コパ・アメリカ開催期間のGKロチェ不在時を想定してインテルナシオナウが獲得。クラブデビューとなるコパ・スウアメリカーナでの試合を無失点で終えると、その後、5試合を僅かに2失点。これまで6試合に出場し、5回のクリーンシートを記録している。
   昨年中盤から、南米各国の現役・元代表の大型補強を続けているインテルナシオナウだが、雑草のようなGKファブリシオのひたむきなプレーが、チームメイトのみならず、監督の采配にも少なからず影響を及ぼしているに思えて仕方がない。
   今後もGKファブリシオに注目したい。

クイアバ(CUI) 0-0 アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=i_3DvwCK1o4

今節前の順位

クイアバは全国選手権3勝1分6敗勝点10の13位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。
アトレチコ・ゴイアニエンセは全国選手権2勝2分6敗勝点8の16位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。

得点シーン

N/A

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:49% 51% ⇒ 前後半:51% 49%
シュート(枠内): 前半:3‐6(1-4) ⇒ 前後半:10-17(3-8)
パス成功率: 前半:84% 84% ⇒ 前後半:82% 81%
Desarmes: 前半:2‐7 ⇒ 前後半:4-19
Faltas Cometidas: 前半:3‐7 ⇒ 前後半:9-12

   クイアバは、全国選手権が無得点での5連敗の後、3勝1分1敗。最近の5試合は12得点3失点と、得点もさることながら2試合連続無失点と攻守にバランスが取れつつある。
   前節は、監督交代後無敗のサンパウロに1-0の勝利を収め初黒星をつけた。
   今節のスタメンは、出場停止の左SBハモン(Ramon, 2001)に代わり左SBヒケウミ(Rikelme, 2003)が入る。その他に変更はない。
   アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)も、全国選手権初勝利は6試合目と開幕当初は苦しんだが、その後は2勝1分2敗と五分の成績を残し、チーム状況は改善しつつある。
   しかし、前節クリシウーマ戦では前半の1点を守り切れず1-2の敗戦。すると、その2日後に、クラブはジャイール・ヴェントゥーラ(Jair Ventura)監督の解任を発表。ジャイール・ヴェントゥーラ監督はゴイアス選手権を優勝。全国選手権でもチーム状態は復調しており、このタイミングでの解任は理解しがたい。
   今節は監督代行の指揮を執る。スタメンは、出場停止のGKホナウド(Ronaldo, 1996)に代わりGKペドロ・ハンジェウ(Pedro Rangel, 2000)が入り、CBアドリアーノ・マルチンス(Adriano Martins, 1997)が出場停止明けでスタメンに復帰。前節のスタメンからの変更点はこの2点のみ。

   前半はホームのクイアバが、中盤でやや優位に立ち、寄せの速いマークで相手ボールを奪い相手ゴールに迫ろうとするが、帰陣が速く、堅固な守備ブロックを構築するACGの守備網を攻略することができない。
   一方のアウェイACGは、MFシャイロン(Shaylon, Shaylon)が、好機のお膳立てや自らのシュートなど、攻撃の中心としてチームを牽引。メリハリのある攻守は、クイアバのプレスを掻い潜っては人数をかけて相手陣に迫り、プレスに掛かっては素早い帰陣でピンチを未然に防いでいく。
   前半は、ACGが、6分、32分に、いずれもMFシャイロンがシュートに持ち込むが、前者はCBアラン・エンペレウール(Alan Empereur, 1994)、後者はGKヴァウテル(Walter, 1987)がブロック。37分にFWルイス・フェルナンド(Luiz Fernando, 1996)が最終ライン裏に抜け出すが、至近距離のシュートをGKヴァウテル(Walter, 1987)がセーブ。
   一方のクイアバは、GKペドロ・ハンジェウ(Pedro Rangel, 2000)を脅かすようなシュートを放てず、前半を終える。
   後半はACGが前半の勢いを増長させ試合に入る。相次いでクイアバゴールに迫るものの、GKヴァウテルが都度ACGの前に立ちはだかる。
   後半20分に差し掛かると、クイアバは選手交代を通じて、次第にボールをキープしていき、試合を均衡状態に持ちんでいく。
   後半38分、クイアバは、PAに入った位置で後方からボールを受けたFWイシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 19999)が、背後につくDFをフェイントでかわし強烈なシュート。GKペドロ・ハンジェウが両手を伸ばし辛うじてCKに逃れる。
   その後、アディショナルタイムにかけてクイアバが攻勢を強めていくと、後半45+2分、クイアバは自陣からのロングボール。ACGディフェンダーが処理を誤ると、FWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)がゴールライン際からゴール前にマイナスのボールを送る。逆サイドから内に絞り込んだFWエリエウ(Eliel, 2003)がダイレクトに左足を振り抜くが、ボールは僅かに食い込み、芯に当たらず、ゴール枠を捉えない。
   試合はこのままタイムアップ。両チームゴールを割ることができず0-0の引き分け。勝点「1」を分け合った。

   クイアバは、ACGの素早い帰陣と、堅固な守備網に苦しみ、スピード豊かなフォワード陣の特長を消され、自慢の攻撃陣が沈黙した。
   前節で殊勲の決勝ゴールを決めたFWエリエウだったが、この試合では後半アディショナルタイムの好機を決め切ることができず、2試合連続の決勝ゴールとはならなかった。
   この結果、連勝は2でストップしたものの、無失点試合は3に伸ばした。
   次節は、2024年1月までクイアバで指揮を執ったアントニオ・オリヴェイラ監督率いるコリンチャンスとのアウェイでの試合。最近の試合展開を再現し、降格圏に沈むコリンチャンスを叩いて中位から上位へと浮かび上がりたい。

   アトレチコ・ゴイアニエンセは、突然の監督解任にも関わらず、意思統一された規律性の高い試合ぶりで、好調のクイアバを上回る内容の試合を展開した。
   しかし、クイアバGKヴァウテルの好守もあり、得点を奪うことができず、勝点「1」を積み上げたのみ。他会場の結果、再び降格圏に順位を落とした。
   次節は、同じく降格圏に低迷するグレミオをホームに迎える。この日の試合を継続できれば好勝負は必至。下位同士の対戦で勝ち点を確実に拾い、降格圏から脱出したい。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 4-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=YJ26COs9Hq4
(SAO) : 10' #17 アンドレ・シウヴァ(André Silva, 1997)[#10 ホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)]
(VAS) : 33' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(VAS) : 45+2' #14 エストレラ(Estrella, 2005)[#28 アジソン(Adson, 2000)]
(VAS) : 80' #66 レアンドリーニョ(Leandrinho, 2005)[#7 デイヴィジ(David, 1995)]
(VAS) : 90+3' #7 デイヴィジ(David, 1995)[#98 ジョタ・ぺー(JP, 2005)]

今節前の順位

ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝1分7敗勝点7の17位。
 コパ・アメリカ代表選手なし。
サンパウロは全国選手権4勝3分3敗勝点15の7位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  GKハファエウ(Rafael, 1989, ブラジル代表)
  CBフェラレシ(Ferraresi, 1998, ベネズエラ代表)
  VOLボバディージャ(Bobadilla, 2001, パラグアイ代表)
  MFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991, コロンビア代表)

得点シーン

(SAO) : 10' #17 アンドレ・シウヴァ(André Silva, 1997)[#11 ホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)]
相手陣左サイド深くから戻したボールを受けたMFホドリゴ・ネストールがゴール前にやや大きめのクロス。ファーサイドでFWアンドレ・シウヴァが頭を合わしたボールが、GKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)の指先を越え、柔らかくゴール右上隅に吸い込まれる。
   FWアンドレ・シウヴァは、トップチームがサンパウロ州最下層リーグ所属のクラブで育成世代を過ごし、ブラジル国内でのプロデビューを前にヒオ・アーヴィ/PORへ移籍。2019年1月にポルトガル1部にて21歳のプロデビューを果たす。その後、アロウカ/POR、ヴィトーリアSC/PORで主力として活躍し、2024年3月に4年契約350万ユーロでサンパウロに移籍加入。先発、途中出場、控えを繰り返し、この試合は一か月ぶりの先発出場。全国選手権開幕節以来のゴールで先発起用に応えた。
(VAS) : 33' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
右SBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)のスルーパスに、右サイドをDFとの並走から前に出たMFアジソン(Adson, 2000)がPAに侵入し、間合いを詰めるGKの脇を抜けるクロス。ゴール前は混戦となり、ボールがゴールに向かい転がり、サンパウロSBイゴル・ヴィニシウス(Igor Vinícius, 1997)がゴールライン上でクリア。しかし、そのボールが味方に当たりゴールに吸い込まれる。[1-1]
   MFアジソンは、コリンチャンス育成出身で2021年3月のサンパウロ州選手権にて19歳のプロデビュー。2023年8月まで主力級の活躍で114試合13得点7アシストの成績を残す。2023年8月ナント/FRAに600万ユーロで移籍するが、多くの出場機会に恵まれす、2024年1月に4年契約でヴァスコ・ダ・ガマに移籍加入。右サイドを主戦とし、的確なポジショニングとスピード、絶妙なパスで多くの好機を演出する対戦相手にとって危険なサイドアタッカー。
(VAS) : 45+2' #14 エストレラ(Estrella, 2005)[#28 アジソン(Adson, 2000)]
VOLマテウス・カルヴァーリョが自陣半ば左サイドライン際でボール奪取。FWベヘッチ、FWデイヴィジを経て、ボールを受けたMFアジソンが相手陣内へスルーパス。オフサイドぎりぎりで抜け出したMFエストレラがPAに侵入し、DFをかわしコースを狙った右足のシュート。緩やかな弧を描いたボールがゴール右に吸い込まれヴァスコ・ダ・ガマが前半終了間際に逆転。[2-1]
   MFエストレラは、ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で、2024年1月の州選手権にて18歳のプロデビュー。続く第2節にも出場するが、この2試合は主力が海外遠征中のため、U-20チーム選手が中心の試合だった。今節その試合以来の自身トップチーム3試合目の試合にスタメンとして抜擢されると、2列目中央のプレーエリアで積極的なプレーを続ける。そして、迎えた前半アディショナルタイム、MFアジソンのスルーパスに抜け出し、DFを落ち着いてかわし、正確なシュート。実質的にはプロデビュー戦と言える試合で冷静沈着なプロ初ゴールを記録した。
(VAS) : 80' #66 レアンドリーニョ(Leandrinho, 2005)[#7 デイヴィジ(David, 1995)]
自陣高い位置で右SBプーマ・ロドリゲス(Pumita Rodríguez, 1997)がボール奪取。VOLマテウス・カルヴァーリョ、MFジョタ・ぺーを経て、左サイドFWデイヴィジにボールが渡ると、FWレアンドリーニョがその外を追い抜いていく。縦に送られたボールを受けたFWレアンドリーニョは、ゴール前にFWベヘッチがポジションを取っていたものの、自らのシュートを選択。角度のない位置から左足で放った強烈なシュートは、ゴールネット上部に突き刺さるゴラッソ。[3-1]
   FWレアンドリーニョは、ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で、2024年1月の州選手権にて先発に抜擢され、後半3分の自身のプロ初ゴールで18歳のプロデビューを飾る。開幕節に続き第2節にも出場するが、この2試合は主力が海外遠征中のため、U-20チーム選手が中心の試合だった。後半33分に、この2試合以来となる試合に投入されると、2分後のファーストタッチで豪快なシュート。今後長く続くであろうサッカー人生の門出を自ら祝った。
(VAS) : 90+3' #7 デイヴィジ(David, 1995)[#98 ジョタ・ぺー(JP, 2005)]
相手陣PA手前でセカンドボールを確保したMFジョタ・ぺーが、縦に柔らかく浮かしたパス。DFを背中で抱えながらFWデイヴィジがダイレクトにシュートに持ち込むと、ゴールネットに突き刺さる。[4-1]
   FWデイヴィジは、ヴィトーリア育成出身で、2015年5月全国選手権2部にて19歳のプロデビュー。ヴィトーリアでは2017年まで109試合16得点8アシスト、クルゼイロにて2年間70試合4得点5アシスト、フォルタレーザにて2年間112試合25試合12試合を記録し、2022年インテルナシオナウに入団。不振のチームを救うべく奮闘するも、チームが軌道に乗ると出場機会を失い、翌2023年には構想外となりサンパウロ、2024年はヴァスコ・ダ・ガマへ期限付き移籍でプレー。ヴァスコでは自慢のスピードを生かしたプレーを前面にレギュラーとして活躍。この試合では1得点1アシスト。このゴールは全国選手権開幕節以来今季2点目のゴール。
   MFジョタ・ぺーは、ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で、2024年4月全国選手権開幕節の後半29分にピッチに送り出され18歳のプロデビュー。前アウヴァロ・パシェコ監督のもと、前々節、前節とスタメンに抜擢されたが、今節はベンチスタート。しかし、短い時間の中で、インターセプトや惜しいシュート、そして、このアシスト。2024年6月のU-20代表合宿に招集を受けるなど、クラブ内外から将来を嘱望されている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:40% 60%
シュート(枠内): 前半:8‐6(3-2) ⇒ 前後半:12-11(7-3)
パス成功率: 前半:84% 87% ⇒ 前後半:80% 86%
Desarmes: 前半:9‐3 ⇒ 前後半:20-7
Faltas Cometidas: 前半:5‐6 ⇒ 前後半:13-13

   ヴァスコ・ダ・ガマは、前節敗戦後の翌日、アウヴァロ・パシェコ(Álvaro Pacheco)監督の解任を発表。同監督の初のブラジルでの采配は、4試合0勝1分3敗1得点10失点の成績に終えた。
   ヴァスコ・ダ・ガマの前節ジュヴェントゥージ戦は、内容に乏しい0-2の敗戦。
   今節のスタメンは、出場停止明けのFWベヘッチ(Vegetti, 1988)とCBジョアン・ヴィトル(João Victor, 1998)の先発復帰など、7つのポジションで変更。VOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)が5月1日コパ・ド・ブラジル以来の先発。中盤には、デビュー3試合目でプロ初スタメンのMFギリェルミ・エストレラ(Guilherme Estrella, 2005)と、VOLマテウス・カルヴァーリョ(Mateus Carvalho, 2002)の下部組織出身の若い選手を抜擢する。
   サンパウロは、前節クイアバ戦にて、スベルディア監督就任後13試合目にして初めての黒星を喫した。
   今節のスタメンは、出場停止のVOLアリソン(Alisson, 1993)など、6つのポジションで選手を入れ替え。日程を考慮に入れたローテーションの一環と思われる。

   前半立ち上がりはヴァスコ・ダ・ガマのマークが甘く、サンパウロが相手陣で難なくボールを回し、攻撃の糸口を探る展開。すると、早くも前半10分にサンパウロがFWアンドレ・シウヴァのヘディングで先制。
   その後もサンパウロが試合の主導権を握り、相次いで相手ゴールに迫る。ヴァスコは単発的に相手陣にボールを運んでも、FWベヘッチへのクロスは精度が低く、得点の匂いはしない。
   前半25分を過ぎ、サンパウロは試合のテンポを落とすと、ヴァスコがボールを握る時間が増えていく。ヴァスコは、右サイドを中心に攻撃を繰り返すと、前半33分、MFアジソンが右サイドゴールライン際からクロス。これがオウンゴールを誘いヴァスコが同点に追いつく。
   同点ゴールを機にサンパウロが再びボールを握りヴァスコゴールに迫るが、ヴァスコ・ダ・ガマは前半アディショナルタイムにVOLマテウス・カルヴァーリョのボール奪取から、前後に鋭くボールを繋ぎ、最後は全国選手権初出場の19歳MFギリェルミ・エストレラの落ち着いたシュートで逆転。
   後半に入ると、ヴァスコ・ダ・ガマは、球際の強度を上げ、サンパウロの攻撃の芽を次々と摘んでいく。前に出る守備はそのまま攻撃へと移行し、ヴァスコ・ダ・ガマが試合の主導権を握る。後半19分、29分、32分に相次いで選手交代を行い、スピーディな展開を維持すると、逆転ゴールの同期MFエストレラに負けじと、MFジョタ・ぺー、FWレアンドリーニョの2005年生まれの2選手が積極的に試合に絡み、それぞれがアシスト、ゴールをマーク。
   10分のアディショナルタイムが告げられた時には、観客席から長すぎるという不満のブーイングが起こったが、追加点を狙うヴァスコのプレーにボルテージが高まり、頂点に達したところでタイムアップ。
   ヴァスコ・ダ・ガマが危機脱出を感じさせる4-1の快勝を収めた。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、最近の低調な試合や、前半のマークの緩い不甲斐ない展開で、一時は観客席は不穏な空気に包まれた。しかし、試合のテンポを落としたサンパウロの戦術に乗じ、比較的早い時間に同点に追いつくと、前半終了間際のVOLマテウス・カルヴァーリョのボール奪取を起点にMFギリェルミ・エストレラのゴールで逆転。
   前半終了間際のVOLマテウス・カルヴァーリョのボール奪取に誘発されたかのように、後半、ヴァスコ・ダ・ガマは各選手が球際で激しさを見せ、次々とサンパウロの攻撃を摘み取っては攻撃へと繋げていき、後半を通してヴァスコが主導権を握り続けた。
   最近のチームの不甲斐ない試合の中で、数少ない安定したプレーを見せていたCBマイコン(Maicon, 1988)だが、サポーターからの批判や中傷は激しく、前半はささやかミスにもサポーターからブーイングを浴びた。しかし、CBマイコンは黙々と空中戦でボールを弾き返し、こぼれてくるボールをクリア。サンパウロFWカレリ(Calleri, 1993)に自由を与えず、自身の務めを遂行していく。後半は守備機会は減ったものの、一つ一つのプレーでサポーターの信頼を取り戻し、試合を終えた。
   次節はアウェイで今季好調のバイーア戦。今節の後半に見せたアグレッシブな姿勢を忘れず、試合に入りたい。

   サンパウロは、13戦無敗の後に2連敗。ケガ人や肉体的な消耗で万全の体調にない選手が多数いるとのこと。今節は大きくスタメンを変更したが、こういった事情があったようだ。
   このような状況のもと、前半終了間際にMFホドリゴ・ネストールが足に違和感を覚え交代を余儀なくされ、後半開始時には攻撃の軸のFWカレリもベンチに下げるなど、状況は深刻さを増している。
   試合は、マークの緩いヴァスコを翻弄、試合を支配し前半早々にリードを奪ったまでは良かったが、試合のテンポを落とすと相手に試合の流れを掴まれ、その流れを掴み返すことができず、1-4の完敗。
   試合後のインタビューでは、スベルディア監督は課題を認識し、すでに次節以降のプランを検討している様子を見せたが、選手の体調面でのコンディション不良は、今後も監督を苦しめそうだ。

バイーア(BAH) 4-1 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=EIQo_tPFebg
(CRU) : 14' #30 ガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)[#12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)]
(BAH) : 45+9' #16 タシアーノ(Thaciano, 1995)[]
(BAH) : 78' #29 エストゥピニャン(Estupiñán, 1996)[#11 ビエウ(Biel, 2001)]
(BAH) : 90+1' #11 ビエウ(Biel, 2001)[#46 ルシアーノ・ジュバ(Luciano Juba, 1999)]
(BAH) : 90+7' #29 エストゥピニャン(Estupiñán, 1996)[#7 アデミール(Ademir, 1995)]

今節前の順位

バイーアは全国選手権5勝3分2敗勝点18の5位。
 コパ・アメリカ代表選手 :
  SBサンチアゴ・アリアス(Santiago Arias, 1992, コロンビア代表)
クルゼイロは全国選手権5勝2分2敗勝点17の6位。(1試合未消化)
 コパ・アメリカ代表選手 :
  MFホセ・シフエンテス(José Cifuentes, 1999, エクアドル代表)

得点シーン

(CRU) : 14' #30 ガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)[#12 ウィリアン・フルタド(William Furtado, 1995)]
右サイドライン際ハーフライン前後でボールを繋ぎ、SBウィリアン・フルタドが前方に送る。ボールを受けたFWガブリエウ・ヴェロンはマークを外し、GKと一対一。右足でアウトサイドにかけたボールはファーサイドのゴールネットを揺らすゴラッソ。[0-1]
   FWガブリエウ・ヴェロンは、2019年U-17W杯(7試合3得点2アシスト)、2019U-17南米選手権(4試合1得点1アシスト)など世代別代表。パウメイラス育成出身で、2019年11月全国選手権にて17歳のプロデビュー。トップチーム2試合目では32分間のプレー時間でプロ初ゴールなど2得点1アシストをマーク。2022年7月に推定1000万ユーロでポルト/PORへ移籍。しかし、踵の捻挫や太ももの筋肉系のケガなど相次ぎ、1年半で26試合1得点4アシストの成績に終わり、2023年末に期限付き移籍でクルゼイロに加入した。ブランクが長く、2024年4月にクラブデビューを果たすと、しばらくは交代出場が続く。最近の6試合では先発に起用されるが、ゴールという結果を残せず、サポーターからは批判の対象となったいたが、遂に移籍後初ゴールを決めた。
   SBウィリアン・フルタドは、前節からチームの3ゴールすべてに関与。
(BAH) : 45+9' #16 タシアーノ(Thaciano, 1995)[]
相手陣右サイドでMFカルロス・デ・ペニャ(Carlos De Peña, 1992)が縦にボールを送ると、FWエヴェラウド(Everaldo, 1991)がPAの右から中央へクロス。DFの足に当たったボールは高くゴール前に上がると、左サイドから斜めに上がるFWタシアーノがDFの背後から前に飛び出しヘディングシュートを叩きつける。これがゴールネットを揺らし、バイーアが同点に追いつく。[1-1]
   FWタシアーノは、2023年3月末にバイーアに加入。従来は中盤の様々な役割を担う器用な選手だったが、2023年終盤のホジェリオ・セニ監督就任後は、フォワードとしての起用が増え、高い位置でのプレスや、前後にポジションを変えるフリーランニング、そして、フィニッシュなど、新しいポジションで新たな境地を開拓。2024年はこれで31試合10得点3アシスト。得点はキャリアハイに並んだ。
(BAH) : 78' #29 エストゥピニャン(Estupiñán, 1996)[#11 ビエウ(Biel, 2001)]
アタッキングサード入口右サイドライン際から、FWアデミール(Ademir, 1995)がゴールライン際ファーサイドへクロス。FWビエウが折り返したボールをFWエストゥピニャンがゴールに押し込みバイーアが逆転。[2-1]
   FWエストゥピニャンは、コロンビア代表として1試合出場の経歴を持つ。2021/22年ヴィトーリアSC/PORにて33試合16得点2アシスト、2022/23年ハルシティ/ENGにて37試合13得点1アシスト。2024年2月に買取オプション付きの期限付き移籍でバイーアに加入。この試合は終了間際にもゴールを奪い、バイーア加入後は途中出場を中心に18試合560分の出場で7得点1アシストと高い得点率を誇っている。
(BAH) : 90+1' #11 ビエウ(Biel, 2001)[#46 ルシアーノ・ジュバ(Luciano Juba, 1999)]
相手陣左サイドをSBルシアーノ・ジュバが鋭いパスを縦に入れると、FWビエウが前を向きスピードのあるドリブルでDFの間を抜けPAに侵入。GKとの一対一を冷静に決め、バイーアが試合を決定づける3点目。[3-1]
   FWビエウは、フルミネンセ育成出身で、2021年3月リオデジャネイロ州選手権にて19歳のプロデビュー。全国選手権開幕後にレギュラーの座を掴むが、シーズン終盤はケガのため棒に振る。2022年4月にグレミオへ期限付き移籍し36試合5得点6アシスト。2023年に向けバイーアが6年契約で獲得。2023年は48試合11得点7アシスト。2024年はこれまで31試合4得点8アシスト。切れ味勝負で視野の広さが売りのウィンガー。
(BAH) : 90+7' #29 エストゥピニャン(Estupiñán, 1996)[#7 アデミール(Ademir, 1995)]
自陣でのボール奪取からカウンター。相手陣をドリブルでゴールライン際までボールを持ち上がったFWアデミールが、しばしボールをキープし、中の上りを待ってゴール前にボールを送る。後方から駆け上がったFWエストゥピニャンがボールにゴールを流し込む。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:60% 40% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:6‐5(2-1) ⇒ 前後半:14-6(6-1)
パス成功率: 前半:88% 84% ⇒ 前後半:89% 82%
Desarmes: 前半:6‐9 ⇒ 前後半:8-15
Faltas Cometidas: 前半:4‐4 ⇒ 前後半:6-12

   バイーアは、前節フラメンゴ戦が終了間際の失点で1-2の敗戦。12試合ぶりの黒星となった。
   今節のスタメンは、MFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)に代え、MFカルロス・デ・ペニャ(Carlos De Peña, 1992)。前節からの変更はこの一点のみ。
   クルゼイロは、前節フルミネンセを2-0で下し全国選手権は1試合未消化ながら6位に浮上。フェルナンド・セアブラ監督就任直後は守備面で不安が大きかったが、2試合連続無失点と大きく改善している。
   今節のスタメンは、VOLフィリピ・マシャード(Filipe Machado, 1996)からVOLルーカス・ロメロ(Lucas Romero, 1996)に変更。他に変更はない。

   ホームのバイーアが、立ち上がりから試合の主導権を握り、相手陣で試合を展開。一方のクルゼイロはマークを厳しくカウンターを狙う。
   前半14分、クルゼイロが、右サイドでの細かいパス交換から、FWガブリエウ・ヴェロンが抜け出し先制ゴールを奪う。
   先制を許したバイーアだが、序盤のサッカーを継続。相手陣でピッチを横に広く使い、二列目が縦に飛び出すなど、揺さぶりをかけながらボールを回し、攻撃の糸口を探る。
   前半終了間際、バイーアは、右サイドに流れたFWエヴェラウドがゴール前にクロス。DFの足に当たり高く上がったボールに、FWタシアーノがDFの死角から現れ、ヘディングでゴールを奪い、同点に追いついて前半を終える。
   後半開始時に、バイーアは、MFカウリー(Cauly, 1995)に代え、MFエヴェルトン・ヒベイロを投入し司令塔を変更。ボールを握れるMFカルロス・デ・ペニャに代え、スピードのあるFWビエウも同時に投入する。
   バイーアがボールを握る時間が続き、緩急をつけた攻撃でクルゼイロゴールに相次いで迫ると、後半25分、クルゼイロ左SBマルロンが相手選手の脛をスパイク裏で削り一発退場。
   バイーアは、後半30分にスピードのある2選手を前線にさらに投入すると、後半33分に勝ち越し。後半アディショナルタイムにも2点を追加して、最終的には4-1の快勝。

   バイーアは、これまで、特に上位との対戦では、攻撃的なタレントが豊富な選手層に見合わない守備的な戦術が多く、一ファンとして試合内容に失望し続けていたが、今節はスタメン、途中出場の選手が、自身の個性を出せるような攻撃的な戦術を貫き、結果も伴い、4-1の快勝を収めた。
   司令塔タイプのMFカウリーとMFエヴェルトン・ヒベイロを前後半で使い分け、後半にはスピードのある選手を次々と投入。そして、ベースの戦術として、ピッチを広く使ったパス回しと、縦に鋭い動き出しやパスを挟む、観戦していて楽しいサッカー。
   あとは、起用選手の固定化を止め、将来性のある若手選手や、控えに甘んじている選手にもう少し出場機会を与える試合が増えれば、近年、クラブとして成功しているパウメイラスやフラメンゴのようになるポテンシャルを秘めていると思うのだが、まだ成功例のないバイーアに、そこまで期待するのは酷だろうか。

   クルゼイロは、早い時間帯に先制したものの、バイーアの揺さぶりに後手に回る場面が多くなった。とは言え、SBマルロンの退場までは、しっかりと戦えていただけに、第7節での前半38分に続き、今節後半25分、チーム5試合(自身4試合)で2回のレッドカードをもらったSBマルロンには、猛省してもらいたい。
   次節は、バイーアとよく似た、ピッチを広く使い、縦に速い攻撃を得意とするアトレチコ・パラナエンセとの対戦。今節の課題を修正して試合に臨んでもらいたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です