最新更新日 : 2023/12/09 情報更新 : 2023/09/01, 2023/08/04
ヘイニエル・ジェズス・カルヴァーリョ
Reinier Jesus Carvalho
ポジション:ミッドフィルダー/メイア・オフェンシーヴォ
利き足:右
2002年1月19日生まれ
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2011年、ヴァスコ・ダ・ガマの下部組織に入団。
2014年~2019年は、フラメンゴの下部組織でプレーし、世代別の州タイトルや2018年U-17コパ・ド・ブラジルを獲得する。
≪フラメンゴ≫
2018年2月5日、16歳でフラメンゴとプロ契約を結ぶ。
2019年6月26日、ペルーで開催されたU-17南米ユース選手権での活躍の後、監督ホルヘ・ヘスス(Jorge Jesus)に呼ばれ、トップチームに昇格。 7月31日のコパ・リベルタドーレス決勝トーナメント1回戦ホームでのエメレク/エクアドル戦後半24分、ガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa)と交代でピッチに立ち、プロデビューを飾る。 8月4日、第13節アウェイのバイーア戦、後半56分に途中交代で出場し全国選手権のデビューを果たすと、9月7日、第18節アウェイのアヴァイー戦でプロ初ゴールを記録する。 この年は、リベルタドーレスはデビュー戦1試合のみの出場だったが、全国選手権は16試合に出場し、6得点2アシストを記録。フラメンゴの両大会の優勝に貢献した。
≪レアルマドリード≫
2020年1月20日、ヘイニエルの獲得についてフラメンゴと合意に達した旨がレアルマドリード/スペインから発表された(契約期間は2026年6月まで。移籍金3000万ユーロ)。当初はレアルマドリード・カスティーリャ(レアルマドリードのリザーブチーム)でプレーし、3試合2得点を記録する。
5月26日、ジネディーヌ・ジダン監督(Zinédine Zidane)に呼ばれ、トップチームに昇格。
≪ボルシア・ドルトムント≫
8月19日、ボルシア・ドルトムント/ドイツへ2020/21シーズン末までのレンタル移籍が発表される。
2021年2月27日、ボルシア・ドルトムントでの11試合目の出場となるアルミニア・ビーレフェルト/ドイツ戦で初ゴールを挙げるが、このシーズンは39試合1得点1アシストの不甲斐ない成績で終えることとなった。
≪ジローナ≫
2022年8月17日、2023年6月までのレンタル契約がレアルマドリードとジローナ/スペインとの間で結ばれる。
2022年8月22日のラ・リーガ第2節ヘタフェ戦でクラブ初出場を果たすと、9月9日ラ・リーガ第5節バリャドリード戦で初ゴール。 翌節には90分フル出場を果たすが、ケガのために約1か月戦列を離脱。復帰後2試合に途中出場を果たすもケガを再発し再び離脱する。その後もケガと復帰を繰り返しながらも、2023年4月22日ラ・リーガ第30節以降は主に途中出場ながらコンスタントにピッチに立つ。 2023年5月28日第37節レアルベティス戦では先発出場を果たし前半36分に左サイドからのクロスでアシストを記録、続く6月4日ラ・リーガ第38(最終)節オサスーナ戦では後半20分に交代出場すると、後半30分にシーズン2得点目となるゴールを決める。
ケガに悩まされたこの2022/23シーズンは期待に沿う成績を残すことができず終了した。
2023年6月末までのジローナへのレンタル契約が満了、レアルマドリードに復帰する。 しかし、レアルマドリードでは戦力と見なされておらず、プレシーズンのアメリカ遠征に帯同せず、2023/24シーズンの所属先を模索。ブラジルや中東からのオファーもあったようだが、本人はスペインでプレーすることにこだわり、2023年8月4日現在で新たなプレー先は決まっていない。
≪フロジノーネ(レンタル元:レアルマドリード)≫
2023年9月1日、レアルマドリードからイタリアセリエAフロジノーネへの期限付き移籍が発表される。期限は2023/24シーズン終了まで、買取オプションは付帯されていない。 フロジノーネには、8月29日にカイオ・ジョルジ(Kaio Jorge, 2002)の期限付き移籍がユヴェントス/ITAより発表されている。共に2002年生まれ、ヘイニエルはフラメンゴ出身、カイオ・ジョルジはサントス出身、クラブではライバルとして戦い、世代別代表では共にアマレリーニャを着て国を代表して戦った同志。共通して悩まされたケガに留意し、イタリアセリアBで優勝し今シーズンが昇格一年目となるフロジノーネの躍進に貢献する働きで、自らもかつての輝きを取り戻してもらいたい。
2023年19月8日イタリアセリエA第8節エラス・ヴェローナ戦でスターティングイレブンとしてクラブデビューを果たすと、前半アディショナルタイムに味方のゴールポストを直撃するシュートの跳ね返りをダイレクトにゴールに突き刺すチームの先制点でクラブ初ゴールをマーク。以降12月2日第14節までセリエAは7試合連続先発出場、
2023年11月2日コッパイタリア二回戦トリノ戦では、延長前半8分、FWカイオ・ジョルジのパスを受けピッチ中央をドリブルで上がり、GKとの一対一の対峙を制し決勝点をマーク。
≪シーズン別クラブ成績≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2019年(17歳) | フラメンゴ | リベルタドーレス | 1 | 19 | 0 | 0 |
全国選手権 | 14 | 709 | 6 | 2 | ||
合計 | 15 | 728 | 6 | 2 | ||
2019/20年(18歳) | レアルマドリード/ESP | 出場機会なし | ||||
2020/21年(19歳) | ボルシア・ドルトムント | チャンピオンズリーグ | 2 | 18 | 0 | 0 |
/GER | ブンデスリーガ | 14 | 245 | 1 | 1 | |
DFBポカール | 1 | 22 | 0 | 0 | ||
DFLスーパーカップ | 2 | 54 | 0 | 0 | ||
合計 | 19 | 339 | 1 | 1 | ||
2021/22年(20歳) | ボルシア・ドルトムント | チャンピオンズリーグ | 3 | 127 | 0 | 0 |
/GER | ヨーロッパリーグ | 2 | 29 | 0 | 0 | |
ブンデスリーガ | 13 | 154 | 0 | 0 | ||
DFBポカール | 1 | 6 | 0 | 0 | ||
DFLスーパーカップ | 1 | 90 | 0 | 0 | ||
合計 | 20 | 406 | 0 | 0 | ||
2022/23年(21歳) | ジローナ/ESP | ラ・リーガ | 18 | 638 | 2 | 1 |
合計 | 18 | 638 | 2 | 1 | ||
2023/24年(22歳) | フロジノーネ/ITA | イタリアセリエA | 7 | 537 | 1 | 2 |
コッパイタリア | 1 | 42 | 1 | 0 | ||
合計 | 8 | 579 | 2 | 2 |
イタリック斜体は2023年12月9日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
2017年、ブラジルが準優勝となるU-15南米ユース選手権に出場。
2018年3月7日、U-17代表としてフランス・モンテギュー国際大会に向け招集。同大会でブラジルは準優勝を飾り、最優秀選手に選出される。
2019年3月21日にペルーで開幕したU-17南米ユース選手権にキャプテンとして出場。 予選4試合の出場で3得点1アシストを記録。チームは予選敗退。
ブラジルで開催された2019 FIFA U-17W杯に招集されるもクラブ事情により辞退。
2020年、オリンピック南米予選6試合に出場。ボリビア戦では後半15分にゴールを決め、チームの勝利に貢献する。
– 東京オリンピック2020 –
2021年7月、コロナ感染症拡大により1年延期された東京オリンピック2020にチーム最年少(19歳)で出場。
7月28日、予選ラウンドサウジアラビア戦、後半26分にクラウジーニョ(Claudinho、現ゼニト/ロシア)に代わり出場。アディショナルタイム、ペナルティエリア内右深くに走り込み、マウコン(Malcom、現ゼニト/ロシア)からのゴールラインに向けたパスをダイレクトで、左ゴールポスト手前にフリーで詰めていたヒシャルリソンへ向けグラウンダーのパスを送る。アシストを記録。
8月3日、準決勝メキシコ戦、後半28分、再びクラウジーニョに代わり出場。同点のまま迎えたPK戦では4人目のキッカーとして登場。成功すれば決勝進出を決める場面で、GKの左脇の下を抜けるゴールを成功させる。
8月7日に行われた決勝スペイン戦は、延長後半0分、クラウジーニョに代わり出場。オリンピック連覇となるホイッスルをピッチ上で聞く。
≪シーズン別代表成績≫
年 | 開催日 | 大会・対戦相手 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2017年(15歳) | U-15南米ユース選手権 | 不明 | 不明 | 2 | 0 | |
2019年(17歳) | U-17南米ユース選手権 | 4 | 356 | 3 | 1 | |
2020年(18歳) | オリンピック2020南米予選 | 6 | 183 | 1 | 0 | |
2020/1/19 | 予選R ペルー | 17 | 0 | 0 | ||
2020/1/22 | 予選R ウルグアイ | 8 | 0 | 0 | ||
2020/1/28 | 予選R ボリビア | 84 | 1 | 0 | ||
2020/2/3 | 決勝R コロンビア | 2 | 0 | 0 | ||
2020/2/6 | 決勝R ウルグアイ | 7 | 0 | 0 | ||
2020/2/9 | 決勝R アルゼンチン | 65 | 0 | 0 | ||
オリンピック代表親善試合 | 2 | 148 | 1 | 0 | ||
2020/11/14 | 韓国 | 82 | 1 | 0 | ||
2020/11/17 | エジプト | 66 | 0 | 0 | ||
2021年(19歳) | オリンピック代表親善試合 | 3 | 49 | 1 | 0 | |
2021/6/5 | UEA | 28 | 1 | 0 | ||
2021/6/8 | セルビア | 12 | 0 | 0 | ||
2021/7/15 | カーボヴェルジ | 9 | 0 | 0 | ||
東京オリンピック2020 | 5 | 122 | 0 | 1 | ||
2021/7/22 | 予選R ドイツ | 16 | 0 | 0 | ||
2021/7/28 | 予選R サウジアラビア | 19 | 0 | 1 | ||
2021/7/31 | 準々決勝 エジプト | 25 | 0 | 0 | ||
2021/8/3 | 準決勝 メキシコ | 47 | 0 | 0 | ||
2021/8/7 | 決勝 スペイン | 15 | 0 | 0 |
2023年8月4日現在 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<エピソード>
2019年9月プロ契約から間もない時期の記事より。
『選択肢に溢れたプレーのレパートリー。ヒールパス、スピード豊かなボール運び、相手を瞬時に抜き去るドリブル。一昔前の10番を窺わせる「レッテル」を貼られることもある。しかし、線が細い一昔前の10番のプレースタイルとは異なり、恵まれた体格を活かし、アシストを積み重ねるだけでなく、数多くのゴールも奪う。
カカー(Kaká、元ブラジル代表MF、FW。2002W杯優勝メンバー、2007年バロンドールおよびFIFA最優秀選手賞受賞)のプレースタイルと比較されることが多い。しかし、ヘイニエルはジダン(Zidan、元フランス代表MF、FW。1998W杯優勝メンバー、1998年バロンドール受賞、FIFA最優秀選手賞3度受賞)からインスピレーションを得ている。
「何度も繰り返してジダン選手のプレーをインターネットで観て、自分も彼のようにプレーできるよう常に心掛けている」とヘイニエルは言う。
また、身近な所からもインスピレーションを得ている。後に2022W杯を戦うこととなるルーカス・パケター(Lucas Paquetá)だ。(当時の)フラメンゴの10番とはよくメッセージを交換し、多くのアドバイスをもらっている。
トップチームでマラカナン(フラメンゴの本拠地)のピッチでプレーする姿が見たいというサポーターの声が日を追うごとに高まっている中、フラメンゴU-17監督フェリピ・レアウ(Phelipe Leal)は言う。
「まだ17歳。まだまだ成熟していくプロセスを経る必要があります。我々はいくつかの点で細心の注意を払わなければならないと考えています。彼が成熟したサッカー選手として成長し、今後も彼が持つポテンシャルをすべて継続して発揮していけるように。」』
<雑感 etc.>
ヨーロッパ移籍後は、周囲が期待するような、何よりも自分が満足するような活躍はできていない。
2022/23シーズンは、ラ・リーガ1部に昇格したばかりのジローナでのプレーとなる。オリンピックを制した時と同じ19番のユニフォームをまとう。
第2節、初出場を果たす。 第4節、スターティングイレブンに名を連ねる。 第5節、初得点を記録。 第6節には90分フル出場を果たす。
少しずつだが再び成長のプロセスを歩み出した。東京オリンピック2020にチーム最年少で選出され、アシストを記録、PK戦ではキッカーを担ったヘイニエル。 ポテンシャルを遺憾なく発揮し、再び大きな舞台でプレーする姿を期待したい。
(2023.08.05追記) フラメンゴから大きな期待を集めて欧州に主戦場を移したものの、相次ぐケガがあったとは言え、3年半の期間で期待に応える結果を残せていない。
ドルトムントでの2年間を終えた後のブラジル紙「GE」のインタビューでは「無駄に過ごした2年間」と話し、2023/24年についてはスペイン国内でのプレーに固執し複数のオファーを断っている。
ポテンシャルだけでU-15、U-17世代別代表の常連となりプロデビュー。オリンピック代表として金メダルを獲得し、3000万ユーロもの高額の移籍金でレアルマドリードへの移籍を果たしたが、フラメンゴU-17時代のフェリピ・レアウ監督(2023年南米U-17選手権優勝監督)が懸念した『成熟のプロセス』を様々な面で適切に経ることができなかったのだろうと勘ぐってしまう。
レアルマドリードでプレーする余地はなく、複数のオファーを断り自らサッカーをする機会を手放している。今後、サッカー選手としてピッチ上で成熟した姿を見せることができるのだろうか。