クルゼイロ (Cruzeiro)
正式名称:Cruzeiro Esporte Clube
略称:CRU
創立:1921年
本拠:ミナスジェライス州 ベロオリゾンテ
《 主要タイトル & 概要 》
タイトル | 優勝回数 | 優勝年 |
---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 4 | 2014, 2013, 2003, 1966 |
コパ・ド・ブラジル | 6 | 2018, 2017, 2003, 2000, 1996, 1993 |
コパ・リベルタドーレス | 2 | 1997, 1976 |
《 直近3年成績(2020年-2022年) 》
大会 | 2022年成績 | 2021年成績 | 2020年成績 |
---|---|---|---|
ブラジル全国選手権2部 | 優勝 | 14位 | 11位 |
コパ・ド・ブラジル | ベスト16敗退 | 3回戦敗退 | 3回戦敗退 |
ミナスジェライス州選手権 | 準優勝 | 準決勝敗退 | 予選敗退 |
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。
《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》
現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。
《 2022年 》
<戦績>
大会 | 試合数 | 勝数 | 引分数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失点差 | 勝点率(%) | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全国選手権2部 | 38 | 23 | 9 | 6 | 57 | 26 | 31 | 68.4 | 優勝 |
コパ・ド・ブラジル | 6 | 3 | 0 | 3 | 11 | 7 | 4 | 50.0 | ベスト16敗退 |
州選手権 | 14 | 9 | 1 | 4 | 26 | 15 | 11 | 66.7 | 準優勝 |
計 | 58 | 35 | 10 | 13 | 94 | 48 | 46 | 66.1 |
<全国選手権2部 年間順位推移>
<振り返り>
【クラブ改革】
ミナスジェライス州ベロオリゾンテに本拠を置くクルゼイロは実績、サポーター数ともにブラジル国内でも有数のクラブだが、同時にサッカー部門の人件費負担も大きく、財政的に苦しい状況が続いていた。
2019年にクラブ史上初めて2部降格が決まると、クラブ内の問題も発覚。2020年にはコロナ感染症拡大が追い打ちをかけ、莫大な負債がさらに膨らんでいく。2021年に負債削減とクラブ財政の透明化をすすめるため、ブラジルで初めてSAF(スポーツを専門に従事する株式会社。スペインやポルトガルで一般的になっている組織形態。)を申請。 その発行株式の90%を、クルゼイロでプロデビューし2002W杯得点王など数々の記録と記憶に残るプレーで世界を魅了したホナウド・フェノーメノ(Ronaldo Fenômeno)が取得することを表明。
2021年12月18日、クルゼイロは正式にホナウド・フェノーメノ氏を主要株主兼経営責任者とするSAFとして出発することになる。
【ホナウドプロジェクト】
2022年に入ると、「ホナウドプロジェクト」が発足し、クラブ全体に規律と経費削減の推進を図る。
現場では、すでに締結されていた契約を含めすべて見直し、2021年シーズン終盤の戦いぶりから続投が決まっていたルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督との契約を解除。さらには、クルゼイロのクラブ史上最多試合出場記録を持つGK/GOLファビオ(Fábio)との給与削減交渉がまとまらず放出を決定する。
一方、ブラジルではほぼ無名のウルグアイ人の若手監督パウロ・ペツォラーノ(Paulo Pezzolano, 1983)氏を監督に抜擢。 補強については、シーズンを通した方針として、海外で出場機会に恵まれていない選手や中小規模のクラブから適材適所の若手選手を獲得、下部組織出身選手を積極的に起用し、中堅どころはレンタル移籍での加入を推し進めていく。また、海外や他クラブからのオファーがあれば、次々に放出していき、財政面のバランスを図る。
2022年を通して外部から新たに契約した選手は25選手、クラブを去った選手は40選手以上。前年2021年の全国選手権2部を戦い、2022年にクルゼイロのユニフォームを着てピッチに立った選手は、僅か5選手にすぎなかった。
【パウロ・ペツォラーノ監督】
ペツォラーノ監督は、ボールを保持し、相手陣でプレーするサッカーを標榜。その手段として、自陣ゴール前からの攻撃ではGK/GOLがビルドアップに参加し中盤にフリーの選手を作り出し、攻撃的な中盤の選手は相手2ラインの間にポジションを取る。センターフォワードは前後に動き相手最終ラインを揺さぶり、両ウイングは敵陣深くまで侵入し、一列後ろのスペースを作り出す。ボールを失った際はすかさず3、4人でボールを奪いに行き、それをかわされた場合は、中盤の選手は素早く帰陣しゾーンで守る。
ペツォラーノ監督は、大まかに上記のような組織的なスタイルをチームに落とし込み、選手一人一人に理解させていく。このようにして、激しい選手の入れ替わりに対応し、高いレベルでチームを維持していった。試合に起用した選手は、2022年一年間58試合の中で59選手に及んだ。
【州選手権】
手腕が未知の若手外国人監督、大黒柱のファビオを放出するなど大幅な選手の入れ替えに、サポータの不安が高まる中、1月26日開幕の州選手権を迎える。 開幕節、第2節を無失点で連勝スタートを切る。第3節は全国選手権1部のアメリカ・ミネイロに敗れるもその後は4連勝するなど、12チームで行われたリーグ戦を8勝1分3敗、3位で決勝ラウンドに駒を進める。 決勝ラウンド1回戦(準決勝)はリーグ戦を2位で勝ち上がったアスレチックMGを相手にホーム&アウェイを共に勝利で終え決勝に進出。
4月2日、一発勝負の決勝戦は前年に全国選手権とコパ・ド・ブラジルの二冠を制覇したアトレチコ・ミネイロと対戦。 リーグ戦での敗戦を巻き返したいところだったが1-3で敗退する。しかし、ボール保持率は60:40で相手を上回り、シュート数も13-11(枠内5-5)と互角の内容を見せた。サポーターの開幕当初の不安は消え去り、1部昇格への期待を膨らませるだけでなく、試合内容にも満足できるチームに変貌していた。
【コパ・ド・ブラジル】
1回戦、2回戦は選手権下部リーグのチームを相手に順当に勝利。 しかし、3回戦は全国選手権3部のヘモを相手にアウェイでの1stレグを落とす。ホームでの2ndレグも守備を固める相手を崩せずにいたが、後半30分のエドゥーのゴールで2試合合計で同点に追いつき、PK戦を何とかものにし4回戦に進出。
4回戦の相手は、監督交代を機にボール保持率を高めコンパクトな陣形でゴールに迫るチームスタイルを構築し、全国選手権1部で調子を上げるフルミネンセ。 6月23日の1stレグ(ホーム)は立ち上がりから相手に主導権を握られ、さらには前半42分に右SB/LADが一発レッドカードを提示され退場。その直後に失点し一度は追いつくものの劣勢を覆すことはできず後半に勝ち越しゴールを許し1-2で敗戦。 7月12日アウェイでの2ndレグ。立ち上がりこそ相手にゴールに迫られるがGK/GOLハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral)を中心とする守備陣の奮闘でゴールを防ぐと、15分過ぎにはボールを保持し相手ゴールに迫るようになる。試合はクルゼイロ優勢に進めるが、前年までクルゼイロに在籍した相手GK/GOLファビオの好守に得点を奪えない。すると、後半25分、先制点を奪われる。さらに、後半40分、後半45+3分に立て続けて失点。2ndレグも0-3のスコアで敗れ、コパ・ド・ブラジルを4回戦で後にする。
【全国選手権2部】
4月8日に迎えた全国選手権2部開幕節、アウェイでのバイーア戦。 共に相手陣でプレスを仕掛け、攻守が目まぐるしく入れ替わる中、お互いに決定的な場面を作り出すも無得点のまま前半を折り返す。 後半13分、相手陣でのプレスを掻い潜られ、右サイドからカウンターを受ける。ボール付近に人数をかけ守るが逆サイドへのパスを通され失点。後半29分には相手陣でのパスミスから縦に素早く展開され追加点を奪われる。試合はそのまま0-2で開幕節を落とす。しかし、失点はいずれも似たような展開から奪われており、ペツォラーノ監督は対策を打つ。
すると、第2節以降第11節までの10試合では9勝1分、6試合連続無失点試合を記録するなど僅か2失点しか許さない。組織的なディフェンスがチームに浸透していき第7節に首位に立つと、その後も勝ち星を積み重ねて行き、過去最速の第31節終了後に1部昇格を決める。さらに翌32節終了後にはこちらも過去最速となる2部優勝を達成。
ホナウド・フェノーメノ氏を経営責任者に迎えたチームは1年で結果を残した。
選手権前半 : 13勝 3分 3敗、得点24失点10 選手権後半 : 10勝 6分 3敗、得点33失点16 選手権合計 : 23勝 9分 6敗、得点57失点26
<チーム内個人成績・記録>
* 参照元:サッカーサイト「Ogol」
記録 | 選手 | 公式戦計 | 全国選手権 | ブラジル杯 | 州選手権 |
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最多試合出場 | ハファエウ・カブラウ (Rafael Cabral) – GK/GOL | 54 | 37 | 6 | 11 |
(2位タイ) | ルーカス・オリヴェイラ (Lucas Oliveira) – CB/ZAG | 49 | 35 | 6 | 8 |
(2位タイ) | エドゥアルド・ブロッキ (Eduardo Brock) – CB/ZAG | 49 | 33 | 5 | 11 |
最多出場時間 | ハファエウ・カブラウ (Rafael Cabral) – GK/GOL | 4860 | 3330 | 540 | 990 |
(2位) | ルーカス・オリヴェイラ (Lucas Oliveira) – CB/ZAG | 4307 | 3065 | 540 | 702 |
(3位) | エドゥアルド・ブロッキ (Eduardo Brock) – CB/ZAG | 3984 | 2738 | 442 | 804 |
最多得点 | エドゥー (Edu) – FW/ATA | 22 | 11 | 4 | 7 |
(2位) | ルーヴァノール (Luvannor) – FW/ATA | 7 | 7 | 0 | 0 |
(3位タイ) | ハファ・シウヴァ (Rafa Silva) – FW/ATA | 6 | 6 | 0 | 0 |
(3位タイ) | ヴィトル・ホッキ (Vitor Roque) – FW/ATA | 6 | 0 | 3 | 3 |
最多アシスト | エドゥー (Edu) – FW/ATA | 4 | 4 | 0 | 0 |
(2位) | マシャード (Machado) – MF/MEI | 4 | 3 | 1 | 0 |
(3位) | ハファエウ・サントス (Rafael Santos) – 左SB/LTE | 4 | 0 | 2 | 2 |
最多デュエル勝利 | ネット・モウラ (Neto Moura) – MF/MEI | – | 124 | – | – |
(2位) | エドゥアルド・ブロッキ (Eduardo Brock) – CB/ZAG | – | 121 | – | – |
(3位) | ゼ・イヴァウド (Zé Ivaldo) – CB/ZAG | – | 113 | – | – |
最多キーパス | ネット・モウラ (Neto Moura) – MF/MEI | – | 38 | – | – |
(2位) | マテウス・ビドゥー (Matheus Bidu) – 左SB/LTE | – | 29 | – | – |
(3位) | ブルーノ・ホドリゲス (Bruno Rodrigues) – FW/ATA | – | 27 | – | – |
最多CBI | ルーカス・オリヴェイラ (Lucas Oliveira) – CB/ZAG | – | 155 | – | – |
(2位) | エドゥアルド・ブロッキ (Eduardo Brock) – CB/ZAG | – | 117 | – | – |
(3位) | ゼ・イヴァウド (Zé Ivaldo) – CB/ZAG | – | 65 | – | – |
※ デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標 CBI : クリア、ブロック、インターセプト