カイオ・ジョルジ (Kaio Jorge)

投稿者: | 2022年10月31日
最新更新日 : 2024/06/11
更新履歴 : 2023/12/09, 08/30
カイオ ジョルジ ピント ハーモス ラモス ブラジル サッカー 若手 サントス ユヴェントス ユベントス 2002年生まれ CBFリスト

カイオ・ジョルジ・ピント・ハーモス

Kaio Jorge Pinto Ramos

ポジション:フォワード/アタカンチ (Atacante)

利き足:右

2002年1月24日生まれ

<クラブ経歴>

≪幼少期、育成時代≫

 2007年、ブラジル北東部ペルナンブーコ州の中堅クラブ ナウチコの下部組織でフットサルを始める。
 2011年、古豪エスポルチのフットサルの下部組織に入団。数多くの得点、タイトルを手にするが、プロ選手になる夢を叶えるためサッカーに転向する。
 「プロになるために強豪クラブでプレーしたい」そんなカイオの思いを叶えるため、両親はサンパウロ州サントス市へ引っ越しを決意する。サントス市に移り、間もなく、サンパウロFCのテストを受け無事合格。しかし、当時サンパウロFCは東北部に本拠をもつヴィトーリアと育成年代選手を交換する提携を結んでおり、それを知ったカイオは再び東北部に戻る可能性があるため、合格を辞退する。
 2012年11月にサントスFCのテストに合格。2013年から同クラブの下部組織でのプレーが始まる。
 サントスFC入団直後から結果を残し、2013年は16試合17ゴールを挙げる。ナウチコ、エスポルチに引き続き、サントスFCでも輝かしい結果を残すと、2017年11月には15歳にしてU-20チームに昇格。

≪サントス≫

 翌年2018年9月30日、全国選手権第27節アトレチコ・パラナエンセ戦後半36分ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990, 代表2試合出場)との交代出場で、16歳にしてトップチームデビューを飾る。
 2019年は、ホルヘ・サンパオリ監督(Jorge Sampaoli, 監督としてコパ・アメリカ2015ではチリ代表に初戴冠をもたらす。W杯2014ベスト16。)のもと、出場機会に恵まれず、全国選手権4試合、サンパウロ州選手権3試合の出場にとどまる。
 18歳で迎えた2020年、1月から始まるサンパウロ州選手権では7試合288分の出場にとどまるも、コロナ感染症拡大による自粛期間明けの全国選手権はセンターフォワードとしてレギュラーの座を掴み、28試合1906分の出場を記録。
 2020年3月3日、コパ・リベルタドーレス グループラウンド初戦デフェンサ・イ・フスティシア/ARG戦の後半24分にユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)と交代でピッチに立つと、後半41分に勝ち越し点となるプロ初ゴールを決める。
 2020年12月16日、コパ・リベルタドーレス準々決勝グレミオ戦2ndレグにて、同大会5番目の最速記録となる開始11.4秒でのゴールを記録。
 この年のコパ・リベルタドーレスは、18歳ながら決勝までの12試合すべてに出場し、出場時間894分、上記の2得点を含む計5得点を記録し、サントスFCの準優勝に大きく貢献。
 2021年も絶対的なレギュラーとして活躍するなか、サントスFCでの最後の試合を7月25日のアトレチコ・パラナエンセ戦で迎える。

≪ユヴェントス≫

 2021年8月2日、ユヴェントス/ITAへの移籍が発表される。背番号はいくつか用意された中、ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)やアンドレア・ピルロ(Andrea Pirlo)などがかつて着ていた21番を選んだ。
 しかし、新天地の船出は順調には運ばない。筋肉系の怪我を発症し、クラブデビューは2ヶ月後の10月2日(イタリアセリエA第7節トリノ戦の後半44分)となった。その後も出場機会は終了間際の数分に限定される時期が続く。
 2022年2月23日、U-23チームでのセリエCの試合、前半23分に右ヒザに大怪我(膝蓋腱断裂)を負う。
 2023/24シーズン前のユヴェントスAチーム対ユヴェントスBチームの公開紅白戦で約18か月ぶりの試合に出場。前半38分にAチームから交代出場。後半に3得点を記録する。
 しかし、事実上構想外となっており、期限付き移籍先の模索が続く。

≪フロジノーネ(レンタル元:ユヴェントス)≫

 2023年8月29日、ユヴェントスからイタリアセリエAフロジノーネへの期限付き移籍が発表される。期限は2023/24シーズン終了まで。
 2023年10月22日、セリエA第9節ボローニャ戦の後半40分にクラブデビューを迎える。
 11月2日、コッパイタリア二回戦トリノ戦の延長前半開始時にピッチに立つと、延長前半9分にMFヘイニエル(Reinier, 2002)の勝ち越し弾をアシスト。
 その3日後の11月6日セリエA第11節エンポリ戦以降の4試合に連続して後半途中出場を果たす。
 2023年12月10日第15節にてクラブでの初先発に起用されると、翌16日第16節にてクラブ初ゴールをマーク。
 その後2024年2月18日第25節まで多くの試合で先発し、さらに2得点を記録するが、やがて控えに周り出場機会を失う。

≪クルゼイロ≫

 2024年6月5日クルゼイロはカイオ・ジョルジ獲得に関してユヴェントスとの合意を発表。今後メディカルチェックが行われ、正式に契約に至る予定。契約期間は5年。交渉内容は非公表ながら、移籍金は固定450万ユーロ+変動200万ユーロの総額650万ユーロ(約11億円)。
 6月11日クルゼイロはカイオ・ジョルジの加入を発表。7月10日以降に試合への出場が可能となる。

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2018年(16歳)サントス全国選手権1900
 合計1900
2019年(17歳)サントス全国選手権32200
州選手権48400
 合計710600
2020年(18歳)サントスリベルタドーレス1289450
全国選手権28190641
コパ・ド・ブラジル17700
州選手権728800
 合計48316591
2021年(19歳)サントスリベルタドーレス735111
コパ・スウアメリカーナ217320
全国選手権1088612
コパ・ド・ブラジル215810
州選手権745030
 合計28201883
2021/22年(20歳)ユヴェントス/ITAイタリアセリエA911300
コパ・イタリア21200
 合計1112500
2022/23年(21歳)ユヴェントス/ITA出場なし
2023/24年(22歳)フロジノーネ/ITAイタリアセリエA2080630
コパ・イタリア210801
 合計2291431
2024年(22歳)クルゼイロコパ・スウアメリカーナ
全国選手権
 合計
イタリック斜体は、2024年6月11日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2017年、U-15南米ユース選手権に出場。全7試合に出場、4得点を記録。決勝のアルゼンチンU-15戦では2ゴールをマークするも、試合は惜しくも2-3で敗れ、大会は準優勝に終わる。
 2019年10-11月にブラジルで開催された2019 FIFA U-17W杯に出場。
 10月29日グループラウンド第2節ニュージーランド戦、前半19分、右サイドバック ヤン・コウト(Yan Couto, 2002年6月3日, 当時コリチバ、2023/12/9現在ジローナ/ESP(マンチェスターシティ/ENGからのレンタル))からのクロスボールをゴール中央で合わせゴールネットを揺らす。
 11月9日グループラウンド第4節チリ戦、開始早々の9分、ゴール正面やや右からのFKを壁の横を通る強烈なシュートでボールをゴールネットに突き刺すと、逆転を許した後の前半アディショナルタイム、自らが得たPKを落ち着いて決める。
 11月14日、準決勝フランス戦は前半を0-2で折り返す苦しい展開。後半17分、左コーナーキックから相手ディフェンダーがクリアしきれなかったボールを、FWガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002年9月3日, 当時パウメイラス、2023/12/9現在ポルト/POR)、CB/ZAGエンリ(Henri, 2002年2月16日, 2023/12/9現在ノーステキサス/USA)と頭で繋いだボールに反応し、反撃の狼煙となる得点を奪う。
 そして、11月17日の決勝メキシコ戦、準決勝に引き続き相手に先制点を許す苦しい試合展開の中、後半39分、VARの介入で得たPKを冷静に決め同点に追いつく。
 結局、同大会は全7試合に出場、5得点の活躍をみせチームを優勝に導いた

≪シーズン別代表成績≫

大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2017年(15歳)U-15南米ユース選手権不明不明40
2019年(17歳)FIFA U-17W杯2019755950
2023年12月9日現在
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<エピソード、雑感 etc.>

 「カラダがプロとして出来ていなかったからね。今もまだまだ肉体的に成長しているよ。少し時間はかかったけど、この時間が僕には必要だったんだ。」
 将来を嘱望され2018年に僅か16歳でトップチームに昇格しプロデビューを果たしたが、2年目の2019年はベンチを温める日が続いた。そんな中、カイオは、フィジカルコーチと話し合いを持ち、食生活をあらため、フィジカルトレーニングを取り入れた。
 翌年、監督がクーカ(Cuca)氏に替わり、センターフォワード陣に現代的な動きを要求した。現代サッカーの入門書では、センターフォワードの役割は必ずしもゴールを決めることではない。味方のスペースを作るために相手のセンターバックを引きずり出したり、下がった位置でボールを受けて攻撃の形を作ることも重要視される。
 しかし、こういったプレーはフォワードは点を取るものだ、という考えに慣れてしまっているサポーターには理解されない。新体制で現代サッカーのセンターフォワードとしてレギュラーの座を掴んだカイオだが、それ故にゴールから遠ざかり、サポーターからの批判の的となった。
 だが、プロとしてのカラダが出来ていくにしたがってゴールが生まれはじめ、批判の声も静まっていった。

 2021年8月、イタリアの名門ユヴェントスに移籍。しかし、前年のコパ・イタリアチャンピオンの層は厚く、なかなか十分な出場機会に恵まれない。そんな中、久しぶりのスターティングイレブンとしてU-23チームの試合に挑んだ。前半23分、膝を受傷する。受傷後も試合に出続けようとしたが、結局は涙ながらにピッチを後にした。
 その後、ただちに緊急手術を受けたが、クラブの医療チームからは回復まで8ヶ月を要すると発表される。
 ユヴェントスは、イタリアセリエAですでに実績を残すドゥシャン・ヴラホヴィッチ(Dusan Vlahovic、2000年生まれ。セルビア代表)を即戦力で2022年1月に獲得した。クラブは放出の可能性を否定するが、カイオには他クラブからレンタルのオファーも報道されている。カイオの未来がどのように転ぶか誰にもわからない。
 しかし、遠くない未来に「少し時間はかかったけど、この時間が僕には必要だったんだ。」と、彼が21番のビアンコネーロのユニフォームをまとって話す姿を、私は楽しみに待っている。

(2024年6月5日追記)
 2024年6月5日クルゼイロへの移籍が内定した。20歳で大きな夢を抱き、周囲からは大きな期待を集め欧州の地を踏んだが、3年間で33試合3得点1アシストの成績で終えた。
 しかし、まだ22歳。日本ではまだ大学4年生の世代。これからは慣れ親しんだ母国ブラジルでのプレーとなるが、いち早く輝きを取り戻し、欧州の地へ捲土重来を期待したい。

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