ジョヴァーニ・エンヒキ (Giovani Henrique)

投稿者: | 2023年1月12日
最新更新日 : 2024/01/13
更新履歴 : 2023/06/27, 06/16, 03/26

ジョヴァーニ・エンヒキ・アモリン・ダ・シウヴァ 若手 ブラジルサッカー パウメイラス Giovani Henrique Amorim da Silva

ジョヴァーニ・エンヒキ・アモリン・ダ・シウヴァ

Giovani Henrique Amorim da Silva

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:左

2004年4月1日生まれ


<幼少期>

 サンパウロ州サンパウロ都市圏に位置するイタクァケセトゥーバに生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 2014年、パウメイラスのスカウトを受けフットサルチームに入団。
 2015年にはサッカーに転向しパウメイラスU-11チームに加入。U-11カテゴリーの州選手権優勝
 2016年、U-13チームにおいてU-13カテゴリーの州選手権優勝。
 2019年、U-15チームにおいてU-15カテゴリーの州選手権優勝。チーム内得点王となる15ゴールをマークする。

≪パウメイラス≫

– 2020 –

 2020年、16歳にしてトップチームに昇格。リベルタドーレスにメンバー登録され一躍注目を浴びるようになる。
 あいにくこの年はトップチームでの試合出場はなかったが、U-17チームにて13試合14ゴールを記録。

– 2021 –

 2021年3月3日、州選手権第2節、コリンチャンスとのクラシコで後半40分にグスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 2022年全国選手権最優秀選手)と交代でピッチに立ち、プロデビューを飾る。
 4月18日、自身の出場4試合目となる州選手権第6節ボタフォゴSP戦でプロ初のスターティングイレブンに抜擢、右ウィングでプレー。後半30分に交代するまで5ファールをもらうなど積極的に仕掛けていき相手守備陣の脅威となる。
 2021年5月2日州選手権第10節サントアンドレ戦。前半20分、右ゴールライン際からのクロスにゴール中央へ走り込み左足を伸ばすが、直前のバウンドがイレギュラーとなり上手く足にヒットせずプロ初ゴールを逃す。直後の前半21分、後方からのハイボールをめぐる空中戦で相手ディフェンダーに競り勝ち、そのボールをグスタヴォ・スカルパがゴールに決め、プロ初アシストをマークする。
 州選手権が終了すると層の厚いトップチームではなかなか出場機会を得ることができず、主戦場をU-17チーム、U-20チームに移す。
 シーズン終盤の11月30日全国選手権第36節クイアバ戦、久しぶりのトップチームでの試合をスタメンで起用される。前半30分、センターライン付近やや右でボールを受けるとドリブルで縦に駆け上がる。ペナルティエリア手前で中央に切れ込み、一度キックフェイントを挟み左足でシュート。これがゴール左隅に突き刺さりプロ初ゴールを飾る。
 第36節に続き、第37節、最終節と3試合連続でスタメン出場を果たすと、いずれの試合も、ドリブルやパス交換で相手陣深くまで侵入しクロスを供給、中央に切れ込んでからのシュートや中央に切れ込むことでできたスペースへのパス供給など、右サイドでの攻撃に厚みをつけ存在感を示す。

– 2022 –

 2022年、1月に開催されるU-20全国大会のカップ戦に出場。8試合4ゴール3アシストの活躍で同大会の優勝に貢献。
 しかし、トップチームには同じタイプで実績を残す選手がおり、さらには新加入選手が優先的に起用され出場機会がなかなか訪れない。すると、練習中に踵にケガを負う。完治後にU-20チームで2試合に出場するが次は太ももにケガを負い、再びグラウンドから離れることになる。
 11月13日全国選手権最終節、U-20チームでの試合から4カ月ぶり、トップチームでの最後の試合から7カ月ぶりの試合出場を果たす。僅か16分間の出場ではあったが、パウメイラス医療スタッフやフィジカルコーチに対する感謝を胸に、翌2023年の飛躍を期す16分間となった。

– 2023 –

 正式にトップチームに昇格。
 2023年2月1日州選手権第5節ミラソウ戦、後半16分、0-0の局面で交代出場を果たし右ウィングに入る。後半22分、エンドリッキ(Endrick, 2006)からのボールを右サイドライン際で受けるとペナルティエリアに侵入。中央のブレーノ・ロペス(Breno Lopes
, 1996)へクロスを上げ先制点をもたらすアシストを記録。後半45+3分、エンドリッキとのタベーラでペナルティエリアゴールライン際まで侵入。アトゥエッタ(Atuesta, 1997)へグラウンダーのクロスを送り再びアシストを記録。この試合での活躍を機に試合出場機会が増えていく。
 2023年2月4日州選手権第6節サントス戦、後半23分に交代出場を果たすと、後半26分、ホニ(Rony, 1995)がキープするボールを後方から走り込みシュート。これがゴール左隅に決まりシーズン初得点を記録。
 州選手権は最終的に11試合に出場。278分の出場で3得点に関与するが、トップチームのFW陣の選手は厚く、全国選手権が開幕すると出場機会は激減する。

≪アル・サッド≫

– 2023/24 –

 2023年6月27日、アル・サッド/QATがジョヴァーニ・エンヒキの獲得を発表。契約期間は5年間、移籍金は保有権の50%に対して900万ユーロ(約14億円)、残りの50%はパウメイラスが引き続き保有する。
 2023年7月23日、ロハ・カサブランカ/MARとの練習試合の途中に膝にケガを負い途中交代。検査の結果、右膝前十字靭帯および膝軟骨損傷が診断され、クラブから2023/24シーズンの出場は絶望の見込みという公式発表がなされた。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(17歳)パウメイラスリベルタドーレス12100
全国選手権323010
州選手権1048201
合計1473311
2022年(18歳)パウメイラスリベルタドーレス12900
全国選手権23300
州選手権310900
合計617100
2023年(19歳)パウメイラス全国選手権21300
コパ・ド・ブラジル29101
州選手権1127812
合計1538213
2023/24年(20歳)アル・サッド/QATカタール・スターズ・リーグ
合計
2024年1月13日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

– 2021 –

 2021年9月15日に行われたパラグアイ代表とのU-17国際親善試合、後半開始時に交代出場を果たす。これがアマレリーニャ(ブラジル代表の黄色いユニフォームの通称)を着ての初めての試合となる。

– 2023 –

 2022年12月8日に発表された2023年U-20南米ユース選手権の代表メンバーに選出されるが、チーム事情により代表辞退。

2023年U-20W杯

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 34500
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 0
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 0
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 1
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 34700
 合計16 – 79200

<プレースタイル、エピソード etc.

 主に右ウイングでプレーするがインサイドハーフとしてのプレーも試合では見せる。
 ジョヴァーニのプレーは”切れ味”が持ち味。
 スピードはスプリントもさることながら、静から動への瞬間的なスピード(1,2歩目のスピード)が特に印象的。
 スピード溢れるドリブルを駆使し、裏への抜け出しや球際での瞬間的なスピードで相手を凌ぐ。また、ゴール前では巧みな動きでフリーのポジションを取り、高いゴールの嗅覚を持つ。
 利き足の左足からは、時には強烈な、時にはコントロールされたシュートを放ち、右足からも精度の高いシュートやパス、クロスを繰り出す。

 2022年1月開催のU-20全国大会カップ戦では、注目はエンドリッキ(Endrick, 2006)に集まった。
 しかし、ジョヴァーニも4得点3アシストの記録のみならず、攻守に渡り十分に称賛に値するプレーを見せた。重厚なイメージのエンドリッキとスピードと切れ味のジョヴァーニが前線で融合し、カップ戦タイトルを勝ち取った。
 トップチームでは、スピードタイプのFWとして、パウメイラスで400試合以上の出場を果たしている(そしてジョヴァーニがパウメイラス入団当時から憧れている)ドゥドゥ(Dudu)や、ホニ(Rony, 2017-2018アルビレックス新潟)がレギュラーとしてチームを引っ張り、またジョヴァーニ自身が度重なるケガをした影響もあり、2022年は出場機会に恵まれなかった。しかし、この二人はジョヴァーニにとっての生きた教科書であり、様々な、特に守備でのコース取りや相手が嫌がるようなプレーを身近に学ぶことができる。
 2023年、パウメイラスは補強を最小限にとどめ、既存の戦力をベースに、今や才能の宝庫と化している下部組織からの若い人材を起用し育てる方針を打ち出している。
 その結果として、州選手権と日程が重なる2023年U-20南米ユース選手権への招集を辞退することとなった。
 2020、2021年コパ・リベルタドーレスを連覇し、2022年全国選手権を独走で優勝した南米でも有数の強豪パウメイラス。クラブ内での競争は厳しいものになるが、その中で競争に打ち勝ちレギュラーの座を掴むことができれば、南米ユース選手権辞退により袖を通すことのなかったアマレリーニャを着て、世界を相手に戦う日も訪れるに違いない。

(2023年6月16日追記)
 2023年3月30日に開幕したU-20W杯に出場。
 大会期間をパウメイラスの分厚い選手層の中で控えとして過ごすよりも代表として経験を積むことがプラスになるとのクラブ判断により招集が受諾された。しかし、U-20W杯は2試合に出場するのみで周囲の期待に応えたとは言い難い内容だった。
 帰国後は、チームの遠征に帯同することなくベンチ外の試合が続く。2022年にはアヤックス/HOLからのオファーがあるなど、欧州からの注目を浴びたこともあり、放出の噂も報道されるようになった。
 しかし、アベウ・フェヘイラ監督との話し合いで、現在のチーム状況や選手層とジョヴァーニの位置づけが確認され、焦らないように忠告を受ける。そして、チームスタッフからはU-20リベルタドーレス出場の選択肢を提示されるがジョヴァーニ自身がトップチームに残ることを意思表示。クラブ会長も破格の条件が提示されない限り放出を考えていないことをメディアで話すなど、ジョヴァーニの成長力に期待を寄せている。

(2023年6月27日追記)
 2023年6月27日、カタールリーグのアル・サッドからジョヴァーニ・エンヒキ獲得が発表された。19歳、ブラジル国内で35試合2得点4アシストの記録を残し、移籍金は保有権の50%に対して900万ユーロ(約14億円)、1800万ユーロ(約28億円)の評価を受けたことになる。
 中東諸国クラブ経験者は、すでに実績を残し、選手生活のピークを越しつつあるイメージがあり、また、中東経由で欧州へ移籍したケースも多くはなく、これからのサッカー人生の可能性が狭められた移籍のように感じる。
 しかし、まだ19歳。パウメイラスに所属し続けても出場機会は限られ、欧州への移籍も必ずしも未来が保証されるわけでもない。中東リーグは、近年は欧州からの注目も集めているだけに、スペインの名将ジョゼップ・グアルディオラが師と仰ぐフアン・マヌエル・リージョ監督の下、氏の戦術を理解し、体現して、試合経験や実績を残し、欧州クラブへの移籍やブラジル国内への復帰を飾り成長した姿を見せてもらいたい。

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