【ブラジル全国選手権2024】第21節(1/2)[08/03-05]

投稿者: | 2024年8月2日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第21節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/08/03 ヴィトーリア(VIT) x クイアバ(CUI)
・2024/08/03 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2024/08/03 アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) x ボタフォゴ(BOT)
・2024/08/03 クリシウーマ(CRI) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2024/08/03 サンパウロ(SAO) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第21節(2/2)[08/03-05]
・2024/08/04 フルミネンセ(FLU) x バイーア(BAH)
・2024/08/04 コリンチャンス(COR) x ジュヴェントゥージ(JUV)
・2024/08/04 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x グレミオ(GRE)
・2024/08/04 インテルナシオナウ(INT) x パウメイラス(PAL)

・2024/08/05 クルゼイロ(CRU) x フォルタレーザ(FOR)

全国選手権第21節 試合概要

ヴィトーリア(VIT) 1-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=7IsPU6OGaSc
(VIT) : 71' #4 ヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)[#9 アレハンドロ(Alerrandro, 2000)]

今節前の順位

ヴィトーリア(VIT)は全国選手権5勝3分12敗勝点18の17位。
クイアバ(CUI)は全国選手権4勝5分9敗勝点17の18位。(2試合未消化)

得点シーン

(VIT) : 71' #4 ヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)[#9 アレハンドロ(Alerrandro, 2000)]
左CKからFWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)がPA内ゴールライン際のMFマテウジーニョ(Matheusinho, 1997)にボールを預け、PA入口の高さまで下がり、戻りのボールをゴール前を越えファーサイドへ送る。FWアレハンドロが頭でゴール前に折り返すと、CBヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)が頭でボールをゴールへ押し込む。[1-0]
   CBヴァギネル・レオナルドは、サントス育成出身で、2019年3月コパ・ド・ブラジルにて19歳のプロデビュー。2021年4月に全国選手権2部ナウチコへ期限付き移籍で16試合に出場し、サントスに復帰するとレギュラーの座を獲得し23試合に出場する。しかし、終盤には出場機会を失い2022年は再び期限付き移籍。2023年にポルチモネンセ/PORへ移籍するが、出場機会に恵まれず、2023年4月に期限付き移籍でヴィトーリアに加入。8月に完全移籍へ移行すると、チームの主力選手の一人として全国選手権2部優勝に貢献。2024年はこれまでチーム全44試合のうち40試合に出場。6月末には2028年末まで契約を更新した。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:46% 54% ⇒ 前後半:47% 53%
シュート(枠内): 前半:4‐4(1-2) ⇒ 前後半:13-8(3-2)
パス成功率: 前半:85% 87% ⇒ 前後半:84% 83%
Desarmes: 前半:7‐7 ⇒ 前後半:16-11
Faltas Cometidas: 前半:7‐6 ⇒ 前後半:16-17

   ヴィトーリアは、前節アウェイでのパウメイラス戦にて2-0の勝利を収め、連敗を「4」で止めた。コパ・ド・ブラジルはすでに敗退。全国選手権に集中し、シーズン当初の現実を見据えた目標である1部残留を果たしたい。
   今節は、SBルーカス・エステヴィス(Lucas Esteves, 2000)が出場停止、代わりにSBペー・カー(PK, 1994)が左サイドバックに入る。右サイドバックには攻撃的なSBラウール・カセレス(Raul Cáceres, 1991)、ボランチにはVOLルアン(Luan, 1999)がケガ明けで4試合ぶりのスタメン復帰。
   クイアバは、コパ・スウアメリカーナでのプレーオフを含めた公式戦に3連敗中。コパ・スウアメリカーナは決勝ラウンドへ進出できず、コパ・ド・ブラジルはすでに敗退。今後は全国選手権に集中し降格圏から脱出したい。
   今節は、出場停止やケガによる離脱選手はいないが、両ウィングがFWアンドレ・ルイス(André Luís, 1997)とFWクレイソン(Clayson, 1995)へと代わり、センターフォワードにFWイシドロ・ピッタ(Isidro Pitta, 1999)を据えた3トップ。5試合連続出場中だったFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)はベンチ外。

   下位に低迷する両チームによる試合は静かな立ち上がり。両チームとも攻撃面でリスクを犯さず、ヴィトーリアはコンパクトな陣形を保ちスペースを消す守備網を敷き、一方のクイアバは高い位置でボールの出どころへの寄せを厳しくする、両チームの持ち味を出した守備を展開し時間が経過する。
   前半26分、ヴィトーリアがCKからこの試合両チーム初のシュートを狙うと、試合は動き始める。
   前半40分、クイアバは、左SBハモン(Ramon, 2001)が左サイドライン際をドリブルでDFをかわし一列内へボールを送ると、ボールを受けたMFマックス(Max, 2001)はPAを縦に侵入し、ゴール正面へマイナス気味のパス。FWイシドロ・ピッタはDFのマークを外したものの、ボールをしっかりと蹴ることができず、ボールはゴールポストの外へ流れ絶好の先制機を逃す。
   一方のヴィトーリアは、前半43分に相手陣左サイド深くからゴール前にクロス、これはクリアに遭いシュートまで持ち込めなかったが、続く後半44分にも再び左サイドライン際浅めの位置からゴール前へクロス。このクリアボールをVOLルアンがゴールに向かい強く蹴ると、MFマテウジーニョがゴール前でコースを変える。しかし、GKヴァウテル(Walter, 1987)がMFマテウジーニョへの間合いを詰めシュートブロック。
   後半2分、クイアバが相手陣でFKを獲得すると、そこから相次いでCKを獲得するが、得点機は生まれない。
   後半26分、ヴィトーリアは、FWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)がPA左入口からゴール前にクロス。FWゼ・ウーゴ(Zé Hugo, 1999)が頭に合わせたボールはクロスバーを直撃。跳ね返りのボールをSBペー・カーが詰めるが、DFがシュートをブロックしCKに逃れる。
   続く左CKからショートコーナーを逆サイドへ大きくボールを送り、折り返しのボールをCBヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)がヘディングシュートでゴールネットを揺らし、ヴィトーリアが先制。
   1点をリードされたクイアバは、選手交代により攻撃的な選手を投入するが、ヴィトーリアのコンパクトに保つ守備網を崩すことができず、ボールを失ってはカウンターに脅かされる。ヴィトーリアは、後半42分に、MFマテウジーニョからのスルーパスを受けたクラブデビューを迎えたFWカルロス・エドゥアルド(Carlos Eduardo, 1996)が強烈なシュートを放つが、ボールはクロスバーをかすめ枠を越える。
   試合はヴィトーリアがクイアバの反撃を許さず1-0の勝利。
   ヴィトーリアは、2試合連続無失点で2連勝。暫定ながらコパスーラ出場圏の12位に浮上。
   一方のクイアバは、全国選手権3連敗で降格圏を抜け出すことができなかった。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 2-2 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Qyfmzyxqs9k
(RBB) : 5' #6 Fジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)[#22 グスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)
(VAS) : 50' #19 ジェー・ベー(GB, 2005)[#12 ヴィクトル・ルイス(Victor Luís, 1993)]
(VAS) : 60' #28 アジソン(Adson, 2000)[#99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)]
(RBB) : 89' #11 エリーニョ(Helinho, 2000)[#10 リンコン(Lincoln, 1998)]

今節前の順位

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)は全国選手権7勝2分10敗勝点23の11位。(1試合未消化)
RBブラガンチーノ(RBB)は全国選手権7勝4分7敗勝点25の10位。(2試合未消化)

得点シーン

(RBB) : 5' #6 Fジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)[#22 グスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)]
相手陣に入った位置での最終ラインによるパス交換から、右サイドバックに入ったCBドウグラス・メンデス(Douglas Mendes, 2004)が右サイドライン際を縦にボールを送る。MFグスタヴィーニョが相手のマークを振り払い、PA内右ゴールライン際からゴール正面にマイナスのボールを送ると、MFジョン・ジョンが駆け上がり、やや後方に流れるボールに右足を合わせゴールネットを揺らす。[0-1]
   MFジョン・ジョンは、パウメイラス育成出身で、2022年5月リベルタドーレスにて19歳のプロデビュー。2023年には31試合(うち先発11試合)、2024年には7月までに12試合(うち先発3試合)の成績を残したが、2024年7月に試合出場機会を求めてRBブラガンチーノへ完全移籍。クラブデビュー戦となった7月24日コパ・スウアメリカーナプレーオフ2ndレグにて決勝ラウンド進出を決めるゴールを決め、自身のプロ初ゴールを飾った。このゴールは移籍後4試合で2点目のゴール。
(VAS) : 50' #19 ジェー・ベー(GB, 2005)[#12 ヴィクトル・ルイス(Victor Luís, 1993)]
相手陣での最終ラインのボール回しから、左サイドライン際でボールを受けたMFディミトリ・パイェが一列内のラインをゴールライン際へボールを送ると、SBヴィクトル・ルイスが抜け出しゴールライン際からゴール前へ柔らかいクロス。マークのきついFWベヘッチの前に後方からFWジェー・ベーが現れ頭を合わせると、ボールはファーサイドのゴールネットを揺らす同点弾。FWジェー・ベーのプロ初ゴールでホームのヴァスコ・ダ・ガマが試合を振り出しに戻す。[1-1]
   FWジェー・ベーは、ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で、2023年1月州選手権にて18歳のプロデビュー。2023年の出場記録は州選手権の2試合のみ。2024年は、前節グレミオ戦で20分間プレーし、今節スタメンに抜擢されていた。
   SBヴィクトル・ルイスは、パウメイラス育成出身で、2013年にポルト/PORへ期限付き移籍を果たしたが、トップチームでの出場機会はなくパウメイラスに復帰。2014年3月州選手権にて20歳のプロデビューを果たし、年終盤にレギュラーの座を獲得する。しかし、2015年以降はポジションに定着できず、期限付き移籍でボタフォゴやセアラーでもプレー。2022年末にパウメイラスとの契約が満了すると、2023年はコリチバにてプレー(41試合)。2024年はヴァスコ・ダ・ガマに加入するが、SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)の2番手に甘んじ、この試合は今季8試合目の出場だった。このアシストを機にSBルーカス・ピトンのスタメンの座を脅かしたい。
(VAS) : 60' #28 アジソン(Adson, 2000)[#99 ベヘッチ(Vegetti, 1988)]
左サイドから中央を経て右サイドライン際のSBプーマ・ロドリゲス(Puma Rodríguez, 1997)に送られるとPA入口へクロス。FWベヘッチが足で落としたボールに後方から駆け上がったFWアジソンがダイレクトに左足を一閃。柔らかいカーブを描いたシュートはファーサイドのゴールネットを揺らすゴラッソ。ホームのヴァスコ・ダ・ガマが逆転。[2-1]
   FWアジソンは、コリンチャンス育成出身で、2021年3月のデビュー以来、114試合13得点アシストを記録し、2023年8月にナント/FRAへ500万ユーロの移籍金で移籍するが出場機会に恵まれず、2024年1月に同額にてヴァスコ・ダ・ガマに加入。スピードがあり、左右の足から繰り出されるパスやシュートは精度が高い。コリンチャンス時代にもこのゴールのようにシャドーとしてセンターフォワードの近くでプレーしゴールを決めたことがあり、個人的に印象に残っている。
(RBB) : 89' #11 エリーニョ(Helinho, 2000)[#10 リンコン(Lincoln, 1998)]
FWエリーニョがアタッキングサード入口右サイドから中央へ切れ込み左サイドへボールを展開。これを受けたMFリンコンがPA左角からゴール前にボールを送ると、後方から駆け上がったFWエリーニョがフリーの体勢で頭を合わせゴールネットを揺らす。土壇場でアウェイのRBブラガンチーノが同点。
   FWエリーニョは、2020年11月のRBブラガンチーノ加入以来、レギュラーとして試合に出場していたが、2023年はペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)監督のもと27試合の出場に止まった。しかし、2024年に入り、州選手権にて12試合6アシストの成績を残すと、全国選手権開幕後の5月以降は18試合10得点2アシスト。この試合は、前半は温存され、後半17分からの出場となったが、貴重な同点ゴールの起点となりフィニッシュを飾った。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:62% 38% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:6‐1(2-1) ⇒ 前後半:11-6(3-2)
パス成功率: 前半:87% 66% ⇒ 前後半:86% 77%
Desarmes: 前半:8‐12 ⇒ 前後半:25-25
Faltas Cometidas: 前半:2‐10 ⇒ 前後半:8-18

   ヴァスコ・ダ・ガマは、直近のコパ・ド・ブラジルをアウェイの試合ながらアトレチコ・ゴイアニエンセを相手に1-1の引き分け。今節終了後中2日で2ndレグが控えている。
   今節のスタメンは、出場停止の右SBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)とVOLマテウス・カルヴァーリョ(Mateus Carvalho, 2002)を含め、アトレチコ・ゴイアニエンセ戦から7つのポジションで変更。攻撃面では、前節で20分間プレーした19歳のFWジェー・ベー(GB, 2005)が先発に抜擢され、トップ下に元フランス代表のベテランMFディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)が入る。VOLスフォルツァ(Sforza, 2002)、14年ぶりにヴァスコ・ダ・ガマに復帰したVOLソウザ(Souza, 1989)、VOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)の3ボランチの組み合わせも興味深い。
   RBブラガンチーノは、コパ・ド・ブラジルをアウェイで0-2の敗戦。SBジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)やFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)、マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)などの主力選手をケガで欠いており、苦しい戦いを余儀なくされている。新加入のMFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)、FWケルビン・フローレス(Kelvin Flórez, 2004)の戦力化が期待される。
   今節のスタメンは、コパ・ド・ブラジルから7つのポジションで変更。5月28日の先発以降試合から遠ざかる左SBギリェルミ(Guilherme, 2002)、5月1日以来の先発となるFWラキンターナ(Laquintana, 1999)、6月15日以来の先発となるMFグスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)がチャンスを得た。また、MFジョン・ジョンが4試合目にしてクラブでの初スタメンに抜擢。

   試合は早くも前半5分に動く。
   ヴァスコ・ダ・ガマ最終ラインのマークが甘く、RBブラガンチーノMFグスタヴィーニョがゴールライン際に抜け出し、後方から駆け上がるMFジョン・ジョンにもマークはつかず、MFジョン・ジョンが右足を合わせ、アウェイのRBブラガンチーノが先制する。
   先制を許したヴァスコ・ダ・ガマは、その後はボールを支配するものの、攻撃にスピード感がなく、右サイドに人数をかけながらも左サイドへボールを展開するちぐはぐな場面が散見、ゴール前へのクロスはFWベヘッチを欠き、ターゲットがおらず、右サイドから絞りこむ動きもなく、効果的な攻撃を作り出すことができない。
   前半20分にヴァスコ・ダ・ガマは、前線からボールを受けに下がったMFディミトリ・パイェを追い抜いたFWアジソンが最終ラインを抜け出し、MFパイェからのパスを受けゴールネットを揺らすが、MFパイェが戻りオフサイドを取られゴールは認められない。
   一方のRBブラガンチーノも相手の拙攻に助けられながらも、攻撃時は効果的にボールを前に運ぶことができず、前半は退屈な試合展開。前半終了時にはスタジアムはブーイングに包まれる。
   後半開始時、RBブラガンチーノは先制ゴールに絡んだMFジョン・ジョンとMFグスタヴィーニョをベンチに下げる選手交代。一方のヴァスコ・ダ・ガマは、VOLソウザを下げ、FWベヘッチを投入する。
   すると、早くもヴァスコ・ダ・ガマの交代策が効果を現す。
   後半5分、前半はサイドに流れるプレーが多かったFWジェー・ベーが、中央でFWベヘッチと縦に並び、SBヴィクトル・ルイスのクロスにFWベヘッチの前に現れヘディングシュート。これがゴールファーサイドへ決まりヴァスコ・ダ・ガマが同点(FWジェー・ベーはプロ初ゴール)。
   さらに10分後の後半15分、右サイドライン際SBプーマ・ロドリゲスのクロスボールをFWベヘッチがDFを背に足で落とすと、FWアジソンがダイレクトに左足を振り抜きゴラッソ。一気にヴァスコ・ダ・ガマが試合をひっくり返す。
   その後も、ヴァスコ・ダ・ガマは、FWベヘッチを中心に相手ゴールに迫り、試合の主導権を握り続ける。
   ところが、試合終了間際の後半44分、RBブラガンチーノはピッチを広く使い、FWエリーニョ→MFリンコン→FWエリーニョとボールを繋ぎ同点ゴール。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、後半はチームが一変したものの、最後に同点ゴールを許し勝点「2」を失った。
   一方のRBブラガンチーノは、相次ぐ主力の離脱や、コパ・ド・ブラジルに向けた選手起用だったとはいえ、今節も内容に乏しい試合に終えた。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、今節はFWジェー・ベー(GB, 2005)がプロ初ゴール。6月22日にはSBレアンドリーニョ(Leandrinho, 2005)とMFギリェルミ・エストレラ(Guilherme Estrella, 2005)が揃ってプロ初ゴール。最近は出場機会がないものの、9試合420分出場のVOLジョタ・ぺー(JP, 2005)や、2023年にプロ初ゴールを飾っているFWハイアン(Rayan, 2006)など、育成出身の選手が続々を結果を残している。
   FWベヘッチやMFディミトリ・パイェ、FWフィリピ・コウチーニョなど実績を残す選手とのプレーで経験を積み重ねており、ヴァスコ・ダ・ガマの将来は期待が大きい。

アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG) 1-4 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rqrhRZ1V27g
(BOT) : 21' #27 ルーカス・アウベルト(Carlos Alberto, 2002)[]
(ACG) : 43' #7 ジョエル・キャンベル(Joel Campbell, 1992)[PK]
(BOT) : 68' #99 イゴル・ジェズス(Igor Jesus, 2001)[]
(BOT) : 81' #70 オスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)[PK]
(BOT) : 88' #7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)[PK]

今節前の順位

アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)は全国選手権2勝6分12敗勝点12の20位。
ボタフォゴ(BOT)は全国選手権12勝4分4敗勝点40の2位。

得点シーン

(BOT) : 21' #27 カルロス・アウベルト(Carlos Alberto, 2002)[]
相手陣で相手パスミスを拾ったFWカルロス・アウベルトが右サイドへボールを送ると、MFルイス・エンヒキがドリブルでゴールライン際へボールを運びゴール前にクロス。ファーサイドでFWイゴル・ジェズス(Igor Jesus, 2001)が頭を合わせるが、GKペドロ・ハンジェウ(Pedro Rangel, 2000)が片手で掻き出す。しかし、FWカルロス・アウベルトがそのボールを押し込みアウェイのボタフォゴが先制。[0-1]
   FWカルロス・アウベルトは、アメリカ・ミネイロ育成出身で、2020年2月ミナスジェライス州選手権にて17歳のプロデビュー。2023年に期限付き移籍でボタフォゴに加入すると、33試合4得点1アシストの成績を残し、2024年1月に完全移籍。ほぼ同時にモレンベーク/BELへ半年間の期限付き移籍(17試合3得点2アシスト)。2024年7月にボタフォゴに復帰。7月30日コパ・ド・ブラジルでの復帰ゴールに続き、公式戦2試合連続のゴールをマークした。
(ACG) : 43' #7 ジョエル・キャンベル(Joel Campbell, 1992)[PK]
相手陣PAにSBマギーニョ(Maguinho, 1992)が侵入。しかし、後方から守備に戻るDFの足が接触し転倒。VARの介入により主審はPKの判定を下す。これを今節がクラブデビューとなるコスタリカ代表FWジョエル・キャンベルがゴール右に決め、ホームのアトレチコ・ゴイアニエンセが試合を振り出しに戻す。[1-1]
   FWジョエル・キャンベルは、3度のW杯や2024年など3度のコパ・アメリカなどコスタリカ代表として143試合27得点18アシストを誇る。アーセナル/ENG、レアルベティス/ESP、クラブ・レオン/MEXなどでプレー。アトレチコ・ゴイアニエンセには、母国クラブのアラフエレンセ(Alajuelense)からの期限付き移籍で加入。クラブデビュー戦をクラブ初ゴールで飾った。
(BOT) : 68' #99 イゴル・ジェズス(Igor Jesus, 2001)[]
左コーナーフラッグ付近からのFK。MFオスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)が蹴ったボールはDFのクリアに遭うが、PA手前で回収したSBクイアバーノがコースを狙ったシュート。ボールはゴールポストを直撃するが、跳ね返りのボールをFWイゴル・ジェズスがダイレクトに足を合わせファーサイドのゴールネットへボールを押し込む。[1-2]
   FWイゴル・ジェズスは、コリチバ育成出身で、2019年1月パラナ州選手権にて17歳のプロデビュー。同年7月以降はトップチームに昇格し、途中交代出場を中心に31試合5得点1アシストの成績を残す。2020年にはレギュラーの座を獲得し、2020年10月に4年契約、200万ユーロでアル・アハリ・ドバイ/UAEへ移籍。加入直後からゴールを量産しレギュラーの座を獲得するが、2年目に膝前十字靭帯断裂のケガを負い約一年間チームを離脱。しかし、ケガを乗り越えると再びレギュラーの座に就き、同クラブにて通算91試合46得点16アシストの成績を収める。2024年7月ボタフォゴに加入すると、加入一週間後の全国選手権第17節にてクラブデビュー、最近の3試合ではスタメンに起用。ゴールの嗅覚が鋭く、これまでも的確なポジショニングから惜しいシュートを何度も放っていたが、このゴールが自身6試合目でクラブ初ゴールとなった。
(BOT) : 81' #70 オスカル・ホメーロ(Óscar Romero, 1992)[PK]
相手陣深く右サイドライン際からFWマテウス・マルチンス(Matheus Martins, 2003)がPA内MFルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)へボールを送る。MFルイス・エンヒキが縦に仕掛けると、DFの足が接触し転倒。主審はPKの判定を下す。このPKをMFオスカル・ホメーロがゴール正面に決め、ボタフォゴが試合を決定づける3点目。[1-3]
   MFオスカル・ホメーロは、4度のコパ・アメリカなどパラグアイ代表として57試合4得点4アシストを誇る。2011年にセロ・ポルテーニョにてプロデビューを飾り、ラシン・クラブ/ARG、アラベス/ESP、ボカ・ジュニオルス/ARGや中国、トルコでプレー。ボタフォゴには2024年3月に加入。2列目で攻撃の指揮を執るプレースタイルで、これまで21試合1得点4アシスト。このゴールはボタフォゴでの初ゴールとなった。
(BOT) : 88' #7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)[PK]
自陣からのカウンター。相手陣手前右サイドライン際からFWマテウス・マルチンスが相手陣中央へボールを送る。FWイゴル・ジェズスが抜け出し、PA左に侵入しシュート。間合いを詰めるGKにブロックされるが、そのこぼれ球を競り合うMFルイス・エンヒキがDFに倒されPKを獲得。これをMFルイス・エンヒキ自らがゴール中央に決めボタフォゴがダメ押し。[1-4]
   MFルイス・エンヒキは、フルミネンセ育成出身で、2020年8月全国選手権にて19歳のプロデビュー。約2年間で120試合14得点14アシストの成績を残し、2022年8月レアルベティス/ESPへ1000万ユーロで移籍。レアルベティスでは1年半で64試合4得点10アシスト。ボタフォゴには2024年2月に1600万ユーロにて移籍加入。これまで32試合6得点4アシスト。スピードがあり、鋭いドリブルが特長の左足利きのウィンガー。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:51% 49% ⇒ 前後半:47% 53%
シュート(枠内): 前半:5‐4(2-3) ⇒ 前後半:10-13(3-9)
パス成功率: 前半:80% 81% ⇒ 前後半:79% 80%
Desarmes: 前半:4‐5 ⇒ 前後半:7-10
Faltas Cometidas: 前半:6‐3 ⇒ 前後半:15-13

   アトレチコ・ゴイアニエンセは、6月15日以来白星から遠ざかり、全国選手権は最下位に低迷。直近のコパ・ド・ブラジルではホームにヴァスコ・ダ・ガマを迎え後半43分の失点で1-1の引き分けに終えた。
   今節は、先発起用が続いたCBペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1992)が出場停止のため、CBルイス・フェリピ(Luiz Felipe, 1993)が4試合ぶりのスタメン。新加入でコスタリカ代表として143試合27得点18アシストを誇るFWジョエル・キャンベル(Joel Campbell, 1992)がスタメンに名を連ねる。
   ボタフォゴは、公式戦3試合白星から遠ざかっており、直近の試合はコパ・ド・ブラジルでホームにバイーアを迎え1-1の引き分け。
   今節は中3日でコパ・ド・ブラジル2ndレグを控え、一部の主力選手を温存。FWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)とFWサバリーノ(Savarino, 1996)はいずれも足に違和感を覚えベンチ外。3ボランチが総入れ替えとなり、VOLカウエー(Kauê, 2004)、VOLダニーロ・バルボーザ(Danilo Barbosa, 1996)、VOLアラン(Allan, 1991)の3選手が構成する。加入が発表されたばかりの2023U-20W杯代表(5試合2得点2アシスト)のFWマテウス・マルチンス(Matheus Martins, 2003)がベンチ入りしている。

   試合の立ち上がりはアウェイのボタフォゴがボールを支配。しかし、ホームのアトレチコ・ゴイアニエンセは、最終ラインを高く中盤をコンパクトに保ち、素早く強度の高い寄せでボールの出どころに圧力をかけ続ける。
   前半21分、ボタフォゴは、相手のマークを掻い潜り縦に素早くボールを送りと、右サイドMFルイス・エンヒキが個人技でゴールライン際へボールを運びゴール前にクロス。FWイゴル・ジェズスのヘディングシュートは止められたものの、そのこぼれ球をFWカルロス・アウベルトが押し込みボタフォゴが先制。
   先制を許したアトレチコ・ゴイアニエンセは、失点前よりも幾分高い位置でプレスをかけ、相手のミスを誘いショートカウンターでゴールを狙う。すると、前半39分、PAに侵入した右SBマギーニョが倒されPKを獲得。これをこの試合がデビュー戦となるコスタリカ代表FWジョエル・キャンベルが冷静に成功させアトレチコ・ゴイアニエンセが試合を振り出しに戻し、前半のタイムアップを迎える。
   後半戦は、前半終盤と同様の展開で始まるが、次第にアトレチコ・ゴイアニエンセの寄せは勢いを失っていき、ボタフォゴがボール、陣地を支配し始める。
   後半23分、ボタフォゴが相手陣左ゴールライン際でFKを獲得すると、そのクリアボールを拾ったSBクイアバーノのシュートはゴールポストに阻まれるののの、その跳ね返りをFWイゴル・ジェズスがダイレクトにゴールへ流し込み、ボタフォゴが再びリードする。
   このゴールで試合の流れが一気にボタフォゴに傾くと、アトレチコ・ゴイアニエンセ守備陣は相手の勢いにあがなえず、後半36分、後半43分に相次いでPKを許し、連続失点。
   最終的にボタフォゴが4-1の快勝を収め、土曜日の日程が終了した時点で、暫定ながら首位に返り咲いた。
   一方のアトレチコ・ゴイアニエンセは、6月15日の勝ち星を最後に13試合未勝利の5分8敗となり、厳しい状況が続いている。

   アトレチコ・ゴイアニエンセは、約20年間クラブ会長に君臨するアジソン・バチスタ氏が、ゴイアス州選手権優勝、全国選手権も最高13位、第10節時点で16位に健闘していたジャイール・ヴェントゥーラ監督を解任して以降、勝ち星から遠ざかっている。今節の2日前には、現場の選手を批判する形で、今後の補強について言及。今節終了後には、ヴァギネル・マンチーニ監督を8試合(うち1試合は出場停止)の指揮で解任。
   傍目にはアジソン・バチスタ氏の独善がチームを壊しているようにしか映らない。

クリシウーマ(CRI) 2-1 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=mIvb200Q-xY
(CRI) : 58' #5 イゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)[]
(CRI) : 65' #4 ウィンカー・アンヘル(Wilker Ángel, 1993)[#8 ネウトン(Newton, 2000)]
(CAM) : 90+6' #42 カドゥ(Cadu, 2004)[#3 ブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)]

今節前の順位

クリシウーマ(CRI)は全国選手権5勝6分7敗勝点21の12位。(2試合未消化)
アトレチコ・ミネイロ(CAM)は全国選手権7勝7分4敗勝点28の9位。(2試合未消化)

得点シーン

(CRI) : 58' #5 イゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)[]
左CKからMFマルセロ・エルメス(Marcelo Hermes, 1995)が左足でファーサイドへゴールから離れるボールを上げると、VOLイゴル・メリトンが叩きつけるヘディングシュート。ボールはDFに当たり混戦となるが、VOLイゴル・メリトンがこぼれ球をゴールへ蹴り込みホームのクリシウーマが先制。[1-0]
   VOLイゴル・メリトンは、2014年にサンパウロ州最下層リーグにてプロデビュー。少しずつキャリアを積み、2018年に全国選手権4部、サンパウロ州選手権1部のフェホヴィアリアに入団。2020年期限付き移籍で全国選手権2部パラナ・クルービにて33試合に出場すると、2021年7月に期限付き移籍にてプーマス/MEXでプレーし45試合に出場し、2022年7月に完全移籍へ移行。2023年7月に期限付き移籍でゴイアスにてプレーし、クリシウーマには2024年1月に年末までの期限付き移籍で加入した。2024年はこれまで26試合3得点。高さのあるセグンドボランチ。
(CRI) : 65' #4 ウィンカー・アンヘル(Wilker Ángel, 1993)[#8 ネウトン(Newton, 2000)]
CKの流れから、SBトラウコがゴール正面からミドルシュート。DFに当たったこぼれ球をPA内左深い位置でVOLネウトンが拾い、ゴール前にグラウンダーのクロス。PA内に残っていたCBウィンカー・アンヘルがニアサイドで右足を合わせると、コースを変えたボールがファーサイドのゴールネットに吸い込まれる。[2-0]
   CBウィンカー・アンヘルは、2024年を含め、3度のコパ・アメリカなどベネズエラ代表として40試合2得点を誇る。母国ベネズエラにてプロデビュー後の5年間、ロシアにて5年間、トルコ、エクアドルで各1年間プレーし、2024年2月にクリシウーマに1年契約で移籍加入。コパ・アメリカのため約一か月間の離脱はあったものの、これまで19試合2得点。最終ラインの要として昇格初年のクリシウーマの健闘を支えている。
(CAM) : 90+6' #42 カドゥ(Cadu, 2004)[#3 ブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)]
相手陣PA付近まで攻め込み、MFグスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)が右サイドライン際へボールを送ると、攻め上がったCBブルーノ・フッキスがゴール前にクロス。ニアサイドでFWカドゥが頭を合わせアトレチコ・ミネイロが意地のゴール(gol de honra)。[2-1]
   FWカドゥは、アトレチコ・ミネイロ育成出身。コパ・アメリカ開催期間はスタメンを務める。コパ・アメリカが閉幕し、ケガ人が戻ってくると、スタメンの座を明け渡したが、今節は後半途中交代出場から全国選手権での今季初ゴール。今後も与えられた出場機会で結果を残していきたい。
   CBブルーノ・フッキスは、インテルナシオナウ育成出身で、2019年にプロデビュー。2020東京五輪金メダリスト。2020年8月に800万ユーロにてCSKAモスクワ/RUSへ移籍。2023年1月に期限付き移籍でアトレチコ・ミネイロに加入し、2024年1月に契約を1年間更新。190cmの長身ながら足元の技術は高く、3バックや、4バックのサイドバックとしてもプレーするユーティリティ性を持つ。このアシストは右足の精度の高いクロスから生まれた。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:35% 65% ⇒ 前後半:31% 69%
シュート(枠内): 前半:4‐5(2-0) ⇒ 前後半:13-17(5-2)
パス成功率: 前半:77% 88% ⇒ 前後半:72% 89%
Desarmes: 前半:3‐4 ⇒ 前後半:8-6
Faltas Cometidas: 前半:4‐3 ⇒ 前後半:14-8

   クリシウーマは、前節ジュヴェントゥージ戦にて2-1のスコアで6試合ぶりの勝利を収めた。順位は12位だが降格圏までの勝点差は「4」、今移籍ウィンドウでの補強はないが、既存選手の奮起を促し1部残留を勝ち取りたい。
   今節のスタメンは、出場停止のCBホドリゴ(Rodrigo, 1987)に代わりCBトビアス・フィゲイレード(Tobias Figueiredo, 1994)が入り、FWエデル・シタジン(Éder Citadin, 1986)が2試合ぶりに復帰し、FWボラシエ(Bolasie, 1989)との2トップ。6月中旬から途中出場が続くVOLイゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)がスタメンに名を連ねる。なお、FWアルトゥール・カイーキ(Arthur Caíke, 1992)とMFマテウジーニョ(Matheusinho, 1997)は引き続きケガのため欠場。
   アトレチコ・ミネイロは、週中のコパ・ド・ブラジルにて全国選手権2部CRBを相手に2-2の引き分け。この試合でコパ・アメリカ開催期間の苦しい時期にチームを牽引したFWフッキ(Hulk, 1986)が右ふくらはぎの筋肉系のケガを負い途中交代。
   今節のスタメンは、コパ・ド・ブラジルから3つのポジションで変更。ケガのFWフッキに代わりチリ代表FWバルガス(Vargas, 1989)が入り、最終ラインにはCBサラビア(Saravia, 1993)とCBバターリャ(Battaglia, 1991)が入り、CBジュニオール・アロンソ(Júnior Alonso, 1993)と共に3バックを構成する。

   
   立ち上がりからアウェイのアトレチコ・ミネイロがボールを支配。しかし、クリシウーマの中を閉ざす守備網を崩すことができず、たびたび守備網の外からミドルシュートを狙うがボールは枠を捉えない。
   堅守からカウンターを狙うクリシウーマは、前半19分に相手陣でのボール奪取からMFマルセロ・エルメスが惜しいミドルシュート。前半34分にはFWボラシエがドリブルでボールを持ち上がりミドルシュートを放つが、これはGKの好守に阻まれる。さらに、前半35分、最終ライン右を抜け出したFWボラシエのゴール前のクロスに、MFマルセロ・エルメスが飛び込み頭を合わせゴールネットを揺らすが、FWボラシエが僅かにオフサイド。
   前半はクリシウーマのプランが効果的に機能し0-0で折り返す。
   後半4分、相手陣手前でのボール奪取からクリシウーマがショートカウンター。FWボラシエがドリブルでボールを持ち上がりシュートに持ち込むがボールは枠を捉えない。
   一方のアトレチコ・ミネイロは、後半8分、左サイドを相手陣深くまでボールを運び、ゴール前へ送られたクロスボールにFWバルガスが頭を合わせるが、ボールはクロスバーを越える。
   後半12分、クリシウーマが左CKを獲得すると、ゴール前の混戦からVOLイゴル・メリトンがゴールを奪い、ホームのクリシウーマが先制。
   さらに、後半20分、クリシウーマが右CKからの流れから、SBトラウコの強引なミドルシュートのこぼれ球を拾ったVOLネウトンのクロスにCBウィンカー・アンヘルが足を合わせ追加点。
   アトレチコ・ミネイロも、後半25分を過ぎ、相手陣に押し込み、相次いでFK、CKのチャンスを迎えるが、FKはゴール枠を越え、CKではあわやオウンゴールを誘ったものの、クリシウーマGKグスタヴォ(Gustavo, 1993)が僅かな所でボールを掻き出し、ゴールを奪うことができない。
   クリシウーマは、後半30分にカウンターから、後半36分には相手陣でのスローインから大きなチャンスを迎えるが、シュートミスにより試合を決定づける好機を逸する。
   しかし、クリシウーマの守備網は最後まで綻びず、アトレチコ・ミネイロに反撃を許さずタイムアップ。
   クリシウーマが2-0の勝利を収め、全国選手権2連勝を飾った。

サンパウロ(SAO) 1-0 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=5nGp7H3X1Fk
(SAO) : 61' #9 カレーリ(Calleri, 1993)[#27 ウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)]

今節前の順位

サンパウロ(SAO)は全国選手権9勝5分6敗勝点32の6位。
フラメンゴ(FLA)は全国選手権12勝4分3敗勝点40の首位。(1試合未消化)

得点シーン

(SAO) : 61' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#27 ウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)]
右CKからFWウェリントン・ハットが大きめのボールをゴール前に上げると、DFと競り合うFWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)の背後に流れたボールにフリーの体勢でFWカレリが頭を合わせ、ゴールネットを揺らす。[1-0]
   FWカレリは、2022年7月にサンパウロに2度目の加入。以来161試合58得点16アシストを記録中。2024年はケガや戦術による役割の変更もあり、34試合12得点4アシストとゴール数は減少しているが、監督、サポーターからの信頼は失っていない。このゴールは、コパ・ド・ブラジルでのゴールに続く2試合連続ゴールとなった。
   FWウェリントン・ハットは、2012年にリオデジャネイロ州選手権下位リーグにてプロデビューを果たし、少しずつキャリアアップし、2020年全国選手権1部アトレチコ・ゴイアニエンセに加入し25試合2得点4アシストを記録。2021年4月‐12月は期限付き移籍で長崎/JPNにてプレー(23試合7得点2アシスト)。2022年アトレチコ・ゴイアニエンセに復帰すると、70試合15得点7アシストの全項目でキャリアハイを更新。2023年にサンパウロへ移籍すると、64試合5得点9アシストの成績を残し、クラブ史上初のコパ・ド・ブラジル制覇に貢献。2024年はケガの影響もあり、21試合4アシストに止まっている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:55% 45% ⇒ 前後半:55% 45%
シュート(枠内): 前半:7‐1(1-0) ⇒ 前後半:12-8(3-0)
パス成功率: 前半:90% 84% ⇒ 前後半:86% 84%
Desarmes: 前半:10‐8 ⇒ 前後半:17-15
Faltas Cometidas: 前半:8‐6 ⇒ 前後半:11-14

   サンパウロは、全国選手権は3試合勝ち星から遠ざかっているが、週中のコパ・ド・ブラジルでは全国選手権2部のゴイアスを相手に2-0の勝利。余勢を駆って全国選手権4試合ぶりの勝利を首位フラメンゴから収め、上位争いに食い込みたい。
   今節のスタメンは、コパ・ド・ブラジルのものから1点の変更のみ。出場停止のFWルシアーノ(Luciano, 1993)に代わりFWウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)が右サイドに入り、FWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)が中央トップ下に移る。
   フラメンゴは、週中のコパ・ド・ブラジルにてパウメイラスを相手に2-0の完勝。今節は中3日で行われる2ndレグに向け主力選手を温存。
   今節のスタメンは、CBレオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)を除く全ポジションでメンバー変更。FWペドロ(Pedro, 1997)とFWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)のパウメイラス戦でゴールを決めた両選手が出場停止を消化。FWマテウス・ゴンサウヴェス(Matheus Gonçalves, 2005)が7月11日第16節以来のスタメンに抜擢される。

   試合は、ほぼベストメンバーのサンパウロが、控え選手中心のフラメンゴを相手に中盤を支配。FWフェヘイラ(Ferreira, 1997)とFWルーカス・モウラを中心に左サイドを起点に攻撃を組み立て、ゴール前のFWカレリ、右サイドから絞り込むFWウェリントン・ハットへボールを送るが、クロスやシュートなど最後の精度に欠ける。
   一方のフラメンゴは、スピードのあるFWガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa, 1996)とFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)へボールを送り戦局の打開を図りたいが、中盤の劣勢により効力を発揮しない。
   上位同士の対戦ながら、前半のシュート数はサンパウロ「7」(うち枠内シュート「1」)に対し、フラメンゴ「1」(枠内シュートはゼロ)。戦前の期待を大きく下回る試合を展開する。
   後半開始時に、フラメンゴはVOLジェルソン(Gerson, 1997)を投入。この交代策はすぐに効果を現し、中盤の劣勢を押し戻し、前後にボールも円滑に運ぶようになり、フラメンゴが息を吹き返す。
   しかし、後半16分、サンパウロは右CKを獲得すると、FWウェリントン・ハットが上げたボールにFWカレリが頭を合わせ、待望の先制点。
   その後、フラメンゴは選手交代により攻撃的な選手や若手選手に出場機会を与えるが、サンパウロは中盤の選手を投入しフラメンゴに攻撃の起点を作らせず、試合は1-0のままタイムアップ。
   サンパウロは上位対決を制し、上位争いに踏みとどまった。しかし、VOLアリソン(Alisson, 1993)とVOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2001)の両選手の離脱により最近の試合で課題となっているボランチに関しては、期限付き移籍から復帰したVOLリジエロ(Liziero, 1998)を3試合連続でVOLボバディージャ(Bobadilla, 2001)に代え後半に投入したものの、VOLボバディージャ同様に監督の意図に沿った攻守の繋ぎ役、攻撃のかじ取り役としての役割を担えずにいるように見えた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です