新規投稿 : 2024/07/22
ジョアン・ペドロ・ムリーロ・デ・パウラ・モライス
João Pedro Murilo de Paula Morais
ポジション:ボランチ
利き足:両足
2005年5月19日生まれ
<幼少期>
ジョタ・ぺー(JP)こと、ジョアン・ペドロ・ムリーロ・デ・パウラ・モライスは、ブラジル連邦共和国中部に位置するゴイアス州の州都ゴイアニアに生まれる。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
ゴイアスEC下部組織にてサッカーを始めると、時間が経つにつれ、レクリエーションの一つだったサッカーが、自分の中で中心的な位置を占めるようになり、気づけばプロのサッカー選手になることを夢見るようになる。
やがて、ジョアンはサッカー選手になるためにより良い環境を求め、つまりはサンパウロやリオデジャネイロの名門クラブでのプレーを目標に、ゴイアスECを退団し、サンパウロの複数のクラブの入団テストを受ける。そして、ジョアンの父親は、ジョアンの夢を後押しするために、ジョアンのプレーを動画に収めインターネットにアップロードする。
丁度その頃と前後して、ヴァスコ・ダ・ガマのスカウト、ルイス・バストス(Luiz Bastos)氏が、センターバックの選手を視察するためゴイアスECの試合を観戦。そこでボランチとしてプレーするジョアンを見て、そのプレースタイルを気に入る。バストス氏はクラブに戻り、情報収集を開始。そして、ジョアンの父親がアップロードしたプレー集に巡り合う。バストス氏は、動画を見ていくにつれ、クラブが求めるプレースタイルや資質、年齢を感じさせないプレー中の落ち着きなど、将来性を感じ取った。
バストス氏がジョアンの父親にコンタクトを取った時には、既にジョアンはゴイアスFCを退団、サンパウロでの入団テストを受ける日々を過ごしていた。しかし、まだどのクラブにも入団は決まっておらず、無事ヴァスコ・ダ・ガマに迎え入れることになった。
2019年14歳のジョアンはヴァスコ・ダ・ガマU-15チームに入団。しかし、入団後は試合に出場する機会はほとんど訪れず、2020年を迎える。
2020年は3月下旬から、コロナ感染症拡大のため育成カテゴリーの活動は停止。しかし、ジョアンは父親の援助により、プロのトレーナーの指導の受けるなど、個別にトレーニングを実施する。
2021年に入り育成カテゴリーの活動が正常化を向かうと、自粛期間中のトレーニングの成果が少しずつ現れ、U-17昇格一年目で途中交代出場が中心ながら9試合に出場。
そして、2022年、ヴァスコ・ダ・ガマ入団以来3年近い雌伏期間を終え、U-17二年目のシーズンは開幕からコンスタントに先発出場が続き、最終的には年間でチーム全48試合のうち40試合に出場。主にセグンドボランチとして比較的ゴールに近い位置でプレーし6得点を記録。 U-17チームの主力として、チームはU-17カテゴリーの州選手権、州カップ戦、ヘコパの州内三冠を達成。U-17全国選手権は準々決勝進出、U-17コパ・ド・ブラジル準優勝の成績を収めた。
2022年5月には、ヴァスコ・ダ・ガマとプロ契約を締結。
2023年は、U-20チーム昇格一年目でセグンドボランチを中心に、トップ下、サイドハーフ、ウィングなどゴールに近いポジションで、チーム全31試合のうち29試合に出場5得点。チームのU-20州選手権に優勝に貢献。
≪ヴァスコ・ダ・ガマ≫
– 2024 –
2024年1月開催のU-20全国大会カップ戦に選手登録され出場。しかし、一回戦グループラウンド第1節を終えた時点で、トップチームのラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督に招集を受け、トップチームに合流し、州選手権の2試合にベンチ入りを果たす(出場機会なし)。
3月に入り、U-20州カップ戦に参戦するが、4月7日準決勝1stレグの試合後に再びトップチームの招集を受ける。
2024年4月14日全国選手権開幕節グレミオ戦にて後半29分にピッチに送り出され18歳のプロデビュー。デビュー戦は2021コパ・アメリカなどチリ代表として12試合の経歴を誇るVOLパブロ・ガウダメス(Pablo Galdames, 1996)に代わりセグンドボランチとしてプレーした。
その後、しばらくトップチームでベンチを温める試合が続くが、6月16日全国選手権第9節クルゼイロ戦にてアルバロ・パシェコ(Álvaro Pacheco)監督によりセグンドボランチとしてスタメンに抜擢。
続く6月19日第10節ジュヴェントゥージ戦にもスタメン出場。
6月22日第11節サンパウロ戦では後半19分に交代出場を果たし、後半45+3分にクリアボールを回収し、シュートフェイントを挟み、FWデイヴィジ(David, 1995)へパスを送りアシストを記録。トップチームでの記録上の初得点関与。
6月29日第13節ボタフォゴ戦では、プリメイロボランチとして先発に抜擢され、首位を争うボタフォゴFW陣を相手に、前年全国選手権得点ランク2位のFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)やドリブルを得意とするFWルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)から複数回のボール奪取。攻撃面では35回中33回のパスを通し、後半35分の交代時にはサポーターからの賞賛の歓声を浴びピッチから退いた。
直近の7月17日全国選手権第17節まで、連戦に先発、途中交代出場を繰り返し、試合経験を積み重ねている。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2024年(19歳) | ヴァスコ・ダ・ガマ | 全国選手権 | 9 | 420 | 0 | 1 |
合計 | 9 | 420 | 0 | 1 |
イタリック斜体は、2024年7月21日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表(世代別含む)経歴>
2024年5月17日に発表されたU-20代表合宿メンバーの23選手の一人として招集。自身初の世代別代表への招集を受けた。なお、この合宿は、2025年1月にペルーにて開催が予定されている2025U-20南米ユース選手権を照準とした初の代表合宿として位置づけられている。
※関連記事 : [2024.05.17発表]<ブラジルU-20代表招集>
<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>
利き足は両足。
身長176cm、体重62kg。(サッカーサイト「oGol」2024年7月16日参照)
ポジションは、主にはセグンドボランチ。プリメイロボランチやインサイドハーフ、トップ下などでもプレー。
守備面ではパスコースを読んだインターセプト、ボール保持者の懐に体を入れるボール奪取やドリブル阻止、タイミングのいいスライディングでのボール奪取を得意とする。一部で好まれるフィジカル勝負のディフェンスやマークは、トップチームで出場した数試合や育成カテゴリーのプレー動画集を見る限りほとんど見られない。
両足から繰り出されるパスは、シンプルにワンタッチ、ツータッチで捌くパスから、サイドを変える中長距離のパスまで精度が高く、いずれの足からもパンチ力のあるシュートが放たれる。
プレー中は常に落ち着きがあり、戦術眼に優れ、視野が広く、低い位置でボールを持った際には、リスクを負わない近距離のパスに、精度の高いサイドライン際へのロングフィードや、一列飛ばす縦の楔のパスを織り交ぜ、相手陣半ばでボールを持つ際には、最終ライン裏へのスルーパスやゴールに近い位置へのパスを優先的に選択してボールを送る。
2024年7月20日現在、トップチームでの出場時間はまだ420分に過ぎないが、テレビ中継で観戦したサンパウロ戦とボタフォゴ戦では、攻守に注目に値するようなプレーを多く披露していた。
ヴァスコ・ダ・ガマ育成カテゴリーは、近年優秀なボランチを数多く輩出しており、2023年1月に1250万ユーロでチェルシー/ENGへ移籍し、同年3月にフル代表デビュー、2023U-20W杯代表、2023U-20南米ユース選手権ではキャプテンとして得点王にも輝きチームを優勝に導いたアンドレイ・サントス(Andrey Santos, 2004)、同じく2023U-20W杯、2023U-20南米ユース選手権、2024パリ五輪南米予選に出場、2024年1月にシャクタルドネツク/UKRへ1200万ユーロで移籍したマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)、2023南米U-17選手権、2023U-17W杯代表マテウス・フェヘイラ(Matheus Ferreira, 2006)などを輩出している。
2019年にヴァスコ・ダ・ガマに入団したジョタ・ぺーは、これらの選手の影に隠れ、入団後の約3年間はほとんど試合に出場することができずにいたが、試合中での落ち着きや両足を巧みに使いこなす従来の自身の特長をベースに、コロナパンデミックによる自粛期間での個別トレーニングや、上記の選手を含めた周囲の選手との切磋琢磨により飛躍的に成長、2022年には育成カテゴリーU-17チームでレギュラーの座を掴み、2024年4月に18歳のプロデビュー。同年5月には世代別代表に選出されるにまで至った。
当面の目標は、2024年シーズンをヴァスコ・ダ・ガマで1試合、1分でも多くの試合に出場し、2025年1月開幕のU-20南米ユース選手権に出場することかと思われる。
現在のプレー、成長曲線を見る限り、アンドレイ・サントスやマルロン・ゴメスに続く欧州移籍は、近い将来に間違いなく訪れるだろう。